2012年03月13日

青色申告で節税 (その4)

平成23年分の所得税確定申告はいよいよ明後日木曜日、15日が期限です。いよいよ最終コーナーを抜けて最後の直線といったところですね。Twitter上でも終わった〜という方が増えてきています。私個人の確定申告は既に終わっていたはずなのですが、実は先週末新たに医療費の領収書が発見され、これを追加で申告するかプチ悩み中です。ちなみに、既に提出した人でも、申告期限内であれば、基本的には最後に提出した申告が有効になりますので、出し直しもokということになります(期限を超えれば、修正申告や更生の請求ということになります)。

前回は、青色申告で実際どれだけ節税できるのか、まずは所得税と住民税について見てみました。青色申告特別控除の65万円に対し、所得税で最低5%、住民税で一律10%の節税効果が生まれるわけですから、単純計算で65万円×15%の9.75万円の節税効果が生まれます。もともとの所得が少ないために、青色申告特別控除の65万円を控除しきれない(例えば、青色申告特別控除前の事業所得が20万円であれば、20万円しか控除できません)場合を除けば、最低でもこの10万円弱は誰でも節税できることになります。所得が大きい方であれば、最高で所得税で40%、住民税で10%の節税効果が生まれますから、この場合は実に32.5万円の節税を実現できることになります。

次は、国民健康保険料(税)。実は、この国民健康保険料はかなりやっかいです。というのも、国民健康保険は各自治体によって運営されており、保険料の算定式が自治体によって異なり、その結果として青色申告による節税効果も自治体によって異なるのです。国民健康保険料については、色々と思うところもあり、また改めて記事にしたいと思いますが、今回はずばりどれぐらい節税になるかに絞ってお話しをします。想定としては、東京23区の単身者、40歳未満で試算をしますと、所得(=売上-経費)が300万円の方で白色申告の場合の国民健康保険料が25.6万円、これが青色申告になると20.3万円となり、その差5.3万円分の節税ができることになります。

この差5.3万円がどうやって生まれるのかですが、こちらの国民健康保険料の計算方法(東京都千代田区)を見て頂くと所得に連動する率(いわゆる所得割の率)が、医療分で6.13%、後期高齢者支援金分で1.96%ということがわかります(この他に40歳から64歳が対象となる介護分もありますが、今回は40歳未満ということで計算しています)。この率を足し合わせると8.09%。青色申告特別控除によって総所得金額が65万円減ると、それにこの率8.09%を掛けた5.3万円の保険料が減るということです。ちなみにこの保険料も住民税と同じように、確定申告を済ませた後に保険料が計算されるため、実際に保険料が減るタイミングがずれます(東京都23区の場合、今年の6月から減った保険料での納付が始まります)。

厳密に言えば、上でお話しした通り、国民健康保険料(税)の計算方法は自治体によって異なり、よって青色申告特別控除による節税額も異なります(自治体によって様々ですが、東京23区は料率が低い方、すなわち、節税額がやや低めです)。また、これは私自身では確認できていませんが、例外的に保険料の計算に際し、青色申告特別控除が反映されない自治体もあるかもしれません(その場合は是非教えて下さい!)。また、上記の計算は、今回の確定申告とそれによって計算される住民税/国民健康保険料を試算していますが、次回の確定申告では、国民健康保険料が減ったことによって社会保険料控除が減り、所得税や住民税が(若干ですが)増えます。

ということで厳密に言えば色々と考えるべきポイントは増えますが、ここではあえて一般論としてまとめます。青色申告特別控除65万円によってどれだけ節税ができるか。その答えは、所得税が5%、住民税が10%、国民健康保険料(税)が8.09%(東京23区の場合)であわせて、少なくとも23.09%分の節税効果が生まれるということになります。つまり金額にすると15万円! 15万円って、結構大きいですよね。この話をすると驚かれる方がほとんどです。
posted by 岡本浩一郎 at 19:21 | TrackBack(0) | 税金・法令

2012年03月12日

青色申告で節税 (その3)

前回は、青色申告で所得税だけではなく、住民税、さらにほとんどの場合、国民健康保険料(税)も節税できるという仕組みを青色申告決算書と確定申告書を通じて検証してみました。

さて、それでは、実際問題としてどの程度節税になるのでしょうか。最近はさすがに青色申告特別控除は65万円だから、65万円も税金が安くなるのでは、と誤解されている方は少なくなりました。ただ、実際どれぐらい税金が減るのかを正しく理解されている方は意外に少ないようです。所得税、住民税、国民健康保険料(税)で実際に税金が減るタイミングがずれることも理解を難しくしています。

まず所得税ですが、基本的には青色申告特別控除(65万円)×所得税率分だけ税金が減ります。所得税率はこちらをご覧頂きたいのですが、課税対象となる所得の金額が195万円までが5%、330万円までが10%といったように、所得が増えるにつれ、税率があがっていきます。ちなみに、ここでの所得は課税対象となる所得、すなわち前回お話しした総所得金額から、社会保険料控除や基礎控除などの所得控除を引いたものです。最低限言えることは、少なくとも青色申告特別控除(65万円)×5%の3.25万円は税金が減るということです(もともと赤字、もしくは、青色申告特別控除の65万円を控除しきれない場合を除き)。一方で、所得税の最高税率は40%ですから、これに該当する方(課税所得が1,800万円強)は、65万円×40%で、26万円の節税効果があります。

26万円はともかく、3万円ちょっとだと苦労してまで青色申告をする価値が見出せないな、とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。でも、結論に飛びつくのはちょっと待って下さいね。本当の節税はこれからです。

次は住民税。住民税には所得に応じて課税される所得割だけではなく、定額で課税される均等割などがありますが、青色申告が効いてくるのは、所得割です。前回お話しした通り、住民税上の所得は所得税上の総所得金額に連動しており、青色申告特別控除によって、住民税の課税対象額が65万円減ることになります。所得割の税率は現在一律に10%となっていますから、単純に計算すれば、65万円×10%で、6.5万円税金が減るわけです。

つまり、青色申告特別控除の65万円に対し、所得税で最低5%、住民税で一律10%の節税効果が生まれるわけですから、単純計算で65万円×15%の9.75万円の節税効果があります。3万円ちょっとならともかく、10万円近く節税できるとなると、俄然やる気が出る人もいらっしゃるのではないかと思います。

ちょっとトリッキーなのは、タイミング。例えば、昨年の所得について今年3/15までに所得税の確定申告を行った場合、所得税の節税は確定申告のタイミングで実現します。一方で、住民税は、確定申告の情報がお住まいの自治体に回送され、それを受けて各自治体が住民税を計算します。そして、実際に節税後の金額で納税するのは、今年の6月から来年の5月にかけてということになります。このため、実際には住民税でも節税できているのに、それを実感できていない方も多いようです。

さて、今回はとりあえず所得税と住民税で、最低限10万円弱の節税とお話ししました。次回は、残る国民健康保険料(税)についてお話ししてみたいと思います。
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2012年03月09日

青色申告で節税 (その2)

前回は青色申告で所得税だけではなく、住民税、さらにほとんどの場合、国民健康保険料(税)も節税できるとお話ししました。今回はその仕組みを青色申告決算書と確定申告書から見てみたいと思います。

まずはこちら。これは所得税青色申告決算書(の1ページ目)です。青色申告の場合、帳簿や領収書などの証憑を申告時に提出しなければならないと思われている方がたまにいらっしゃいますが、実際には帳簿の提出は必要なく、このような決算書を提出します(申告時には必要ありませんが、帳簿や証憑は保管が義務付けられており、後日調査があった場合には提示が必要ですのでお間違えなく)。

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右下に赤い太線で囲ってあるのが、所得金額。これが所得税の税額計算の出発点となります。事業所得の金額は「その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額」(所得税法第27条第2項)ですが、決算書をよく見て頂くと、実際には、売上(収入)金額 - 売上原価 - 経費 - 引当金等でまず、「青色申告特別控除前の所得金額」となり、そこから「青色申告特別控除額」を引いて最終的に「所得金額」となります。このように青色申告特別控除額を控除して所得金額とすることは、租税特別措置法という法律(第25条の2)で、定められています。

次に確定申告書(Bの第一表)を見てみましょう。ここでは3箇所を赤枠でハイライトしてあります。まず一番上が、収入金額等のうち、事業所得(営業等)。3,606万円ですから、さきほど見た決算書上の売上(収入)金額と一致していますね。二番目が所得金額のうち、事業所得(営業等)。768万円で、決算書上の所得金額と一致します。青色申告特別控除前の所得金額ではなく、控除した後の所得金額というのがミソです。そして三番目が所得金額の合計。この例では事業所得以外ありませんので、事業所得の金額がそのまま転記されています。

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所得金額の合計は、所得税法(第22条)では「総所得金額」と表現されます。そして、この総所得金額が所得税の課税標準になります。つまり、青色申告特別控除を控除した後の事業所得が総所得金額に反映され、その総所得金額を基に所得税が計算されます。これが、青色申告によって所得税が節税できるメカニズムというわけです。

では、住民税と国民健康保険料(税)は? 実は、この両方とも、上で見た確定申告書上の「所得金額の合計」、すなわち、所得税上の「総所得金額」をもとに計算されます。住民税の場合は、地方税法の第313条第2項で所得割の課税基準が「所得税に関する法令の規定による所得税法第22条第2項又は第3項の総所得金額」であると定められています。ですから、青色申告によって所得税上の総所得金額が下がれば、自動的に住民税の課税対象金額も減り、結果として住民税の節税にもなるのです。

国民健康保険料(税)の場合は、住民税よりも仕組みが複雑なのですが、所得に応じて変動する保険料(所得割)は、基本的に上記の住民税での総所得金額を基に計算されます(地方税法第703条の4)。すなわち、所得税上の総所得金額が、住民税上の総所得金額に反映され、さらにそれが国民健康保険料(税)上の総所得金額にも反映される仕組みになっています。一部の自治体では、総所得金額ではなく、住民税の金額そのものを基に保険料を計算するケースもありますが、この場合も、住民税は既に青色申告特別控除を反映して下がっていますから、国民健康保険料(税)も連動して下がることになります。

(上記は個人的に調べた内容ですので、ひょっとしたら間違っている可能性も否定できません。何かありましたら、是非Twitterでお知らせ下さい。)
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2012年03月07日

青色申告で節税 (その1)

確定申告の期限である3/15(木)まで、あと8日。いよいよラストスパートですね。締切を前に、やっぱり無理かも、と半ば諦め気味の方もいらっしゃるかもしれません。そんな方に再びやる気を取り戻して頂きたいということで、青色申告でどれだけ節税できるのかお話ししてみたいと思います。

まずはここでクイズです。青色申告をすると、税金を減らす(合法的にですから、脱税ではなく、節税ですよ)ことができるということは皆さんご理解されていると思いますが、ここでいう税金とはどの税金を指すでしょうか。

  1. 所得税
  2. 住民税
  3. 国民健康保険料
  4. 事業税

税金の質問なのに、国民健康保険料が出てくるのはちょっと違和感があるかもしれませんね。国民健康保険料は主に個人事業主が加入する健康保険の保険料ですが、実はこれは地方税法で定められた立派な税金であり、正式には国民健康保険税と言います。

ちょっと脱線しましたが、上記のクイズの答えは、以下の通りです。

  1. 所得税 ○
  2. 住民税 ○ 
  3. 国民健康保険料(税) △
  4. 事業税 ×
青色申告というのは、基本的には所得税上の仕組みです。ただし、住民税は、所得税上の総所得金額(=青色申告特別控除を引いた後の金額)をもとに計算されるため、結果的に住民税も節税できるのです。国民健康保険税も基本的には同様で、やはり所得税上の総所得金額をもとに計算されるため、国民健康保険税も節税となります。

ここで国民健康保険税を○ではなく、あえて△としたのは、100%そうだと言い切れないためです。国民健康保険税は各自治体ごとに税金の計算方式や税率が異なります。私がこれまでに確認した自治体(具体的には、東京23区、横浜市、名古屋市、大阪市、札幌市)では全て、青色申告によって節税することができますが、何らかの理由で青色申告特別控除が反映されない計算を行う自治体がないとは言い切れません。そのため、ここでは安全をとって△としています。

事業税についても、所得税上の所得をベースとして計算されるのですが、ベースとなるのが、総所得金額ではなく、事業所得そのものであるために、青色申告特別控除は反映されません(ここらへんの背景を条文で追ってみたのですが、かなりややこしいです)。
次回は実際の申告書を見ながら、所得税上の仕組みである青色申告特別控除が住民税や国民健康保険税に反映される仕組みをお話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 19:27 | TrackBack(0) | 税金・法令

2012年03月02日

寄附金控除の実例

これまで寄附金控除について、一般的なケースと、震災の特例措置についてまとめました。今回はまとめもかねて、どのように申告書に記載するかを実際の例で見てみたいと思います。

私が昨年行った寄附は以下の通りです。毎年、その年の収入の一定割合を寄附するように心がけているのですが、昨年はさすがに通常の割合よりはだいぶ大きくなりました。金額的には、著書「会計ソフトだけではダメ! 本当の会計の話」の印税をETIC.の震災復興リーダー支援プロジェクトに寄附したものが大きくなっています。

#1 財団法人信頼資本財団(ETIC. 震災復興リーダー支援プロジェクト) 780,000
#2
日本赤十字社(東北関東大震災義援金) 20,000
#3 宮城県(
宮城県災害対策本部) 40,000
#4 岩手県(
岩手県災害義援金募集委員会) 30,000
#5 福島県(
福島県災害対策本部) 30,000
#6
社団法人日本ユネスコ協会連盟(世界寺子屋運動) 50,000
#7
社団法人日本ユネスコ協会連盟(東日本大震災 子ども支援募金) 40,000
#8
財団法人日本ユニセフ協会 50,000
#9
特定非営利活動法人難民を助ける会 25,000
#10
特定非営利活動法人国境なき医師団日本 25,000
#11
日本赤十字社(海外たすけあい) 30,000
合計 1,120,000円

これらはすべて所得税の寄附金控除に該当しますので、合計の112万円から2,000円を引いた1,118,000円の所得控除を受けることができます。所得控除ですから、課税対象となる所得から控除することになり、実際の節税額は1,118,000円×所得税率となります。ただ、今回の寄附のうち、1番と6〜10番は、認定NPOや公益社団法人/公益財団法人に対する寄付ということで、所得控除のかわりに税額控除を選ぶことができます。

この中で、前回お話しした震災の特例措置を受けるのは、2〜5番です。この合計額である120,000円は震災関連寄附金という扱いになり、同時に地方自治体向けの寄附金である3〜5番はもとより、2番も日本赤十字社の「東日本大震災義援金」口座へ直接寄附した義援金として、ふるさと寄附金(ふるさと納税)として認められます。結果として2〜5番は、所得税と住民税をあわせてほぼ全額が還付されることになります。寄附の趣旨からすると1番や7番も震災関連寄附金となりそうに見えますが、趣旨として震災関連かではなく、あくまでも前回紹介した国税庁の基準に合致するかどうかで判断されます。この基準では、国や被災した地方自治体、日本赤十字社、中央共同募金会への震災関連寄附は当然認められますが、認定NPOや公益社団/財団法人を通じての寄附は予め行政による確認が必要とされ、認められているケースはかなり限られています(これは前回お話ししたように、認定NPOや公益社団/財団法人の立場からは、震災関連寄附と認められなくても、通常の寄付金控除としては認められるため、あえて震災関連寄附としての確認を受けていないのではないかと思います)。

ここで注意が必要なのは、同じ日本赤十字社への寄附であっても、東日本大震災義援金として寄附したのか(2番)、あるいは、それ以外の寄附か(11番)で扱いが変わることです。前者は上述の通り、ふるさと寄附金として扱われますが、後者は対象となりません(一般的な所得税上の所得控除のみとなります)。

もう一点注意が必要なのは、認定NPOや公益社団/財団法人への寄附のうち、住んでいる自治体で認められていれば住民税の控除対象となるものがあること。私の住んでいる神奈川県横浜市の場合、私の寄付先の中では財団法人日本ユニセフ協会のみが対象となります(神奈川県の認定リストがこちら、横浜市はこちら(pdf))。

それではこれらをどう申告書に記載するかですが、まずは確定申告書第二表(2ページ目)の右上の(16)寄附金控除欄に寄附先の名称と寄附金額を記載します。寄付先が複数ある場合には、「日本赤十字社、他」といった表記でよいようです(いずれにせよ領収書などを添付する必要はありますので)。今回の例では、一般の寄附金が1,000,000円、震災関連寄附金が120,000円となります。

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ちなみに、この例では全て所得控除としていますが、先ほどお話しした通り、一部は税額控除を選ぶこともできます。この方が一般的には税金の軽減額は大きくなります。ただし、別途計算明細書(認定NPO法人寄附金特別控除額の計算明細書(pdf)や公益社団法人等寄附金特別控除額の計算明細書(pdf))も必要になり、多少手間が増えることになります。

さらに第一表(1ページ目)の左下の(16)寄附金控除には寄附金の合計額である1,120,000円から2,000円を引いた1,118,000円と記載します(当然ですが、弥生会計/やよいの青色申告では第二表に記載すれば、自動で転記されます)。

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記入が必要なのがもう一か所、第二表の下の方にある、「住民税・事業税に関する事項」の寄附金税額控除欄です。ここでは、ふるさと寄附金とみなされる日本赤十字社への義援金も含め、「都道府県、市区町村分」に120,000円を記入します。また、「条例指定分」は、私の住所地である神奈川県および横浜市で指定されている日本ユニセフ協会への寄附50,000円を記入します(県/市ともに指定されているため、両方に同じ金額が入ります)。

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書いていて、正直やはりかなり複雑だな、と改めて実感します。ただ、より広く寄附金控除を認めるために結果として複雑化してしまっているのは事実なので、やはりお上の仕事は、と単純に非難することもできません。複雑な仕組みであるのは事実ですが、是非キチンと寄附金控除のメリットを享受して頂き、それをさらに翌年の寄附にまわしていくといったよい循環が生まれてほしいと願っています。

もっと言えば、仕組みを完全に理解しない場合でも、寄附金控除をまるごと放棄するのではなく、第二表右上の(16)寄附金控除欄および第一表の左下の(16)寄附金控除だけは記入して頂ければと思います(かつ、領収書を添付)。これだけでもやっておけば、最低限所得税での所得控除は受けることができます。弥生会計/やよいの青色申告では、ソフトの質問に対し、寄附金があると回答して頂ければ、この最低限の記入はきっちりできるようにナビゲート致します。
posted by 岡本浩一郎 at 13:16 | TrackBack(0) | 税金・法令

2012年02月28日

寄付金控除の震災特例

前回は、寄付金控除の制度についてお話ししました。前回お話ししたのは、震災の特例措置以外の一般的なケース。ただ、制度が変わってきていることもあり、一般的なケースと言ってもかなり複雑な仕組みになってきています。できるだけ平易にご説明したつもりですが、なかなか難しいですね。平易にご説明しようとすればするほど、説明が長くなってしまい、個々のポイントは分かりやすくなっても、逆に全体が見えなくなりがちですので。全体という意味では、同じ寄付金でも、誰に対して寄付したのかによって、どのように控除を受けられるかが大きく三種類に分かれるというのが一番重要なポイントです。

さて今回は、震災の特例措置について。一般的なケースでも複雑なのに、特例措置が加わると、さらに難しくなるのですが、これも大きく分けると二種類のパターンがあります。

まず一つ目は、特定の義援金等については、「ふるさと寄付金(ふるさと納税)」と同様な取り扱いになるというものです。被災地の地方自治体、例えば宮城県への義援金は、地方自治体への寄付になりますから、通常のケースでも前回ご説明したふるさと寄付金(ふるさと納税)に該当し、義援金のほぼ全額(2,000円を引いた額)が納めるべき所得税および住民税から軽減されます。ただ、今回の特例では、直接的に地方自治体向けではなくても、ふるさと寄付金の扱いになるケースが定められています。

具体的には、日本赤十字社や中央共同募金会などに東日本大震災義援金として寄付した場合、および国に東日本大震災義援金として寄付した場合です。一般的には、日本赤十字社や中央共同募金会への寄付は前回の記事での一つ目のパターンに該当し、ふるさと寄付金よりは控除額が低くなります。ただ、今回は特例によって、日本赤十字や中央共同募金会、さらには国への寄付であっても、東日本大震災の義援金であれば、ふるさと寄付金と同じ扱いになります。東日本大震災への義援金としては、日本赤十字社に寄付された方がやはり一般的だと思いますので、多くの方がこの特例のメリットを享受することができます。

なぜ、ふるさと寄付金とみなすかといえば、この種の義援金は、被災地方団体が関係機関と組織する義援金配分委員会で配分され、被災者に届けられることから。実は、被災地方団体が関係機関と組織する義援金配分委員会で配分されるというのが、大きなポイントです。日本赤十字社以外、例えば、新聞社などに義援金を寄付した場合でも、最終的に被災地の地方自治体、もしくは上記の義援金配分委員会に寄付金が届けられる場合は、同じくふるさと寄付金と同様の扱いになるそうです。本当はこのようにふるさと寄付金の扱いとなる寄付先の一覧があるとよいのですが、総務省に確認したところ、そのような一覧はないとのこと。個々に寄付先に確認して欲しいとのことでした。

震災の特例のもう一つのケースは、ふるさと寄付金ほど控除はされないものの、一般的な寄付金控除と同様の控除が得られるというもの。これはかなりのパターンがありますので、国税庁のこちらのページをご覧頂きたいのですが、一定の条件に該当する寄付金は特定寄附金として、寄付金控除の対象となります。ただし、実は、この特例のメリットを受ける方はあまり多くないと思われます。なぜならば、この一定の条件に該当する寄付金はほとんどの場合、通常の寄付金控除にも該当するからです。では、この特例に意味がないかというとそうではなく、寄付金控除の上限が大幅に増えることに大きな意味があります。

通常の寄付金控除は控除の対象となる寄付金の額は、所得金額の40%が限度となっています。これに対し、今回の特例では、震災関連以外と震災関連の寄付金をあわせ、所得金額の80%が限度となります。例えば、所得(所得税を計算する上での所得)が500万円の方で、震災特例がなければ、控除を受けられる寄付金の上限が100万円だったものが、震災特例によって200万円まで認められるということになります。

震災関連の寄付金の情報はやや錯綜しているのですが、私が確認した範囲では以上の通りです(何かありましたら、是非twitterでご連絡下さい)。特に、ふるさと寄付金の扱いになるかどうかが大きなポイントです。

次回は、私の実際の寄付先をもとに、どのように確定申告書に記入するか、ご説明したいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 15:48 | TrackBack(0) | 税金・法令

2012年02月24日

寄付金控除

ちょっと前の記事で、今年も確定申告を済ませましたと書きましたが、つい先日には還付金が振り込まれました。申告から約2週間程度。昨年もほぼ同様のタイミングで申告したのですが、還付金を受け取るまでには約4週間かかりました。たまたま早くなったのか、e-taxの普及などもあり、税務署での処理スピードが上がったのか、どうなんでしょうね。昨年の約4週間でも、昔よりは早いような気がしますので、おそらく全体的に早くなってきているのかな、と思います。

今回の確定申告で一番苦労したのが、寄付金控除。NPOなどへの寄付金は一定の条件下で、所得から控除され、その分税金が減るのですが、制度自体が変わってきていることと、東日本大震災を受けての特例的な扱いが設けられたことによって、非常に分かりにくくなってきています。折角ですので、参考にして頂けるように、ちょっとまとめてみたいと思います。

制度が変わって、より幅広く寄付金控除が認められ、控除額も増えたことはとても喜ばしいことです。ただ、結果として以前よりもかなり分かりにくくなってきました。今回はそこに大震災を受けての特例的な扱いが加わったことで、難解といってよい状態になっています。これを解きほぐすためには、まずは、基本となる制度についてお話ししたいと思います。なお、お話しさせて頂くのは、あくまで一般論で、私が確認した範囲の情報です。詳細や、個別ケースについては、税務署や税理士の先生にご確認頂くことをお勧め致します。

昨年一年間で私が寄付した先は、三つの種類に分類することができます。一つ目は日本赤十字社、二つ目は認定NPO(国税庁長官から認定を受けているNPO)や公益社団法人/公益財団法人、三つ目が地方自治体です。税制優遇が認められる寄付金はこれ以外に様々な種類があります(特定の政治献金ですとか)が、だいたいこれら三つのどれか(もしくは複数)に寄付されている方が多いと思いますので、この三種類に限定してお話しさせて頂きます。この三種類で、どのように税金が軽減されるかを表にまとめると以下のようになります。

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三種類とも所得税が軽減されるという意味では共通ですが、厳密に言えば、軽減のされ方が異なります。日本赤十字社や地方自治体への寄付は、所得控除といって、課税対象となる金額を軽減する方法のみ認められています。このため、軽減される額は、(寄付金 - 2,000円) × 所得税率となります。認定NPO公益社団法人/公益財団法人に対する寄付も、これまでは日本赤十字と同様に所得控除のみだったのですが、今回の申告(昨年に行った寄付金)から、所得控除以外に、税額控除(算出された所得税から、直接控除する方法)も選ぶことができるようになりました(両方ではなく、どちらか一方を選ぶことになります)。この場合の税額控除額は、(寄付金 - 2,000円) × 40%。所得控除の場合は「× 所得税率」となっていたものが、「× 40%」になっています。現時点での所得税率は最高でも40%ですから、一般的には税額控除の方が有利になります。

さて、次は住民税です。住民税は税額控除のみなのですが、この三種類は控除対象となるかどうかが異なります。まず、日本赤十字社の場合は、住所地の日本赤十字支部への寄付のみ住民税の控除対象((寄付金 - 2,000円) × 10%)となります。次に認定NPOや公益社団/財団法人は、住んでいる自治体が認めていれば、対象になります。ただ、現時点では、認められてる認定NPOはごく一部です。神奈川県/横浜市では私が寄付をしている中では、日本ユニセフ協会のみが認められています。場合によっては、お住まいの県では対象となっているが、市では対象外というケースもありえます(それぞれ別々の判断なので)。この場合、県のみが対象であれば、(寄付金 - 2,000円) × 4%、市のみが対象であれば、(寄付金 - 2,000円) × 6%の住民税が軽減されることになります。

最後に地方自治体向けは、いわゆる「ふるさと納税」という仕組みにより、住民税が大幅に軽減されるようになっています。具体的には、寄付金から2,000円を引いた額が全て軽減される、すなわち返ってきます。仕組みとしては、上記のように所得税において、(寄付金 - 2,000円) × 所得税率だけ軽減されますから、住民税でその残りが軽減されるようになっています。ふるさと納税は必ず差し引かれる2,000円を除き、全額戻ってくるわけですから、以前も書きましたが、純粋な寄付というよりも、住民税の納付先(の一部)を自分の意思で変更できる仕組みと理解すべきかと思います。

なお、今回は触れていませんが、どこまで控除が認められるかには、上限もありますので、額の大きい方は要注意です。

もともとの制度だけでも、これだけの説明になります。さらに、ここに震災の特例措置が加わるわけです。ふーっ…。ということで、次回は、震災による特例措置について解説してみたいと思います。

あ、最後にちょっと告知です。明日は、札幌で量販店店頭での「青色申告応援イベント」を開催します。明日2/25(土)の午後1時からビックカメラ札幌店で、午後4時からヨドバシカメラ マルチメディア札幌での開催です。今回の店頭イベント巡業も、明日でひとまず終了。それだけに気合いもますます入っていますので、札幌の方は是非ご参加下さい!
posted by 岡本浩一郎 at 19:28 | TrackBack(0) | 税金・法令