2023年03月02日

弥生のかんたん開業届

前々回は事業所得と雑所得の扱いについて熱く(!?)語ってみました。本ブログでも度々お話ししてきたトピックとなりますが、節税という観点では、事業所得は雑所得(業務)に対し、明らかに有利です。事業所得では、青色申告が認められており、結果的に最大65万円の青色申告特別控除が得られること、また、仮に事業所得で損失が発生した場合には、その損失を例えば給与所得から差し引くことができる(損益通算)など、明確なメリットが存在します。逆に雑所得は、青色申告特別控除的なものは存在しませんし、雑所得が損失であっても、他の所得と相殺することはできません。

しかし、メリットがあるから、何でもかんでも事業所得にできるかというと、そうではありません。事業所得であるかどうかは、社会通念上、事業を営んでいると認められるかどうかという実態で判断されます。実態で判断されるということで、その基準は良くも悪くも曖昧でした。その基準がある程度明確になったのが昨年のこと。パブコメを経て、帳簿が作成され保存されているかどうかが事業所得として認められるかの判断ポイントになるということが明らかになりました。結果的に、副業であっても、あるいは収入が300万円以下であっても、帳簿を作成し、保存していれば、事業所得と認められ得るということになりました。

この考え方は令和4年分(今回!)から適用されるため、今回の申告において、本当に事業所得で良いのか(雑所得(業務)とすべきではないか)、あるいは逆に、本当に雑所得(業務)で良いのか(事業所得として認められうるのではないか)という点をしっかり考える必要があるとお話ししました。あくまでも個人的意見ですが、自分なりにこれは事業であると自信をもって説明できるのであれば、今回の確定申告を機に、ちゃんと帳簿を付け、事業所得として申告するというのもありなのではないかと考えています。

一方で、開業届を出していなかった〜というケースも多いのかと思います。これに関しては、実は開業届を出さなくても特に罰則はなく、開業届を出していなくても、事業所得として最初に申告をするとそれが開業届の代わりになるというのが実態とお話ししました。開業届を出したから事業所得と認められる訳でもありませんし、逆に開業届を出していないから事業所得として認められないという訳でもありません。ですから開業届を出していないから、と諦める必要はありません。

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でも、やっぱり開業届を出してすっきりしたいところですよね。ということで、話が回りくどくなりましたが、実はこの度、開業届を簡単に作成できる「弥生のかんたん開業届」というサービスを始めました。従前から提供している「起業・開業ナビ」の新サービスということになります。これまでも、法人の設立に必要な書類を簡単に作成できる「弥生のかんたん会社設立」を提供してきましたが、法人での起業・開業だけでなく、個人事業主としての起業・開業もお手伝いします。

弥生のかんたん開業届の特徴は、単純に開業届だけを作成するわけではないこと。開業届自体は正直それほど複雑な書類でもありませんしね。開業届はもちろんですが、所得税の青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書などを同時に作成することができます。特に重要なのが所得税の青色申告承認申請書。事業所得のメリットの大部分は青色申告だからこそ得られるものです。今回の申告は白色申告であっても、このタイミングで青色申告承認申請書を提出しておけば、来年の申告(今年分の収入)からは晴れて青色申告とすることができます。
posted by 岡本浩一郎 at 17:30 | TrackBack(0) | 弥生
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