2015年09月11日

本当の狙いは

前々回から、マイナンバーを利用して2%分の消費税を還付する制度について考えてきました。今日の朝刊では、日本型軽減税率制度の財務省案として掲載されましたが、概ね事前に報道された通りで、特に新しい情報はありませんでした。

この日本型軽減税率制度について、これまで色々と考えてきましたが、やはり、特に費用対効果の観点から、首を傾げざるを得ない仕組みです。給付付き税額控除という制度であれば、ほぼ同じようなメリットを提供でき、なおかつ費用対効果が高いからです。それでもなぜこの日本型軽減税率制度なのか。一つの大きな理由が、この制度名称からにもあるように、あくまでも「軽減税率」の制度に拘っているということでしょう。

ただ、今回の仕組みを飲食料品に関する軽減税率を実現する仕組みとしてではなく、もっと壮大な社会的なインフラとして考えれば、首を傾げざるを得ない仕組みから、極めて合理的な仕組み(賛否両論だとは思いますが)に180度変わりうるのです。それがもう一つの、かつ、実は本当の狙いなのかもしれません。その極めて合理的な仕組みを既に実現しているのが、韓国の現金領収書の仕組みです。

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実は韓国では、既に物品(飲食料品に限らず)を現金で買う際に、個人を特定するIDを提示することが一般的になっています。そしてその情報は、韓国の国税庁に集約されるようになっています。もっとも、それは軽減税率のためではありません(改めてお話ししますが、軽減税率ではないものの、個人にメリットがあるような仕組みにはなっています)。

税金を徴収する側からすると、一番困るのは事業者に売上を隠されること。売上を隠してしまえば、それに見合う利益もなくなりますし、結果として納税する額を減らすことができます。これはもちろん犯罪ですが、よくあることであるのも事実。実際、POSレジのないような飲食店(昔ながらのパターンで言えば、カゴに小銭を入れてぶら下げている八百屋さんもそうですね)では、売上がなかったことにするのは容易です。当然のことながら、日経での「税務署は見ている」という連載でも度々語られていますが、税務調査でも売上が隠されていないのかは大きな焦点になります。

一方、海外では、事業者が売上を隠すことを防ぐための仕掛けとして、例えば、決まった用紙での領収書発行を義務付けることがあります。代表的なのが、台湾の統一発票というものです。韓国の現金領収書という仕組みもこの延長線上にあります。すなわち、必ず領収書を発行させ、さらにそれをデータとして収集する。その狙いは、隠されがちな現金での売り上げを漏れなく捕捉しようというものです。

韓国の現金領収書と同様に、今回の日本型軽減税率制度も購買履歴を収集し、一元管理する仕組みです。この仕組みでは、個人の購買行動が把握される、という懸念が多く聞かれますが、その実際の狙いは、買った人の履歴を捕捉することではなく、売った人の履歴を捕捉することと考えたらどうでしょうか。つまり、日本型軽減税率制度は、その実、韓国の現金領収書のように、売上を漏れなく捕捉するための仕組みと考えたら。

この仕組みは間違えなく様々な議論を呼ぶでしょう。ただ、真面目に税金を納めている人からすれば特に恐れるような仕組みではありません。個人的には社会的な公平性と効率性を実現するためには、極めて合理的な仕組みだと考えていますし、結論はともかく、真剣に検討すべき仕組みだと考えています。

[参考]
韓国の現金領収書の仕組みについては、こちらのレポート(pdf)のp172~が詳しいです。
台湾の統一発票については、こちらのレポート(pdf)をご参照ください。
posted by 岡本浩一郎 at 18:50 | TrackBack(0) | 税金・法令

2015年09月10日

本当の狙いは別のところに?

昨日お話ししたマイナンバーを利用して2%分の消費税を還付する制度ですが、冷静になって考えるほど、疑問が湧いてきます。本当にこの制度が実現可能なのか、実現は可能だとしても特に費用対効果という観点から妥当性のあるものかどうか。

まずは実現可能かどうか、ですが、技術的に実現可能かどうか、と言われれば可能でしょう。ある意味、Tポイントカードのようなポイントの仕組みと同様と言えば同様ですから。購買履歴に対し、2%(正確に言えば税込価格の2/110)のポイントを蓄積し、それをあるタイミングで現金として振り込む。後述する費用の観点を一旦脇に置けば、販売者が準備しなければならないICカードリーダーも技術的には問題ありません。インターネットに接続していないお店のために、ICカードリーダー自体に通信機能を付与することも可能でしょう(ただし、電波の届かないところもゼロではないですよね)。

とはいえ現実的には課題は山積みです。まずは準備の時間。軽減税率は2017年度に導入するとされていますが、「軽減ポイント蓄積センター(仮称)」の構築は何とか間に合わせるにしても、ICカードリーダーを全国津々浦々に存在するお店(対象は酒を除く飲食料品を扱うお店に限られますが)に行き渡らせることができるかというと、これはまず不可能でしょう。とりあえず強制的に送りつけることはできるかもしれませんが、そもそもPOSレジもないような個人商店で実際に使えるようにするには時間が足りません。

もっとも、時間に関しては、2017年度の導入を諦めるとすれば何とかなりそうな気もします(10%引き上げからこの制度導入までの期間は簡易的な給付措置など暫定的な対応を行う前提で)。

ある意味、時間以上に課題が大きいのはセキュリティでしょう。還付を受けるためには個人番号カードを常時持ち歩かなければならない(落としたらどうする?)。また、ICカードリーダーで読み取る際にも、カード上に記載されている個人番号を店員に見られないように(店員も見ないように)しないといけない。さらに、飲食料品をネットで購入する場合には、購入時に(もしくは予め)個人番号を入力しなければならない、そして販売業者はそれをありとあらゆる手段を使って秘密に保たなければならない。

実はこれらは課題としては本質的ではありません。以前本ブログでも書きましたが、個人番号はあくまで個人を特定するIDであって、その個人であることを証明するパスワードではありません。情報セキュリティの観点では、秘密に保たれるべきはパスワードであって、IDではありません。一方で、個人番号は法律によって特定個人情報として極めて秘密性を高く保たれることが求められており(それができない場合には懲役刑すらありうる!)、それがマイナンバーを今回の制度に活用することを極めて難しくしています。

ただ課題が山積みの中で、最大の問題は費用対効果でしょう。前回もお話したように、今回、還付には一人年間4,000円程度の上限が定められるそうです。となると、人口を1億2千万として、還付される額は、約5,000億円。一方で、購買金額を記録する「軽減ポイント蓄積センター(仮称)」の整備に約3,000億円かかるそうです(第二の国立競技場ですとか、新たな天下り組織と否定的な意見が早速聞こえてきています)。さらに、ICカードリーダーを広く普及させるために数百億円使うと言う話も聞こえてきます(ただ、個人商店に行き渡らせることはできても、実際に使えるようにするためにはもっとお金がかかるでしょう)。5,000億円を還付するために、3,000億円以上かける。もちろん還付される額は毎年で、整備費用は一過性ですので、apple to appleではありませんが、整備されたシステムの維持費用もありますし、少なくともかなりコストのかかる仕組みであることは事実でしょう。

ある意味この制度の最大の難点は、同様の効果を持ちえて、なおかつ、上に挙げたような課題がほとんどない代替制度がありうるということでしょう。それは前回もお話した給付付き税額控除です。

今回の制度では、一人年間4,000円程度の上限が定められると書きましたが、これは酒を除く飲食料品で年間20万円ほど支出するという計算になります。一人年間20万円、すなわち月2万円以下ですから、確かに誰でもがこの制度のメリット(還付)を受けることになるでしょう。ただ、逆に、誰でもメリットを受けるのであれば、面倒くさい仕組みを導入することなく、単純に一人当たり4,000円を支給するという発想が生まれます。

このアプローチでは、支給するのではなく、税金(所得税)から差し引く(税額控除)というやり方も可能です。以前行われたこともある定額減税がこのやり方ですね。ただ、税金から差し引くやり方の場合、そもそもそこまで税金を払っていない人はメリットをすべて受けることができない、という課題があります。つまり税金を10,000円納めている人は4,000円の控除を受けて負担が6,000円(4,000円のメリットを受けた)になりますが、税金を1,000円納めている人は、1,000円しか控除を受けられない。

この課題を解消しようとするのが給付付き税額控除で、税金を10,000円納めている人は4,000円の控除を受けて負担が6,000円(4,000円のメリットを受けた)というところまでは同じですが、税金を1,000円納めている人は、1,000円控除を受けて税額が0円になった上で、さらに3,000円の給付を受けられる(合計4,000円のメリットを受けられる)という仕組みです。

この給付付き税額控除の場合、マイナンバーで還付方式と異なり、大掛かりな仕組みの整備は必要ありません。基本的にこれまでの税金計算/納付の仕組みの延長線上で実現できます。つまり給付付き税額控除は圧倒的に費用対効果が高いということになります。

では、ほぼ同じようなメリットを提供でき、なおかつ費用対効果が高い制度が存在するのに、なぜ今回課題が山積みのマイナンバーで還付方式が急浮上してきているのでしょうか。それは、後者は政権公約である軽減税率の一種だ、と主張できるから、ということでしょう。

ただ、実は、今回の仕組み、飲食料品に関する軽減税率を実現する仕組みとしてではなく、もっと壮大な社会的なインフラとして考えれば、首を傾げざるを得ない仕組みから、極めて合理的な仕組み(賛否両論だとは思いますが)に180度変わりうるのです。その極めて合理的な仕組みを既に実現しているのが、韓国の現金領収書の仕組みです。次回は、この現金領収書についてお話してみたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 21:43 | TrackBack(0) | 税金・法令

2015年09月09日

マイナンバー活用で2%分還付?

去る3月31日に、2015年度税制改正の関連法が国会で成立し、これによって、今年10月に予定されていた消費税率10%への引き上げは、2017年4月に延期されることが正式に法律として決定しました。一方で、これは国会で成立した正式な法律にはなっていませんが、一昨年末に自公両党によって公表された平成26年度 税制改正大綱において、軽減税率について「税率10%時に導入する」とされています。

ここにきて急に報道されていますので、ご存知の方も多いと思うのですが、この軽減税率について、表面上の税率を変えるという(世界的に見て)一般的なやり方ではなく、軽減の対象となる飲食料品(酒を除く)の購買金額を記録し、消費税2%相当分を別途還付するという案が急浮上してきました。どうやって購買金額を記録するかというと、個人番号カードを販売店で購入する時にICカードリーダーにかざすのだそうです。

私は税制のあり方について、立場的に、その良し悪しを発言しないように(少なくとも公の場では、笑)しています。弥生の仕事は、税制の筋が良いものであろうが悪いものであろうが、それをキチンとサポートするソフトウェアを提供し、なおかつお客さまの業務が滞りなく進むようにお手伝いすることだからです。ただ、今回の案にはさすがに驚きました。正直、首を傾げざるを得ません。

色々な方から意見が出始めていますが、突っ込みどころ満載です。全国津々浦々、飲食料品を扱っているお店が、ICカードリーダーをくまなく備え付ける。POSレジを利用しているお店はともかく、POSレジのないお店はどうするのか。事業主の負担の軽減策も考慮するとのことですが、少なくとも2017年という時間軸で考えると現実的とは思えません。

また、利用するのが、個人番号カードです。絶対的に機密情報として扱わなければならない個人番号が記載されたカード。そのカードを常時持ち歩き、飲食料品を購入する際には必ず提示する。そしてお店としても、その個人番号を見てはならないし、記録してもならない。しかし、飲食料品を購入する場所は物理的なお店とは限りません。らでぃっしゅぼーやのような宅配ですとか、ネット販売。その場合は、サイトで個人番号を登録するのでしょうか。そして宅配業者、ネット販売業者は本当は扱いたくもない個人番号を、絶対的な機密情報として扱うことを求められるのでしょうか。

百歩譲って、ここら辺の問題は解消できるとしても、費用対効果は正当化できるのでしょうか。今回、還付には一人年間4,000円程度の上限が定められるそうです。となると、人口を1億2千万として、還付される額は、約5,000億円。一方で、購買金額を記録する「軽減ポイント蓄積センター(仮称)」の整備に約3,000億円かかるそうです。5,000億円を還付するために、3,000億円かける。もちろん還付される額は毎年で、整備費用は一過性ですので、apple to appleで比較することはできませんが、整備費用は一過性といっても、一般的にITシステムでは年間で、初期整備費用の20-30%ぐらいの維持費用がかかることも珍しくありません。また、この整備費用には、全国津々浦々にICカードリーダーを配備し、実際に使えるようにするための費用も考慮されていません。

費用対効果という観点では、単純に一人年間4,000円の給付を行った方が賢明に思えます。これであれば、還付(給付)額は同じ5,000億円でも、そのために必要な費用は桁違いに少なく済むでしょう。でも、所得の高い人も含めて全員に給付するのでは、逆進性の解消にならない? それであれば、所得制限を設けて、一定の所得以下の方に定額を給付しても良いでしょう。ただ、そうなると、それは軽減税率ではなく、給付付き税額控除という制度になります。

一方で、マイナンバーを利用して、購買履歴(裏返せば売上明細)を広く補足するということに意味はあるかもしれません。それを実際に行っているのが、韓国の現金領収書の仕組みです。しかし、今回の変形的な軽減税率の仕組みは、まるで思い付きのようで、韓国の現金領収書のように、非常に深くまで考えられた仕組みには見えません。

穿った見方ですが、まるで、「ほーら、このやり方では無理がありますよね。だから…」と別の落とし所に落とすための釣り餌にすら見えてしまいます。

今回の財務省案は報道ベースの情報のみで、その詳細を全て把握できるいるわけではありませんので、今日この場で是非を明言することは避けたいと思います。さらなる情報を収集しつつ、改めてそのメリット/デメリットを冷静に考えてみたいと思います。同時に、非常に興味深い仕組みである韓国の現金領収書の仕組みについてもご紹介してみたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 23:58 | TrackBack(0) | 税金・法令

2015年04月16日

所得税の振替納税

今年は所得税の確定申告期間が3月16日で終わりました。それからちょうど一ヶ月。苦労してギリギリに提出したという方も、一ヶ月も経つと、そういえばそんなこともあったなー、と過去のことになってしまっているかもしれません。

ただ、完全に過去のこととしてしまう前に、ひとつ注意が必要なことがあります。それは、確定申告の結果、所得税を納付する必要があり、なおかつ、口座振替による納税を選択した場合、その振替が来週月曜日、4/20に行われるということ。

確定申告の際には、申告書を提出するだけでなく、納付の必要がある場合には、その納付も済ませる必要があります。ただ、申告は電子申告や郵送(当日消印)/持参(時間外収受箱)など、締切当日の夜まで何とかなりますが、納付はそうもいきません。また、資金繰りの観点からも、後倒しにできる支払いは後倒しにするのが原則。そういった意味で、後日向こうの方から引き引き落としてくる口座振替納税はおススメです。一方で、少し間があくために忘れてしまい、いざ振替となると資金が足りないというリスクもあります。

私も毎年確定申告をしていますが、給与所得中心で、寄附金控除などもあるため、還付での申告がほとんど。ただ、今回は何年振りかの納付の申告。忘れていないよね、という親心からか、昨日「振替納税のお知らせ」が送られてきました。

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お知らせにも書いてありますが、確実に振替できるようにするためには、前日までに口座に資金を入れておく必要があります。つまり…明日ですね。口座振替は、通常その日の朝一番に振替になるものの、その時点で残高が足りなければ、日中や夜に再度振替えてくれるケースも多いので、最悪当日の入金でも間に合うことも多いと思いますが、これは約束はされていません(銀行によって、処理のタイミングや回数が異なるようです)。

当日の入金でも間に合うかどうか試してみたい気もしますが、万が一振替ができないと、いきなり延滞税がかかってきますので、試す勇気がありません。やはり安全のために、前営業日までの入金をおススメします。

なお、消費税についても振替納税を選択されている方は、4/23(木)に振替になりますので、そちらもお忘れなく。

蛇足ですが、納税も終わって確定申告を過去のこととしてしまう前にもう一つ。今年は手書きで苦労した、突貫工事で苦労したという方は、来年こそは、申告ソフトを活用し、着実に準備を進めていきましょう。初めて申告ソフトを利用される方のために、やよいの白色申告 オンラインとやよいの青色申告 オンライン、それぞれで初年度無償キャンペーンを実施しています。
posted by 岡本浩一郎 at 18:13 | TrackBack(0) | 税金・法令

2015年02月13日

ふるさと納税に物申す

いよいよ来週月曜日(2/16)から平成26年分の所得税の確定申告が始まります。今年の申告期間は2月16日(月)から3月16日(月)まで。

この期間は、大阪・札幌カスタマーセンターはもちろん、私も含め、全社を挙げてお客さまを全力でサポートしていきます。全力投球するためにも、個人的な心配事(?)は片付けておかなければなりません。

ということで、まずは自分自身の確定申告書を作成。書類をまとめておくといった準備は済んでいましたので、弥生会計(やよいの青色申告)を利用すれば、20分ほどで作成は終了。宣伝になってしまいますが、弥生会計(やよいの青色申告)の確定申告機能は、どんな書類が必要なのかから始まって、どの項目にどんな内容を記入すべきかをソフトウェアが案内してくれますから、迷うことがありません。さらに当たり前中の当たり前ですが、記入した内容に基づいて控除額などを自動計算してくれますから、数字を誤ってしまったり、一つの項目と別の項目で矛盾を生じることもありません。

今回の申告はイレギュラーな内容が多いので、念のため税理士の先生に最終チェックをお願いする予定ですが、とりあえず作成が済んでホッと一安心です。

今回の申告でもふるさと納税による寄附金控除を受けるのですが、今回(昨年末)のふるさと納税ではちょっとしたサプライズがありました。私がここ数年ふるさと納税をしている先は、心のふるさとである湯河原町に加え、岩手県(いわての学び希望基金)、宮城県(東日本大震災みやぎこども育英募金)、そして福島県(東日本大震災ふくしまこども寄附金)です。昨年までは、ふるさと納税に対するお礼として特産品をもらうことはありませんでした。

しかし、今回は、湯河原町からお礼の品が! 昨年に制度改正され、10,000円以上のふるさと納税に対し、地元特産品や宿泊ギフト券が贈られるようになったようです。思わぬギフトで嬉しい面もありつつも、少々複雑な気持ちです。

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あくまでも私個人の意見ですが、この種の特産品ギフトはやめるべき(少なくとも最小限にするべき)だと考えています。理由は二つあります。

1) 以前本ブログでもお話ししたことがありますが、ふるさと納税は本来は国(所得税)や、居住している自治体(住民税)に納めるべき税金を、ふるさと納税先の自治体に移転させる仕組みです。つまりふるさと納税をする人が増えるほど、国や居住自治体に入る税金が減ります。つまり、ふるさと納税先の自治体が、ふるさと納税された資金を特産品ギフトの購入に使うということは、本来は税金として活用されるべきものが、特産品に消費されてしまっていることになります。税金が豊富にあるのであればともかく、国もほとんどの自治体も大赤字の中で、税金の使い方としては望ましくないのではないでしょうか。

2) 今回私がふるさと納税をした自治体の中では、岩手県(いわての学び希望基金)、宮城県(東日本大震災みやぎこども育英募金)、そして福島県(東日本大震災ふくしまこども寄附金)のいずれも特産品ギフトはありません。これは当然の話で、いずれも東日本大震災による震災孤児等支援のために設立された寄附金ですから、その寄附金を特産品に消費すべきではありません。一方で、これらの寄附金は特産品がないことによって、どんなに意義のある寄附であっても、寄附先として敬遠される可能性があります。ふるさと納税を特産ギフトによる経済的メリット追求のためと考えると、特産品ギフトがない寄附先は当然最初から検討の対象とならないことになってしまいます。

ふるさと納税での特産品ギフトは益々過熱しており、なかには土地(これはさすがにストップがかかったようです)や、PC、もっと現金なところではTポイントを進呈という自治体もあるようです。本来はふるさと納税先で有意義に活用されるべきお金が、結局は(一部とは言え)ふるさと納税をした人の経済的メリットとして還元されてしまう。ふるさとを応援するというふるさと納税の趣旨を鑑みると、決して良いことだとは思えません。

この先ふるさと納税できる枠が広がり、なおかつ、一定の条件の下で確定申告をしなくても済むようになると言われています。それはそれで良いことだとは思うのですが、特産品ギフトの競争がますますエスカレートすることを危惧しています。

私は規制は少なければ少ない方がいいと考える人ですので、特産品ギフトを禁止することを望むものではありません。ただ、自治体間で特産品ギフト競争がエスカレートしないように、一定の自主ルールは必要なのではないでしょうか。
posted by 岡本浩一郎 at 16:00 | TrackBack(0) | 税金・法令

2015年01月23日

まずは準備から

前回、やよいの青色申告 15 (弥生会計 15)で平成26年分の確定申告対応ができたとご報告しました。クラウドアプリケーションのやよいの青色申告 オンライン/やよいの白色申告 オンラインも、来週1/29(木)には平成26年分の確定申告対応を行います。

いよいよ2月16日(月)から始まる確定申告に向けて、皆さまの準備も進んでいますでしょうか。ばっちり、場合によったらもう済んだという方もいらっしゃるかと思いますが、そろそろ準備しなければいけないのは分かっているのだけど、ついつい後回しにしてしまって…という方も多いのではないかと思います。

そんな時はまず最低限の準備から始めましょう。すなわち、書類の準備と申告の準備。

書類の準備としては、まず請求書や領収書を一通り収集しておきましょう。 あとは、銀行の通帳を記帳しておくのも大事な準備です。私自身、随分長いこと記帳しておらず、合計記帳(いくつかの明細をまとめて記帳される)になってしまい、明細がわからなくなって困ったことがあります。

医療費や生命保険料は、あくまでも個人としての支出であり、いわゆる事業上の経費にはなりません。ただし、事業上の経費にならないから領収書も要らないという訳ではありません(事業の収支を申告する青色申告決算書や収支内訳書では必要はないのですが、最終的に個人としての所得を申告する確定申告書を作成する際には必要)。医療費の領収書や保険料の控除証明書、あるいは寄附金の領収書は医療費控除や生命保険料控除などの所得控除を受ける(=その分節税できる)ためには必要となりますので、これらもこのタイミングでまとめておきましょう。

逆に実は確定申告の際に必要がないのが、支払調書。例えばフリーランスのライターが原稿料の支払いを受ける際には、一定額の源泉徴収がなされ、また年間を通じた支払額、源泉徴収額を合算した支払調書という書類を受け取ります(通常は翌年1月に)。たまに支払調書が届かないから、申告できない、という方がいらっしゃるのですが、実はこれは誤解です。この支払調書は、受け取った額、またすでに源泉徴収で収めた額を把握する上では便利なのであればベターですが、確定申告の際に添付する必要はありません(もちろんその代わりに帳簿上で売上の金額、源泉徴収された金額がキチンと記録されている必要があります)。

もう一つ落とし穴になりそうなのは、e-taxの際に必要となる電子証明書。税金をおまけしますという「飴」があった関係で、数年前から電子申告、すなわちe-taxを利用されている方もそこそこいらっしゃるのではないかと思います。ただ、e-taxで申告するには、住民基本台帳カードが必要で、なおかつこのカードに有効な電子証明書が格納されている必要があります。この「有効な」というのが曲者で、この証明書の有効期間は3年間。去年は大丈夫だったのに今年申告しようとしたら証明書の有効期間が切れていた…ということが十分起こり得ますので注意が必要です。

あとはe-taxの際に必要となるパスワードを忘れてしまったというのも「あるある」ではないでしょうか。証明書の更新はこちら、パスワードの再設定はこちらに情報があります。

申告期限ギリギリになって、あの領収書が見つからない、あるいは、証明書の失効でe-taxができないとなると命取り(大袈裟?)になることも考えられますので、まずは書類を集める/整理する、またe-taxの場合には準備を確認するところから始めましょう。
posted by 岡本浩一郎 at 18:48 | TrackBack(0) | 税金・法令

2014年03月26日

駆け込み購入?

3月も残り一週間を切りました。4月1日の消費税率引き上げを目前にして、買えるものを買っておこうという駆け込み購入もまさにピーク。この週末はスーパーやデパート、家電量販店、どこも大混雑が予想されますね。

ただ、意外に正確には理解されていないことが多いのですが、消費者と違い、事業をしている方(法人/個人事業主)にとっては、駆け込み購入は意味がないことも多いので、注意が必要です。より具体的には、消費税の課税業者であり、かつ本則課税の方(法人/個人事業主)の場合、実は、慌てて駆け込み購入をしても意味がありません。

というのも、消費税というのは、売上にかかる消費税から、仕入れにかかる消費税を差し引いて、その差額を納める仕組みになっていますので、仕入れにかかる消費税を駆け込み購入で節約したところで、その分納める消費税が多くなるだけで、駆け込み購入による「節約」が手元に残ることはないからです。

ただし、上記の条件(消費税の課税業者であり、かつ本則課税)に該当しない場合は、確かに駆け込み購入が意味を持つ場合もあります。例えば、免税業者の場合は、売上に対する消費税を納付することはなく、いわば仕入れにかかる消費税の持ち出しになっていますので、駆け込み購入で持ち出しを抑えることができます。また、簡易課税の場合は、仕入れにかかる消費税は簡易的な式(売上の何%)で計算されますので、実際に仕入れにかかった消費税を抑えることによって、いわゆる差益を生むことができます。

ここらへんの仕組みについては、税理士の吉澤先生が書かれたブログ記事がわかりやすいと思います。

駆け込み購入に一定の意味はあるとしても、本当にベストな選択なのかは今一度考えてみましょう。これは消費者という立場でも同じですが、まず大前提として、そもそも本当に必要なモノなのか。また、実際問題として、4月以降に実勢価格が下がるケースも多々あるでしょう(経済学的に言えば、価格は需要と供給によって決まりますから、4月以降需要が減れば価格が下がるはず)。消費税率引き上げ分の3%を節約できても、結果的に高い本体価格で購入しているのであれば、駆け込みの意味がありませんね。

ビジネスという意味では、キャッシュフローもキチンと考えたいところです。当座使わないものをいずれ必要になるからと買ってしまうのは、現金(キャッシュ)を固定化することになりますから、キャッシュフローという観点ではおススメできることではありません。これは所得税や法人税などもそうですが、「節税」が目的になると、ビジネスの存続や成功のためにはマイナスになることも大いにありうるので、冷静に判断したいところです。
posted by 岡本浩一郎 at 19:35 | TrackBack(0) | 税金・法令

2014年03月17日

もう一息

いよいよ平成25年分の確定申告は今日が締切となります。毎年最終日には同じことをお話ししてしまうのですが、諦めさえしなければ、まだ間に合います。一昨年の最終日3/15にその名も「まだ間に合う!」という記事を書いていますので、是非参考にして下さい。個人的には、今日の消印で郵送がおススメです。時間的に最も遅くまで行けるかもしれないのは、税務署の時間外収受箱ですが、これは何時だったらokという明確な基準はないので、最悪の手段としてはありうるということでしょうか。

なお、今年から提供している「やよいの白色申告 オンライン」については、e-tax連携機能を提供していませんので、郵送もしくは税務署への持参となります。また、現段階では控用の印刷ができませんが、提出用をコピーし、<控>と手書きすればokです。ここは、次回の申告までには改善します。

ちなみに来年こそは青色申告という方は、今日中の青色申告承認申請書の提出もお忘れなく、これも郵送もしくは税務署への持参となります。こちらも、提出用をコピーして、<控>を作っておけば記録が残るので、おススメです。

さて、泣いても笑っても今日一杯。もう一息頑張って下さいね!
posted by 岡本浩一郎 at 15:20 | TrackBack(0) | 税金・法令

2014年02月19日

アフィリエイトと確定申告

さて、いよいよ今週から始まった確定申告。油断するとあっという間に期限(あと26日)になってしまいますから、特に初めての青色申告という方は焦りを覚えるかもしれません。とはいえ、焦る気持ちを抑えつつ、まず最初は書類をちゃんと整理するところから。書類を整理して、帳簿を付けて、そして、決算書と確定申告書の作成。急がばまわれという意味では、弥生の確定申告応援プロジェクトで提供している青色申告直前対策セミナーもおススメです。

ただ、現実問題として、ほとんど満席になってしまっているのですが… そこは大丈夫。弥生の確定申告応援プロジェクトでは、青色申告直前対策セミナーの基本編、応用編、それぞれを資料 + 動画としてご提供しています

さて、ちょっと前に、なるほど今年は初めて確定申告という方も増えるかも、と思ったメールを目にしました。そのメールはいわゆるアフィリエイトを仲介する会社からのものなのですが、大元は国税局。まあ、簡単に言えば、「アフィリエイターの皆様には、期限内の適正な申告と納税をお願いいたします」というお知らせ(+若干の警告)です。

アフィリエイト収入も立派な収入。一方で、なかなかその実態を捕捉し難いと言われてきましたが、国税庁も本腰を入れて取り組むようになってきているのですね。アフィリエイト収入は、一般的には雑所得となりますが、雑所得は一定の基準以下であれば、申告は不要となります。いわゆる20万円ルールと言うやつですね。ただし、20万円以下であれば必ず不要というわけでもないので、詳しくは木村先生のブログをどうぞ。

一方で、アフィリエイトに事業として取り組むということであれば、雑所得ではなく、事業所得として申告することも可能です。事業所得でなおかつ、青色申告を選べば、本ブログでも何度も(しつこいぐらいに)お話ししている65万円の青色申告特別控除が得られますので、大きな節税メリットがあります。

ただ、これもお話ししている通り、青色申告をするためには、事前に申請(青色申告承認申請書)が必要です。アフィリエイターとして、今回初めて確定申告をされるという方は、今回は白色申告で、そして今回青色申告承認申請書を提出しておいて、来年は青色申告で、とパターンがおススメです。もちろん、そのためには、今年は「やよいの白色申告 オンライン」を是非どうぞ。今回は白色申告を、そして来年に向けては青色申告をバッチリとサポートしていきます。

ちなみに、上でお話しした国税庁からのメールは、多くの方に認知してもらうためのメールなので、ここに転載してもokかと思います。最後の「インターネットビジネスに対する税務調査の状況については、こちら」というあたりはちょっと脅しっぽいですねえ(苦笑)。

---ここから引用---

【個人アフィリエイターの皆様へのメッセージ】

アフィリエイト報酬につきましては、原則として確定申告による納税が必要です。
所得税法では毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、
翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納付することに
なっています。

申告期限内に確定申告した場合には納付すべき税額のみですが、申告期限を
過ぎてからの申告(「期限後申告」といいます。)の場合には、納付すべき
税額のほかに無申告加算税及び延滞税を併せて納付する必要があります。
無申告加算税は、納付すべき税額に対して以下の区分による割合を乗じて計算
した金額となります。

・自主的に期限後申告をした場合 無申告加算税(5%)
・税務調査等により期限後申告をした場合 無申告加算税(15%又は20%)
※ 仮名・借名等の隠ぺい仮装行為等が認められた場合には、無申告加算税に
代えて重加算税(40%)が課される場合があります。

アフィリエイターの皆様には、期限内の適正な申告と納税をお願いいたします。

所得税の確定申告の要否や手続きについては、国税庁ホームページ
http://www.nta.go.jp/)から「確定申告特集」のページをご覧ください。

以下に確定申告について調べるうえで参考となるタックスアンサーへのリンクを掲載します。
 ・確定申告については http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2020.htm
 ・事業所得については http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1350.htm
 ・雑所得については   http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1500.htm
 ・収入金額については http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2200.htm
 ・必要経費については http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2210.htm

なお、平成26年1月から個人で事業か不動産貸付等を行うすべての方に記帳と
帳簿書類の保存が必要となりました。詳しくは、こちら
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/kojin_jigyo/index.htm
をご覧ください。

また、インターネットビジネスに対する国税当局の取組については、こちら
http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/week/irasutodemiru.htm?sn=37)を、
インターネットビジネスに対する税務調査の状況については、こちら
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2013/shotoku_shohi/sanko04_05.htm
をご覧ください。

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2014年02月14日

家事按分(その2)

先週家事按分についてお話しした際には、個人事業主の確定申告で、できる限り節税するために、家事按分(かじあんぶん)は、必ず知っておくべきと書きました。知っておくべき、かつ、活用すべき。

ただ、最近ちょっと気になる動きがありましたので、ここで共有したいと思います。実は、昨年10月17日の東京地裁判決で、自宅兼事務所の家賃のうち一部(事務所分)を経費として計上していたのに対し、裁判所が経費としては認められないという判断を下しました。自宅兼事務所の家賃のうち一部(事務所分)を経費として計上というのは前回お話ししたように、家事按分の典型的なケース。ところが今回のケースでは、本件住宅は、居住用の3LDKの2階建て住宅であり、その構造上、住宅の一部を居住用部分と事業用部分とに明確に区分することはできないため、必要経費に該当せずと判断されたということで、税理士の先生方の間では相当反響を呼んでいるようです。

ただ、そもそも自宅兼事務所の家賃のうち一部(事務所分)を経費として計上すること自体を認めなかったのか(=ほとんどのケースで家事按分自体を否定することになりかねない)、今回のケース特有の話として、事務所分として経費計上した分が不適切であるとしたのか、については判然としません。この裁判では、リビングなどを業務専用スペースとして常時使用し、それ以外の用向きには使用していなかったとは考えられない、と指摘されたそうですから、後者なんでしょうか?

一方で、必ずしも家事按分に限った話ではありませんが、間接的にでも事業の上で必要となった費用であれば、経費として認められる、という判断も下されました。これは今年の1月17日に最高裁がそれまでの高裁判決を支持した(経費として認められないという国の控訴を不受理とした)ものですが、この高裁判決では「必要経費になる要件として『事業との直接関係性』は不要」としたのです(参考pdf)。

これまで、事業と関連性がある費用については、一般的に事業に「直接」関係がない限りは経費として認めないとされてきました。しかし実は法令上は、経費として認められるためには、「経費の主たる部分が『事業所得を…生ずべき業務の遂行上必要』であることを要する」とされており、もともと「直接」という表記はないのです。今回の高裁判決では、「事業の業務と直接関係を持つことを求めると解釈する根拠は見当たらず、『直接』という文言の意味も必ずしも明確ではない」として、「直接」の関係性がなくても、事業上の経費として認められうるとしたのです。

もちろん、直接の関係性はなくても、何らかの/間接的な関係性は必要ということにはなりますが、狭くとらえられがちな経費がより広く認められうるということで、こちらは逆の意味で画期的として注目を集めています。

しかし…困っちゃいますね。ある判決は事業上の経費をより狭く(厳しく)判断し、一方で別の判決は事業上の経費をより広く(緩やかに)認める。どちらの立場に立てばいいのでしょうか。今後、この種の判例が相次げば結果として明確なルールが確立されていくのでしょうが、現時点での私自身の見解としては、まずは「社会通念上」認められるものかどうか、そして、前回もお話ししたように、自分でこれは事業のための経費であると胸を張って言える、そしてそれをある程度客観的に示せるのであれば、積極的に経費として計上した方がいいと考えています。逆に胸に手を当てて、ちょっとこれはマズいよなあ、と思うものはやめておくべきかと。

ただ、税理士でもない素人の私に言われても迷いますよね。そんな時は、プロである税理士の先生に相談しましょう(もちろん、税務署に聞いてもいいのですが、望む答えはなかなか出てこないと思います)。個人の場合、顧問の先生がいないケースも多いと思いますが、各地の税理士会で無料相談の場を設けていますので、そういった機会を活用すると良いでしょう。弥生のスタッフには税理士も数名いるのですが、ちょうど昨日はそのうち2名が無料相談に参加していたようです。そういった時期ですね。

もっとも本来は迷わずに済むのがベストだと思いますし、そういった意味では、2つ目の最高裁判断について書かれた三木先生が言われているように、「税理士会が納税者の視線にたった解釈基準を提示して、課税庁と調整するような制度も今後検討すべき」だと思います。特に「納税者の視線にたっ」てという部分は是非期待したいところです。
posted by 岡本浩一郎 at 21:30 | TrackBack(0) | 税金・法令

2014年02月07日

家事按分(その1)

個人事業主の確定申告で、できる限り節税するために重要なのは、やはり経費を漏れなく計上する(=利益を圧縮する)こと。そのために、家事按分(かじあんぶん)は、必ず知っておくべきキーワードです。例えば、自宅兼仕事場を借りている場合、賃料もそれなりな金額になるでしょうから、経費として計上できれば、大きな節税につながります。ただし、賃料を全て事業上の経費とできるかというと、これはNG。自宅として事業以外でも使用している訳ですから、その全額を経費とすることは認められません。

では、一切経費として認められないのかというと… 諦める必要はありません。一定の条件を満たせば、一部が経費として認められるのです。その条件とは、簡単に言えば、事業用とそれ以外(家事用)の割合を客観的に示すことができること。このように、一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費)について、事業用とそれ以外(家事用)にその割合に応じて分解することを家事按分と言います。

家事按分の対象となる典型的な経費は、上で挙げた自宅兼仕事場の賃料、電気代、ISP代など。一方で、同じ水道光熱費でも、例えば水道代はほぼ家事専用(事業で使うことはない)なので、家事按分は認められにくいそうです(もちろん、染め物など、事業で水をバンバン使うのであれば、その限りではないでしょうね)。

昨日ご紹介した個人事業主の確定申告に関する調査では、みなさんがどの程度家事按分を活用しているのか、そしてどのような基準で按分しているのかを聞いてみました。詳細はレポートをご覧頂きたいのですが、そもそも仕事場を兼用していないという方が約2割。逆に言えば、この調査では約8割の方は、自宅と仕事場を兼用しているという結果でした。

この約8割の中で、家事按分をしている方は約6割弱。では何を基準に按分しているかというと、使用面積という方が一番多い結果でした。つまり使用面積という客観的な数字によって、事業用とそれ以外の割合を算出しているわけです。ただ、一方で、基準はなく、何となくという方も約1割ほど。これは本当はマズいやり方です。昨日もお話しした税務調査が入れば、指摘される可能性が大。

ちなみに、自宅と仕事場を兼用している約8割の中で、家事按分をしていないという方は約2割強。特に白色申告の方では、兼用だけれど家事按分をしていないという方が多い傾向でした。これは費用として計上し得るものをしていないわけですから、節税という意味では勿体ないことですが、税務調査で突っ込まれるリスクはないとも言えますね。

本当は綺麗さっぱり、これはOK、これはNGというルールがあれば話は簡単なのですが、基本的なルールはあるものの、最終的には個別判断というのが難しいところです。ただ、経費として計上し得るものですから、本来はやはり是非活用したいところです。これはあくまでも個人的な見解にはなりますが、自分でこれは事業のための経費であると胸を張って言える、そしてそれをある程度客観的に示せるのであれば、積極的に経費として計上した方がいいと考えています。逆に胸に手を当てて、ちょっとこれはマズいよなあ、と思うものはやめておきましょう(笑)。

ただ、最近この家事按分についてちょっと気になる動きがありましたので、次回お話ししたいと思います。(続く)
posted by 岡本浩一郎 at 22:58 | TrackBack(0) | 税金・法令

2014年02月06日

税務調査

税務調査というとドキッとしますね。後ろめたいことが何もなくても、何となくドキッとしてしまう。クルマを運転していて、お巡りさんを見るとドキッとする、そんな感じでしょうか。私自身は個人では税務調査を受けたことはありませんが、会社としては、前職の自分の会社で一回、そして弥生で一回税務調査を受けたことがあります。税務調査と言っても、映画で想像されるようなものではなく、定期的に行われるもので、平和裏に終わりました。

さて、このたび弥生では個人事業主の確定申告に関する調査を実施し、その結果を確定申告応援プロジェクトで公開しました。個人事業をされている方が確定申告をする際、「みんなどうやっているんだろう?」「実際問題どうなんだろう?」と疑問に思われていることも多いのではないかと思います。みんな青色申告なの? 家事按分って、みんなどうやっているの? ぶっちゃけ、税務調査ってどれぐらいの確率で行われるの?

今回の調査では、色々な角度からみんなの確定申告の実態に迫っています。例えば、税務調査を受けたことがありますか、に対しては、青色申告の方では15%、白色申告の方では7%が受けたことがあると回答されました。一方、国税庁の公式統計では実調率(と言うようです)が個人の申告で1.4%(平成23年分)となっています(ちなみに法人は4.3%)。これらの数字を組み合わせると、ある一年に調査を受ける確率は1〜2%、一方で、何年か事業をやっていると、一度は調査を受けたことのある人の割合は10%前後、ということになります。

これを低いとみるか、高いとみるか。一般的には低いと見るかもしれませんね。ただ、だから帳簿付けなり、申告を適当にしていいという訳ではありません。むしろ、ちゃんと帳簿を付けて、ちゃんと申告していれば、いつかは分からないが一定の確率で行われる税務調査も慌てなくて済む、と考えるべきかと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 18:25 | TrackBack(0) | 税金・法令

2014年02月04日

消費税率引き上げの意外な影響

先日、消費税率引き上げによって、全従業員の通勤交通費の見直しが必要になると書きました。今回は、事業とは直接関係はないのですが、個人的に消費税率引き上げの影響が大きいと感じていることについて。

それは、分譲マンションの管理費と修繕積立金です。分譲マンションは購入して終わりではなく、所有している限り、毎月管理費と修繕積立金を払う必要があります。ただ、払う相手はあくまでもそのマンションの管理組合であり、消費税はかかりません。ですので、消費税率が引き上げになっても、自動的に管理費や修繕積立金が上がることはありません。

ただ、実はここがくせ者で、集められた管理費から支払われる管理会社への業務委託費や共用部分の電気代などには消費税がかかりますし、結果として消費税率が上がれば、支払いもそれだけ増えることになります。つまり、管理組合として考えると、収入(区分所有者からの管理費収入)は増えないのに、支出は消費税率引き上げ分だけ増えることになります。これまでが収支トントンの管理費会計であれば、今回の消費税率引き上げで赤字に転落ということもありうるわけです。

では、管理費を簡単に引き上げられるかというと、区分所有者を構成員とする組合である以上、誰かの一存で引き上げることはできず、総会を開催して決議を通す必要があります。多くの管理組合では、管理費は管理規約で規定されていますので、管理規約の改正として、特別決議(3/4の賛成)が必要となります。体験された方はご存知だと思いますが、これは結構大変です。特に建ってから年数が経ち、総会に参加する区分所有者が減っているようでは、特別決議を通すのは至難の業。

もともと管理費会計が余裕たっぷりというマンションは少ないため、今回の消費税率引き上げを機に、財政が苦しくなる、もっと言えば赤字に転落、あるいは、赤字幅が広がるマンションが増えることは確実。さらに、上記のような手続きを経て管理費を引き上げることができなければ、赤字だけが積み上がってしまい、どこかで資金が枯渇するマンションが出ても不思議ではありません。

管理費と同様に修繕積立金も毎月払うものですが、やはり同様な課題を抱えています。ただ、こちらの方が影響は大きいかもしれません。というのも積立はこれまでの税率を想定して行われてきているのに対し、実際に修繕にかかる消費税はあくまでも修繕を行う時点での(=引き上げ後の)消費税率が適用されるため、一気に不足分が顕在化するからです。例えば、10年後に10億5,000万円(うち消費税5%、5,000万円)の大規模修繕を行うために、マンション全体で毎年1億500万円の積立をしてきたとしましょう。9年後には1億500万円×9年で9億4,500万円積み立てられていることになります。ところが、この時点で消費税率が10%に引き上げられると、大規模修繕の費用が突然11億円(うち消費税10%、1億円)に膨らむことになります。このため、残りの一年でこれまで通りの積立に加え、消費税率引き上げによる差額分も積み立てなければならなくなります。この場合で言えば、最後の一年は消費税率引き上げの影響で、これまでの1億500万円に加え、消費税率引き上げによる差額5,000万円も積み立てなければなりません。つまりこの一年の修繕積立金は1億500万円から、1億5,500万円と約1.5倍に引き上げる必要があります。

この例はちょっと極端ですが、積立時の想定消費税率と修繕実施時の消費税率が異なると非常に影響が大きいことはご理解頂けるかと思います(実際には、消費税率引き上げによる差額分を1年で積み立てるよりは、管理組合が銀行から借り入れを行い、徐々に返済することになるのではないかと思います)。

私が住んでいるマンションは、管理費会計も修繕積立金会計も比較的健全な状態ですので、今回の消費税8%はとりあえず吸収できるものと思います。ただ、消費税は来年10月には10%と決まっていますし、さらにその後も税率が上がりうることを考えると、そう遠からず管理規約を変更し、管理費を管理費と「消費税相当額」に分けて、消費税相当額は消費税率に合わせて自動的に変わるといったような手当てをしないと、大変なことになると感じています。

ぶっちゃけ、これはどこかで大きな社会問題になると思いますが、まだあまり騒がれてはいませんね…
posted by 岡本浩一郎 at 23:05 | TrackBack(0) | 税金・法令

2014年01月17日

戦慄!?

やよいの白色申告 オンラインはTwitterでもかなりの反響を頂いていますが、ちょうど同時期に話題になっているのが、やよいの白色申告 オンライン開発のきっかけともなった白色申告の記帳義務化。特に、ascii.jpの「白色申告も義務化の戦慄! 青色申告と合わせて帳簿付けを解説」という記事が話題になっているようです。「戦慄」というとさすがに煽り過ぎではないかと思いますが(苦笑)、かなりインパクトがあるようです。

代表的な反響としては、「ええ」「聞いていない」「いつ決まったの」というもの。正直認知が進んでいないとは感じていましたが、その通りのようです。この白色申告の記帳義務化が決まったのは2011年(平成23年)の12月なので、実はかなり前から決まっていたこと。本ブログでも2012年7月5日に初めてこの記帳義務化についてお話ししています。もちろん国税庁でも告知は行ってきていましたが、あまり関心がない(持ちたくない?)エリアだけに浸透していないのが現実かと思います。

いよいよ2014年(平成26年)1月からこの記帳義務化が施行されたわけですが、実際にその記帳に基づいて確定申告が必要となるのは、来年、すなわち2015年2月半ばから3月半ばの確定申告時期です。つまり、逆に言えば、今年の確定申告ではまだこの記帳義務化は求められていないことになります。ただ、趣旨としては、日ごろからちゃんと記帳して、それに基づいて確定申告をして下さいということですので、来年の申告に向けて、今年の1月からちゃんと記帳を始めて下さい、ということになります。

念のためですが、記帳が義務化されたからといって、記帳した帳簿そのものを申告の際に提出する必要はありません(これは青色申告も同様です)。ただ、申告した内容に疑義があった場合や、税務調査の対象になった場合に帳簿の提示を求められるということです。

先ほどの記事への反響でもう一つ目立ったのは、「これだったら白色の意味がない」「もはや青色を選ばない理由がない」というもの。これは、本ブログでも度々お話ししていることですが、その通りです。どうせ記帳が必要なのであれば、税金上のメリットが大きい青色申告を選ぶべきだと思います。

ただ、一点落としどころがあって、青色申告はやりたいと思ったらすぐにできるわけではないのです(残念)。これも本ブログでお話ししたことがありますが、青色申告するためには、事前に青色申告承認申請書の提出が必要なのです。このため、これまで白色申告だった方が、今年から記帳が義務化されるから、今回(今年2月〜3月)の確定申告から青色申告にしよう、というのは残念ながらNG。今回は白色申告しつつ、確定申告の際に同時に青色申告承認申請書を提出すれば、ようやく次回(来年2月〜3月)の確定申告で青色申告ができるということになります。

やや我田引水的にまとめますと、これまで白色申告だった方は、今回の確定申告については、記帳に慣れる意味も含め、是非「やよいの白色申告 オンライン」をご活用頂きたいと思います。なおかつ、今回の確定申告と同時に、青色申告承認申請書の提出も忘れずに。次回の確定申告に向けては、「やよいの青色申告 オンライン(仮称)」をご用意しますので、やよいの白色申告 オンラインからスムーズに移行して頂くことができます。
posted by 岡本浩一郎 at 14:14 | TrackBack(0) | 税金・法令

2013年12月25日

年末はふるさとで

年末はふるさとに帰ってという方も多いと思いますが、ここで言うふるさとは、「ふるさと納税」です。ボーナスも出て、年末はいつもより懐が暖かいという方も多いのではないかと思いますが、この時期だからこそふるさと納税はいかがでしょうか。

スモビバ!で現在ランキング1位になっている記事が、「年末に駆け込むべし! おすすめの節税対策」。ふるさと納税はいわゆる節税ではないのですが、どうせ税金を納めるのであれば、自分の希望にあった先に納めることが可能になります。

ふるさと納税はいわゆる節税ではないと書きましたが、納税先からのプレゼント(特産品)目当てにふるさと納税、という節税的な発想もあります。特産品狙いということであれば、こういったサイトが参考になると思います。例えば、1万円ふるさと納税をして、5,000円分のお米や魚といった特産品をもらえる、さらに確定申告をすれば8,000円分税金が減るのであれば、10,000円が13,000円になるわけですから、魅力的なのは事実。ただ私個人としては、税金の使い方としてどうなのかな、と思います。

というのは、先ほど8,000円分税金が減ると書きましたが、これがどこから出てくるかというと、国(所得税)と住んでいる自治体(住民税)。つまり、本来は国や地元の自治体で税金として活用されるべきものが、手元に特産品として返ってくるわけですから、財政の苦しいふるさとを応援しようというふるさと納税の本来の趣旨とはずれているのです。上で書いたように、ふるさと納税は「どうせ税金を納めるのであれば、自分の希望にあった先に納めることが可能になる仕組み」であって、特産品という見返りを求めるものではないと考えています。むろん地元の特産品の販促活動と考えれば、「ダメだ」とも言い切れませんし、色々な考え方はあるので、私の考えを押し付ける気はありませんが。

私自身は、昨年同様、心のふるさとである湯河原町と、岩手県、宮城県、福島県それぞれで東日本大震災による震災孤児等支援のために設立された寄附金(岩手県が「いわての学び希望基金事業」、宮城県が「東日本大震災みやぎこども育英募金」、福島県が「東日本大震災ふくしまこども寄附金」)への寄附を済ませました。残念ながら、一年前(ちょうど一年前の12/25ですね)に指摘した、手続きが自治体ごとの個別最適という点は残念ながら変わっていませんでしたが…。

ふるさと納税は、年末までが一区切りとなって、翌年の確定申告で精算することになります。もう今年も残りわずか。ふるさと納税をお考えの方は是非お早目に。
posted by 岡本浩一郎 at 17:40 | TrackBack(0) | 税金・法令

2013年04月17日

そろそろ口座振替のご準備を

確定申告期間が終わって早一ヶ月。もうすっかり過去の記憶になってしまっているかもしれません。還付申告の方はもう還付されている方も多いのではないでしょうか。

一方で、納付しなければいけない方は来週は要注意です。もちろん既に納付を済ませた方はいいのですが、本ブログでもおススメした振替納税を選択された方は来週の月曜日、4/22(月)に口座振替が行われます。振替納税は、支払を約1ヶ月間伸ばすことができますし、一度手続きすれば、毎回納付の手続きがないという有難い制度です。ただやはり、口座に資金がなければ振替はできませんし、結果的に納税が遅れてしまうことになりますのでご注意ください。

なお、消費税については、確定申告期間が(今年は週明けの)4/1(月)まで、金融機関などでの納付も4/1まででしたが、口座振替を選んだ場合は4/24(水)の振替になっています。こちらもお忘れなく。
posted by 岡本浩一郎 at 17:44 | TrackBack(0) | 税金・法令

2013年03月15日

振替納税

さあ、いよいよ3月15日。平成24年分の所得税の確定申告は泣いても笑っても今日までが期限です。今日中に仕上げるけど、ギリギリになりそうという方は、是非昨年3月15日の「まだ間に合う!」という記事を参考にして下さい。

今日は、申告の期限でもありますが、同時に(税金の還付ではなく)納付となった場合の納付期限でもあります。ただ、金融機関で納付するとなると、時間的な制約がありますね。納付が間に合わないという方は、振替納税を選ぶことをお勧めします。

振替納税にしておけば、わざわざ納付の手続きをしなくても、期日(今回の場合、平成25年4月22日)に自動的に引き落としてくれます。振替納税の手続きはこちらをご参照ください。預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書を確定申告書と同封して今日中の消印(ポスト投函ではなく、夜間窓口などで今日中の消印になることを確認して下さい)で郵送すればokです。

支払はできるだけ遅く、という商売の鉄則からも、支払を約1ヶ月間伸ばすことができる振替納税はおススメです。ただ、4月22日には引き落としになりますので、資金をちゃんと確保しておくことは忘れずに。
posted by 岡本浩一郎 at 12:00 | TrackBack(0) | 税金・法令

2013年03月14日

いつ青色申告にするか? 今でしょ!

とりあえず流行り物にはのっておけ、という安直なタイトルで恐縮です…

昨日は、白色申告でも記帳が義務化されるため、どうせ記帳するなら税金上のメリットが大きい青色申告を選ぶべき、というお話しをしました。ただ、青色申告は、やりたいと思ったら勝手にできるわけではありません。青色申告をしますという届け出を事前に提出する必要があります。

正確に言えば、「所得税の青色申告承認申請書」というものになります。現物はこちら(pdf)。名称は「承認申請書」ですが、特段問題がなければ承認されるので、事実上の届け出と考えて差し支えありません。来年の確定申告こそ青色申告で、という方はこの書類を今年の3月15日までに提出する必要があります(今年起業される場合には、業務を開始した日から2ヶ月以内)。そう、明日までです。

でも、どう書けばいいの? という方はこちらをご覧ください(pdfはこちら)。

2013031401.jpg

これは「やよいの青色申告 13」に同梱されている「大きな図ですぐわかる はじめての青色申告」という書籍で紹介されているものです。やよいの青色申告 13をお買い上げ頂ければ(やよいの見積・納品・請求書 13とのセット商品は除く)、ご覧頂けるのですが、本日は特別に出版元のアスキーさんから許諾頂きました。なお、この記入例では屋号を記入していますが、屋号はなくても構いません。

なお、所得税の青色申告承認申請書とあわせて提出しておいた方がいい書類として、個人事業の開業・廃業等届出書(開業の届け出がまだ済んでいない場合に必要、現物はこちら書き方はこちら)、そして、青色事業者専従者給与に関する届出書(家族に事業を手伝ってもらい給与を払う場合に必要、現物はこちら書き方はこちら)といったものがありますので、必要に応じ、一緒に提出しておきましょう。

でも、税務署に行っている時間が…という方でも大丈夫。これらの申請書/届出書は郵送することができます。でも、どの税務署に、という方はこのページで管轄の税務署を確認することができます。郵送する際には、提出する書類にあわせ、控え(コピー)と返送用の封筒(切手付き)を同封しておくと、受付印を押して返送してもらえます。郵送する場合には、期限である明日に到着する必要はなく、明日の消印があれば大丈夫です。

また、少々後ろ向きな話ですが、青色申告承認申請書を出しても、実際の確定申告の際に、白色申告とすることも可能です。青色申告承認申請は、「青色の申告書により提出することができる」という位置付けなので、申請はしておいて、諸般の事情で難しいとなったら、白色申告で提出することも可能です。

さあ、ここまでご説明しましたので、もうやらない理由はないですね。いつ届け出しますか? 今でしょ!
posted by 岡本浩一郎 at 20:18 | TrackBack(0) | 税金・法令

2013年03月13日

それでもまだ白色申告を選びますか?

昨日は、青色申告の金銭的メリットについてお話ししました。あくまでも目安にはなりますが、青色申告をすれば、青色申告特別控除65万円によって、65万円×23.5%(所得税で最低5%、住民税で10%、国民健康保険料で8.5%)の15.3万円が節税できます。15万円。結構大きいですよね。しかも税金が減る、すなわち手取りとしてこれだけ増えるということです。一方で、白色申告には、このメリットはありません。言い方を変えると、白色申告ではより高い税金を納める必要があります。

もっとも、これまでは白色申告で所得が300万円以下の場合には記帳の義務がないことで、バランスが取れていたと言えば取れていました。つまり、税金上のメリットはないけど、記帳の義務がない白色申告に対し、記帳が必要だけど税金上のメリットのある青色申告、という訳です。

しかし、間もなくこのバランスが崩れようとしています。以前も本ブログでお話ししましたが、平成26年(2014年)1月からは、白色申告で所得が300万円以下の場合でも、記帳と帳簿の保存が義務付けられることになります。すなわち、税金上のメリットはないけど、記帳の義務はある白色申告に対し、記帳は必要だけど、税金上のメリットのある青色申告という構図に変わります。バランスが…取れていませんね。

正確に言えば、白色申告で必要とされる記帳は簡易的な方法でいいとされていますので、まだトレードオフの関係にはあります。簡易的な記帳の義務はあるけど税金上のメリットがない白色申告 vs. 記帳の義務がある代わりに税金上のメリットがある青色申告ということですね。

でもやっぱり、どうせ記帳するなら、税金上のメリットが大きい方がいいですよね。そう考える方が多いようで、Twitterなどで見ていても、これを機会に来年からは青色申告という方がかなり多いようです(税務署でも、白色申告も大変になるから青色申告へ、と促されるようですね)。どうでしょうか、それでもまだ白色申告を選びますか?
posted by 岡本浩一郎 at 19:34 | TrackBack(0) | 税金・法令

2013年03月12日

青色申告による節税のメカニズム

先日、「かんたん税金計算」ツールをご紹介しましたが、実際に試されると、青色申告による節税が想像以上に大きいことに驚かれるのではないかと思います。例えば、1年間の売上金額が400万円、1年間の経費・仕入金額が100万円で計算してみると、その差は実に18.5万円。

この差がどこで生まれるかは、「納税額の内訳」を見て頂ければ明確なのですが、このケースでいうと、所得税が白色申告で164,000円から青色申告で99,000円に65,000円ダウン。住民税は271,000円から206,000円でやはり65,000円ダウン。さらに国民健康保険料が267,000円から212,000に55,000円ダウンしています。所得税で6.5万円、住民税で6.5万円、国民健康保険料で5.5万円で合計18.5万円の節税ということですね。

これはどういうことか。青色申告であり、青色申告特別控除というのは、あくまでも所得税上の制度なのですが、実は、住民税や国民健康保険料も所得税上の「所得金額」で計算されるため、結果的に青色申告特別控除が効いて節税になるのです。

以下の図のように、個人事業主の所得税の計算に当たっては、まず売上から経費・仕入を引きます。いわゆる利益ということになりますが、税金の計算上は所得金額という表現になります。ただ、この際、青色申告特別控除はあたかも経費であったかのように売上から引くことができます。つまり、特別控除の分だけ、所得金額が減ります。

2013031201.jpg

この所得税上の所得金額から、所得税で適用される所得控除(例えば、基礎控除や扶養控除など)を引くと「課税される所得金額」になり、さらにそこに所得税率(5%から40%の累進税率)をかけると所得税が計算されます。

実は、住民税の仕組みもほぼ同様、なおかつ、計算の出発点は、所得税上の所得金額になります。同じ所得税上の所得金額から、今度は住民税で適用される所得控除(例えば、基礎控除や扶養控除など所得税と共通するものが多いですが、控除金額は異なります)を引くと住民税上の「課税される所得金額」になり、さらにそこに住民税率(基本的に10%)をかけると住民税が計算されます。ここでミソなのは、出発点が所得税上の所得金額であるということですね。すなわち、既に青色申告特別控除が引かれた数字であり、結果的に、青色申告特別控除によって住民税も下がることになります。

国民健康保険料(国民健康保険税)も似たような状況です。国民健康保険料は、計算の出発点が、所得税上の所得金額になるケース(旧ただし書き方式、主流はこちら)と、住民税から計算されるケース(住民税方式)があるのですが、いずれにしても、結果的には、青色申告特別控除によって税金が下がることになります。ただし、国民健康保険料は自治体によって、計算方法や料率が異なるので、どこまで税金が下がるのかは自治体によります。今回の「かんたん税金計算」は東京都千代田区の平成24年度の料率で計算しています。

これらを料率という視点で整理すると、所得税で最低5%、住民税で10%、国民健康保険料で8.5%の料率だとして、合計で23.5%になりますので、青色申告特別控除65万円によって、65万円×23.5%の15.3万円が節税できることになります(所得税が10%だと合計28.5%になり、65万円×28.5%の18.5万円の節税になります)。

かなり大きい金額ですよね。青色申告がこれだけの節税になることは意外に知られていないのですが、紛れもない事実です(ただし、国民健康保険料に関しては、計算方式が自治体によって異なるので100%とは言い切れないのですが、これまでのところ、青色申告によって国民健康保険料が節税にならない自治体は確認されていません)。家電量販店などでお話しするとビックリされる方が多いですね。青色申告特別控除が65万円得られると言われてもなかなかピンとこないですが、手取り(節税額なので)が15万円以上増えますというと、途端にピンとくるようです。

この節税のメカニズムについては、昨年のこの時期に徹底的に解説していますので、もっと知りたいという方は是非以下の記事もご参照ください。

2012/03/07 青色申告で節税 (その1)
2012/03/09 青色申告で節税 (その2)
2012/03/12 青色申告で節税 (その3)
2012/03/13 青色申告で節税 (その4)
2012/03/14 青色申告で節税 (その5)

posted by 岡本浩一郎 at 19:26 | TrackBack(0) | 税金・法令