2023年02月10日

弥生も…動くぞ!

前回はM2 Mac + Parallels + ARM版Windowsが動いたというお話しをしました。動くと宣伝されているので、動くのは当たり前と言えば当たり前なのですが、インストールは本当に簡単でしたし、本当にサクサク動くので感動的です。

WindowsといえばIntel(互換)チップというイメージですが、実は大昔(1990年代後半)のWindows NT 4.0では、Alpha、MIPS、PowerPCという複数のCPUをサポートしていましたし、前回お話ししたように、最近(Windows 8の時代)ではARM向けのWindows RTもありました。しかし、これらはどれも一般的にはなりませんでした。どれも一般的な(Intel向けの)アプリケーションが動かず、そのCPU向けにコンパイルされたアプリケーションが必要だったからです。やはりOSが動いても、その上でアプリが動かなければ使われないということかと思います。

その点、今回のARM版Windowsは、これまでのIntel向けのアプリケーションがきちんと動く、しかもサクサク動くというのが衝撃的です。前回の記事のスクリーンショットをよく見てみると既にネタばれしていましたが、弥生会計もしっかり動きます。ただ動くではなく、実用になるレベルで動きます。

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この写真では弥生会計 23 プロフェッショナルがあたかもMacのアプリのように動いています。これはParallelsをCoherence(一貫性)モードで表示した場合。一方で、フルスクリーンモードを選ぶと前回の写真のように、一般的なWindows PCと同じデスクトップが表示されます(この場合はデスクトップを切り替えることでMacとWindowsを行き来することになります)。私はMacとWindowsを意識して使い分けたいので、フルスクリーンモードで利用していますが、基本はMacで、弥生会計を使うためだけにParallelsを入れているという方はCoherenceモードの方が使いやすいかもしれません。

ARM版WindowsでIntel向けのアプリケーションを動かすのを可能にしているのが、Intel向けの命令をリアルタイムでARM向けの命令に変換して動作させるDynamic Binary Translatorという機能です。前回、M1 Macでは、それまでのIntel Macで動くほぼ全てのアプリケーションが動くと書きましたが、これもDynamic Binary Translationによるものです。Macの場合、Rosetta 2という名前が付いています。

Rosetta 2というからには"1"もあると想像できるかと思いますが、その通りで、Appleが2006年にそれ以前のPowerPCというCPUからIntelのCPUに移行を開始した際に、アプリケーションの互換性を実現するために提供されたのが、Rosettaです。ただ、この際にはまあまあパフォーマンスが落ちるということで、そこまで評判は良くなかった(でも動くのは有難い)、という位置付けだったように思います。

そういった意味では2000年代の前半には、コードモーフィングソフトウェアでIntel CPUと互換性を持たせるTransmetaという会社のクルーソーというプロセッサがありました。個人的にも面白いと思いましたが、これもパフォーマンスがイマイチということで、注目は集めたものの、普及はしませんでした。

やはりこの種の取組みはパフォーマンスがネックになることが多かったわけですが、それがもはやネックにならないレベルのパフォーマンスが出るようになった、と同時に、かつてはガリバー企業だったIntelの絶対優位性が今やなくなったという両面で感慨深いところです。
posted by 岡本浩一郎 at 14:19 | TrackBack(0) | テクノロジー

2023年02月07日

こいつ…動くぞ!

前回はM2 MacBook Airを買ったとお話ししました。前回の購入が2018/3のMacBook Proですから、5年経ったことになりますが、実はもう少し早いタイミングで買い替えたいと考えていました。仕事用のPCは、生産性を直接に左右するものだけに、だいたい2年半から3年ぐらいで入れ替えています。一方でプライベート用はもう少しサイクルが長め。仕事用は主に経過期間で買替えを判断していますが、プライベートはやはり新しい機種が出たタイミングが多いです。

ということで買換え意欲が高まったのは2020/11にM1を搭載したMacBook Air/Proが発表された時。ご存じの方も多いと思いますが、M1はApple自社製(ただしアーキテクチャーのベースはほとんどのスマホでも採用されているARM)のプロセッサ(昔はCPUと言っていましたが、今はCPU以外の機能も1チップに搭載されているので、SoC, System on a Chipという言い方をします)です。Appleは長年Windows PCと同じIntelのCPUを採用してきましたが、大きな方向転換となり、飛躍的にパフォーマンスが上がったとされています。

新しい物好きとしてはすぐに食いつきたいところですが、ぐっと我慢。一つには、その時点で利用していたMacBook Proがまだ問題なく使えたから。もう一つはこの種の新しい物にありがちですが、動くものもあれば動かないものもあるという問題です。

正確に言えば、M1のMacはそれまでのIntel Macで動くほぼ全てのアプリケーションが動くとされています。ただし、例外もあります。私にとって特に問題になったのが、Parallelsを使ってMac上でWindowsを動かすことができなくなってしまったこと。Mac一台でMacもWindowsも両方使えるというのが便利だったのです。プライベートでは徐々にMac中心にシフトしていってはいたのですが、仕事の関係もあり、Windowsも使えるというのが鍵でした。

実はその後、Parallelsのアップデートにより、Windows 10を動かすことができるようになりました。しかし、ここでいうWindows 10はIntel向けの一般的なWindows 10ではなく、ARM向けのWindows 10。Microsoftも長年Intel(およびその互換)CPUのみ対応してきましたが、Windows 8の時代にARM向けのWindows RTというOSをリリース、これはさっぱり売れませんでしたが、挫けることなく(?)、Windows 10で再びARM向けのWindows 10をリリースしました。

ということで、Parallels + ARM版Windows 10で動くことにはなったのですが、一つ障壁が。それはMicrosoftのソフトウェア提供ポリシーで、ARM版Windows 10はハードウェアとのセットでのみ提供されるというもの。MacはMicrosoftがライセンスを認めたハードウェアではありませんから、ライセンス上使いたくても使えません。実は開発者向けに提供されているライセンスを使うという抜け道はあったのですが、ソフトウェア会社の経営者としては、ライセンス上グレーな選択はしたくありません。

状況が変わったのが昨年夏のこと。Windows 10の後継として2021年にリリースされたWindows 11ですが、ARM版についても、正規のライセンスが購入できるようになりました。これでついに、M1(その後継のM2) Mac + Parallels + ARM版Windows(正規ライセンス)の組合せで胸を張ってMac上でWindowsが使えるようになりました。ということで、ようやくM1/M2 Macの購入を考え始めたという訳です。M2 Pro搭載のMacBook Proを待っていたものの、結果的にはM2 MacBook Airにした、というのは、前回お話しした通りです。

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ということで、だいぶ前置きが長くなりましたが、M2 Mac + Parallels + ARM版Windowsが、こいつ…動くぞ! 初見のガンダムは普通なかなか動かせないと思いますが(笑)、こちらはインストールも簡単で、あっという間でした。しかもかなりサクサク動きます。ハードな性能測定をすればともかく、通常使っている分には、普通のWindows PCと同様に動きます。
posted by 岡本浩一郎 at 23:35 | TrackBack(0) | テクノロジー

2022年12月21日

re:Invent

微妙に明言しておりませんでしたが、11月の末に米国出張した際の目的地はLas Vegasでした。まずはSan Franciscoに入った後、泳いでお気に入りのオイスターバーでご飯を食べて、一泊して翌朝は走った後に、満を持して(笑)のLas Vegas入り。

Las Vegasというと、カジノのイメージが強いですが、全米最大のカンファレンスの街でもあります。と言いつつ個人的にはこれまでLas Vegasでカンファレンスに参加する機会がなかったのですが、今回はご縁があって、AWS(Amazon Web Services)が主催する同社最大のイベントre:Invent 2022に参加してきました。re:Inventはもともとエンジニア(AWS的な言い方では"Builder")向けのイベントですが、イベントの一部として経営層(Executive leaders)をターゲットとしてExecutive Summitというイベントも併催されています。今回は、AWS Japanからお声がけいただき、このExecutive Summitに参加した次第です。

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re:Inventのキーノートセッションや、Executive Summitの各種セッションに参加しましたが、言葉を選ばずに感想を述べれば、とにかく圧倒されたということでしょうか。もちろんre:Inventというイベントの規模にも圧倒されました(実に50,000名が参加するのだそうです)が、それ以上に、今回発表された大量の新サービスや新機能に圧倒されました。一つのキーノートで、次から次へと発表されますからね。量もそうですが、インフラからハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、AIまで、その多様さにも圧倒されました。

クラウドというと、もともとは自社のオフィスや契約データセンターに置かれていたサーバー群をインターネット上のデータセンター上にホストできるようにしたものというイメージがあるかと思います。もはやサーバーを所有し、管理する必要はない、インターネット接続さえあれば、クラウド上にあるリソースを好きな時、好きなだけ活用できる。

これは正しいと言えば正しいのですが、AWSはそれ以上の仕組みを構築しつつあるのではないかと感じました。サーバーをインターネット上のデータセンター上にホストするというのは、従来の技術の延長線上にあるものですが、もはや従来の技術の延長線上にない、ある意味これまでの技術から跳躍した新しい技術が生み出されている。新しいものについていけるのだろうかという漠然とした不安があるのも事実ですが、それ以上に何ができるんだろうとワクワクします。

re:Invent 2022は、仕事では実に3年ぶりに日本を離れ、世界の今を感じる(何でも高く感じるですとか、笑)良い機会になったと同時に、テクノロジーを生業とするものとして、テクノロジーの今とこれからについて改めて考える非常に良い機会になりました。
posted by 岡本浩一郎 at 21:11 | TrackBack(0) | テクノロジー

2020年01月09日

Windows 7サポート終了

MicrosoftによるWindows 7のサポート終了日である2020年1月14日まで一週間を切りました。この日以降、セキュリティ更新プログラムなどが提供されなくなりますので、以降もWindows 7を利用し続けることは、「セキュリティ上、たいへん危険な状態」で利用することになります。

しかしWindows 7は、Windows XPの後を継ぎ、非常に広く利用されたOSだけに、まだまだWindows 7で稼働しているPCは多く残っています。弥生へのアクセスログを解析しても、Windows 7の利用ユーザーは着実に減ってはいるものの、まだ一定数残っていることがわかっています。

同じように広範囲に利用されたOSであるWindows XPのサポート終了の時と異なるのは、有償にはなりますが、Microsoftによる特別延長サポートが提供されること。Windows 7 Extended Security Update(ESU)と呼ばれるものです。これを購入すれば、2023年まではサポートを受けることができるようです。ただ、提供はされるものの、Microsoftとして積極的に売りたいという訳ではないようで、このESUに関する情報はかなり限定的です。価格も開示されてはいないのですが、ある情報によると、1年目が$50/台、2年目が$100/台、3年目が$200/台だそうです。どうもCSPというMicrosoftのパートナーを通じてのみ購入できるようで、正確な価格は見積ベースとなるのでしょうか。

ただ、この価格であり、積極的な情報発信が行われていないことが示すように、一般的な中小企業がこれを利用するのは現実的ではありません。おそらく、組織内に大量のWindows 7をかかえており、期限までに移行を完了できない大企業向けと理解した方がいいのではないかと思います。

弥生自身も1,000台以上のWindows PCを利用していますが、既にWindows 10への入れ替えを済ませています。ごくわずかに専用端末や予備機のような形でWindows 7が残っていますが、これらも1/14までには入れ替えが完了する予定です。利用頻度が低いものは目立たないだけに厄介ですが、一台でも社内ネットワークに残っていれば、それを踏み台にして攻撃にあう可能性もありますから、注意が必要です。

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我が家でもこの年末年始で、唯一残っていたWindows 7機からの移行を済ませました。同じPCでWindows 10への移行も可能ですが、最近はPCが非常に廉価なので、正直買い替えた方が合理的だと思います。我が家で購入したのは、HPのENVY x360というPC。ちょっと前までは、SSD(半導体ドライブ)搭載のPCと言えば高級品というイメージがありましたが、今回買ったPCはRyzen 5、8GBメモリ、512GB SSDで89,100円(送料、消費税込み)! 35年前に初めて買ったパソコンが30万円超え、25年前はMacに50万円以上払っていたことを考えると、夢のようです(笑)。

1/14以降、Windows 7のPCで弥生製品がすぐに利用できなくなるわけではありません。製品操作に関するサポートは引き続き提供します。ただ、Windows 7に起因する可能性があるトラブル等についてはサポートできなくなりますし、何よりも自社のPCがハッキングによって突如利用できなくなったり、あるいは機密情報が流出したりというセキュリティリスクを負うことになってしまいます。一日も早く、Windows 10への移行をお願い致します。
posted by 岡本浩一郎 at 11:26 | TrackBack(0) | テクノロジー

2019年07月30日

SQL Server 2008/2008R2

本ブログでお話しするのが少し遅くなってしまいましたが、去る7/9にマイクロソフト社によるSQL Server 2008/2008R2のサポートが終了しました。SQL Serverというのはデータを記録するソフトウェア(データベース)で、弥生の一部製品(弥生会計 ネットワークなど、主に複数人で利用する製品)で利用されています。

これまでWindows 2000Windows XPのサポート終了の時にもお話ししてきましたが、サポートが終了したソフトウェアは、セキュリティ上の問題が発覚しても対策パッチ(セキュリティ更新プログラム)等が提供されないことから、「使うべきではないソフトウェア」になります。

SQL Server 2008/2008R2のサポート終了について、弥生では一年前から告知を行ってきました。また最新製品である弥生 19 シリーズでSQL Server 2008/2008R2との組み合わせで利用されている場合には、移行を促す警告メッセージも表示するようにしました。その甲斐もあって、SQL Server 2008/2008R2をご利用のお客さまは目に見えて減ってきています。ただ、お客さまの母数が大きいこともあり、現時点でも一定の数のお客さまがSQL Server 2008/2008R2をご利用されていることも事実です。

今更ながらのお願いになりますが、セキュリティ上のリスクは確実に存在しますので、一日も早く、SQL Serverの新しいバージョンへの置き換えをお願いします。

これはこれで乗り越えていかなければならないのですが、この先にはWindows 7のサポート終了(あと約半年)という超大物が控えています。その間には言わずとしれた消費税率の引き上げと軽減税率の導入。消費税ももはや後2ヶ月ですから、もはや待ったなし。お客さまにお伝えすべきことが山盛り。一方で、何でもかんでもお伝えしようとすると、お客さまも消化不良になりがちなのが難しいところです。

もっとも一番大事なのは、お客さまの業務に支障をきたさないこと。弥生としても、Web、メール、製品内のメッセージセンター、DM、会員誌など、ありとあらゆる手でお客さまへの着実なコミュニケーションを図っていきます。弥生のメッセージを受け取られましたら、早め早めの対処をお願い致します。
posted by 岡本浩一郎 at 21:39 | TrackBack(0) | テクノロジー

2019年06月13日

eSIM

日本では梅雨の時期ですが、梅雨から脱出すべく7月上旬に海外出張を予定しています(もちろんちゃんとした仕事です、笑)。なかなか現地での打合せのスケジュールが固まらずやきもきしていたのですが、ようやく鍵となる打合せのアポが確定し一安心です。

ここ数年、海外に行く際には、現地でSIMを調達し、バックアップ用のスマホにさして利用するようにしています。メインのiPhoneでは、日本の番号での通話ができるようにしておき、データ通信は現地SIMが入ったバックアップ用のスマホとのテザリングで賄うという方式です。現地SIMのメリットはやはり安いこと。日本のキャリアのデータローミングだと一日2,000円ぐらいかかりますが、現地SIMだと、(国によりますが)1週間で2,000円〜3,000円ぐらいというのも珍しくありません。

この方式のデメリットは、常にスマホを2台持ち歩く必要があること。また2台の充電状況を常に気にしておく必要があること。特にバックアップ用は、昔使っていたスマホ(現在は2台前のiPhone 6Sを利用)なのでバッテリーが弱りがち。気を付けないとすぐに電池切れになってしまいます。

そこで先般のUS出張では、eSIMという新しい方法を試してみました。これはiPhone XSから採用された技術ですが、スマホ内に通常使うのとは別にもう一つのソフトウェアで設定できるSIMを内蔵しているため、これを利用すれば、iPhone XS 1台で、日本のSIMと現地のSIMを併用することができるというもの。これだと、現地のSIMならではの低コストを享受しつつ、日本の番号でも電話を受けられ、また、持ち歩くのは1台で済むという良いとこどりになります。

早速San Franciscoに着いた段階で、予めインストールしておいたVerizon (USのNo.1キャリア)アプリを開いて、eSIMのセットアップを試してみましたが、なぜか、このデバイスには対応していないとエラーになってしまいました。もちろん、私のiPhone XSはSIMロック解除済みです。

やむを得ず、GigSkyというグローバルで利用できるデータ通信に特化したキャリアを試してみる(これも念のためにアプリをインストールしてありました)と、今度はうまく行きました。選んだのは、15日間2GBで$30のプラン。毎日ローミングの料金を払うよりはだいぶ安く済みますね。

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GigSkyのeSIMをアプリから購入したら、モバイル通信プランとして主回線(日本のキャリア)とGigSkyの2回線が同時にアクティブな状態になります。ここで「モバイルデータ通信」として「GigSky」を、また「デフォルトの音声回線」として「主回線」を選べば、音声は日本のキャリアを使いつつ、データ通信のみGigSky経由となります。

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ちなみに、この状態では、電波状況を表すピクトグラムが2段になります。上段がGigSkyで、下段が日本のキャリアから自動的に(音声のみで)ローミングしているVerizon。この写真では、両方とも受信状態良好です。

テザリングもありといえばありですが、油断するといつの間にかテザリングが切れていて、再度つないだりという手間があります。その点、1台でデータ通信まで完結できるのはやはり圧倒的にラクです。今度の出張はヨーロッパなのですが、GigSkyはヨーロッパでも15日間2GBで$30。なおかつヨーロッパの大部分の国をカバーしているので、いくつかの国をまたいでの出張の時には特に便利ですね。
posted by 岡本浩一郎 at 19:26 | TrackBack(0) | テクノロジー

2019年05月24日

USB Type-C

前回ご紹介した新しいVAIOですが、薄型軽量ながら、USBはもちろん、HDMIや有線LANなど外部インターフェース端子が充実しているのがウリです。一般的に必要とされるものは全て揃っているので、特に外出時などに、HDMIのディスプレイアダプタは持って来ていたっけと心配しなくていいのが有難いです。

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逆にオフィスで一番活躍しているのが、USB Type-Cポート。1つしかないのですが(従来からあるUSB A端子は3つ)、このポートにUSB Type-C接続ドッキングステーション(私が利用しているのはELECOMのDST-C02)をつなぐと、そこから電源(給電専用のUSB Type-C)、映像出力(HDMI)、有線LANそして一般的なUSB(キーボード、マウスなど)をまとめて接続することができます。オフィスに戻ったら、USB Type-C端子をさせば、電源からディスプレイから有線LANまでまとめてつながる、逆に出かけるときにはUSB Type-C端子だけ外せばReady to goというのはとても便利です(端子をさすタイミングで認識されたり、されなかったりということがあるので、少し慣れが必要ですが)。

もう一台利用しているMacBook Proもそうなのですが、このVAIOはUSBによる給電に対応しているのも便利です。正確に言えば、USB PD (Power Delivery)。USBといえば5Vと思いがちですが、USB PD規格では最大20V/5A/100Wでの給電ができるようになっています。一般的なAC電源はもちろん、USB PD規格対応のモバイルバッテリーからの給電もできるのはいざという時にとても便利。

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また、昨今ではUSB PD規格に対応した小型のACアダプタが少しずつ増えてきており、純正のACアダプタの代わりに利用することができます。私が利用しているのはミヨシのIPA-C03というものですが、最大45W対応のUSB Type-Cポートが1つ、USB Aポートが2つあり、全てを同時に給電することができます。これ一つあれば、VAIOとスマホ2台を同時に給電できるため、出張の時もこれ一つでok。なおかつ、弥生の天然水(280mlペットボトル)と比べていただくとわかると思いますが、かなりの小型。結構おススメです。

まだまだ一般化はしていないUSB Type-Cですが、うまく使えばとても便利。もう少し普及して、ケーブル等ももう少し安くなってくれるといいのですが。
posted by 岡本浩一郎 at 18:26 | TrackBack(0) | テクノロジー

2019年05月22日

帰ってきたVAIO

少し前に仕事用のPCを入れ替えました。2013年末からSurface Pro 2を使い、2014年末にはSurface Pro 3、そして2017年末からはSurface Pro (第5世代)と、ここ5年ほどはSurface Proを愛用してきました。キーボードを付けると若干重さは増すものの、持ち運びやすいサイズとデザインを気に入って使い続けてきたのですが、直近で利用していたSurface Pro (第5世代)については、頻繁に落ちるという現象がありました。落ちるといっても、アプリケーションが落ちるといった生易しいものではなく、ブルースクリーンを出してPC自体が再起動してしまうというもの。

おそらくは個体の何らかの問題だと思うのですが、色々と対策を講じてみたものの、症状はよくならず、むしろここしばらくはかなりの頻度で(一日に何回という頻度で)ブルースクリーンを出すようになり、さすがにさじを投げました。

ということで、PCを入れ替えようと考えたものの、では何にするか。今どき軽さを売りにしているPCは数多くありますが、やっぱりこれかな、と思ったのは、VAIO。昔の恋人という訳ではありませんが、自分が経営コンサルタントとして独立した時に初めて自分の会社で買ったVAIO(SR9/K)以来、2013年まで実に10年以上、5台以上使い続けてきました。VAIOがソニーから独立し、サポート体制や今後の製品開発に不安を感じたこともSurfaceをメイン機とする背景にあったのですが、独立から5年が経ち、もうそろそろいいのではないか、とよりを戻す(笑)ことにしました。

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ということで、使い始めたのがこちら。コンシューマー向けではVAIO SXと呼ばれている14インチながら薄型軽量のVAIO。VAIOらしいVAIOです。実際に購入したのは法人向けなので、VAIO Pro PKという型番になります。この機会に社長の特権を最大限駆使し(苦笑)、ブラウンという少し変わった色にしてもらいました。スペックも画面こそ(4Kでなく)Full HDですが、i7/メモリ16GB/SSD 512GBとそれなりにいいものに。おカネに糸目をつけずに一番いいスペックがいいとまでは言いませんが、時間単価と生産性を考えれば、変にスペックでけちるべきではないと思っています。

もう二ヶ月ほど利用していますが、快適です。気が付くとEdgeが落ちていることはありますが、これまで一度もブルースクリーンに遭遇せず。まあ、当たり前じゃないか、と思われるかもしれませんが、安心して使えることってこんなに有難いんだ、と実感しています。それが業績に反映されている、とは言いませんが、お蔭で生産性もアップしたはずです(笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 19:00 | TrackBack(0) | テクノロジー

2019年01月29日

COBOL世代が物申す

最近メディアを賑わせている毎月勤労統計調査の問題ですが、意外なものがその一因とされているようです。それが何かというと…、COBOL。この報告書(pdf)によると、「毎月勤労統計調査に係るシステムのプログラム言語はCOBOLであり、一般的にシステム担当係でCOBOLを扱える者は1人又は2人に過ぎなかった。このため、一般的にシステム改修を行う場合はダブルチェックを行うが、ダブルチェックができない場合も多かった」ことが問題の一因とされています。

ITを生業とする者とすれば、おいおい、という感じですが、これに評論家の方が「これはCOBOLで書かれた特殊なプログラムなので高齢者しか読めず」という解説を加えたことが、話題になっています。ますます、おいおい、という感じです。

確かに、プログラミング言語としてCOBOLがもはや主流でないのは事実かと思います。もともとはメインフレーム上で事務処理を行うための言語として生まれ、広く利用されていました。しかし、時代と共にオープン系のシステムが増えてC(C++/C#)が、さらにウェブ系のシステムではJavaやJavaScriptが利用されるようになり、今では新規の開発でCOBOLが利用されることは滅多にありません。とはいえ、これまでに開発されたコード資産が膨大にありますから、「特殊なプログラム」と言うのはさすがに妥当ではないかと思います。また、COBOLはもともと可読性の高い言語ですから(そのために冗長になりがちなのも事実ですが)、他の言語の習得者であれば、読むこと自体はそれほど難しくありません。

私事ですが、私が野村総合研究所に新卒で入社したのが1991年。この年、新入社員研修はCOBOLで行われました。ちなみに、翌年からはCになったので、私は最後のCOBOL世代と言えるかと思います(苦笑)。それだけに、「高齢者しか読めず」に反応してしまったわけです(笑)。

ところで、あまりにタイミングが絶妙なので驚きますが、実は先週、情報処理技術者試験で選択できる言語としてCOBOLを廃止することが発表されました。その代わりに新たに採用されるのは、私も使うようになったPythonです。実際に使うようになって実感しますが、開発生産性としてPythonの方が圧倒的に高いですし、まあ、これも時代の流れだと思います(ちなみに私が当時情報処理技術者試験を受けた際は、CASLでした。懐かしい)。

こういった状況ですから、今どきCOBOLは、という意見を否定するつもりもありません。ただ、「特殊」ですとか、「高齢者しか」という意見にはさすがに首を傾げます。件の報告書をもう少しちゃんと読めばわかりますが、「抽出替え等によりシステム改修の必要性が生じた場合には、……その際にはすべての仕様をペーパーで依頼する訳ではなく、口頭ベースで依頼することもあった」というのは、開発プロセスの問題であり、どんな言語を利用しようが同じ話です。

また、「一般的にシステム担当係でCOBOLを扱える者は1人又は2人に過ぎなかった。このため、一般的にシステム改修を行う場合はダブルチェックを行うが、ダブルチェックができない場合も多かった」というのは、一見COBOLのせいにも見えますが、この文のCOBOLをJavaやPythonに置き換えても成立しうる話です。つまり開発体制の問題。そもそもやるべき仕事に対して、システムを内製するという判断が正しかったのか。内製にするのであれば、それに必要な体制が整備されていたのかどうか。

COBOL世代だからといって、COBOLを擁護するつもりはありません。ただ、今回の報告書についていえば、明らかになっているのは、COBOLの問題ではなく、システム開発体制の問題、もっといえばITガバナンスの問題ではないでしょうか。
posted by 岡本浩一郎 at 14:51 | TrackBack(0) | テクノロジー

2018年10月23日

ムーアの法則

先日ネットで懐かしいものを見つけました。X1turbo。「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち」という企画の一環ですが、まさに私のPCライフの入り口となった想い出のPCです。以前アスキーでの連載でも書いたこともありますが、私にとってコンピュータの入り口となったのがPC-1251というポケコン。そして初のパーソナル・コンピュータとなったのが、このX1turboという訳です。

X1turboは、TVが見れる、そしてTVの画像とコンピュータの画像を重ねて表示できるなど、まだまだ事務機のイメージの強かったパソコンの常識を覆した存在でした。この記事に登場している実機はそんなX1turboらしく、赤色。ただ、私自身が購入したのは、地味なグレーでした。X1turboが登場したのが記事中にある通り1984年(正確には1984年10月)でしたが、購入したのは1985年の年明け。それまで溜めに溜めたお年玉をはたいての、まさに清水の舞台から飛び降りる思いでの購入でした(モニターとあわせて当時の価格で30万円越えですから、中学生のお買い物としては相当なものです、ただ中学生にとってパソコンにかこつけて自室でTVを見れることのメリットは想像して頂けるかと)。

これだけで終わると芸がないので、ふと思い付いて簡単な計算をしてみました。半導体業界では「ムーアの法則」という有名な法則があります。半導体は1~2年という短期間で性能が2倍に向上するというもの。私が1985年に購入したX1turboのメインメモリは64KB(そうです、「ギガ」でも「メガ」でもなく、「キロ」バイトです)。これが2年に2倍の割合(1年では1.414倍)で増加したとすると、2018年には、じゃじゃーん、5.66GB。最近のPCのメインメモリは少なくとも、2GB、しっかりしたものでは8GBぐらいが相場だと思いますので、5.66GBといえばこの中間ですから、まあだいたい当たっていることになります。

ちなみに、これが1年に2倍のスピードだと、2018年にはなんと524,288GB(524TB)になる計算になります。逆に3年で2倍のスピードだと2018年でいまだに0.13GB(128MB)にしかなっていない計算になります。1年で何倍という計算を30年以上分繰り返すことになりますので、1年では僅かな差が2018年には大きな差を生んでしまう訳です。

そう考えると、30年以上経てそれなりに言い当てている訳ですから、この2年に2倍というムーアの法則は非常に高い予見性を持っていることになります。ただ、1985年に64KB、1986年に90KB…と計算し、毎年、その年の典型的なPCのスペックと比較するとそれなりなずれが生じることもあるため、一定の時間の幅の中で、ある程度の幅を持った予見性があるということかと思います。実際、ムーアの法則で「1年に2倍」なのか、「18ヶ月に2倍」なのか、「2年に2倍」なのかは諸説あるようで、その真相を追ったこの記事もなかなか面白い読み物になっています。
posted by 岡本浩一郎 at 21:01 | TrackBack(0) | テクノロジー

2018年09月18日

今年はどうする

毎年一回、この時期恒例のイベント。そう、iPhoneをどうするか、です。昨年はこんなことを、一昨年はこんなことを書いています。昨年はだいぶ歯切れが悪かったのですが、結局どうしたかというと…、今でもiPhone 7のまま。うーん、どうしようかなと思っているうちに、年を越してしまい、年を越したら、まあ次でいいか、となってしまいました。理由としてはサイズが大きくなったことを書きましたが、実際問題として、今のiPhone 7で困らないということなのかと思います。

それでは今年はどうするか、というと、うーん、今年も決め手に欠けるんですよねえ。iPhone 7の時はSuicaが使えるようになるという明確な購入動機があったわけですが、昨年のiPhone X/8ではそこまでの購入動機はなく、今回も今ひとつといった感じです。あえて言えば、Dual SIM対応ですかね。私は仕事にせよ、休暇にせよ数日間以上の海外渡航の場合には、現地のSIMを購入するようにしています。それを2号機であるAndroid端末に挿して、メインのiPhone 7はテザリングで接続しています。iPhone 7はSIMロック解除してあるので、海外のSIMを直接iPhone 7で利用することも可能ですが、そうすると日本の番号にかかってきた電話に出れません。そのため、日本のSIMと海外のSIMを併用するために端末2台持ちとなっている訳です。

今回のiPhone XS/XRでは通常のnanoSIMスロットに加え、ソフトウェアで制御されるeSIMという仕組みを備えるため、2つのSIMで同時に待ち受けすることができるそうです。つまり、メインは日本のSIMを挿したつつ、海外渡航先ではeSIMで現地のSIMを利用することができるようになるわけです。ただし、eSIMに対応するキャリアは限られているので、いつもこれでいけるとは限らず、また実際にeSIMをどのように購入し、利用できるのか、まだ不透明な部分があります(日本のキャリアでeSIMに対応したところはありません)。

現行のiPhone 7は購入から2年経ち、バッテリが弱ってきていることもあり、買い替え時期かなとは思います。とは言え、iPhone XSとなると軽く10万円を超える買い物になるので、迷うところです。正直、iPhone新製品の発表に以前ほどワクワクしなくなってきていますし、私の利用用途では、ハードウェアとしてはもう十分だと感じてしまいます。

Appleの強みはハードウェアとソフトウェアの両方を持ち、それらを高度に融合することにより優れた使い勝手を実現すると同時に、両輪で稼ぐことができていること。20年ほど前のほんの一時期だけ、Mac OSを外部に解放し、Mac互換機が生まれたことがありました。しかし、1997年にSteve JobsがAppleに復帰すると、この互換機戦略を転換。以来Appleは、ハードウェアを自社だけで開発することにこだわってきました。それは間違いなくAppleの強みの源泉ではありますが、一方でそれは、売上と利益の両方を維持・拡大するためには、ソフトウェアで稼ぐだけでは不十分で、新しいハードウェアを売り続けなければならないことも意味します。

iPhoneが登場してから、10年以上。これまでは新しいiPhoneは常にワクワクする存在であり、新規のお客さまの獲得にも、既存のお客さまの買い替えにも困らなかった。ただ、ハードウェアとしてのiPhoneの進化が(少なくとも私のような一般的な?ユーザーにとって)飽和しつつあるように見える今、これまでと同じような成長を維持できるのかどうか。あるいは、ハードウェアでの成長にそれなりに見切りをつけて、ソフトウェアやサービスに明確に舵を切ってくるのか。最初は不振と言われたiPhone Xも実際にはそれなりに売れたようですから、まだまだAppleマジックは続くのかもしれませんが、Appleのこれからに注目です。
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2018年05月11日

金融機関APIの現状

前回は、金融機関APIが求められる背景について、お話ししました。金融機関が自らAPIを提供することによって、より安全に金融機関のデータを取得できるようにする、あるいは金融機関にデータを渡すことができるようにするのが、金融機関APIが目指すところです。ただ同時に、金融機関APIの普及には一定の時間はかかるだろう、ともお話ししました。

これも前回お話しした通り、昨年改正された銀行法では、セキュリティを確保しつつも、お客さまにとっての利便性を向上させるために、銀行に対しAPIに係る体制整備の努力義務を課しています。しかし現時点では、金融機関APIの提供はまだ始まったばかり。メガバンクやネット銀行など、ごく一部の銀行が、主に参照系のAPIを提供しています。

APIは金融機関のデータを取得できるようにする、あるいは、金融機関にデータを渡すことができるようにするインターフェイスですが、前者は参照系API、後者は更新系APIといった言い方をします。弥生のスマート取引取込のように、銀行の明細を取り込んで仕訳に変換する場合は、金融機関のデータを取得するわけですから、参照系のAPIを利用することになります。一方で、例えば、給与振込のデータがあり、それをAPIを通じて金融機関に連携し、給与振込を行うという場合には、金融機関に振込データを渡すわけですから、更新系APIが必要になります。

現時点で弥生がスマート取引取込でAPI連携を行っているのは住信SBIネット銀行の一行で、これは参照系のAPIです。弥生としては、今後API連携する金融機関を着実に広げたいと思っていますし、将来的には更新系APIへの対応も必要だと考えています。

一方で、金融機関APIの普及にはいくつかの明確な課題が存在します。

まず特に金融機関側でのシステム対応。API連携を行う際には、連携する双方でのシステム対応が必要となります。特に金融機関側については、前回もお話ししたように、インターネットとは隔絶された独自の世界に閉ざされているため、これをどのような形で開放するか、慎重な検討が必要になりますし、システム開発にもそれなりの期間を要します。

二点目は、システム対応と大きくオーバーラップしますが、セキュリティの問題。APIを開発し提供するのはいいものの、セキュリティ対策が充分でなければ、金融機関の基幹システムに対するサイバー攻撃を招くことにもなりかねません。この観点では、データの参照を許すだけの参照系の方がハードルは低く、データの更新を行う更新系では、より万全な対策が求められます。

そして最後に、金融機関がAPIを提供することのメリットが明確になっていないこと。APIを提供するには、セキュリティ対策も含め、一定のシステム投資が必要となります。つまりおカネがかかる。一方で、それに対し、どういったリターンが得られるのかが必ずしも明確になっていません。そうなると、API対応はすると言っても、最優先でのスピーディな対応は期待できません。APIは、データを開放するという意味でお客さまに大きなメリットをもたらしますが、同時に、金融機関にもメリットが明確になるようなAPIの利用モデルを確立していく必要があるでしょう。

こういった課題がある中で、金融機関APIの普及に向けては、金融機関だけでなく、金融機関APIを利用して様々なサービスを提供する会社(電子決済等代行業者、という言い方をします)も積極的に関与・貢献していく必要があります。弥生もその一社として、APIのあるべき姿について積極的に発信するだけでなく、その普及に向けての努力を惜しまないつもりです。
posted by 岡本浩一郎 at 16:32 | TrackBack(0) | テクノロジー

2018年05月09日

金融機関APIが目指すもの

少し前に、金融機関APIについてお話ししました。お客さまのIDとパスワードをお預かりしなくても、より安全に銀行やクレジットカード会社のデータを取得できるようにする仕組みが、銀行やクレジットカード会社が提供するAPI(Application Programming Interface)

APIという言葉は耳慣れないかもしれませんが、実はITの世界では相当昔から存在する仕組みであり、新しい概念ではありません。もともとは、OS(例えばWindows)の上でアプリケーションがOSの機能を効率的に利用するための仕組みとしての利用が中心でした(例えばWin32 API)。

最近では、複数のシステム間を連携させるための仕組みとしてAPIが広く一般的に活用されるようになってきました。特にここ10年間で、インターネットがさらに浸透し、その上で動作するシステム間をつなぐインターフェイスとして、REST APIと呼ばれる方式のAPIが広く普及してきたことによって、イマドキのシステムがシステム間で連携する上で不可欠なものになっています。たとえば、SMART(スマート取引取込)がMisocaやAirレジなどとデータを連携する際には、各サービスがSMARTのAPIを利用してデータをSMARTに渡すようになっています。

一方で、金融機関のシステムといえば、ほとんどの場合、インターネットとは隔絶された独自の世界に閉ざされており、それは今でも大きくは変わっていません。だからこそ、現時点で金融機関のデータを取り込もうとすれば、インターネットに向けて唯一開放された窓であるインターネットバンキングを裏技的に利用するしかありません。具体的には、前回お話しした通り、お客さまのインターネットバンキング等のIDとパスワードをお預かりした上で、SMARTが、あたかもお客さまが利用しているように(ある意味お客さまになりすまして)インターネットバンキング等にログインし、情報を取得するスクレーピングという仕組みに頼らざるを得ません。

ただ、この仕組みの場合、セキュリティに関する一定の懸念が存在します。金融機関のシステムが、インターネットとは隔絶された独自の世界に留まっている大きな理由の一つは、一般的なシステムよりも堅牢なセキュリティを実現するため。しかし現実は、お客さまが金融機関が管理しているお客さま自身のデータへのアクセスを求める中で、スクレーピングに頼らざるを得ず、結果的にセキュリティの懸念を招いてしまっています。つまり、ある意味矛盾を起こしてしまっている訳です。

そういった背景があるなかで、金融機関が自らAPIを提供することによって、より安全に金融機関のデータを取得できるようにする、あるいは金融機関にデータを渡すことができるようにしようというのが、金融機関APIが目指すところです。さらには、金融機関APIを通じ、お客さまがお客さま自身のデータをより自由に活用できるようになることによって、これまでにない利便性がもたらされることも期待されます。実際、昨年改正された銀行法では、セキュリティを確保しつつも、お客さまにとっての利便性を向上させるために、銀行に対しAPIに係る体制整備の努力義務を課しています。

ただ、現実問題としては金融機関APIの普及には一定の時間はかかるものと考えています。次回は、金融機関APIの現状についてお話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 20:07 | TrackBack(0) | テクノロジー

2017年12月05日

SSID隠してますか?

先週から12月ということで、いよいよ忘年会シーズン。早速金曜日/土曜日と忘年会が続いた分、日曜日はのんびりと過ごしました。のんびりと言いつつ、溜めていた仕事を片付けることに。

それは、自宅のWiFi(無線LAN)環境の入れ替え。先日、WiFiの暗号化プロトコルであるWPA2に脆弱性があるということがニュースになりました。この脆弱性は、基本的にクライアント(端末)側に存在するため、WiFiルーター側での対応は必須ではありません。ただ、このタイミングで使用しているWiFiルーターを確認してみたところ、既にメンテナンス期間が終了しており、今後他の問題が発生してもファームウェアの更新が提供されない模様。それはまずい、ということで、何年かぶりにWiFiルーターを入れ替えることとしました(本来はもっと早く入れ替えておけ、という話です)。

WiFiルーターを入れ替えて、設定を一からやり直していたのですが、迷ったのがSSIDを隠すか、隠さないか。SSIDというのは、アクセスポイントの名称。自分の周囲にあるWiFiアクセスポイントを探すときに一覧で出てくる名称のことです。その名の通り、SSIDを隠すと一覧に表示されないため、その名前を知っている人しか接続できない、だからSSIDは隠すべき、というのがWiFiが普及し始めた頃の常識(?)。

ただ、ここしばらくは、むしろSSIDを隠すべきではない、なぜならば隠すことによってむしろリスクを高めるから、という説もあり、どちらが正しいのだろうと思っていました。

確かにSSIDを隠すことは本質的なセキュリティ向上策にはなりません。簡単には見えなくても、専用のツールを使えばSSIDは見えてしまいます(技術的に言えば、アクセスポイントからのブロードキャストはされなくても、クライアントからの自分の周りにはこのSSIDがいますか、というプローブ要求を見ることが可能)。ただ、気軽に人のアクセスポイントを利用しようとするのを防ぐには一定の効果があるような気がします。

今回調べてみたところ、私の結論としては、隠した方がリスクが上がる、すなわち隠すべきではないという判断になりました。詳細はこちら(誤解8)を見て頂きたいのですが、クライアントが隠されたSSIDに接続しようとする際には、先ほどお話しした、自分の周りにはこのSSIDがいますか、というプローブ要求をひたすらバラまいているのだそうです。となると、自宅だけでなく、オフィスや外出先でも、本来隠していたい自宅のSSIDの情報を暗号化された認証情報と共にバラまいていた、ということになります。認証情報はもちろん暗号化されているので、ただちに危険が生ずるわけではありませんが、一定の時間をかければ、暗号を解読することも不可能ではありません。

つまり、私は過去の常識に囚われて、セキュリティを高めるどころか、むしろ弱めていたということになります。私と同様に過去の常識に囚われている方もいらっしゃるかもしれないので、ご参考までに。

しかし、ITの世界では物事がどんどん変わるのは当たり前ですが、常識も変わっていっているわけです。キチンと継続的に情報収集をしないと、と思わされた一件でした。
posted by 岡本浩一郎 at 20:42 | TrackBack(0) | テクノロジー

2017年09月20日

ビットコイン

仮想通貨のビットコインについて、新聞でも頻繁に目にするようになりました。価格は年初から4倍近くに上昇する一方で、直近ではJP Morgan ChaseのCEO、Jamie Dimon氏の「ビットコインは詐欺だ。いつかなくなるだろう」という発言も注目を集めました。

私自身はビットコインに関してはやや懐疑的。ビットコインは詐欺だとは思っていませんし、いきなりなくなることもない(分散型の仕組みなので、なくすこと自体が困難)と思いますが、今後も価格が上がっていくかというと、うーん、どうなんでしょうね。ビットコインは供給が限られているだけに、需給関係によって価格が上がりやすくなっています。ただ、皆が上がると思っているうちは上がりますが、何らかの理由で需要がなくなれば、下落もあっという間。ビットコインは詐欺ではありませんが、バブルではあると思います。

もっとも、分散投資の観点からは、大化けを狙って自分の金融資産の1/100ぐらい(=万が一価値がゼロになっても困らない範囲で)をビットコインに割り当てることはありだと思います。念のためですが、決して推奨するわけではありませんし、私自身はその予定もありませんが。私自身は、米国留学中にアップルの株を買っておけばな、と少し後悔しています。今では100倍ぐらいに化けているはずですが、後の祭り(苦笑)。

ビットコインに関してはやや懐疑的ですが、そのベースとなるテクノロジーのブロックチェーンについては全く別の話です。

ブロックチェーンに関しては、今後様々な面で活用されうる技術だと思っています。ちょっと前に大手ハウスメーカーが60億円以上もの土地の詐欺にあったというニュースがありましたが、不動産登記にブロックチェーンの仕組みが取り入れられていれば、同様なことは防げたかもしれません。

とはいえ、弥生としてはまだ様子見です。何よりも大事なことは、新しい技術によって、どういった具体的なメリットがもたらされるのか。現状のブロックチェーンには様々な課題がありますし、技術的には実装は可能であっても、ブロックチェーンならではの(既存の技術では得られない)メリットがまだ明確にはなっていません。あえて言えば、会計の世界よりも、商取引の世界の方がメリットを生みやすいと思っています。

ブロックチェーンはまだまだ発展途上の技術。その進展を見ながら、それをどのようにお客さまの具体的なメリットにできるのか、継続して考えていきたいと思います。
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2017年04月12日

アジャイル vs. ウォーターフォール

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今日の午後は、こんな研修を受けていました。テクノロジー企業の代表として、今さら「アジャイル開発 はじめの一歩」とはいかがなものかと思いますが、諸般の事情により受ける機会があり、なおかつ自分自身が、アジャイルとウォータフォールの使い分けについて色々と考えているところもあり、講師には迷惑だったかもしれませんが(笑)、仲間に入れて頂きました。

そもそもアジャイルウォーターフォールって、何?、と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、いずれもシステムを開発する際の手法になります。昔から一般的なのがウォーターフォール。一方で2000年前後から提唱されるようになり、特に2010年代に入ってウェブサービスの開発などで広まってきたのが、アジャイル。ウォーターフォールは、システム全体の開発を、要件定義-外部設計-内部設計-コーディング…のように工程にわけ、これら工程を段階的に進めます(工程図が滝のように見えるためウォーターフォールと呼びます)。特に大規模/複雑なシステムについては、全体の整合性をとりやすいといったメリットがありますが、一方で、実際の成果(動くソフトウェア)が出来上がるのがかなり後工程になる(さらにその際に、これは希望したものと違うとなるとやり直し)という課題も存在します。

一方でアジャイルは、動くソフトウェアを早期に生み出すことを重視しています。そのために、システムを複数の小さな機能に分割し、短期間で開発することを繰り返すことにより、動くソフトウェアを早くリリースし、それを継続的に改善するアプローチを取ります。

弥生のグループ会社であるMisocaは、アジャイルでの開発を行ってきています。一方で、弥生自身はどちらかと言えばウォーターフォールより。とはいえ、弥生も、イテレーションでの開発(機能を分割し開発することを繰り返す)、TDD(テスト駆動開発、設計の段階からテストコードを作成)、CI(Continuous Integration、ビルドとテストを随時自動実行)など、アジャイルの手法の多くを取り入れています。

私がモヤモヤとした違和感を持っていたのが、アジャイルに対するウォーターフォールという対立構造。確かにアジャイルは、ウォーターフォールに対する問題意識からスタートした歴史がありますので、こういった対立構造と捉えられがちです。また、アジャイル派もウォーターフォール派も、自分たちこそ正義という極端な主張をするケースがあり、これが対立構造に油を注ぐことがあります。しかし私は、これらは実際は二項対立ではないと考えています。アジャイルにはアジャイルの良さがあるし、ウォーターフォールにはウォーターフォールの良さがある。さらに、アジャイルとウォーターフォールを組み合わせることによって、それぞれの良さを組み合わせることも可能(ただし、注意しないと、それぞれの課題を組み合わせることになりかねません)。

今日の研修でも直接的にこういった質問もしたのですが、講師の方も同様な見解でした。

アジャイルでは、一般的にコストや納期を固定して、スコープ(開発対象)を可変にします。逆に言えば、スコープが可変にできるプロジェクトにこそ、アジャイルの良さが活きてきます。弥生の場合は、開発対象の多くを必達である法令対応が占める、つまりスコープを可変にできないため、アジャイルの良さを活かしにくいという現実があります。ただだからといって、アジャイルを否定することもありませんし、アジャイルと相容れない訳ではありません。実際問題として、管理を容易にし、開発リスクを下げるというメリットがあるからこそイテレーション開発を行っている訳ですし、品質を作りこむためにTDDを採用しています。

まだまだ試行錯誤ではありますが、今後さらに経験を積むことで、プロジェクトの性格にあわせ、アジャイルとウォーターフォールそれぞれの良さを引き出すように、うまく組み合わせていければいいと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 20:16 | TrackBack(0) | テクノロジー

2017年02月14日

Vistaもついに

Windows Vista (Service Pack 2)の延長サポートがいよいよ4月11日に終了します。そう、もう2ヶ月を切りました。これ以降は、セキュリティ上の問題が発覚しても対策パッチ(セキュリティ更新プログラム)等が提供されないことから、Windows Vistaは「使うべきではないOS」になります。

3年前のWindows XPのサポート終了は、それまで使われてきたWindows XP端末の数の多さから半ば社内的な問題となりました。弥生でも、かなり前からWindows XPのサポート終了について情報発信し、早期の移行を働きかけました。それに比べると、今回のWindows Vistaのサポート終了はほとんど話題になっていないようです。

ただ、弥生ユーザーの統計を見ても、現時点でもWindows Vistaを利用されている方は多くはないものの、一定数いらっしゃいます。今一度利用されているPCの環境を確認し、もしWindows Vistaを利用されているようであれば、早々にWindows 10への移行をおススメします。

しかし思えばWindows Vistaは不幸なOSでした。開発コードネームは"Longhorn"。大成功したWindows XPを引き継ぎ、それを圧倒的に進化させるOSとして前評判は非常に高かったかと思います。2003年には当時まだまだ現役だったBill Gates氏がLonghornについて熱く語り、すごいなーと思ったのを覚えています。しかし、その後の開発は難航し(事実上一度リセットされたそうです)、ようやくリリースされたのは2006年の末。しかもリリースされても、めちゃめちゃ動作が重いと散々な評価でした。その甲斐あってか(?)普及は進まず、今回のサポート終了を前にしてもあまり話題になっていないのは皮肉なところです。

もっとも、Windows Vistaの反省を活かしたWindows 7が広く受け入れられたのはご存知の通りです。ちなみにWindows 7も既に延長サポート期に入っており、終了は2020年1月14日。実はあと3年しかありません。そういった意味で、今Windows Vistaから移行するのであれば、最新であるWindows 10が望ましいかと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 18:05 | TrackBack(0) | テクノロジー

2016年12月02日

Suica on iPhone

予約したことは本ブログでも報告したiPhone 7ですが、無事に発売開始日に到着し、もう2ヶ月ほど利用しています。そして昨日から、念願だったiPhoneでモバイルSuicaの利用を始めています。

念願だった、という割には、なんですぐにSuica利用に踏み切らなかったかというと、以前の記事でも書いた通り、iPhoneでまだ対応していないおサイフケータイ機能があるから。具体的には、


色々と悩んだのですが、結果的には今しばらくはAndroidでのおサイフケータイとiPhoneでのモバイルSuicaを併用することになりました。Android上のモバイルSuica定期券が11月末で切れたこともあり、12月1日からiPhoneでモバイルSuica定期券を新規購入し、晴れてiPhoneでのモバイルSuicaデビューを果たした、という訳です。

2016120201.PNG

最初にiPhoneで改札を通る時はやはり緊張します。しかし当たり前ですが、あっさりと通過。でもようやくこの日が来たか、と結構感動しました。もっとも、モバイルSuicaはもう10年間(サービス開始が2006年)も提供されている訳ですから、10年前からこんな仕組みがあり、多くの人が当たり前のように使っているということは、それはそれですごいことですよね。
posted by 岡本浩一郎 at 19:02 | TrackBack(0) | テクノロジー

2016年09月09日

iPhone 7

おサイフケータイとして利用するために必要なFelica(NFC-F)がついにiPhoneに搭載されるかもとお話ししましたが、その後9/7(日本時間9/8)にiPhone 7が正式に発表され、日本向けのモデルのみFelicaが搭載されることが発表されました。

事前情報通りだった訳ですが、個人的に想定外だったのが、日本向けのモデルのみ搭載されるということ、そして、Suicaのサービス開始が10月と思ったより早かったこと(JR東日本の発表はこちら)。

これまでiPhoneはずっとグローバルモデルとして展開されてきました。厳密に言えば、通信方式/対応周波数によっていくつかのバリエーションはあったのですが、機能として特定の地域向けに搭載されるというものはありませんでした。それが今回のFelica対応は、日本向けモデルのみ(iPhone 7が型番A1779, iPhone 7 PlusがA1785、逆に海外で買ったiPhone 7ではSuicaは使えないので注意が必要です)。中国市場での売行きが鈍る中で、着実に売れ、シェアも高い日本市場を重視したからという見方もありますが、どうなんでしょうね。前回お話しした通り、2017年4月以降のGSMA準拠のNFC対応スマートフォンにおいて、交通系への対応をうたう場合はNFC-Fへの対応が求められるようになっているため、今回は、早期の利用が見込まれる日本でのみ対応し、次回(iPhone 7S? iPhone 8?)にはグローバルでの対応となるのかもしれません。

Suicaのサービス開始が10月というのは嬉しい誤算です。ハードウェアとしての対応はできても、ソフトウェア面での対応や様々な検証作業も必要になるため、来年春ぐらいかなあ、と想像していましたので。ただ、今回のFelica搭載/Suica対応は、Apple社の提供するApple PayがSuicaにも対応したということで、おサイフケータイや、モバイルSuicaと同義ではありません。おそらく同じようには使えるが、どこまで使えるか(どうやって使うか)に関しては、まだ情報がはっきりしていない状況です。

Suicaとして電車に乗り降り(定期利用含む)できたり、買い物ができたりということはわかっていますが、モバイルSuicaで実現されているモバイルSuica特急券やモバイルSuicaグリーン券への対応はまだ不透明です。対応するようだ、という話は見受けられるものの、どうやってという詳細までは、まだ判明していません。

私自身モバイルSuicaのヘビーユーザーなのですが、使っている機能を整理してみると、


この他、交通系のおサイフケータイ機能として、


も利用しています。この中で、モバイルSuica/モバイルSuica定期券に関しては10月中に利用できるようになるようですが、その他については、少し時間がかかるかもしれませんね。ただ、Felicaが搭載された以上は、技術的なハードルはないので、時間はかかってもいずれは一通り利用できるようになるのではないかと思っています。

うーん、今回の記事はiPhone 7を購入するための言い訳そのものですね(苦笑)。ということで、先ほどiPhone 7 (128GB)の予約を済ませました。到着が楽しみです。
posted by 岡本浩一郎 at 17:57 | TrackBack(0) | テクノロジー

2016年09月05日

念願のお財布

ずーっと念願だったお財布。いえ、欲しいのはいわゆる札入れや小銭入れではなく、おサイフケータイ。私がメインに使っているiPhoneは、iPhone 3Gでの日本市場デビュー後もずっとおサイフケータイに未対応でした。おサイフケータイは所詮日本独自だし、グローバルなAppleのことだから、今後もiPhoneでおサイフケータイは難しいだろうなと考えていたのですが、なんと、今週にも発表される次期iPhone (iPhone 7?)で、ついにおサイフケータイに対応するかもという報道がちょこちょこと見られるようになりました。

Appleでも、おサイフケータイ的なサービスの必要性は認識しており、iPhone 6で、NFCという技術を搭載し、米国などではApple PayというiPhoneを利用した決済システムの提供を開始しています。ただ、iPhone 6で搭載されたNFCは、Suicaなどで利用されているFelica(NFC-F)が含まれていないため、念願だったiPhoneでのおサイフケータイは実現しませんでした。逆にSuicaなどがNFC-A/Bに対応すれば、とも思いますが、処理能力的に難しいというのは、以前お話しした通りです。

今回iPhone 7がNFC-Fに対応する(かもしれない)ことには、決済システムの国際的な標準化を進める中で、2017年4月以降のGSMA準拠のNFC対応スマートフォンにおいて、交通系への対応をうたう場合はNFC-Fへの対応が求められるようになったことが背景にあるようです。FinTechが騒がれる昨今ですが、この領域においては日本が先行していましたから、ある意味ようやく、です。ただ、日本は国際規格競争に弱く、日本での実用化で多少先行していても、グローバルは別規格で標準化されてしまい、結果的に日本規格がガラパゴスになることが多かったのも事実。今回も途中まではそうなりそうなだったようですから、本当に大きな勝利ですね。

もっとも、今後グローバルにNFC-Fへの対応が進んでいく、それが早ければiPhone 7から、ということですが、iPhone 7で、すぐにおサイフケータイが使えるかというのは、また別問題。ハードウェアとしてNFC-Fに対応していたとしても、実際に利用するためには、ソフトウェア面での対応(+様々な検証作業)も必要になるからです。

デジタルグッズにはワクワクがないと書いたばかりですが、本件に関しては、久し振りにワクワクするニュース。実際にどうなるのかは蓋を開けてみないとわかりませんが、楽しみに待ちたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 19:14 | TrackBack(0) | テクノロジー