2013年05月20日

もう一歩踏み込んで読もう(その2)

前回は、全く同じ事実であっても、書き方によっては全く違ったように見えるとお話ししましたが、せっかくなので、もう一つの例を。

「国保:都道府県移管なら、負担増減3万円超??厚労省試算」

「国保保険料、移管なら上げも」

現在は市町村単位で運営されている国民健康保険を都道府県単位での運営に移管した場合、都道府県内で保険料が平準化されるため、保険料が大幅に変動する市町村が発生するという記事なのですが、今回は一つ目が毎日新聞、二つ目が日本経済新聞です。この比較では、毎日が「増減」とあって増えることもあれば、減ることもあると示唆しています(が、前段が「負担」とあるので、どうしても「増」の印象が強くなりますね)。一方で、日経は「上げ」とあるので、増加部分だけに着目しています。

この運営移管案は、運営を都道府県単位にすることによって、運営効率を上げ、少しでも保険料を下げられるようにするという狙いもありますが、都道府県内で保険料が平準化されることにもなりますので、結果的に保険料が増加する市町村もあれば、保険料が減少する市町村があって当然なのです。そういう意味では、この記事に関しては、毎日の方が「増減」と両方あることを明記した上で、「3万円超」という変動額を主に取り上げている分、より中立的かもしれません。

本文においても、毎日は負担増になるケース(三宅島)と、負担減になるケース(千代田区)を併記していますが、日経は負担増になるケース(三宅島など)のみを取り上げ、「実際に保険料を上げることになれば反発が強まるのは確実だ」と結んでいます。もともと国民健康保険などの社会保険の負担が重い(かつさらに重くなってきている)という背景の中で、やはり「増える」方が強調されがちになっているのではないかと思います。

ちなみに前回と今回の事例では、日本経済新聞と毎日新聞を比較し、また、題材としてパナソニックを取り上げていますが、特に他意はありませんので、念のため(たまたま先週出張した際にホテルで配られた新聞が毎日新聞で、同じ日の帰りの飛行機で読んだ日本経済新聞との対比が面白い事例として記憶に残った以上でも以下でもありません)。
posted by 岡本浩一郎 at 18:53 | TrackBack(0) | ビジネス
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