2011年03月24日

未来を見つめ直す時

今日は、2つの記事に触発されてこのブログを書いています。一つは、磯崎哲也さんの3/23付け読売新聞記事『「絶対確実な未来」なんて存在しない』です。楽天の三木谷さんが、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに「未来は不確定だ」と感じ、起業へと動いたという事例を引きながら、今回の大震災をきっかけに、『「いつ死んでも悔いが残らないように生きよう」と思い始めた人の中から、「自分で新しいビジネスを起こして、思う存分、暴れ回ってみたい」と考える人が何人か現れる。そしてその人たちが、未来の社会を造り出す。……そうなってくれたら』と書かれています。

以前本ブログで書いたことがありますが、私が起業を意識するようになったのは、やはり『「絶対確実な未来」なんて存在しない』と感じたからです。私の場合は、そのきっかけは天災ではなく、人災(?)。山一證券の自主廃業です。山一證券といえば、最大手ではないにせよ、四大証券の一角。就職先としても人気でしたし、絶対確実な将来が約束された勝ち組の企業と見られていました。ひょっとしたら起こることを予期していた方もいるのかもしれませんが、当時私の周り(広い意味で証券業界)であったり、マスコミの報道などを見ても、まさか、山一證券ほどの大企業が突然なくなるとは誰も予想していなかったと思います。

それがある日、あっけなく自主廃業。将来を約束してくれるはずの会社はあっという間に消滅してしまいました。あの廃業時の社長(野澤氏)の涙の会見を覚えている方も多いでしょう。「社員は悪くありませんから」。会社はもちろん、従業員を守りたいと思っています。それが会社の存在意義の大きな一つ。でも、どんなに大きな会社でも、一流と言われる会社でも、将来が確実と思われた会社であったも、なくなってしまうこともある。そう悟った時、自分の人生を会社に託すのか、あるいは自分で自分の人生を切り開くのか。私は、後者を選びました。そこから直接起業したわけではありませんが、1998年にボストン コンサルティング グループに転職。そして、2000年に自分の経営コンサルティング会社を起業しました(ここら辺の経緯は磯崎さんの言われる「たまたま」の部分が結構大きいのですが、これはまた別の機会に)。

前回の磯崎さんの記事では、磯崎さんも当時の勤務先グループ会社の長銀の経営状況が一つの引き金になったと書かれています(ご承知のように長銀はその後経営破綻しました)。ある意味、似たような判断をされたのではないかと感じています。

もう一つご紹介したい記事がCNNMoney.comのこちら(英語ですが...)。これは岩瀬大輔さんがFacebookで紹介されていたのですが、30代の商社マンが起業を決意するというエピソードが紹介されています。会社を辞めるという決断は震災前にしていたものの、震災後に"Stronger desire to take the risk to SAVE the nation"(この国を救うためにリスクをとりたいという強い想い)を抱くようになったといいます。

今回の大震災は私を含め、多くの方にとって未だかつて経験したことのない災害です。これは皆で乗り越えなければならなりません。ただ乗り越える = 3/11以前に戻る、かというとそうではないでしょう。もちろん誰も彼も起業しろという訳ではありませんが(弥生の社員はご遠慮下さい、笑)、私も含め、多くの人にとって、自分の人生を見つめ直すよいきっかけになるのではないかと感じています。

そう言えば、今日は岩瀬さんの新著「ネットで生保を売ろう!’76生まれ、ライフネット生命を立ち上げる」の発売日です。アゴラでの連載の時から拝読していましたが、起業のはらはらどきどきを疑似体験できる良書だと思います。と言っても、書籍化されてからはまだ読んでいませんので、早速注文しないと!

posted by 岡本浩一郎 at 17:25 | TrackBack(0) | 起業
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