2022年06月06日

デジタルインボイス

先週6/1より、電子インボイス推進協議会は、デジタルインボイス推進協議会へと名称を変更しました

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電子インボイス推進協議会を立ち上げたのは、約2年前となる2020年7月(改めて時間が経つのはあっという間です)。この際には、まず、もともと欧州で一般化しているE-Invoiceがあり、その普及を図る組織ということで、E-Invoice Promotion Associationという英語名称が先に決まり、その日本語訳として「電子インボイス推進協議会」という名称(略称EIPA)となりました。

一方で、本ブログでもたびたびお話ししていることですが、今日本において必要とされているのは電子化ではなく、デジタル化です。業務のあり方を変えずに、紙の電子化を図るということは着実に進んできています。その代表例が電子申告(e-Tax)ですし、昨年末に話題になった電子帳簿保存法も、基本的に電子化です。

しかし、業務のあり方の見直しまで踏み込まないと、本当の意味での業務の効率化は実現されません。単純に紙を電子化するのではなく、その前提となっている業務のあり方も見直す。それがデジタル化です。電子化(Digitization)ではなく、デジタル化(Digitalization)。

インボイス制度の開始まであと1年ちょっととなり、インボイス制度への注目は着実に高まっています。10社で立ち上げたEIPAも既に正会員だけでも170社超となりました。そういった中で、EIPAとして様々なセミナーやイベントに登壇する機会も増えており、その際に、目指すのは電子化ではなく、デジタル化ということを必ずお話ししています。

そうなると困るのが、電子化ではなくデジタル化だ、と言いながら、「電子インボイス」を推進する「電子インボイス推進協議会」としてお話しすること。目指すのは、電子化なのか、デジタル化なのか、どっちやねん、と突っ込みたくなります。そこで、EIPAとして目指すのはデジタル化であることを明瞭に示すために、今回、名実ともに「デジタルインボイス」を推進する「デジタルインボイス推進協議会」と名称を変更しました。

デジタルインボイスは、電子データでインボイスをやり取りするという意味で電子インボイスの一部ではありますが、標準化され、構造化されたデータとしてやり取りすることが特徴です。例えば一般的なPDFとしてやり取りするのは、PDFという標準化されたフォーマットですから、やり取りの容易さは実現できても、構造化されたデータではないため、後工程の効率化が実現できません(ただし、海外ではPDFに構造化データを埋め込むというやり方も存在しています)。今回デジタル庁が主体となって進めているグローバルな標準仕様「Peppol(ペポル)」をベースにした、日本におけるデジタルインボイスの標準仕様は、標準化されているからこそ、誰から誰へも支障なくやり取りが可能になります。また構造化されているからこそ、そのデータを会計業務や支払業務、入金消込業務などの後工程に活用することができ、業務の効率化が実現されます。

なお、蛇足ですが、海外ではE-Invoiceという表現は定着しているため、E-Invoice Promotion Associationという英語名称であり、略称であるEIPAは変わりません。インボイス制度まで1年ちょっととなり、今年秋から来年にかけてEIPA会員各社が提供する「デジタルインボイス」のサービスが続々とリリースされていく見込みです。インボイス制度という法令改正によって、業務が複雑化した、面倒になった、ではなく、デジタル化によって業務がむしろ効率化したと言えるように。これから来年秋にかけてがEIPAであり、EIPA会員各社の力の見せどころです。
posted by 岡本浩一郎 at 19:15 | TrackBack(0) | デジタル化
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