2022年10月03日

あと一年

先週土曜日は10/1。弥生は新年度(FY23)に入りました。また、今年も残り3ヶ月ということで、うかうかしていると今年もあっという間に終わってしまいそうです。

今年の10/1は例年にない大きな通過点でもあります。それは、来年10月1日のインボイス制度開始のちょうど一年前ということ。正直に言って、インボイス制度はまだまだ先だと思っていました。社会的システム・デジタル化研究会が立ち上がり、インボイス対応をデジタルを活用してどのように進めるべきかという議論が始まったのが、2019年12月のこと。この時点ではインボイス制度開始までに4年弱ありましたから、まだまだ余裕はあると考えていました。そして実際に、皆が活用できる標準的なデジタルインボイスの仕組みの構築を目指してデジタルインボイス推進協議会(EIPA、発足当初は電子インボイス推進協議会)を設立したのは2020年7月。この時点でもまだ3年以上ありましたから、余裕とは言わないまでも、時間はあると思っていました。

平井卓也デジタル改革担当大臣(当時)を訪問し、Peppol(ペポル)と呼ばれる国際規格をベースとして、デジタルインボイスの日本標準仕様を策定すべきであると提言を行ったのが2020年の12月。翌月の2021年1月からは、Peppolの国際管理団体であるOpenPeppolとの議論が始まりました。日本標準仕様の策定は徐々に進んできましたが、明確に進捗するようになったのは、2021年9月にデジタル庁ができてから。デジタル庁が立ち上がるのとほぼ同時に、日本におけるPeppolの管理主体(Peppol Authority, PA)として登録され、以降はデジタル庁が司令塔として日本標準仕様の策定を強力に推進してきました。EIPAは民間の立場からその支援を行ってきています。

直近では日本標準仕様がJapan PINT Invoice Version 0.9.3として公開されていますが、もうすぐ正式バージョン(Version 1.0)となると聞いています。つまり、標準仕様の観点からは、日本のデジタルインボイスはもう(ほぼ)readyということです。

一方で、時間は着実に経ち、インボイス制度の開始まであと1年。実際にPeppolをベースとしたデジタルインボイスが、ベンダーを問わず自由にやり取りできるようになるためには、弥生をはじめとしたソフトウェアベンダーの対応が必要です。お客さまでの対応準備を考えると、来年の9月末、制度開始の直前にソフトウェアの準備ができるというのでは遅すぎます。遅くともこの先半年ぐらいで、対応の目途を付ける必要があります。

まずは法令改正としてのインボイス制度への対応、さらには業務効率化をもたらす、デジタルインボイスへの対応。残された時間は少ないですが、しっかり対応を進めていきます。
posted by 岡本浩一郎 at 19:22 | TrackBack(0) | デジタル化

2022年07月29日

デジタルインボイスの今

前回デジタルインボイス推進協議会(EIPA)の「デジタルインボイス推進の取り組み」がMM総研大賞で「話題賞」を受賞したことをお話ししました。また少し前には電子インボイス推進協議会からデジタルインボイス推進協議会へ名称を変更したこともお話ししました。

一方で、EIPAが実際にどういった活動をしているのかについてはお話しできていませんでした。EIPAは2020年7月に発足し、その年の12月にはグローバルな標準仕様である「Peppol(ペポル)」をベースとした日本におけるデジタルインボイスの標準仕様を策定すべきという提言を平井卓也デジタル改革担当大臣に行いました。これに対し平井大臣から全面的な賛同を受けたことから、実際の標準仕様の検討を進めてきました。昨年秋にデジタル庁が発足して以降は、デジタル庁が日本におけるデジタルインボイスの標準仕様の策定主体として活動を開始しており、EIPAは民間の立場からその支援を行ってきています。現時点では、この標準仕様がJapan PINT Invoice Version 0.9.3として、Peppol全体の運営主体であるOpenPeppolのウェブサイトで公開されています。Version 0.9.3ということで、まだ正式版ではないのですが、内容としてはほぼ固まっており、この仕様に基づいて、日本でPeppolのサービスを提供しようとするベンダーが各社開発に取り組んでいる状況です。

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EIPAでは、ベンダーが開発を進める際の補助資料として、開発者に向けた日本語でのリーダーズガイドである「テクニカルドキュメント」とデータのセット方法に関する「ガイドライン」という二つのドキュメントを作成し、EIPA会員向けに公開しています。これらのドキュメントもまだ正式版ではなくWork-in-progessなのですが、各社が実際に開発を進める中で活用いただきつつ、そこで生じた疑問などを取り込んで今後もブラッシュアップしていきます。

ご承知の通りインボイス制度(適格請求書等保存方式)は来年10月に始まりますが、事業者としては、来年10月1日から対応を開始すればいいわけではありません。来年10月1日の時点で、インボイスの発行、受領、保存が業務として既に定着している必要があります。これをデジタルで実現できるよう、デジタルインボイスのサービス自体はできるだけ早めに提供を開始したいと考えています。実際のサービス開始の時期は、サービスを提供する各社によって異なりますが、早ければ今年の秋にはサービスを開始する会社が出てくる見込みです。
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2022年07月27日

MM総研大賞 2022

MM総研が主催しているMM総研大賞 2022で、デジタルインボイス推進協議会(EIPA)の「デジタルインボイス推進の取り組み」が「話題賞」を受賞したということで、EIPAを代表して、シェラトン都ホテルで開催された授賞式に参加してきました。

MM総研大賞は、ICT分野の市場、産業の発展を促すことを目的に2004年に創設された表彰制度です。MM総研大賞では複数の部門で表彰されますが、最高賞となる大賞は「FIWAREを活用したスマートシティ」ということで、実際にスマートシティのサービスを実現している高松市、富山市と、オープンソースのデータ連携基盤「FIWARE」を活用してそれを支援しているNECが受賞されました。今回EIPAが受賞したのは、話題賞。話題賞とは、その名の通り、ICT産業に大きなインパクトを与え、大きな話題を集めた製品・サービスが対象となっています。

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授賞式では授賞者ごとに審査委員から表彰いただくのですが、審査委員の中に見慣れた顔が。そうです、弥生の社外取締役である林 千晶さん(当たり前ですが、林さんが弥生の社外取締役であることと、今回のEIPAの受賞は何の関係もないはず、笑)。表彰を林さんからしていただければ、すごい巡り会わせだと思いましたが、EIPAの表彰の少し手前でプレゼンターが交代。同じく審査員であるジャーナリストの西田さんに表彰いただきました(西田さん、有難うございました)。

今回は代表幹事として私が授賞式に参加しましたが、賞を受賞したのはあくまでもEIPA。EIPAはデジタルで社会を効率化するという想いを共有する会社が集まって活動しています。普段は競争することもある会社同士が同じ目標に向かって活動していることが、今回こうして評価されたことはとても嬉しいことです。今の時点ではまだデジタルインボイスというサービス自体がまだ提供されていないということもあり、今回は話題賞ということになりましたが、一年後にはデジタルインボイスのサービスも立ち上がり、利用しているソフトが異なっても自由にデジタルインボイスのやり取りができるようになっているはずです。

ということで来年は話題賞ではなく、是非大賞を受賞したいと思います。来年はMM総研大賞にとって20年目という節目の年。その記念すべき年に栄えある大賞を獲得し、(その時点で)目前に迫ったインボイス制度の運用開始に向けて勢いを付けたいところです。ということで、今回のタイトルは思わせぶりに「MM総研大賞 2022」としてみました、笑。
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2022年06月06日

デジタルインボイス

先週6/1より、電子インボイス推進協議会は、デジタルインボイス推進協議会へと名称を変更しました

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電子インボイス推進協議会を立ち上げたのは、約2年前となる2020年7月(改めて時間が経つのはあっという間です)。この際には、まず、もともと欧州で一般化しているE-Invoiceがあり、その普及を図る組織ということで、E-Invoice Promotion Associationという英語名称が先に決まり、その日本語訳として「電子インボイス推進協議会」という名称(略称EIPA)となりました。

一方で、本ブログでもたびたびお話ししていることですが、今日本において必要とされているのは電子化ではなく、デジタル化です。業務のあり方を変えずに、紙の電子化を図るということは着実に進んできています。その代表例が電子申告(e-Tax)ですし、昨年末に話題になった電子帳簿保存法も、基本的に電子化です。

しかし、業務のあり方の見直しまで踏み込まないと、本当の意味での業務の効率化は実現されません。単純に紙を電子化するのではなく、その前提となっている業務のあり方も見直す。それがデジタル化です。電子化(Digitization)ではなく、デジタル化(Digitalization)。

インボイス制度の開始まであと1年ちょっととなり、インボイス制度への注目は着実に高まっています。10社で立ち上げたEIPAも既に正会員だけでも170社超となりました。そういった中で、EIPAとして様々なセミナーやイベントに登壇する機会も増えており、その際に、目指すのは電子化ではなく、デジタル化ということを必ずお話ししています。

そうなると困るのが、電子化ではなくデジタル化だ、と言いながら、「電子インボイス」を推進する「電子インボイス推進協議会」としてお話しすること。目指すのは、電子化なのか、デジタル化なのか、どっちやねん、と突っ込みたくなります。そこで、EIPAとして目指すのはデジタル化であることを明瞭に示すために、今回、名実ともに「デジタルインボイス」を推進する「デジタルインボイス推進協議会」と名称を変更しました。

デジタルインボイスは、電子データでインボイスをやり取りするという意味で電子インボイスの一部ではありますが、標準化され、構造化されたデータとしてやり取りすることが特徴です。例えば一般的なPDFとしてやり取りするのは、PDFという標準化されたフォーマットですから、やり取りの容易さは実現できても、構造化されたデータではないため、後工程の効率化が実現できません(ただし、海外ではPDFに構造化データを埋め込むというやり方も存在しています)。今回デジタル庁が主体となって進めているグローバルな標準仕様「Peppol(ペポル)」をベースにした、日本におけるデジタルインボイスの標準仕様は、標準化されているからこそ、誰から誰へも支障なくやり取りが可能になります。また構造化されているからこそ、そのデータを会計業務や支払業務、入金消込業務などの後工程に活用することができ、業務の効率化が実現されます。

なお、蛇足ですが、海外ではE-Invoiceという表現は定着しているため、E-Invoice Promotion Associationという英語名称であり、略称であるEIPAは変わりません。インボイス制度まで1年ちょっととなり、今年秋から来年にかけてEIPA会員各社が提供する「デジタルインボイス」のサービスが続々とリリースされていく見込みです。インボイス制度という法令改正によって、業務が複雑化した、面倒になった、ではなく、デジタル化によって業務がむしろ効率化したと言えるように。これから来年秋にかけてがEIPAであり、EIPA会員各社の力の見せどころです。
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2022年03月16日

DX推進フォーラム2022

申告期限日から一晩明けて、社内も少しだけホッとした空気が流れているような気がします(私自身がリモート勤務なので、「気がします」にとどまります、笑)。

昨日お話しした通り、一昨日からe-Taxの接続障害が発生しており、結局そのまま申告期限を迎えてしまいました。しかし今朝には、弥生側から見えるエラーログも激減していることを確認できました。その後今日16時には、国税庁から「16 日(水) 14 時現在において、自宅等からの e-Tax による受信は遅滞なく行われています」というアナウンスが出されました。

これも昨日お話ししたように、今回の接続障害を受け、申告書の特記事項欄に「e-Taxの障害による申告・納付期限延長申請」である旨を記載した上でe-Taxを送信することによって、期限内の申告として認められるようになっています。いつまでこの延長申請が認められるかは発表されておらず、まだ時間はあるものと思いますが、もう再送信を試されてもいいのではないかと思います。

なお、申告は済ませたはずだけれど、本当に申告が受け付けられているかどうか不安という方は、e-Taxのメッセージボックスを確認すれば、申告が正常に受け付けられているかどうかの確認ができます。メッセージボックスを確認し、万が一申告が正常に受け付けられていないようであれば、上記のように「e-Taxの障害による申告・納付期限延長申請」と補記した上で再度申告を行いましょう。

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さて、今日はちょっとした告知を。直前での告知になって恐縮なのですが、明日17日(木) 13:00-16:30にオンラインで開催されるDX推進フォーラム2022というイベントで登壇します。全体のテーマが「中小企業が変わる、日本が変わる」となっていますが、私は基調講演の第2セッションとして、「デジタルインボイスが目指す商取引のDX(Digital Transformation)」というタイトルで30分ほどお話しします。ちなみに基調講演の第1セッションは、初代デジタル大臣の平井議員による「デジタル田園都市国家構想と日本企業のDX戦略」です。

今回の私の登壇は、弥生の社長としてというよりは、電子インボイス推進協議会(EIPA)の代表幹事としてということになります。インボイス制度の開始が来年の10月に迫り、そのうち考えようという将来の話から、そろそろ準備を始めなければならない話になってきました。ただ、このインボイス制度を単なる法令改正対応で終わらせるのはもったいないと考えています。単なる法令改正対応は、どちらかと言えばやりたくないこと、でも法令だから対応せざるを得ないこと。そういった法令改正対応で終わらせるのではなく、デジタルを活用することにより、業務の圧倒的効率化を実現する大きなチャンスだと考えています。

EIPAが商取引をどのようにデジタル化しようとしているのか、そしてどうやって業務効率化を実現しようとしているのか。是非聞いていただければと思います。DX推進フォーラムは無料のイベントですが、こちらで事前登録が必要になっています。後半のパネルディスカッションでは、BCG時代の同僚の高津さん(IMD 北東アジア代表)も登壇されるようなので、こちらも楽しみです。

# たった今地震がありました。震源が福島県沖ということで、とても心配です。
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2022年01月17日

シンプルな解法

私はトライアスロンのトレーニングも兼ねて、週に1〜2回スポーツクラブに通っているのですが、最近、ハッと気が付く出来事がありました。

私が通っているスポーツクラブでは、プラスチックカードの会員証があり、これを提示して入館します。その後、ロッカーにこの会員証を差し込んで利用するようになっています。会員証を差し込まないとロックできないようになっているのです(ちなみにロックの際には物理的な鍵に加えて、暗証番号も設定できるようになっています)。

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この仕組みがこの正月に変わりました。もうロッカーに会員証を差し込まなくてもよくなったのです。これは会員証をプラスチックカードではなく、入館の都度スマホの画面で表示するようにする、という変更を行うことになり、プラスチックカードがなくなっていく以上、ロッカーの仕組みを変えなければならないということのようです。

ロッカーの仕組みの変更の告知自体は昨年12月からあり、お正月で切り替わるとのことでした。これを見た私は、年末年始で数日間休館日があるにせよ、短期間で全てのロッカー(男女合計で400個ぐらい?)の仕様変更をするのは大変だな、と感じていました。大規模システムに携わってきた経験から、年末年始こそ大きなリリースのチャンスということはわかっているのですが、年末年始返上での対応の大変さもまだわかっています。

しかし私の思い込みは、年が明けて、今年の初泳ぎの際に見事なまでにひっくり返されました。どうなっていたかわかりますか?

ロッカーは見た目何も変わっていません。何ら工事があったようにも見えません。ロッカーを開けてみると…、既に会員証らしきものがロッカーに差し込まれています。そうです、ロッカーに会員証の差し込みを不要とするという仕様変更は、何ら工事を伴わず、全てのロッカーに予め会員証と同じものを差し込んでおくことによって実現されていたのです。

お恥ずかしながら、これには衝撃を受けました。そうか、こんな解法があるのかと。私はあまり考えることなく、それなりに大掛かりな工事が必要だと思い込んでいたのですが、こんなシンプルな解法があったのです。

ちなみに完璧な解法とはいかず、既に差し込まれている会員証(と同じもの)を自分の会員証と間違えて持って帰ってしまうケースが(おそらく)頻発したようです。それに対する解法としては、先週末行った際には、差込口をテープでふさぎ、抜くことができないようにするという物理的な対応がなされていました(笑)。

今、弥生としても私個人としても、スモールビジネスの業務であり、もっと言えば社会全体のデジタル化に取り組んでいます。その際には、ついつい大掛かりな仕組みの変更を考えがちです。しかし、実のところ、物事にはもっとシンプルな解法があるのではないか、常にその観点を忘れてはならない、そう思わされた出来事でした。
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2021年09月28日

日本もPeppolに参加

デジタル庁のウェブサイトでひっそりと取り上げられていますが、9/14(火)にデジタル庁がOpenPeppolのメンバーとして加入しました。これまでにもお話ししてきましたが、OpenPeppolというのは、Peppolという電子インボイスの仕様を管理し、国際的なネットワークを運営している管理団体です。

日本においてPeppolをベースとした電子インボイスの仕組みを運営するためには、原則として国内における管理主体(Peppol Authority)が必要となります。この管理主体はその国の行政機関が担うことが一般的であり、日本の場合はデジタル庁がPAとして機能することとなり、その第一歩としてデジタル庁がOpenPeppolにメンバーとして加入したということになります。OpenPeppolのサイトにおいても、日本におけるPAとしてデジタル庁の名前が既に掲載されています。

これまでEIPAではデジタル庁(内閣官房)と協力しながら、OpenPeppolと日本におけるPeppolの利用に向けた検討を進めてきましたが、あくまでも議論/検討フェーズ。議論はまだまだ続くのですが、今回のデジタル庁のOpenPeppol加入は、正式な運用に向けての第一歩ということになります。

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電子インボイスは欧州を中心に導入/利用が進んでいますが、日本もようやく正式にこの電子インボイスの世界にデビュー(?)したことになります。今日からウィーンでE-INVOICING EXCHANGE SUMMIT VIENNAという電子インボイスに関する国際会議が開催されており、今日開催された"Global Developments in Peppol"というセッションでは、デジタル庁から2名が登壇し、日本におけるPeppol導入に向けた取組みを発表しました。

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実は私も明日の"OpenPeppol Developments"というセッションで、EIPAの立場から、日本におけるPeppol導入に向けた取組みを発表することになっています。ウィーンでの会場開催とリモート開催のハイブリッドなので、日本からも参加できるのですが、1セッションのためだけに参加するには少々お高いんですよね(リモート参加でEUR900なり)。私の持ち時間は15分だけですので、さすがにそのためにEUR900払って見てくださいとは言えません(苦笑)。資料については、後日EIPAのウェブサイトで共有できると思います。

ちょっと意外かもしれませんが、海外ではこの種のカンファレンスがもう普通に開催されるようになってきています。私もよければウィーンでとお誘いを受けたのですが、行くことはできても帰ってからの隔離措置があるため、泣く泣く断念しました。ウィーンは行ったことがないので、行ってみたかったなあ、というのが正直なところです(笑)。
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2021年09月16日

月締請求書と月まとめ請求書

前回までにお話ししてきたように、Peppolをベースとした電子インボイスの日本標準仕様(JP Peppol)では、日本で一般的な商慣習である合算請求書(一般的には月締請求書)をサポートします。都度請求書では、1納品書 = 1請求書となりますが、合算請求書はN納品書 = 1請求書。合算請求書では、月末など所定のタイミングでN通(複数)の納品書を合算して請求書を発行します。

一方で、同じN通の納品書を基に作られる「請求書」ですが、実態として合算請求書と大きく異なるパターンがあります。正式名称はないのですが、ここでは便宜上月まとめ請求書と呼びます。このケースでも、納品後すみやかに納品書を発行し、月末など所定のタイミングで複数の納品書を合算して月まとめ請求書を発行します。

ん、合算請求書(月締請求書)と月まとめ請求書で何が違うの?と思われるかもしれません。というか、そう思いますよね。

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違いは、合算請求書(月締請求書)の場合は、インボイス(適格請求書)は合算請求書であるのに対し、月まとめ請求書は実はインボイス(適格請求書)ではないということです。この場合は、納品書がインボイスも兼ねているのです。つまり合算請求書(月締請求書)の場合には、納品書はインボイスではなく、合算請求書がインボイスとなるのに対し、月まとめ請求の場合には、納品書がインボイスとなり、月まとめ「請求書」は実はインボイスではないということです。

では、月まとめ請求書は何なのか、というとこれは支払案内という位置付けになります。一定期間の間にこれだけの納品があり、それぞれに対し納品書(兼請求書)で請求済みです。ただ、念のために、期間合計を再度送付しますので、お支払いの程お願いします、というものです。

なかなか難しいですね。EIPA標準仕様策定部会でも、この点でかなり悩んだので、ある意味悩んで当然です。これをすっきりと理解するためには、そもそも何がインボイス(適格請求書)なのか、ということを理解する必要があります。次回は、何がインボイス(適格請求書)なのかという点について改めてお話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 22:00 | TrackBack(0) | デジタル化

2021年09月14日

合算請求書は何が違うのか

前回電子インボイス推進協議会(EIPA)として、Peppolをベースとした日本標準仕様(JP Peppol)の策定を進めるにあたって、まずは日本の商慣習を確実にサポートするために、日本で必要とされる業務プロセスの整理から着手したとお話ししました。結果的に、事前の想定通り、月締請求書など、合算型のインボイス(Summarized Invoice)がギャップであることを確認したこと、その上で、JP Peppolにおいては、合算型のインボイスをサポートすべきと結論付けた、とお話ししました。

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前回お話ししたように、現状のPeppolは納品書と請求書が1:1に対応することが前提となっています。これは日本でも存在する業務プロセスです。明確に区別するために、これを都度請求書と呼ぶことにします。都度請求書では、1納品書 = 1請求書となり、納品後すみやかに請求書を発行することになります。実務としては、納品書がないケースも、逆に納品書が請求書を兼ねており、明示的な請求書がないケースもあります。ただ、ここで重要なのは、請求の対象が一回の納品に限られているということです。

これに対し、合算請求書はN納品書 = 1請求書となります。合算請求書は一般的には月締請求書と呼ばれることが多いと思いますが、合算するサイクルは必ずしも月締めではない(例えば、2週間に一回、あるいは2ヶ月に1回)ため、汎用的な名称としてこれを合算請求書と呼んでいます。合算請求書では、月末など所定のタイミングで複数の納品書を合算して請求書を発行します。

都度請求書の場合には、請求の対象が一回の納品に限られているため、その納品が確かになされているかを確認すれば支払の是非を判断することができます。これに対し、合算請求書の場合には、請求の対象が複数の納品にまたがるため、支払の是非は、合算請求書上の明細がどの納品に由来しているかを識別し、その納品が確かになされているかの確認が必要になります。

支払の是非をシステム的に判断し、処理を自動化できるようにするためには、都度請求書の場合には、請求書単位で由来となっている納品書が(納品書番号などで)特定できれば大丈夫です。これに対し合算請求書の場合ではどうなるか。合算請求書は請求の対象が複数の納品にまたがるため、特定のための納品書番号が複数になります。これを請求書単位で由来となっている納品書番号を複数持つという考え方もありますが、どの明細がどの納品由来なのかが一意に特定できず、処理としては難しくなります。どの明細がどの納品に由来しているかを一意に特定できるようにするためには、明細単位で由来する納品書番号を持てるようにする必要があります。

前回、JP Peppolは合算請求書(月締請求書)をサポートしますと書きました。これは、都度請求書と合算請求書のデータ構造(データモデル)は全く一緒とした上で、明細単位で納品書番号への参照情報を持てるようにしたことによって、参照する納品書番号が1つであればそれは都度請求書、複数あればそれは合算請求書として処理できるようにしたということです。
posted by 岡本浩一郎 at 23:37 | TrackBack(0) | デジタル化

2021年09月02日

業務プロセスの整理

電子インボイス推進協議会(EIPA)では、昨年12月の平井大臣への提言を経て、2021年1月に標準仕様策定部会を組成し、Peppolをベースとした日本標準仕様(JP Peppol)の策定を進めてきました。

具体的に策定作業を進めるにあたっては、かなりの作業量が見込まれることから、部会の中で、検討作業に一定の時間を費やすことができる会員をボランティアとして募集し、コアチームを組成、このコアチームが、Peppolの国際管理団体であるOpenPeppolと協議をしながら策定を進めてきました。また同時に、行政側の受け皿となる内閣官房IT戦略総合室と連携を取りながら進めてきました。内閣官房IT戦略総合室といえば、そう、昨日正式に発足したデジタル庁の母体となった組織です。

標準仕様の策定にあたっては、最初から詳細仕様の検討を行うのではなく、まずは日本の商慣習を確実にサポートするために、日本で必要とされる業務プロセスの整理から着手しました。

Peppolは元々の名前(Pan-European Public Pocurement Online: 汎欧州公共調達オンライン)が示す通り、欧州発祥の仕組みです。このため、Peppolの土台には、EN16931-1という欧州の電子インボイス標準規格が存在します。コアチームでは、まずこのEN16931-1で定義されている12の業務プロセスを検証し、日本の商慣習とのFit/Gapを分析を実施しました。

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結論としては、これは事前の想定通りですが、月締請求書など、合算型のインボイス(Summarized Invoice)がギャップであることを確認しました。欧州等でも複数の納品書をもとに合算された合算型のインボイスは存在しますが、一般的とは言えません。このため、現状のPeppolでは、合算型のインボイスはサポートされていません。つまり、現状のPeppolは納品書と請求書が1:1に対応することが前提となっています。これに対し、月締請求書をサポートしようとすると、納品書N通をまとめて1通の請求書とするというN:1の関係性をサポートする必要があります。

ここで考えるべきは、そもそも本当に月締請求書が必要なのかどうか。これはまた改めてお話ししたいと思いますが、デジタルを前提として考えると、業務効率の向上と早期の業績把握を通じた経営のリアルタイム化の観点から、日本においても請求業務は合算型から都度型に変わっていくべきであると考えています。しかし一方で、2023年10月の時点において電子インボイスが一般的に利用される状態を目指すためには、一旦は概ね現状の業務プロセスのままでも電子インボイスを利用できるようにすべきと考えました。このため、JP Peppolにおいては、合算型のインボイスをサポートすべき、と結論付け、検討を進めてきました。

そうです、JP Peppolは月締請求書をサポートします。欧州発の仕組みを日本で活用するという中で、ある意味わかっている人ほど(海外では月締請求書が一般的でないとわかっている人ほど)、月締請求書はどうなるんだ、と心配されていました。実際、その懸念は妥当だった訳ですが、OpenPeppolにも合算請求書の必要性を理解してもらい、晴れてJP Peppolでサポートすることとなりました。
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2021年08月31日

JP Peppol

先週金曜日にお話しした通り、電子インボイスの日本標準仕様のドラフト第一版について、まずは電子インボイス推進協議会(EIPA)内で公開しました。まずはEIPA内でフィードバックを受けた上で、9月中にEIPAからデジタル庁に提出する予定です。その後デジタル庁による確認を経て、デジタル庁から広く一般に公開される予定です。

既にお話ししている通り、電子インボイスの日本標準仕様は国際的に利用が進んでいるPeppolという仕組みをベースとしています。このため、電子インボイスの日本標準仕様は、Peppolの日本版ということで、JP Peppolと呼んでいます。あくまでも仮の名称で、将来的に正式版として公開される際には、ニックネームが付くのかもしれませんが。ちなみに、シンガポールもPeppolをベースとした電子インボイスを推進しており、当初は"Peppol E-Invoicing"という名称でしたが、その後既に普及している電子決済の仕組みPayNowにあやかってInvoiceNowというニックネームが付けられたようです。

さて、JP Peppolを策定するために、まずは基本的なポリシーを確立した上で、検討を進めてきました。それはまず何よりも、今あるものを最大限活用し、安直な拡張は行わないということ。Peppolをベースとしながらも、日本ではあれも必要、これも必要と拡張を続けると、結果的にPeppolとはだいぶ異なるものにもなりかねません。しかし、そもそもの話として、ヨーロッパを中心に既にグローバルの30ヶ国以上でで活用が進んでいる仕組みだからこそ、Peppolをベースとして採用した訳です。安直な拡張は、国際標準との乖離を生むことになり、海外との取引での活用を困難にすると同時に、今後のPeppolの発展に追従することが困難になります。

一方で、日本標準仕様として策定しながら、それが実際に活用されなければ意味がありません。現状の日本の業務プロセスとかけ離れた仕様では活用されません。そのため、日本で広く活用されるために、日本において必要とされる最小限の拡張は行うこととしています。

一方では、安直な拡張は行わない。しかしその一方では、日本において必要とされる最小限の拡張は行う。これはなかなか微妙なバランスです。だからこそ、必要な時間はかけて何が本当に必要なのか議論を行い、単純に今ある業務プロセスを漫然とサポートするのではなく、デジタル化が進む中で業務プロセスがどのようにあるべきかを精査し、拡張は最小限にとどめる努力をしてきました。

結果的に、JP Peppolにおける請求書のデータモデル(データ項目の一覧)は、ベースとなったPeppolからわずか2項目の拡張にとどまっています。しかもこの2項目は、日本だけのための拡張ではなく、将来的に他の国でも活用しうる項目として拡張しています。つまり、日本標準仕様を国際標準仕様とほぼ同一のものにすることができた、ということです。まだ現時点ではドラフト第一版であり、まだまだ見直しが入る可能性はありますが、本当の意味で国際標準仕様に基づいた日本標準仕様を策定するという意味では、よい第一版にはできたのではないかと思います。

次回以降、少し時間をかけながら、どういった検討を行ったのか、結果的にどのような日本標準仕様になっているのかをお話ししたいと思います。
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2021年08月27日

ドラフト第一版

本日、電子インボイス推進協議会(EIPA)では、会員向けに電子インボイスの日本標準仕様のドラフト第一版を公開しました。これまでにもお話ししたように、電子インボイスの日本標準仕様としては、既に国際的に利用されているPeppolをベースとして検討を進めてきました。つまりPeppolの日本版(JP Peppol)ということになります。

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今日時点ではEIPA内での限定公開であり、まずは9月上旬にかけてEIPA会員によるレビューを行います。その後、9月中を目途にEIPAからデジタル庁に提示する予定です。広く一般に対する公開は、デジタル庁での検証を経て、デジタル庁から行われる予定です。

EIPAには既に100社以上が会員として参加していますが、活動としては標準仕様策定部会と広報部会という二つの部会を中心に進めています。6月に公開したEIPAのウェブサイトは広報部会の手によるものです。今回のJP Peppolドラフト第一版は標準仕様作成部会の中に設置されたコアチームでこの1月から検討を進めてきました。コアチームに参加しているのは、ミロク情報サービスPCASAPTKCワークスアプリケーションズ、そして弥生の6社です。やることは山積みですが、人数が多すぎても同期をとることが難しくなるため、あえて少数精鋭で進めてきました。

EIPA自体が会社のカベを超えて日本における電子インボイスの利用を促進するための組織ですが、標準仕様策定部会のコアチームはまさにその象徴として、6社(+アドバイザー+Peppol側のカウンターパート)が会社や組織のカベを超えて一緒に検討を進めてきました。正直最初はやるべきことの多さに圧倒され、本当に終わるのか不安でしたが、チームワークで着実に検討を進め、まずはドラフト第一版を公開するところまで漕ぎ着けることができました。コアチームの皆さま、本当にお疲れさまでした。

とはいえ、現時点ではまだドラフト第一版。この先来年春に向けてドラフト第二版、その後に正式版を予定しており、やるべきことはまだまだ残っています。これからEIPAに参加しようという方、その中でもコアチームで汗を流そうという方、是非お待ちしております。
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2021年08月25日

本当のDXとは

前回はデジタル化を進めていかなければならない、とお話ししました。デジタル化というとDX(デジタル・トランスフォーメーション)というキーワードを聞かない日はありません。率直に言って、最近はDXが完全に流行り言葉になっているように感じます。あっちでもこっちでもDX。ただ、世の中で喧伝されているDXは、ほとんどの場合、IT化を意味しているようです。「ウチのサービスを使えば、はい御社もDX」といった宣伝もよく目にしますよね。

ただ、私はDXはもっと本質的、かつ不可逆な変化をもたらすものだと考えています。私なりにDXを定義すると、「デジタルを前提として、〇〇〇のあり方を根底から再定義すること」となります。会社や事業のDXであれば、「〇〇〇」に「会社や事業」が入ります。社会的システム・デジタル化研究会で取り組んでいるのは、「デジタルを前提として、社会的システムのあり方を根底から再定義すること」です。

DXを考える時に、私が一番の好例として引き合いに出すのが、Amazon.comです。Amazonって何業でしょうか。小売業? IT業? 物流業? Amazonが1995年に創業した際には、オンラインの書店としてスタートしました。書店ですから小売業ですね。ですが、20年以上経った今、もはやAmazonを何業と定義することは難しいのではないでしょうか。

2002年にはAmazon Web Services (AWS)をスタートし、今やAWSは多くのITベンダーにとってなくてはならないものとなると同時に、この10年間の爆発的なベンチャーブームの立役者でもあります。AWSだけを見れば、小売業という痕跡は一切残っていません。また、最近のAmazonは巨大な物流業という側面も強くなっています。巨大な倉庫を何ヶ所も運営し、アメリカでは自社で多数の貨物飛行機を運行しています。日本でも、気がつけばヤマト運輸などの物流業者ではなく、自社で配送する割合も増えています。

小売業だったらどこに店舗を構えるかが最も重要、ITサービスを提供するためには自社でサーバーを構築しないと、物流業は全国をカバーするのが当たり前。そういった常識をデジタルで否定する。デジタルを前提として、小売業のあり方を、IT業のあり方を、物流業のあり方を再定義する。それこそがAmazonが猛烈な勢いで進めていることです。

そう考えると、Amazonが無人の店舗をAmazon Goとして運営したり、高級スーパーマーケットであるWhole Foods Marketを買収したりということも実は一貫性があることがわかります。直近でも百貨店のような小売店を出店すると報道されました。Amazonがオンライン書店からスタートしたからと言って、Amazonは別に全てがオンラインであるべきだとは考えていないのだと思います。オンラインでも実店舗でも、デジタルを前提としてそのあり方を見直しているだけ。オンラインでの再定義がある程度進んできた中で、今度は実店舗のあり方の再定義にも取り掛かっている(なおかつオンラインと実店舗の相乗効果も狙っている)と見るべきではないでしょうか。

単なるIT化やオンライン化ではない。Amazonが進めているのはデジタルを前提として、小売業、IT業、物流業…のあり方を根底から再定義すること。本当の意味でDXというからには、そこまで踏み込まなければならないのだと思います。
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2021年08月23日

デジタル化は一年にしてならず 2021

昨日私の地元である横浜市の市長選挙が行われました。私は週末は所用があったため、水曜日のワクチン接種のついでに期日前投票で投票を済ませておきました。今回の選挙の最大の争点は横浜市へのIR誘致の是非でしたが、IR誘致賛成としていた候補者(2名)の合計得票率が17.2%。これに対しIR誘致反対としていた候補者(6名)の合計得票率が82.8%という結果でした。IR誘致の是非という観点では明確に民意は示されたということかと思います(ただし前回より10%以上上がったとはいえ、投票率が49.05%にとどまるというのは残念なところです)。

横浜市の市長選挙はあくまでも地方選挙であり、横浜市の将来をどう考えるかかと思います。その点国政選挙とは明確に分けて考えるべきものです。ただ、なかなかそうは割り切れない部分はありますし、結果を見れば、やはり影響はあったのかと思います。ここから先、政治的にはかなり流動的に状況になるのでしょうか。

政治的に流動的な状況になるにしても、それによって歩みを止めたくないのはデジタル化です。奇しくもこの環境下で来週9/1(水)にデジタル庁が発足します。今こそデジタル庁を司令塔として日本のデジタル化に取り組まなければならない中で、政治の思惑に左右されないことを願っています。

約一年前に「デジタル化は一年にしてならず」という記事を書きました。「一年でできることをさっさとやることは構いませんが、紙の電子化で仕事をした気になるのではなく、5年、下手をすれば10年かかるかもしれない抜本的な見直しにこそしっかりと取り組むべきだ」とお話ししました。実際に約一年経ってどうか。正直何かが変わったと実感することはないですよね。デジタル庁そのものがまだ発足していないという事情はあるにせよ、一年という限られた時間で本質的な成果を出すことは容易ではありません。

ただ、この一年間、まだ具体的な成果には至っていませんが、社会的システム・デジタル化研究会として、また、電子インボイス推進協議会として、多くの方の支援を受け、日本の社会的な仕組みのデジタル化に向けて着実に前進することができました。この過程において、政治も行政も民間も様々な方とお話ししてきましたが、デジタル化に向けて問題意識がこれ程共通化されたことはいまだかつてなかったのではないかと思います。これだけ皆の問題意識がしっかり噛み合っている中で、ここで動くことができなければ、永遠に動くことができない。まさにNow or Neverだと感じています。

政治がどのように動くのにせよ、デジタル化の歩みを止めない。デジタル庁を司令塔として、5年、10年という時間軸で日本の社会をデジタルを前提として作り替え、圧倒的に効率的な(もちろん大事なのは、それによって皆が幸せになる)社会を実現していかなければならないと考えています。もちろん、社会的システム・デジタル化研究会としても、電子インボイス推進協議会としても、弥生としても、私個人としても、そのための協力は引き続き惜しまないつもりです。
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2021年07月16日

CSAJからSAJへ

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私が理事を務めているコンピュータソフトウェア協会(CSAJ)はこの7月よりソフトウェア協会(SAJ)へと名称を変更しました。「第四次産業革命ではあらゆるモノにソフトウェアが使われる時代になり、デジタル化によってソフトウェアの重要性がますます増してきています。第三次産業革命で使われていたコンピュータという名称に限らず、すべてのソフトウェアを対象とし、デジタル社会を推進するという意味を込め、ソフトウェア協会とすることとしました」というのが名称変更の背景です。ソフトウェアはもともとはハードウェアのおまけとして扱われてきたという歴史がありますが、近年はむしろソフトウェアが主役になりつつあります。私的に咀嚼すれば、今回の名称変更は、ソフトウェアが、コンピュータというハードウェアから真に独立し、むしろ主役になるという象徴的な意味があるのだと思います(一方で、ソフトウェアとハードウェアはお互いに必要としあう関係であることには変わりはありませんが)。

名称変更にあわせ、ウェブサイトは"saj.or.jp"ドメインに変更となっています。ちなみにSAJと言えば個人的には全日本スキー連盟を思い浮かべます(もっとも私はSIA派でした)。よくドメイン名が空いていたなと思いますが、全日本スキー連盟は"ski-japan.or.jp"なんですね。なるほど。ただ、大正14年に結成されたという歴史のある団体だけに、"SAJ"と検索すると全日本スキー連盟の存在が圧倒的です。新生ソフトウェア協会はSEOという意味では苦労しそうです(笑)。

私がSAJ(CSAJ)の理事に就任して約3年が経ちます。理事としてどこまで貢献できているかは正直疑問です(空気を読まない発言も度々ですし…、ただそれも一種の貢献でしょうか)が、お蔭さまで視野は広がったと思います。ここ一年半ほどは、社会的システム・デジタル化研究会(BD研究会)電子インボイス推進協議会(EIPA)での活動に力を入れていますが、これらの活動はSAJで得られた経営者同士の信頼関係があってこそ成り立ったものです。

今後もBD研究会やEIPAの活動はもちろん、SAJの「(あえて)空気を読まない」理事としての活動もしっかりと継続していきたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 21:25 | TrackBack(0) | デジタル化

2021年07月08日

EIPAの広報活動(続きの続き)

EIPAデーとなった先週の木曜日、まずは午前中に平井大臣を訪問し、経過報告を行ったとお話ししました。終了後は、横浜に移動。私は横浜在住なので、帰宅して在宅勤務と思いきや、今回はみなとみらいで開催されていたODEX TELEXでの登壇のための移動です。とはいえ、実際には一旦帰宅して時間調整。午後3時前からみなとみらいのパシフィコ横浜で登壇ということで、午後2時に家を出て移動。

パシフィコ横浜は家の近所で、普段ランニングでもすぐ近くを走るのですが、イベントの登壇で入るのは初めて。まだ新型コロナウイルス禍の影響は顕著であり、なおかつ当日は結構な雨ということで集客状況を心配していたのですが、状況を考えればまずまずの入り。私の講演にも多くの方に参加いただくことができました。地元の知り合いが見に来ているということはないのですが、それでも地元での講演ということで、少々誇らしい気持ちでした。

この横浜での講演の様子は、ODEX TELEXのオンライン展示会ということで、7/12(月)から7/16(金)の期間、特設サイトで見ていただくことができるようです。電子インボイスって何?という方にこそ是非ご覧いただければと思います。

ちなみにこの展示会、来年は東京での開催のようです。今年はオリンピックで東京の会場を使えないので、ということなのでしょうね。個人的には横浜の方が嬉しいのですが(笑)。

30分の講演を終えて、自宅にとんぼ返り。午後4時からはEIPA標準仕様策定部会のコアチームの定例です。近所ですから、充分間に合いました。コアチームはMJS/PCA/SAP/TKC/弥生の有志(+アドバイザー)で構成されていますが、当初からZoom上でのやり取りです。従来型の対面での打合せであれば、移動も必要となりこれだけの会社のメンバーのスケジュールを合わせるのは大変だったと思いますが、Zoomであれば会社を超えた共同作業もスムーズです。私自身、オフィスからでも家からでも、それこそ出張先からでも都合のいい形で参加できています(実際、この一週間前の大阪での登壇の際には、淀屋橋の大阪カスタマーセンターに移動し、そこでコアチーム定例に参加、その後帰路につきました)。

ちなみに、コアチームの中には、コア of コア(CoC)チームが存在し、CoCチームは週に1〜2回のペースで協議を行っています。木曜日夕方のコアチーム定例は、CoCチームの成果を確認すると同時に、今後の進め方のすり合わせが中心となっています。さらにこれらとは別に、二週間に一度はPeppolの国際管理団体であるOpenPeppolのメンバーと協議を行っています。こうやって改めて振り返ると、結構な密度で検討・協議を行っています。インボイス制度が導入されるのは2023年10月。まだ2年以上あるとは言え、2023年10月の時点で電子インボイスが当たり前のように使える環境を作るとなると、時間は足りません。正直かなりの負荷はかかっていますが、ここが頑張りどころだと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 21:48 | TrackBack(0) | デジタル化

2021年07月06日

EIPAの広報活動(続き)

前々回は、電子インボイス推進協議会(EIPA)の広報活動に力を入れ始めたこと、そして前回は、電子インボイス推進協議会(EIPA)の広報活動の一環として、EIPAのウェブサイトを立ち上げたということをお話ししました。

先々週に引き続き、先週もEIPAの広報活動を行いました。特に先週の木曜日はEIPA関連の活動が続くEIPAデーとなりました(もちろん、常時EIPAの仕事をしている訳ではなく、たまたま一日に集中したということです)。

まずは午前中にEIPAとして平井卓也デジタル改革担当大臣を訪問しました。昨年12月にも、電子インボイス推進協議会(EIPA)で、平井大臣を訪問し、電子インボイスの日本標準仕様について、Peppol(ペポル)と呼ばれる国際規格をベースとして策定すべき、そして電子インボイスの普及を官民連携で進めるべきという提言を行いました。これを受けてこの1月より、内閣官房およびPeppolの管理団体であるOpenPeppolと協働で日本標準仕様の策定作業を進めており、その経過報告をさせていただきました。

今回は経過報告ということで、全てがこのように整理できました、というものにはまだなっていません。ただ、何をすべきか、何が課題なのかについては概ね整理ができました(資料については、EIPAのウェブサイトで公開しています)。

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平井大臣からは、民間団体であるEIPAの取組みに感謝の意を表していただくと同時に、政府としても、9月に立ち上がるデジタル庁がしっかり取り組んでいくとご発言いただきました。電子インボイスを日本の事業者が当たり前のように使うようになるには、民間だけでも、逆に行政だけでも力不足です。民間主導で電子インボイスによる業務効率化を実現していく、それを行政としてしっかり後押ししていく、つまり、民間と行政の両輪で牽引しなければなりません。

平井大臣訪問後は横浜に移動。私は横浜在住なので、帰宅して在宅勤務と思いきや、今回はみなとみらいで開催されていたODEX TELEXでの登壇のための移動です。(続きが続く)
posted by 岡本浩一郎 at 23:24 | TrackBack(0) | デジタル化

2021年07月02日

これもEIPAの広報活動

前回は、そろそろ電子インボイスの広報活動に力を入れていかないといけませんと書きました。EIPAの広報活動という意味では、実は先月半ばにEIPAのウェブサイトを公開しています。これまでは事務局業務を委託しているSAJ(ソフトウェア協会)のウェブサイトに間借りしていたのですが、内容はかなり限定的でした。

ということで、独自のドメイン(eipa.jp)を取得し、ウェブサイト(https://www.eipa.jp/)を立ち上げようということで、春から準備を進めてきました。EIPAの会員は100社を超えており、おそらく会員それぞれはウェブサイト構築に軽く何千万円というお金をかけているものと思います。ただEIPAとしては、収益活動は行っていませんので、潤沢に資金があるとは言えません。活動資金として会員から年間12万円の会費をいただいてはいるのですが、今後活動が広がっていくことを考えると、ウェブサイトに多大なお金をかけることはできません。

最小限のお金で何とか、ということで、幹事法人であるTKCさんの関係会社であるアイ・モバイルさんのホームページ制作・運営サービスを特別価格(!?)で提供いただきました。実際のページ制作にあたっては、インフォマートさんなど、広報部会のメンバーに手弁当でご協力いただき、今回晴れて公開となりました。ビジネス上はぶつかることもある複数の会社が集まって一つの目的のために協力するというのは、このような活動の醍醐味ですね。弥生としてもとても刺激になっています。

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ウェブサイトのコンテンツは、現段階では必要最小限というところです。トップページにあるNEWSというコーナーは、電子インボイスに関連する掲載記事や政府動向などの情報を掲載していますので、電子インボイスを取り巻く直近の環境を理解いただけるのではないかと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 22:08 | TrackBack(0) | デジタル化

2021年06月30日

EIPAの広報活動

昨年12月には、電子インボイス推進協議会(EIPA)で、平井大臣を訪問し、電子インボイスの日本標準仕様のベースとしてPeppol(ペポル)と呼ばれる国際規格をベースとすべきという提言を行いました。そしてその後今年に入ってから、実際に日本標準仕様の策定を進めてきました。日本標準仕様が固まるまでにはまだまだ先は長いのですが、ある程度進捗してきたこと、また、今年の10月にはインボイスの発行事業者としての登録が始まることから、そろそろ電子インボイスの広報活動に力を入れていかないといけません。

やらないといけない、と思いつつ、なかなか動けていなかったのですが、この二週間は立て続けにイベントでお話しすることになりました。

先週火曜日には、「日本の経理をもっと自由に」プロジェクトの「日本の経理をもっと自由にサミット 2021」で、電子インボイスとEIPAの活動について簡単にお話しさせていただくと同時に、パネルディスカッションにも参加させていただきました。

また先週木曜日には、ODEX TELEX(第1回 電子化・オンライン化 支援EXPO)の大阪会場で、やはり電子インボイスとEIPAの活動についてお話しさせていただきました(こちらは30分)。コロナ禍ということで、来場者は本来集まったであろう人数よりはやや少ないのかな、と感じましたが、それでもこういった展示会の活気は久し振りに味わうもの。

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この種の展示会で講演するのも久しぶりです。展示会会場での講演は周囲のノイズが大きいので、やや話しにくい(自分の声がどれだけ聞こえているのかがわかりにくい)のですが、ああ、そういえば、こんな感じだったんだな、と少し懐かしさも感じました。

ODEX TELEXについては、実は明日の横浜会場でも登壇することになっています(セッションYT-12、14:45〜15:15)。明日は結構な雨のようなので、どれぐらいの方がご来場されるのか、心配ではあります。ただ、今回のコンテンツは7/12(月)〜7/16(金)の期間でオンライン展示会特設サイトとして公開されるようなので、後日オンラインで見ていただく、というのでもいいかもしれませんね。

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ODEX TELEXの大阪会場は南港のインテックス大阪。そうです、弥生の大阪カスタマーセンターは、2015年に現在の場所(淀屋橋)に移転する前は、インテックス大阪に隣接するワールドトレードセンターにありました。もう6年になるんですね、懐かしい。
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2021年06月14日

シャウプ氏の遺言

6月頭に6社共同で発表した「デジタル化による年末調整の新しいあり方に向けた提言」は、年末調整制度という「昭和の仕組み」を、デジタルを前提として業務プロセスの根底から見直すデジタル化によって、業務そのものをシンプルにし、社会的コストの最小化を図ろうという提言です。前回は、そのための一つの方策として、年末調整を年始に実施することを提言しているとお話ししました。年末調整で所得金額の見積りが必要とされるのは、所得金額が確定していない年内に年末調整手続きを行うから。それであれば、年末調整手続きを年明けに実施することによって、所得金額が確定した状態とし、所得金額の見積りを不要としようというのが、業務の見直しをともなうデジタル化の発想です。

業務の見直しという観点では、実はもっと大胆な提言も行っています。それは、年末調整の計算(年税額および過不足額の計算)の主体を見直すというもの。現在、年税額および過不足額の計算は基本的に年末に事業者が行っていますが、これを年始にするだけではなく、行政(国税庁)が設置・運用するシステムにおいて一元的に計算する方式も選択肢になりうると考えています。これによって、事業者の負担を大幅に低減することが可能になります。

実は、年末調整業務の主体を事業者から行政に移管することを70年以上前に提言した方がいました。その名はカール・シャウプ氏。そうです、あのシャウプ勧告のシャウプ氏です。シャウプ勧告は、GHQの要請によって1949年に結成された、シャウプ氏を団長とする日本税制使節団(シャウプ使節団)による日本の租税に関する報告書であり、その後の日本の税制に多大な影響を与えました。いわば日本の戦後税制のバイブルとも言えるものです。

実はこのシャウプ勧告(Appendix D C.2.b.(5))では、事業者による年末調整業務は、税務当局による対応が困難であるための措置と位置付けられており、税務当局が対応できるようになり次第、年末調整業務は税務当局に移管すべきとされている(“The process should be shifted, however, to the Tax Offices as soon as such a shift is possible.”)のです。

私も最初にこの事実を知った時にはとても驚きました。私が年末調整に大きな問題意識を感じていることは本ブログでしばしばお話ししてきましたが、その問題点を70年前に指摘した方がいたとは。

シャウプ勧告は日本の戦後税制のバイブルになりましたが、年末調整業務に関しては、勧告が実践されることはありませんでした。シャウプ氏は2000年に亡くなられたのですが、年末調整業務に関する勧告は、いわば遺言として残ったままになっている訳です。年末調整業務は事業者にとって、年末という一般的に業務繁忙とされる時期に、多大な時間を要する負荷の大きい業務です。ただ、それだけに、業務を見直さずに単純に行政に移管するのは物理的に不可能でした。

しかし、それは業務を見直さなければの話。これまでは紙を前提としていたからこそ、従業員から紙で情報を収集することは事業者でなければ難しかった。では、デジタルを前提として見直したらどうでしょうか。年末調整に必要な情報は全てデジタルで収集される。後は、それらの情報を元に一定のロジックで計算をするだけだったら。そうです、それはもう純粋にコンピューターに任せればいいだけの話です。税務署の職員が事業者の代わりに計算するのではなく、あくまでも行政のシステムが一元的に処理ということであれば、不可能が可能になるはずです。

今回の提言はかなり野心的なものです。その実現は一筋縄では行かないと思っていますし、少なくともそれなりの時間はかかるでしょう。しかし、この提言が実現した暁には、事業者の負担を大幅に低減すると同時に、70年前の遺言がついに実現することになるのです。
posted by 岡本浩一郎 at 21:30 | TrackBack(0) | デジタル化