2014年02月19日

アフィリエイトと確定申告

さて、いよいよ今週から始まった確定申告。油断するとあっという間に期限(あと26日)になってしまいますから、特に初めての青色申告という方は焦りを覚えるかもしれません。とはいえ、焦る気持ちを抑えつつ、まず最初は書類をちゃんと整理するところから。書類を整理して、帳簿を付けて、そして、決算書と確定申告書の作成。急がばまわれという意味では、弥生の確定申告応援プロジェクトで提供している青色申告直前対策セミナーもおススメです。

ただ、現実問題として、ほとんど満席になってしまっているのですが… そこは大丈夫。弥生の確定申告応援プロジェクトでは、青色申告直前対策セミナーの基本編、応用編、それぞれを資料 + 動画としてご提供しています

さて、ちょっと前に、なるほど今年は初めて確定申告という方も増えるかも、と思ったメールを目にしました。そのメールはいわゆるアフィリエイトを仲介する会社からのものなのですが、大元は国税局。まあ、簡単に言えば、「アフィリエイターの皆様には、期限内の適正な申告と納税をお願いいたします」というお知らせ(+若干の警告)です。

アフィリエイト収入も立派な収入。一方で、なかなかその実態を捕捉し難いと言われてきましたが、国税庁も本腰を入れて取り組むようになってきているのですね。アフィリエイト収入は、一般的には雑所得となりますが、雑所得は一定の基準以下であれば、申告は不要となります。いわゆる20万円ルールと言うやつですね。ただし、20万円以下であれば必ず不要というわけでもないので、詳しくは木村先生のブログをどうぞ。

一方で、アフィリエイトに事業として取り組むということであれば、雑所得ではなく、事業所得として申告することも可能です。事業所得でなおかつ、青色申告を選べば、本ブログでも何度も(しつこいぐらいに)お話ししている65万円の青色申告特別控除が得られますので、大きな節税メリットがあります。

ただ、これもお話ししている通り、青色申告をするためには、事前に申請(青色申告承認申請書)が必要です。アフィリエイターとして、今回初めて確定申告をされるという方は、今回は白色申告で、そして今回青色申告承認申請書を提出しておいて、来年は青色申告で、とパターンがおススメです。もちろん、そのためには、今年は「やよいの白色申告 オンライン」を是非どうぞ。今回は白色申告を、そして来年に向けては青色申告をバッチリとサポートしていきます。

ちなみに、上でお話しした国税庁からのメールは、多くの方に認知してもらうためのメールなので、ここに転載してもokかと思います。最後の「インターネットビジネスに対する税務調査の状況については、こちら」というあたりはちょっと脅しっぽいですねえ(苦笑)。

---ここから引用---

【個人アフィリエイターの皆様へのメッセージ】

アフィリエイト報酬につきましては、原則として確定申告による納税が必要です。
所得税法では毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、
翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納付することに
なっています。

申告期限内に確定申告した場合には納付すべき税額のみですが、申告期限を
過ぎてからの申告(「期限後申告」といいます。)の場合には、納付すべき
税額のほかに無申告加算税及び延滞税を併せて納付する必要があります。
無申告加算税は、納付すべき税額に対して以下の区分による割合を乗じて計算
した金額となります。

・自主的に期限後申告をした場合 無申告加算税(5%)
・税務調査等により期限後申告をした場合 無申告加算税(15%又は20%)
※ 仮名・借名等の隠ぺい仮装行為等が認められた場合には、無申告加算税に
代えて重加算税(40%)が課される場合があります。

アフィリエイターの皆様には、期限内の適正な申告と納税をお願いいたします。

所得税の確定申告の要否や手続きについては、国税庁ホームページ
http://www.nta.go.jp/)から「確定申告特集」のページをご覧ください。

以下に確定申告について調べるうえで参考となるタックスアンサーへのリンクを掲載します。
 ・確定申告については http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2020.htm
 ・事業所得については http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1350.htm
 ・雑所得については   http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1500.htm
 ・収入金額については http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2200.htm
 ・必要経費については http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2210.htm

なお、平成26年1月から個人で事業か不動産貸付等を行うすべての方に記帳と
帳簿書類の保存が必要となりました。詳しくは、こちら
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/kojin_jigyo/index.htm
をご覧ください。

また、インターネットビジネスに対する国税当局の取組については、こちら
http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/week/irasutodemiru.htm?sn=37)を、
インターネットビジネスに対する税務調査の状況については、こちら
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2013/shotoku_shohi/sanko04_05.htm
をご覧ください。

posted by 岡本浩一郎 at 20:01 | TrackBack(0) | 税金・法令

2014年02月14日

家事按分(その2)

先週家事按分についてお話しした際には、個人事業主の確定申告で、できる限り節税するために、家事按分(かじあんぶん)は、必ず知っておくべきと書きました。知っておくべき、かつ、活用すべき。

ただ、最近ちょっと気になる動きがありましたので、ここで共有したいと思います。実は、昨年10月17日の東京地裁判決で、自宅兼事務所の家賃のうち一部(事務所分)を経費として計上していたのに対し、裁判所が経費としては認められないという判断を下しました。自宅兼事務所の家賃のうち一部(事務所分)を経費として計上というのは前回お話ししたように、家事按分の典型的なケース。ところが今回のケースでは、本件住宅は、居住用の3LDKの2階建て住宅であり、その構造上、住宅の一部を居住用部分と事業用部分とに明確に区分することはできないため、必要経費に該当せずと判断されたということで、税理士の先生方の間では相当反響を呼んでいるようです。

ただ、そもそも自宅兼事務所の家賃のうち一部(事務所分)を経費として計上すること自体を認めなかったのか(=ほとんどのケースで家事按分自体を否定することになりかねない)、今回のケース特有の話として、事務所分として経費計上した分が不適切であるとしたのか、については判然としません。この裁判では、リビングなどを業務専用スペースとして常時使用し、それ以外の用向きには使用していなかったとは考えられない、と指摘されたそうですから、後者なんでしょうか?

一方で、必ずしも家事按分に限った話ではありませんが、間接的にでも事業の上で必要となった費用であれば、経費として認められる、という判断も下されました。これは今年の1月17日に最高裁がそれまでの高裁判決を支持した(経費として認められないという国の控訴を不受理とした)ものですが、この高裁判決では「必要経費になる要件として『事業との直接関係性』は不要」としたのです(参考pdf)。

これまで、事業と関連性がある費用については、一般的に事業に「直接」関係がない限りは経費として認めないとされてきました。しかし実は法令上は、経費として認められるためには、「経費の主たる部分が『事業所得を…生ずべき業務の遂行上必要』であることを要する」とされており、もともと「直接」という表記はないのです。今回の高裁判決では、「事業の業務と直接関係を持つことを求めると解釈する根拠は見当たらず、『直接』という文言の意味も必ずしも明確ではない」として、「直接」の関係性がなくても、事業上の経費として認められうるとしたのです。

もちろん、直接の関係性はなくても、何らかの/間接的な関係性は必要ということにはなりますが、狭くとらえられがちな経費がより広く認められうるということで、こちらは逆の意味で画期的として注目を集めています。

しかし…困っちゃいますね。ある判決は事業上の経費をより狭く(厳しく)判断し、一方で別の判決は事業上の経費をより広く(緩やかに)認める。どちらの立場に立てばいいのでしょうか。今後、この種の判例が相次げば結果として明確なルールが確立されていくのでしょうが、現時点での私自身の見解としては、まずは「社会通念上」認められるものかどうか、そして、前回もお話ししたように、自分でこれは事業のための経費であると胸を張って言える、そしてそれをある程度客観的に示せるのであれば、積極的に経費として計上した方がいいと考えています。逆に胸に手を当てて、ちょっとこれはマズいよなあ、と思うものはやめておくべきかと。

ただ、税理士でもない素人の私に言われても迷いますよね。そんな時は、プロである税理士の先生に相談しましょう(もちろん、税務署に聞いてもいいのですが、望む答えはなかなか出てこないと思います)。個人の場合、顧問の先生がいないケースも多いと思いますが、各地の税理士会で無料相談の場を設けていますので、そういった機会を活用すると良いでしょう。弥生のスタッフには税理士も数名いるのですが、ちょうど昨日はそのうち2名が無料相談に参加していたようです。そういった時期ですね。

もっとも本来は迷わずに済むのがベストだと思いますし、そういった意味では、2つ目の最高裁判断について書かれた三木先生が言われているように、「税理士会が納税者の視線にたった解釈基準を提示して、課税庁と調整するような制度も今後検討すべき」だと思います。特に「納税者の視線にたっ」てという部分は是非期待したいところです。
posted by 岡本浩一郎 at 21:30 | TrackBack(0) | 税金・法令

2014年02月07日

家事按分(その1)

個人事業主の確定申告で、できる限り節税するために重要なのは、やはり経費を漏れなく計上する(=利益を圧縮する)こと。そのために、家事按分(かじあんぶん)は、必ず知っておくべきキーワードです。例えば、自宅兼仕事場を借りている場合、賃料もそれなりな金額になるでしょうから、経費として計上できれば、大きな節税につながります。ただし、賃料を全て事業上の経費とできるかというと、これはNG。自宅として事業以外でも使用している訳ですから、その全額を経費とすることは認められません。

では、一切経費として認められないのかというと… 諦める必要はありません。一定の条件を満たせば、一部が経費として認められるのです。その条件とは、簡単に言えば、事業用とそれ以外(家事用)の割合を客観的に示すことができること。このように、一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費)について、事業用とそれ以外(家事用)にその割合に応じて分解することを家事按分と言います。

家事按分の対象となる典型的な経費は、上で挙げた自宅兼仕事場の賃料、電気代、ISP代など。一方で、同じ水道光熱費でも、例えば水道代はほぼ家事専用(事業で使うことはない)なので、家事按分は認められにくいそうです(もちろん、染め物など、事業で水をバンバン使うのであれば、その限りではないでしょうね)。

昨日ご紹介した個人事業主の確定申告に関する調査では、みなさんがどの程度家事按分を活用しているのか、そしてどのような基準で按分しているのかを聞いてみました。詳細はレポートをご覧頂きたいのですが、そもそも仕事場を兼用していないという方が約2割。逆に言えば、この調査では約8割の方は、自宅と仕事場を兼用しているという結果でした。

この約8割の中で、家事按分をしている方は約6割弱。では何を基準に按分しているかというと、使用面積という方が一番多い結果でした。つまり使用面積という客観的な数字によって、事業用とそれ以外の割合を算出しているわけです。ただ、一方で、基準はなく、何となくという方も約1割ほど。これは本当はマズいやり方です。昨日もお話しした税務調査が入れば、指摘される可能性が大。

ちなみに、自宅と仕事場を兼用している約8割の中で、家事按分をしていないという方は約2割強。特に白色申告の方では、兼用だけれど家事按分をしていないという方が多い傾向でした。これは費用として計上し得るものをしていないわけですから、節税という意味では勿体ないことですが、税務調査で突っ込まれるリスクはないとも言えますね。

本当は綺麗さっぱり、これはOK、これはNGというルールがあれば話は簡単なのですが、基本的なルールはあるものの、最終的には個別判断というのが難しいところです。ただ、経費として計上し得るものですから、本来はやはり是非活用したいところです。これはあくまでも個人的な見解にはなりますが、自分でこれは事業のための経費であると胸を張って言える、そしてそれをある程度客観的に示せるのであれば、積極的に経費として計上した方がいいと考えています。逆に胸に手を当てて、ちょっとこれはマズいよなあ、と思うものはやめておきましょう(笑)。

ただ、最近この家事按分についてちょっと気になる動きがありましたので、次回お話ししたいと思います。(続く)
posted by 岡本浩一郎 at 22:58 | TrackBack(0) | 税金・法令

2014年02月06日

税務調査

税務調査というとドキッとしますね。後ろめたいことが何もなくても、何となくドキッとしてしまう。クルマを運転していて、お巡りさんを見るとドキッとする、そんな感じでしょうか。私自身は個人では税務調査を受けたことはありませんが、会社としては、前職の自分の会社で一回、そして弥生で一回税務調査を受けたことがあります。税務調査と言っても、映画で想像されるようなものではなく、定期的に行われるもので、平和裏に終わりました。

さて、このたび弥生では個人事業主の確定申告に関する調査を実施し、その結果を確定申告応援プロジェクトで公開しました。個人事業をされている方が確定申告をする際、「みんなどうやっているんだろう?」「実際問題どうなんだろう?」と疑問に思われていることも多いのではないかと思います。みんな青色申告なの? 家事按分って、みんなどうやっているの? ぶっちゃけ、税務調査ってどれぐらいの確率で行われるの?

今回の調査では、色々な角度からみんなの確定申告の実態に迫っています。例えば、税務調査を受けたことがありますか、に対しては、青色申告の方では15%、白色申告の方では7%が受けたことがあると回答されました。一方、国税庁の公式統計では実調率(と言うようです)が個人の申告で1.4%(平成23年分)となっています(ちなみに法人は4.3%)。これらの数字を組み合わせると、ある一年に調査を受ける確率は1〜2%、一方で、何年か事業をやっていると、一度は調査を受けたことのある人の割合は10%前後、ということになります。

これを低いとみるか、高いとみるか。一般的には低いと見るかもしれませんね。ただ、だから帳簿付けなり、申告を適当にしていいという訳ではありません。むしろ、ちゃんと帳簿を付けて、ちゃんと申告していれば、いつかは分からないが一定の確率で行われる税務調査も慌てなくて済む、と考えるべきかと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 18:25 | TrackBack(0) | 税金・法令

2014年02月04日

消費税率引き上げの意外な影響

先日、消費税率引き上げによって、全従業員の通勤交通費の見直しが必要になると書きました。今回は、事業とは直接関係はないのですが、個人的に消費税率引き上げの影響が大きいと感じていることについて。

それは、分譲マンションの管理費と修繕積立金です。分譲マンションは購入して終わりではなく、所有している限り、毎月管理費と修繕積立金を払う必要があります。ただ、払う相手はあくまでもそのマンションの管理組合であり、消費税はかかりません。ですので、消費税率が引き上げになっても、自動的に管理費や修繕積立金が上がることはありません。

ただ、実はここがくせ者で、集められた管理費から支払われる管理会社への業務委託費や共用部分の電気代などには消費税がかかりますし、結果として消費税率が上がれば、支払いもそれだけ増えることになります。つまり、管理組合として考えると、収入(区分所有者からの管理費収入)は増えないのに、支出は消費税率引き上げ分だけ増えることになります。これまでが収支トントンの管理費会計であれば、今回の消費税率引き上げで赤字に転落ということもありうるわけです。

では、管理費を簡単に引き上げられるかというと、区分所有者を構成員とする組合である以上、誰かの一存で引き上げることはできず、総会を開催して決議を通す必要があります。多くの管理組合では、管理費は管理規約で規定されていますので、管理規約の改正として、特別決議(3/4の賛成)が必要となります。体験された方はご存知だと思いますが、これは結構大変です。特に建ってから年数が経ち、総会に参加する区分所有者が減っているようでは、特別決議を通すのは至難の業。

もともと管理費会計が余裕たっぷりというマンションは少ないため、今回の消費税率引き上げを機に、財政が苦しくなる、もっと言えば赤字に転落、あるいは、赤字幅が広がるマンションが増えることは確実。さらに、上記のような手続きを経て管理費を引き上げることができなければ、赤字だけが積み上がってしまい、どこかで資金が枯渇するマンションが出ても不思議ではありません。

管理費と同様に修繕積立金も毎月払うものですが、やはり同様な課題を抱えています。ただ、こちらの方が影響は大きいかもしれません。というのも積立はこれまでの税率を想定して行われてきているのに対し、実際に修繕にかかる消費税はあくまでも修繕を行う時点での(=引き上げ後の)消費税率が適用されるため、一気に不足分が顕在化するからです。例えば、10年後に10億5,000万円(うち消費税5%、5,000万円)の大規模修繕を行うために、マンション全体で毎年1億500万円の積立をしてきたとしましょう。9年後には1億500万円×9年で9億4,500万円積み立てられていることになります。ところが、この時点で消費税率が10%に引き上げられると、大規模修繕の費用が突然11億円(うち消費税10%、1億円)に膨らむことになります。このため、残りの一年でこれまで通りの積立に加え、消費税率引き上げによる差額分も積み立てなければならなくなります。この場合で言えば、最後の一年は消費税率引き上げの影響で、これまでの1億500万円に加え、消費税率引き上げによる差額5,000万円も積み立てなければなりません。つまりこの一年の修繕積立金は1億500万円から、1億5,500万円と約1.5倍に引き上げる必要があります。

この例はちょっと極端ですが、積立時の想定消費税率と修繕実施時の消費税率が異なると非常に影響が大きいことはご理解頂けるかと思います(実際には、消費税率引き上げによる差額分を1年で積み立てるよりは、管理組合が銀行から借り入れを行い、徐々に返済することになるのではないかと思います)。

私が住んでいるマンションは、管理費会計も修繕積立金会計も比較的健全な状態ですので、今回の消費税8%はとりあえず吸収できるものと思います。ただ、消費税は来年10月には10%と決まっていますし、さらにその後も税率が上がりうることを考えると、そう遠からず管理規約を変更し、管理費を管理費と「消費税相当額」に分けて、消費税相当額は消費税率に合わせて自動的に変わるといったような手当てをしないと、大変なことになると感じています。

ぶっちゃけ、これはどこかで大きな社会問題になると思いますが、まだあまり騒がれてはいませんね…
posted by 岡本浩一郎 at 23:05 | TrackBack(0) | 税金・法令

2014年01月17日

戦慄!?

やよいの白色申告 オンラインはTwitterでもかなりの反響を頂いていますが、ちょうど同時期に話題になっているのが、やよいの白色申告 オンライン開発のきっかけともなった白色申告の記帳義務化。特に、ascii.jpの「白色申告も義務化の戦慄! 青色申告と合わせて帳簿付けを解説」という記事が話題になっているようです。「戦慄」というとさすがに煽り過ぎではないかと思いますが(苦笑)、かなりインパクトがあるようです。

代表的な反響としては、「ええ」「聞いていない」「いつ決まったの」というもの。正直認知が進んでいないとは感じていましたが、その通りのようです。この白色申告の記帳義務化が決まったのは2011年(平成23年)の12月なので、実はかなり前から決まっていたこと。本ブログでも2012年7月5日に初めてこの記帳義務化についてお話ししています。もちろん国税庁でも告知は行ってきていましたが、あまり関心がない(持ちたくない?)エリアだけに浸透していないのが現実かと思います。

いよいよ2014年(平成26年)1月からこの記帳義務化が施行されたわけですが、実際にその記帳に基づいて確定申告が必要となるのは、来年、すなわち2015年2月半ばから3月半ばの確定申告時期です。つまり、逆に言えば、今年の確定申告ではまだこの記帳義務化は求められていないことになります。ただ、趣旨としては、日ごろからちゃんと記帳して、それに基づいて確定申告をして下さいということですので、来年の申告に向けて、今年の1月からちゃんと記帳を始めて下さい、ということになります。

念のためですが、記帳が義務化されたからといって、記帳した帳簿そのものを申告の際に提出する必要はありません(これは青色申告も同様です)。ただ、申告した内容に疑義があった場合や、税務調査の対象になった場合に帳簿の提示を求められるということです。

先ほどの記事への反響でもう一つ目立ったのは、「これだったら白色の意味がない」「もはや青色を選ばない理由がない」というもの。これは、本ブログでも度々お話ししていることですが、その通りです。どうせ記帳が必要なのであれば、税金上のメリットが大きい青色申告を選ぶべきだと思います。

ただ、一点落としどころがあって、青色申告はやりたいと思ったらすぐにできるわけではないのです(残念)。これも本ブログでお話ししたことがありますが、青色申告するためには、事前に青色申告承認申請書の提出が必要なのです。このため、これまで白色申告だった方が、今年から記帳が義務化されるから、今回(今年2月〜3月)の確定申告から青色申告にしよう、というのは残念ながらNG。今回は白色申告しつつ、確定申告の際に同時に青色申告承認申請書を提出すれば、ようやく次回(来年2月〜3月)の確定申告で青色申告ができるということになります。

やや我田引水的にまとめますと、これまで白色申告だった方は、今回の確定申告については、記帳に慣れる意味も含め、是非「やよいの白色申告 オンライン」をご活用頂きたいと思います。なおかつ、今回の確定申告と同時に、青色申告承認申請書の提出も忘れずに。次回の確定申告に向けては、「やよいの青色申告 オンライン(仮称)」をご用意しますので、やよいの白色申告 オンラインからスムーズに移行して頂くことができます。
posted by 岡本浩一郎 at 14:14 | TrackBack(0) | 税金・法令

2013年12月25日

年末はふるさとで

年末はふるさとに帰ってという方も多いと思いますが、ここで言うふるさとは、「ふるさと納税」です。ボーナスも出て、年末はいつもより懐が暖かいという方も多いのではないかと思いますが、この時期だからこそふるさと納税はいかがでしょうか。

スモビバ!で現在ランキング1位になっている記事が、「年末に駆け込むべし! おすすめの節税対策」。ふるさと納税はいわゆる節税ではないのですが、どうせ税金を納めるのであれば、自分の希望にあった先に納めることが可能になります。

ふるさと納税はいわゆる節税ではないと書きましたが、納税先からのプレゼント(特産品)目当てにふるさと納税、という節税的な発想もあります。特産品狙いということであれば、こういったサイトが参考になると思います。例えば、1万円ふるさと納税をして、5,000円分のお米や魚といった特産品をもらえる、さらに確定申告をすれば8,000円分税金が減るのであれば、10,000円が13,000円になるわけですから、魅力的なのは事実。ただ私個人としては、税金の使い方としてどうなのかな、と思います。

というのは、先ほど8,000円分税金が減ると書きましたが、これがどこから出てくるかというと、国(所得税)と住んでいる自治体(住民税)。つまり、本来は国や地元の自治体で税金として活用されるべきものが、手元に特産品として返ってくるわけですから、財政の苦しいふるさとを応援しようというふるさと納税の本来の趣旨とはずれているのです。上で書いたように、ふるさと納税は「どうせ税金を納めるのであれば、自分の希望にあった先に納めることが可能になる仕組み」であって、特産品という見返りを求めるものではないと考えています。むろん地元の特産品の販促活動と考えれば、「ダメだ」とも言い切れませんし、色々な考え方はあるので、私の考えを押し付ける気はありませんが。

私自身は、昨年同様、心のふるさとである湯河原町と、岩手県、宮城県、福島県それぞれで東日本大震災による震災孤児等支援のために設立された寄附金(岩手県が「いわての学び希望基金事業」、宮城県が「東日本大震災みやぎこども育英募金」、福島県が「東日本大震災ふくしまこども寄附金」)への寄附を済ませました。残念ながら、一年前(ちょうど一年前の12/25ですね)に指摘した、手続きが自治体ごとの個別最適という点は残念ながら変わっていませんでしたが…。

ふるさと納税は、年末までが一区切りとなって、翌年の確定申告で精算することになります。もう今年も残りわずか。ふるさと納税をお考えの方は是非お早目に。
posted by 岡本浩一郎 at 17:40 | TrackBack(0) | 税金・法令

2013年04月17日

そろそろ口座振替のご準備を

確定申告期間が終わって早一ヶ月。もうすっかり過去の記憶になってしまっているかもしれません。還付申告の方はもう還付されている方も多いのではないでしょうか。

一方で、納付しなければいけない方は来週は要注意です。もちろん既に納付を済ませた方はいいのですが、本ブログでもおススメした振替納税を選択された方は来週の月曜日、4/22(月)に口座振替が行われます。振替納税は、支払を約1ヶ月間伸ばすことができますし、一度手続きすれば、毎回納付の手続きがないという有難い制度です。ただやはり、口座に資金がなければ振替はできませんし、結果的に納税が遅れてしまうことになりますのでご注意ください。

なお、消費税については、確定申告期間が(今年は週明けの)4/1(月)まで、金融機関などでの納付も4/1まででしたが、口座振替を選んだ場合は4/24(水)の振替になっています。こちらもお忘れなく。
posted by 岡本浩一郎 at 17:44 | TrackBack(0) | 税金・法令

2013年03月15日

振替納税

さあ、いよいよ3月15日。平成24年分の所得税の確定申告は泣いても笑っても今日までが期限です。今日中に仕上げるけど、ギリギリになりそうという方は、是非昨年3月15日の「まだ間に合う!」という記事を参考にして下さい。

今日は、申告の期限でもありますが、同時に(税金の還付ではなく)納付となった場合の納付期限でもあります。ただ、金融機関で納付するとなると、時間的な制約がありますね。納付が間に合わないという方は、振替納税を選ぶことをお勧めします。

振替納税にしておけば、わざわざ納付の手続きをしなくても、期日(今回の場合、平成25年4月22日)に自動的に引き落としてくれます。振替納税の手続きはこちらをご参照ください。預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書を確定申告書と同封して今日中の消印(ポスト投函ではなく、夜間窓口などで今日中の消印になることを確認して下さい)で郵送すればokです。

支払はできるだけ遅く、という商売の鉄則からも、支払を約1ヶ月間伸ばすことができる振替納税はおススメです。ただ、4月22日には引き落としになりますので、資金をちゃんと確保しておくことは忘れずに。
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2013年03月14日

いつ青色申告にするか? 今でしょ!

とりあえず流行り物にはのっておけ、という安直なタイトルで恐縮です…

昨日は、白色申告でも記帳が義務化されるため、どうせ記帳するなら税金上のメリットが大きい青色申告を選ぶべき、というお話しをしました。ただ、青色申告は、やりたいと思ったら勝手にできるわけではありません。青色申告をしますという届け出を事前に提出する必要があります。

正確に言えば、「所得税の青色申告承認申請書」というものになります。現物はこちら(pdf)。名称は「承認申請書」ですが、特段問題がなければ承認されるので、事実上の届け出と考えて差し支えありません。来年の確定申告こそ青色申告で、という方はこの書類を今年の3月15日までに提出する必要があります(今年起業される場合には、業務を開始した日から2ヶ月以内)。そう、明日までです。

でも、どう書けばいいの? という方はこちらをご覧ください(pdfはこちら)。

2013031401.jpg

これは「やよいの青色申告 13」に同梱されている「大きな図ですぐわかる はじめての青色申告」という書籍で紹介されているものです。やよいの青色申告 13をお買い上げ頂ければ(やよいの見積・納品・請求書 13とのセット商品は除く)、ご覧頂けるのですが、本日は特別に出版元のアスキーさんから許諾頂きました。なお、この記入例では屋号を記入していますが、屋号はなくても構いません。

なお、所得税の青色申告承認申請書とあわせて提出しておいた方がいい書類として、個人事業の開業・廃業等届出書(開業の届け出がまだ済んでいない場合に必要、現物はこちら書き方はこちら)、そして、青色事業者専従者給与に関する届出書(家族に事業を手伝ってもらい給与を払う場合に必要、現物はこちら書き方はこちら)といったものがありますので、必要に応じ、一緒に提出しておきましょう。

でも、税務署に行っている時間が…という方でも大丈夫。これらの申請書/届出書は郵送することができます。でも、どの税務署に、という方はこのページで管轄の税務署を確認することができます。郵送する際には、提出する書類にあわせ、控え(コピー)と返送用の封筒(切手付き)を同封しておくと、受付印を押して返送してもらえます。郵送する場合には、期限である明日に到着する必要はなく、明日の消印があれば大丈夫です。

また、少々後ろ向きな話ですが、青色申告承認申請書を出しても、実際の確定申告の際に、白色申告とすることも可能です。青色申告承認申請は、「青色の申告書により提出することができる」という位置付けなので、申請はしておいて、諸般の事情で難しいとなったら、白色申告で提出することも可能です。

さあ、ここまでご説明しましたので、もうやらない理由はないですね。いつ届け出しますか? 今でしょ!
posted by 岡本浩一郎 at 20:18 | TrackBack(0) | 税金・法令

2013年03月13日

それでもまだ白色申告を選びますか?

昨日は、青色申告の金銭的メリットについてお話ししました。あくまでも目安にはなりますが、青色申告をすれば、青色申告特別控除65万円によって、65万円×23.5%(所得税で最低5%、住民税で10%、国民健康保険料で8.5%)の15.3万円が節税できます。15万円。結構大きいですよね。しかも税金が減る、すなわち手取りとしてこれだけ増えるということです。一方で、白色申告には、このメリットはありません。言い方を変えると、白色申告ではより高い税金を納める必要があります。

もっとも、これまでは白色申告で所得が300万円以下の場合には記帳の義務がないことで、バランスが取れていたと言えば取れていました。つまり、税金上のメリットはないけど、記帳の義務がない白色申告に対し、記帳が必要だけど税金上のメリットのある青色申告、という訳です。

しかし、間もなくこのバランスが崩れようとしています。以前も本ブログでお話ししましたが、平成26年(2014年)1月からは、白色申告で所得が300万円以下の場合でも、記帳と帳簿の保存が義務付けられることになります。すなわち、税金上のメリットはないけど、記帳の義務はある白色申告に対し、記帳は必要だけど、税金上のメリットのある青色申告という構図に変わります。バランスが…取れていませんね。

正確に言えば、白色申告で必要とされる記帳は簡易的な方法でいいとされていますので、まだトレードオフの関係にはあります。簡易的な記帳の義務はあるけど税金上のメリットがない白色申告 vs. 記帳の義務がある代わりに税金上のメリットがある青色申告ということですね。

でもやっぱり、どうせ記帳するなら、税金上のメリットが大きい方がいいですよね。そう考える方が多いようで、Twitterなどで見ていても、これを機会に来年からは青色申告という方がかなり多いようです(税務署でも、白色申告も大変になるから青色申告へ、と促されるようですね)。どうでしょうか、それでもまだ白色申告を選びますか?
posted by 岡本浩一郎 at 19:34 | TrackBack(0) | 税金・法令

2013年03月12日

青色申告による節税のメカニズム

先日、「かんたん税金計算」ツールをご紹介しましたが、実際に試されると、青色申告による節税が想像以上に大きいことに驚かれるのではないかと思います。例えば、1年間の売上金額が400万円、1年間の経費・仕入金額が100万円で計算してみると、その差は実に18.5万円。

この差がどこで生まれるかは、「納税額の内訳」を見て頂ければ明確なのですが、このケースでいうと、所得税が白色申告で164,000円から青色申告で99,000円に65,000円ダウン。住民税は271,000円から206,000円でやはり65,000円ダウン。さらに国民健康保険料が267,000円から212,000に55,000円ダウンしています。所得税で6.5万円、住民税で6.5万円、国民健康保険料で5.5万円で合計18.5万円の節税ということですね。

これはどういうことか。青色申告であり、青色申告特別控除というのは、あくまでも所得税上の制度なのですが、実は、住民税や国民健康保険料も所得税上の「所得金額」で計算されるため、結果的に青色申告特別控除が効いて節税になるのです。

以下の図のように、個人事業主の所得税の計算に当たっては、まず売上から経費・仕入を引きます。いわゆる利益ということになりますが、税金の計算上は所得金額という表現になります。ただ、この際、青色申告特別控除はあたかも経費であったかのように売上から引くことができます。つまり、特別控除の分だけ、所得金額が減ります。

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この所得税上の所得金額から、所得税で適用される所得控除(例えば、基礎控除や扶養控除など)を引くと「課税される所得金額」になり、さらにそこに所得税率(5%から40%の累進税率)をかけると所得税が計算されます。

実は、住民税の仕組みもほぼ同様、なおかつ、計算の出発点は、所得税上の所得金額になります。同じ所得税上の所得金額から、今度は住民税で適用される所得控除(例えば、基礎控除や扶養控除など所得税と共通するものが多いですが、控除金額は異なります)を引くと住民税上の「課税される所得金額」になり、さらにそこに住民税率(基本的に10%)をかけると住民税が計算されます。ここでミソなのは、出発点が所得税上の所得金額であるということですね。すなわち、既に青色申告特別控除が引かれた数字であり、結果的に、青色申告特別控除によって住民税も下がることになります。

国民健康保険料(国民健康保険税)も似たような状況です。国民健康保険料は、計算の出発点が、所得税上の所得金額になるケース(旧ただし書き方式、主流はこちら)と、住民税から計算されるケース(住民税方式)があるのですが、いずれにしても、結果的には、青色申告特別控除によって税金が下がることになります。ただし、国民健康保険料は自治体によって、計算方法や料率が異なるので、どこまで税金が下がるのかは自治体によります。今回の「かんたん税金計算」は東京都千代田区の平成24年度の料率で計算しています。

これらを料率という視点で整理すると、所得税で最低5%、住民税で10%、国民健康保険料で8.5%の料率だとして、合計で23.5%になりますので、青色申告特別控除65万円によって、65万円×23.5%の15.3万円が節税できることになります(所得税が10%だと合計28.5%になり、65万円×28.5%の18.5万円の節税になります)。

かなり大きい金額ですよね。青色申告がこれだけの節税になることは意外に知られていないのですが、紛れもない事実です(ただし、国民健康保険料に関しては、計算方式が自治体によって異なるので100%とは言い切れないのですが、これまでのところ、青色申告によって国民健康保険料が節税にならない自治体は確認されていません)。家電量販店などでお話しするとビックリされる方が多いですね。青色申告特別控除が65万円得られると言われてもなかなかピンとこないですが、手取り(節税額なので)が15万円以上増えますというと、途端にピンとくるようです。

この節税のメカニズムについては、昨年のこの時期に徹底的に解説していますので、もっと知りたいという方は是非以下の記事もご参照ください。

2012/03/07 青色申告で節税 (その1)
2012/03/09 青色申告で節税 (その2)
2012/03/12 青色申告で節税 (その3)
2012/03/13 青色申告で節税 (その4)
2012/03/14 青色申告で節税 (その5)

posted by 岡本浩一郎 at 19:26 | TrackBack(0) | 税金・法令

2013年03月06日

あと9日間…

今年の確定申告も終了まであと9日間(今日を入れて10日間)になりました。もう申告を終えてホッとした方も着々と増えていますが、さすがにやばいと焦っている方も多いようです。まだ週末も一回ありますし、キチンと向き合えばまだまだ間に合うタイミングですが、逆に言えば、さすがにもう現実逃避している余裕はありませんね。

確定申告書を準備する上で少しでも参考になればということで、先週は生命保険料控除についてお話ししました。生命保険料控除はこれまではさほど難しい仕組みではなかったのですが、今回から認められる控除額の上限は上がったものの、制度としては少々複雑な仕組みになりました。

より多くの控除が認められるようになったものの、制度として複雑になったというのは、ここ数年の寄附金控除も同様です。ただし、前回から今回では基本的に変更はありません(ただし、申告書上の様式がわずかに変わっていますので、要注意です)。寄附金控除については、昨年記事にしていますので、是非参考にして下さい。

2012/02/24 寄附金控除
2012/02/28 寄附金控除の震災特例
2012/03/02 寄附金控除の実例
(よく見てみると、「寄附金」と「寄付金」で表記が揺らいでいますね。今後は基本的に「寄附金」に統一したいと思いますが、過去分はご容赦ください)

結果として多くの控除が認められるようになっているので、文句は言えませんが、寄附金控除も前回お話しした建て直しではなく建て増しをしていることによる弊害は否定できませんね…。
posted by 岡本浩一郎 at 19:28 | TrackBack(0) | 税金・法令

2013年03月04日

建て増しと建て直し

前回は生命保険料控除について書きました。これまで(一般的な)生命保険料による控除が最大5万円、個人年金保険料による控除が最大5万円の合計最大10万円の控除だったのですが、今回から新たに介護医療保険料という区分が設けられ、(一般)生命保険料で4万円、個人年金保険料で4万円、介護医療保険料で4万円の合計12万円まで生命保険料控除が認められるようになりました。

前回の記事を書いていて「あれ?」と思って確認したのですが、今回の変更を受け、今ある保険をいったん解約して、再度契約しなおすことによって節税ができるケースがあります。というのも、前回の例として出したライフネット生命の「就業不能保険」は旧契約(平成23年12月31日までに契約されたもの)としては一般契約になるものの、新契約(平成24年以降に契約されたもの)としては介護医療保険として区分されるからです。

新契約として介護医療保険として区分されるようになれば、これまでの一般契約での最大5万円の控除に加え(もともと一般の区分で控除の上限に達している契約が別途あるという前提)、新たに最大4万円の控除を受けることができます。実際に試算してみましたが、一旦解約して再度契約することによって(契約時の年齢が上がるため)保険料が多少(年間6,000円程度)あがるものの、生命保険料控除が4万円増えれば、実効税率が20%以上であればペイします(40,000円×20%=8,000円 > 6,000円)。

ただ一方で、正直これはいかがなものかと思っています。保障内容が同じ保険なのに、いったん解約して再度契約するだけで、所得税上の扱いが変わる。今回の改正では、これまで生命保険料控除を受けていた人に(プラスにも、マイナスにも)影響がでないように、平成23年12月31日までの契約かどうかで扱いを変えています。もちろん、よかれと思ってなのでしょうが、結果的に、制度を複雑に、わかりにくくし、場合によって一度契約を解除して再契約することによって控除が増えるという一見不思議なことも起こります。

これまでとの連続性という視点ももちろん重要だと思うのですが、今回の税制改正で実現された(一般)生命保険料で4万円、個人年金保険料で4万円、介護医療保険料で4万円の合計12万円こそがあるべき姿なのであれば、いつまでの契約によりといった複雑な仕組みではなく、全面的に新たな区分にすべきなのではないでしょうか。これまでの仕組みの上にさらに新たな仕組みを無理やり建て増しするのではなく、再度シンプルで誰にでも理解できる仕組みとして再設計する。

複雑な仕組みの方が会計/申告のシステムとしては価値を提供しやすいというのも事実です。人にはなかなか理解できない、計算できないから、システムで。ただ、人にはなかなか理解できない仕組み自体が本当にいいものだとは思えません。今後も社会保障と税の一体改革の中で法令改正が多く続くものと思いますが、目先の波風を立てないために既存の仕組みを温存しつつ新たな仕組みを建て増すのではなく、「本当にあるべき仕組み」を目指して建て直すことも必要なのではないかと感じています。
posted by 岡本浩一郎 at 22:50 | TrackBack(0) | 税金・法令

2013年03月01日

生命保険料控除の記入例

例年は2月上旬を目指していた自分の確定申告(還付申告のため、確定申告期間前でもok)ですが、今年はバタバタしている中でもう3月になってしまいました。ようやく準備が完了し、後は送るだけです。ギリギリでああどうしよう、とはならなくてホッとしています。

確定申告書は毎年何らかの変更が入るのですが(弥生会計/やよいの青色申告ではバージョンアップによってこういった変更に対応しています)、今年の変更として大きかったのが、生命保険料控除。去年(平成23年分)の記入欄はこちら。

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これに対し、今年(平成24年分)はこうなりました(生命保険料控除の箇所が明るくなっていますが、弥生会計/やよいの青色申告はこの「ライトボックス」という仕掛けにより、今どこに入力すべきかがはっきりわかるようになっています)。

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生命保険料控除が拡充されたために、記入する内容が増え、その関係で、地震保険料の記入欄が下に押し出されました。そうなると縦が足りなくなるので、社会保険料の記入欄が一行減っています。ちなみに、画像では見えませんが寄付金控除欄の「震災関連寄附金」の位置も微妙に変わっています。

さて、生命保険料控除は、これまで(一般的な)生命保険料による控除が最大5万円、個人年金保険料による控除が最大5万円の合計最大10万円の控除だったのですが、今回から新たに介護医療保険料という区分が設けられ、(一般)生命保険料で4万円、個人年金保険料で4万円、介護医療保険料で4万円の合計12万円まで認められるようになりました。ただし、平成23年12月31日までに契約した契約はこれまで通り2区分で、それぞれ5万円までというのも残したままなので、かなり複雑な仕組みになりました。

でも弥生ならご安心ください。先ほどの生命保険料控除のエリアをクリックするとこのような画面が表示され、この画面の案内に従って記入すれば、控除額を完全に自動で計算してくれます。この例は、旧契約と新契約が混在しており、それぞれでの控除額(5万円、4万円、4万円)の合計が上限である12万円を超えるため、控除額は上限の12万円という複雑な例になりますが、保険料さえ入力すれば、控除額は弥生が計算します。

2013030103_Input.jpg

自分の保険がどれに該当するのかは、保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書に明記されています。この例では「適用制度」という欄に「旧制度(一般)」と書いてありますね(微妙にライフネット生命の宣伝をしてみたり…)。ちなみに間違えがちですが、確定申告で申告する際の保険料は【ご参考】として記載されている「本年末日までに12月分までの保険料をお払込いただいた時のご申告額」です(もちろん、12月まで継続して加入していた場合です)。

2013030104_Ins.jpg

青色申告ソフトと一口に言っても、そもそも確定申告書の作成機能を持たないソフト(作成できるのは青色申告決算書まで)もありますし、確定申告書は作成できるけれど、自分で控除額を計算して控除額を直接入力する、なおかつ、控除額の上限チェックも行わないというソフトも存在します。この場合、容易に間違ってしまう可能性がありますので、気を付けましょう。もちろん、弥生ならば、かんたん、やさしい、確実です(最後は弥生の宣伝で…)。
posted by 岡本浩一郎 at 20:07 | TrackBack(0) | 税金・法令

2013年02月08日

確定申告秒読み

今年の確定申告期間は2月18日(月)から。もうあと10日でスタートです。

Twitterでも、「ああまだ準備が全然できていない、どうしよう…」という方と「終わった―」という方が入り混じった状態です。申告期間前なのに終わったってどういうこと、と思われるかもしれませんが、税金が返ってくる還付申告に関しては申告期間前から受け付けてもらえるのです。また、e-taxの場合には、還付でなくても期間前から受け付てもらえるようです(国税庁のよくあるお問合わせでは還付申告についてしか記述されていませんが…)。

弥生会計/やよいの青色申告向けの平成24年分確定申告モジュールも1月22日からオンラインアップデートでの提供を開始しています。昨年中からコツコツと記帳していた方は、まずはモジュールを適用して頂いて、あとはちょっとした入力と確認で1〜2時間、長くても半日で終了するのではないかと思います。

一方で、まだ全く手を付けていないという方も諦める必要はありません。明日も午後3時から店頭イベントを開催しますが、このイベントでやよいの青色申告を買ってからでもまだまだ間に合います。明日の店頭イベントは午後3時から、ヨドバシカメラ マルチメディア梅田の地下2階、PCソフトコーナーで開催します。

ただ、毎週末イベントがあることもあり、私自身の確定申告が終わっておりません。私は事業所得ではなく給与所得が主なので、準備にそれほど時間はかかりません。還付申告なので、毎年だいたい申告期間前に終わらせるようにするのですが、今年はまだ目処が経っておらず…。紺屋の白袴にならないように来週こそ準備したいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 18:10 | TrackBack(0) | 税金・法令

2012年12月25日

寄附について補足

前回の記事で「寄附をするなら今年のうちに」と書いたこともあり、先週末の連休に準備をして、今日全ての寄附を済ませました。今年もふるさと納税の仕組みを活用して被災地の3県(岩手県宮城県福島県)に寄附をしたのですが、その経験から少々補足を。一般に被災地の自治体向けの寄附には、「義援金」としての寄附と、「寄附金」としての寄附があります。義援金は、自治体に対する寄附の形をとりますが、その後、被災された方に配分されます。寄附金は、自治体が復興活動などを進める上で、自治体の判断で使えるお金となります。これらは明確に区別されており、必要となる手続きも異なります。

義援金については、かなり簡単な手続きで済みます。基本的には、指定されている口座に振り込むのみ。寄附金控除が認められるためには、一般的には寄附した自治体からの受領証が必要ですが、金融機関での振込の控えと義援金に関するウェブサイトページを印刷したもので代用することも可能です。なお、義援金に関しては、ある程度まとまった段階で配分委員会によって、被災者の方に配分される関係上(おそらく、少額でずっと続いても、配分が難しくなるからかと)、ある段階で受け付けを終了するようです。確認できた範囲では、宮城県と福島県で来年3月末までの受付となるようです。

一方で、寄附金については、一般的に寄附の申込書が必要となるようです。指定口座への振込だけでは完結せず、別途申込書の送付が必要になります。

私は今回は、義援金でも、(通常の)寄附金でもなく、東日本大震災による震災孤児等支援のために設立された寄附金への寄附を行いました。名称は県ごとに微妙に異なって、岩手県が「いわての学び希望基金事業」、宮城県が「東日本大震災みやぎこども育英募金」、福島県が「東日本大震災ふくしまこども寄附金」です。扱い的には、寄附金に近く、指定口座への振込だけでは完結せず、別途申込書の送付が必要になります。

名称も微妙に異なるのですが、手続きも異なります。宮城県と福島県はかなり似ており、寄附の申込書も非常に似通っているのですが、細かい差異ではあるものの、宮城県は寄附「申出」書で、福島県は寄附「申込」書と異なったり、氏名に振り仮名の欄があったりなかったり、メールアドレスの記入欄があったりなかったり。一方で、岩手県はかなり流れが異なります。宮城県と福島県は振込先の銀行口座が明記されており、先に振り込んでしまうことも可能ですが、岩手県では、まず申し込まない限り(ちなみにこちらも申出書ですが、様式がかなり異なります)、振込先がわかりません。その代わりというわけではありませんが、支払い方法が口座振込だけではなく、カード決済(Yahoo!公金支払い)もできます。今回は、岩手県については、折角ですので、Yahoo!公金支払いを利用してみました。ネットのヘビーユーザーとしては簡単でいいですね。

改めて思うのは、やはりどうしても自治体ごとの個別最適なのだな、ということ。もちろん、各自治体の担当者の方は、最大限の熱意で大変な努力をされているのだと思いますが、各自治体ごとに手続きが必要で、しかもそれが微妙に異なっているのを目の当りにすると、もっと効率化できる(それによって要らなくなった労力をもっと有意義に活用できる)と感じてしまいます。また、制度的に色々と制約はあるのだと思いますが、寄附の前に申込みが必要だというのも、正直何とかならないかと思います。これまで複数のNPOに寄附していますが、寄付の前に申込みが必要だったことなどありません。ふるさと納税が増えすぎると財政の管理が難しくなる(自治体にとっては税収の予測が難しくなりますし、国にとっても持ち出しが増える)ので、ふるさと納税という仕組み自体は用意しながらも、あまり積極的に活用されないようにしたいのでは、とも勘繰りたくなってしまいます。

ちょっと厳しい意見になってしまいましたが、とても有意義な制度だけに、もっと気軽に利用されるようになって欲しいと願っています。

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話題ははずれますが、折角なので、今日しかできないネタを少々。今年は初めて生木のクリスマスツリーを飾ってみました。水遣りはするものの、既に切られた木(なおかつ、室内のように暖かいのが苦手らしい)なので、結構葉が落ちるとは聞いていたのですが、何とか本番まで持ちました。ただ、葉っぱがかなり茶色になってしまい、緑のツリーというよりは、茶緑のツリーです。ただ、やはり生木らしく、とても良い香りがするのがいいですね。このツリーはIKEAで購入したのですが、年明けにIKEAに持って帰るとちゃんとリサイクルされるそうです。皆さま、メリークリスマス。
posted by 岡本浩一郎 at 22:41 | TrackBack(0) | 税金・法令

2012年12月21日

寄附をするなら今年のうちに

バタバタとしていたら、もうあっという間に年末ですね。残す営業日は来週の4日間のみ。昨日で年内最終の出張が終わり、後はオフィスでじっくりと書類整理と来年に向けた計画… と言いたいところですが、来週も普通に打合せが入っていますし、年賀状もまだまだ、さらにやはり年末にはオフィスの掃除をしないと、と考えると結局最後までバタバタしそうです。

さて、年内に終えなければいけない仕事もありますが、他にも年内にやっておいた方がいいことがあります。それは寄附。一定の条件に該当する寄附をすると、寄附金控除によって、所得税や住民税が軽減されますが、今年の所得から寄附金控除を受けるためには、寄附も今年中に行う必要があります。

東日本大震災もあり、昨年から今年にかけては、本ブログでも寄附金控除について色々と書いてきました。震災に対し、寄附金を通じて皆で支えあうというのはとても素晴らしいことなのですが、結果として寄附金控除の仕組みも複雑になっています。主な記事をピックアップしましたので、宜しければ是非参考にしてみてください。

2012/2/24 寄附金控除
2012/2/28 寄附金控除の震災特例
2012/3/2 寄附金控除の実例

posted by 岡本浩一郎 at 23:17 | TrackBack(0) | 税金・法令

2012年07月12日

そもそも申告しない?

前々回に白色申告で記帳が義務化されること、これにともなって、これまで以上に青色申告の優位性が高まるというお話をしました。ただ、一方でこんな疑問もあるかもしれません。そもそも申告しなければいけないの、と。実際問題として、個人で事業をしているけれど、これまで申告をしたことがないという人はいらっしゃるようです。お店を構えている方はさすがに目立ち過ぎですが、フリーランスで主に自宅で仕事をされているという方で、忙しい、あるいは、やり方がわからない等の理由で最初の年に申告をし損ない、そのままずっと無申告というケースもあるようです。

ただ、これは下手をすれば脱税。ばれた暁にはかなり痛い思いをすることになります。その体験談(?)的なブログがありましたので、ご紹介させて頂きます。

申告していない個人事業のフリーランスへ、あなたの売り上げに税務署が目を付ける理由

このケースでは、取引先に税務調査が入ったことが無申告が判明するきっかけになっています。取引先が経費として計上しており(これは当然ですね)、税務署がその裏を取ったところ、支払いの事実はあったが、支払先(=自分)が申告していないことがばれてしまったということです。一方、税務調査によらなくても、税務署には一定の支払いを把握する手段があります。支払調書というものです。

フリーランスの方が、例えば原稿を書いて原稿料を受け取った場合、この原稿料には源泉徴収義務が発生します。取引先が原則として10%を源泉徴収し、残りを支払います。この10%は、決して取引先が懐に入れてしまうのではなく、フリーランスの方に代わって、取引先が税務署に納付します(原則として翌月10日までに)。なおかつ、納付して終わりではなく、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を作成し、翌年1月31日までに税務署長に提出しなければなりません(ただし、同一人に年間5万円以下は支払調書が必要ないとされています)。

つまり、この支払調書によって、税務署は原稿料が払われたという事実を把握できるのです。それなのに、申告をしていなかったら… バレバレですね。

なかには、源泉徴収されているから、税金はそれで済みなんではないの、と誤解されている方もいらっしゃるようですが、この源泉徴収はあくまで仮納付の位置付け(これに対し、例えば預金の利息に対する源泉徴収は、それで全て完結しますので、位置付けが大きく異なりますね)。報酬等の源泉徴収は、あくまでも確定申告で確定、本納付となりますので、お間違えのないよう。
posted by 岡本浩一郎 at 18:00 | TrackBack(0) | 税金・法令

2012年07月05日

白色申告の記帳義務化

前回、最大65万円の青色申告特別控除は、キチンと帳簿を付けたことに対するご褒美でもあると書きました。しかし、実は、この前提条件が変わろうとしています。青色申告の有利さは変わらないので、既に青色申告をされている方、あるいは、今度こそは青色申告と考えられている方はご安心ください。

では何が変わるのかというと、白色申告でも、必ず帳簿を付けることが必要となるのです。現在は、所得が300万円以下の場合は帳簿を付ける義務がありません。売上ではなく所得(売上から経費を引いたあと)で300万円以下ですから、帳簿を付けないで済んでいる方はかなりの数になると思われます。さすがにこれは適切な申告が確保できないということで、平成26年1月からは、全員(事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき業務を行う全ての方)に帳簿作成とその保存の義務が課されるようになります

こうなると話が変わりますね。「帳簿付けが必要だけど様々に優遇される青色申告 vs. 帳簿付けが必要ないかわりに優遇もない白色申告」という構図から、両方帳簿付けが必要だが、青色申告のみ優遇される、ということになります。

ただし、白色申告の場合、帳簿は簡易な方法で記載してもよいとされています。簡易な方法というのは、言いかえると複式簿記でなくてよいということです。例えば費用を計上する際に、青色申告で必要とされる複式簿記の場合は、「1,000円の書籍を購入し、それを現金から支出した」(新聞図書費 1,000/現金 1,000)という形で帳簿を記載しますが、簡易な方法の場合、「1,000円の書籍を購入した」とだけ記載すればいいのです。つまり、「キチンとした帳簿付けが必要だけど様々に優遇される青色申告 vs. 優遇はないが、簡易的な帳簿付けで済む白色申告」という構図になるわけです。

これで全ての方が白色申告から青色申告になるということは(少なくとも短期的には)ないと思いますが、折角帳簿を付けるのであれば、キチンと付けて、その分青色申告のメリットを享受することをお勧めしたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 20:21 | TrackBack(0) | 税金・法令