懸念が再び繰り返されようとしています。2010年に日本証券業協会で「有価証券の引受け等に関する規則」が起業家にとって望ましくない方向に改正されそうになりました。これは、続発している未公開株詐欺事件を防ぐために、ベンチャー企業が上場前に個人投資家から出資を受けた場合には、原則として上場を認めないというものでした。幸いにして、パブリックコメントに多くの反対意見が集まり、結果的にこの改正は見送りになりました。
未公開株詐欺は波紋を広げており、この影響で、新設法人の銀行口座開設の審査が厳しくなったことも本ブログで取り上げました。未公開株詐欺が起きない、広がらないように対策を行うことは当然必要なことだと思いますが、その結果、真面目に起業しようとしている人に悪影響を与えるようでは、本末転倒。悪貨が良貨を駆逐してしまうことになります。
今回、金融庁から適格機関投資家等特例業務の見直し案が公表され、議論を呼んでいます。詳細は、前回の有価証券の引受け等に関する規則改正の際にも議論を引っ張った磯崎さんのブログを見て頂きたいのですが、今回も(ファンドの形態をとったものも含め)未公開株詐欺に類する金融詐欺を防ぐことが目的とは言え、結果的にベンチャー企業の健全な発展を阻害することにつながりかねない見直し内容になっています。幸いにして、この見直し案はまだ正式に決定されたわけではなく、パブリックコメントを募集中です。
パブリックコメントは今日の17:00まで。何分時間が限られますが、パブリックコメントの中身の精度以上に、まずは声を上げることが重要だと思います。以下はご参考までに、私が提出したコメントです。希望される方がいらっしゃれば、コピー可です。私自身も、後段の見直しの方向性は磯崎さんをはじめとする有志に思いっきり乗っかってしまっていますので(笑)。
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適格機関投資家等特例業務の見直しに係る政令・内閣府令案等の一部見直しを求めます。この度公表された適格機関投資家等特例業務の見直しに係る政令・内閣府令案等については、適格機関投資家等特例業務を行う者がファンドの販売等を行うことができる投資家の範囲を必要以上に狭めてしまうことにより、特にベンチャーに投資を行うファンドの組成を不当に阻害してしまう可能性があると考えています。これは、結果的にベンチャーの健全な資金調達に悪影響を与え、ひいては日本再興戦略の一つの柱である開業率の引き上げにもマイナスの影響を与える可能性があります。
このため、主としてベンチャーへの投資を行うファンドに投資をする場合については、一定の要件を満たし、適合性の原則上の問題が小さい投資家については規制の対象外とすることをご検討いただきたいと考えます。
変更案につきましては、既に複数の独立系ベンチャーキャピタリストより提案されているものと思料致しますので、当該変更案を支持したいと思います。
以上宜しくお願い致します。
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