2023年01月19日

スマート証憑管理(その2)

前回は、弥生が1/5にリリースした、インボイス制度と改正電子帳簿保存法に対応し、業務のデジタル化を促進する新サービス「スマート証憑管理」についてお話ししました。

前回お話ししたように、スマート証憑管理は、請求書や納品書、領収書など、事業者が受領する、そして発行する証憑を一元管理できる仕組みです。ただ、この際に、画像データではなく、構造化されたデジタルデータとして一元管理できることがポイントです。

画像データは、その証憑を画面に表示し目で確認することはできますが、そのままでは後続業務には活用できません。例えば、受け取った請求書から、買掛の仕訳を記帳することになりますが、画像データだけであれば、請求書の画像を人間が画面上で目で確認して、会計処理のために改めて手で仕訳を入力するという処理になります。それでは業務の効率化にはならないことは自明かと思います。

それに対し、後続業務をデジタルの力で効率化することこそがスマート証憑管理の目指すところです。このためには、紙やPDFで証憑を受領した際に、そこから重要であり管理が必要な情報(いわばメタデータ)を抽出する必要があります。それを実現するのが、スマート証憑管理に組み込まれているAI-OCRです。OCRとは、光学文字認識のこと。弥生では2016年からレシートをOCRで処理し、その情報から仕訳を生成するスキャンデータ取込という機能を提供してきました。しかし、この際に利用したOCRは今となっては旧世代のOCRエンジン。扱える証憑はレシートに限られていましたし、また、読み取り精度もそれなりです。これに対し、AI-OCRはAI(人工知能)を活用することによって、文字認識の精度を向上させたOCRエンジンです。読み取り精度は旧世代に対し大きく向上していますし、扱える証憑もレシートだけでなく、請求書や納品書にも対応します。

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実際、スマート証憑管理ではAI-OCRによって、金額だけでなく、証憑番号、発行日、取引日、取引先名、登録番号、消費税率など様々な情報を読み取るようになっています。お分かりの方も多いかと思いますが、対象となる証憑が適格請求書の要件を満たすかどうかの判定に必要な情報をデジタルデータとして抽出できるようになっています。

AI-OCRによって抽出されたデジタルデータは、例えば登録番号が実在するか、有効かという検証にも活用されますし、また、税率ごとの対価の額と税率ごとの消費税額の整合性などの検算も行われるようになっています。つまりAI-OCRとその後の検証/検算ロジックによって、そのままでは活用できない画像データをデジタルデータに変換、それを用いて後続業務の効率化を実現しています。
posted by 岡本浩一郎 at 14:37 | TrackBack(0) | 弥生
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