2021年03月05日

給付金と確定申告

昨年は新型コロナウイルス禍により大きな影響を受け、結果的に、事業所得(売上マイナス経費)が赤字、つまり損失という方が例年より多いものと思われます。こういった場合に、損失でも確定申告をすべきかどうかについてお話ししてきました。結論から言えば、どんな場合であれ、申告はしておくべき。特に青色申告には損失の繰越(+損失の繰戻し)というメリットがあるため、必ず申告しましょう。

さて、では申告しなければと考えると、例年とは異なる収入や支出があり、これはどうするんだろうと迷われることも多いのではないかと思います。例えば、売上減少等の一定の要件を満たした場合に最大200万円(個人事業主は100万円)を限度に給付された「持続化給付金」。実はこれは所得税の課税対象となります(個人事業主の場合、法人であれば法人税)。

え、こんな苦しい時期だから給付されたのに、それが課税対象になるの?と違和感を感じるかもしれません。ただ、これは持続化給付金の額に直接所得税の税率をかけるわけではありません。あくまでも黒字の額に所得税の税率をかけることになります。ですから、持続化給付金を受け取っても、経費の方が大きく、結果的に赤字になるのであれば、納税することにはなりません。つまり赤字を多少なりとも補填するための持続化給金であって、逆に黒字になるのであれば、その分は所得税率をかけて納税してください、ということです。

事業者の事業継続を支援するための給付金としては、この他に家賃支援給付金ですとか、地方自治体による休業・時短要請協力金がありますが、これらはすべて同様に所得税の課税対象となります。これらを記帳する際には、消費税不課税の雑収入として仕訳します

名称はやはり給付金ですが、日本の住民基本台帳に記録されている人に対し、1人につき10万円給付された「特別定額給付金」。こちらは扱いが異なります。というのは、特別定額給付金は事業者ではなく、個人に給付されたものです。個人事業主は「事業者」としてのお財布と、「個人」としてのお財布、二つのお財布を持っています。事業の売上や経費は事業者としてのお財布。上記の持続化給付金も事業上受けた支援ですから、事業者としてのお財布に属することになります。これに対して、特別定額給付金は個人としてのお財布に属するということです。

仮に事業で使用している銀行口座に入金された場合には、事業主借(個人である事業主から事業の口座に10万円を借りた)として仕訳します

一方で個人で受け取っても所得は所得だから課税対象になるのでは、と思うかもしれませんが、特別定額給付金は「法律により非課税になりますので、課税されません」とされています。ですので、個人のお財布ではありますが、課税対象にならない特別なお財布に直接入ったと考えればいいかと思います。名称通り、それだけ「特別」なものなのです。課税対象になりませんので、確定申告上どこにも出てこない金額となります。
posted by 岡本浩一郎 at 18:48 | TrackBack(0) | 税金・法令
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