既にご存じの方も多いかと思いますが、今朝の日経新聞朝刊一面で「電子保存義務化 2年猶予」という記事が掲載されました。これは先月お話しした改正電子帳簿保存法(電帳法)に関するものです。記事によれば、「政府・与党は2022年1月に施行する電子帳簿保存法に2年の猶予期間を設ける」とのこと。
全事業者に影響があり、なおかつ来年1月には対応しなければならない、つまりあまりにも時間がないという改正電帳法の問題点については以前お話しした通りですが、それに対して先月半ばに国税庁のQ&Aが更新され、この中で、書面保存を継続しても直ちに青色申告の承認取り消しとはならないことが明確化され、一定程度解消されました。ただ、Q&Aというのはあくまでもガイドラインであり、法的な拘束力はありません。その点、今回報道された「近くまとめる22年度与党税制改正大綱に盛り込み、年内に関連の省令を改正する」というのはさらなる前進です。
とは言え、より具体的な内容については、早合点するのではなく、税制改正大綱を待ちたいと思います。今回の電帳法改正は大部分が要件緩和であり早期の施行が望まれるものですから、全体としての改正電帳法は予定通り来年1月に施行されるものと思います。この施行によって、電子取引に関する改正事項(具体的には適正な保存を担保する措置)に関しては、これまで認められていた措置(申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、その電磁的記録の出力書面等の保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができる措置)を廃止されるが、それが猶予される。つまり結果的にこれまで通り出力書面等を保存すれば問題はないということかと思います。
もっとも、その際にどういった条件が付くのかは明確になっていません(記事では事前に届け出が必要とも読める表現がありましたが、わざわざ届け出を求める必然性はあるでしょうか)。これらは例年通りであれば今週後半にも公表される与党税制改正大綱でより明らかになるでしょう。
そういった意味で、現段階では具体的な内容よりも、2年間という明確な期間が示されたということが非常に大きな前進だと思います。この2年間の中で、以前お話ししたより本質的な課題、1) 構造化デジタルデータによって業務の効率化を実現すべきという点、2) 保存したデータの移管が一定のルールで認められるべきという点、に確実に取り組みたいと考えています。