前々回、前回と8月末にスタートした「弥生のあんしんM&A」についてお話ししました。弥生のあんしんM&Aは事業承継ナビの一部をなすサービスで、会社や事業を売りたいという人と、買いたいという人が、M&Aの相手を探すことのできる登録無料のマッチングプラットフォームです。
日本の中小企業・小規模事業者の経営者の高齢化が進む中で、事業承継は社会的な課題になりつつあります。経営者の引退 = 廃業となるのは、その事業のお客さまに直接影響を与えるだけでなく、それが積み重なれば日本経済全体への影響も無視できなくなります。一方で、事業を承継することによって事業を拡大したいという事業者も多く存在しますし、起業・開業の選択肢の一つとして、事業承継による起業・開業という可能性も存在します。
つまり、事業承継には供給(経営者引退に向けた事業の譲渡)もあれば、需要(事業譲受による事業拡大、および起業・開業)も確実に存在します。しかし、難しいのは供給と需要を結びつけること。それを目指すのが弥生のあんしんM&Aです。
ただし、供給と需要を結びつけるというのは、単純にお互いに知る機会を作ればいいということだけではありません。事業を譲渡したいという人と、事業を譲り受けたいという人の間で、お互いにとって納得のできる事業譲渡価格を示すということも、マッチングプラットフォームとしての大きな役割です。
このため、弥生のあんしんM&Aでは、譲渡対象となる事業の価値を算定する価値算定書作成ツールというツールを提供しています。これは売上/利益や業種等の情報を入力すれば、複数のロジックに基づいた事業価値を算出し、それを価値算定書として作成することができるツールです。事業価値の算出には複数のロジックが存在し、どれかが絶対的に正しいということはありません。そのため、弥生のあんしんM&Aの価値算定書作成ツールでは、純資産法や類似業種比較法、DCF法など複数のロジックで事業価値を算出し、その横比較を可能にすることによって、より納得感のある事業譲渡価格を見出せるようになっています(もちろん、価値算定書作成ツールの結果はあくまでも参考情報であり、最終的に事業譲渡価格を決めるのは、事業を譲渡したい人であり、それに合意する事業を譲り受ける人です)。
(この算定結果はサンプル・イメージであり、弥生のあんしんM&Aが想定している対象会社の規模からするとかなり高めの価値になっている点はご容赦ください。)
事業承継のM&Aは事業方針の継続、従業員の雇用など、価格だけで決まるものではありませんが、一方で譲渡価格が非常に大きなポイントであることも事実です。事業を譲渡したいという人と、事業を譲り受けたいという人の間で、お互いにとって納得のできる価格を見出すことができるように、価値算定書作成ツールをうまくご活用いただきたいと思っています。今後も、実際にご利用いただきながら、価値算定書作成ツールの改善を図っていきます。現時点では必要な情報を手で入力する必要がありますが、弥生が提供するツールだけに、将来的には会計データがあれば、ほとんどの入力が不要になるようにしなければならないと考えています。