2022年09月30日

非連続的な成長

今日で9月も終わり。弥生は9月決算ですので、今日でFY22が終わります。毎年思うことですが、FY22もあっという間でした。

弥生のFY22の最大のトピックと言えば、株主が変わったこと。案件自体は昨年の12月に発表されましたが、その後今年の3月に、株主が正式にオリックス株式会社から、グローバルな投資ファンドであるKKRに変わりました。私が弥生の社長を務めている間では3社目の株主となりますので、まあ慣れていると言えば慣れている(笑)のですが、それでもやはり一大事です。

投資ファンドが投資先企業の価値向上を図るアプローチには大きく二つあります。ひとつは、リストラクチャリング(事業の再構築)等を通じ、大幅なコストダウンを進め、収益性を回復するアプローチ。いわゆる「事業再生」です。もうひとつは、短期的な収益性を度外視してでも、成長に対し投資し、飛躍的な成長を実現するアプローチ。こちらは「非連続的成長」のアプローチと言えばいいのでしょうか。もちろん弥生とKKRの組合せは後者、すなわち、「非連続的成長」のアプローチです。ちなみに、縮むもあり、逆に大きくジャンプするのもありなのですが、逆に「ない」のは現状にとどまること。投資ファンドの世界では「現状維持」は許容されません。

これまでの弥生は、売上が若干の計画未達でも、利益が計画を達成していれば、概ねよしとしてきました。「自分の限界は自分が決める」からこそ、売上の計画は確実に達成できるものではなく、健全なストレッチが必要。逆にストレッチであり、チャレンジだから、結果的に若干の未達になってもやむを得ない。しかし、この考え方は変えるタイミングです。これまでKKRと議論を続けてきて、一番驚いたのは、「KKRとしては、売上アンダー/利益達成よりも、将来につながる形で利益アンダー/売上達成の方が良いと考えている」と言われたこと。これはかなり衝撃的でしたし、考え方を変えなければならないと痛感しました。

利益が計画を達成できない、それに対してどうするんだと詰められるのは結構辛いものです。私が弥生の社長に就任した直後にはそういった時期もありました(もう10年以上前ですし、それこそリーマンショックの中で世間全体としてそういった時期でした)。幸いにして、そういった時期は短期間で終わり、以降弥生は概ね利益計画を着実に達成してきましたし、結果的に株主からあまり詰められることはありませんでした(笑)。しかし、一方で、利益は一旦脇に置いていいから、もっと成長しようよと言われるのもこれはこれで大変です(苦笑)。むろん、成長に向けて取れる選択肢が増えること自体はとても有難いことですが、現実的には「やりたいのはやまやまだが、リソースの制約上難しい」となってしまいます。

しかし、せっかく成長に向けた強い援軍を得た訳ですから、これを活用しない手はありません。明日からのFY23に向けて、既に計画の策定を終えていますが、FY23の計画は、短期的な収益よりも、成長に向けた投資を色濃く反映しています。粛々淡々とできることをやるのではなく、どうすればできるかを徹底的に考え抜き、実行する。FY23は、弥生の飛躍的な成長に向けた明確な転換点となる年にしたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 18:38 | TrackBack(0) | 弥生
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