2011年05月23日

会計事務所の差別化戦略

前回は、会計事務所の仕事を大きく4つ(記帳代行・申告業務・税務調査立会・よろず経営相談)に分類しました。では、この4つの中でどこに重きを置いていくか。まず、申告業務と税務調査立会については、どの会計事務所にとってもコアと言って良いと思います。何と言っても税理士が独占を認められている業務ですから。例えば、申告に関しては、税金を納める人(会社)自身が申告書を作成し、申告することは当然okですが、逆に言えば、その人(会社)自身「以外」は税理士でないと認められないということです。

これに対し、残りの二つの記帳代行とよろず経営相談は、税理士でなくてもできる業務(税理士独占業務ではない)です。このために、世の中には記帳代行を専門にしている会社というものもありますし、よろず経営相談に至っては、とりあえず経営コンサルタントと名乗れば誰でもできてしまいます(お客さまがつくかどうかは別として)。

ただ、ではこのコアの二つ(申告業務と税務調査立会)だけでよいかというと... そうではありません。会計事務所の数が増える(税理士には定年がない一方で、新たに資格を得る方が毎年生まれます)一方で、その顧客となる事業の数は減っていますから、会計事務所業界も競争が激しくなってきています。そういった中で、このコア二つだけでは十分な差別化ができないからです。

例外としては、税務署OBの税理士の方が税務調査立会で力を発揮しやすいという話(噂?)もありますが... また、申告業務については、少なくともサラリーマンの確定申告であれば、国税庁のウェブサイトでほぼ完結でき、難易度のやや高い事業所得についても、やよいの青色申告のような会計ソフトを利用すれば自分でできるようになってきていますから、個人の申告業務が今後会計事務所の業務としてドンドン増えることは期待できません。

もちろん、個人の申告業務がすべてなくなることはありません。現実は、手間を省きたいという方やより高付加価値なアドバイスを求める方が会計事務所にお願いすることは変わらないでしょう。ただし、これは付加価値でいえば、前者は記帳代行、後者はよろず経営相談と言えます。

ではどこで差別化するか、でその会計事務所の戦略であり、特徴が顕著に出るようになります。大きな流れとしては、記帳代行で差別化するという考え方と、よろず経営相談で差別化するという二つの流れがあります(もちろんこれは一般化ですので、両方の組み合わせもあり得ますが)。

次回からこの二つの流れを順に解説してみたいと思います。早く結論を知りたいという方は、拙著「会計ソフトだけではダメ! 本当の会計の話」を是非どうぞ。

posted by 岡本浩一郎 at 19:27 | TrackBack(0) | 業務
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/45436315
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック