2013年05月17日

もう一歩踏み込んで読もう(その1)

前回は、新聞を読もうとお話ししました。新聞を読むことによって社会に対する自分の窓を広げる効果があると。

一方で、新聞を読む際には気を付けて頂きたいことがあります。それはもう一歩踏み込んで理解すること。例えば、以下の二つの見出しを見比べてみて下さい。

「パナソニック黒字転換へ 今期最終、3年ぶり リストラ寄与 前期は7500億円赤字に」

「パナソニック:3月期の赤字7500億円」

両方とも同じ5月11日(土)の記事ですが、一つ目は日本経済新聞の、二つ目は毎日新聞の見出しです。実は言っていることは同じなのですが、見出しだけ見れば、全く逆のメッセージに見えるのではないでしょうか。日経の見出しは今期は黒字転換、すなわち最悪期は脱したと読めますし、一方で毎日の見出しは、3月期は巨額な赤字、まだまだ出口が見えないと読めます。すなわち、日経はどちらかというとポジティブに、毎日はどちらかというとネガティブに見えます。

誤解のないように申し上げると、日経の方がいいとか、毎日がいいとかということを言いたいわけではありません。全く同じ事実であっても、書き方によっては全く違ったように見えるということです。だからこそ、記事を単純に、額面通り受け入れるのではなく、自分なりに咀嚼して、自分なりに理解する必要があるということです。

人にはどうしても、自分が見たいように物事をみる「くせ」があります。コップに水が半分入っている時に、コップに水が半分「もある」、と見るのか、コップに水が半分「しかない」と見るのか。毎日新聞の記事は、実は本文には「しかし、14年3月期は最終利益500億円と3年ぶりの黒字転換を見込む。」と書いてあるのですが、見出しで「ああ、やっぱりパナソニックは厳しいんだな」と思ってしまうと、「黒字転換」の部分がほとんど印象に残らなくなってしまう可能性があります。

自分が見たいように物事をみる「くせ」は、物を書くときにも同様に現れます。人が書く以上、どうしてもその人の意思が書いたものに反映されるのです。パナソニックは最悪期を脱したと思っていれば、あるいは、脱して欲しいという思いがあれば、書き方も自然とポジティブになりますし、逆に、パナソニックの先行きはまだまだ厳しいと思っていれば、ネガティブな書き方になります。もちろん、スペースの関係で、充分に書ききれず、結果的に一面的な書き方になってしまうということもあるでしょう。

読み手としては、自分が見たいように物事を見てしまう自らのフィルター、同時に、書き手によるフィルターの存在を理解した上で、できるだけ正確に理解する努力をする必要があります。
posted by 岡本浩一郎 at 15:52 | TrackBack(0) | ビジネス
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