2010年04月20日

お客様からのお誘い

起業する上で、とても重要なのはやはり売上をいかに早期から確保するか。一番重要なのは事業への想いといっても、事業の「血」であるお金が入ってこなければ、成り立ちません。やせ我慢もある程度は必要ですが、下手をすると、追いつめられて本来やりたくない仕事をすることにもなりかねません。想いを大事にしていたが故に、結果的に想いに背くというのでは本末転倒です。

そういった意味で、起業する際に、既に一定の売上/お客様を確保できているのはとても望ましいことです。今自分が在籍している会社/組織のお客様からお誘い頂いて、それをきっかけに起業するというのは、望ましいパターンといえるでしょう。実は、私がボストン コンサルティング グループを卒業し、自分でリアルソリューションズという経営コンサルティング会社を立ち上げたのもこのパターンでした。「岡本さん、このプロジェクト、今後は我々の力で進めていかなきゃいけない。ただ、正直自信がない。独立して手伝ってくれないか」。それまでコンサルタントとして独立して起業するという選択はほとんど考えていなかったのですが、こう言って頂いて「なるほど、そういった選択肢もあるんだ」とえらく納得した覚えがあります。自分の理想とするコンサルティングとのギャップを感じつつ、いつかは起業したいと思っていた自分にとっては降ってわいたチャンス。そこから先はあっという間でした。

ただし、こういったパターンは望ましいといっても、いくつか注意すべき点があります。一つは、お客様が何を求めて誘ってくれているのかということ。お客様が自分の力を評価して、この人でなければできない、この人だからこそお願いしたい、と思って頂いている場合は問題ありません。ただ、中には単純に会社に委託するよりも、個人に委託した方が安くあがるし、小回りもきくから、という狙いで誘ってこられるお客様もいらっしゃいます。当然のことながら、この場合は慎重に考える必要があります。単純に安いから、であれば、別の安いオプションが見つかればそちらに切り替えられても何の不思議もありません。

お客様が何を求めているかは、次の仕事/プロジェクトを見つけやすいかにも直結します。力を評価されているのであれば、次の仕事/プロジェクトを見つけることは比較的容易でしょうし、それこそお客様が紹介してくれることもあります。それに対し、売りが安さだけであれば、次の仕事/プロジェクトを見つけることはそれほど容易ではないでしょう。どんどん単価を下げて安売りをすれば別ですが、その帰結は自ずと明らかかと思います。

注意すべきもう一点は、今所属している会社/組織との関係。今のお客様から誘われるということは、同じ、もしくは非常に近いフィールドで競合することになります。どんな業界も意外に狭いですから、今所属している会社/組織との関係を悪化させることは決して望ましいことではありません。下手をすれば、あいつは信頼できないという評価になってしまい、それこそ次の仕事/プロジェクトを獲得する際の障害になる可能性もあります。この点に関しては、決して簡単ではないのですが、独立することの必要性、必然性、それがお互いのためになることを認めてもらい、暖かく送り出してもらえるように努力はすべきだと思います。

私の場合は、幸いにして私の持っている力(特にIT戦略面でのスキル)をお客様にも、元いた会社にも認めてもらうことができました。結局、お誘い頂いた会社には様々なプロジェクトで約5年間お手伝いを継続させて頂くことができ、起業家としての私の土台を作ることができました。また、独立しての一番最初のプロジェクトは元いた会社との合同プロジェクトとして頂き、その次のフェーズから私の会社で単独受注する形として頂きました。このような形で、独立を認めて頂いたことには本当に感謝しています。

お客様からお声をかけて頂いた時。まずは評価して頂いたことを心から感謝しましょう。間違いなくチャンス。ただ同時に、お客様にお力添え頂いて起業はできたとしても、その後事業をキチンと継続することができるのか、冷静になって考えることも忘れないようにしましょう。起業そのものは通過点。事業として継続してこそ本当の意味での起業家だと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 19:41 | TrackBack(0) | 起業
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