2011年06月06日

顧問先にとっては?

間が一回あいてしまいましたが、これまで、会計事務所の差別化戦略についてお話ししてきました。会計事務所の4つの業務のうち、申告業務と税務調査立会は税理士独占業務でもあり、コア業務。一方で、それだけでは差別化できないので、残りの二つの業務である記帳代行もしくはよろず経営相談が差別化の鍵になるということでした。

会計事務所の観点から、記帳代行よろず経営相談という二つのオプションを比較してきたわけですが、顧問先(企業側)から見てはどうでしょうか。記帳代行は、本来は顧問先がやるべき記帳という業務を代行する、すなわち肩代わりしてくれるのに対し、よろず経営相談に重点を置く場合は、可能な限り記帳は顧問先に任せ、会計事務所は、より付加価値の高い業務に専念しようします。

一見すると、顧問先にとっては、記帳代行の方がよい仕組みに見えるかもしれません。しかし、実際は逆なのです。

自社で記帳することを「自計化」という言い方をします。会計事務所が自計化を勧める時、それは決して、会計事務所側にとって付加価値の低い業務を顧問先に押しつけるという後ろ向きな理由からではありません。それは、記帳代行の「代行」という言葉が示すように、本質的に顧問先がやるべきことだからです。本質的に顧問先がやるべきことは顧問先がやり、その一方で、会計事務所ならではの付加価値を提供しようとしているのです。

これは私が自分で起業した際の実感でもありますが、記帳をするという行為は、単純に帳簿を付けるだけではありません。自分で帳簿付けをすることによって、初めて自分の事業の今が見えます。細かいところで言えば、経費をひとつ入力する際にも、この経費は本当に有効だったんだろうかということを考えますし、売掛金を計上する際も、その売掛金を回収できるまでの資金繰りを確認する癖もつきます。自分でやるからこそ、タイムリーに、かつ、肌で感じることができるのです。次回はこの自計化の意味についてもう少しお話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 22:03 | TrackBack(0) | 業務
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