2022年11月30日

新しいクラウドプラットフォーム

前回は、先日リリースしたやよいの給与明細 オンラインについて、大幅リニューアルと表現しているものの、実態としては、ゼロから開発した全く新しいアプリケーションであるととお話ししました。さらっとお話ししましたが、実はこれは弥生としては非常に大きなターニングポイントです。

というのも、アプリケーションとしてゼロから開発したというだけではなく、実はプラットフォームが全く新しいものになっているから。単純にコードを書きなおしたというレベルではなく、全てを作り直しているということです。デスクトップアプリケーションであれば、これまでWindowsのアプリとして開発してきたものを、今回からMacintoshのアプリとしてゼロから開発した、というぐらい大きな変化です。

実際には、やよいの給与明細 オンラインはクラウドアプリケーションですから、WindowsでもMacintoshでも動きます。この場合変わったのは、クラウドのプラットフォーム。一般のお客さまからは全く見えない部分ではありますが、クラウドのプラットフォームが変われば、アーキテクチャーからデータベースからほぼ全てが変わりますから、全く新しい取組みとなります。もちろん技術的に汎用性がある部分も多いので、ゼロからの学習にはなりませんが、新たに学ばなければいけないことも多く、とてもチャレンジングな取組みです。

チャレンジングである一方で、最新の技術を取り入れることが可能になるため、これまでのクラウドアプリケーションとは一線を画した使い勝手を実現できます。実はこの春に提供を開始した証憑管理サービス(ベータ版、今後「スマート証憑管理」として正式版となる予定)が新プラットフォーム上のデビュー作でした。ただ、証憑管理サービス(ベータ版)はそれ単体での利用は想定されていませんし、なおかつベータ版です。単体で利用するアプリケーションの正式版としては、今回のやよいの給与明細 オンラインがデビュー作となります。

弥生として新プラットフォームを採用することを正式に決定したのは実はもう約2年近く前のこと。以降、水面下でコツコツと開発を進めてきましたが、こうして無事にリリースすることができました。まだまだ完成形とは言えず、今後も磨きこみは必要ですが、弥生の将来につながる大きな一歩だと考えています。
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2022年11月28日

やよいの給与明細 オンラインリニューアル

11/17に弥生はクラウドアプリケーション、「やよいの給与明細 オンライン」をリニューアルし、提供を開始しました

やよいの給与明細 オンラインは、弥生が提供するクラウドアプリケーション、弥生オンラインのラインアップの一つです。従業員30名程度までの事業者に最適な、給与明細をかんたん、気軽に作成することのできる給与計算アプリケーションとして2017年1月にリリースしました。

今回のリリースは、大幅リニューアルと表現していますが、実態としては、ゼロから開発した全く新しいアプリケーションです。リニューアル版のやよいの給与明細 オンラインは、従来版のやよいの給与明細 オンラインの全機能を引き継いでいますが、それだけではありません。今回のリニューアルに際して強化を図ったのは、事業者と従業員とがデジタルでつながる機能。わかりやすいところでは、給与計算を行い、給与明細を作成したら、その給与明細をデジタルデータとして従業員に配信することができるようになりました。また、当面はパートナー向けの限定提供となりますが、年末調整に必要な情報を従業員からデジタルで収集することも可能です。

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つまり従業員からデジタルで情報を収集することもできると同時に、従業員にデジタルで情報を提供することもできる。デジタルで従業員とつながることによって、利便性を高めるだけでなく、業務の効率化を実現します。

前回、業務の抜本的な効率化を実現するためには、業務のあり方そのものを変えていく必要があるとお話ししました。そのために進めるべきなのが、Born Digital、最初からデジタル。情報は発生源でデジタル化し、以降は一貫してデジタルのまま処理する。今回のやよいの給与明細 オンラインで、事業者が従業員とデジタルでつながる機能を提供するのも、この取組みの一環です。
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2022年11月24日

事業概況説明会

10/28に開催したデジタルインボイス推進協議会(EIPA)による発表会について熱くお話ししてきましたが、その翌週にはこれはこれで大事な発表会がありました。それは弥生のメディア向けの事業概況説明会。弥生自身に関する発表会なので、これはこれで大事と言っていてはいけませんね(苦笑)。しかし、10月からPAPカンファレンスやら、外部イベントやら、EIPAイベントやらの準備で結構てんてこまいで、事業概況説明会の資料が完成したのは説明会の前日、ちゃんとしたリハーサルも前日一回のみ。結果的にはしっかりとした説明はできたとは思いますが、次回以降はもう少し余裕のある準備を心がけたいところです。

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さて、この事業概況説明会、かつてはデスクトップアプリケーション「弥生 XX シリーズ」(最新は10/21に一斉発売となった弥生 23 シリーズ)の新製品発表会として開催していたものです。昔は、新シリーズの発売開始は一年に一度の大イベントでした。もちろん今でも重要なイベントではありますが、今ではクラウドサービスの比重も大きくなっていますし、起業・開業ナビ資金調達ナビ事業承継ナビなど、弥生が提供する価値の幅も広がっている中で、一年に一度の大イベントというよりは、一年に何回もある大イベントの一つというところです。そういった中で、新製品にフォーカスするのではなく、弥生の活動の全容をお伝えすると同時に、その背景にある弥生の想いであり、方向性をお伝えする場として事業概況説明会という形で開催するようになっています。

今回の事業概況説明会での一番のトピックは時節柄やはりインボイス制度対応です。弥生シリーズでどのようにインボイス制度(+改正電帳法)に対応するか。これは本ブログでもまた改めてお話ししたいのですが、弥生がこの冬に提供する「スマート証憑管理」というサービスがこの役割を担います。これは既に提供している証憑管理サービス(ベータ版)を進化させ、正式なサービスとして提供するものです。

もっとも、今回の説明会では、このスマート証憑管理についてご説明するだけではなく、その背景にある弥生の想いであり、方向性についてもしっかりとお伝えしました。

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弥生の取組みには大きく二つの領域が存在します。一つは業務支援サービス。お客さまの業務を成立させ、効率化するお手伝いをしています。いわゆる業務ソフトである「弥生シリーズ」は業務支援サービスに位置付けられますし、今回の一番のトピックであるスマート証憑管理もこの領域に属します。もう一つの取組み領域は事業支援サービス。業務にとどまらず、事業者の事業の立上げと発展の過程で生まれる様々な事業上の課題の解決を支援するサービスです。例えば、直近で立ち上げた事業承継ナビはこの領域に属します。

業務支援サービスにおいて弥生がこだわっているのは、単なる法令改正対応に終わらないということ。もちろんお客さまが法令改正に対応でき業務を継続できるということは弥生として最低限達成しなければいけないことです。しかし、お客さまが法令改正は何とか対応できたけれども、業務としては複雑化した、大変になった、では弥生として十分な価値を提供できていないと考えています。法令改正対応は当たり前であり、より重要なのは、いかに業務を効率化するか。そのためにスマート証憑管理ではAI-OCR(AIを活用した文字認識の仕組み)を活用し、手入力を最小化できるようになっています。さらに抜本的な効率化を実現するためには、業務のあり方そのものを変えていく必要があります。そのために進めるべきなのが、Born Digital。最初からデジタルという考え方であり、弥生がデジタルインボイス推進協議会を通じて普及を図っているデジタルインボイスもこの取組みの一環です。

一方で弥生が事業支援サービスに取り組む原動力になっているのは、事業者であるお客さまにとって大事なのは業務ではなく、事業そのものであるということ。お客さまがやりたいことは事業を通じてお客さまのお客さまに価値を提供すること。その過程で生まれるのが業務。つまり業務は手段であり、目的は事業です。その観点から、弥生は業務のお手伝いをして満足するのではなく、お客さまの事業そのもののお手伝いをしたいと思っています。事業の立上げを支援する起業・開業ナビから、事業のバトンを渡す支援をする事業承継ナビまで、弥生が過去2年間、事業を支援するサービスを急速に立ち上げている背景にはこういった想いがあります。

色々と本ブログで取り上げたいトピックが多いのですが、今回の事業概況説明会でお伝えした弥生の想いであり方向性について、今後もう少し深掘りしてお話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 19:56 | TrackBack(0) | 弥生

2022年11月02日

前半戦終了 2022秋

先月10/20から会計事務所向けのカンファレンス、弥生PAPカンファレンス 2022 秋を開催しています。10月中は、仙台、札幌、名古屋の3会場とオンラインでの開催が1回。全体では7会場、オンライン開催3回なので、40%終了ということになります。

今回のカンファレンスのテーマはやはりインボイス制度。昨年秋も、今年の春もインボイス制度について取り上げてきていますので、さすがにやり過ぎのようにも思えますね。しかし実際には制度開始まで一年を切り、会計事務所の関心はより高まっており、なおかつ、その関心はより具体的な点にまで広がってきていると感じています。

今回のカンファレンスで弥生が目指しているのは、インボイス制度において、インボイスの受領から記帳まで、どのようなオペレーションとなるのか、具体的な感触を持っていただくこと。このため、カンファレンスのプレゼンにおいても、かなりの時間をかけて実際のオペレーションのデモを行っています。これまでのところこの狙いはズバリ的中しています。インボイス制度に向けて非常に不安に感じていたが、今回のカンファレンスで、何をどのようにすればいいのか理解できた。これであれば業務が成立するという感覚が得られた。こういったフィードバックをいただくことができています。

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今回とても特徴的なのは、休憩時間中やプレゼン終了後に実機でのデモコーナーに人だかりができること。実機でのデモコーナーはいつもご用意しているのですが、ここまで関心が高いのはこれまでにはないことです。プレゼンでデモも行っているわけですが、実機でもより細かいところを実際に見てみたい、質問もしたいという方が多いように感じています。どこから手をつけていいのかわからない、具体的に何をどうすればいいのかわからない、という状態から、具体的になイメージが描けるようになったということですから、大きな前進だと思います。

弥生PAPカンファレンスの後半戦は、来週月曜日の大阪会場からスタートです。既に大阪・東京海上については受付を終了していますが、オンライン開催(11/15 & 11/24)についてはまだお申込みが可能です。インボイス制度に向けて漠然とした不安を抱いている会計事務所の皆さん、是非ご参加ください。インボイス制度に向けて、何をどうすべきか、視界がすっきりクリアになることをお約束します。
posted by 岡本浩一郎 at 19:15 | TrackBack(0) | 弥生

2022年10月28日

平野さん、ようこそ弥生へ

前回お話しした通り、この10月から新年度(FY23)ということで、10/14(金)に社員総会を開催しました。私はビジネスセッションのトップバッターとして全社の経営概況の報告を行いましたが、ラストでのラップアップも行いました。

トップバッターとしての経営概況報告、そしてラストバッターとしてのラップアップ、それぞれで一つずつのサプライズ発表を行いました。経営概況報告でのサプライズ発表は、既にプレスリリースも行っていますが、平野 拓也さんの社外取締役就任。

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ご存じの方も多いと思いますが、平野さんと言えば、元 日本マイクロソフト株式会社 代表取締役社長。私も平野さんがマイクロソフトの社長時代に色々とお世話になりました。2017年には日本マイクロソフトのパートナー表彰制度、Microsoft Japan Partner of the Year 2017において、「Application Development アワード」を受賞し、一緒に記念撮影したこともいい思い出です。その後2019年に日本マイクロソフトの代表取締役社長を退任され、その後は米国Microsoftで活躍されていらっしゃいましたが、この秋に米国Microsoftも退任され、新しい一歩を踏み出すタイミングにご縁をいただき、この10月から弥生株式会社の社外取締役に就任いただくことになりました。

実は今日、平野さんが社外取締役に就任されてから初の弥生株式会社の取締役会を開催したのですが、世界を代表するIT企業の日本トップを経験した方ならでの視点で様々なアドバイスをいただくことができました。弥生の社外取締役としては、2020年に太田さんと林さんに就任いただき、お二人には今年株主が変わった以降も引き続き社外取締役を務めていただいています(ですので、今回の平野さんの就任で、株主以外の純粋な社外取締役としては合計3名ということになります)。

社外取締役に入っていただくことのメリットの一つは、取締役会の議論が圧倒的に深まるということです。太田さんも、林さんも、平野さんもそれぞれの経験と知見に基づいた鋭い発言で、社内取締役としても、取締役会に挑む真剣さが格段に変わりました。株主であるKKRの取締役も含め、本当に真剣な議論の場になっています。予定調和ではない分、着地点を見出すのは難しいところ(笑)ですが、そこは取締役会議長である私の腕の見せ所です。

ちなみにもう一つのサプライズは? それは秘密です(笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 23:59 | TrackBack(0) | 弥生

2022年10月26日

社員総会 2022

弥生はこの10月から新年度(FY23)ということで、10/14(金)に社員総会を開催しました。弥生では例年新年度早々に社員総会を開催しており、例年はホテルの宴会場で、午後一杯はビジネスセッション、夜はビアバストを開催します。しかし、新型コロナウイルス禍の中で、2019年を最後にリアル会場では開催できていません。2020年からはビジネスセッション/ビアバストという構成は同じでも、Zoomでの開催となっています。

今年も残念ながらZoomでの開催。もっとも、少なくともビジネスセッションに関してはZoomの方がいいと感じる部分もあります。プレゼンターからすると皆の反応が見えないので、やりにくい部分はありますが、聞く立場からすると資料も見やすく、聞きやすいのではないかと思います。今後開催方法に制約がなくなったとしても、完全に従来のやり方に戻るというよりは、しっかり情報を共有するセッションと、皆で交流する/懇親を図るというセッションで開催方法は変わってくるのではないかと思います。

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ビジネスセッションはまずは私の経営概況報告から始まります。まず前年度(FY22)の振り返りをすると同時に、新年度(FY23)、さらにその先中期的に弥生として何を目指すのかを私からしっかりお話しします。本当は2時間でも3時間でも、話したいことは山ほどあるのですが、ぐっと我慢して(情報も取捨選択して)30分で一通りお話しします。もちろん私からの30分だけでは語りつくせないので、私のパートの後に、これから弥生として具体的に何をしていくのか、各本部からのプレゼンがあります。

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この他、社内表彰制度である「弥生賞」の発表もありますし、ビジネスセッションの後半では「中から見た弥生」と「外から見た弥生」という2つの切り口でパネルディスカッションを行いました。かなり盛り沢山な5時間半になりましたが、弥生の現状と今後をしっかりと共有することのできる有意義な場になったと思います。その後の参加者アンケート結果でも(改善点はあれども)まずまずな評価でした。

その後はビアバスト。こちらは今後できればリアルで開催できればとは思いますが、オンライン開催はオンラインならではで色々と工夫された企画があり、大いに楽しむことができました。自宅から参加している方がほとんどなので、このパートは家族でも楽しむことができるというのはオンラインならではですね。実行委員の皆さま、お疲れ様でした & 有難うございました!
posted by 岡本浩一郎 at 18:38 | TrackBack(0) | 弥生

2022年10月21日

弥生 23 シリーズ一斉発売

本日、10/21(金)に弥生は、デスクトップアプリケーションの最新バージョン、弥生 23 シリーズを一斉発売しました。保守サポートご加入のお客さまやパートナー会計事務所向けには既に少し前から提供を開始していますが、家電量販店やネットショップ等では本日から発売開始となります。

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かつては、新シリーズの発売開始は一年に一度の大イベントでした。もちろん今でも重要なイベントではありますが、今ではクラウドサービスの比重も大きくなっていますし、起業・開業ナビ資金調達ナビ事業承継ナビなど、弥生が提供する価値の幅も広がっている中で、一年に一度の大イベントというよりは、一年に何回もある大イベントの一つというところです。

一方で、今回の弥生 23 シリーズは例年以上に非常に大きな役割を担っています。というのは、来年10月のインボイス制度開始を前に、事業者の皆さまのインボイス制度対応を支えていくのがこの弥生 23 シリーズだからです。デスクトップアプリケーションでも今や一年に一度のみのバージョンアップということはなく、必要なタイミングでオンラインアップデートを提供しており、インボイス制度対応の主要な機能は来年の春のオンラインアップデートでの提供を予定しています。ただ、そのベースになるのが今回の弥生 23 シリーズ。日本全国津々浦々の事業者の方がしっかりとインボイス対応できるよう、この弥生 23 シリーズを一人でも多くの事業者の方にお届けしたいと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 21:59 | TrackBack(0) | 弥生

2022年10月12日

帳簿付けの価値

前回お話しした事業所得か雑所得かの判断基準に関するパブコメの結果ですが、個人的にはかなりの驚きでした。もともと多くの意見が寄せられており、また大半が改正反対の趣旨の内容であったという報道から、ある程度の見直しはされるものとは思っていましたが、ここまで大幅な見直しになるとは思っていませんでした。

しかし、実のところ、今回の見直しに通じる提言を本ブログで行っていました。既にパブコメの募集自体は締め切った後ですが、9/2の本ブログで「雑所得にも特別控除?」というタイトルで、ちょっとした提言を行いました。以下、引用です。

副業を推進しようという動きもある中で、収入金額が 300 万円を超えない場合(かつ有効な反証がない場合)に税金上のメリットがない雑所得になることに対する反対の声もあるようです(というか報道によれば、そういった声が大きいのかと思われます)が、それであれば、雑所得にも一定の税制上の優遇措置を設けるという方向もありえるのではないでしょうか。事業所得でなおかつ青色申告の場合、1) 青色申告特別控除、2) 損失の繰越、3) 損失の他の所得との通算というメリットがありますが、例えば、雑所得についても一定の条件の下で特別控除を認める(逆に3)は認めない)という考え方もあるのではないかと思います。

以前お話ししましたが、業務に係る雑所得について、今年(2022年分、令和4年分)分の所得税(=来年の確定申告)から求められることが格段に増えています。まず業務に係わる収入が300万円を超えた場合には、領収書等の保存が義務化されます(ただし、逆に言えば、300万以下であれば領収書の保存すら求められないわけですから、雑所得と、帳簿の作成と証憑の保存が求められる事業所得とは大きく性格が異なることがわかるかと思います)。また、業務に係わる収入が1,000万円を超えた場合には、確定申告書とともに収支内訳書を作成し、提出することが義務付けられます。

上記も踏まえ、収入に関わらず、業務に係わる雑所得について、収支内訳書を作成し提出した場合には、特別控除として一定額の控除を認めるというのはどうでしょうか。収支内訳書は、もともと事業所得の白色申告の際に作成するものです。事業所得の白色申告について、2014年分から帳簿付けが義務化されていますが、これと足並みをそろえ、事業所得の白色申告および業務に係わる雑所得ともに、帳簿付けをして収支内訳書を提出すれば特別控除が認められるとなれば、やる気もおきるのではないでしょうか。

この内容自体は、あくまでも雑所得に関する提言で、雑所得にも一定の特別控除を認めたらどうか、というものです。これは今回の見直しとは異なりますが、注目いただきたいのは、この際に想定していた条件です。そう「帳簿付けをして収支内訳書を提出すれば」としています。要は白色申告と同様な条件で、雑所得に特別控除をという提言だったわけですが、今回の見直しでは、これが雑所得ではなく、事業所得として認められ得る条件として明らかにされた訳です。私の提言が今回の見直しに何ら反映されている訳では(当然)ないのですが、帳簿付けの価値を認めているという意味では、通じる部分があるのではないかと思います。

私の提言では、最後に「立場的に我田引水と見えるかもしれませんが(笑)、正しく帳簿を付けて正しく申告する人がトクをする仕組みのお手伝いをしたいと思っています。」と書きました。正直、今回の見直しは我田引水というよりは、漁夫の利です。帳簿付けの価値が示された訳ですから。

ただ、漁夫の利と書きましたが、弥生の存在価値が示されたという意味での「利」はありますが、実際問題として、(少なくとも直接的には)「利」はありません。なぜならば、やよいの白色申告 オンラインのフリープランであれば、ずっと無料だからです。少々宣伝になりますが(笑)、やよいの白色申告 オンラインであれば、帳簿付けから確定申告まで全ての機能がずっと無料で使えます(実際にやよいの白色申告 オンラインをご利用の方のほとんどはフリープランを選ばれています)。

やよいの白色申告 オンラインは、もともと2014年1月に白色申告でも帳簿付けが義務化されるのにあわせ提供を開始しました。新たに多くの方が帳簿付けをしなければならない中で、その受け皿を提供したいという想いから生まれたサービスです。今回の見直しを受け、晴れて事業所得として認められるために、やっぱりちゃんと帳簿付けをしなければという方も増えるのではないかと思いますが(注)、やよいの白色申告 オンラインで、しっかり支えたいと思います。

弥生にとっての本当の漁夫の利という意味では、その先は、できれば事業規模を着実に伸ばしつつ、青色申告にチャレンジしていただければと願いつつ(笑)。

(注) ただし前回お話ししたように、「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかにより判定する」という原則は変わりませんから、帳簿を作成し、保存していれば事業所得になり得ますが、だからといって必ず事業所得と認められるわけではありませんので注意が必要です。
posted by 岡本浩一郎 at 21:33 | TrackBack(0) | 弥生

2022年10月07日

パブコメ結果

事業所得か雑所得かの判断基準について、国税庁より通達の一部改正の形で新しい基準(案)が示され、8月末を期限にパブコメが募集されていましたが、その結果が本日公表されました

パブコメで寄せられた意見を受け、結論としては大幅な見直しとなりました。率直に言って驚くほどの大幅な見直しです。8月下旬に4,000件以上の意見が寄せられているという報道がありましたが、最終的に7,059件の意見が寄せられたとのこと。本ブログでお話しした通り、私としては、改正案に一定の懸念はあり、明確にすべき点は存在するが、全体としては賛成でした。弥生としてもそういった趣旨の意見は提出しています。7,059件が個別にどのような内容だったのかはわかりませんが、報道から察するに、また、結果的に大幅な見直しになったことを踏まえると、否定的な意見が相当多かったということなのかと思います。

どのように見直しになったのか、ですが、もともとの改正案は、事業所得か雑所得かの判断において、1) 主たる所得か、主たる所得でないか、また、2) 収入が300万円超か、300万円以下かという二つの判断ポイントがありました。今回公表された改正では、この二つのポイントは両方ともなくなり、新たに、帳簿が作成され保存されているかという判断ポイントに変わりました。これは、「所得税法上、事業所得者には、帳簿書類の保存が義務づけられている点」を鑑みたものだそうです。

結果的に、副業であっても、あるいは収入が300万円以下であっても、帳簿を作成し、保存していれば、事業所得と認められ得るということになります。もともとの改正案に対する私の懸念としては、事業立ち上げ期につき結果的に(収入が少ない)副業に見えてしまう場合や、新型コロナウイルス禍など外的な要因により一過性で収入が300万円以下となった場合などに、本来は事業所得として扱うべきものが、雑所得になりかねないというものでした。それが今回の改正では、帳簿を作成し、保存していれば事業所得になり得るということで、懸念は無事に解消されました。

ただし、注意が必要なのは、「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかにより判定する」という原則が何ら変わった訳ではないということです。ですから、帳簿を作成し、保存していれば事業所得になり得ますが、だからといって必ず事業所得と認められるわけではありません。

意見公募結果には書かれていませんが、日経の記事では「ただし帳簿があっても、収入金額が300万円以下でかつ本業の収入の1割未満の場合や、赤字が続いているにもかかわらず赤字解消のための取り組みを進めていない場合などは、状況により個別に判断する方針だ」とありますが、これが社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかという判断(の一例)なのかと思います。

個別判断が必要なところは残ります。日経にも書いてある通り、そもそも「通達は国税庁の内規で、法律ではない。こうした取り扱いを不服とした納税者が訴訟を起こした場合は、事業実態を裁判所が総合的に判断することに」なります。0/1の絶対的ルールではありませんが、それでも帳簿を作成し、保存していれば原則として事業所得という一つの基準が示されたことは大きな前進だと思います。
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2022年10月05日

弥生の設立お任せサービス

一昨日の10/3に、弥生は「弥生の設立お任せサービス」という新しいサービスの提供を開始しました。「弥生の設立お任せサービス」は、弥生が提携する専門家が、お客さまの代わりに会社設立手続きを代行するサービスです。

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弥生では、起業・開業を支援したいということで、従前から会社設立のための書類を作成するサービスを提供してきました。2017年に初代の「弥生のかんたん会社設立」を提供開始。その後昨年春に「起業・開業ナビ」の一部として、完全リニューアルした2代目の「弥生のかんたん会社設立」の提供を開始しました

これらが今回サービスを開始した弥生の設立お任せサービスとどう違うのか、ですが、端的に言えば、自分でやるのか、その名の通りお任せするのか、です。弥生のかんたん会社設立は自分でやりたい人向け、弥生の設立お任せサービスは任せられるものは任せたい人向け、ということになります。

私は22年前(!)、自分で経営コンサルティング会社を立ち上げました。当時は、どうせやるのであれば、何でも自分でやってみて「会社」というものを徹底的に理解しようと考え、株式会社としての設立・登記も解説本を片手に全て自分で行いました。そういった人向けには、弥生のかんたん会社設立が適しています。弥生のかんたん会社設立であれば、画面の誘導に従って進めば、株式会社の設立前後に必要な書類を簡単に作成することができますし、書類の届出先や準備物について知ることもできます。ああ、22年前にこんなサービスがあったら(笑)。

一方で、皆が皆、自分でやってみようという方ばかりではありません。むしろ事業そのものを立ち上げることに専念したい、その分任せられる作業はどんどん任せたいという方もいらっしゃるでしょう。そんな方には、今回の弥生の設立お任せサービスがぴったりというわけです。

弥生の設立お任せサービスであれば、自分の時間を割かずとも、専門家が会社設立に必要な定款や登記書類の作成を代行することでスピーディかつ正確な登記が可能になります。また、専門家による対応であるため、登記申請に加え、融資や助成金、節税等も加味した支援が可能です。専門家による対応となるため、本サービスには5万円という利用料金が必要になりますが、対応した専門家と税務顧問契約を結べば、利用料金はその後の顧問料からその分割り引かれます。つまり条件付きではありますが、実質無料で本サービスを利用することも可能です。

めったにない機会だから自分でやってみるか、あるいはめったにないことだからこそ専門家に任せてしまうか。どちらの判断もありだと思います。どちらの場合でも弥生がしっかりサポートします。
posted by 岡本浩一郎 at 19:55 | TrackBack(0) | 弥生

2022年09月30日

非連続的な成長

今日で9月も終わり。弥生は9月決算ですので、今日でFY22が終わります。毎年思うことですが、FY22もあっという間でした。

弥生のFY22の最大のトピックと言えば、株主が変わったこと。案件自体は昨年の12月に発表されましたが、その後今年の3月に、株主が正式にオリックス株式会社から、グローバルな投資ファンドであるKKRに変わりました。私が弥生の社長を務めている間では3社目の株主となりますので、まあ慣れていると言えば慣れている(笑)のですが、それでもやはり一大事です。

投資ファンドが投資先企業の価値向上を図るアプローチには大きく二つあります。ひとつは、リストラクチャリング(事業の再構築)等を通じ、大幅なコストダウンを進め、収益性を回復するアプローチ。いわゆる「事業再生」です。もうひとつは、短期的な収益性を度外視してでも、成長に対し投資し、飛躍的な成長を実現するアプローチ。こちらは「非連続的成長」のアプローチと言えばいいのでしょうか。もちろん弥生とKKRの組合せは後者、すなわち、「非連続的成長」のアプローチです。ちなみに、縮むもあり、逆に大きくジャンプするのもありなのですが、逆に「ない」のは現状にとどまること。投資ファンドの世界では「現状維持」は許容されません。

これまでの弥生は、売上が若干の計画未達でも、利益が計画を達成していれば、概ねよしとしてきました。「自分の限界は自分が決める」からこそ、売上の計画は確実に達成できるものではなく、健全なストレッチが必要。逆にストレッチであり、チャレンジだから、結果的に若干の未達になってもやむを得ない。しかし、この考え方は変えるタイミングです。これまでKKRと議論を続けてきて、一番驚いたのは、「KKRとしては、売上アンダー/利益達成よりも、将来につながる形で利益アンダー/売上達成の方が良いと考えている」と言われたこと。これはかなり衝撃的でしたし、考え方を変えなければならないと痛感しました。

利益が計画を達成できない、それに対してどうするんだと詰められるのは結構辛いものです。私が弥生の社長に就任した直後にはそういった時期もありました(もう10年以上前ですし、それこそリーマンショックの中で世間全体としてそういった時期でした)。幸いにして、そういった時期は短期間で終わり、以降弥生は概ね利益計画を着実に達成してきましたし、結果的に株主からあまり詰められることはありませんでした(笑)。しかし、一方で、利益は一旦脇に置いていいから、もっと成長しようよと言われるのもこれはこれで大変です(苦笑)。むろん、成長に向けて取れる選択肢が増えること自体はとても有難いことですが、現実的には「やりたいのはやまやまだが、リソースの制約上難しい」となってしまいます。

しかし、せっかく成長に向けた強い援軍を得た訳ですから、これを活用しない手はありません。明日からのFY23に向けて、既に計画の策定を終えていますが、FY23の計画は、短期的な収益よりも、成長に向けた投資を色濃く反映しています。粛々淡々とできることをやるのではなく、どうすればできるかを徹底的に考え抜き、実行する。FY23は、弥生の飛躍的な成長に向けた明確な転換点となる年にしたいと思っています。
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2022年09月27日

弥生PAPカンファレンス 2022 秋

前回はこの6月に開催した弥生の会計事務所パートナー(PAP)向けカンファレンス「弥生PAPカンファレンス 2022」の開催レポートをご紹介しました。開催してから約3ヶ月、開催レポート自体を公開してからも2ヶ月経っているので、本ブログでのご紹介が遅すぎるのですが、そこには一つ言い訳が。そうです、今日の話につなげようということで、本ブログでは紹介を温存していたのです(笑)。

ということで前置きが長くなりましたが、10月後半から11月後半にかけて、弥生PAPカンファレンス 2022 秋を開催します。今回も、リアル会場とオンライン配信のハイブリッド開催。リアル会場は前回同様、全国7会場、そしてオンライン配信も前回同様3回、合計10回の開催となります。これを10/20(木)の仙台会場に始まって、11/24(木)のオンライン配信(3回目)まで5週間で開催しますので、今年の秋も相当忙しくなりそうです。

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今回のPAPカンファレンスのテーマは何といってもインボイス制度への対応。6月のカンファレンスでもお話ししたテーマではありますが、(カンファレンス開催時点では)来年10月のインボイス制度開始まで1年を切り、いよいよ具体的な対応を決め、準備を進めるタイミングです。これまでにもお話ししているように、インボイス制度や改正電子帳簿保存法を、後ろ向きな法令改正として渋々最低限対応し、業務の煩雑さを許容するのか、あるいは、業務を圧倒的に効率化する好機として前向きな対応をするのかによって、事業者や会計事務所の業務は大きく変わります。今回のカンファレンスにご参加いただくことによって、事業者や会計事務所のオペレーションがどのようになるのか、具体的なイメージを持っていただけるようにしたいと考えています。

弥生PAPカンファレンスのご参加には事前にお申し込みが必要ですが、本日時点ではまだ全会場お申込みが可能です。ただ内情をお話しすると、10/20(木)の仙台会場および11/17(木)の広島会場については既に想定の集客目標を超えており、会場のレイアウト調整が始まっています。そういった意味では、早めにお申込みいただくのが吉かと。また全国(+オンライン)で皆さんとお会いできることを楽しみにしております。
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2022年09月22日

弥生PAPカンファレンス 2022 開催レポート

今年6月に、弥生の会計事務所パートナー(PAP)向けに、弥生PAPカンファレンス 2022を開催しました。6/3(金)の札幌開催を皮切りに、25日間で全国7会場、さらにオンラインで3回開催ということで、6月はまさにカンファレンスで始まり、カンファレンスで終わったという感じでした。

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そのカンファレンス開催から早くも3ヶ月ほど経ってしまいましたが、弥生PAPカンファレンス 2022 開催レポートを公開しています。終わってから3ヶ月とは遅い!と思われるかもしれませんが、担当チームの名誉のためにお話しすると、実は開催レポート自体は7/15には公開を開始しています。そうです、単純に本ブログでお話しするのを怠っていたということです。申し訳ありません > 担当チームの皆さま。

開催レポートは、単純にビデオを公開するだけではなく、プレゼンのサマリーを書き起こしていますので、とりあえず内容をサッと確認していただくこともできるようになっています。もちろん、ビデオを一通りご覧いただければ、当日お話しした全てをご確認いただくことができます。また、PAP会員としてのログインが必要になりますが、カンファレンスで使用した資料をダウンロードいただくことが可能です。

それにしても、なぜこのタイミングでPAPカンファレンスの開催レポートの話をするのか、と不思議に思われるかもしれません。PAP会員の皆さまであればもうお気付きかとは思うのですが、その理由は次回に。
posted by 岡本浩一郎 at 18:47 | TrackBack(0) | 弥生

2022年09月12日

価値算定

前々回前回と8月末にスタートした「弥生のあんしんM&A」についてお話ししました。弥生のあんしんM&Aは事業承継ナビの一部をなすサービスで、会社や事業を売りたいという人と、買いたいという人が、M&Aの相手を探すことのできる登録無料のマッチングプラットフォームです。

日本の中小企業・小規模事業者の経営者の高齢化が進む中で、事業承継は社会的な課題になりつつあります。経営者の引退 = 廃業となるのは、その事業のお客さまに直接影響を与えるだけでなく、それが積み重なれば日本経済全体への影響も無視できなくなります。一方で、事業を承継することによって事業を拡大したいという事業者も多く存在しますし、起業・開業の選択肢の一つとして、事業承継による起業・開業という可能性も存在します

つまり、事業承継には供給(経営者引退に向けた事業の譲渡)もあれば、需要(事業譲受による事業拡大、および起業・開業)も確実に存在します。しかし、難しいのは供給と需要を結びつけること。それを目指すのが弥生のあんしんM&Aです。

ただし、供給と需要を結びつけるというのは、単純にお互いに知る機会を作ればいいということだけではありません。事業を譲渡したいという人と、事業を譲り受けたいという人の間で、お互いにとって納得のできる事業譲渡価格を示すということも、マッチングプラットフォームとしての大きな役割です。

このため、弥生のあんしんM&Aでは、譲渡対象となる事業の価値を算定する価値算定書作成ツールというツールを提供しています。これは売上/利益や業種等の情報を入力すれば、複数のロジックに基づいた事業価値を算出し、それを価値算定書として作成することができるツールです。事業価値の算出には複数のロジックが存在し、どれかが絶対的に正しいということはありません。そのため、弥生のあんしんM&Aの価値算定書作成ツールでは、純資産法や類似業種比較法、DCF法など複数のロジックで事業価値を算出し、その横比較を可能にすることによって、より納得感のある事業譲渡価格を見出せるようになっています(もちろん、価値算定書作成ツールの結果はあくまでも参考情報であり、最終的に事業譲渡価格を決めるのは、事業を譲渡したい人であり、それに合意する事業を譲り受ける人です)。

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(この算定結果はサンプル・イメージであり、弥生のあんしんM&Aが想定している対象会社の規模からするとかなり高めの価値になっている点はご容赦ください。)

事業承継のM&Aは事業方針の継続、従業員の雇用など、価格だけで決まるものではありませんが、一方で譲渡価格が非常に大きなポイントであることも事実です。事業を譲渡したいという人と、事業を譲り受けたいという人の間で、お互いにとって納得のできる価格を見出すことができるように、価値算定書作成ツールをうまくご活用いただきたいと思っています。今後も、実際にご利用いただきながら、価値算定書作成ツールの改善を図っていきます。現時点では必要な情報を手で入力する必要がありますが、弥生が提供するツールだけに、将来的には会計データがあれば、ほとんどの入力が不要になるようにしなければならないと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 23:06 | TrackBack(0) | 弥生

2022年09月08日

事業のライフサイクル

前回は8月末にスタートした「弥生のあんしんM&A」についてお話ししました。弥生のあんしんM&A事業承継ナビの一部をなすサービスで、会社や事業を売りたいという人と、買いたいという人が、M&Aの相手を探すことのできる登録無料のマッチングプラットフォームです。

事業承継のためのM&Aマッチングの仕組みは、世の中に複数存在していますが、弥生のあんしんM&Aの最大の特徴はスモールビジネスに特化しているという点です。実際に弥生のあんしんM&Aのサイトを見ていただくと、(本日時点で)約40件の事業売却案件が登録されていることが確認いただけるかと思います。案件は当初は匿名化されているので、具体的にどの会社かということはわかりません(情報は所定の手続きを経て開示されます)。また、譲渡希望価格についても、要相談となっているケースの方が多いのですが、一部では金額が(あくまでも参考情報の位置づけですが)明示されている案件も存在します。中には譲渡希望価格が1,000万円や1,500万円という案件もあることがわかります。

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これは一般的なマッチングの仕組みではなかなか採算があわない(それがゆえに積極的に取り組めない)金額ですが、弥生のあんしんM&Aではこういった金額帯の案件こそお手伝いしたいと考えています。

その一つの理由は、弥生として、事業の譲受(買収)を起業・開業の一つのオプションとして確立したいと思っているからです。これまでにもお話ししている通り、弥生は起業・開業を支援しています。ただ、ここでいう起業・開業というのは必ずしも0からのスタートである必要はないと考えています。既に事業として確立しており、一定程度顧客基盤が確立した事業を受け継ぎ、それを発展させていくというのも、起業・開業の一つのオプションになり得るはずです。例えばですが、パン屋さんを開業したいという方にとっては、設備を0から揃え、お客さまの獲得も0からスタートするだけではなく、既に街に定着したパン屋さんを受け継ぐというのも有効なオプションなのではないでしょうか。

一方で、豊富な資金とともに起業・開業される方は僅かです。事業承継が一つのオプションと言っても、ポンと1億円を出して事業を買収できる人はごくごく限られるでしょう。それでも、例えば1,000万円だったらどうか。今はもうありませんが、かつては株式会社の最低資本金は1,000万円でしたから、起業・開業に向けて1,000万円を蓄えようというのは決して無理な要求ではないと思います。弥生は弥生のあんしんM&Aで、これから起業・開業される方にとっても選択肢となりうる規模の事業承継をサポートしていきたいと思っています。

さらに野望(笑)を言えば、起業・開業される方が事業を買収し承継する際に、金融機関から融資を受けることのお手伝いまでできればと思っています。もちろん起業・開業に向けて自己資金をしっかりと蓄え、準備することは必要です。ただ例えば、頑張って1,000万円を蓄えた、しかしそれを全額事業買収に使ったのでは、手元資金不足から事業の承継早々資金繰りに窮することになりかねません。このため、例えば1,000万円で事業を買収するとしても、自己資金は300万円、残りの700万円は金融機関からの借り入れで賄うという選択肢を提供できればと考えています。自己資金の一部は事業の資金繰りのためにしっかり確保しておくということですね。金融機関の観点でも、全く0ベースでスタートする事業よりも、既に存在している事業が裏付けとなっている方がより安心して融資ができるのではないかと思います。

夢を抱いての起業から、事業を継続し、成長させ、そしていつかは事業の廃業もしくは承継がやってくる。事業のライフサイクルが廃業で終わるのではなく、新たな起業家にバトンが渡ることによって、新たなライフサイクルにつながっていくよう、支援していきたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 21:19 | TrackBack(0) | 弥生

2022年09月06日

弥生のあんしんM&A

ちょうど一週間前となる8/30に、弥生は新サービス、「弥生のあんしんM&A」をスタートしました。弥生のあんしん M&Aは、会社や事業を売りたいという人と、買いたいという人が、M&Aの相手を探すことのできる登録無料のマッチングプラットフォームです。

お気付きの方も多いかと思いますが、この弥生のあんしんM&Aは、6月末にスタートした事業承継ナビの一部となるサービスです。事業承継ナビは事業者がどこかで直面する事業承継という課題について、「わかりやすく」「あんしん」「かんたん」に理解するためのサービスとお話ししましたが、実際にM&Aという形で第三者への事業承継を図る際に活用いただけるのが今回の弥生のあんしんM&Aです。

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弥生のあんしんM&Aの最大の特徴はスモールビジネスに特化しているという点です。事業承継のためのM&Aマッチングの仕組みは、これまでにも存在していますが、マッチング事業者の採算性の観点から、対象となるのは中小企業と言ってもそこそこの事業規模に限られていました。ボリュームゾーンで言えば、売上で数億円、毎年の利益もしっかり出ており、何千万円、何億円という値段がつく事業ということになります。

事業承継は日本経済にとって(一部には過大な表現もされているものの、現実問題として)大きな課題となりつつありますが、数が多い一方で特に難しいのは、小規模な事業者の事業承継です。だからこそ弥生は事業承継ナビを立ち上げた訳ですし、実際に事業承継を進めるためのプラットフォームとして立ち上げたのが今回の弥生のあんしんM&Aです。

弥生のあんしんM&Aのもう一つの特徴は、「あんしんエージェント」と呼ぶ弥生の会計事務所パートナーであり、M&Aの専門家が、M&Aの支援業務を行う点です。マッチングのコストを下げるためには、極力人手をかけずにマッチングが成立するようにしなければなりません。一方で、M&Aで扱うのは工場で生産され一定の品質が担保された製品ではありません。それぞれに想いがこもり、また、置かれた状況も千差万別の事業です。ですから、AIで全自動という訳にもいきません。やはり専門的な知見を活用することが必要です。弥生のあんしんM&Aでは、弥生の会計事務所とのパートナーシップを活用し、必要に応じて専門家のサポートが得られるようになっています。

事業承継ナビ立上げの際にもお話ししましたが、事業承継ナビにせよ、弥生のあんしんM&Aにせよ、取り組むべき課題に対し、スモールスタートに過ぎません。しかしそこに事業者の悩みがある以上、弥生として小さな一歩でもまず踏み出し、事業者の皆さまを支援していきたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 22:11 | TrackBack(0) | 弥生

2022年08月10日

挑戦者ch

前回は弥生がYouTubeで発信している弥生チャンネルについてお話をしましたが、実は弥生チャンネルのサブチャンネルとして、挑戦者chという新しい試みを始めています。

この挑戦者chは、いつか起業したいけど一歩踏み出せない、もうすぐ起業するけど今後が不安……、そんな方々に向けて「起業への挑戦」を後押しするチャンネルです。「ライバルの存在が挑戦者を成長させる」をテーマに、各界のトップランナーたちから、自身の成長につながった「ライバル(憧れとなった人、成長のきっかけを作ってくれた人)」とのエピソード、さらに起業や経営など自らビジネスをしていくうえで必要な「スキル」と「マインド」を聞き出します。

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直近で公開したのはキングオブコント2013王者であるかもめんたるの槙尾ユウスケさんのエピソード。かもめんたる槙尾ユウスケさんはお笑い芸人でありながら間借りカレー屋「マキオカリー」を経営する経営者でもあります。「挑戦することによって、失敗もするんですけれども…」と槙尾さんは語ります。賞味期限が近付いたレトルトのスパイスカレー1,000個が残ってしまったという失敗があったそうですが、仲間の応援でそういった苦しい状況を乗り越えたそうです。特に、大学時代のお笑いサークルからの仲間であり、ライバルである小島よしおさんの存在は大きな力になっているそうです。「でもその先には自分が想像もしなかった世界が広がっているんで、それは楽しいですね」。間借りカレー屋を始めたときはお笑い芸人の仕事は低調だったという槙尾さん。なぜかはわからないけれども、カレー屋を始めて以降、お笑い芸人としての仕事も増え、そしてカレー屋としても支店ができたりと想像していなかった形で展開しているそうです。

これまでのコンテンツの中で特に注目を集めたのが、人気ラッパーKEN THE 390さんのエピソード。KEN THE 390さんは人気ラッパーでもあると同時に、音楽事務所を経営する経営者でもあります。そんなKEN THE 390さんが先輩KREVAさんに学んだ「職人力」とは。そして後輩SKY-HIさんから刺激を受けたと語る「熱中マインド」とは。KEN THE 390さんの「熱中できる人こそ勝つ。そんなやりたいことがあるのに躊躇するのは本当にもったいない。それが見つかっている時点でアドバンテージだから、絶対にやった方がいい。」というメッセージは起業したいと思いつつ迷っている方には必見だと思います。

弥生としてもこれまでにない取り組みであり、ある意味弥生にとっても「挑戦」です。弥生自身も挑戦することによって、挑戦する方を応援していきたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 19:03 | TrackBack(0) | 弥生

2022年08月08日

弥生チャンネル

今年から始めたTVコマーシャルと、その前段となった昨年作成のブランドムービーについてお話ししましたが、これらはYouTubeの弥生チャンネルでご覧いただくことができます。

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実は弥生では、これ以外にもYouTubeで様々な情報を発信しています。定番としては、会計や経理に関する知識を専門家が平易に解説するコンテンツ。「公認会計士・税理士芸人Gパンパンダの会計講座」が代表例です。直近で公開された回では、「会社を設立する際には資本金は一体いくらぐらいがいいのでしょうか」という疑問に公認会計士・税理士芸人Gパンパンダが答えています。「とっつきやすい系税理士・入野拓実が解説!」というシリーズの最新コンテンツでは、経営計画の作る実践的なコツについて解説しています。

アニメのコンテンツも充実しています。もぐらのホーリーがMCを務める個人事業主チャンネルでは、特に確定申告期には確定申告に関する様々な情報を発信しています。確定申告が終わって以降も、最近では個人事業主の法人成りについてですとか、国民健康保険料を安くする技などについて情報を発信しています。MCはもぐらのホーリーと言いましたが、MCというよりは茶々を入れる役回りというところで、肝心のコンテンツは安心感のある女性アナウンサーがしっかりと教えてくれます。アニメという意味ではまんがスモールビジネスおとぎ話というシリーズもあった(例えば「鶴の設備投資」、笑)のですが、あまり続かなかったのは、反響がイマイチだったのか、ネタが尽きたのか。直近では、スモールビジネスを救うヒーロー・スモビバマンが経営に役立つ知識(例えば、最低限知っておきたい粗利の基礎知識)を5分間で超わかりやすく解説するシリーズが始まっています。正直なところ、全てのコンテンツが同じような反響を得られるわけではなく、試行錯誤の連続といった感じです。

ここまでYouTubeの話をしてきましたが、実は私自身はあまりYouTubeは見ません(エッ!?)。テキスト情報は自分のペースで斜め読みできるのですが、動画だとどうしても一定の時間がかかってしまうので、ちょっともどかしく感じてしまうんですよね。ただ、自分がそうだからといって皆がそうとは限りません。実際、弥生のマーケティング活動を引っ張っているマーケティング本部長のIさんはYouTube大好きで、主な情報源はYouTubeなんだそうです。身近なところでは、私の娘もYouTubeで情報を集めていますね。最近Blenderという3D CG制作のソフトにはまっているのですが、ちょっと使い方がわからないという時はだいたいYouTubeの解説ビデオを見て解決するようです。見るのに時間がかからない?、と聞くと、だいたい1.5倍速で見るんだそうです。時代は1.5倍速で変わるということで、私も取り残されないようにしないと(苦笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 20:59 | TrackBack(0) | 弥生

2022年08月05日

上を向いて歩くあなたと。

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前々回にご紹介したTVコマーシャルと、その前段となった昨年作成のブランドムービーは、いずれも「上を向いて歩くあなたと。」というブランドメッセージがベースになっています。これから独立・起業される方を含め、上を向き、明日の自分の可能性を信じる事業者の方を応援したい、という弥生の想い。それが「上を向いて歩くあなたと。」というメッセージに込められています。

では、この上を向いてというのがどこから来ているのかというと、おわかりですか? いえ、「上を向いて歩こう」ではありません(笑)。SukiyakiとしてBillboard Hot 100で日本の歌として初めて全米No.1になった名曲ではありますが、今改めて歌詞を見てみると、「泣きながら 歩く 一人ぽっちの夜」というフレーズが印象に残る意外に暗い曲でした(笑)。ではどこから来ているかというと、実は弥生のロゴマークです。右上を向いた矢印、通称Rising Arrow。

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ではこのロゴマークがどこから来ているのかというと…、そうです。「右肩上がり」です。弥生という製品名(後に社名にも採用)は、ただでさえ忙しい三月を、事業者の皆さんが無事に乗り切るお手伝いするためのソフトウェアとして生まれたというのは以前お話ししたことがあります。忙しい時期を乗り切るのも重要ですが、事業者にとってそれ以上に重要なのは、事業を右肩上がりで伸ばしていくこと。弥生の根底を流れる、事業をされる方をお手伝いしたい、応援したいという想いが、製品名になり、社名になり、ロゴマークになり、そして今回のブランドメッセージにもなっているということです。

ちなみにこのロゴマーク、全くの偶然ではありますが、結構似たロゴマークをアメリカではたまに目にすることがあります。それは大規模ディスカウントチェーンであるTargetのプライベートブランドup & upです。これはさすがに右肩上がりではないと思いますが、up & upということで、よりよい品質をよりよい価値(お値ごろ)でといったあたりなのでしょうか。そう考えるとそれはそれで弥生にも通じる部分もあるような(笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 17:10 | TrackBack(0) | 弥生

2022年08月03日

段階的アプローチ

7月から開始したTVコマーシャルについて、弥生としてはほぼ初めての試みとお話ししました。実は別の意味でも、弥生としては新しい取り組みです。それは、弥生会計 オンラインのような特定の製品/サービスを直接的に宣伝する広告ではないということ。

弥生ではこれまで、例えば確定申告期にはやよいの青色申告 オンラインのインターネット広告を行ってきました。これらは直接的にその製品/サービスの利用を促すものです。これに対し、見ていただければわかりますが、今回のTVコマーシャルは、具体的な製品/サービスには言及していません。弥生が実現する経理のデジタル化によって、業務が効率化され、やりたいことに集中できるスモールビジネスの皆さんの姿を描いています。つまり、弥生の想いであり、提供する価値を表現しています。そういった意味で、直接的に販売増を目指す製品広告ではなく、ブランド広告と位置付けられます。

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実はこの取り組みは昨年公開したブランドムービー「上を向いて歩くあなたと。」からつながっています。昨年はTVコマーシャルにまでは踏み込みませんでしたが、業務ソフトの提供だけではなく、起業・開業支援なども含めスモールビジネスのあらゆるステップを支え続けたい、という弥生の想いをブランドムービーとして作成し公開、また多くの方に見ていただくためにインターネットでの広告も出稿しました。ブランド広告だけにこれが直接的な売上増につながった訳ではありませんが、見ていただいた方には好評で、弥生が定期的に行っているブランド調査でも、ポジティブな効果が確認できました。これを受けて今年は、TVコマーシャルの作成と放映に踏み切ったという流れです。

本件に限りませんが、まず小さな形で試してみて、効果を検証した上で次のステップに進むという段階的アプローチは、弥生が常に意識していることです。小さな形で、と言いつつも、昨年のブランドムービーの作成とインターネットでの広告出稿でも数千万円はかかっていますので、それなりな議論になりました。お客さまからいただいた売上ですから、それをどんな有意義な形で使うのかは、いつも真剣な議論になります。

結論から言えば、来年10月からのインボイス制度によって、経理業務のあり方が大きく変わるタイミングにおいて、弥生の広告宣伝もあり方を変えるべきという判断に至りました。ただ、知見が限られる中で、いきなり大掛かりに資金を投入するのではなく、まず最初(昨年)は、ブランドムービーの作成とインターネットでの拡散、そしてその経験を踏まえて、今回のTVコマーシャルに踏み切ったという訳です。

段階的アプローチは弥生が常に意識していることと書きましたが、いきなり大胆な行動をとらない/とれないというのは、弥生の強みであると同時に、弱みでもありますね。段階的アプローチで効果を検証しつつ着実に積み上げるということは基本的には良いことだとは思っていますが、これだけ変化の激しい時代の中では、弱みを最小化し、できるだけ強みとできるように、もっと短サイクルで段階的アプローチをとれるようにしないといけないと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 20:52 | TrackBack(0) | 弥生