2013年05月24日

フィルターに注意

新聞を読もう、ただ、新聞を読む上では、もう一歩踏み込んで理解しようとお話ししてきました。自分が見たいように物事を見てしまう自らのフィルター、同時に、書き手によるフィルターの存在を理解した上で、できるだけ正確に理解する努力をする必要があります。特に、前回の記事でお話しした通り、グラフはパッと見で誤った理解をしてしまう(自らのフィルター)ことも多いのですが、それ以上に、意図的に見え方を変えることも多い(書き手によるフィルター)ので要注意です。

書き手によるフィルターという観点で、一つ事例を紹介したいと思います。今日(5/24)の日本経済新聞の朝刊(4ページ、政治面)で、「中小スーパー団体『消費税10%で導入を』 軽減税率巡り 」という記事がありました。自民党と公明党が23日、生活必需品の消費税率をほかの品目に比べ低くする軽減税率を協議する調査委員会を開き、小売業界など5団体から意見を聞いたという記事なのですが、「中小スーパー団体「消費税10%で導入を」 軽減税率巡り 」という見出しに誤りはないものの、記事全体を正確に表しているとは言えません。

というのは、記事の本文を読んで頂ければわかるのですが、この委員会では5団体から意見を聞いています。このうち4団体は、『事務負担が増える』『税収が減る』などの理由で反対の意見を述べたそうです。ただ、このうちの1団体、日本チェーンストア協会は『将来は必要だが、10%までは単一税率でいくべきだ』という意見だったそうです。

5団体のうち、唯一1団体、新日本スーパーマーケット協会のみが、「消費者の利点が大きいとして、税率が10%に上がる予定の2015年10月に軽減税率を導入するよう訴えた」そうです。この記事の見出しは、この部分だけを取り上げています(そして見出しの内容として誤っているわけではありません)。

しかし、この委員会では軽減税率導入を訴えたのは5団体中1団体だったということで、少数意見だったわけですから、記事の内容を集約した見出しとして適切だったかどうかというと、正直疑問符が付きます。記事の内容を可能な限り中立的に集約したとすると、「小売業界など5団体 軽減税率巡り意見が分かれる」とすべきなのではないかと思います。

ご存知の方も多いと思いますが、新聞各社は、新聞に軽減税率を適用すべきと主張しています。その意向が今回の記事の見出しに反映されたと考えるのはうがった見方でしょうか。

だから新聞は信頼できない、という気は一切ありません。書き手によるフィルターが生まれるのは、新聞だけに限った話ではなく、TVなどでも全く同じ現象がありますし(スポンサーに対する配慮などもあるようですね…)、ネットのメディアもフィルターから無縁ではありません。ソーシャルメディアにもやはりフィルターがありますし、むしろ個人発信だからこそ、遠慮なく個人の意向が反映されていることが多いように感じます。そういう意味では本ブログも私によるフィルターがかかっています(軽減税率に対する私の意見は本記事には極力反映はしていないつもりですが)。

重要なのは、どんなメディアに接するにせよ、そこに書き手によるフィルターがあるということを認識し、自分なりにフィルターを排除して理解をするということかと思います。

ただ、そこにどんなフィルターがあるのかを理解するためには、とにかく多くの情報に接する必要があります。自らの社会への窓を広げる必要があります。だからこそ新聞を読みましょう、まずは。広い分野で、より多くの情報に接し、それを理解する努力をし、経験を積みましょう。
posted by 岡本浩一郎 at 17:15 | TrackBack(0) | ビジネス
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