これまで、デジタルインボイス推進協議会(EIPA)が10/28に開催した、デジタルインボイス利活用に関する発表会「請求から『作業』をなくそう。〜今だから考えるデジタルインボイスの利活用」についてお話ししてきました。今回のイベント開催を通じて改めて感じたのが、今回のデジタルインボイスに対する取組みはこれまでにないものであり、もっと言えば奇跡的だということ。
一つには、多くの民間のソフトウェアベンダーが集まり、「競争」ではなく、「共創」を実現できていること。もともと会計ソフト業界というのは、会社間であまり仲がいいとは言えませんでした(苦笑)。もちろん喧嘩腰という訳ではないのですが、お互いに不干渉というか、あまり関わろうとしてきませんでした。それが今回はデジタルインボイスを当たり前のものにする、それによって日本の事業者の業務を圧倒的に効率化する、という共通の想いのもとで、皆で協力して進めることができています。また、会計ソフトベンダーだけではなく、SAPやインフォマート、ROBOT PAYMENTなど、これまでは連携することの少なかった会社とも同じ想いの下でしっかりと共創することができています。
二つ目としては、政治と行政による一貫した牽引力。今回のイベントでは河野デジタル大臣からビデオメッセージを寄せていただきましたが、このメッセージ中、デジタルインボイスはデジタル庁のフラッグシッププロジェクトというご発言がありました。実はこれはもともとはEIPAによる提言に対し、平井初代デジタル大臣(当時はデジタル改革担当大臣)に仰っていただいたことです。この二年間でデジタル大臣は平井大臣、牧島大臣、そして河野大臣と変わってきましたが、その間一貫してデジタル庁のフラッグシッププロジェクトとして着実に進めていただきました。実務としては今回のイベントでパネルディスカッションのモデレーターを務めていただいたデジタル庁の加藤さんの一貫した牽引力には本当に感服させられっ放しです。また、加藤さんをしっかりバックアップいただいているMさん、そして、デジタルインボイスだけではなくもっと広い観点で社会的システムのデジタル化に向けて発破をかけていただいているAさん(猟師でもあるとの噂)の力なしにはここまで来れていないでしょう。
そして最後には、官と民が共創できているということ。この取組みは民間だけでは実現できていないことですし、また、政治や行政だけが動かそうとしてしても動きません。政治が方向性をしっかりと示し、行政が土台を作る、そしてその上で民間こそが実際に価値を生み出す。このサイクルをしっかり回せているのが今回の取組みだと思います。
これらが揃った今回の取組みは本当に奇跡的だと思いますし、これを成功させることで、今後のさらなる社会全体のデジタル化につながるものだと考えています。もっともデジタルインボイスに関して、民間が実際に価値を生み出すという点はまだまだこれから。来年10月に向けて民間の力をしっかり示さなければなりません。