引き続きアメリカでの話。今回の主目的はビジネススクール(UCLA Anderson School of Management)のReunion(同窓会)に参加することですが、もう一つの目的はDisneyland Resortに行くこと。家族的にはこちらの方が主目的ですね。
さすが夢の国で、とても楽しかったのですが、印象的だったのが、乗り物がしょっちゅう壊れること。乗り物に並んでいると、列が全然進まなくなることがちょこちょこあるのですが、それは乗り物が壊れて一旦止まっているから。最悪の場合、一時閉鎖となってまた後で来てくださいとなることがあります。Disneyland Resortでは、Lightning Laneという時間帯予約の仕組み(FastPassの代わりに導入された仕組み)が導入されており、このLightning Lane予約については、別の時間帯への振り替えという救済措置があるのですが、普通に並んでいる(Stand-by Line)場合には、何の救済措置もありません。ですので、1時間並んでもう少し乗れるというところで、乗り物が一時閉鎖になると1時間を棒に振ることになります。
ある意味、もっと印象的だったのが、誰も文句を言わないこと。意外かもしれませんが、列が動かなくなっても大人しく(というよりはワイワイと賑やかに会話しながら)待ち続けますし、一時閉鎖になって待ち行列を解散させられても文句を言う人はいません。日本だったら、どうなっているんだ、とか、何とかしろよ、となりそうなんですけどね。
根底にあるのは、期待値の違いなのではないかと思います。アメリカの場合、壊れるのが当たり前。壊れるのが当たり前だから、文句を言ってもしょうがないよね(実際、そこに居合わせたスタッフに文句を言っても、自分の責任じゃないし、知らんがな、と言われて終わりです、笑)。
日本の場合、完璧に動くのが当たり前。新幹線で、到着が数分遅れただけで、「遅れて申し訳ございません」とアナウンスが入る国ですから。ATMが止まればニュースになる。日本のディズニーランドの場合、スタッフは自分では何もできなくても、とりあえず「申し訳ございません」とお詫びしますよね。完璧に動くのが当たり前だからこそ、問題があったらとりあえずお詫びする。
面白いなと思ったのが、壊れることが当たり前であり、それに対する備えも一定程度されていること。今回行きたかったStar WarsエリアのGalaxy's EdgeにはMillenium Falcon: Smugglers Runというアトラクション(あのMillenium Falconの操縦ができる!)があり、このアトラクションでは、まずHondo Ohnakaというキャラクター(Clone Warsというアニメシリーズでたびたび出てくる憎めない海賊)からミッションの説明を受けます。
しかし、何回か乗ったうちの一回は、このロボットが壊れたようで、ロボットの上に布が被され、見えないようになっていました。その代わり、ビデオで「今日はそこにいれないのが残念だが…」というセリフが流れます。つまりロボットである以上、一定の頻度で壊れる、壊れた時はその場にいないことにして、代わりのビデオを流そう、と予め設計されているわけです。
日本の通販は、完璧なものが届くために全力を尽くす一方で、Amazonは何かあったらすぐ交換(問題は一定の確率で起きると割り切る)という違いも、やはりこの期待値の違いから来ているような気がします。
壊れるのが当たり前か、完璧に動くのが当たり前か。これは良し悪しですね。完璧に動くのが当たり前の国から壊れるのが当たり前の国に行くと、イライラするのも確かです。ただ、完璧に動くのが当たり前にするために、国全体としてかけているコストを考えると、もっと大らかでもいいのではないかとも思います。