2018年10月05日

シンプルでわかりやすいのが一番

前回は、国税庁の消費税軽減税率制度に関するパンフレットを「わかりにくい」と突き放してしまいましたが、これはパンフレットの作り方の問題というよりは、そもそも制度自体が複雑だから。

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消費税率の引き上げも含め、増税の方向性にある中で、国としても、税制をしっかりと理解してもらおうという努力はしていると思います。税制がしっかり理解されてこそ、税負担の納得感が生まれる訳ですから。そういった意味で、今年6月に作成された「もっと知りたい税のこと」というパンフレットは比較的わかりやすく、かつコンパクトにまとまっていると思います。この冊子の8ページ目を見れば、平成に入ってから国の収入(税収)と支出(歳出)のバランスが大きく崩れはじめたことがよくわかりますし、同時に高齢化が進む中で勤労世代など特定の者に負担が集中せず、高齢者を含めて国民全体で広く負担を分かち合うために消費税が重要になってきている(P6)といったことも理解できます。

一方で、本当の意味でわかりやすくするためには、そもそも制度としてシンプルであることが大事だと思いますが、現実の税制はそうなってはいません。むしろ以前も書いたように、逆の方向に行っているような気がします。例えば、平成30年度税制改正で決まった基礎控除の変動化。これまで基礎控除は一律、誰でも同じ金額でした。誰でもに認められるから「基礎」な訳です。しかし、今後(2020年から)は、合計所得金額2,400万円超で基礎控除額が逓減を始め、2,500万円を超えると基礎控除がなくなることになりました。つまり本来は誰にでも認められる基礎控除だけれど、実際には認められない人も出るということです。

基礎控除は所得控除であり、税率が高い人ほど税の低減効果が高い(例えば税率が10%の人にとっては3.8万円の低減効果があるのに対し、税率が40%の人には15.2万円の低減効果がある、つまり逆進性がある)ということが必ずしも公平ではない、という指摘自体はその通りだと思います。しかしそれであれば、基礎控除を所得控除(所得額から控除する)のではなく、税額控除(税額から控除する)にすればいい話です(あくまでも一つのやり方ですが)。例えば、基礎控除は「基礎」だけに誰にでも認められる、ただし、所得控除ではなく、税額控除(例えば4.8万円)とする。これであれば、シンプルでわかりやすいですよね。

実は今回の平成30年度税制改正の大元となっている与党による平成30年度税制改正大綱では、税額控除方式のメリットを認めています。しかし同時に、「現行の所得控除方式から変更した場合、負担の変動が急激なものとなりかねないことから」見送り、現行の所得控除方式の建て増しである「逓減・消失型の所得控除方式」を採用しています。

この建て増しの最たるものが、平成30年度税制改正で導入が決まった所得金額調整控除。これは、「子育てや介護に対して配慮する観点から」子育て世帯や介護世帯は「負担増が生じないよう措置を講ずる」として生まれた控除。乱暴に言ってしまうと、特定のケース(子育て世帯や介護世帯)に該当する場合の数字の辻褄合わせなので、かなり複雑な条件設定が必要になります。具体的には、「その年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者で、特別障害者に該当するもの又は年齢23歳未満の扶養親族を有するもの若しくは特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有するものの総所得金額を計算する場合には、給与等の収入金額(その給与等の収入金額が1,000万円を超える場合には、1,000万円)から850万円を控除した金額の100分の10相当額を、給与所得の金額から控除する」。

これをすっと理解できる人はいるのでしょうか(苦笑)。上で紹介した「もっと知りたい税のこと」でも、この所得金額調整控除は説明が難しいのか、「措置を講じています」という曖昧な表現に留まっています

会社を運営している中では、様々な業務上のルールが生まれます。そしてそれらがどんどん積み上がっていき、そのうち、誰も何故このルールなのか説明ができなくなっていく。だからこそ、定期的に業務の棚卸を行い、複雑性を排除する必要があります。そうすることによって、担当者が変わっても、会社を安定的に運営できるわけです。複雑な税制をいかに説明するかという努力も大事だとは思いますが、そもそも税制をいかにシンプルにするかという努力が必要なのではないでしょうか。
posted by 岡本浩一郎 at 19:33 | TrackBack(0) | 税金・法令

2018年10月03日

一年後

今から一年後の2019年10月には、消費税率が10%に引き上げられると同時に、軽減税率制度が実施される予定です。既に法律としては成立している訳ですが、これまで2回に渡って延期されてきただけに、来年10月に本当に実施されるのか、現時点ではまだ不透明さが残ります。ただ、現在の経済/政治を取り巻く環境や各種の報道を見る限り、三度目の正直になるように見受けられます。

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最近では、国税庁から消費税軽減税率制度に関するパンフレット(pdf)が事業者に送付されており、いよいよ実施に向けて本格的に動き出したことを感じさせます。

ただ、消費税率10%はともかく、軽減税率に関しては、一年後の実施は、本当にやるの、というのが正直なところ。そもそも軽減税率に関しては、会計業界は猛反対。私も、得られるもの(軽減税率によってもたらされる効果)以上に失うもの(軽減税率を実施することによる社会的コスト)が圧倒的に大きいことから、個人的には明確に反対です。今からでも止めるのは遅くない、と思っています。

とはいえ、法律として定まっている以上、現実から目を背けるわけにはいきません。やる以上は、お客さまの業務に支障が出ないように何とか支えていくしかありません。先述のパンフレットも、率直に言ってわかりにくい。制度自体が複雑なので、どうやっても説明が難しくなってしまうのですが。弥生でも特設サイトで情報提供を行っていますが、どうやってわかりやすくお伝えするか、四苦八苦しています。

色々な事業者の方とお話ししていると、誤解があるな、と思うのは、軽減税率制度は自分には関係ないと思っている事業者の方が多いこと。確かに軽減税率の対象になるのは、主に飲食料品ですから、特に影響を受けるのは、飲食料品を販売する小売業/卸業などが中心になります。一方で、どんな事業者でも、来客時にお出しするために、お茶やお水などを購入していますよね。経費に占める割合は極小だと思いますが、それでもそれらを軽減税率対象として正しく処理しないと、結果として消費税の過少申告になってしまいます。

例えばお茶やお水に年間1万円の経費がかかっているとして、これを軽減税率として正しく処理しないと、200円(10%と8%の差額)だけ消費税を過少申告してしまうことになります。事業者からするとごく少額の消費税であれば、下手に厳密に区分する手間をかけるよりは、多めに払ってしまった方がトータルなコストで言えば安くつく、と考えるでしょう。ただ、実際には、厳密に区分しない限り、少なめに申告することになってしまう訳です。一方で税務署としても、200円消費税が過少ですよ、と追求することがコスト的に合理的かというと、明らかにそうではありませんが、かといって過少申告をよしとするわけにもいきません。

正直に言って、本当にやるの、はともかく、本当に実務として成立するの、というのが軽減税率制度の現状。しかしその実施に向けて残された時間は一年を切りました。お客さまの業務に支障がでないよう、何ができるのか。弥生の実力が問われると感じています。
posted by 岡本浩一郎 at 19:46 | TrackBack(0) | 税金・法令

2018年03月14日

いよいよ明日が締切

今年の確定申告も明日3/15(木)が締切。ギリギリになった場合の対策について、毎年お話ししていますが、心の準備のために、今回は一日早めに。ただ、内容としては変わっていませんので、一年前の記事をご確認頂ければと思います。ポイントとしては、諦めるな、とりあえず出そう、でしょうか。

また明日は納税となった場合の納付の締切でもありますので、ご注意ください。昨年から利用可能となったクレジットカード納付、定番の振替納税など、ニーズに合った方法を選びましょう。

さらにさらに、明日は、今回まで白色申告だった方が次回の申告で青色申告を選ぶために必要となる青色申告承認申請書を出すための期限でもあります。青色申告がいかに有利かは本ブログでも何回も(しつこい?)お話ししていますので、ご参照ください

弥生が提供している「確定申告応援プロジェクト」で、少し前に、個人事業主の確定申告に関して実態調査を行ったところ、なかなか興味深い結果が出ていました。結果のサマリーとしては、

  1. 白色申告の人は自身の事業規模が小さいと青色申告を敬遠する傾向にある
  2. 白色申告の人は、青色申告のメリットを知ると白色申告から青色申告に変更する傾向がある
  3. 青色申告に変更しても難点はほぼない
詳細は是非確定申告応援プロジェクトでご確認頂きたいのですが、白色申告は自分にはtoo muchというのが、ほとんどの場合、思い込みであることをご理解頂けるかと思います。

青色申告という意味では、雑所得だとお話しした仮想通貨取引ですが、理論上は、事業所得になりえますし、事業所得であれば青色申告をすることも可能になります。先日ご紹介した国税庁の「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」という資料でも「例えば、その収入によって生計を立てていることが客観的に明らかであるなど、その仮想通貨取引が事業として行われていると認められる場合にも、その所得区分は事業所得となります」と記載されています。

ただ、「生計を立てていることが客観的に明らか」というのはそれなりにハードルは高いですし、逆にそこまで踏み込むのであれば、いっそのこと法人を設立して法人の事業として仮想通貨取引業を営むということも選択肢かと思います。法人税であれば累進税率ではありませんから、継続的に多額の利益が見込めるのであれば、所得税(個人)よりもメリットが大きくなります。

もっとも、個人で事業として営むにせよ、法人として営むにせよ、新しい事業領域であり、それが故に税金上の扱いも不透明な部分が多く、また流動的であることから、必ず税理士の先生に相談してから判断すべきだと思います。

さて、締切りまであと一日。ラストスパートです!
posted by 岡本浩一郎 at 17:39 | TrackBack(0) | 税金・法令

2018年03月13日

改めてふるさと納税の光と陰

今年の確定申告も締切(3/15(木))前の最後の週末が終わり、最終コーナーを回って最後のストレートというところでしょうか。弥生のお客さまの利用状況からも、無事に完了した方が一気に増えたことがわかります。利用状況を分析すると、青色申告の方は比較的早めに始めて余裕をもって終わる方が多い一方で、白色申告の方はギリギリねばって締切間際に一気に終える方が多いといった傾向(あくまでも傾向ですので、個々人はかなりばらつきますが)が見えます。

終わった方はお疲れ様でした & まだ終わっていない方はもう一頑張り、まだまだ応援しています!

さて、確定申告ネタということで、ふるさと納税のお話を少々。ふるさと納税というと盛り上がるのは年末にかけてですが、実際に節税メリットを享受するためには、(ワンストップ特例の適用を受けない限り)確定申告が必要になります。

確定申告では、寄附した金額を申告する訳ですが、実はもう一点考慮が必要なポイントがあります。それは多額の寄附を行い、またそれに伴って多額の返礼品を受け取った場合に、一時所得の申告が必要になるということ。例えば、2万円のふるさと納税を行い、1万円(相当)の返礼品を受け取った場合、この1万円が一時所得に該当するということです。

ただし、申告時に一時所得の金額を計算するにあたっては、

一時所得の金額 = [A: その年中の一時所得に係る総収入金額] - [B: その収入を得るために支出した金額の合計額] - 50万円

という計算式になっており、返礼品の合計額(およびその他の一時所得)が特別控除額である50万円を超えない限り、課税対象にはなりません(なお、返礼品の贈与は寄附の対価としてではなく別途の行為として行われていると位置付けられますので、寄附金は上記の計算式のBには該当しません)。仮に寄附金に対する返礼品の割合が50%だとすると、100万円寄附してようやくこのラインに達しますので、対象となる方は限られるものと思います。ただし、満期保険金を一時金で受領したなどの場合には、これも一時所得となり、あわせて50万円の特別控除額を超えるかどうかの判定になります。つまり、他に一時所得があった場合には、ふるさと納税の返礼品がそれほど大きな金額ではなくても、結果として特別控除額を超え、申告が必要になる可能性もありますので、要注意です。

一方で、一時所得として申告が必要になりうるほどに返礼品が出されるのは、どうなの、という論点もあるでしょう。これだけふるさと納税が広がってきた背景には返礼品の存在があるのは間違いないことだと思います。私自身もふるさと納税をする中で、まずは震災復興のための寄附を優先して行いますが、ここ数年は返礼品目当てのふるさと納税も行うようにしています。そういった中で、どういった自治体にどういった名産品があるのかを知るようになった(そして実際に、体感するようにもなった)ことは間違いなくふるさと納税のメリットだと思います。

一方で、ふるさと納税が返礼品競争に陥り、単なるお得なネット通販になりつつあるというのもまた事実です。この総務省のサイトでは、ふるさと納税の実績や各種の調査、自治体に向けた通知などが時系列でまとめられていますが、ふるさとに関心を持ってもらえるという「光」の面と、返礼品競争に陥っている/陥りかねないという「陰」の面のせめぎ合いが垣間見えます。

直近では昨年の4月1日に総務大臣名で、ふるさと納税の趣旨を鑑み、金銭類似性の高い返礼品や資産性の高い返礼品を「送付しないようにすること」、また、返礼割合については、「社会通念に照らし良識の範囲内のものとし、少なくとも、返礼品として3割を超える返礼割合のものを送付している地方団体においては、速やかに3割以下とすること」とかなり踏み込んだ(自治体向けの)通知が行われています。

あくまでも個人的な見解ですが、納税者の立場からすると、制度として認められている以上、返礼品の最大化を図ることは合理的なことだと思います。もちろん、ふるさと納税の趣旨に鑑み、ふるさとを応援することが大事ですし、その中で、特に災害復興などについては、返礼品がなくても優先させるべきだと思いますが。

納税者側の合理的な行動は変えられない以上、やはり自治体側で返礼品競争に歯止めをかけるべきですし、その観点からは、実質的な返礼品3割規制も、妥当なことだと思います。ふるさと納税がこれ以上過熱し、弊害ばかりが見えるようになってどこかで揺り戻し(極端な場合、制度の廃止)が避けられなくなるまで放置するのではなく、徐々に徐々に制度としてあるべき姿を目指していくべきだと考えています。今回は3割という通知が行われた訳ですが、これが段階的に2.5割、2割…となっていく、また、所得の高い人ほど、累進的にふるさと納税の枠が大きくなる仕組みも、どこかで見直しが必要でしょう。同時に、返礼品ではなく、集まった寄附をどのように使うのかにより注目が集まるようになっていくようになっていく。そうやって、一定の時間はかかりながらも、本当の意味でのふるさと納税になっていくのではないかと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 22:36 | TrackBack(0) | 税金・法令

2018年03月09日

仮想通貨の確定申告(その2)

前回お話しした通り、仮想通貨を売却又は使用することにより生じる利益については、原則として、雑所得となります。単純に言えば、仮想通貨の売却金額から購入金額(および存在すれば必要経費)を引いて、利益額を算出し、それを雑所得の金額として申告することになります。

例えば、昨年中に1 BTCを500,000円で購入し、その後1,000,000円で売却した場合には、所得(利益)額が1,000,000 - 500,000 = 500,000円となるわけです。ここまではシンプルですね。ただ、何回かに分けて購入した、また、購入したうちの一部のみを売却した、といった場合には、計算は複雑になっていきます。この場合、基本的に移動平均法によって、売却した分に見合う取得費(要は原価)を計算することになります。具体的な計算ロジックは、スモビバで宮原先生が解説していますので、参考にしてみてください。

取得費(原価)を計算する方法には移動平均法の他に、総平均法という方式もあります。いずれもなかなか面倒ですが、実はこの種の計算は株式取引などでも発生します(株式取引の場合、総平均法を用いるとされています)。株式取引やFXなどの場合は、証券会社やFX業者がこういった計算を行い、所定の年間取引報告書を発行してくれるため、通常は自分で計算する必要がありません(さらに株式取引で特定口座を利用している場合には、源泉徴収によって申告分離課税が完了し、確定申告も不要になります)。これも前回のように、仮想通貨が急速に盛り上がった故に、制度が追いついていないという面もあるように思います。

もっとも、仮想通貨の場合には、複数の取引所を併用できる、自分で保管・管理することもできる、モノの購入にも利用できるといった意味で、取引を一元的に把握できる取引報告書を作りにくいという事情もありそうです。そこで今年に入ってから、仮想通貨の申告所得額を計算するためのツールが複数リリースされています。ざっと挙げてみると…


いずれも、取引所から取引履歴を取り込んで、損益計算ができるようになっています。あとは、算出された所得金額を確定申告書に記載すればいいということになります。

本当はこういったツールを利用比較しておススメしたいところですが、残念ながら私は仮想通貨を持っておらず、おススメができる状態にありません…。一つ言えるのは、最終的に申告につながるものですから、キチンと税理士の目が行き届いたサービスの方が確実だと思います。そういった意味で、あえて一つ挙げると、CryptoLinCは私も良く存じ上げている先生が自ら立ち上げた会社ですので、間違いはないだろうと思います。

さて、仮想通貨取引による所得金額が算出出来たところでどうするか、ですが、もちろん会計・申告ソフトをご利用頂いてもいいとは思いますが、残念ながらその必然性はありません。会計・申告ソフトは、帳簿を付けられることに価値がある訳ですが、仮想通貨取引による雑所得は、そこまで求められていませんから。給与所得と仮想通貨取引による雑所得だけという方は、ぶっちゃけ、国税庁が提供する確定申告書等作成コーナーでも十分だと思います。どうしても弥生を使いたいという方(笑)は、「やよいの白色申告 オンライン」でしたら永年無料ですから、宜しければどうぞ。

ただ、特に多額の利益が発生しているという場合には、本当は自ら申告するよりも、税理士に任せた方が安全だと思います。もっとも、さすがに今から依頼して引き受けてくれる税理士はいないと思いますので、一旦自分で出しておき、その後税理士に相談し、必要に応じ修正申告するというリスクマネジメントも必要かもしれません。

さあ、いよいよ申告締切前の最後の週末になります。弥生オンラインのアクセスもこの週末がピークになるのではないかと思います。弥生は皆さまが無事に申告を終えられるよう、全力で応援しています。
posted by 岡本浩一郎 at 16:10 | TrackBack(0) | 税金・法令

2018年03月07日

仮想通貨の確定申告(その1)

3月に入って、確定申告も後半戦です(所得税の確定申告は3/15(木)が申告期限)。やよいの青色申告 18の販売本数も週ごとに着実に増えていますし、また、弥生オンライン(やよいの白色申告 オンライン/やよいの青色申告 オンライン)も顕著にアクセスが増えてきています。

さて、今年の確定申告での大きな話題と言えば、仮想通貨の確定申告。仮想通貨の代表格であるビットコイン(BTC)は2009年に運用が開始されていますので、もうそれなりな期間存在してきている訳ですが、昨年大きく値上がりしたこと(昨年初で1 BTCがUS$1,000以下だったものが、昨年末には$15,000前後に10倍以上値上がりした)を受け、税務上の扱いが注目されるようになりました。また、これを受けて、昨年に国税庁より仮想通貨の所得税上の取扱いが公表され、確定申告が必要であることが明確化されました。

こちら(pdf)は国税庁が昨年12月に公開した「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」という資料ですが、冒頭に書かれている通り、仮想通貨を売却又は使用することにより生じる利益については、原則として、雑所得となります。雑所得というのは、他の9種類の所得(事業所得や不動産所得、給与所得など)のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します。

資産運用の手段としては、他に株式外国為替証拠金取引(FX)先物取引などがありますが、これらは、他の所得の金額と区分して税金を計算する「申告分離課税」という仕組みがあります。これらの申告分離課税は、所得税15%の税率に固定されています(この他、地方税5%および復興特別所得税が課せられます)。

これに対して、仮想通貨は雑所得として他の所得と合算の上、合計の所得金額に対して課税される総合課税となります。総合課税の場合は、最高で45%の所得税率(課税対象の所得金額が4,000万円以上)となりますから、地方税10%および復興特別所得税とあわせ、最大で利益の半分以上を課税されることになります。

こうやって見ると、仮想通貨は(少なくとも昨年は)大きく儲かった一方で、税制面では圧倒的に不利であることがわかります。ただ、これは税制が実態に追いつくまでの一過性の現象なのではないかと思います。FXには業者との相対取引になる店頭FXと取引所での取引となる取引所FXがありますが、かつては店頭FXが総合課税、取引所FXは申告分離課税と、税制上の扱いが異なっていました。しかし、これはFX取引の普及もあり、2012年に、申告分離課税に一本化されています。この例に倣えば、仮想通貨も、投機ではなく、資産運用の手段として定着するようであれば、申告分離課税として制度が整備されうるのではないかと思います。

とはいえ、少なくとも今年はまだ雑所得として申告し、総合課税を受ける必要があります。長くなってしまいましたが、次回には、雑所得としての申告について、もう少しお話ししてみたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 20:13 | TrackBack(0) | 税金・法令

2018年02月13日

いよいよ目前

2月も中盤ということで、いよいよ確定申告が間近に迫ってきました。今年の(所得税の)確定申告は、今週の金曜日、2月16日から3月15日(木)までです。

毎年のことですが、お客さまの申告のお手伝いに全力を尽くしつつ、自分の申告もしなければなりません。自分の分は、できるだけ申告が始まる前に終えようとは思っているのですが、ここ数年は結局申告期に入ってしまっています。

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私の場合は、給与所得ということになるので、売上も経費もしっかり帳簿をつけなければならないお客さまよりは申告はまだ簡単です。私の申告で手間がかかるのは、寄附金控除、保険料控除、医療費控除といった控除を受けるための証憑の整理。今年は、既にこれら証憑の整理は終えているので、ちょっと安心してしまっているところがありますが、油断することなく、今月中には申告を済ませたいな、と思っています。

申告の面ではまだラクと言える給与所得ですが、もし許されるのであれば、私自身は事業所得にしたいぐらいです。事業所得の場合は、売上に対し、経費をかなり自由に計上することは認められています(もちろん売上を上げるために必要な経費という大前提はありますが)。一方で、給与所得の場合は、経費を計上することができません。

給与所得の場合も、書籍を購入したり、会食で情報交換をしたりという経費はかかります。このため、「給与所得者が、勤務ないしは職務の遂行のために支出する費用を概算的に控除する」目的で給与所得控除という控除が認められています。ただ、この給与所得控除は近年顕著に減額されています。2012年までは、給与所得が増えていった際には、増分の5%は認められていた(つまり青天井だった)のですが、2013年から上限が設けられるようになり、その上限が245万円→230万円→220万円と段階的に引き下げられています(さらに今後は195万円まで下がることが既定路線となっています)。

もちろん、実際にそれだけ経費がかからないケースも多いでしょうが、ポケットマネーで賄うことの多い経営者の場合、この金額を上回ることもあるでしょう(私は確実に超えています、苦笑)。

本来的には、概算控除としての現行の給与所得控除と、実費を(帳簿をつける等の要件は必要でしょうが)認める実費型の給与所得控除のいずれかを選択できるようにすべきだと思います。ググっていたら、昭和61年10月の政府税制調査会の「税制の抜本的見直しについての答申」(pdf)で「しかしながら、給与所得者の不満の一因が、勤務に伴う費用の実額控除が認められず、源泉徴収によつて課税関係が終了し、納税義務の確定手続に参画する途がないことにあるとすれば、たとえ実額控除を選択する事例が少ないこととなつても、サラリーマンが確定申告を通じて自らの所得税の課税標準及び税額を確定させることができる途を拓くことは、公平感の維持、納税意識の形成の上でも重要なことと考える。このような見地から、勤務に伴う費用の実額控除と概算控除との選択制を導入することが適当である。」と書かれていますから、昔からある発想ではあるのですが。

実は、実際に経費がかかった場合には、(部分的に)控除を認めようという制度はあるにはあるのです。「給与所得者の特定支出控除」という控除ですが、実際にはこの特定支出控除は制約が大きく、実質的にはほとんど使えない制度です。長くなるので詳細は割愛しますが、実際に最も多く支出するであろう、書籍や交際費などは上限が65万円に限定されており、その上で、特定支出が給与所得の1/2を超えた場合に、その超えた分しか認められないため、そういった制度があることに意味はあっても、実際のメリットはほとんどありません。

そう考えると、申告の手間は確かにかかりますが、自分で経費を管理し、そしてそれを申告することによって合法的に節税できる事業所得(+不動産所得)の皆さんは、私からすると非常に羨ましい存在です。ましてや青色申告を選べば、使ってもいない経費分を青色申告特別控除として得られるのですからね。
posted by 岡本浩一郎 at 22:04 | TrackBack(0) | 税金・法令

2018年01月22日

今年もそろそろ

今日は東京で本格的な降雪。お昼までは雪は降っても積もらない状態でしたが、帰宅が気になる頃にはかなり積もり始めてきました。私は仕事が片付いた17時過ぎにオフィスを出て帰ってきましたが、遅れつつ & 混んではいたものの、無事に横浜まで帰ってくることができました。皆今日は可能な限り早くに帰るようにとアナウンスしたこともあり、18時までにはほとんど帰宅したようです。それでも、帰宅に苦労しつつも、ちょっとワクワクしてしまうのは、雪ならではですね(雪国からすると何のワクワクもないのでしょうが、笑)。

さて、1月も後半ということで、いよいよ確定申告の時期が迫ってきました。今年の(所得税の)確定申告は、2月16日(金)から3月15日(木)までです。還付申告の場合には、この期間より前に申告を行うことができますので、既に準備万端の方もいらっしゃるかもしれませんね。還付でない場合でも、3月15日までは意外にあっという間ですから、そろそろ準備を始めたいところです。

弥生では、毎年、最新の法令に基づいた申告ができるよう、この時期に申告機能のバージョンアップを提供しています。先週末にはデスクトップ製品向けに、平成29年分(=今回の申告向け)の確定申告モジュールを提供を開始しました。まずは、やよいの青色申告 18ご利用の方向けの提供を行っていますが、間もなく、弥生会計 18ご利用の方向けの提供も順次行っていきます。なお、オンライン製品(やよいの白色申告 オンライン/やよいの青色申告 オンライン)向けの平成29年分の確定申告機能については、少々遅くなって恐縮ですが、2月上旬の提供を予定しています。

今回の確定申告で新たに導入された制度が、セルフメディケーション税制。セルフメディケーション税制というのは、日頃から健康診断を受けるなど健康管理に取り組んでいる人が、特定の市販薬を購入して治療した際、その費用が控除対象になる制度です。対象の医薬品を年間1万2千円を超えて購入した際に制度の対象となり、最高で8万8千円の所得控除を受けることができます。

所得控除を受けられる(=所得税を下げることができる)という意味では、朗報なのですが、この制度は、従来からある医療費控除との排他適用になります。つまり両方を同時に享受することはできず、どちらかを選ぶ必要があります。また、セルフメディケーション税制については、日頃から健康診断を受けるなど健康管理に取り組んでいる必要があり、なおかつ取り組んでいることを証明しなければなりません。

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弥生では、所得税確定申告書の作成の際に、セルフメディケーション税制に対応していることはもちろん、弥生の法令改正情報サイトを通じて、セルフメディケーション税制とは何か、どういった薬が対象となるのか、医療費控除との関係は、本税制の適用を受けるために必要とされる健康管理の取り組みとは、といった情報も提供しています。

税金は社会を支えるために必要なものですが、一方で、無駄には払いたくないもの。制度が頻繁に変わる中でそれにキャッチアップすることは大変なことですが、弥生の製品/サービスを徹底的にご活用頂ければと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 20:56 | TrackBack(0) | 税金・法令

2017年12月15日

建て増しではなく、抜本的な対応を

昨日、与党の税制改正大綱が発表されました。内容としては概ね事前に報道されてきた通りで、大きなサプライズはありません。結果的には個人を軸に2,800億円の増税になるとのこと。衆院選では論点にならなかったのに、なぜいきなり増税が決まるのか、あるいは増税の負担が「取れるところ」に偏っている(いわゆる高所得者ということになりますが、実際に数字を見てみると、高所得者以上に狙い撃ちにされているのは喫煙者ですね)などの批判もあるようですが、ここではその観点でのコメントは差し控えます。

ただ、今回の大綱は、抜本的な対応(の第一歩)ではなく、建て増しに終わってしまっていることがとても残念です。今回の改正で、誰でもが控除を受けることができる基礎控除が10万円上がることになりますが、同時に、所得金額が2,400万円を超える人は減額、2,500万円を超える人はゼロというこれまでにない仕組みが導入されます。これは所得控除方式では、同じ控除額でも(実効税率が異なるので)所得が大きい人の方が控除による減税額が大きくなってしまう(要は逆進性がある)ことが問題とされたためです。

しかし、基礎控除の逆進性を問題とするのであれば、本来のあるべき姿は、所得を問わず同じ金額が控除される税額控除とすべきです(もっと言えば給付付き税額控除)。これに対し、今回の税制改正大綱は、税額控除方式のメリットを認めながらも、「現行の所得控除方式から変更した場合、負担の変動が急激なものとなりかねないことから」見送り、現行の所得控除方式の建て増しである「逓減・消失型の所得控除方式」を採用しています。

また、今回の大綱では、基礎控除が10万円上がるかわりに、給与所得控除が10万円下がることになっています。もっとも同時に、「子育てや介護に対して配慮する観点から」子育て世帯や介護世帯は「負担増が生じないよう措置を講ずる」としています。この趣旨自体には全く異論はないのですが、では子育て世帯のためにかつての政権で廃止された(年少)扶養控除を復活するのかと思いきや、「所得金額調整控除」という新しい控除が作り出されました。これも建て増し。

これで思い出すのが、住民税での調整控除ですね。これはかつて、税源移譲によって住民税の税率が10%に統一された際に、「所得税と市・県民税の人的控除額の差額に起因する負担増を調整するため」に導入されたものです。住民税は、納税者ではなく、地方自治体が計算して通知されるものだけに、この控除についてご存じない方が多いかと思いますが、この調整控除は数字の辻褄を合わせるためだけのものであり、必要以上に複雑な仕組みになっています。

いやいや、税金の計算が面倒臭くなると、会計ソフトメーカーや税理士には嬉しいんでしょ、と思われるかもしれません。そんなことはありません。事実として、事業面では確かに複雑な税制の方がプラスかもしれません。ただ、社会的コストを最小化するという意味で、税制は本来、可能な限りシンプルであるべきだと思っていますし、私がお付き合いさせて頂いている税理士の先生方も同じように考えています。

確かに、短期間で検討しなければならない、そして影響をでる人をできるだけ少なくするようにと考えると、今回のような「建て増し」にならざるを得ないことは理解できます。ただ、それを繰り返していけば、複雑怪奇で誰も理解できない税制になる一方です。誰も理解できない税制では自分が納めている税金が公平なものかどうか判断できなくなりますから、結果的に税制への不信感を高めることにつながります。少子高齢化の中で、ただでさえ負担を増やさざるを得ない日本で、それが本当に良いことだとは思えません。

丁寧に説明することが必要になったとしても、税制のあるべき姿をキチンと議論し、時間がかかったとしても、建て増しではなく、抜本的な対応を図っていくべきなのではないでしょうか。それこそが、税制への、ひいて言えば国への信頼を取り戻す正道だと思います。

色々と思うところをストレートに書いてしまいました(汗)。もちろん、今回の税制改正大綱が正式に法令化された暁には、弥生としてキチンと対応していきますので、ご安心ください。
posted by 岡本浩一郎 at 19:42 | TrackBack(0) | 税金・法令

2017年12月13日

額面通りには受け取れない

年末が近付き、今年も税制改正に関する報道が続いています。昨日は、日経で、「青色申告、電子なら控除10万円増 20年1月から」という報道がありました。「政府・与党は2020年1月から、自営業者や個人事業主が紙ではなく電子申告を利用した場合に、控除の金額を10万円増やすと決めた。会社員にとっての給与所得控除にあたる「青色申告特別控除」を対象にする」とのこと。

おっ、これはいいニュースと思ったのですが、よく読んでみると、額面通りには受け取れない話でした。

現在取りまとめが進められている与党の与党税制改正大綱では、2020年1月から、基礎控除を10万円引き上げ、48万円にするということが固まっています。基礎控除は基本的に誰にでも適用になりますから、これは原則的にすべての人が減税対象となることになります。ただし、給与所得のある人向けの給与所得控除は一律10万円の引き下げになるため、結果的に給与所得のある人はプラスマイナスなしということになります。逆にいえば、給与所得控除のない、フリーランス等の事業所得者は基礎控除10万円増になる減税効果だけが効くことになります。

しかし、実はここからが落とし穴なのですが、事業所得者のうち、青色申告をする人に適用される青色申告特別控除が10万円減額されるとのこと。つまり、青色申告特別控除も合わせて考えると実はプラスマイナスがなくなるということです。ただし、冒頭の報道の通り、電子申告をすれば控除額が10万円上乗せされるため、ここまでを合算すれば、再び控除額10万円増(=減税)になるということです。

つまりは、事業所得者は控除額10万円増によって減税になりうるが、それを実際に享受できるのは、青色申告で電子申告をした人のみ、ということになるようです。電子申告自体は、社会的コストを低減する上では有効な手段ですから、電子申告を推進すること自体には全く異論はないのですが、電子申告をしなければ減税を受けられないというやり方には、あまり賛成できません。

このやり方の矛盾が出るのは、白色申告との比較ですね。白色申告はもともと特別控除がありませんから、青色申告特別控除のように10万円減額することができません。つまり基礎控除の増額だけが効くことになり、白色申告の場合は、電子申告をしようが、しまいが、減税になるからです。つまり、国として推進しようとしている青色申告の人にのみ、電子申告でなければ減税にならないというペナルティを与えることになるわけです。(なお、現時点で明らかになっていることからの推測ですので、実際には白色申告にも何らかの調整が入るかもしれません。)

電子申告を推進すること自体に異論はないものの、正直使い勝手がいいと言えないのが現実。そういった中で、今回の施策のポイントは電子申告の使い勝手がどこまで改善されるか、ですね。実はこの増減税が実施される一年前(2019年1月)から、e-Taxの利用が簡便化されることになっており、これによって使い勝手が改善されることが期待されます。

この簡便化の方式としては、大きく分けて1)マイナンバーカードを利用する方式と、2)税務署で本人確認の上、ID/パスワードを取得する方式があります。現状のマイナンバーカードの普及状況を考えると、実際問題としてどこまで簡便になるのか不安はありますが、マイナンバーカードを必要としない方式2)も合わせ、これならe-Taxがいいね、となるか、期待したいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 19:44 | TrackBack(0) | 税金・法令

2017年10月27日

素直には喜べない

今月の給与明細を見て、また厚生年金保険料が上がったとため息をついた方も多いのではないでしょうか。ただ、今回は引上げ幅はこれまでよりだいぶ少ない(昨年までと比べて約1/3)、なおかつ、実は引上げは今回で終わりになるはずなのです。

毎年のことですから、10月になると厚生年金保険料が上がるのがもはや当たり前のように感じますが、実はこれは時限措置。2004年(平成16年)の年金制度改正によって、2004年から2017年まで毎年保険料率が上がることになりました。この制度改正前の料率は、13.58%。それが2017年には18.3%にまで上がることが決まっていました。今回、いよいよ終着地点である18.3%に達し、引上げはこれで終わりということになりました。ちなみに、毎年0.354%ずつじわじわと上がってきたのですが、最終回となる今回は18.3%までの残り分となる0.118%ということで、今回はこれまでより引上げ幅が少なくなっています。

なお、個人事業主が加入する国民年金の保険料も同じ期間に月13,300円から、終着地点の16,900円に向けて毎年引上げとなりましたが、こちらもやはり今年4月の引上げで最終となります。

ただ、よしこれで引上げが終わり、やったー! と素直に喜べるかというと、そうではありません。そもそも平成16年の年金制度改正は、年金制度を100年間に渡って維持できるように行われたものです(「100年安心」というキーワードを覚えている方もいらっしゃるかと思います)。では、実際に14年間に渡る引上げを経て、年金制度が安心できる状態になったかというと、残念ながらそうはなっていません。

年金や医療などの社会保障給付の総額は、年金制度改正が行われた2004年度には85.6兆円でしたが、直近(2016年度の予算ベース)では118.3兆円にまで膨らんでいます。社会保障給付の財源として社会保険料で賄われた額は2004年度には53.8兆円でしたが、直近では66.3兆円。社会保険料の引上げによって、財源としては12.5兆円ほど増えましたが、同じ期間に給付は32.7兆円も増えています。給付に対し、社会保険料によって賄えた割合を計算すると、2004年度には62.8%だったものが、2016年度には56.0%まで下がってしまっています。つまり、これだけ社会保険料を引上げても、支出(給付)の増加に追いつけていないのです。

ところで、2014年には実に17年ぶりに消費税率が引上げになりましたが、これは社会保障と税の一体改革として実施されました。社会保障の充実・安定化と、そのための安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指したのが、社会保障と税の一体改革であり、その第一歩が2014年の消費税率の8%への引上げでした。

17年間も封印されてきた消費税率引上げがなぜ実施されたのか。これは私見ですが、2017年には社会保険料の引上げが打ち止めになることと無縁ではないと考えています。これまでは、増加を続ける社会保障給付を、社会保険料の引上げである程度埋め合わせてきた。ただ、2017年に社会保険料の引上げが打ち止めになってからはそうもいかない。だからこそ、新たな財源が2017年までに必要だった。

ご承知のように、社会保障と税の一体改革では、2014年4月に消費税率8%へ、そして2015年10月には消費税率10%への引上げが予定されていましたが、実際には10%への引上げは2度延期され、まだ実施されていません(現時点での法令では2019年10月と定められています)。

増加を続ける社会保障給付の財源として消費税がいいのか、引き上げるにしてもいつがいいのか、はたまた思い切って給付を削減すべきなのか。色々な見方/考え方があると思います。ただ、一つ言えるのは、社会保険料の引上げがいよいよ打ち止めとなった今、何らかの対策は待ったなしということです。

折しも衆議院選挙が行われましたが、安定的な政権運営基盤が確立された今、その場しのぎではなく、将来を見据えた本質的な対策を打ち出し、かつ実行して欲しいと願っています。
posted by 岡本浩一郎 at 20:59 | TrackBack(0) | 税金・法令

2017年03月09日

確定申告とマイナンバー

今回の確定申告から、確定申告書にマイナンバーの記載が必要になりました(国税庁の案内pdf)。記載が必要になるのは、申告される方本人に加え、配偶者、扶養親族(16歳未満も含む)、そして事業専従者のマイナンバーです。

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また、申告書上にマイナンバーを記載するだけではなく、本人確認書類の提示又は写しの添付が必要です。ただし、必要なのは申告者本人分の確認書類のみ。配偶者、扶養親族、事業専従者分についてはマイナンバーの記載は必要ですが、本人確認書類は必要ありません。

本人確認書類の写しを添付する場合には、添付書類台紙に1) マイナンバーの通知カードと、2) 運転免許証、公的医療保険の被保険者証など、の2種類のコピーを添付します。既にマイナンバーカードを取得されている場合には、マイナンバーカードのみで大丈夫ですが、表と裏それぞれのコピーを添付する必要があります。

本人確認書類は、「提示」又は「写しの添付」となっていますので、税務署に申告書を提出する場合には、窓口で本人確認書類の原本を提示することで済ませることができます。ただ、この時期の税務署は当然のごとく混み合いますし、移動の時間もかかりますので、個人的には、郵送での提出(この場合は本人確認書類のコピーを添付)もしくは、e-Taxでの電子申告をおススメします。

e-Taxでの申告の場合は、申告に際し、電子証明書で本人確認が行われていますので、本人確認書類の提示又は写しの添付は必要ありません(が、申告書上へのマイナンバーの記載は必要です、お間違えのないように)。

弥生製品では、デスクトップ(やよいの青色申告 17)でも、クラウド(やよいの青色申告 オンライン/やよいの白色申告 オンライン)でも、今回の申告から、申告書上へのマイナンバーの記載に対応しています。ただし、マイナンバーの現況を鑑み、あえてマイナンバーを弥生側で保持しない仕組みとしていますので、申告書を出力する直前に入力するようにお願い致します(その後弥生製品を終了/ログアウトした段階でマイナンバーの情報を廃棄します)。ご希望であれば、マイナンバーの記載がない状態で印刷して頂き、マイナンバーだけを手書きで記入して提出することも可能です。

気になるのが、今回の申告書でマイナンバーを記載しなかったらどうなるの、です。端的に言えば、申告書が受付けられないということはありません。マイナンバーを記載していなくても、提出自体は受付けてもらえます(こちらのFAQのQ2-3-2参照)。しかし、マイナンバーの記載は(罰則はないものの)法令上求められていることですし、その後税務署からお問合せを受ける可能性もあります。これは今後の運用を見てみないと何とも言えませんが、マイナンバーの記載がないと税務調査を受けやすくなるといった可能性も否定できません。そういった意味では、やはりちゃんと記載するのが無難ではないでしょうか。
posted by 岡本浩一郎 at 21:00 | TrackBack(0) | 税金・法令

2017年02月08日

まずは領収書の整理から

前回もお話しした通り、いよいよ来週2/16(木)から確定申告が始まります。1月末に、私自身が「今年は例年より圧倒的に準備が進んでいません(泣)」と告白しましたが、さすがにマズイということで、今週に入って準備を始めました。

さっそく申告書を作成したいところですが、まず数字を固めないといけません。まずやるべきは書類の整理。私の場合、控除を受けるための領収書の整理から始めるようにしています。具体的には(私の場合には)、医療費控除を受けるための医療費の領収書。生命保険料控除を受けるための生命保険料控除証明書。地震保険料控除を受けるための、地震保険料控除証明書。そして、寄附金控除を受けるための寄附金の領収書。寄附金の領収書には、ふるさと納税の領収書も含まれます。

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個人事業主の場合には、もちろん事業上の(=経費の)領収書の整理も必要になります。ただ、どちらかといえば、控除用の領収書の整理から始めた方がいいかもしれません。というのは、控除のための領収書は申告時に提出しなければならないのに対し、経費の領収書は申告時に提出する必要はないためです。

誤解されていることも意外に多いのですが、事業所得の申告をする上で、帳簿や、その原始証憑である領収書を申告書と同時に提出する必要はありません。帳簿の集計結果を収支内訳書(白色申告の場合)、青色申告決算書(青色申告の場合)に記入して提出はしますが、帳簿自体は提出する必要はありません。念のためですが、だからといって帳簿付けが要らない、あるいは領収書の保管が必要ないということではありません。これらは一定年数の保存が義務付けられており、また仮に税務調査が入った場合には、帳簿を提示できる必要がありますし、当然、帳簿の元となった領収書も提示できる必要があります。

これに対し、控除に必要な領収書は原則として、申告書に添付して提出する必要があります(ちなみにe-Taxで電子申告した場合は、添付が不要になりますが、その場合は5年間手元で保管が必要になるので、どちらがいいかは微妙です)。そういった意味で、あくまでもどちらかと言えば、ですが、まずは申告期限までに確実に提出が必要になる控除のための領収書からスタートするとよいのではないかと考えています。

ということで、領収書の整理をしていたところ、昨年の5月に、熊本地震の義援金として熊本県に寄附をした分の領収書が行方不明になっていることが判明。例年は年末にかけて様々な寄附を行うようにしており、寄附金の領収書を受け取ってから確定申告までの期間が短いのですが、これは昨年の5月。どこにしまったのか、全く記憶にありません。不幸中の幸いでまだ時間はあるので、今週末にでも大捜索を行いたいと思います(苦笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 22:35 | TrackBack(0) | 税金・法令

2016年04月21日

利子割の廃止

先週に、来年から、国税の振替納税の際の領収証書の送付がなくなるというお話しをしました。これは行政の効率化であり、経費削減のため。実は似たような話がもう一つあり、これは既に今年から始まっています。

それは法人の預貯金等の利子(利息)にかかっている税金のうち、地方税分の5%(これを一般的に利子割と呼びます)が廃止されたこと。ご存知の方も多いと思いますが、個人・法人にかかわらず預貯金等の利子からは一定の税金が源泉徴収されます。去年までは、個人・法人共通で、利子所得の金額に一律20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、地方税5%)の税率を乗じて算出した所得税等が源泉徴収されていました。

今年に入って、個人については変更がないのですが、法人についてのみ、利子所得の金額に15.315%(所得税・復興特別所得税)の税率を乗じて算出した所得税等が源泉徴収されることになりました。つまり利子割が廃止され、源泉徴収される金額が5%分減ったということになります。

むむ、法人だけ減税なのか、というのは早とちり。実は、元々個人と法人では利子割の扱いが異なります。個人の場合は、一般的な住民税と利子割は全く別物という扱いになっており、住民税がいくらであろうと、利子割は別途かかるようになっています。一方で、法人の場合は、利子割は法人の住民税の一部を前払いしているという扱いになっています。このため、決算で法人住民税の金額を算出する際に、既に利子割として払った分を控除することができました。今回の変更では、利子割として源泉徴収される分がなくなったと同時に、それを法人住民税から控除することもなくなった(結局トータルでの税額は変わらない)のです。

それでもなぜ変わったのか。それは、法人が赤字の場合に、利子割を還付することになっており、還付にコストがかかっていたからです。上でお話ししたように、利子割は法人住民税(法人税割)の一部を前払いするという位置付けです。ここで法人が赤字の場合に、法人住民税(法人税割)はゼロになりますが、利子割は払ってしまっているので、払った分を還付してもらえることになっていました。ただ、ご承知のように低金利の時代で、還付される金額が数百円ということも珍しくありません。たかだか数百円の還付のため、還付コスト(これも数百円でしょう)かけるのは無駄であるということで、それであれば還付の原因となる利子割を廃止しようということになったわけです。

実際、私の(弥生の社長になる前の)会社も、私が弥生の社長に就任して以降は営業休止状態でずっと赤字。それでも法人住民税の均等割70,000円は毎年払う必要があるのですが、同時に毎年数百円程度の利子割の還付を受けてきています。還付の案内を見るたびに、これだけの金額の還付のために、結構なコストがかかっているんだろうな、と思っていました。

利子割の廃止は、無駄な手間、コストを掛けずに済むという意味で、とても良いことだと思っています。同時に、副次効果として、利子割の廃止によって、実際に受け取った利子の金額から、源泉徴収された所得税等の金額を割り出すのが少しだけ容易になりました。たとえば、口座に利子として100円(A)が入金されていた場合、これまでは実際に支払われた利子は125円(B=A/0.79685)で、そこから所得税・復興特別所得税が19円(C=B*0.15315)、利子割が6円(D=B*0.05)源泉徴収されたという計算と帳簿付けが必要でした(なおかつ、金額の計算の中で、端数による1円のずれが出ることがあり、結構厄介でした)。それが今年からは、100円入金されたら、実際の利子は118円(B=A/0.84685)で、ここから所得税・復興特別所得税が18円(C=B*0.15315)源泉徴収された、と僅かではありますが、計算がシンプルになります(1円のずれも出なくなりました)。

行政はコスト感覚がないと言われがちですが、実は、いかに無駄を省くか、効率化するかが考えられ、少しずつではあってもそれが実行されているのですね。こういった動きは大歓迎です。
posted by 岡本浩一郎 at 23:25 | TrackBack(0) | 税金・法令

2016年04月15日

実は必要性はない?

確定申告が終わって早一ヶ月。すっかり過去の話になっている方も多いでしょうが、まだ完全には終わっていません。確定申告の結果、納付の必要がある場合には、原則としては確定申告の期間中に納付を済ませる必要があるのですが、振替納税の手続きを行っておけば、本来の納期限から約一ヶ月後に自動的に振替(口座引落し)が行われます。今年の場合は、所得税が4月20日(水)、消費税が4/25(月)に振替が行われます

振替は自動的に行われますが、ちゃんと資金を入金しておいて下さいね、ということで、事前に「振替納税のお知らせ」という葉書が送られてきます。この葉書が送られてきている方は、まもなく振替(口座引落し)が行われますから、口座の残高確認をお忘れなく。

実際に振替が完了すると、その後に領収証書が送られてきます。この領収証書が送られてくると、いよいよ確定申告が終わった & 今年も払ったぞ、と実感が湧くのですが、実は領収証書を見れるのは今年が最後になるそうです。

こちらにお知らせがありますが、来年1月からは振替納税の領収証書が送付されなくなるとのこと。ちょっと調べてみると、例えば、大阪府では、「経費削減のため、平成16年10月の振替分から領収証書の送付を廃止させていただいております」とあるように、地方自治体ではそれなりに前から廃止されてきているようです。今回は、国税の振替納税についても、領収証書の送付が廃止されることになります。

確かに言われてみれば、振替(口座引落し)があったこと自体は通帳への記帳で確認できますから、わざわざ送ってもらうまでもない気がします。実はこれは、会計検査院より「口座振替納付の都度、金融機関から領収証書を納税者に送付する必要性は高いとは認められないのに、これにより多額の口座振替納付に係る経費を支払っていた事態は適切ではなく、改善の必要がある」(pdf)という指摘を受け、来年からの送付廃止に至ったのだそうです。

会計検査院というのは、「国の収入支出の決算、政府関係機関・独立行政法人等の会計、国が補助金等の財政援助を与えているものの会計などの検査を行う憲法上の独立した機関」なのだそうです。正直あまり馴染みはありませんが、国などの支出に無駄がないよう、こんなこともチェック/指導しているのですね。

振替納税で領収されているのだから、領収証書を発行して送付する。これまで何年も行われてきた訳ですし、当たり前と言えば当たり前のようにも聞こえます。ただ、実は冷静に考えてみれば、実は必要性はない。国に限らず、会社の業務においても、そういった事例は他にも色々と存在するのではないでしょうか。
posted by 岡本浩一郎 at 18:54 | TrackBack(0) | 税金・法令

2016年03月30日

どうなる軽減税率

昨日3月29日に平成28年度予算が国会で成立しましたが、実はこれと同時に、平成28年度税制改正関連法も成立しています。メディアの報道は予算成立に集中しており、税制改正関連法についてはあまり触れられていませんが…。今回成立した税制改正関連法によって、来年4月に予定されている消費税率10%への引き上げにあわせ、軽減税率が導入されること、さらに平成33年4月には適格請求書(いわゆるインボイス)の発行が求められることが法律として定められました。

あれ、軽減税率ってもう決まっていたのでは、と思われるかもしれませんが、昨年秋から議論されてきたものの、それが法律として正式に国会で成立したのが昨日ということになります。

一方で、そもそも来年4月の消費税率10%への引き上げは延期になる可能性が高いのではと感じられている方もいらっしゃるかと思います。確かに昨今の報道を見聞きするにつけ、引き上げ延期のための伏線を引いているようにしか見えないですよね。

ただ、国の最終的な決定事項としての法律としては、今でも2017年4月には消費税率10%への引き上げとなっていますし、さらに昨日の国会決議によって、軽減税率もあわせて導入されることが正式に決定したということになります。

現実問題として、軽減税率導入に向けた準備は既に始まっています。ソフトメーカーに対する説明会も開催されていますが、詳細を聞くにつけ、本当にこれをやるのか、しかもこの先一年間で、とため息が出ます。

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軽減税率はおそらく多くの方が思っている以上に厄介です。今回軽減税率の対象となった飲食料品や新聞を販売する事業者以外には関係ないと思われるかもしれませんが、そうではありません。なぜならば、消費税は仕入にも関わっているから。軽減税率が生鮮食料品に限られるのであれば、生鮮食料品を仕入れる事業者は限られていますから、確かに影響は小さかったでしょう。ただ、最終的にそれが飲食料品に広がったことによって、事実上全ての事業者に影響が及ぶことになりました。新聞に関してはこの際に購読を止める(か電子版に絞る)という消極的対応策もありますが、来客時や来客時のために、お水やお茶を買わないという選択肢はありません。

詳細はここでは省きますが、軽減税率を正しく処理しない、例えば、お茶を標準税率で計上してしまうと、仕入税額控除が過大になり、結果的に納めるべき消費税を過少に計算してしまうことになります。

でも、軽減税率は8%でしょ。今も8%だから、変わらない。これに10%が加わるだけ、と思われるかもしれませんが、実は軽減税率の8%と今の8%は違うのです。消費税というのは、実は国税としての消費税と地方税としての消費税で成り立っているのですが、今の8%は、国分が6.3%、地方分が1.7%、これに対して軽減税率の8%は国分が6.24%、地方分が1.76%となっています。つまり、今の8%と軽減税率の8%は明確に区別しなければなりません。消費税率が10%に引上げになる際には、経過措置としての(今と同様の)8%と軽減税率の8%が混在することになりますが、それらを正しく分別しないと、国分/地方分の計算が狂うことになります。

それでも影響が仕入れる側だけであれば、まだマシかもしれません。販売する側で厄介なことと言えば、例えば、割引の問題。軽減税率対象品と対象外品を同時に販売し、なおかつ、割引を行った場合、この割引を軽減税率対象分と対象外分に按分しなければなりません。

考えれば考えるほど、これは相当な大ごとであると再認識させられます。この軽減税率が日本全国の事業者に大きな影響を与えることは確か。しかも残された期間はわずか一年間。正式に法律となった以上、その是非を語っていてもしょうがありません(ちなみに、まだ検討段階での私の意見はこちら)。弥生としては、お客さまの業務が支障なく進められるように全力を尽くしたいと思っています。一方で、法律として決まっていても、実際にどうなるかわからないという宙ぶらりんな状況は正直厳しいです。

もちろん日本という国の将来のために最も適切な判断が下されるものと思いますし、そのためには、状況を慎重に見極める必要があるのだと思いますが、このまま進むにせよ、軌道修正をするにせよ、とにかく一刻も早く判断して頂きたいと願っています。
posted by 岡本浩一郎 at 11:49 | TrackBack(0) | 税金・法令

2016年02月08日

ふるさと納税の功罪

来週2月16日にはいよいよ確定申告が始まります。この時期は全力でお客さまの確定申告を支援しなければなりませんが、そのためにも、自分の確定申告の目処を付けておく必要があります。今年も弥生で申告書を作成するつもりですが、その前にまずは申告の際に必要となる資料の整理から。私の場合は、基本的に給与所得となりますので、必要となる資料は、生命保険料控除や寄附金控除など所得控除に必要な書類に限られます。これらは受け取った際に、決まった場所にファイリングするように心がけているため、さほど時間をかけずに整理は終了。今週末にでも、申告書を作成するつもりです。

申告の内容としては例年と大きくは変わりませんが、今回はこれまでよりもふるさと納税の寄附先を増やしてみました。例年、心のふるさとである湯河原町に加え、岩手県(いわての学び希望基金)、宮城県(東日本大震災みやぎこども育英募金)、そして福島県(東日本大震災ふくしまこども寄附金)への寄附を行っています。今回、ふるさと納税の枠が広がったこともあり、特産品ギフトを目当てに他の自治体への寄附も行ってみました。

あれ、ちょっと待てよ、という声も聞こえてきそうです。一年前には、「この種の特産品ギフトはやめるべき(少なくとも最小限にするべき)だと考えています」と書きました。それが特産品ギフトを目当てにとは、何だと。

決して趣旨替えをしたわけではありませんが、結構悩んだのは事実です。ただ、ふるさと納税の枠が広がり(さらに一定の条件の下で確定申告が不要になるなど)国としてはふるさと納税をさらに拡大させようという意思が明確な中で、特産品目当てを単に批判するだけではなく、自分も経験した上でその良し悪しを改めて考えたいと思ったからです。

実際やってみて感じたのは、特産品をプレゼントするということには一定の合理性があるということ。ふるさと納税については、各自治体でも情報を発信していますが、ふるさとチョイスなど、ポータルサイトで比較・申込するのが一般的になっています。実際にこういったサイトで見てみると、へえ、この町ではこんな特産品があるのか、など、多くの発見があります。最初はふるさと納税の特典として(実質)ただで入手したものであっても、気に入って二回目以降は直接(お金を払って)購入するという流れができるのであれば、確かに地域の振興に役立つでしょう。また、領収書を送って頂く際に、多くの場合、その町のパンフレットなども同封されてくるのですが、見ていると、一度行ってみたいという気分にもなります。

一方で、やはり課題もあると感じています。食べ物など消費するものはまだいいのですが、PCや家電製品などは換金性が高すぎるため、もらったものをヤフオクなどで売却することによって、寄附をしても損をしないどころか、お金として返ってきてしまいます。もっとも、あまりに金銭的価値の高い特産品を受け取った場合、一時所得として課税されることもあるようです。

もう一つの課題は、所得の高い人ほど、累進的にふるさと納税の枠が大きくなること。ふるさと納税の枠(ほぼ全額が戻ってくる額)は、一般的に住民税特例控除の額で決まってくるのですが、住民税特例控除は、(寄附金 - 2千円)×(90% - 所得税率×1.021)と計算され、住民税所得割額の2割が限度とされています。所得が高いと、計算式中の所得税率が上がる(最高45%)ために、住民税特例控除の対象となる部分が少ない(その分所得税の寄附金控除の対象が大きい)、さらに、上限の計算根拠となる住民税所得割額が大きいため、累進的に枠が拡大します。

特に後者の問題については、明らかに公平ではないので、是正が必要だと考えます。昨今消費税の軽減税率は高所得者にメリットが大きいとも議論されていますが、ふるさと納税はそれと比較にならないぐらいに高所得者に有利になっています。

前者の換金性の問題についても、金額的に過度な返礼はやめる、特に換金性の高い返礼品はやめるという自主ルールが確立されることが望ましいと考えています。実際、総務省からは過度な返礼を控えるべきという通知(pdf)も出ているようですが、まだかなりばらつきはあるようです。目に余るので規制するとなるよりは、自治体間で話し合って自主ルールを確立すべきではないでしょうか。

もっとも最大の課題は、被災地の支援など、特産品を出さない、出せないという自治体へのふるさと納税が相対的に不利になりかねないということです。上の二つの課題は特産品を出す自治体側や制度を設計した国の問題ですが、最後の課題に関しては、ふるさとを応援するという志を大事にできるか、という私たちの問題かと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 23:57 | TrackBack(0) | 税金・法令

2016年01月13日

問題なし

お願いしている税理士の先生から、私自身の所得税申告について税務調査が入るようですと一報があったのは昨年の9月末。これまで、自分で設立した会社で一回、弥生で二回の税務調査を受けています(いずれも特に問題はなし)が、自分個人の申告に対する調査は初めて。

調査のタイミングは指定することが可能ですので、税理士を通じてスケジュール調整の上、実際に調査が行われたのが、10月の末。当日は午前10時から約2時間ほど、質疑応答の形で調査が行われました。特に回答に困るような質問もなく、関連する資料をいくつか提供しただけで比較的あっさり終了。ただ、結構以前の海外からの送金まで事前に調べられていることにはちょっと驚きました。

当日も問題なさそうですね、という結論は見えていたのですが、約一ヶ月後に税理士から、調査が終了し、問題は特になかったとのことですと報告があり、それからまた一ヶ月後の年末に「更生決定等をすべきと認められない旨の通知書」というものが送付されてきました。

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聞きなれない書類ですが、税務調査手続の透明性を高めるために、平成25年1月から税務調査の手続を定めた国税通則法の規定が施行されたことにともなって新設されたものです。端的に言えば、申告に問題はなかったという結果を通知するもの(それにしても回りくどい名称ですね、笑)。

私の場合、平成24年分、平成25年分、平成26年分の三年分の所得税の申告(正確に言えば復興特別所得税の新設により、平成25年分と26年分は、所得税及び復興特別所得税の申告)が調査対象となり、いずれの年も申告に問題はなかったと認めて頂いた訳です。

ご存知の方も多いと思いますが、申告の受付時には基本的に内容のチェックはなく、またある程度整合性が取れている申告書であれば還付も行われます。逆に言えば、申告が受付けられた、あるいは納付をした/還付を受けただけでは申告に問題がないというお墨付きにはなりません。忘れた頃に税務調査が入って問題を指摘されることもありうるわけです。

つまり、税務調査が入って「更生決定等をすべきと認められない旨の通知書」を受け取って初めて申告に問題がなかったというお墨付きを得たことになります。私自身は、毎年極めて真面目に申告をしており、後ろめたいところは一切ありませんので(何せソフトを通じてお客さまの申告のお手伝いをするという立場でもありますし、かなり保守的にならざるを得ません)、問題はないはずだ、と思いつつも、もし何かあったらどうしようと一抹の不安があったのも事実。そういった意味で、無事に問題なしというお墨付きを頂けたことでホッとしています。

以前本ブログでも税務調査について書いたことがありますが、国税庁の公式統計では実調率(と言うようです)が個人の申告で1.0%(平成25年分)。私は通算で20年以上は確定申告をしてきていますので、そろそろくじに当たるタイミングだったのかもしれません(実際には海外との資金のやり取りがちょこちょこあるのがアンテナに引っかかったようです)。平日の数時間を費やしてしまいましたが、結果的にお墨付きという安心感を得られましたし、仕事がら色々と勉強にもなりました。

ちなみに私は申告書を毎年自分で弥生会計を使って作成しています。今回、私の申告に問題ないとお墨付きを頂いたことで、弥生会計で作成した申告書にもお墨付きを頂いたようで、ちょっと嬉しいです。毎年何十万人もの方に弥生会計/やよいの青色申告で申告書を作成、提出して頂いていますので、当たり前と言えば当たり前ではあるのですが。
posted by 岡本浩一郎 at 17:22 | TrackBack(0) | 税金・法令

2015年11月19日

ついに来た

周りにも受け取ったという人があまりおらず、横浜市は結構遅くなると聞いていたので、早くても12月かなと高をくくっていたのですが、出張から帰ったところ届いていました。そう、マイナンバー(個人番号)の通知です。

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会社で改めて聞いてみたところ、届いていないという人の方が多い状況でした。とはいえ、今月中には届く方がだいぶ増えそうですね。ただ、問題は、届いたけれど受け取っていないという人がそれなりにいること。簡易書留ですので、日中家にいないとなると受け取るのも大変です。

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恐る恐る封筒を開けてみると、通知カードが、小学生の娘の分も含めちゃんと家族分ありました。立場的にマイナンバーについてはかなり前から研究していましたし、マイナンバーについて人前で話す機会も多かったのですが、正直なところあまり実感はありませんでした。マイナンバーの記入欄のあるマル扶でも、まだ記入はしないで済みましたし。それが急に現実となった感じです。

現実感を帯びてきたという中で、そういえばどうしようと(ある意味)気が付いたのが、個人番号カードを作成するかどうか。今回の通知カードは個人番号カード交付申請書(兼電子証明書発行申請書)を兼ねています。これだけ個人番号が流出することの恐ろしさ(?)を刷り込まれてしまうと、通知カードはしっかりしまった上で、リスクになる個人番号カードはない方がいいとも感じてしまいます。

まあ、e-Tax等で使うことを考えると私自身はあった方がいいのでしょうが、家族の分までいるかというと、うーん。カードを作る手間もありますし、実際に持っていることのメリットが見えないとなかなか普及は進まないでしょうね。今後どれぐらいのペースで交付申請が提出されるのか、興味深いところです。
posted by 岡本浩一郎 at 19:43 | TrackBack(0) | 税金・法令

2015年10月23日

マイナンバーの是非

言えるうちに言っておこうということで、前回/前々回と軽減税率の是非、そして消費税率のさらなる引上げの是非について個人的な見解を述べさせて頂きました。軽減税率は反対(条件付き反対)、消費税率のさらなる引上げは、歳入を増やすために何かを引き上げざるを得ないのであれば、それは消費税という消極的賛成。

この勢いでマイナンバーについてもちょっとお話ししてみたいと思います。改めて説明するまでもありませんが、マイナンバーには日本の国民全員一人ひとりに付与される個人番号(12桁)と法人に付与される法人番号(13桁)があります。ただやはり注目は個人番号で、一般的にマイナンバーと言う時は個人番号を指すことが多いようです。

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マイナンバーには大きく3つのメリットがあると言われています。まずは行政の効率化。行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されます。複数の業務の間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されます。二つ目が国民の利便性の向上。添付書類の削減など、行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減されます。 また、行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ることができます。そして三つ目が公平・公正な社会の実現。所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困っている方にきめ細かな支援を行うことができます。

これらのメリットは全て内閣府によるマイナンバー広報資料からの受け売りですが、個人的にも、社会全体の効率性向上は必須だと考えています。前回、高齢化によって社会保障費が爆発的に増えてきているとお話ししましたが、高齢化によって生産年齢人口が減る中で、経済規模(GDP)を維持拡大するためには、社会全体での効率化(生産性の向上)が不可欠。マイナンバーはそのために極めて有効な武器となります。

つまり、マイナンバーの目指すところという意味では私は大賛成です。国がマイナンバーを使って様々な情報を収集するということを警戒する向きもあるようですが、意図的に所得を隠している方はともかく(笑)、後ろめたいところのない人にとっては、メリットはあっても、特に困ることはありません。より正確に言えば、無論誤った方向で利用されないように注視していくことは必要ですが、メリットがそのリスクを大きく上回る制度だと考えています。

ただし…ここから一気に歯切れが悪くなりますが、目指すところとしてのマイナンバー制度は大賛成なのですが、実施に運用される制度としてはもろ手を挙げての賛成とは言えません。正直に言って、難しい制度としてのスタートになってしまったと感じています。目指しているところは正しくても、なぜ問題含みの制度になってしまったのか。

以前もお話したことですが、本来はID(識別情報)に過ぎないマイナンバーを、あたかも本人であることを証明するパスワード(認証情報)であるかのように扱うことから様々な無理が生まれてしまっていると考えています。カードという物理的な媒体に、目に見える情報として記載されているものを、最高レベルの機密情報として扱わなければならない。

とは言え、マイナンバーへの対応は、法令によって全事業者に義務付けられています。難しい制度にどうやって対応するか。それを支援することが弥生の付加価値だと考えています。

ということで、是非シリーズの第三弾、マイナンバーの是非は、目指すところは大賛成、しかし、実際の制度としては、うーん、ということになります。

次回からは、いよいよ来週金曜日に発売開始となる弥生給与 16/やよいの給与計算 16でのマイナンバー対応についてお話しさせて頂きます。
posted by 岡本浩一郎 at 09:07 | TrackBack(0) | 税金・法令