2011年01月25日

弥生製品のライセンス認証

昨年3月に「弥生製品はご自宅でもご利用頂けます」という記事をアップしました。この記事中にあるように、弥生では09シリーズからライセンス認証の導入を始め、10シリーズでは半分以上の製品に、そして現在発売している11シリーズでは店頭で通常に販売されている全ての製品に導入しています。

前回の記事にもあるように、ライセンス認証の目的は不正利用を排除し、正規のお客さまと弥生の権利を守ること。と同時に、正規のお客さまにはより柔軟にご利用頂ける仕組みとしています。具体的には、メインはオフィスでの利用だが、外出先でも使いたい、もしくは、自宅でも使いたい、というニーズにお応えできるようになっています。ただ、あくまでも同一の方がオフィス/外出先、あるいはオフィス/自宅で利用されることを想定していますので、同時に利用はされないことが条件です(あくまでも1ライセンスです)。

不正を排除すると同時に、より使いやすく、ということなのですが、このライセンス認証について、弥生側の対応のまずさもあり、必ずしも正確でない理解がされているケースがあるようです。本件を直接ご指摘頂いたのが、アンリミテッドエクストリーム社長の樋口さんのブログ「エクストリームオフライン」で「弥生会計など弥生製品のライセンスはPCが故障すると消失する」という記事。

これは非常に重要なトピックですので、長くなりますが、本件についてこの場でもお話しさせて頂きたいと思っています。

まず最初に明確にさせて頂きたいのは、PCが故障したことによって、ライセンス認証ができなくなり、弥生製品が使えなくなるということはありません。あってはならないことです。まずはこの点から説明させて頂きます。

弥生製品はそのほとんどがスタンドアローンと呼ばれるPC一台にインストールして使う製品ですが、ライセンス認証上は実は二台まで認証が通るようになっています。これは、バックアップの目的でもう一台にインストールすることも可能にしているためです。業務を止めないという観点から、単純にインストールができるというだけではなく、認証が通っていつでも業務に使えるようにできるようにしています。また、お客さまの利便性向上という観点から、上記の通り、同時使用しないという前提ですが、オフィスと自宅、メインのPCと携帯用のノートPCでの利用も可能としています。

弥生は、弥生製品を正規にお買い上げ頂いたお客さまの権利を守り、同時に弥生の権利を守るために、ライセンス認証はどうしても必要な仕組みだと考えています。これはマイクロソフトやアドビなど、いわゆるソフトウェアのメジャーメーカーが皆ライセンス認証を取り入れていることからも、ご理解頂けるものと思います。ただし、権利を守るという大義名分でお客さまの業務を止めることになっては、業務ソフトメーカーとして失格です。このためにも、PCが故障して、他のPCで暫定運用をしようという場合にも対応できるようになっています。

故障したPCが復旧した場合には、ライセンス認証の仕組み上、そのままライセンス認証が通るケースと通らないケースとがあり得ます。また、別のPC(3台目)で運用されることにした場合は、ライセンス認証が通りません。ライセンス認証が通らない、もしくは何らかの問題がある場合には、弊社のカスタマーセンターにご連絡頂ければ、状況を確認させて頂いた上で、当然使えるべきものは使えるようにライセンス認証の強制解除やライセンスの再発行など必要な対応をさせて頂いております。

樋口さんの記事中の弊社カスタマーセンターからの回答で、「万が一、ライセンス認証ができないケースが発生した場合は、まず弊社カスタマーセンターへご連絡頂けますでしょうか。状況の詳細をお伺いした上で、対応させていただきます。」とありますが、PCの故障やPCのリカバリなど原因は様々考えられますが、「使えるべきものは使えるように」対応させて頂くというのがより正確な表現になります。

樋口さんの記事をきっかけとして、弥生の公式ウェブサイトでもライセンスに関する説明を更新しています。ライセンス認証の解除については、(故障やリカバリなどのためライセンス認証の解除ができなかった)「通常業務で使用していたコンピュータのライセンス認証の解除または再発行は、不正使用防止のため、お客様の状況をお伺いさせていただきながら、弊社カスタマーセンターで対応させていただきます」と明記させて頂いています。

微妙に曖昧な表現になっているようにお感じになるかもしれません。これは、大変に残念なことなのですが、ごくごく稀にではありますが、ライセンスの制限を回避しようというお客さまもいらっしゃるため、ご要望があったお客さまに対し、100%お応えできないケースもあるため、やや曖昧な表現になっています。ただ、お客さまは使用許諾契約に基づいて弥生製品を利用する権利をお持ちですので、その権利は弥生として必ず守らなければならないと考えています。すなわち、正規にご利用頂いているお客さまについては、PC故障などの要因によって、一時的に1台しか使えない状況が発生しても、状況の確認がとれ次第、1台+もう1台(ただしバックアップなど、使用の仕方に制約あり)使える状態にさせて頂きます。

この考え方自体はライセンス認証を導入して以降、弥生として一貫しています。ただし、特に初期において、考え方を社内で徹底できなかったことがあったのは事実です。結果としてお客さまに誤ったことをお伝えしたことがあるのも事実です。現在は、社内で徹底していますし、問題のある対応を行ってしまったお客さまについては、判明次第、お詫びと共にあるべき対応をさせて頂いています。

もう一点の反省は、お客さまの本当のご質問にちゃんとお答えできていないケースがあったこと。これは樋口さんのご質問に対する回答もそうです。PCが故障した際に、ライセンスがどうなるか。このご質問に技術的に、直接答えれば、ライセンスはその段階で消失します、となります(技術的に認証情報が消えてしまう)。ただ、お客さまが本当に聞きたいのは、PCが治った際、あるいは別のPCで運用する際にどうなるか、かと思います。この「本当のご質問」に対する答えは、「まずはバックアップマシンでご利用頂けます。また、壊れてしまったコンピュータのライセンス認証の解除または再発行は、不正使用防止のため、お客様の状況をお伺いさせていただきながら、弊社カスタマーセンターで対応させていただきます」というのが正解です。

今回、このような気付きを頂戴した樋口さんには改めてお礼申し上げます。せっかくの機会ですので、三点ほど補足させて頂きます。

  • 製品ヘルプにライセンス認証に関する記述がないということ。これは仰る通りです。Windowsのスタートメニューに「ライセンス認証解除」が登録されるようになってはいますが、ライセンス認証解除の必要性について、もっとわかりやすくなるよう改善を図っていきます。
  • あんしん保守サポートでCD-ROMが送られないということ。弥生では、CD-ROMのご送付から、オンラインでのアップデートに徐々に移行を進めています。このため今回は、CD-ROMの送付に先駆けて、オンラインでバージョンアップができるようになっています。ただし、弥生会計プロフェッショナルをご利用で、これまで保守サポートにご加入頂いている方には、2月中旬までに、確定申告対応版としてCD-ROMを送付致します(オンラインで既にバージョンアップをされている場合、CD-ROMからのインストールは不要です)。一方で、それ以降については、あんしん保守サポートで「トータルサポート」をご選択された方以外にはCD-ROMは送付されなくなります。
  • CD-ROMが送付されなくなることによって、再インストールの手間がかかる可能性について。これは、そのお客さまが権利をお持ちのソフトウェアを随時ダウンロードできるようにする予定です。昨年12月には、弥生のウェブサイト上で、お客さまごとの「マイページ」の提供を開始しましたが、将来的に、このマイページを通じ、権利をお持ちのソフトウェアをダウンロードできるようにしようとしています。


今回は、私的なブログではなく、弥生の公式ウェブサイトで正式な情報として情報発信をしたいということで、対応が遅くなってしまいました。今後とも、本ブログはもちろん、弥生の公式ウェブサイトでも、タイムリーかつ正確な情報発信を心がけていきますので、宜しくお願い致します。

posted by 岡本浩一郎 at 16:04 | TrackBack(1) | 弥生
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