2023年03月09日

卒業

本日弥生からプレスリリースを行いましたが、私はこの度、3/31をもって、弥生株式会社の代表取締役 社長執行役員(およびアルトア株式会社の代表取締役社長)を退くこととしました。

私が弥生の社長に就任したのが2008年の4月。この3月で丸15年務めたということになります。私の弥生との関りの始まりは、2007年11月、コンサルタントとしてでした(その前は一ユーザーとして弥生に関わってきたので、それを含めれば23年近い付き合いということになります、笑)。コンサルタントとして弥生に関わって感じたのは、いい会社だけれども迷える会社でもある、ということ。当時の弥生は、それまでの急成長から一転、成長の踊り場に差し掛かっていました。そんなタイミングで社長として招聘されたのは、私にとっても人生の大きな転換点となりました。

招聘された際に言われたのは3年はやってほしいということ。私自身としても、引き受ける以上は途中で放り投げることはしない、だから3年は当たり前だと思っていました。一方で、まあでも5年ぐらいかな、とも思っていました。会社はGoing concern(永続が前提であるもの)であるのに対し、人はGoing concernではありません。ですから一人に極度に依存することは、場合によって害をなしかねない。適切なタイミングでバトンを渡していくことが自分の役割であると考えていました。実際に、このブログでも、社長の賞味期限ですとか、社長の引き際について色々とお話しをしてきました。それらはまさに自分事の悩みだったからです。

しかし言うは易く行うは難し。本ブログをまめにフォローいただいている方は、丸10年を前に一旦引き際発言撤回し、以降その種のお話しをしていないのをお気付きだったかもしれません。

経営者というのも奥深い商売で、一つの山を登るとまた次の山が見えてきます。ここでいう山は登る対象でもありますし、同時に、課題の「山」でもあります(苦笑)。実際問題、私自身これまでに二つほど大きな山を登り切ったと自負していますが、ホッとするのも束の間で、また次の山が見えてきてしまいます。バトンは渡さなければならない、でも、今ここでという訳にはいかない。この山を登り切って、道が平坦になったら渡そう。

15年間やってきてわかったのは、道は永遠に平坦にならないということです(笑)。山を越えればまた山。Going concernとして、より多くのお客さまにより多くの価値を届けようとすれば、そうならざるを得ない。

そう考えると、今このタイミングで、というのは理想解ではないかもしれませんが、一つの選択肢ではあると考えています。この10月にはいよいよインボイス制度がスタートします。インボイス制度という山に向けてまさに登山中。一方で、やることさえやれば、結果が約束されているタイミングでもあります。もちろんこのやることさえやれば、というのもまさに言うは易く行うは難しで、簡単だ、ですとか、楽だというつもりはありません。むしろ険しい道のりでしょう。それでもやることさえやれば、結果が約束されているタイミングというのはそう多くはありません。

今回の社長交代で、弥生の経営陣は40代半ばが中心と大きく若返ります。もちろん年齢だけが全てではありませんが、これから先、さらに変化が激しくなる世界においても、Going concernとして、さらなる山の頂を目指していくものと期待しています。
posted by 岡本浩一郎 at 15:55 | TrackBack(0) | 弥生
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