2013年09月18日

オプション

BCGの先輩である鈴木貴博さんの「戦略思考トレーニング」「戦略思考トレーニング 2」に刺激されたわけではないのですが、今日はクイズを一つ。戦略思考というレベルではないのですが…

今週金曜日は午前中に都内で打合せがあるが、その後なるべく早めに札幌に移動したい。打合せは12時に終わる予定で、そこから羽田空港に移動すればギリギリ13時のフライトに間に合うはず。ただ、打合せの終了時間が今一つ読めない。何時のどんなチケットを買うべきか。

稚拙な問題でお恥ずかしいですが、最も安全な解は何回でも予約の変更ができる普通運賃でしょう。とりあえず最も確度の高い時間のフライトで予約し、必要であれば予約を変更すればいい。もうちょっとおトクにという観点では、往復運賃や2回分となるビジネスきっぷという選択もありますね。

一方で、運賃の安さという観点では、数日前までに購入する割引運賃(JALであれば特便割引、ANAであれば特割)の方がかなり有利。ただ、これらの運賃は基本的に予約の変更ができません。だから、今回のお題のように、時間が読めない場合には不向き?

これは必ずしもそうとは言えません。なぜならば、一定の確率でのキャンセル料の支払いを見込んだ上でも割引運賃の方がおトクというケースが往々にしてあるからです。例えば、割引運賃が20,000円(キャンセル料2,000円)、普通運賃が30,000円で、50%の確率で割引運賃の便に乗れるとすると、乗れる確率は50%でその場合のコストは20,000円、逆に乗れなかった場合(残る50%)はキャンセル料+乗ることになった便の普通運賃で2,000円+30,000円=32,000円。期待値で言えば、0.5*20,000+0.5*32,000=26,000円となり、何も考えずに普通運賃を買うよりもおトクとなります。

さらに言えば、13:00のANAか、13:30のJALか、どちらかには乗れるはず、という場合には、それぞれの割引運賃を買っておくという手もあります。この場合は乗らなかったどちらかでキャンセル料が発生することは確実ですが、期待値は(それぞれの確率が50%だとして)、0.5*(20,000+2,000)+0.5*(20,000+2,000)=22,000円となり、普通運賃を買うよりも確実におトクになります。

特に後者のケースで分かりやすいのですが、これは2,000円で2便のどちらかに割安で乗れるという「オプション」を買っているということです。このキャンセル料2,000円を無駄ガネと見るのか、オプションという価値を買っていると見るのかは人によって分かれそうですが、純粋に経済的観点で見れば有効なおカネの使い方と言えます。

わかりやすく航空券の例でお話ししていますが、これはビジネス全般に通じることです。誰から見てもどうなるのかがはっきりわかってからでは収益の機会が失われて(あるいは大きく損なわれて)しまいます。どうなるかわからない状況にこそ、大きな収益の機会があるわけです。ただ、何も考えずにエイやっでは単なるギャンブル。何がどれぐらいの確度で起こり得るか、また起こった事象ごとの収益の見通しを可能な限り見通す努力をした上で、あえてオプションを買うことは経営者として必要なことだと考えています。

弥生は何を企んでいるのかと勘繰られそうな記事ですが、あまり他意はありません(笑)。つい先日、上記のようにどのチケットを買うかという判断を迫られただけなのですが… ただ、航空券の例で言えば、割を食うのは航空会社なんじゃないの、という突っ込みを受けそうなので、それはまた次回。
posted by 岡本浩一郎 at 19:04 | TrackBack(0) | ビジネス
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