確定申告期間も終わり、学校も春休みに入り、桜も間もなく満開。一気に春爛漫という感じですが、一部の中小企業にとってこの3月末はターニングポイントになります。平成21年(2009年)にスタートして、その後延長が繰り返されてきた中小企業金融円滑化法がいよいよこの3月末で終了します。これによって、借入の返済が困難になり(一部)返済を猶予してもらっていた中小企業の倒産等が続く可能性があると言われています。もっとも、銀行の方とお話しする限り、金融円滑化法が終了しても、銀行としての姿勢が極端に変わることはないということで、誰がどう見ても事業の継続可能性がないという場合を除き、中小企業が途端にバタバタ倒れるということはないと考えています。
ただ、中期的に言えば、銀行の融資姿勢がこれまで以上に厳しくなりうるのは事実かと思います。つまり、これまで以上に銀行と賢く付き合う必要があるということです(ここで言う銀行には信用金庫なども含む)。そういった意味で、時宜にかなった本が以前本ブログでもご紹介したことのある税理士の松波先生が出版された「借入は減らすな!」という本です。
この本は、借入が返済できなくて困っているという中小企業よりも、借入はできるだけしたくないという中小企業の方に読んで頂きたいと思います。本書で解説されている「おカネの借り方、返し方」は極めて正攻法ですので、良くも悪くも、金融円滑化法が終了するから、いよいよヤバいという会社には向いていません。むしろ、起業したんだけど、まだ銀行と付き合ったことがない、銀行との付き合いは最小限にしたいと思っている会社にこそ役に立つかと思います。
本書の冒頭でも書かれている通り、銀行からの借入で会社はつぶれません。つぶれるのは、あくまでも現預金が尽きた時です。そういった意味では、現預金のバッファーを確保するという意味で、借入は避けるべきものではなく、むしろ戦略的に活用すべき武器と言えます。ただ、日本人は全体として、借金はよくない、借りたものはさっさと返そうという意識がありますね。個人の立場ではそれは基本的には正解だと思うのですが、事業や会社という立場では正解ではありません。
それでは戦略的に借入を行おうと言っても、どの銀行でもホイホイ貸してくれるほど甘くはありません。本書では、最初にどういった銀行と付き合うべきか、そこからどのように取引銀行を広げていくべきか、また借入の種類をどのように(保証協会付融資からプロパー融資へ)変えていくのかといった実践的なノウハウが詰まっています。