この度弥生のグループ会社であるアルトアは、日本におけるPeppolの管理局(Peppol Authority, PA)であるデジタル庁より、Peppol Service Providerとして認定を受けました。
Peppolは、インターネット上でデジタルドキュメントをやり取りするためのグローバルな標準仕様です。元々は欧州発祥ですが、近年はシンガポールやオーストラリアなど欧州域外でも採用が進んでおり、Peppolをベースとしたデジタル経済圏の構築が進みつつあります。
Peppolは4コーナーモデルと呼ばれるアーキテクチャを採用しています。コーナー(角)が4つあるから、4コーナー。各コーナーはC1, C2, C3, C4と呼ばれます。
- Peppolユーザー(C1、C4)は、アクセスポイントを通じてPeppolネットワークに接続
- デジタルインボイスの送り手(C1)はアクセスポイントC2にインボイスデータを送信
- インボイスデータはアクセスポイントのC2からC3に転送される
- 最後にC3から受け手(C4)にデジタルインボイスが送信される
単純に言ってしまえば、eメールに近い仕組みです。ユーザーは自分が契約しているプロバイダーに接続すれば、メールアドレスがわかっているどんな相手でもeメールを送ることができます。しかし実際問題として、eメールを送るにしても、あるいはPeppolでデジタルインボイスを送るにしても、この仕組みを理解している必要はありません。基本的には相手のアドレスさえ分かっていれば、届くようになっています。
ユーザーとしてその仕組みを理解する必要はないのですが、実際にその仕組みを担っているのが、アクセスポイントであるC2とC3です。PeppolにおいてC2/C3として機能するためには、その国の管理局からService Providerとしての認定を受け、管理局と契約を結び、契約で求められている義務を果たす必要があります。今回、弥生グループのアルトアがこの認定を受けることができました。
弥生として弥生のお客さまがPeppolを利用できるようにするためには、必ずしも自社(グループ)でPeppol Service Providerとなる必要性はありません。既にService Providerとして認定を受けている他社と契約し、その他社を通じてPeppolに接続すればいいからです。
しかし、Peppolはまだまだこれから発展する仕組みです。日本においてPeppolがどのように発展するか、それを管理するのはPAであるデジタル庁ですが、そのPAと直接的にやり取りできるのは、PAと直接的な契約関係にあるPeppol Service Providerに限定されます。今後とも弥生が日本におけるPeppolの普及に積極的に関わるためには、弥生グループとしてPeppol Service Providerとなるべきと判断しました。
また、弥生としては、弥生のお客さまが当たり前のようにPeppolを介してデジタルインボイスをやり取りし、業務を効率化できるようにしたいと考えています。そうなると、弥生のお客さまが発行する/受領するデジタルインボイスの数は相当な数になるはずです。取り扱うデジタルインボイスの量が増える中では、自社(グループ)としてアクセスポイントを運営する方がコストメリットがあると判断しました(逆にデジタルインボイスの量が少ないうちは、持ち出しになるということでもありますが、これは先行投資と割り切っています)。
お客さまがデジタルインボイスをやり取りする際に、アクセスポイントの存在を理解する必要はありません。しかし、弥生グループ自身がPeppol Service Providerとなること、それは弥生グループとしてデジタルインボイスの普及にコミットしていることと理解していただければと思います。