2019年04月19日

LendIt FinTech USA 2019 (その2)

昨年の2018年が、よく言えば落ち着いた雰囲気だった、悪く言えば、以前ほどの盛り上がりに欠けただけにどうなっているか心配だったLendIt USAですが、今回、2019年は…。

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もっと落ち着いていました(笑)。悪く言えば、さらに盛り上がりに欠けたといってもいいと思います。参加者としても前年よりは減っているように見えました。ただ、色々と見聞きする中で、LendItが盛り上がりに欠けているから、市場として盛り上がりに欠けている、という訳ではないと考えています。

実際に起きているのは、優勝劣敗。数年前までは、市場が急拡大する中で、もうそれなりに確立したプレーヤーもいれば、5匹目、10匹目のドジョウを狙ったプレーヤーもおり、混沌とした状況でした。一方で、ここ数年市場が拡大していく中で、確実に優勝劣敗が進んできています。今回個別に話した人の言葉を借りれば、「お客さま、スケール、ブランドのうち、何かがないと生き残れない、逆に”Me too”プレイヤーは生き残りが厳しくなってきている」ということかと思います。

金融機関の取り組みが進んできたこと、また、異業種ではあっても力をもったプレーヤーも参入してきたことも優勝劣敗を進めていると感じます。JP Morgan ChaseやBank of Americaのような大手金融機関も積極的に取り組んでいる中では、あわよくばというベンチャーは太刀打ちできません。また、特に消費者向け融資に関しては、Goldman Sachsのように、やや畑違いの世界からの参入もありますし、さらには、Appleのような超メジャープレーヤーの参入すら想定の範囲内です(Appleは、それこそGoldman Sachsと組んでクレジットカードを発行するそうですから、融資の一歩手前まで来ています)。

Alternative LendingがMainstreamになり、優勝劣敗が進んでいること。その一つの表れは、呼称でしょうか。以前はAlternative Lendingという呼び方(あるいは手法を表すP2P LendingやBalance Sheet Lendingという呼び方)がされていましたが、今回は、ほぼ全てのセッションで"Online Lending"という呼び方で統一されていました。Alternative Lendingというニッチな市場は着実に成長を続け、今やOnline LendingというMainstream(主流)になりつつあると感じています。
posted by 岡本浩一郎 at 16:01 | TrackBack(0) | アルトア

2019年04月17日

LendIt FinTech USA 2019 (その1)

先週San Franciscoで開催された、LendIt FinTech USA 2019。私は4回目の参加です。

このLendItというカンファレンスが初めて開催されたのが、2013年。一回目の参加者はわずか300人だったそうです。その後、Alternative Lendingという市場の成長とともに、LendItも成長してきました。私が初参加した2016年は、熱気にあふれていました。Alternative Lending業界は急成長の真っ最中、対して金融機関はもはや時代遅れ、FinTechが銀行を駆逐するという勢いがありました。参加者は3,600名。一方で、急成長してきているだけに、近い将来揺り戻しがあるかもしれない、といったことが繰り返し語られていたことが印象的でした。

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実際に2016年にはLending ClubのCEOの辞任など、Alternative Lending市場の急成長のゆがみが露呈した年でもありました。そういったこともあって、どうなっているんだろうと心配しつつ参加した2017年のLendItでしたが、心配は杞憂に終わりました。会場はNew YorkのJacob Javits Centerと大幅にスケールアップし、参加者は5,600名にまで増えていました。全体的なトーンは、昨年は色々あったけれど、それを乗り越えて市場はまだまだ成長しているというもの。

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2017年に最も印象に残ったのがKabbageのCEOが発した“Alternative lending is now a mainstream”というフレーズ。確かに、金融機関からの参加者も大幅に増え、またFinTech vs. 金融機関という対立の構図ではなく、Bank partnershipというFinTechと金融機関のパートナーシップが大きなテーマとなっていました。

2018年はSan Franciscoに戻っての開催。2016年は(それなりに大きい会場ですが)ホテルでの開催だったものが、Moscone Center Westという大きなコンベンションセンターに拡充されました。参加者は5,000名強ということで、前年と同じか若干の減少。

2018年に印象的だったのは、だいぶ落ち着いた雰囲気だったということでしょうか。よく言えば、落ち着いた、ですし、悪く言えば、2016年や2017年に感じたイケイケなエネルギーが減少しているように感じました。これはAlternativeからMainstreamになってきたことと関係しているように思います。実際、全体の参加者は前年と同様に5000名超でも、そのうち金融機関からの参加者が2017年の490名から2018年の1,000名超に倍増しています。金融機関からの参加者が増えると、やっぱり落ち着いた雰囲気になりますね(いい意味でも悪い意味でも、笑)。

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そして2019年。今回はどういった雰囲気だったのでしょうか。続く。
posted by 岡本浩一郎 at 20:28 | TrackBack(0) | アルトア

2019年02月04日

本人確認手続きが簡便に(まずは第一弾)

アルトアの売りは、お申込みからご契約まで、オンラインで完結する利便性。ただし、正確に言えば、「基本的に」オンラインで完結する、としなければなりません。というのは、実際に融資を実行する前には避けて通れない手続きがあり、それがオンラインで完結しないため。それは本人確認の手続き。これは、犯罪者によるマネー・ローンダリング(資金洗浄)を防止するための、犯罪による収益の移転防止に関する法律という厳めしい名前の法律(業界では省略して犯収法と呼ばれています)によって求められている手続きです。

具体的には、最初にお取引(融資)を行う前に、お申込みいただいた方が本人である(他者を詐称していない)ことを本人確認書類をご提示いただくなどの方法によって確認することが必要です。店舗でお申込みの場合には、運転免許証などの本人確認書類をご提示いただき、その場で本人確認の手続きを終えることが可能ですが、アルトアの場合は、オンラインで完結する仕組み。わざわざご足労いただいて、という訳にはいきません。

この場合、オンラインで本人確認書類の画像をアップロードいただき、同時に、本人宛の転送不要の郵便を送ることによって、本人確認とするという手続きが認められており、アルトアもこの方法を採用しています。ただ、残念なのは、融資のお申込み、そして契約までオンラインで完結する仕組みでありながら、その間に本人確認のために書類の郵送という手続きが必要となってしまうこと。郵送ですから、当然即日とはいかず、この手続きのために2-3日程度の時間が必要になってしまいます。

一方で、オンラインで提供される金融サービスが増える中で、より利便性の高い本人確認手続きを求める声も高まっており、昨年11月末に犯収法の施行規則が見直しとなりました。これによって、本人確認をオンラインで完結させることが可能になりました。

これを受けて2月1日より、アルトアではまず法人の本人確認の手続きを見直し、お客さまによる本人確認書類(具体的には登記事項証明書、いわゆる登記簿謄本)のアップロードを不要としました。これまでは、登記簿謄本を法務局で取得していただき、それを画像としてアップロード、さらにアルトアからの郵送を待つ、という手続きが必要でしたが、新方式ではアルトアが法定のオンラインサービス(一般財団法人民事法務協会が運営している登記情報提供サービス)によって登記情報の送信を受けることにより、お客さまによる手続きが一切不要となりました。

これまでも折角のオンライン・レンディングなのに法務局に行くのは…、郵送を待つの…という声をいただいていましたので、大きな改善です。ただ、個人(法人の代表者、もしくは、個人事業主)の本人確認はまだ従来通り郵送手続きが必要な状態です。こちらについては、2019年春を目処に、株式会社TRUSTDOCKの開発する専用アプリによって、オンラインで完結する方式の提供を行う予定です

法人代表者の本人確認までオンライン完結できるようになれば、平日朝にお申込みをいただき、当日中に融資を実行することも可能になってきます。本当の意味でオンライン完結と胸を張れるよう、着実に改善を進めていきます。
posted by 岡本浩一郎 at 19:36 | TrackBack(0) | アルトア

2019年01月31日

復帰二周年

前回お話しした通り私はCOBOL世代。もっとも、新卒で入社した野村総合研究所で開発に従事していたのは最初の2年ほど。プライベートでも、社会人になってからは学生時代とは打って変わり、コードを書くという機会はめっきり減ってしまいました(公私ともに充実していたということで、笑)。ということで、私の源流はエンジニアと言いつつも、コーディングは長年ご無沙汰になっていました。

そこから一念発起して開発を再開したのが、二年前。さすがにCOBOLという選択肢はなく、Rubyでの開発復帰となりました。その後紆余曲折があり、言語をPythonに変えて開発を続けてきました。一年前には「当面はこつこつと、できる範囲でコードを書き」たいとお話ししましたが、実態としては、残念ながらあまり実践できていません。

ポジティブな理由としては、アルトアの開発体制が充実してきているから。現時点ではアルトアの開発チームは8名にまでなりました(もちろん新メンバーは引き続き&絶賛募集中です)。メンバーが増え、私の出る幕がなくなったということです(笑)。ネガティブな理由はなかなかまとまった時間を取れないというありがちなもの。もちろん、これは言い訳です。

ただ、何か新しい機能を開発する際に、私の方でプロトタイプを作るということは細々と続けています。アルトアでは今晩新しい機能をリリースするのですが、これは私が開発したプロトタイプが出発点になっています。もっとも、私が作るのは、こんな感じでできるのでは、と粗々に開発したあくまでもQuick & Dirtyな「プロトタイプ」。実際に本番にリリースするためには、(私と違って)プロのエンジニアが書き直しをし、入念なテストも行っていますので、ご安心ください。

早いもので、復帰して丸二年になります。残念なのは、たまにしかコードを書いていないので、レベルがさっぱり上がらないこと。実際、ここしばらく何も書いていません。幸いにして、ちょっと試してみたい新機能があるので、2月前半ぐらいでプロトタイプを作ってみたいと思っています。はい、そうです、今日の記事は完全に自分を追い込むためのものです(笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 20:14 | TrackBack(0) | アルトア

2019年01月15日

こんなところに顔が!?

少し前になりますが、とあるウェブサイトのトップページで自分の顔が結構ドーンと表示されていることに気が付きました。これまでも色々と取材を受けた結果が、ウェブサイト上に掲載されることは多々ありました。ただそれは、基本的には個別の記事ページの話で、トップページで顔写真入りというのは滅多にありません。

もっともこの時は、特に記者発表を行ったタイミングでもなく、個別で取材を受けたタイミングでもなく…、何だ…と思ってよく見ると、実は広告でした。

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広告にしても、弥生の広告でもなければ、アルトアの広告でもない。改めて見てみると、私の顔と並んでいるのは、アルトアの基幹システムCloud Lendingの導入でお世話になった富士通のN部長の顔。そう、これは、富士通さんの広告でした。キャプションには「AI活用で融資業務が変わる。富士通が提供する最新レンディング向けSaaS型ソリューション事例」とあります。

確かに事例として紹介したいという話はあり、だいぶ前に取材を受けていました。ただ、事例のホワイトペーパーを作るという話で、広告を出すとまでは聞いていなかったので、ビックリしたという次第です。実際にこの広告をクリックすると、こちらの、事例資料をダウンロードするページに辿りつきます(広告のランディングページとしては結構そっけない気がしますが、まあ、富士通さんのご判断なので、苦笑)。

広告という話を聞いていなかったので今回は少々驚きましたが、事例として富士通/Cloud Lendingの更なる成功をお手伝いするのは喜んでやっていることです。弥生が活用しているZuoraもそうですが、活用しているシステムのベンダーから見て、アルトア/弥生は「いいお客さま」であることを心掛けています。いいお客さまとは、単にお客さまであるだけでなく、次のお客さまを誘引してくれるお客さま。アルトア/弥生の成功が、活用しているシステムのベンダーにとって成功につながる。そういったwin-winの関係を作りたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 19:25 | TrackBack(0) | アルトア

2018年12月25日

一年間の実績

先日、アルトアが個人事業主向けの融資を開始したとお話ししました。「サービス拡充記者発表会」としてメディアの記者向けに発表を行ったのですが、その際には、市場であり、アルトア自身の現況についてできるだけ客観的にご理解いただきたいとの想いから、開業から一年を経た実績についてかなり赤裸々にお話ししました。

お申込みの傾向など、様々な情報をお話ししたのですが、一番わかりやすいのは、融資の実行件数と金額。昨年12月7日に融資を開始し、ちょうど一年を経た今年12月6日時点で、融資の実行件数は257件、そして累積での実行金額が4億6百万円。

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グラフを見て頂ければ一目瞭然ですが、特にテスト期間を経て本格的な融資モードに入った今年5月以降、着実に融資の件数/金額が伸びています。グラフは累積なので、右肩上がりになるのは当然(騙されちゃダメですよ)。注目いただきたいのは、伸びの角度が上がっていっていることですね。

もっとも、アルトアとして満足できる結果かというと、率直に言ってまだまだ。営業開始前に立てていた事業計画と比較すると、ざっくり半分の進捗といったところです。もっともっと結果を出さなければならない。ただそれでも、このビジネスは成功すると思えるのは、一つにはスピードはまだまだでも、着実に伸びてきているという事実。そしてもう一つは、お客さまの声。以前も本ブログでお話ししましたが、融資というお客さま事例を公開しにくいビジネスでありながら、その後も多くのお客さまに事例としてご協力いただいています。それもやはりアルトアのサービスに対する満足度が極めて高いから、そしてこんないいサービスはもっと世の中で広がるべきだ、と言っていただけるから。

今年ももう間もなく終わり。年内に融資を実行するとなると、郵送での本人確認が必要となる関係上、明日の午前中ぐらいがお申込みの(ぎりぎり)タイムリミットかと思います。年越しの資金でお悩みの事業者の皆さま(法人も、そして個人事業主も)には是非ご活用いただきたいと思います。

なお、また改めてお話ししたいと思いますが、本人確認に関する法令が見直されたため、来年の春を目処に本人確認手続きをリアルタイムで完了できるように、結果として初回でも即日の融資が可能になる予定です。好評いただいているアルトアならではの利便性ですが、まだまだできることはあると思っています。利便性に磨きをかけ、来年はいよいよ飛躍の一年にしたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 17:11 | TrackBack(0) | アルトア

2018年12月13日

アルトアのサービスを個人事業主の皆さまにも

年末調整に関するお話しを続けてきたため、ご報告が遅くなってしまいましたが、今週月曜日に、アルトアのサービス拡充記者発表会を開催しました。

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アルトアがサービスを開始したのが昨年の12月7日。約1年が経過したことになります。サービス開始よりこれまで、アルトアの融資は法人のお客さまのみを対象としていました。個人事業主向けサービスはないの、というお問合せもいただいていましたが、このたび12/10(月)より、個人事業主向けの融資を開始しました。

サービス開始から1年という節目でもあり、記者発表会ではこれまでの実績などについてもお話しさせて頂きました。詳細は本ブログでも追ってお話ししたいと思いますが、ざっくりと言えば、これまでの実績は事業計画の半分程度。正直まだまだです。一方で、ニーズは確実に存在し、着実に前進しているという実感も持っています。

まだまだ先は長いですが、個人事業主の方にも融資を行えるようになったことは将来に向かっての大きな一歩だと思っています。年末は、資金繰りがなかなか厳しくなる時期。事業を拡大させるための武器として、法人のお客さまにも、個人事業主のお客さまにも是非ご活用いただきたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 19:26 | TrackBack(0) | アルトア

2018年11月06日

32分

昨日の日本経済新聞(5面)でアルトアのサービスが紹介されました。記事中では「1週間で融資」とありますが、実際には月曜日の朝にお申込みをいただき、実際に融資を実行できたのが木曜日。つまり中2日、お申込から融資実行で言えば4日です(なお、この情報を公開することはお客さまの許可を頂いています)。以前も日経1面で紹介されたことがありますが、その際もやはり営業日ベースで中2日(お申込から融資実行までが4営業日)。ただ、この時は年末年始にかかってしまったため、カレンダーベースでは8日間でした。新聞という短い文字数で伝えなければならない媒体の性格上、「一週間」という単位で丸めると、今回が一週間、前回が二週間という表現になってしまうのかと思いますが、実際には、数日間というスピード感です。

今回の記事でご紹介いただいたチューンゼロさんは、アルトアのウェブサイトでも事例として登場いただいています。取材自体は既に行っていたのですが、今回の新聞掲載に合わせて、慌てて(?)アルトアのサイトでもアップした次第です(笑)。

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(画像はイメージです)

ちなみに、チューンゼロさんからお申込み頂いたのは、月曜日の朝一番。そしてそれに対して融資可能という返信をさせて頂いたのが、その32分後です。今回の記事でも書かれている通り、アルトアは、人工知能(AI)による自動審査の融資サービス。ただ、審査に万全を期すため、また、AIによる審査エンジンを改善するため、現状では全てのお申込みを最終的には人間が確認しています。そのため、お申込みを頂いて1分以内に回答といったリアルタイム性までは実現できていませんが、それでも、人による最終確認を経て32分ですから、まずまずのスピード感とは言えるのではないでしょうか(実際にはかかる時間はケース・バイ・ケースであり、32分はかなり速いというのが実情です)。

審査回答だけではなく、融資実行までのスピード感という意味で現状ネックになっているのは、本人確認の手続き。これは「犯罪収益移転防止法」(略称は犯収法)という厳めしい名前の法律によって求められているものなのですが、この法律によって、現状では、初回の取引時に書面郵送による本人確認の手続きが必要となっています。このため、審査が終わってからどうしても2日程度の間が空いてしまうことになります。ただ、犯収法については、改正の方向で検討されており、実際に改正されれば、この待ち時間をぐっと減らせるのではないかと期待しています。

なお、今回の記事は「テクノロジー 秩序崩す」「銀行業 正念場近づく」とやや煽情的な見出しとなっていますが、実際にはアルトアは、自社のテクノロジーを銀行に提供することによって、全国様々な銀行から利便性の高い融資を受けられるようにしたいと考えています。つまり、テクノロジーで秩序を崩すというよりは、テクノロジーで銀行の進化を支援したいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 19:42 | TrackBack(0) | アルトア

2018年09月12日

事例紹介

アルトアが手掛けているオンライン・レンディングは、米国や中国ではもう一般的なものですが、日本ではようやく市場が立ち上がるというところ。まだまだこれからの市場です。ただ、最近は日に日に注目が集まっていると感じます。先般は、本ブログでもご紹介したように、「データが導く金融大競争」というタイトルで日本経済新聞の1面(!)に掲載されましたし、先日も日刊工業新聞の「時代を拓く金融イノベーター」というコラムでご紹介いただきました。ちなみにこのコラムは限られた文字数(1,000字弱)ながら、非常に正確にアルトアの現状と目指す姿をまとめていただいており、(僭越ですが)とても秀逸な記事です。

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さらに今回、日経トップリーダーの最新号(2018年9月号)で、アルトアについてご紹介いただきました。日経トップリーダーの記事がこれまでの記事と違うところは、ご利用いただいているお客さまにフォーカスをあてているところ。アルトアそのものの紹介というよりは、事例の紹介です。「フィンテックを使いこなせ」という記事の中で、アルトアの事例として紹介されたのは、株式会社 シルバーライフネットワーク。宇都宮市などでサービス付き高齢者住宅や有料老人ホームなどを計4ヶ所運営している会社です。アルトアからのダイレクトメールを見て、「面白い仕組みだと思った。何より、こちらの手間を大幅に省けるのがいい」と「ピンと来た」ことが利用につながったそうです。

アルトアでは、お客さまの実像を理解するために、積極的にユーザーインタビューを行っており、その内容の一部は、アルトアのウェブサイトでもご紹介しています。また、無理のない範囲でメディアの取材に応じて頂けないか、というお願いも行っています。シルバーライフネットワークさんも、日経本紙で紹介されたオカピートさんもそういった事例です。

本当に有難い、と思うのは、ユーザーインタビューだけでなく、メディア取材にも協力いただけていること。アルトアが提供しているサービスは融資であり、これを裏返して言えば、借入。平たく言えば借金です。アルトアの事例として登場いただくことは、自分が借金をしていることを公にすること。もっとも、アルトアが融資を行っているのは事業者向けですし、事業者にとって融資を受けるということは、現金という経営リソースを「仕入れる」こと。そこに何の後ろめたさもありません。そう割り切っているからこそ、これまでにない便利な「仕入れ」の方法としてアルトアを利用されるわけです。

とはいえ、ユーザーインタビューやメディアの取材は本来受ける必然性のないもの。ましてや事業者にとっては1分1秒も惜しいはず。それでも受けていただけているのは、アルトアのサービスを「これはいい」「こういったサービスがもっと広まるといい」と思っていただけているから。

念のためですが、アルトアの融資を受けると必ずユーザーインタビューやメディアの取材がある訳ではありません(笑)。あくまでもお願いすることがあるという程度。仮にこちらからお願いした際には断っていただいても全く問題はありません。なかには、ユーザーインタビューはいいけど、名前は出さないでね、というケースもありますし、時間はとれないけど、頑張ってね、と言っていただけることもあります。

アルトアはまだまだ発展途上。先は長い道のりです。それでも、アルトアのサービスを「これはいい」と思っていただけるお客さまがある限り、もっともっと頑張らないと、と思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 21:58 | TrackBack(0) | アルトア

2018年08月01日

代表者保証

アルトアの特長の一つが、融資に際し、保証人や担保が不要であること。アルトアの立上げに際しては、弥生としてお客さまである小規模事業者の融資に関するニーズの調査を行っていますが、機動的に融資を活用する上で、保証や担保を求められることが大きなネックとなっていることは明らかでした。

保証というのは、融資を受けたAさんが返済できない場合に、保証人であるBさんがかわりに返済を求められるという仕組み。法人に対する融資の場合には、法人の代表者(一般的には社長)が保証をする、つまり法人が返済できない場合には、代表者個人が返済を求められることが一般的です。ただ、万が一返済できなかった場合、個人の人生にも大きな影響を与えうることから、そもそも融資を受けることをためらう原因にもなっています。同時に、貸し手である金融機関が、法人としての返済能力をキチンと見極めなくても済んでしまう、下手をすれば、法人がダメでも個人として返してもらえばいいから、といういわばモラルハザードを起こしかねない危険性があります。

そういった観点から、約5年前に「経営者保証に関するガイドライン」が策定され、金融機関は融資に当たって、経営者保証に安直に頼らないことが求められるようになっています。具体的には、1)法人と経営者との関係の明確な区分・分離、2)財務基盤の強化、3)財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保といった一定の条件の下で、金融機関は経営者保証を求めない融資を行う努力が求められています。

このガイドラインには強制力はありませんが、金融庁は、担保・保証に過度に依存しない融資の促進の取組みの一つとして、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着するよう、金融機関に対してガイドラインの活用を促してきています。その活動の一環として、6月末には、民間金融機関におけるガイドラインの活用実績を取りまとめ公表しています。この発表資料によると、平成29年度の民間金融機関による新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合は16.3%。前年度の14.3%よりは改善していますが、まだまだ低い割合です。

確かに、保証があるからこそ融資ができる(保証なしではリスクが高すぎる)というケースがあるのも事実ですし、また、保証がなければ今度は借り手側のモラルハザード(法人を潰してしまえば、それ以上追いかけられることはない)を起こす危険性も否定はできません。そういった観点では、アルトアとしても、あくまでもオプションとして、保証を活用することも否定しません。例えば、代表者保証があるのであれば、貸し手としてリスクを低減できる分、より低い金利で融資するなど。

ただ、それはあくまでもオプション。アルトアの強みは、先週末日経新聞にご紹介頂いたように、データとそれを分析するためのAI技術。チャレンジであることは事実ですが、安直に保証や担保に頼るのではなく、データ×AI技術によって、お客さまの信用力を見極める力を磨いていきたいと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 22:11 | TrackBack(0) | アルトア

2018年07月30日

アルトアのスピード感

昨日日曜日の日本経済新聞の1面トップ記事「データが導く金融大競争」でアルトアを取り上げて頂きました。「弥生が17年から始めた新型融資」とありますが、正確には弥生の子会社であるアルトアによる融資です。この記事で取り上げられたオカピートさんには、アルトアのウェブサイトでも事例として登場頂いています。日経から事例を知りたいというリクエストがあり、ご紹介したのですが、まさか一面トップで登場することになるとは、ビックリです。

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この記事は、データを活用することによって、融資の利便性を向上させると同時に、ハードルを下げるというアルトアの目指す世界を紹介して頂いたという意味で、とても有難いと思っています。ただ、一点だけ、オカピートさんの事例で、「2週間ほどで200万円が入金された」とあるのですが、これはあまり正確ではありません。

正確には、オカピートさんからお申し込みを頂いたのが、2017年12月27日(水)の夕方。その日のうちに、アルトアから融資可能という審査結果をお知らせしています。翌日には、本人確認の手続きを行って頂いたのですが、現行の法令では、本人確認の手続きの一部に郵送の手続きが必要となるため、これを経て、本人確認の手続きが完了し、融資の準備が完了したのが、2017年12月30日(土)。ただし、既に年末年始に入ってしまっていたため、実際に融資が実行されたのが、年明けの2018年1月4日(木)ということになります。つまりカレンダーベースでは、約1週間。ただ、これは年末年始をはさんだという特殊事情があり、営業日ベースでは、中2日(お申込から融資実行で言えば4営業日)ということになります。

なお念のためですが、上記の日付を公開することはオカピートさんの許可を頂いています。こうやって振り返ってみると、年末ギリギリにお申込みを頂き、残念ながら年内は間に合わなかったものの、年始初日に融資できているわけですから、何気に凄いですよね(自画自賛です、はい)。

アルトアの融資も既に結構な数の件数になっていますが、お客さまにお伺いすると、やはりこのスピード感に驚かれる方が多いですね。実際にどれだけの期間がかかるのかは、本人確認の手続きが郵送も含めスムーズに進むかどうかで変動してきますが、従来の事業性融資の常識から言えば、圧倒的に早いことは間違いありません。2回目以降は、原則として本人確認の手続きが不要になりますから、即日融資も可能です。

現状でネックになっている本人確認の手続きですが、実は現在、オンラインだけで完結できるよう犯罪収益移転防止法(一般に犯収法)の施行規則を改正する方向で検討が進んでいます。早ければ年内にもオンライン完結型が認められるようになり、そうなればアルトアも「いつでも即日融資」に一歩近付くことになります。
posted by 岡本浩一郎 at 17:18 | TrackBack(0) | アルトア

2018年06月05日

いよいよ拡大期

昨日6/4(月)に、アルトアは新しいオフィスに移転しました。少し前にも書きましたが、アルトアにとってはこれが3ヶ所目のオフィスです。一番最初は、弥生のオフィスの中で机を数席借りた状態。事業化に向けた検討を進め、ようやく会社を設立しようという時期。いわば準備期ですね。2ヶ所目は、弥生のオフィスの中の広めの会議室を占有した状態。会社の立上げ、地銀4行との提携を発表したばかりで、まさに事業の立上げに邁進した立上げ期。

昨年12月にはようやく融資を開始することができました。それから今年4月まではいわば準備体操。初めてのことばかりですし、先は長い。下手に焦るのではなく、システムとオペレーションをキチンと練り上げることに注力しました。GW前には、これまでの進捗について振り返りを行い、課題はあるものの、概ね順調に進んでいることを踏まえ、準備体操からいよいよ本格モードに移行する意思決定を行いました。

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今はまさに事業をしっかりと拡大させる時期。そのための拠点が今回のオフィスです。2ヶ所目のオフィスは一杯いっぱいでもうあと一人も座れない状態でしたが、今回のオフィスは広々。当面想定される増員には十分対応できるはずです(7月には早速新規メンバーも加わります)。広々となった分、家賃は相当増えており(それでも当初計画よりはだいぶ低く抑えていますが)、その観点からもしっかりと事業を拡大させなければなりません(笑)。

奇しくも、オフィス移転当日の6/4に、社内で目標としていた最初のマイルストーンを達成することができました。まだまだ小さな一歩ではありますが、新しい金融の姿を形作っていることを実感します。
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2018年05月02日

アルトア新オフィス

広島営業所の新設福岡営業所の増床移転と新オフィスが続いてきましたが、実は、あと一ヶ月ほどで、アルトアも新オフィスに移転します。先日内覧会があり、新オフィスを確認してきましたが、現オフィスより格段に広く、良いオフィスになりそうです。

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アルトアのオフィスとしては、これで3ヶ所目。会社設立時は、弥生のオフィスの中で机を数席借りた状態。まだまだ準備段階ということで、メンバーもごく僅かでしたから、数席もあれば全く問題ありませんでした。

しかし、貸金業登録する上では、しっかりと間仕切りされた独自のスペースが必要です。ということで、約一年前に、弥生のオフィスの中の広めの会議室を一室、アルトアのオフィスに改装。スペースとしては格段に広がったのですが、会議室をつぶされた弥生メンバーからは多少の愚痴もあったようななかったような(みな優しいので口にはしませんが、笑)。

会議室転用のオフィスで活動すること約1年。メンバーも増え、さすがに収容しきれなくなってきました。また、融資を開始してから約4ヶ月が経過し、事業として成立させうることの目処も立ってきました。さらにメンバーを加え、いよいよ本格的に事業展開を図るタイミングということで、3ヶ所目の新オフィスに移転ということになったわけです。

実はこの新オフィス、(写真を見れば分かる人は分かりますが)場所にちょっとした秘密(?)があります。一体どんな秘密なのか、それはまたの機会のお楽しみということで。
posted by 岡本浩一郎 at 18:15 | TrackBack(0) | アルトア

2018年04月16日

意外に冷静

先週参加したLendIt USA 2018について書いてきましたが、そもそもカンファレンスにどこまでの意味があるの、と感じられるかもしれません。確かに世の中にカンファレンスが山ほどある中で、全てに参加していたら、それだけで時間がなくなりますし、中には、あまりの中身のないカンファレンスもあるでしょう。

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私がLendIt USAに関して、参加する意味があると思っているのは、一つ目には、領域がある程度絞られていること、そして二つ目には、その領域に関するグローバルのトッププレーヤーが皆参加していることにあります。

FinTechと言えば、融資もあれば、決済もあれば、資産運用もあれば、保険もある。実に多様な領域を包含していますし、だからこそ、集中的に議論するには広過ぎる。これに対して、LendItがカバーする領域は、融資のみ。そしてAlternative Lendingのグローバルのトッププレーヤーが皆参加しています。参加するのも担当者だけでなく、トップ自ら。この会場で事故でもあったら、業界自体がなくなるのではないか、と懸念するほど(笑)。

そういった中で、私がLendItに参加する際に重視しているのは、LendItの雰囲気で市場の今を肌で感じること。2年前のLendItでは、それまでの急成長を受け、大いに盛り上がりつつも、この先曲がり角が来るという予感に満ちていました。これは、FinTech万歳と盛り上がりつつあった日本では感じられなかったこと。実際にLendItのすぐ後にLending Clubのスキャンダルが明らかになり、また、一部のプレーヤーでリストラが始まりました。

昨年のLendItではそういった揺り戻しを経ているだけに、どういった状況になっているのか心配しての参加でした。蓋を開けてみると、大盛り上がり。揺り戻し期を無事に乗り切った各社は、逆に強いもの、残るべきものが残ったととらえ、自信に満ち溢れていました。ただ同時に、既存の金融機関をdisruptするという対決姿勢よりも、金融機関とパートナーシップを組もうという現実路線がはっきりしてきました。

今年はどうだったか。結論から言うと、意外と冷静でした。盛り上がりという意味では昨年の方が明らかに上。市場は引き続き拡大していますし、決して悪いとは言えない状況です。いわば、一つの成長期が終わり、次の成長期に入るまでの一時的な安定期の状態。一方で、勢いがある会社とそうでもない会社でだいぶ差がついてきたようにも見えます。また、パートナーシップ等を通じて金融機関のプレゼンスが増したことも今後の趨勢に影響を与えそうです。

こうした肌感覚は、アルトアの今後を考える上で、非常に重要なものだと思っています。もう一つ重視しているのは、プレーヤー各社との個別でのディスカッション。カンファレンスという特性上、セッションでは、総論が中心で、なかなか突っ込んだ話にはなりません。その部分は、自ら動いて個別に話をする必要があります。ただ、ディスカッションに関しては、一方的に話を聞こうとするだけでは成立しません。そもそもお互いの信頼関係があるか、そして先方が興味を持つ情報を提供できるか。

今回も月曜日から水曜日までセッションの合間をぬって個別のディスカッションを行いましたが、実に有意義でした。特に水曜日の朝一番に行ったディスカッション(誰とかは秘密、笑)は、このためにSFに来る価値があるほど、ワクワクする議論でした。アルトアは、まだまだこれからの存在ですが、少なくとも正しい方向を向いていることを確信することができたLendIt USA 2018参加となりました。
posted by 岡本浩一郎 at 14:01 | TrackBack(0) | アルトア

2018年04月12日

Japan Passing

月曜日から参加していたLendIt USA 2018。火曜日もみっちりと朝から晩まで。そして水曜日も朝一番から打合せと1セッション参加、さらに場所を移してもう一つ打合せ。ようやく全ての予定を終えて、今は帰りの機内です。あっという間ですが、充実した出張になりました。

前回もお話ししたようにLendIt USAへの参加は今回が3回目。その度に残念に思うのは、日本からの参加者があまりに少ないこと。LendIt USAへの参加者は全体で5,000人前後ですが、その中で日本から参加しているのは、10人もいません。今回アルトアからは3人参加していますが、私が知っている限り、日本からの参加で最大勢力です(笑)。これも私が私が知っている限りですが、3回連続で参加しているのは、某社のOさんと私のみ。毎年大挙して参加している中国勢とは大きな差です。

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日本でFinTechと騒がれるようになって久しいですが、LendItへの日本からの参加者の少なさを見るにつけ、本当にどこまでやる気があるのか、少々疑問に思います。もちろんFinTechがカバーする範囲は様々ですし、LendItはその内のAlternative Lendingをカバーしているだけですから、他の領域のカンファレンスではもっと日本の参加者も多いのかもしれません。

とはいえ、Alternative LendingはFinTechの中でも非常に有望と言われている領域です。この記事にある米国の11のFinTech Unicornのうち、3つ(2位のSoFi, 5位のAvant, 10位のKabbage)はAlternative Lendingですし、これ以外に、既に2社(Lending Club, OnDeck)が上場しています。それだけ有望なエリアの世界最大のカンファレンスに日本からの参加者がほとんどいない。アルトアとして日本におけるAlternative Lending市場を独占しようと考えれば、競争がなくて有難い話のような気もしますが、これまでにない融資のあり方を日本に定着させようという観点では、残念といえば残念な話です。

実際、Alternative Lending市場は日本ではまだほとんど存在していません。市場規模で言えば、2016年と少し前の数字ですが、米国の1/100、中国市場と比較すれば実に1/600に過ぎません。この実態を反映して、LendIt USAで取り上げられるトピックにおいても、中国が毎年一定のウェイトを占めるのに対し、日本の存在感はほぼないに等しい状態です。2年前こそ私が日本市場の現状と今後の展望についてプレゼンをする機会をもらったものの、昨年と今年は日本に関するトピックはゼロです。他国の市場が着実に立ち上がる一方で、一向に立ち上がらない日本市場に関心が向けられないのも、やむを得ないことかもしれませんが。

日本からの参加者がほとんどいないというJapan Passing。同時に、カンファレンスで話題にもならないというJapan Passing。グローバルで融資のあり方が確実に変わりつつある中で、日本だけが取り残されるのではないか、大きな危機感を覚えます。

この先一年間で、アルトアが結果を出すことによって、日本でもAlternative Lendingに注目が集まるようになる。その中で日本からLendItへの参加者も増え、同時にLendItでも日本が注目されるようになる。アルトアは大きなミッションを背負っていると感じています。
posted by 岡本浩一郎 at 21:34 | TrackBack(0) | アルトア

2018年04月10日

LendIt USA 2018

日曜からサンフランシスコに来ています。日曜日のお昼過ぎに到着し、その後はサンフランシスコが初というKさんのために、Fisherman's Wharf〜China Town〜Union Squareという典型的な観光コースを巡りました。幸いにして天気がよく、とても快適。これが休暇だったらなあ、というところですが、実際には今回の目的はLendIt USA 2018というカンファレンスへの参加です。

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Fisherman's WharfのPier 39にて。左手前にアシカの群れが、中央奥にGolden Gate Bridgeが、右奥にAlcatraz Islandが見えます。

LendIt USAへの参加は今回で3回目。2年前はやはりサンフランシスコで、そして1年前はニューヨークでの開催でした。LendItは、アルトアが手掛けているAlternative Lending/Online Lendingの世界的カンファレンス。2年前のサンフランシスコは、弥生としてこの事業を手掛けようと決意を固めた場になりました。本ブログでも、2年前にかつての親会社であるIntuitを訪問したと書きましたが、この時点から既に構想は動き出していました。

1年前のニューヨークは、既にアルトアの会社自体は立ち上がっており、正式な発表に向けて準備を進めているタイミングでした。これまでは正式な発表前だったので本ブログでは曖昧な書き方しかできませんでしたが、ようやく堂々と書くことができます。

そして今回は、アルトアとして開業してから初のLendIt参加になります。過去2年間、グローバルの様々なリーディングプレーヤーと議論してきたのですが、実際に画面を見てもらうと、「かっこいいねえ(Looks slick)」「おめでとう」と言ってもらうことができ、計画/準備フェーズから、ようやく同業として議論できるところまで来た、と実感します。とはいえ、彼らは我々の相当先を行っており、追い付くまでにはまだまだ長い道のりですが。

カンファレンスは朝8時半から午後5時半まで会場に籠りきり。時差がある身には結構つらいのですが、アルトアの今後の方向性を考える上でもとても貴重な機会です。眠気に負けることなく、あと2日頑張ります。
posted by 岡本浩一郎 at 23:22 | TrackBack(0) | アルトア

2018年02月15日

見たことがある後ろ姿

昨日の日経朝刊で、アルトアを「『連帯保証なし』広がる AIで与信判断」という記事で取り上げて頂きました。この記事は、日経のトップページにも掲載され、一時はアクセスランキングで2位と、かなり注目を集めました。

ところで、この記事には写真があるのですが、この後ろ姿はどこかで見たことがあるような…。ということで、こんな写真を撮ってみました。

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実は記事中の写真は、日経記者による取材の際にリクエスト頂き、弊社から提供したものです。モデルはアルトアのリード・エンジニア、Yさんで、撮影は弥生の広報、Tさん。たまたま(?)、記事掲載となった昨日は写真と全く同じタートルネックを着ているということで、調子にのってこんな写真をとってみました。後ろ姿とはいえ、堂々の日経デビュー。記事に見入るYさんは感無量のようです(笑、その後、Facebookで「次は正面から写れるようがんばります」とコメントしていました)。

アルトアがサービスを開始してから2ヶ月が経ちますが、お蔭さまでメディアからの注目を頂いています。本ブログでもNHKのニュースで取り上げられたことを書きましたが、その他にも、日経ビジネスや日経コンピュータ、東洋経済などでも取り上げて頂いています(アルトアのコーポレートサイトで、少し前になりますが、メディア掲載情報をまとめています)。

切り口としては、大きく2つあり、一つはやはりAI(人工知能)です。これだけ(良くも悪くも)AIがもてはやされる時代ということもあり、AIで与信を行うということが大きなニュースとなっています。もう一つの切り口が、金融包摂(Financial Inclusion)です。これまでは融資の対象となりにくかった「金融排除先」への融資として注目を集めています。日経ビジネスでは、「『十分な担保・保証のある先や高い信用力のある先以外に対する金融機関の取組みが十分でない』と2016年に金融庁が『日本型金融排除』と称して問題を投げかけたことで話題となった。こうした企業への資金供給を支援する流れが広がり始めた」として紹介を頂いています。今回の日経の記事も同じ流れですね。

この他にも、少しマニアック(?)ですが、信金中央金庫の地域・中小企業研究所が発行している「金融調査情報」として取り上げています。

サービスが立ち上がった今、課題はお客さまから認知頂くこと。そのためにも、メディアには引き続き積極的に発信していきたいと思います。取材には、基本的に私がしっかり対応致しますので、ドンドンお声がけ下さい! (Yさんに正面から登場して頂くというのもありです、笑。)
posted by 岡本浩一郎 at 18:57 | TrackBack(0) | アルトア

2018年02月02日

一周年

昨年2月2日にアルトア(当時ALT株式会社)の会社を設立してから、丸一年になりました。これまでにない融資を実現したいと検討を始めたのが、その一年ちょっと前の2015年末。P2Pレンディング(融資の仲介)か、オンラインレンディング(自社での融資)か、海外プレーヤーとの合弁か、独自開発か、紆余曲折はありつつも、正式に前に進めることになり、ようやく会社としての形ができたのがちょうど一年前ということになります。

それから一年。あっという間でした。最初は私も含め3人で活動していたものが、徐々にメンバーが増え、今では14人のチームとなりました。最初は紙の上だけの存在だった基幹システムが、Webシステムが、与信システムが、苦労はしつつも開発が進み、ついには本番稼働。開業前には結構な突貫工事でしたが、それだけに稼働した時には感無量でした。

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昨年の12月7日にはいよいよ営業開始その当日はお申込みがなくがっかりしたことは前にもお話ししましたが、翌日には初のお申込みを頂き、そして翌週には初の融資実行。その後も着実にお申込みを頂いています。

実は12月は調子が良かったものの、1月に入ってから、ぱたりとお申込みが途絶えた時期があり、ビギナーズ・ラックだったのでは、と心配したのですが、1月の半ばから再びお申込みが増え始め、足元ではなかなかいいペースでお申込みを頂けるようになってきました。融資である以上、融資を実行するまででは道半ばで、融資を返済頂いて初めて事業として成立するわけですが、1月末には初めての返済も頂くことができ、着実に前進していることを実感しています。

あっという間でありつつ、実に濃い一年間。突っ込みどころも多いので、自画自賛する訳にはいきませんが、それでも率直な気持ちを言えば、我ながら、よく一年間でここまで来れたな、と思っています。これもチームの皆はもちろん、関係者の皆さんのお蔭です。もっとも、事業としてはまだまだ立ち上がったばかり。いわばスタート地点に立っただけ。やるべきことは山積みです。スタート地点に立った今、まさにこれからが勝負です。一年後には、再び、よく一年間でここまで来れたな、と思えるようにしたいですね。
posted by 岡本浩一郎 at 17:30 | TrackBack(0) | アルトア

2018年01月29日

復帰一周年

約25年振りにコーディングを再開しました」と本ブログで恐る恐る告白したのが、昨年の1月27日。先週末で丸一年ということになります。

つい先日も書きましたが、よし、また自分でコードを書こうと思い立ったのが、昨年の1月20日(金)。実はこのぐらいのタイミングからアルトアのプロジェクトが検討フェーズから立上げフェーズに入ろうとしていました(会社の登記が2月2日)。いざ立ち上げるのはいいけれど、開発をどうするか。弥生はやるべきことが山積みで、弥生のエンジニアを横取りするわけにもいきません。金曜日の夜に、悶々と考えていたのですが、そこで、だったら自分でやればいいじゃないか、と思い立ちました。誤解のないようにお話しすると、さすがに25年振りですから、本番のシステムまでやろうとは思いませんでしたが、こんな感じ、というプロトタイプだったら作れるのではないかと考えました。

翌日の1月21日(土)、週末ですが、豊吉さんにFacebookでこんなメッセージを送りました。「豊吉さん、週末にすいません。Rubyを勉強しようと思っているのですが、とりあえずここから始めろ、というお勧めの本はありませんか? 恥ずかしいので(笑)周りには黙っておいていただけると有難いです」。豊吉さんからすぐに返信をもらい、その日のうちに本屋に向かいました(Amazonで届くまでの時間が我慢できず、笑)。日曜日にはコードを書き始め、その(ささやかな)成果を本ブログで披露したのが1月27日(金)。我ながら思い立ったが吉日ですね。

その後は本ブログでもお話しした通り、道中で言語をPythonに切り替え、ちょこちょことコードを書いています。どれぐらい時間を使っているかというと、正直限定的です。社長業をはじめ、もろもろやるべきこともあり、とことんコードを書くことはできていません。コードを書くことは楽しい。特に思った通りに動いた瞬間は「最高」です。ただ、うまく動かない時はイライラしますし、バグを修正してちゃんと動くようになるまで、時間ばかりがかかります。復帰一年目ということで、腕前は全くですから、思い通りに動かない方が多い。そうなると成果は出ないまま、時間ばかり使ってしまいます。

やり切っている感は全くないのですが、こんな感じに作れるのではないか、というプロトタイプ構築はある程度できています。そういった意味で、当初願っていたほど時間は使えていませんが、当初想定していたことは最低限できています。

もちろん、その後エンジニアの採用が進んでおり、私のコードはあくまでもプロトタイプで、本番向けにはプロによって書き直されていますから、その点はご安心ください。

凝り性ですから、とことんコードにまみれてみたい気もしますが、それは老後の楽しみにとっておくとします(笑)。当面はこつこつと、できる範囲でコードを書き、私なりのやり方で、お客さまに価値を提供する努力を続けていきたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 17:35 | TrackBack(0) | アルトア

2017年12月28日

初の売上

12/7に営業を開始したアルトア開始当日こそお申込みゼロ件だったものの、翌日以降順調にお申込みを頂いています。翌週には初の実行(お客さまに融資金が着金し、融資契約が成立)も行いました。

立ち上げたばかりということで、アクセルは踏んでいない状態ですが、まずまずのペースで進捗しています。

初の実行ということで何よりも嬉しいのが、アルトアとして初の売上が立ったということ。もちろん、実際に売上として入金するのは、融資の翌月、返済が始まってからということになりますが、会計上は発生基準で、実行のタイミングから売上が立ち始めます(アルトアの金利計算は実行日を含めない片端計算なので、厳密に言えば、実行日の翌日からということになります)。

アルトアは今年の2月に立上げて以降、2回の増資によって資本金/資本準備金で14億8,000万円にまでなっていますので、支出先行でも先行きが危ぶまれることは全くありません(ご安心ください)。ただ、4月に本格的にアルトアとしての開業準備作業を進めてからこのかた、一切売上が立つことなく、一方で費用は着実に発生し、既に1億円以上の費用先行となっているのは、計画通りと言えども、精神的に決して楽ではありません(苦笑)。

今回売上が立ち始めたとは言え、まだまだ少額であり、まだ当面は費用先行が続きます。それでも、事業として、まずは着実に売上が立ち始めるというのはとても重要な通過点です。通過点ではありますが、一つの大きなマイルストーンを達成できたことにホッとしています

思えば刺激に満ちた良い一年でした。来年ももっとワクワクする一年にしていきたいと思います。皆さま、良いお年をお迎えください。

PS. 弥生の年内の営業は本日で終了しましたが、アルトアについては、金融機関(等)ということで、年末ギリギリ12/29(金)までの営業となります。
posted by 岡本浩一郎 at 18:46 | TrackBack(0) | アルトア