2021年03月23日

国民健康保険料の減免

延長後の確定申告期間も中間地点を過ぎ、そろそろ確定申告を終えた方も増えてきているのではないかと思います。申告を終えてホッとしているところだと思いますが、一点だけ3月中に確認しておいていただきたい点があります。それは、国民健康保険料の減免措置を受けられるかどうか。

日本では国民全員が何らかの健康保険に加入が義務付けられていますが、個人事業主の方は、原則として地方自治体が運営する国民健康保険に加入することになります(個人事業主となる前に企業で勤めていた場合には、一定期間企業で加入していた健康保険を任意継続することができるなど、例外もあります)。個人事業主にとって、国民健康保険料の負担はバカになりません。所得の金額(および居住している地方自治体)によりますが、所得税や住民税よりも負担が大きいということも珍しくありません。

その国民健康保険料について、新型コロナウイルス禍の影響で事業に大きな影響を受けた場合には、減免措置を受けられる可能性があります。

減免措置を受けるには、2020年(令和2年)分の事業収入等が2019年(令和1年)分と比べて30%以上減少することが見込まれることが基本的な条件となります。ただし2019年(令和1年)分の合計所得金額が1,000万円以下、かつ、減少することが見込まれる事業収入等以外の所得の合計額が400万円以下であることという条件もあります。

ご注意いただきたいのは、減少の判定対象は事業「収入」であること。税金の世界では「収入」と「所得」は全く別物です。ここでいう事業収入は基本的に売上です。例えば、売上は前年比70%(=30%減)、ただし経費の削減努力をしたので、所得(=利益)は前年比90%(=10%減)という場合、国民健康保険料の減免判定対象はあくまでも収入ですから、減免の対象になりうるということになります(一方で、上記の「ただし」以降の合計所得金額が1,000万円以下、かつ…というのは「所得」が判定対象となっています。紛らわしいですが)。

もう一点注意が必要なのは、減少の判定対象である事業収入において、「新型コロナウイルス感染症の影響により、国や都道府県等から支給される各種給付金は収入に含みません」ということ。以前、持続化給付金は雑収入として所得税の課税対象となるとお話ししました。しかし、例えば、昨年新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年対比で50%以下となる月があり、100万円の持続化給付金を受け取った。年間での売上が前年比70%、ただ持続化給付金を加えると前年比90%となるという場合には、国民健康保険料の減免判定は持続化給付金を除いて判断しますから、減免の対象となりうるということです。

国民健康保険料の減免措置については、各地方自治体で情報を発信しています(例えばこちらは大阪市)。ただ、情報は発信しているものの、減免は自動的に行われる訳ではなく自分から申請が必要です。この申請期間がこの3月末で終了します。一度減免対象と判断されれば、2020年(令和2年)2月相当分からこの3月相当分までの保険料が減免対象となり、既に納付した分は減免決定後に還付されます。

今回確定申告が終わったということは、2020年分の事業収入額は既に確定しているということ。2020年分の事業収入(上でお話しした通り、持続化給付金等の各種給付金の金額は除く)と2019年分の額を比較していただき、30%以上のマイナスとなっている場合には、お住まいの地方自治体(国民健康保険の担当窓口)に減免について問い合わせてみることをお勧めします。
posted by 岡本浩一郎 at 21:26 | TrackBack(0) | 税金・法令

2021年03月15日

添付書類

今日は3/15。本来の確定申告の期限日となります。ただ、既にご承知のように、今年は新型コロナウイルス禍を鑑み、申告期限は4/15(木)に延長されています。もっとも、延長されたからといって当面放置してしまうと、あっという間に延長後の期限が到来してしまいます。あと一ヶ月ある、ではなく、もうそろそろ終えないと、と考えたいところです。

ということで、今回は添付書類について。確定申告の際には確定申告書に加えて、事業所得であれば青色申告決算書(青色申告)もしくは収支内訳書(白色申告)を提出する必要があります。この他に、所得や控除について申告内容に間違いがないことを証明するための一定の添付書類が必要となります。

特に初めて事業所得の申告をされる方にはあるあるな誤解ですが、作成した帳簿やそのもととなった領収書等を提出する必要はありません。その代わり基本的に7年間の保管が義務付けられています。これらは、電子帳簿保存の申請をしていない限り、紙での保管が義務付けられていますので、申告が終わったら、帳簿は紙として出力して保管するようにしましょう。

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その他所得に関係する添付書類については、平成31年度税制改正で大幅に簡素化され、例えば給与所得の源泉徴収票については、電子申告でも紙での申告でも添付・提示が不要となりました。所得関連については、支払っている側から情報を収集しているので、受け取った側からの証明は必要ないということなんでしょうね。

一方、控除関係の添付書類ですが、こちらは電子申告か紙での申告かによって大きく変わってきます。電子申告の場合、生命保険料控除証明書など主要な添付書類の添付・提示が不要となっています。ただ、省略可能という位置付けなので、別途郵送という形で添付することも可能です。添付・提示を省略した場合、法定申告期限から5年間保管する必要があります(その間は、税務署等からこれらの書類の提示又は提出を求められることがあります)。

これに対して、紙での申告の場合には、添付書類を申告書に添付して提出、もしくは税務署で提出する際に提示する必要があります。添付して提出してしまえば、以降保管の義務はありません。

一点だけ注意が必要なのが、医療費の領収書。2017年分から制度が変わり、現在では、領収書にかわって医療費控除の明細書を作成し、提出するようになっています。逆に領収書を添付することが不要、というよりはできなくなったので、医療費控除を受ける場合には、領収書を法定申告期限から5年間保管することが必要になりました。

私自身の確定申告は2/28(日)に電子申告で済ませました(ホッ)。先週末の3/13(土)には還付金の処理が済んだというお知らせがあり、今週中には還付金が着金する模様です。やはり電子申告だと処理が早いですね。電子申告ということで、添付書類を省略することも可能だったのですが、個人的には手元で保管はしたくないので、出せるものは出してしまう主義。先週末に税務署に郵送しました。ただし、医療費に関しては、提出するという選択肢がなくなったため、これだけはしぶしぶ手元で5年間保管することにします。
posted by 岡本浩一郎 at 19:28 | TrackBack(0) | 税金・法令

2021年03月09日

新型コロナ禍と経費/控除

前回は、持続化給付金など事業者に対する給付金は課税対象となること、一方で、個人に対して支給された特別定額給付金は非課税であることをお話ししました。この他収入面で注意が必要なのは、GoToキャンペーンの扱いでしょうか。GoToトラベルやGoToイートなどのGoToキャンペーンによる割引額は一時所得の対象となります。ただし、一時所得には50万円の特別控除額がありますので、50万円を超えなければ一時所得は発生しません。とは言え、ふるさと納税の返礼品も一時所得になりますし、昨年から今年にかけて実施されているマイナポイントも一時所得。あくまでもレアケースだと思いますが、これらが合計で50万円を超えるようであれば、一時所得として申告が必要です。

逆に支出面では、今や必需品となったマスクや消毒液などはどうでしょうか。これらは基本的には(前回お話しした)「事業者」としてのお財布ではなくて、「個人」としてのお財布から出たものとなります。つまり基本的には事業上の経費にはなりません。ただし、例えばイベントなどで参加者用のマスクや消毒液を用意したなど、明らかに事業上の用途と説明できるものであれば、経費になります。

PCR検査を自費で受けたという方もいらっしゃるかもしれませんが、これも基本的には「事業者」のお財布ではなく、「個人」としてのお財布になります。ただ、ビジネス上の会議に参加する際にPCR検査を求められたといったような明らかな事業上の必要性があったのであれば、経費になりえるでしょう(最終的には個別判断です)。

一般的な医療費は、「個人」のお財布から出たことになりますが、確定申告時には、医療費控除の対象となります。では、マスクやPCR検査は医療費控除の対象になるのでしょうか。まずマスクは、残念ながら、医療費控除の対象にはなりません。これはマスクは病気の治療のためでなく、病気の感染予防のためだからです。薬局で買った風邪薬は治療のためですから医療費控除の対象になりますが、健康維持を目的とするビタミン剤は医療費控除の対象にならないのと同じ理屈ですね。

自分の判断で受けたPCR検査についても基本的には医療費控除の対象にはなりません。ただし、PCR検査の結果、「陽性」であることが判明し、引き続き治療を行った場合には、その検査は、治療に先立って行われる診察と同様に考えることができるため、その場合の検査費用については、医療費控除の対象となります。これは基本的に控除対象とならないが、検診の結果、重大な疾病が発見され、引き続きその疾病の治療を行った場合には、対象となるという人間ドックと同じ考え方です。

こちら国税庁のFAQスモビバの記事も参考にしてくださいね。
posted by 岡本浩一郎 at 19:17 | TrackBack(0) | 税金・法令

2021年03月05日

給付金と確定申告

昨年は新型コロナウイルス禍により大きな影響を受け、結果的に、事業所得(売上マイナス経費)が赤字、つまり損失という方が例年より多いものと思われます。こういった場合に、損失でも確定申告をすべきかどうかについてお話ししてきました。結論から言えば、どんな場合であれ、申告はしておくべき。特に青色申告には損失の繰越(+損失の繰戻し)というメリットがあるため、必ず申告しましょう。

さて、では申告しなければと考えると、例年とは異なる収入や支出があり、これはどうするんだろうと迷われることも多いのではないかと思います。例えば、売上減少等の一定の要件を満たした場合に最大200万円(個人事業主は100万円)を限度に給付された「持続化給付金」。実はこれは所得税の課税対象となります(個人事業主の場合、法人であれば法人税)。

え、こんな苦しい時期だから給付されたのに、それが課税対象になるの?と違和感を感じるかもしれません。ただ、これは持続化給付金の額に直接所得税の税率をかけるわけではありません。あくまでも黒字の額に所得税の税率をかけることになります。ですから、持続化給付金を受け取っても、経費の方が大きく、結果的に赤字になるのであれば、納税することにはなりません。つまり赤字を多少なりとも補填するための持続化給金であって、逆に黒字になるのであれば、その分は所得税率をかけて納税してください、ということです。

事業者の事業継続を支援するための給付金としては、この他に家賃支援給付金ですとか、地方自治体による休業・時短要請協力金がありますが、これらはすべて同様に所得税の課税対象となります。これらを記帳する際には、消費税不課税の雑収入として仕訳します

名称はやはり給付金ですが、日本の住民基本台帳に記録されている人に対し、1人につき10万円給付された「特別定額給付金」。こちらは扱いが異なります。というのは、特別定額給付金は事業者ではなく、個人に給付されたものです。個人事業主は「事業者」としてのお財布と、「個人」としてのお財布、二つのお財布を持っています。事業の売上や経費は事業者としてのお財布。上記の持続化給付金も事業上受けた支援ですから、事業者としてのお財布に属することになります。これに対して、特別定額給付金は個人としてのお財布に属するということです。

仮に事業で使用している銀行口座に入金された場合には、事業主借(個人である事業主から事業の口座に10万円を借りた)として仕訳します

一方で個人で受け取っても所得は所得だから課税対象になるのでは、と思うかもしれませんが、特別定額給付金は「法律により非課税になりますので、課税されません」とされています。ですので、個人のお財布ではありますが、課税対象にならない特別なお財布に直接入ったと考えればいいかと思います。名称通り、それだけ「特別」なものなのです。課税対象になりませんので、確定申告上どこにも出てこない金額となります。
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2021年03月03日

繰越か繰戻しか

前回は、青色申告で認められている損失の繰越についてお話ししました。残念ながら昨年(今回の申告)が損失となった場合には、その損失を繰り越し、翌年以降3年間の所得と相殺することができます。これは青色申告ならではの特典ですから、是非活用すべきものです。ただし、実際に未来の所得と相殺され、節税となるのは早くても一年後となります。

実は、損失が発生した際にもっと早く節税につなげる方法があります。それは損失の繰戻し還付という制度。損失の繰越はこれから発生する所得と相殺する仕組みですが、損失の繰戻し還付は過去の所得と相殺する仕組みです。

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左の図は、前回お話しした損失の繰越ですが、今回の損失を翌年以降3年間の所得と相殺します。一方、損失の繰戻し還付は右の図のように過去の所得と相殺します。仮に今回の申告で300万円の損失となり、一方で前回は300万円の所得を申告していたとすると、繰戻し還付では前回の300万円の所得と今回の300万円の損失が相殺されます。結果的に前回の申告での課税所得が0円であったとされ、既に納付していた所得税が還付されることになります。

ご存じの方も多いと思いますが、お金の時間的価値をふまえれば、今の100万円と1年後の100万円では同じ100万円でも今の100万円の価値の方が高いとされます。これだけ低金利の時代にはピンと来ないところがありますが、仮に今100万円を返済しなければならないとなると、今の100万円はその役に立っても、1年後の100万円では役に立ちません。

この時間的価値を考えると、損失の繰越か、損失の繰戻しか、その優劣は明確です。もちろん、より早く節税を実現できる(キャッシュを確保できる)繰戻しの方が有利です。

しかし実際問題としては、損失の繰越は一般的に行われていますが、損失の繰戻しはそこまで一般的ではありません。損失の繰戻しのためには、確定申告書とあわせ、「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」を提出するのですが、この請求を受けた際には、税務署でその内容を調査して還付を決めることになっており、これがこの手続きが敬遠される要因になっているようです。

税務署による調査といっても、いわゆる税務調査が必ずしも行われる訳ではありません。還付請求に関する問い合わせがあったとしても、税務署内での机上調査で終わることもあるようです。それでも、何ら後ろめたいところがなくても、「調査」と聞いただけで敬遠したくなるのも理解できます。

そういった意味では、一般的なのはやはり前回お話しした損失の繰越。ただし、本当に足元で資金繰りが切迫しているとすると、今日お話しした損失の繰戻し還付も有効な選択肢です。損失の繰戻し還付について詳細はこちらのスモビバ記事をご参照ください。
posted by 岡本浩一郎 at 22:52 | TrackBack(0) | 税金・法令

2021年03月01日

損失の繰越

3月になりました。例年であれば確定申告も折り返し地点です。自分自身の申告の下準備はしていたものの、なかなか申告を済ませる時間がなかったのですが、先週末ようやく申告を済ませました(もちろんマイナンバーカードを使って電子申告)。今年は期限が一ヶ月延長され、まだ時間的な余裕があるとはいえ、やはりやらなければならないことを積み残しているのは気分がよくないもの。申告が済んでようやくすっきりです。

今年は期限が一か月間延長されて良かったなと思うのは、本ブログで確定申告についてお話しする機会が増えたこと。毎年お話ししたいことは山ほどあるのですが、全部お話しする前に申告期間が終わってしまい、お話ししきれていません。今回は例年よりも少し時間をかけて確定申告にまつわる話題をお話ししたいと思っています(とはいえ、申告の準備を待っていただく必要はないので、どんどんと進めてくださいね)。

前回は、損失、つまり、事業所得(売上マイナス経費)が赤字となった場合に、申告すべきかどうかということをお話ししました。どんな場合であれ、申告はしておいた方がいいというのが結論です。

損失でも申告をすることのメリットがはっきりしているのは、青色申告。前回もお話ししたように、青色申告の場合には、今回の損失を翌年以降に繰り越し、翌年以降3年間の所得と相殺することができます。

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例えば、今回(昨年分)の事業所得が残念ながらマイナス300万円の損失だったとしましょう。この場合、当然今回は納税は発生しません(事業所得以外はない想定)。これに対し、次回(今年分)の事業所得が100万円だったとします。図の左側、白色申告の場合は、この事業所得100万円が全額課税対象となります。つまり今回発生した300万円の損失は無視されます。これに対し、図の右側、青色申告の場合には、次回の事業所得100万円は今回の損失300万円の一部(100万円)と相殺され、課税所得はゼロになります。

さらに翌年以降、所得が150万円、300万円と増えた場合も、白色申告(左)はそれらがそのまま課税所得になるのに対し、青色申告(右)は今回の損失300万円が相殺されきるまで(ただし最大3年間)課税所得が発生しません。結果的に、次回以降3年間で合計550万円の事業所得があった場合、白色申告では、今回の損失が一切考慮されずそのまま550万円が合計の課税所得になりますが、青色申告の場合、今回の損失300万円が相殺対象となるため、3年間合計の課税所得は550万円-300万円の250万円で済みます。当然のことながら、3年間合計で納めなければならない所得税額には大きな差がつきます。

事業はお客さまに価値を提供し、その対価として利益を上げるために行うもの。ただ、昨年のように新型コロナウイルス禍によって事業環境が激変し、残念ながら利益を上げるどころか、損失で終わる年も発生します。その際に、その損失を翌年以降に繰り越し、しっかりと節税できるのが青色申告の大きなメリットです。

事業の立上げ期においても、顧客基盤が出来上がる前は残念ながら損失となることもあるでしょう。青色申告を選ばない理由として「まだ儲かっていないから」というのは比較的よくある理由なのですが、実際問題としてそれは誤解です。儲かっていないからこそ、最初から計画的に行うべきなのが青色申告なのです。

なお、青色申告で損失を繰り越す際に必要となるのが確定申告書の第四表という帳票です。もちろん、当然のことながら、弥生ではクラウド(やよいの青色申告 オンライン)でもデスクトップ(やよいの青色申告 21)でもこの第四表に対応しています。ただ、弥生以外ではこの第四表に対応していないソフトもあるので注意が必要です。
posted by 岡本浩一郎 at 21:44 | TrackBack(0) | 税金・法令

2021年02月26日

申告の要否

今回の確定申告は2020年分。昨年1月から12月までの所得を申告する必要があります。昨年は新型コロナウイルス禍により大きな影響を受けた事業者の方も少なくないのではないかと思います。結果的に、昨年は事業所得(売上マイナス経費)が赤字、つまり損失という方も例年より多いものと思われます。

前回、「継続的に儲けるつもりで、儲ける一定の確からしさがある場合は事業所得」とお話ししました。逆に、「儲かったらラッキーぐらいのつもりの場合は、雑所得の業務」とも。今回の申告で損失になった、つまり儲けていないから、事業所得として認められないのではないか、と心配されるかもしれませんが、その心配はご無用です。前回、事業所得とは「自己の計算と危険において…」という最高裁の判例もご紹介しましたが、危険・リスクがあるのも事業所得ならでは。万年赤字ではさすがに儲けるつもりがあるのか、儲ける一定の確からしさがあるのか、となってしまいますが、通常は黒字だけど何らかの理由で今年は赤字ということは事業所得として想定の範囲内です。ましてや昨年は誰にとっても経験したことのない一年でしたから、赤字になることも無理はありません。

ところで、確定申告は所得がある人が申告をするものですから、所得がない、つまり損失となった場合には申告をしなくてもいいのではないか、と思われるかもしれません。

これはイエスといえば、イエス、一方でノーと言えばノー。申告をしないことも可能だが、基本的には申告した方がいいというのが答えになります。

雑所得と異なり、事業所得の場合には、他の所得(給与所得など)との損益の通算ができますから、事業所得がマイナスであれば、それを給与所得と共に申告すれば、給与所得にかかった部分の税金を減らすことができます。

他の所得がない場合にも、青色申告の場合には、今回の損失を翌年以降に繰り越し、翌年以降の所得と相殺することができます。これは青色申告の大きなメリット。ですから、青色申告の場合には、損失でも必ず申告すべきです。

では、白色申告で、なおかつ他の所得もない場合には? この場合も基本的には申告はしておいた方がいいようです。というのも、申告をしなかったら、自動的に所得がゼロ(マイナス)と認められる訳ではないからです。児童手当の申請や保育園の入園申請などで、所得の証明が求められることがありますが、申告をしていないと、これが出ないことがあります。実際に、千代田区では、住民税の証明書の交付を受けられるのは、「税務署に確定申告を、または千代田区に住民税の申告をされた方」とされています

つまり、所得がゼロ(マイナス)であるということを国だけでなく、地方自治体にも明確に伝え、その後に不利益が発生しないようにするために、確定申告をしておくことが望ましいということです。一例として、東かがわ市では「申告がない場合は『未申告』となり(税の被扶養者は除く)、国民健康保険税の軽減措置を受けることができなかったり、所得課税証明書の発行ができません」とされています(pdf)。なお、国に対する確定申告はせずに、地方自治体に直接住民税に関する申告をするということも可能ですが、確定申告をしたことがある方であれば、確定申告で済ませた方が簡単なのではないでしょうか。
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2021年02月24日

事業所得か雑所得(業務)か

前回、雑所得の中に業務という区分を新設されたということをお話ししました。このいわば「業務所得」と事業所得、非常に紛らわしいですね。

前回お話ししたように、国税庁の説明では、雑所得とは事業所得等、他の所得のいずれにも当たらない所得とされており、その中で、業務に係るものに該当するものとしては、「副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)」と説明されています

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実際問題として、事業所得なのか、あるいはそれに該当せず雑所得(業務)となるのかの線引きはグレーな部分があります。一方で、明確なのは、事業所得の方が確実に有利であること。事業所得にせよ、雑所得(業務)にせよ、課税対象は売上マイナス経費と、経費を差し引けるのは共通ですが、事業所得の場合は、青色申告が認められており、結果的に最大65万円の青色申告特別控除が得られること、また、仮に事業所得で損失が発生した場合には、その損失を例えば給与所得から差し引くことができる(損益通算)など、明確なメリットが存在します。逆に雑所得は、青色申告特別控除的なものは存在しませんし、雑所得が損失になっても、他の所得と相殺することはできません。

このように事業所得の方が明らかに有利ですが、では事業の開業届を出せば自動的に事業所得として認められるかというとそうではありません。事業所得であるかどうかは、社会通念上、事業を営んでいると認められるかどうかという実態で判断されます。この点については、判断基準となっている最高裁の判例があり、「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」とされています。つまり営利性と継続性が必要であり、その結果として社会通念上、事業を営んでいると認められるかどうかということです。

そもそも儲ける気がなければ、事業所得として認められません。それはそうですよね。儲けることを目的とせずに、損失を他の所得から差し引くことが目的になっていれば、それは脱税です。

逆に、雑所得(業務)の説明として、副業に係る所得とされていますが、副業だから事業所得にならないという訳でもありません。そもそも何をもって副業とするのか。例えば、週3日会社で働き、週2日はフリーランスとして働くことは今後着実に増えていくかと思いますが、この場合もフリーランスの報酬はここでいう副業に係る所得になるのでしょうか。仮に、会社からの給料とフリーランスの報酬が5:5だったら? これもなかなか曖昧ですよね。結論から言えば、本業よりかける時間が少ない、あるいは得られる所得が少ないという意味での副業であっても、上記のように営利性、継続性があり、社会通念上、事業とみなせるレベルであれば、事業所得になりえます。

ということで、整理をすると、

継続的に儲けるつもりで、儲ける一定の確からしさがある場合は事業所得
  • 開業届は出しておくべき、ただ、開業届が出ているから自動的に事業所得になるわけではない
  • 副業でも、一定の規模があり、継続性営利性があれば事業所得になりうる
  • 一方で、恒常的に赤字だったら、継続性営利性が認められないので雑所得

儲かったらラッキーぐらいのつもりの場合は、雑所得の業務
  • 事業所得に該当しない場合は雑所得
  • ちょっと小遣い稼ぎの副業は、規模の観点でも、継続性営利性の観点でも事業所得として認められない

ただ、この境界線ははっきりした白黒ではありません。そのため、どちらに該当するか迷う場合には、税務署もしくは税理士に相談すべきかと思います。
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2021年02月19日

業務所得?

前回は確定申告書から性別の記入欄がなくなったこと、一方で(今のところ)押印欄が残っていることをお話ししました。また、それ以外にも多くの変更が発生していることは以前にもお話ししました

性別の記入欄がなくなったことはまさに時代を反映したものだと思いますが、同様に時代を反映している、なおかつ、同時に国税庁の意思も反映しているように思えるのが、今回新しく登場した「業務所得」です。

業務所得って、事業所得とどう違うの、と思われるかもしれません。非常に紛らわしいですよね。正確に言えば、業務所得という所得が新設されたのではなく、これまでにも存在した「雑所得」に「業務に係るもの」という新しい区分が新設されました。これを受けて、今回の申告書では、雑所得が公的年金等とその他の2区分から、公的年金等、業務、その他の3区分になっています。

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国税庁の定義では、雑所得とは「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも当たらない所得」とされています。この中で、業務に係るものに該当するものとしては、「副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)」と説明されています。

新型コロナウイルス禍の中で、Uber Eats等の食べ物デリバリーを頻繁に見るようになりましたが、それ以前からいわゆるギグエコノミーで収入を得ている人が増えている、さらにそれ以前から、ネットオークション等で収入を得ている人が増えていると言われており、これに対し、国税庁として、ちゃんと申告してくださいという注意喚起がなされてきました。

今回の雑所得の中に業務という区分を新設したことは、今後こういった収入をしっかり見ていきますよ、という国税庁の強い意志を感じるのは私だけでしょうか。

なお、上記でネットオークションで収入を得ているというのは、売ることを目的に仕入れており、それをネットオークションで販売した場合です(いわゆる転売ヤーということになるでしょうか)。同じネットオークションでも、古着や家財など、もともと生活用物品として利用していたものの売却は非課税とされています(そもそもこれらは普通買った値段より安く売るわけですから、利益も出ませんしね)。
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2021年02月17日

申告書と時代

いよいよ昨日から確定申告が始まりました。今回の確定申告書は様式が大幅に変更されていることは以前お話ししました。例年何らかの変更はあるのですが、それらをマイナーアップデートだとすると、今回は間違いなくメジャーアップデート。

実は今回、申告書の意外な部分が変わっています。それも時代を反映する形で。

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上が昨年までの確定申告書のうち住所・氏名などの基本情報を入力する欄です。下が今回(令和2年分)。サイズが変わったり、場所が変わったりと一見結構変わっていますが、実は項目レベルで変わった(なくなった)のは一つだけです。どれだかわかりますか?

正解は性別の記入欄です。昨年までは男もしくは女をマルで囲う欄がありましたが、今回からはそれがなくなっています。昨今は、そもそも男もしくは女という二者択一ではないという理解が広がりつつありますし、また、男はこうだ(こうであるべし)、女はこうだ(こうであるべし)というのもステレオタイプであり、不適切であるというのが浸透しつつあります。不適切な発言で、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の委員長が辞任したのも記憶に新しいところ。

そんな時代ではあっても、様々な書類にごく当たり前に性別の記入欄があります。でも、本当にそれが情報として活用されているのか、あるいは活用されるべきなのか。そういった中で、今回確定申告書から性別欄が消えたことは、地味だけれども、実は大きなステップなのではないかと思います。

もっとも、実は細かく言えば確定申告書には性別を記入する意味があると言えばあります。性別によって控除に差が出るケースがあるからです。寡婦(寡夫)控除が見直しされてひとり親控除になったことは以前お話ししましたが、実はひとり親控除には該当しない場合でも、女性にだけ認められる寡婦控除は残っています。ただ、これに関して言えば、控除の方を見直すべきなのではないかと思いますが。

今回時代を反映してなくなったのが性別欄ですが、逆に残念ながら今回は時代を反映しなかったものもあります。それは何かというと…、押印欄です。

菅政権の発足以降、押印の必要性が急速に見直されるようになったことは非常に意味のあることだと考えています。ただ、今回の確定申告書の様式には見直しが間に合わなかったようで、今回の様式にはしっかり押印欄が残っています。

一方で、昨年12月に、「提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、次に掲げる税務関係書類を除き、押印を要しないこととする」という方針が示されており、この方針に従えば、今回の確定申告では押印しなくても「改めて求めないこと」となるはずです。

もっとも、税務署によっては今年は押印してほしいというところもあるようで、現時点では上記の方針は完全に徹底はされていないようです。とはいえ、これも以前にお話ししたことですが、今回の申告から、電子申告をすることによって税金が優遇されますから、書面前提で押印するかどうか悩むよりも、電子申告でサクッと済ませ、税金の優遇もゲットしたいところです。
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2021年02月15日

総額表示の復活

いよいよ明日から確定申告が始まります。本ブログでも今年変わった点、気を付けるべき点を中心に集中的にお話ししたいと思いますが、その前に確定申告とは無関係ですが、実は影響が大きい法令改正についてお話ししておきたいと思います。

それは消費税の総額表示義務の復活。消費税導入の当初は、消費者に対する価格表示について、税抜とするのか、税込とするのか、決まりはありませんでした。しかし、税抜で表示しているお店と税込で表示しているお店での価格の比較が難しい、また、買う際に実際問題いくら払うかがわかりにくい(100円玉を握りしめた子どもがレジで110円といわれて呆然ということもありますよね)という問題意識から、2004年から、消費者に対する価格表示を消費税額を含めた総額での表示とすることが義務付けられました。

一方で、2013年10月からは、一定の条件付きですが、総額表示を義務付けないとする特例が認められました。2013年10月というと、2014年4月の半年前。そう、消費税率が5%から8%に、実に17年ぶりに引上げられようとするタイミングです。この特例が認められた背景としては、税率が引上げとなる前後で、総額表示を一気に切り替えるのが難しいということです。例えば、1,050円(税込)、2,100円(税込)、3,150円(税込)といった商品があるとして、2014/3/31から2014/4/1の一晩で、1,080円、2,160円、3,240円と価格表示を切り替えるのは現実的ではありません。そこで一定期間は、1,000円+消費税、2,000円(税抜)、3,000円(本体価格)といったような税抜価格での表示を特例として認めることになりました。

この特例措置はもともと2018年9月末までと定められていましたが、その後、消費税率の10%への引上げが2回に渡って延期されたことを受け、特例措置の終了も延長されていました。延長後の期限が2021年3月31日。そうです、この3月末です。消費税率10%への引上げが2019年10月に実施され、その先さらなる消費税率の見直しは今のところ予定されていないことから、特例措置を終了し、本来の総額表示に戻すわけです。

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総額表示ということで、2021年4月以降は、

10,780円
10,780円(税込)
10,780円(税抜価格9,800円)
10,780円(うち消費税額等980円)
10,780円(税抜価格9,800円、消費税額等980円)

といったような価格表示とする必要があります。

なお、総額表示の義務は、「消費者に対して、商品の販売、役務の提供などを行う場合」、つまりいわゆる小売取引が対象です。ですから、事業者間でやり取りする見積書や契約書などにはこの義務は課されません。また、小売取引において、不特定かつ多数の者に対する値札や店内掲示、チラシあるいは商品カタログにおいて、「あらかじめ」価格を表示する場合を対象に求められるものですから、そもそも価格表示がされていない場合や、口頭での価格の表示も対象外となります。

ちなみにこの総額表示義務は消費税法上の罰則はないそうです。新型コロナウイルス禍の影響もあり、4月からいきなり義務違反と指摘されることもないのだと思いますが、それでも法令上定められた義務ですから、しっかり対応はしておきたいところです。こちらの国税庁のページ財務省が用意したよくある質問も参考にしてください。
posted by 岡本浩一郎 at 17:40 | TrackBack(0) | 税金・法令

2021年02月03日

今年も申告期限延長

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昨日、事前報道の通り、今年の確定申告についても期限が延長されることが正式に発表されました(pdf)。所得税については、もともとの申告期限が3月15日(月)であったものが、一ヶ月間延長され、4月15日(木)となります。もっとも、これは昨年も書いたことですが、延長されたからといってああよかったと当面放置とするのではなく、心の余裕は持ちつつも早めに済ませてしまいたいところです。

ただ、今回申告期限が延長されたことは、新型コロナウイルス禍を鑑みてという趣旨とは別なところでも、良かったと感じています。一つには、これでマイナンバーカードが間に合う方が増えるであろうこと、そしてもう一つには今年の確定申告に向けた動きは例年と比べて明らかに早く、そして大きい中で、負荷が分散されうることです。

前回、今年の確定申告から電子申告をすることによって青色申告特別控除が10万円優遇されるということをお話ししました。昨年も電子申告をされていたという場合にはいいのですが、今年から青色申告特別控除の優遇を得るために電子申告をされるという方も多いのではないかと思います。しかし、電子申告のために今からマイナンバーカードを取得しようとすると、もはや間に合わないというケースが続出するところでした。

マイナンバーカードは、申請から交付の通知まで概ね一ヶ月程度かかるとされています(私の場合も年末年始をはさんで一ヶ月ちょっとでした)。しかし昨年からマイナンバーカードを取得する方が増える中で、この所要期間が伸びているようです。もともとの概ね一ヶ月程度というのも、地方自治体によって異なるのですが、現時点での所要期間も自治体によって様々なようで、場合によっては2〜3ヶ月程度かかるケースもあるようです。実際にマイナンバーカードを使えるようになるには、交付の通知を受けて、実際に交付を受けに行く(そのために予約が必要ということも)という時間もかかりますから、今日申請したとしても、もはや3月15日には間に合わないケースが多いのではないかと思います。

これが4月15日となれば、今から申請しても間に合うケースも増えるのではないかと思います。ただ、実際にどれぐらいの期間が必要かは上でお話ししたように自治体によって様々ですので、取り急ぎ申請はしつつ(←これ重要)も、間に合いそうかどうかは、自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。

もう一つの、今年の確定申告に向けた動きが例年と比べて明らかに早く、そして大きいということですが、長年確定申告のお手伝いをしてきている弥生だからこそ感じることです。まずは、ソフトウェアの販売が非常に好調であること。これはクラウド、デスクトップ共通の傾向です。今年こそはソフトを使って、サクッと電子申告して控除額を満額ゲットするぞ、という方が多いのではないかと思います。

また、カスタマーセンターへのお問合せも例年より早く、また、その数も例年を上回っています。正月明けに移転した札幌カスタマーセンターに行ったことをお話ししましたが、正月明け早々から確定申告に関するお問合せが多かったことが印象的でした。例年、年明けの第一営業日はまだまだお問合せが少ないのですが、今年に関しては、年末年始で準備を始め、弥生のカスタマセンターが営業を開始するやいなや疑問点をお問合せされるお客さまが多かったのではないかと思います。それ以降も、やはり例年と比べ、確定申告に関するお問合せが多い状況です。例年、確定申告期間が見えてきた2月からお問合せが増え、3月の半ばまでにお問合せが集中するのですが、今年に関しては1月から繁忙期に入ったと見ています。

膨大な数のお問合せに対応すべく、当然この時期は体制を強化している訳ですが、3月15日までの短期決戦よりは、4月15日までとなった方がお問合せの総数は増えても一日当たりでみれば分散はされるでしょうから、対応はやりやすくなると思います。もっとも、ハーフマラソンを走るつもりが、(予期はしていたものの)突如フルマラソンを走ることになったようなものなので、それはそれでチャレンジではあるのですが。
posted by 岡本浩一郎 at 18:18 | TrackBack(0) | 税金・法令

2021年02月01日

電子申告等の優遇措置

あっという間に2月になりました。新型コロナウイルス禍の中で毎日が淡々と過ぎるために時間が経つのが速く感じられるのか、あるいはやっぱり歳なのか、どっちなんでしょう。

2月と言えば、確定申告。今年の確定申告期間は2月16日(火)から3月15日(月)までとなります。前回もお話ししたように今年も新型コロナウイルス禍を鑑み確定申告期限が延長されるのではという話はありますが、昨年のように一律での延長なのか、個別判断となるのかもわかりませんし、当てにはしないようにしましょう。

これも前回お話ししましたが、今回の確定申告の大きなトピックの一つは、電子申告をするかどうかによって青色申告特別控除の金額が変わること。この件について本ブログで最初にお話ししたのが2017年12月。もう3年前のことになりますが、実際に影響が及んだのは昨年の所得、つまり確定申告としては今回からとなります。もともとは働き方の多様化を後押しするという観点から、基礎控除が38万円から48万円に引上げになったというのが出発点。もっとも、基礎控除が10万円引上げになるのと同時に、いわゆるサラリーマンが対象となる給与所得控除が10万円引下げとなり、また青色申告をする個人事業主が対象となる青色申告特別控除も10万円引下げとなりました。

結果的に、多くの場合、基礎控除は10万円引上げになるけれども、給与所得控除や青色申告特別控除が10万円引下げとなり、トータルでの控除額は変わりません。ただし、青色申告特別控除については、特別な優遇措置があり、電子申告もしくは電子帳簿保存を行えば、10万円引下げとならないのです。

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つまり、昨年(所得としては一昨年)までは基礎控除38万円+青色申告特別控除65万円で合計103万円だったものが、今年(所得としては昨年)は、通常は基礎控除48万円+青色申告特別控除55万円で合計額は変わらずに103万円、ただし、電子申告もしくは電子帳簿保存を行えば基礎控除48万円+青色申告特別控除65万円となり、合計113万円と合計の控除額が10万円引上げとなります。

控除というとピンと来ない部分がありますが、その額の分は所得がなかったことになる、つまりその分税金が安くなるわけです。仮に所得税率を10%とすると(注: 所得税率は所得額によって変動します)、所得税は1万円下がることになります。なおかつ、これは本ブログでも度々お話ししていますが、青色申告特別控除は所得税だけでなく、住民税や国民健康保険料を下げる効果もありますから、これはもうやらないと損と断言できるかと思います。

電子申告等の優遇措置の詳細については、こちらの弥生の解説ページもご覧ください。
posted by 岡本浩一郎 at 22:03 | TrackBack(0) | 税金・法令

2020年11月26日

ひとり親控除

今年の年末調整は変更点が多く、早めに準備しないとヤバい、ということで、少し前から、今年の年末調整について変更点を中心にお話ししています。初回は、昨年までの3種類の申告書で3枚の帳票から、今年は5種類の申告書で3枚の帳票に変わったとお話ししました。2回目は、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(基礎控除申告書等)という帳票ができた背景についてお話ししました。そして前回は、基礎控除申告書等については事実上年末調整を受ける全ての方の提出が必要になること、一方で、基礎控除は受けるが配偶者(特別)控除を受けない場合などに、処理に気をつける必要があるとお話ししました。

これまでに、基礎控除、給与所得控除が変わるということ、また、所得金額調整控除という控除が新設されたことをお話ししました。実は、今年の年末調整ではもう一つの控除が新設されています。それがひとり親控除です。これはもともと存在した寡婦(寡夫)控除が見直され、新たにひとり親控除と寡婦控除に再編されたものです。

寡婦控除、あるいは寡夫控除というのは耳慣れないかもしれません。これは、配偶者との死別又は離別等により、もう一方の者が生計を支えなければならないといった事情を踏まえて税制上の配慮を行うための控除です。男性が亡くなった場合には残された女性が寡婦控除を、逆に女性が亡くなった場合には残された男性が寡夫控除を受けられることになります。

寡婦(寡夫)控除であり、今回新設されたひとり親控除は時代を色濃く反映しています。やはり男性が家庭の大黒柱であり、その男性が亡くなった場合に残された女性に配慮が必要という発想で生まれたのが寡婦控除です。1951年のこと。時代的には戦争遺族に対する配慮という面も強かったのではないかと思います。

ただ、配偶者が亡くなって一人で子どもを育てなければならないという経済的な大変さは女性も男性も変わらないはず、ということで寡夫控除も認められるようになったのは1981年。実に30年のギャップがあります。それでもこれで男性と女性がイーブンになったかというと実はそうではありません。女性の場合、配偶者が亡くなった際に子どもがいてもいなくても寡婦控除を受けられます。これに対し、男性の場合、配偶者が亡くなった際に子どもがいなければ寡夫控除は受けられません。配偶者が亡くなった際に、女性は一人で生計を営むのは困難、逆に男性は一人で生計を営めて当然という発想が色濃く残っているわけです。

これまでの寡婦(寡夫)控除については、配偶者との死別あるいは離別した方が対象になっていました。しかし、これでカバーしきれないケースとしては非婚のひとり親があり、一人で子どもを育てなければならないという経済的な大変さは共通でありながら、婚姻状況によって差が出るのはおかしいとして特にここ数年見直しが強く求められていました。これを踏まえて新設されたのが今回のひとり親控除です。

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ひとり親控除は、性別(女性/男性)を問わず、また死別/離別/非婚を問わず、ひとりで子どもを育てている方(ただし、所得が500万円以下の方に限る)に等しく35万円の所得控除が認められるというものです。なお、上でお話ししたように、寡婦控除については、子どもがいなくても認められる部分がありましたので、その部分は独立して寡婦控除として残されました。

本ブログでは税制がどんどんと複雑化することをどちらかといえば否定的な見方でお話ししています。ただ、今回のひとり親控除のように時代の要請に応じて必要な見直しが行われていることも事実です。時代の要請にあわせ、ただ、同時にそれをかつての九龍城のような建て増しによる複雑化ではなく、極力シンプルな仕組みにしていく。それが制度を考案する行政であり、国民の理解を得る政治の仕事であると期待しています。

今回は年末調整という枠組みの中でお話ししていますが、ひとり親控除は年末調整の対象とならない個人事業主の方ももちろん対象となりますので、ご安心ください。年末調整の対象とならない場合には、確定申告においてひとり親控除を適用することになります。

なかなか難しいなと思うのは、年末調整の対象になったとしても、年末調整でこれまでの寡婦(寡夫)控除や、今回のひとり親控除の適用をあえて受けない方が一定数いらっしゃるということ。年末調整で適用を受けるためには、寡婦/寡夫である、ひとり親であるということを申告書を通じて会社に伝える必要があります。これを避けるために、年末調整では寡婦/寡夫である、ひとり親であるということをあえて申告しない方が一定数いるのだそうです。この場合は、ご自身で翌年2月〜3月にかけて確定申告をすることによって、控除を受けることができます。制度をシンプルにというのは簡単ですが、現実には配慮を必要とするなかなか難しい問題もあるのだな、と実感します。
posted by 岡本浩一郎 at 19:40 | TrackBack(0) | 税金・法令

2020年11月24日

提出が必要

今年の年末調整は変更点が多く、早めに準備しないとヤバい、ということで、前々回から、今年の年末調整について変更点を中心にお話ししています。前々回は、昨年までの3種類の申告書で3枚の帳票から、今年は5種類の申告書で3枚の帳票に変わったとお話ししました。前回は、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(基礎控除申告書等)という帳票ができた背景についてお話ししました。

復習になりますが、昨年までは、1) 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、2) 給与所得者の配偶者控除等申告書、3) 給与所得者の保険料控除申告書という3つの帳票が存在していましたが、このうち、必ず提出が必要なのは1)のマルフだけでした(厳密に言えば、マルフは、その年の最初に給与の支払を受ける日の前日までに提出するものとされており、それを年末調整時点で異動がないかを確認するという手続きとなっています)。これに対し、2)のマルハイと3)のマルホは年末調整において該当の控除を受けようとする場合にのみ提出が必要となっていました。ですから、例えば、配偶者はいるけれども、配偶者にもそれなりな所得があり、配偶者控除/配偶者特別控除の対象にならないということがわかっている場合には、マルハイを出す必要はありませんでした。

これに対して今年は、1) 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、2) 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書、3) 給与所得者の保険料控除申告書という3つの帳票となったのはこれまでお話しした通りです。そして今年に関しても、1)は必ず提出が必要なのに対し、2)と3)は該当の控除を受けようとする場合にのみ提出が必要ということは形式的には変わっていません。しかし実際には、1)と2)が必須と考えるべきです。というのは、2)を提出しないと、基礎控除を受けられなくなってしまうからです。これまでは基礎控除には一切の条件がなく、誰にでも控除が認められていましたから、基礎控除を受けるために申告書を出す必要がありませんでした。ただ、前回お話ししたように、今年から所得が一定以上になると基礎控除が減額となり、最終的には基礎控除がなくなるという制度になったため、申告が必要になりました。理論的には基礎控除がなくなる所得金額が2,500万円以上の人は基礎控除が受けられないわけですから、この申告書は提出不要です。ただ、給与等の金額が2,000万円を超える方については、そもそも年末調整の対象にはなりませんから、年末調整は受けるけど、基礎控除の対象外という方は基本的には存在しません。つまり、年末調整を受ける方にとっては、2)のマルキハイショも必ず提出が必要ということになります。

ここで注意が必要なのは、昨年までマルハイを出していなかったという方。上でお話しした通り、配偶者にもそれなりな所得があり、配偶者控除/配偶者特別控除の対象にならないということがわかっている場合には、昨年まではマルハイを出す必要はありませんでした。ただ、今年は、マルキハイショとして必ず提出が必要になります。この際、基礎控除を受けるけれども、配偶者控除/配偶者特別控除は受けないという場合には、2) マルキハイショのうち、基礎控除申告書部分のみを記入し、配偶者控除等申告書部分については記入する必要はありません。

ここでやっかいなのは、事業者側が従業員から基礎控除申告書部分のみ記入され、配偶者控除等申告書部分については記入がない2) マルキハイショを受け取った場合。この場合、「配偶者控除等申告書部分については記入がない」ことを「申告書上の配偶者の所得額を0円」として処理してしまうと、誤った控除額になります。配偶者控除等申告書部分については記入がないというのは、配偶者控除/配偶者特別控除が0円を意味するわけですが、誤って申告書上の配偶者の所得額を0円として処理してしまうと、結果的に(本人の所得次第ではありますが)、配偶者控除が満額計上されてしまうからです。

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この点、今回の弥生給与 21でどのように入力していただくか仕様を固める上でかなり悩んだポイントなのですが、誤解を避けるために、明示的に該当に従業員ごとに、「配偶者(特別)控除を受けない」という項目にチェックしていただくようになっています。この点お間違えの無いようご注意ください。
posted by 岡本浩一郎 at 21:35 | TrackBack(0) | 税金・法令

2020年11月19日

基・配・所

今年の年末調整は変更点が多く、早めに準備しないとヤバい、ということで、前回から、今年の年末調整について変更点を中心にお話ししています。前回は、昨年までの3種類の申告書で3枚の帳票から、今年は5種類(!)の申告書で3枚の帳票に変わったとお話ししました。今回、新設された2つを含む3つの申告書が合体して生まれたのが、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(pdf)です。この帳票は、「年末調整のしかた」では、「基礎控除申告書等」と表記されていますが、例えば扶養控除等(異動)申告書は帳票の右上に記されたマークから「マルフ」、配偶者控除等申告書は「マルハイ」と呼ばれていますので、今回は、「マルキ」もしくは「マルキハイショ」と呼ばれるのでしょうか。

数年前に配偶者控除等申告書ができましたが、これは配偶者控除の見直しによって生まれました。同様に、今回の給与所得者の基礎控除申告書と所得金額調整控除申告書は、基礎控除が見直しとなり、また、所得金額調整控除という新たな控除ができたことにより生まれました。

基礎控除が見直しになったなんて聞いていないよ、と思われるかもしれませんが、実は約3年前に本ブログで基礎控除の見直しと所得金額調整控除についてお話ししています。ブログでお話しした時点では与党の税制改正大綱に記された段階でしたが、その後の国会で可決されました。それがついに今回の年末調整に反映された訳です。

基礎控除の見直しは、端的に言えば、基礎控除が38万円から48万円になるというものです。控除が増える = 所得額が減る = 税額が減る、ですから、いいじゃないか、と思われるかもしれませんが、実際には給与所得控除が逆に10万円減額されるため、ほとんどの給与所得者にとっては「行って来い」となり、所得額であり、税額への影響はありません。ただし、所得が一定以上になると基礎控除が減額となり、最終的には基礎控除がなくなるというのが、対象人数は限られるものの、今回の見直しの実質的なポイントです。詳細は年末調整あんしんガイドをご参照いただければと思いますが、所得金額が2,400万円を超える人は基礎控除が減額、2,500万円を超える人はゼロとなります。

基礎控除が10万円増える見合いとして給与所得控除が10万円減るとお話ししましたが、同時に、給与所得控除の上限額も見直しとなります。昨年までは、給与収入が1,000万円超で給与所得控除が220万円の上限に達することになっていましたが、今年から、給与収入が850万円で給与所得控除が195万円の上限に達することとなりました。つまり給与収入が850万円以上の方は控除額が15万円(+全体での10万円で合計25万円)減ることになりました。一方で、上でお話しした税制改正大綱では「子育てや介護に対して配慮する観点から」子育て世帯や介護世帯は「負担増が生じないよう措置を講ずる」とされていたことから、給与収入が850万円以上の子育て世帯や介護世帯において負担増とならないようにするために生まれたのが所得金額調整控除です。所得金額調整控除の詳細も年末調整あんしんガイドをご参照いただきたいのですが、正直、かなり複雑な制度で、これをパッと理解できる人はあまりいないのではないかと思います。趣旨としては、今回の給与所得控除の上限額の見直しを、給与収入が850万円以上の子育て世帯や介護世帯について打ち消すための調整ということです。

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基礎控除、配偶者控除/配偶者特別控除、そして今回新設された所得金額調整控除。共通項は、本人の所得金額によって控除の有無および額が変わるということです。このため、今回これらの控除の申告が1枚の帳票、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」にまとめられています。

今回お話しした内容については、詳細を年末調整あんしんガイドで解説しています。是非ご覧いただき、年末調整の処理を進めていただければと思います。

PS. どうでもいいことですが、基・配・所って、なんとなく、守・破・離みたいですね。まずは基本、そして気配りができるようになり、最後は置かれた所で咲きなさい、的な(笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 20:48 | TrackBack(0) | 税金・法令

2020年11月17日

大きく変わった今年の年末調整

先週金曜日に弥生 21 シリーズが発売となりました。例年、新製品の発売後間もなくやってくるのが、年末調整シーズン。弥生のカスタマーセンターへのお問合せが目立って増えるのは12月に入ってからですが、本当は11月にはある程度目処をつけておきたいところです。特に今年は少し前にお話しした通り、ヤバいです。それだけ今年の年末調整は大きく変わっています。

年末調整では、従業員に何種類かの申告書を提出してもらい、その申告書に基づいて会社側で年末調整の計算をすることになります。少し前までは、基本となる申告書は3種類、ただし、これが2枚の帳票にまとめられていました。具体的には、1) 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書と2) 給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書の2つです。

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これが平成30年分(2018年分)から、3種類の申告書で3枚の帳票に変わりました。1) 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、2) 給与所得者の配偶者控除等申告書、3) 給与所得者の保険料控除申告書です。本ブログで以前お話ししたことがありますが、2018年に配偶者控除が見直され、本人の所得に左右されることになったことから、それまでは、 保険料控除申告書と一体化していた配偶者特別控除申告書が分離され、新たに配偶者控除と配偶者特別控除に関する申告のための、給与所得者の配偶者控除等申告書(配偶者控除と配偶者特別控除の両方の申告を行うため、配偶者控除「等」申告書という名称になっています)として独立したためです。

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そして今年、令和2年分(2020年分)から、5種類(!)の申告書で3枚の帳票と変わりました。今回追加されたのは、「給与所得者の基礎控除申告書」と「所得金額調整控除申告書」という二つの申告書です。帳票としては、上記1)の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書と3)の給与所得者の保険料控除申告書は基本的に変わらないのですが、2)の給与所得者の配偶者控除等申告書に今回追加になった二つの申告書が合体され、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」というとにかく長い名前の帳票が生まれました。

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2018年の配偶者控除等申告書は配偶者控除の見直しによって生まれた訳ですが、今回の給与所得者の基礎控除申告書と所得金額調整控除申告書はなぜ生まれたのでしょうか。これは名前からある程度想像できると思いますが、基礎控除が見直されたため、そして所得金額調整控除という新たな控除ができたためです。

次回は基礎控除と所得金額調整控除についてお話しをしたいと思います。本ブログでは少し時間をかけて背景を含めお話ししたいと思いますが、一方でまだ年末調整に未着手という場合には、できるだけ早く着手することをお勧めします。今年の年末調整の変更点、そして何をすべきかについては、弥生の年末調整あんしんガイドで詳細に解説していますので、是非ご覧いただければ幸いです。
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2020年09月25日

国勢調査

もう既に皆さんの家にも届いているものと思いますが、10/7(水)までが国勢調査の調査期間となっています。国勢調査とは、「統計法(平成19年法律第53号)第5条第2項の規定に基づいて実施する人及び世帯に関する全数調査で、国及び地方公共団体における各種行政施策その他の基礎資料を得ることを目的として」いるとのこと。第1回調査は大正9年(1920年)に行われたとのことで、今年がちょうど100年目の節目の年となるのだそうです。

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調査の回答方法はインターネットでの回答、調査票を記入後郵送、調査員による回収の3通りあるようですが、新型コロナウイルス禍もあり、基本はインターネットでの回答もしくは郵送がおススメのようです。私はもちろんインターネットで。インターネット回答利用ガイドに記載されたログインIDとアクセスキーでログインします。回答に要した時間は15分ぐらいでしょうか。インターネット回答の場合、紙をそのまま単純に電子化したのではなく、回答が不要な項目をスキップするなど、一定の考慮がされていることには好感が持てました。

一方で、調査票を作成した段階である程度わかっているだろう氏名や生年月日などを一から入力する必要があるのはやや残念。よくある質問に、「住民基本台帳のデータがあるので、国勢調査はなくても済むのではありませんか」という質問があり、それに対しては、「住民基本台帳には、氏名、出生の年月日、男女の別、住所及び世帯主の氏名と続き柄という限られた人口の属性しか記載されておらず、産業別・職業別の就業者数、昼間の人口と夜間の人口の違いなど、 国勢調査で把握される人口の様々な実態に関する統計情報を、住民基本台帳からは得ることはできません」と回答されています。それはそれでもっともな理由ですが、やはり氏名や生年月日等の既にある情報は予め入れてもらえれば、と思ってしまいます。ただ、アクセスキーがあるにせよ、万が一本人以外がアクセスできてしまった場合の情報漏洩リスクも考慮した結果なのかもしれません。

国勢調査は全数調査なのですが、本当に全数カバーできているのでしょうか。「国勢調査は、我が国の最も基本となる統計を全国及び地域別に作成するため、全数調査として行う必要があります」とのことで、回答は法律(統計法)で定められた義務になっています。ただ、それでも生活スタイルも多様化した今どきの時代に全数カバーできているとは思えません。全数はカバーできていないという前提であれば、一定の補正を行えばいい訳ですが、全数カバーしているという前提では補正を行う訳にもいきません。一方で現実問題として全数カバーしていなければ結果として誤った統計情報をもとに様々な判断がなされることになります。

全数調査の建前だけれども、実際には明らかに全数カバーできていないといえば経済センサス-基礎調査でしょうか。全国全ての事業所を対象を行われる調査ですが、自宅で活動するフリーランスなども増えている中で、全数カバーできていないことは周知の事実です。実際、経済センサスの事業者数と、国税庁が発表する事業者数(これは申告実績から得られている情報)に大きな乖離があり、事業者の方々をマーケットとしている我々からすると、母集団としてどの数字を採用すべきか、非常に悩ましい状態です。少し前に正しい判断のためには正しいデータが必要といったことをお話ししましたが、何が正しいのかわからないのは、本当に困ったものです。

今回の国勢調査では、インターネット回答が全面的に推奨されるなど、時代にあわせて改善されていることは事実だと思います。ただ、1回目から100年経ち、今どきの時代に全数調査とすることが本当に妥当なのかは一考の余地があると思いますし、逆に全数調査をすべきなのであればやり方を抜本的に見直すことも考えるべきなのではないかと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 18:48 | TrackBack(0) | 税金・法令

2020年04月22日

やっぱり終わらなかった場合

先週の木曜日、4/16は所得税の確定申告の期限でした。もともとの申告期限は3/16でしたが、新型コロナウイルス禍の広がりにともなって、2月末に4/16までの延長が発表されました。さらにその後、新型コロナウイルス禍の収束が見通せない、むしろ緊急事態宣言が発出されるような状況の中で、4/6に国税庁より、「確定申告期限の柔軟な取扱いについて」という文書(pdf)が公表され、「感染拡大により外出を控えるなど期限内に申告することが困難な方については、期限を区切らずに、4月17日(金)以降であっても柔軟に確定申告書を受け付けることといたしました」とされました。要は、今でも申告を受け付けているということです。

とはいえ、明確な期限がなくなってしまえば、明日やろう、今週末やろう、来週やろうと、ずるずるといつまでも終わらないことになりかねないのではないか、ということで、期限である4/16には、今日中に終わらせましょうと書きました。しかし…。

以前、やよいの青色申告 オンライン/やよいの白色申告 オンライン(弥生オンライン)について、申告期限延長が発表になるまでは見込み通りのペースで新規ユーザーのサインアップが続いていたものの、申告期限延長が発表された瞬間にサインアップのペースがガクンと下がったということを書きました。しかし一旦ペースは下がったものの、申告期間が長引いた分、3月下旬から4月に入っても新規ユーザーのサインアップが続き、3月と4月合計では、見込みを上回ることができました。どうなることかと心配していましたが、ほっとしたというのが正直なところです(笑)。ちなみに、デスクトップアプリのやよいの青色申告 20についても、3月の第1週2週だけは前年を下回りましたが、以降は4月に入っても好調な実売が続きました。

ただし、少し気になるのが、実質的な期限が伸びていく中で、実際に確定申告を済ませることができたのか。弥生オンラインでは、確定申告の準備がどこまで進んでいるのかをKPIとして注視しているのですが、申告期限日(今年は4/16、昨年は3/15)においての、申告完了率は残念ながら下がってしまいました。やはり、4/17以降でも受け付けてくれるということで、明日やろう、来週やろうという方がある程度はいらっしゃるのではないかと思います。一割はいきませんが、それでも一定数は。

もちろん、弥生として申告が終わるまで引き続きしっかりとサポートしていきますが、ずるずる伸ばすのではなく、例えばゴールデンウィークまでと自分なりの期限を切ってしっかりと終わらせたいところです。

なお、4/17以降の申告に関しては、別途申請書は必要ないのですが、申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と付記する必要があります(国税庁によるFAQ)。弥生製品から紙で出力する場合には、出力した上で手で記載、またe-Taxで申告する場合には、特記事項として入力する必要があります。詳細は、こちら(オンラインアプリ/デスクトップアプリ)をご確認ください。

なお、4/17以降に申告する場合、申告日が、納付期限となりますので、ご注意ください。ただし、振替納税の場合には、別途振替日の連絡があるようです。時間も稼げますから、振替納税の方がベターですね。もっとも、新型コロナウイルス禍によって影響を受けている場合には、納税についての猶予が認められています。この場合は、税務署への申請が必要ということで、まずは所轄の税務署(徴収担当)に相談することをお勧めします。

蛇足ですが、本来は4/16までの所得税の青色申告承認申請書についても、新型コロナウイルス禍の影響により、提出が困難な場合は、個別に期限延長の取扱いが認められるようです。ただ、時間が経てば経つほど、影響で提出が困難だったという説明が難しくなりますから、やはり早めが望ましく、基本的には申告と同時ということかと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 18:45 | TrackBack(0) | 税金・法令

2020年04月16日

やっぱり今日までに終わらせよう

今日、4/16(木)は所得税の確定申告の期限となります。ご承知のように、もともとの申告期限は3/16でしたが、新型コロナウイルス禍の広がりにともなって、2月末に4/16までの延長が発表されました。

しかしその後、新型コロナウイルス禍の収束が見通せない、むしろ緊急事態宣言が発出されるような状況の中で、去る4/6に国税庁より、「確定申告期限の柔軟な取扱いについて」(pdf)という文書が公表されています。「感染拡大により外出を控えるなど期限内に申告することが困難な方については、期限を区切らずに、4月17日(金)以降であっても柔軟に確定申告書を受け付けることといたしました」とされています。要は、明日以降も申告を受け付けるということです。

再びやったー、となりそうな気もしますが、今回の柔軟な取扱いは、申告期限そのものを変えている訳ではありません。申告期限はあくまでも本日4/16のままであり、それを超えても柔軟に受け付ける、としているに過ぎません。つまりは原則はあくまでも4/16であるが、例外として4/17以降も認めるということです。この柔軟な取扱いを発表した時点で、「既に昨年の約9割の申告がある」ということで、申告の大部分は完了していることから、原則の4/16は維持したままで、個別対応ということになったのかと思います。

既に申告が完了した方はいいとして(お疲れさまでした!)、まだ終わっていない方はどうすべきか。やはりおススメとしては、今日中に申告を済ませ、すっきりとしたいところです。現実問題として、これまでに終えられていない方が、明確な期限がない中で、どこかで本当に終えられるのでしょうか。明日やろう、今週末やろう、来週やろうと、ずるずるといつまでも終わらないことになりかねないのではないかと思います。随分と手厳しいことを書いているような気もしますが、私自身が期限がないと動けない人だからこそ実感を持ってお話ししています。

以前も書いたことがありますが、私自身、余裕を持って前倒しで準備するという事は決して得意ではありません。むしろ正確に言えば、私はかなり先延ばし傾向があります。何せ、「フェンス際の魔術師」を自称しているぐらいですから、期限があるからこそ、終えられるタイプなのです(苦笑)。

弥生オンラインの利用状況(日別の利用ユーザー数)は、本来当初の申告期限である3/16に向けて一本調子に上がっていくはずでしたが、2月末に申告期限の延長が発表されたと同時に、減少傾向となりました。ただそれも3月半ば過ぎまで。3月下旬から再び勢いを取り戻し、4月に入ってからは(柔軟な取扱いが発表された4/6以降も)急速に伸びています。やはり、4/16までに申告を済ませ、すっきりしたいという方が多いのではないかと思います。さあ、今日一日頑張って、終わったら美味しいビールを(自宅で)飲みましょう。

毎年お話ししていますが、今回は白色申告だけれども、今年分(来年の申告)からは青色申告という方は、青色申告承認申請書の提出もお忘れなく。
posted by 岡本浩一郎 at 12:29 | TrackBack(0) | 税金・法令