2022年05月06日

そこまでシンプルではなかった解法

年明けに、私が通っているスポーツクラブで、ロッカーの利用方法が変わったとお話ししました。会員証をプラスチックカードではなく、入館の都度スマホの画面で表示するようにする、という変更にともなって、ロッカーの利用に際し、プラスチックカードを差し込まなくてよいようになりました。

その実現方法がロッカーの大幅な仕様変更ではなく、全てのロッカーに予め会員証と同じものを差し込んでおくというシンプルな解法だったことが驚きだったということをお話ししました。

それから何ヶ月か経っていますが、実際のところシンプルな解法による問題も明らかになっているようです。どのような問題が発生しているのかというと…。

1) 一人で複数のロッカーを使う人が発生

以前は、ロッカーの使用に際し、ロッカーに会員証を差し込むようになっており、結果的に一人で複数のロッカーを利用することはできませんでした(会員証と同じ形状のプラスチックカードを偽造しない限り)。しかし、現状では会員証を差し込むという行為がなくなったことにより、一人でいくつでもロッカーを利用できるようになりました。ただ、私自身としては、一人で複数のロッカーを使う理由が見出せませんが。

2) ロッカーのカギを持ち帰ってしまう人が発生

以前は、ロッカーに会員証を差し込むとはじめて、ロッカーのカギを取り外せる(=ロッカーに施錠できる)ようになっていました。しかし、現状では会員証を差し込むという行為がなくなったことにより、自由にロッカーのカギをかけられるようになりました。例えば、気に入った位置のロッカーがあったとすると、そのカギを持ち帰ってしまうことによって、そのロッカーを事実上占有することができるようになりました。

なぜこれらの問題が発生していることがわかったかというと、これらの行為をやめてくださいという張り紙がされたからです(笑)。

正直何なんですかねえ、という感じです。どんな仕組みにせよ、その裏をかこうとする人はいるものです。それを防ごうとすると、より複雑な仕組みにせざるを得ない。シンプルな仕組みが望ましくても、なかなかシンプルな仕組みに徹しきれないというのも、また現実かと思います。

先日、相続したマンションで路線価などに基づいた不動産評価が低すぎるなどとして課税した国税当局の処分の妥当性が争われた訴訟で、国税当局の処分を適法とした最高裁判決が下され、話題になりました。

誰にとっても税金は多く払いたいものではありません。このため税制の穴を突こうとする人が現れ、それを防ごうと対策を講じる、それでもさらに穴を突こうとする、それを再び防ごうとする、の繰り返しで、税制がどんどんと複雑化してしまう。この繰り返しにはきりがないため、用意されているのが、国税当局の「伝家の宝刀」である「著しく不適当と認められる財産の価額は国税庁長官の指示を受けて評価する」という例外規定です。今回はこの伝家の宝刀の妥当性が問われた訴訟でした。

税制も本来はシンプルであり、誰にとってもわかりやすいことが一番のはずです。ただ、シンプルな解法も万能ではない。シンプルでありながら、ロッカーを占有するように/過度に節税が可能になるように、誰かだけがトクをすることを許さない公平な仕組み。言うは易しいが、現実はなかなか難しい。これは完全に私見になりますが、やはり基本はシンプルであるべきだと思います。シンプルな仕組みの穴を突く、裏をかく人も現れるのだと思いますが、何が許されるのかは、良識/良心で判断すべき、というのは理想主義にすぎるでしょうか。
posted by 岡本浩一郎 at 19:17 | TrackBack(0) | 税金・法令
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