2022年02月09日

弥生会計の着実な進化(2/2)

昨年秋に提供を開始した弥生会計 22での着実な進化の一つは、前年度の仕訳の参照がラクになったこと。着実というよりは地味と言った方がいいかもしれませんが、特に会計事務所の方からは非常に評価の高い進化点です。

デスクトップアプリの弥生会計のデータファイルには3期分のデータが格納されています。このため、年度切替という機能を使うことにより前年度や前々年度の仕訳を参照し、必要があれば更新することができます(ただし、更新した場合には、その更新を次年度に反映するための次年度更新という処理が必要になります)。

もっとも、前々年度の仕訳を更新するというのは基本的にはないはずですし、前年度の仕訳を更新するのも特定の場合のみです。よくあるのは、例えば12月決算だとして、12月決算の処理が終わっていないけれども、新年度(1月)の仕訳を入力するというパターンですね。この場合は、新年度の仕訳入力と前年度の決算処理が同時並行で進むため、年度切替で行ったり来たりすることがあります。

一方で、前年度の仕訳を参照することは頻繁にあります。というのは、ある程度帳簿付けをしたことのある人であればおわかりのように、発生する仕訳はだいたいパターン化するからです。前年度発生した仕訳は今年度も発生する可能性が高いということですね。その中でも、一年に一回や数回のみ発生する仕訳については、あれ、これ前年度はどう仕訳したっけと確認したくなることがよくあります。典型的なのが、決算仕訳ですね。決算時にのみ発生する仕訳は、基本的に毎年同じ仕訳なのですが、年に一回だけに、覚えていないものです。

こうした時に便利なのが、これまでにもあった前年度仕訳日記帳という機能(帳簿・伝票メニューからアクセスできます)。この機能を使えば、年度切替をしなくても、即座に前年度仕訳日記帳を参照することができます。さらに前年度仕訳日記帳で、前年度の確認したかった仕訳をコピーして、当年度の仕訳日記帳に貼り付けすることもできます。

これに対し、今回の弥生会計 22からは、前年度仕訳日記帳に加え、前年度総勘定元帳/前年度補助元帳(帳簿・伝票メニュー)、そして前年度残高試算表(集計メニュー)という機能が追加されました。名前で想像できる通りですが、年度切替をしなくても、前年度の総勘定元帳や残高試算表をすぐに確認することができます。もちろん、前年度残高試算表を表示したら、そこから普通預金をドリルダウンして前年度総勘定元帳を表示するということも可能です。

また、行コピーして、行貼り付けという2ステップではなく、前年度仕訳日記帳(もしくは総勘定元帳)から「当年度の仕訳日記帳(総勘定元帳)へ登録」というサブメニュー(右クリック)を選択すると1ステップで該当の仕訳が当年度の仕訳日記帳(総勘定元帳)にコピーされるようになりました。

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前回お話ししたように、私の会社の決算では、まず入出金に使っている楽天銀行の明細をスマート取引取込で仕訳します。その後は、この「前年度」機能を使って前年度の仕訳をポチポチと当年度にコピー、その上で金額を調整すればあっという間に当年度の帳簿が完成するという訳です。実際に使ってみて、前年度からの仕訳のコピーがさらに簡単になったことを実感することができました。

地味な機能なので、お気付きでない方もいらっしゃるかと思いますが、是非一度試してみてください。会計事務所からの強い要望で追加した機能だけに、特に会計事務所の方からは、おお、これはいいね、と言っていただけるものと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 19:30 | TrackBack(0) | 弥生

2022年02月07日

弥生会計の着実な進化(1/2)

この間お話しした通り、一年振りに自分の会社の決算処理を行いました。といっても、前回お話しした通り、この会社としての活動は休止中であり、当然のことながら仕訳はごくごく少ない行数(具体的には40行)に過ぎません。それでも、少ない仕訳件数とはいえ、できるだけ短い時間で処理を終えられるように工夫はしているとお話ししました。

工夫の一つは、スマート取引取込を利用していること。弥生会計では、スマート取引取込という機能で外部から取引データを取り込み、それを仕訳として自動で記帳することができます。外部から取り込む取引データの代表例が銀行の明細ですね。自分の会社は3つの銀行(メガ2行、ネット銀1行)に口座を開設しているのですが、ネット銀(具体的には楽天銀行)ではインターネットバンキングを利用しています。最近では法人でもインターネットバンキングの利用に手数料がかからない銀行が出てきましたが、ネット銀は、インターネットありきだけに、インターネットバンキングの利用にお金はかかりませんし、振込時の手数料も安い。そのため、自分の会社では、メインの口座こそメガと位置付けていますが、日々の入出金は楽天銀行に集中させています(もっともその日々の入出金も件数が多い訳ではありませんが)。

この楽天銀行の口座について、弥生会計からスマート取引取込でAPI連携させることによって、銀行の明細を一瞬で仕訳記帳できるようにしています。この機能自体は従前から活用していたのですが、2019年には楽天銀行との接続が従来のスクレイピング方式からAPI方式に切り替わり、よりセキュアに、より安定的に利用できるようになりました。

その後もスマート取引取込で部門の設定ができるようになったり、スマート取引取込の画面をブラウザーで表示して確認後、弥生会計に取り込むという従来からの方式に加え、弥生会計に直接取り込んで弥生会計側で確認・修正ができるようになったり、と実は着実に進化を続けているのがこのスマート取引取込です。今回決算処理を行った際に目立ったのは、スマート取引取込で生成された仕訳について、はっきりとした付箋がつくようになったこと。どの仕訳がスマート取引取込で生成されたものかが一目でわかるだけでなく、どのようなロジックで仕訳が生成されたのかが示されるため、通常確認が必要ない仕訳、それに対して重点的に確認を必要とする仕訳が判別できるようになっています。今回の決算では全て銀行明細から推論での仕訳作成ということで、緑の○印となっています。

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実は、全く外部からは見えないのですが、昨年、推論のロジックの大幅な見直しも行っています。これについてもまた改めて熱く語りたいのですが、ひとまずはこの開発を引っ張ったUさんの記事をどうぞ。
posted by 岡本浩一郎 at 23:01 | TrackBack(0) | 弥生

2022年01月27日

いよいよシーズン到来

1月のブログということで、今年の抱負やら、初詣やら、毎年恒例のBCN AWARDなどについてお話ししているうちに、やってきました。例のモノが。

そうです。確定申告シーズン。弥生では今週、デスクトップ版のやよいの青色申告(と弥生会計)、また、クラウド版のやよいの青色申告 オンライン/やよいの白色申告 オンライン向けに令和3年分 所得税確定申告機能の提供を開始しました。デスクトップ版では、1/25からオンラインアップデートで確定申告モジュールの提供を開始しており、クラウド版では、今日から、通常通りログインいただければ、令和3年分の確定申告機能がご利用いただけるようになっています。

今年の所得税の確定申告期間は2/16(水)から3/15(火)まで。申告期間開始までまだ3週間弱はありますが、実は還付申告(申告の結果、税金が還付される申告)についてはこの期間前でも申告が受け付けられます。そのため弥生では、例年、申告期間より前となる1月下旬に機能提供を開始しています。今年も無事に機能提供を開始することができ、開発メンバーもほっと一息です。

今年の確定申告期間は2/16(水)から3/15(火)と書きましたが、今年も申告の期限が延長されるかどうか。昨年後半の新型コロナウイルス禍の状況が落ち着いた状況のままであれば、2年ぶりに通常の一ヶ月間になるかと思っていましたが、足元での状況を鑑みると、今年も延長になるかもしれません。昨年は2/2に期限延長が発表されましたが、今年はどうなるでしょうか。確定申告機能の提供を開始し、開発メンバーはほっと一息な一方で、これから繁忙期に入るのがカスタマーセンター。期限延長となると気の張り詰めた期間が2倍となるため、気が気ではありません。もちろん、仮に延長になったとしても、弥生としてはしっかりとお客さまをサポートしていきます。

今年も本ブログで確定申告のあれこれについて色々とお話ししていきたいと思いますが、その前にやらなければならないことが。そう、自分の会社の決算と申告。ということで、次回以降、まず自分の会社の決算と申告について少しお話しした上で、所得税の確定申告についてお話ししていきたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 21:08 | TrackBack(0) | 弥生

2022年01月25日

BCN AWARD 2022

これも毎年1月の話題なのですが、先週金曜日に、BCNによるBCN AWARD 2022の表彰式がありました。BCNでは、全国の家電量販店とPC専門店2,643店舗のPOSデータを収集、集計しています。そのデータをもとに年間(1月1日〜12月31日)販売台数累計第1位のメーカーを表彰する制度がBCN AWARD。今回のBCN AWARD 2022では、2021年のNo.1メーカーが表彰されました。

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今回は、新型コロナウイルス禍の影響で昨年に引き続きオンライン開催となりましたが、お蔭さまで、弥生は例年通り、業務ソフト部門と申告ソフト部門の2部門でNo.1として受賞することができました。これまでにもお話ししている通り、弥生はBCN AWARDが始まって以来、業務ソフト部門において連続で受賞しています。今回で、23年連続、23回目の受賞となりました(申告ソフト部門は途中で部門が追加になりました)。

私が弥生の社長になって初めてのBCN AWARDはBCN AWARD 2009。この回はちょうどBCN AWARDが始まって10回目のAWARDであり、弥生として10年連続の受賞でした。10年連続というバトンを受け継いだことの重責も感じたことを覚えていますが、いつの間にやら20年連続を超え、23年連続の半分以上を担ってきたことになります。そりゃあ歳をとる訳ですよね(苦笑)。

ちなみにBCN AWARD 2009で10年連続受賞となったのは、7社14部門。10年経って、BCN AWARD 2019で20年連続受賞となったのは、7社12部門。今回、初回から連続23年連続受賞となったのは、6社10部門でした。あれ、1社減っている…。部門数も14→12→10と徐々に減っています。移り変わりの激しいIT業界だけに、連続することが当たり前ではありません。

新型コロナウイルス禍の中でも家電量販店の業績は底堅い、やはり日本においては家電量販店が生活に密着したインフラになっているということは、少し前にもお話ししました。こうした環境下でも、こうした家電量販店を日々巡回し、やっぱり弥生がNo. 1ということが一目見ればわかる売場を作ってくれているスタッフの皆さんのお蔭で、決して当たり前ではない連続を達成できているのだと思います。

一方で、BCN AWARDは家電量販店の実績だけでなく、Amazonのようなオンライン量販店の実績や家電量販店のオンラインでの販売実績も反映されています。また、弥生は、やよいの給与明細 オンラインのように、一部ではありますが、クラウドアプリケーションをパッケージソフトとして家電量販店やオンライン量販店で販売しています。BCN AWARD自体も、そして弥生自体も時代と共に変わってきているからこその連続だとも言えます。

重要なのはお客さまが何を必要としているのか。お客さまのニーズにあわせ、守るものは守り、一方で変えるものは変え、今後もBCN AWARDの連続受賞記録を伸ばしていきたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 22:49 | TrackBack(0) | 弥生

2022年01月21日

初詣 2021

こちらも季節限定ネタなのですが、遅くなってしまいました。まあ、一応まだ1月ということでご容赦ください。

毎年1月早々に神田明神へお参りに行くのが弥生の恒例行事です。本ブログももう10年以上続けていますが、一番最初の記事がこちら。2010年のことです。写真を見ると、時代を感じます。まあ、2010年というと、ちょうど干支が一回りする期間ですからね。私も含め、皆が若い、というのもそうですが、個人的には弥生会計のパッケージに時代を感じます。今では紙の分厚いマニュアルもなくなり、弥生 22 シリーズからはDVD-ROMもなくなり、すっきりと小さく、エコになりました。

2015年には神田明神への参拝時にNHKの取材を受け、全国デビューを果たすという事件(?)もありました。この時のパッケージもまだ大きいですね。もっとも、放送にはパッケージは映していただけませんでしたが(笑)。

さて今回は、初詣と言いつつも、実は前回に引き続き今回も12月にフライングでのご参拝となりました。12月の時点では、新型コロナウイルスの感染状況もすっかり落ち着いた状況ではありましたが、オミクロン株の動向が見通せない中、1月に混雑した中での参拝はやめようということになりました。

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前回も実感しましたが、12月の神田明神は空いていていいです。こんな写真、お正月の神田明神では人が多すぎてとてもではありませんが、撮れませんからね。お正月の参拝では代表者しか本殿に入れず、また、多くの参拝者のご祈祷を同時に行うということで、住所・代表者名の読み上げが省略された超簡略版(パターン3)になります。しかし今回は12月ということで、参拝した8人全員が本殿に昇殿し、弥生(とそのお客さま)のためだけにご祈祷していただくことができました。もちろん、住所、会社名、代表者名すべてセットのフルバージョン(パターン1)。さらには持参したパッケージのお祓いまでお願いすることができました。このパッケージは1年間私のオフィスで大事に飾っておきます

さすがに来年は新型コロナウイルス禍の影響はなくなっているものと思いたいですが、では来年は昔のように新年の参拝に戻すかというとなかなか微妙ですね。12月中のフライング初詣というのが、弥生のニューノーマルになるのかもしれません。その場合でも、新型コロナウイルス禍の影響がなくなれば、今回のように最小の人数ではなく、もう少し多いメンバーで参拝できることを願っています。
posted by 岡本浩一郎 at 18:28 | TrackBack(0) | 弥生

2022年01月06日

新年の抱負 2022

前回は新年一回目の投稿ということで、新年のご挨拶をさせていただきました。これは弥生の公式ウェブサイトにも掲載しているもの。毎年12月に広報チームに下案を作ってもらい、それを私が推敲して作成しています。会社としての公式のご挨拶ということで、私が書く文書にしては、やや堅苦しい文調です。

これとは別に社内報のヤヨイロに新年の抱負として寄稿したものもあるのですが、それが、こちら。

2022年(FY22)は、新しい株主を迎え、また改正電帳法およびインボイス制度に本格的に対応した具体的な製品・サービスを着実に提供していく、また新しいアーキテクチャーを採用した製品群の最初のリリースを迎えるといった意味で、弥生にとって転換点となる大きな一年になります。

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そういった一年だからこそ、プライベートも充実させ、公私のバランスが取れた楽しい一年としたいと思います。今年は、昨年から始めたトライアスロンで、オリンピック・ディスタンス(スイム1.5km, バイク40km, ラン10km)の完走を目指します!!

こちらは打って変わって随分とシンプルです。通常私が書く文書は長めになりがちなのですが(苦笑)、ヤヨイロ編集チームからは200文字程度というリクエストでしたので、すっきりとまとめています。社内向けということで、あえてプライベートにも触れています(むしろプライベートが中心かも)。これはあくまでも個人的な考え方ですが、プライベートが充実しているからこそ、仕事も頑張れると思っています。チーム弥生全体として、仕事だけに偏るのではなく、公私ともに充実したものにしたいということで、あえて仕事ではなく、プライベート面での目標を掲げてみました。

ちなみに、この新年の抱負、私だけでなく、役員陣それぞれが寄稿しています。本来は社内向けなのですが、折角なので弥生の公式noteでも近日中に公開するそうです。役員陣の個性が発揮されていますので、お楽しみに(笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 19:51 | TrackBack(0) | 弥生

2022年01月04日

新年のご挨拶 2022

明けましておめでとうございます。

新春を迎え、皆さまにおかれましては健やかに新年を迎えられたことと、謹んでお慶び申し上げます。

2021年は、一昨年からの新型コロナウイルス感染症の影響で、経営者にとっては暗闇の中を手探りで歩むような日々が続きました。その一方で、社会全体の効率化はもちろん、ニーズにあわせた公的支援やより柔軟な働き方の実現のために、デジタル化を推進する機運が高まった1年でもあったと思います。

弥生は2020年に発足した電子インボイス推進協議会の代表幹事法人として、大企業から中小・小規模事業者まで、全事業者が共通して利用できる電子インボイスの仕組み構築に取り組んでいます。単に紙を前提とした「電子化」(Digitization)を進めるのではなく、デジタルを前提として業務のあり方そのものを見直す「デジタル化」(Digitalization)を推し進め、業務全体の圧倒的な効率化を実現することが必要です。電子インボイスを利用することで、情報の発生源からデジタル化することによって、売手側の請求書発行から入金消込、買手側の請求書管理から支払までの業務を大幅に効率化することができます。2023年10月に開始するインボイス制度を、法令改正対応だけで終わらせるのではなく、社会全体のデジタル化に向けた第一歩、そして圧倒的な効率化を実現するチャンスとして活かすべきだと考えています。サービス立ち上げに向け、本年も官民連携でデジタル化を推進してまいります。

弥生自身としては、2021年を通じて「事業支援サービス」の拡充に取り組んでまいりました。「事業支援サービス」は事業の立ち上げと発展、さらには承継の過程で生まれる様々な事業課題を、情報提供およびパートナーをつなげることで解決し、支援するサービスです。2021年3月に「起業・開業ナビ」、2021年10月に「資金調達ナビ」、そして2021年12月に「税理士紹介ナビ」をリリースしました。これまでに蓄積した事業者に関する知見とデータ、全国11,000以上の弥生PAP会員の力を活かし、起業から事業承継まで、小規模事業者の困りごとをトータルに支援します。本年も「事業コンシェルジュ」の実現に向け、「事業支援サービス」をさらに強化してまいります。

また弥生の子会社であるアルトア株式会社では、金融機関へ会計データ与信モデルの提供を開始しました。アルトアは、与信モデルや審査システムを金融機関へ提供するLaaS(Lending as a Service)事業を推進しており、2021年はその第1号案件をりそな銀行様と開始しました。今後、提携金融機関を増やし、データを蓄積することで、与信モデルのさらなる精度向上を図ります。

2021年12月、弥生は「当社の株主変更に関するお知らせ」を発表しました。弥生の株主は、株式譲渡実行日である2022年3月1日(予定)に、これまでのオリックス株式会社から、コールバーグ・クラビス・ロバーツ・アンド・カンパニー・エルピー(以下、「KKR」)の関係会社になります。

株主は変わりますが、弥生の経営体制や事業が変わることはありません。弥生の代表取締役社長は、私、岡本が引き続き務めます。弥生が行っている業務ソフトウエアおよび関連サービスの開発・販売・サポート事業その他一切についても、今後も変わらず継続します。弥生PAP会員や金融機関をはじめとする各パートナーの皆さまとも、引き続き良好な関係性が継続できるよう努めてまいります。

今回、KKRを新たな株主として迎えることで、弥生は「事業コンシェルジュ」を目指すための強力なパートナーを得ることができました。今後はKKRとともに、提供するサービスの進化を加速し、日本の経済を支えている中小・小規模事業者の皆さまの成長に寄り添い、伴走して参ります。さらには、弥生自身のみならず、業務ソフトウエア業界、さらに日本社会全体のダイナミックかつ革新的なトランスフォーメーションを実現したいと考えています。

今年の干支(十二支) 「寅」は「動」の意味があり、植物の例えとして草木が初めて地上に生ずる状態を表しています。そのため、「芽の出たものが成長していく年であり、これから物事の象徴が生まれる(始まる)年」とも言われています。弥生は「事業コンシェルジュ」としての進化を続け、お客さまが事業を立ち上げて発展させる中で、お客さまが安心して業務を進められるようにバックオフィス業務、ひいては事業全体をサポートしてまいります。

末筆となりましたが、皆さまにとって本年が素晴らしい年となりますようお祈り申し上げるとともに、引き続き、弥生株式会社をご支援賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

弥生株式会社
代表取締役社長
岡本 浩一郎
posted by 岡本浩一郎 at 17:21 | TrackBack(0) | 弥生

2021年12月28日

仕事納め 2021

弥生は今日で仕事納めです。毎年のことではありますが、今年も実に速く過ぎ去った一年でした。年初には想像していなかったことですが、今年も新型コロナウイルスの影響を受け続けた一年となりました。

ただ、影響は受けつつも、それなりにやりたいことをできた一年でした(もっとも海外渡航だけはまだ目処がたっていません)。じっとしていられない貧乏性ゆえ、プライベートでは3つの目標を掲げていましたが、一番大きなチャレンジであったトライアスロンも無事完走することができ、この年末までに目標を3つとも達成できそうです。

仕事という意味でも充実した一年でした。昨年の新型コロナウイルス禍の初期の頃は、皆が仕事のペースをつかめず、結果的に私のスケジュールに結構余裕があったのですが、今年は容赦なくスケジュールを詰め込まれた一年でした(苦笑)。移動も少ないため、朝から晩まで打合せに参加しているだけで体力というよりは「脳力」がヘロヘロに。ただ、スケジュールが詰まり過ぎて、じっくりと考える時間をあまり取れなかったことは反省点でしょうか。

スケジュールが埋まり過ぎたというのは様々な要因が複合した結果ですが、最大の要因は間違いなく、電子インボイス推進協議会関連です。昨年末にPeppolを採用する方向性が固まり、この1月から日本版の標準仕様策定に取り組んできました。社内からも社外からも、周りからは、よく社長がここまで時間を使うな、と思われていたことかと。歩みとして十分とは言えず、まだまだやるべきことは残っていますが、先日お話しした価値観の変化、すなわち、「会計ソフトには入力が必要ないのが当たり前」への価値観の変化のためには欠かせないものですから、引き続きしっかり取り組みたいと思います。

そして年末には株主が変わるというビッグニュース前回もお話ししましたが、グローバルな投資ファンドから今後の成長性を評価いただき、さらなる成長に向けて伴走いただけることになりました。

来年は電子インボイスをはじめ、ここしばらく取り組んできたものが形になる年。今からワクワクが止まりません。

来年ワクワクしながら走り続ける(含むトライアスロン)ためにも、年末年始はしっかりと休みたいと思います。皆さま良いお年をお迎えください。
posted by 岡本浩一郎 at 13:05 | TrackBack(0) | 弥生

2021年12月27日

KKRとは

10日ほど前に、弥生の株主がオリックス株式会社から、グローバルな投資会社であるKKRに変わることを発表しました。まずは、オリックスとKKRの間で弥生株式の譲渡に関する契約が締結された段階であり、実際に弥生の株主がKKRに変わるのは来年春の予定です。

このKKRという会社、知っている人は知っている、特にグローバルな金融業界で言えば知らない人はいない存在ですが、その一方で、初耳という方も多いかと思います。「KKR」とググってみると、まず出てくるのはこちらですから、共済が弥生を買収するのか???と思われるかもしれません。私の地元でKKRというと、港の見える丘公園の隣という最高のロケーションにあるこちらになります(笑)。

今回弥生の株主となるKKRの正式名称はコールバーグ・クラビス・ロバーツといい、ニューヨークを本拠とする国際的な投資会社です。Kohlberg, Kravis, Robertsというのは、創業者3名の名前です。この3名によって1976年に創業された、投資ファンドの元祖とも言える歴史のある会社であり、KravisさんとRobertsさんは、今年共同CEOの座からは降りたそうですが、今でも現役なのだそうです。投資ファンドの元祖でもあると同時に、規模としても世界有数。運用資産は今年の9月末時点で4,590億ドル。えーっと、ざっくり50兆円という途轍もない規模ですね。同時に(PEファンド部門)の投資先110社の売上高は合計2,690億ドル、ざっくり30兆円だそうですから、こちらも桁違いです。

KKRは、2006年から日本で活動を開始しており、日本ではPHCホールディングス(元パナソニック ヘルスケア、本年東証一部に上場)や西友などに投資をしています。

弥生は、来年春から、このポートフォリオの一部をなすことになりますが、これはとても光栄なことだと考えています。弥生はかつて(2000年代初頭)は、アドバンテッジパートナーズという日本の投資ファンドが、そして2000年代後半から2010年代前半はMBKパートナーズというアジアの投資ファンドが株主でした(私が弥生の社長に就任したのはこのタイミングです)。ついに今回、舞台はグローバルとなり、真にグローバルな投資ファンドから今後の成長性を評価いただき、投資先として選んでもらったということです。日本、アジア、グローバルときて、さすがに次は宇宙規模の投資ファンドというのはありませんから、投資ファンドをパートナーとしてというのは今回が最後になるのかと思います。

今後については色々な選択肢がありますが、一つのオプションとしては、KKR傘下でさらなる成長を実現した上で、証券取引所への公開を目指すというのがメインのシナリオとなるのかと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 18:02 | TrackBack(0) | 弥生

2021年12月22日

弥生の価値

先週金曜日に、弥生の株主がオリックス株式会社から、グローバルな投資会社であるKKRに変わることを発表しました。現段階では、オリックスKKRの間で弥生株式の譲渡に関する契約が締結された段階であり、実際に弥生の株主がKKRに変わるのは来年春の予定です。

今回の取引に関しては、10月から一部で報道がされており、直近では先々週末にも報道がされていました。これらは正式決定および正式発表前のいわゆるリーク記事です。正式な決定もされておらず、また、弥生はもとよりオリックスとしても正式に発表したものではありませんので、私としても対外的に何らコメントしようがなく、扱いには苦慮しました。この種の話は徹底した秘密保持義務が課されているはずなのですが、何なんでしょう、というのが私の率直な気持ちです。

これらリーク記事はそれなりに注目を集めたようですが、注目を集めた一つの理由はその取引価格でしょうか。10月の報道では2,000億円以上、12月の報道では2,400億円とされています。正式な取引価格は公表されておらず、私も正確には知りません(取引はあくまでもオリックスとKKR間のものですから)。ただ、オリックスからは子会社株式売却益が1,632億円であると発表されていますので、まあ当たらずと言えども遠からずと想像が付くかと思います。

この金額をどう見るか、ですが、私としてはKKRに弥生を高く評価していただいた結果だと考えています。一連のプロセスの中で(上でお話ししたようにプロセスは基本的に売主であるオリックスと買手候補間のものです)、私も限られた時間ではありますが、弥生の現況について、そして今後の成長戦略についてお話しをしています。そういったやり取りを通じ、弥生の現状での収益性であり、その安定性への評価に加え、将来に向けて高い成長性、その蓋然性に関する評価が合わさった結果だと考えています。

事業の利益は売上 - コストであり、利益を伸ばそうとすれば、売上を上げるか、コストを下げるか。当然のことながら、弥生は健全な成長のためにはしっかり投資する(結果的にコスト増となる)べきだと考えており、コスト削減で利益をひねり出そうという発想はありません。次に、売上は顧客数×顧客単価と分解することができますが、売上を伸ばそうとすれば、顧客数もしくは顧客単価、あるいはその両方を伸ばす必要があります。先ほど成長性と書きましたが、弥生はお客さまの数をこれまで以上に増やしていくことによって、充分に高い成長を実現できると思っています。

逆に、弥生は自分たちの都合だけで価格を引き上げ、それによっていわゆる顧客単価(ARPU)を引き上げ、無理やり売上増を実現しようとは思っていません。もちろん提供価値を向上させる中で、価格を見直すこと自体は否定しませんが、価値があると認めるのはお客さまですから、自分たちの都合でできるものではなく、お客さまの納得感ありきです。ですから、弥生のお客さま、パートナーの皆さま、ご安心ください。

より多くのお客さまがデジタル化のメリットを実感できるように。そのためには、今足元の売上にはつながりませんが、電子インボイス推進協議会を通じて法令改正対応だけでなく、業務の効率化を実感できるインボイス対応を進めています。また、もっと足の長い話ですが、デジタル化を通じて年末調整のあり方を根本から見直すということにも取り組んでいます。

弥生は5年どころか、10年先を見据えて種を蒔き、じっくりと育てています。従業員やお客さまを犠牲にしての無理のある急成長ではなく、幸せな従業員がお客さまにしっかりとした価値を提供し続けることによって、5年先も10年先も、安定的に継続的に成長することを目指しています。こういった弥生の考え方を、理解、そして支持いただくことが、今回の高い評価につながっています。

まだKKRの皆さんとじっくりとは議論できてはいないのですが、弥生の成長戦略に賛同しており、それを確実に実現するために最大限の協力をしたいと言っていただいています。KKRという強力なパートナーを得て、これから実現できることにワクワクしています。
posted by 岡本浩一郎 at 13:00 | TrackBack(0) | 弥生

2021年12月17日

株主が変わります

本日、弥生株式会社の親会社であるオリックス株式会社とグローバルな投資会社であるKKRは、KKRによる弥生株式会社の株式取得に合意したことを発表しました。

当社の株主変更に関するお知らせ(弥生のプレスリリース)

つまり弥生の株主が、これまでのオリックスからKKRに変わるということです。ただ、逆に言えば、変わるのはその点だけです。弥生の製品やサービスが変わることはありませんし、事業コンシェルジュを目指すという弥生の方向性も変わりません。私を含め、弥生の経営体制も変わりません。

電子インボイス推進協議会社会的システム・デジタル化研究会といった社会全体をデジタル化し、効率化する取り組みも引き続き行っていきます。

今回、KKRという強力なパートナーを得ることにより、弥生自身のみならず、業務ソフトウエア業界、さらには日本社会全体のダイナミックかつ革新的なトランスフォーメーションを実現したいと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 18:15 | TrackBack(0) | 弥生

2021年12月15日

会計ソフトを変えるもの(その5)

随分と長い間引っ張ってしまいましたが、これまで4回に渡って、何が会計ソフトを変えるのかについてお話ししてきました。

吉野さんが言われる通り、銀塩写真が廃れたのは、必ずしもデジカメに性能面で劣ったからではありません。しかし事実として銀塩写真が廃れ、デジカメ、そしてスマホへと変遷した裏には、「写真は撮ってプリントする」から「撮ってメールで送る」とという価値観の変化がありました。

会計ソフトを変えるのは技術ではありません。クラウドやAIといった技術は今後も進化しますし、会計ソフトを変える一因ではあるでしょう。

しかし本当の意味で会計ソフトを変えるのは、価値観の変化です。具体的には「会計ソフトは入力するのが当たり前」から「会計ソフトには入力が必要ないのが当たり前」への価値観の変化です。

だからこそ弥生は、会計ソフトに入力は必要ないのが当たり前、という新しい価値観を創造しようとしているのです。

入力を不要にする仕組みとしては、現在でも弥生スマート取引取込によって、銀行口座の情報を取り込んで自動で仕訳を生成することは可能です。ただ、残念ながら当たり前のように利用される状況にはなっていません。そこには、特に法人の場合、費用がかかることもあってインターネットバンキングの利用が進んでいないという問題もあれば、銀行口座の情報には消費税という概念がない、そのため、軽減税率の導入によって複数税率になった今、正確な税率の判定ができないという根源的な問題もあります。

電子インボイスや電子レシートはそういった状況を変えられる可能性を有しています。電子インボイスや電子レシートには、いつ、誰から誰に、いくらで、どんな商品/サービスが販売されたのか、その際の税率・税額は、といった情報が全てデジタルデータとして含まれます。そのデータを活用すれば、正確な記帳を自動で行うことが可能になります。つまり、電子インボイスや電子レシートが一般的なものになれば、もはや会計ソフトに入力は必要なくなります。

事業者にとって会計ソフトで帳簿を付けることは面倒くさいこと。それに対して、見積書や請求書を発行することは嬉しいことです。お客さまに価値を提供し、それに対して対価をいただくことそのものですから。お客さまに価値を提供し、それに対して対価をいただくために、見積書や請求書を発行すれば、それが裏で自動で帳簿に反映されるようになっていきます。結果として会計ソフトはいわば表から見えない存在になります。それでも、帳簿は随時作成されていますから、入力はなくとも、いつでも必要な時に、今の売上の状況や利益の状況、キャッシュフローなどを確認できるようになります。

弥生は、入力が当たり前のものである今の会計ソフトのあり方には満足していません。弥生自身が牽引して、入力がいらない会計ソフトを実現していくべきだと考えています。そのためには会計ソフトだけを開発しているのでは十分ではありません。電子インボイスや電子レシートといった社会的な仕組みの成立と普及を先導する。その中で、お客さまであり、会計事務所の価値観が変わっていきます。そして価値観が変わる中で会計ソフトのあり方も変わっていきます。もちろんその会計ソフトはクラウドのメリットを最大化できるものでなければなりません。

技術はもちろん重要ですが、本当に物事を変えようとすれば、変えるべきなのは技術以上に、価値観です。価値観が変わるからこそ、技術が普及します。弥生は、技術だけでなく、価値観を変えることによって、会計ソフトのあり方を変えていきます。
posted by 岡本浩一郎 at 23:53 | TrackBack(0) | 弥生

2021年12月08日

会計ソフトを変えるもの(その4)

もうこれで4回目と随分と長くなってしまっていますが、前回までに、中央集中から分散、そして進化した中央集中というテクノロジーの循環サイクルこそが、私が弥生の社長に就任した13年前から、クラウドに取り組み続けている理由であるということをお話ししました。

流行り言葉ではなく、技術の進化という明確な要因に裏付けられた循環サイクルの一環としてのクラウド。そしてそのクラウドは確かに、会計ソフトを変える要因の一つです。ただ一方で、それは技術という観点での要因の一つでしかありません。技術という観点で、クラウドであり、中央集中が望ましくても、実際に使う人たちにとってメリットがなければ普及はしません。いわゆる供給サイドのシーズはあっても、それを需要サイドが求めている(ニーズ)とは限りません。

ここでようやく最初のお題に戻りますが(前置きが長くてスイマセン)、会計ソフトのあり方を本当に変えるのは、クラウドや中央集中といった技術要因ではなく、「私の履歴書」で吉野さんが言われる通り、お客さまの「価値観の変化」だと考えています。銀塩写真が廃れ、デジカメ、そしてスマホへと変遷する際には、「写真は撮ってプリントする」から「撮ってメールで送る」とという価値観の変化がありました。

では、会計ソフトにおける価値観の変化とは何なのでしょうか。

それは、「会計ソフトは入力することが当たり前」から、「会計ソフトに入力は必要ないのが当たり前」への価値観の変化です。入力が必要なのであれば、当然入力の使い勝手は非常に重要です。多くの会計事務所がデスクトップ版の弥生会計に拘り続けるのは、会計ソフトには入力が必要であることが当たり前であり、その際の入力効率を重要視しているからです。弥生会計ならサクサク、仕事が捗る。ですが、入力が必要なくなればどうでしょうか。入力のしやすさ、サクサク感というものは意味を持たなくなります。

同時に、入力をなくすためには、クラウドと常時つながっていることが必要になります。電子インボイスや電子レシートが当たり前になり、それらが常時何もしなくても自動的に取り込まれる。クラウドと常時つながっているからこそ、様々な取引がデータとしてリアルタイムで連携され、それを基に仕訳が自動的に生成される。だから入力はいらない。

お気付きかと思いますが、弥生が今、電子インボイス推進協議会(EIPA)の発起人であり、代表幹事として日本における電子インボイスを当たり前のものとするための活動に取り組んでいるのはまさにここに理由があります。つまり、クラウドによって会計ソフトを変えるのではなく、会計ソフトに入力は必要ないのが当たり前、という新しい価値観を創造することによって会計ソフトのあり方を変えようとしているのです。(いよいよ次回は最終回)
posted by 岡本浩一郎 at 21:19 | TrackBack(0) | 弥生

2021年12月03日

会計ソフトを変えるもの(その3)

前回は、コンピューティングパワーとネットワーク帯域の増大によって、中央集中から分散、そして再び中央集中という技術の循環サイクルができているとお話をしました。だからこそ、2008年、私はクラウドという言葉が一般的でない時代に、これからはSaaS(クラウド)と宣言できたのです。

もっとも、中央集中か分散かは、使い勝手の観点からは答えはそう単純ではありません。ユーザーは、既に自分のPCで色々とできることに慣れています。それが、中央集中の時代になった(戻った)から使い勝手は犠牲になります、ではユーザーは納得しません。これまで通りの使い勝手は維持しなければならない。そうなると、分散の良さを活かした中央集中ということになります。

例えば、分析そのものは使い慣れたExcelで、でもそのデータはクラウドに保管し、チーム内でも共有できるという組み合わせになります。また、スマホアプリもまた分散の良さを活かした中央集中です。Gmailにせよ、Twitterにせよ、Slackにせよ、Webブラウザーで使うことができます。ただ、そうすると使い勝手としてはイマイチ。だからこそ、スマホアプリを使うわけです。スマホアプリは、端末であるスマホのリソースを使って動いていますから、本質的に分散の仕組みです。ただ、常にクラウドとつながっていることにより、データの観点では中央集中になっています。つまり、やはり分散と中央集中の組合せです。

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(社内資料を思いっきり公開、笑)

実は、テクノロジーの循環サイクルは、振り子のように中央集中と分散の間を行ったり来たりという訳ではありません。実際に起こっているのは、スパイラル、すなわち、進化しつつの融合です。中央集中(メインフレーム)から分散(PC)へ、そして再び中央集中(クラウド)へ。しかし、ここで言う「再びの中央集中」は、以前の「中央集中」と同じものではありません。上でお話ししたような分散の良さを活かした中央集中、言い換えれば進化した中央集中です。

ちなみに、中央集中→分散→中央集中の次として、再び分散を意味するエッジ・コンピューティングという概念があります。重いデータを中央に送ることなく、分散して処理する。例えば自動車の自動運転では大量のデータをリアルタイムに処理する必要がありますから、エッジ・コンピューティングは欠かせません。ただ、これも、PCと同じような分散に戻るということではありません。分散と中央集中がそれぞれの良さを活かしつつ融合していくということです。

だいぶ長くなってしまいましたが、これが私が弥生の社長に就任した13年前から、クラウドに取り組み続けている理由です。(まだまだ続く)
posted by 岡本浩一郎 at 18:39 | TrackBack(0) | 弥生

2021年12月01日

会計ソフトを変えるもの(その2)

私が10年以上前にこれからはSaaS/クラウドと言い切ったのは、テクノロジーは一定の循環サイクルによって進化しており、このサイクルに基づくとテクノロジーの主流はSaaS/クラウドになると当時から考えていたからです。ここで私が言うサイクルは、技術の浸透を示すTechnology Adoption Lifecycleではなく、循環サイクルです。

循環サイクルと言えば、経済で有名ですよね。クズネッツとかキチンとか。これらの循環サイクルは何年から何十年という時間軸で社会の動きがあり、それが景気に影響を与えるとしています。主要なものとしては、技術革新を原因とする40〜50年周期のコンドラチェフ、人口・建設関連の15〜25年周期のクズネッツ、設備投資の8〜10年周期のジュグラー、在庫循環の40ヶ月前後の周期のキチンといった循環サイクルがあるとされています。

この循環サイクルという概念はテクノロジーにも当てはまります。残念ながら定説となっている景気循環サイクルに対し、テクノロジーの循環サイクルというのはメジャーではない(主張しているのは私だけ?)のですが。

私が唱えるテクノロジーの循環サイクルは、中央集中と分散の間での循環サイクルです。そしてそのサイクルを生み出しているのは、コンピューティングパワーとネットワーク帯域の増大です。

初期のコンピューターと言えばメインフレーム・コンピューターでした。日本でコンピューターの活用が始まったのは、1960年代終わりごろから1970年代ぐらいで、当時は三井銀行や野村證券が先進的ユーザーとされていました。利用されていたのはメインフレーム。性能面で言えば今のiPhoneの方が桁違い(どころではなく圧倒的に)優れていますが、この時代のコンピューターはとても貴重なものであり、とても高価でした。貴重で高価でしたから、一人一台なんてことは夢のまた夢(というか物理的に大きすぎて無理です)。

結果として、メインフレームは中央に設置し、それを皆で使うという形態にならざるを得ませんでした。当初はメインフレームがあるところに行かなければ使えませんでした(そもそも入力方法は紙のカードに穴をあける、パンチカードという仕組みでした)。ネットワークにつながったとしても、その帯域は極端に狭く(kbpsになるかどうかの世界)、できることは極端に限られていました。つまりメインフレームの時代は、コンピューティングパワーが希少であり、なおかつネットワーク帯域も限られていたので、技術的に中央集中にならざるを得なかったのです。

その状況が変わってきたのは1980年代から1990年代。その原動力となったのはPCです。MS-DOSが登場したのは1981年。PC-9800シリーズの登場は1982年です。当初は高価でごく一部の人が使うだけだったPCですが、1995年のWindows 95の登場で一般的なものになってきました。価格面でも一人に一台が視野に入るレベルになってきました。ただ、この時代はまだまだネットワーク回線の帯域は限られていました。公衆回線を使った通信は高速化してきたといえども28.8kbpsといったあたり。また家庭内はもとより、事務所内でもLANを敷設することもまだそこまで一般的ではありませんでした。

PCでコンピューティングパワーは向上し、一人一台も視野に入ってきた。しかしネットワーク帯域が限られる中で、結果的にそれぞれをバラバラで使う分散にならざるを得ませんでした。EUC(エンド・ユーザー・コンピューティング)というのはこの時代の表現ですが、エンド・ユーザーができることが格段に拡大したということでもありますし、同時に、分散の結果、管理が行き届かなくなったともいえます。

再び状況が変わってきたのが2000年代です。事務所内でLANの敷設は一般的になってきましたし、外部との通信もADSLの技術により、一気にMbpsの速度が実現されました。孫さんがYahoo! BBでADSLモデムを配りまくったのが2001年のことです。コンピューティングパワーは引き続き向上する中で、ネットワーク帯域が広がることによって、コンピューターに関わる歴史上初めて、中央集中か分散かが選べるようになったのです。

中央集中か分散か選べるようになった中で、どちらが望ましいか。少なくともコンピューターの管理の観点からは答えは明確です。それは中央集中。分散は、それぞれが使用している端末の管理が極めて難しいことは、一定規模の会社のIT管理者が皆、痛感していることです。また、分散の場合、稼働している端末もあれば稼働していない端末もあり、全体として利用率は高くありません。つまりコンピューティングパワーを無駄にしていることになります。これらは全て、メインフレームの中央集中の時代にはなかった問題が、分散になることによって生じてきたものです。ですから、中央集中か分散か選べるようになった時代において、コンピューターの管理の観点では答えは一択で、中央集中になります。

つまり、コンピューティングパワーとネットワーク帯域の増大によって、中央集中から分散、そして再び中央集中というサイクルができているということです。だからこそ、2008年、私はクラウドという言葉が一般的でない時代に、これからはSaaS(クラウド)と宣言できたのです。(続く)
posted by 岡本浩一郎 at 18:49 | TrackBack(0) | 弥生

2021年11月29日

会計ソフトを変えるもの(その1)

少し前に、ノーベル賞受賞者である吉野彰さんの日経新聞の名物連載である「私の履歴書」について取り上げました。私にビビビッと強烈に響いたのが、技術によって当たり前のものとなる「三種の神器」に対し、廃れていく技術としての「三種の鈍器」(これは吉野さんの造語)についてのくだり。いわく、三種の鈍器の一つである銀塩写真が廃れた理由は、性能面でデジカメに劣るからではなく、価値観の変化であると。

確かに、カメラ付き携帯電話が登場し、「写真は撮ってプリントする」から「撮ってメールで送る」と、価値観が一変しました。写真は撮るけど印刷はしない。家族や友人と共有したり、SNSで共有したり。私自身、写真を撮る枚数は銀塩写真からデジカメ、そして今はスマホになって飛躍的に増えました。一方で、印刷する枚数は激減しています。

技術面の優劣以上に重要なのは価値観の変化。技術に関わるものとして、これはまさに私が常日頃から考えて続けていることです。弥生の手掛けている会計ソフトについても、まさにこの考え方が大事だと思っています。

会計ソフトも大きく変わってきていますし、今後さらに変わっていきます。その要因は何でしょうか。会計ソフトの動向に詳しい方であれば、クラウドが会計ソフトを変えると答えられるかもしれません。事実として、クラウド会計ソフトは徐々に普及してきています。特に個人事業主で新たに会計(申告)ソフトを使い始められる方に関しては、クラウドアプリケーションが過半を占めるところまで来ました。確かにクラウドは、会計ソフトを変える要因の一つではあります。ただ、それは要因の一つでしかありません。私は、会計ソフトのあり方を本当に変えるのは吉野さんの言われる「価値観の変化」だと考えています。

誤解のないようにお話しすると、弥生はこれまでもこれからもクラウドに否定的ではありません。実際問題として、弥生はクラウド会計(申告)ソフトの市場において、既にずっとNo. 1ですから

弥生は私が弥生の社長に就任した13年前から、クラウドに取り組み続けています。当時はクラウドという言葉自体が一般的ではなかったので、SaaS(Software as a Service)と言っていましたが。私が弥生の社長に就任した際には、就任の記者会見を行ったのですが、その場で私は、「弥生をSaaSの会社にする」と宣言しています。当時取り上げていただいたあるメディアでは、この会見を「弥生がYaaS宣言」とまとめていただきました。YaaS, Yayoi as a Serviceって、いいですよね。

なぜ私が10年以上前にこれからはSaaS/クラウドと言い切ったか。それは、テクノロジーは一定の循環サイクルによって進化しており、このサイクルに基づくとテクノロジーの主流はSaaS/クラウドになると当時から考えていたからです。テクノロジーのサイクルというと、Technology Adoption Lifecycleが有名であり、これはもちろん極めて重要な考え方ですが、私がここで言うサイクルは循環サイクルです。(続く)
posted by 岡本浩一郎 at 16:40 | TrackBack(0) | 弥生

2021年11月24日

弥生PAPカンファレンス 2021秋終了

前回少しふれましたが、先週金曜日で7会場+オンライン2回に渡る弥生PAPカンファレンス 2021秋を無事に終えることができました。初回が名古屋で10/13に開催でしたから、1ヶ月ちょっとということになりますが、あちこちに出張すること自体が久し振りということもあって、結構長丁場に感じました。

個人的に今回のPAPカンファレンスで嬉しかったのは、全国7会場で無事に開催することができたということ。この6/7月に開催したカンファレンスでは新型コロナウイルスの感染拡大状況を踏まえ、仙台札幌の2ヶ所以外は会場での開催を断念せざるを得ませんでした。その前、昨年の秋は、会場開催を早期に断念せざるを得ず、オンラインのみでの開催。さらにその前の昨年の初夏はまだ状況が流動的であり、カンファレンスの開催自体を断念せざるを得ませんでした。ということで、仙台と札幌以外の会場では、2019年の秋以来、実に2年振りとなりました。多くの皆さんと久し振りにお会いでき、本当に嬉しかったです。

一方で、オンライン開催も完全に定着したように思います。一回目では軽く1,000名を超える方に参加していただくことができ、どのリアル会場もはるかに超える参加者数となりました。先週開催した二回目も500名弱の方に参加いただきました。

リアル会場の方は、感染拡大防止の観点からかなりキャパシティを絞っての開催となりましたが、お申込みに対する実際の参加率が高かったのがとても特徴的でした。楽しみにしていました、という声もかけていただき、本当に開催できて良かったと実感しました。

オンラインとリアル会場を合計すると、2,000名弱の参加者となりました。これは過去最高の参加者数です。

足元では新型コロナウイルス感染症は収束傾向に見えます。もっとも感染が減少した理由がわかっていない以上は再び拡大する可能性もある訳で決して油断はできませんが。ただ、仮にこのまま収束したとしても、今回確立したオンライン+リアル会場というハイブリッド開催は今後も続けていくものと思います。オンライン開催もリアル会場開催もそれぞれの良さがあります。可能な限り選択肢を提供する。それが弥生の選択です。
posted by 岡本浩一郎 at 21:54 | TrackBack(0) | 弥生

2021年11月19日

弥生 22 シリーズ

すっかりタイミングを逸してしまいましたが、約1ヶ月前、10/22(金)に弥生が提供するデスクトップアプリケーションの最新版である「弥生 22 シリーズ」の発売を開始しました。10/14(木)に開催した記者発表会でも、タイトルとして「弥生 22 シリーズ発表および事業概況説明会 - 弥生の現況と業務デジタル化への取組み -」となっているだけに、弥生 22 シリーズについてもお話ししました。

もっとも、弥生の活動領域が広がっているだけに、発表資料(パワーポイント)45枚中、「弥生 22 シリーズ」に直接関係するページはわずかに4枚でした。だからといって、弥生にとって、弥生 22 シリーズの重みが失われているということは決してありません。個人事業主ではクラウドアプリケーションの利用が一般化していますが、法人のお客さまの場合、まだまだデスクトップアプリケーションの方がニーズが高いのが現実ですから。

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さて、ここしばらくは弥生PAPカンファレンス 2021秋のために出張が多かった(今日ようやく7会場+オンライン2回の開催を無事に終えました)のですが、自分のオフィスに戻ってみると、いつの間にか弥生 22 シリーズ仕様に模様替えされていることに気が付きました。昔も今も、家電量販店店頭での陳列は弥生のブランド力の根底を成しています。最終的にはクラウドアプリケーションを利用されるお客さまであっても、まずは近所の家電量販店でどんな会社/製品があるのかをチェックされる方も多いのです。そこで、ああやっぱり弥生がNo. 1なんだね、と一目で見てとれるようになっていることが重要だと思っています。

ちなみに新型コロナウイルス禍の中でも、特に地方の家電量販店の業績が底堅かったことは、弥生の販売データからも見ることができます。やはりそれだけ日本においては家電量販店が生活に密着したインフラになっているということだと思います。

私の部屋の模様替えですが、今回もYさんがやってくれたようです。若手に任せたのかと思いきや、若手が忙しくしていたので、自分でやりました、ただKさんとNさんにも手伝ってもらいました、とのこと。ちなみにKさんはベテラン、Nさんは大ベテランです。これは誰々の仕事ではなく、やれる人がさっさとやる、というのも弥生らしいな、と感じました。Yさん、Kさん、Nさん、有難うございました!
posted by 岡本浩一郎 at 21:24 | TrackBack(0) | 弥生

2021年11月11日

転勤の意味

前回は、福岡や広島のメンバーと久し振りに会えて嬉しかったと書きましたが、これにはやや特殊な事情もあります。というのは、この一年間で、大阪から広島、大阪から福岡に転勤になったメンバーがいたから。通常であれば、転勤元での送別会、転勤先での歓迎会があって、私もこれ幸いと駆け付ける(笑)のですが、この環境下では、それができていません。転勤になったメンバーがどうしているのかな、と心配していました。

今回久し振りに元気な顔を見ることができて安心しました。そういった意味では、名古屋でも東京から名古屋に転勤になったメンバーに会うことができましたし、逆に福岡から東京に転勤になったメンバーもいます。皆元気にやっていますが、これだけ日常の生活も制約を受ける中で、新しい環境というのはそれなりの苦労もあるようです。

こう書くと弥生では転勤が多いように見えるかもしれませんが、もともと拠点数がそこまで多くないこともあり、全体的には転勤は多くはありません。なおかつ弥生では、新型コロナウイルス禍を機に、転勤のあり方自体を見直しています。リモート勤務も当たり前となる時代。地方から東京オフィスの仕事をするのも可能と言えば可能な時代です。そういった時代において、明確な目的なしに単なるローテーションで転勤ということはありえないと考えています。これを受けて、現在では、本人の意向も踏まえて転勤を決定することを明確化しています。

転勤によって新しい立場で新しいチャンスを得る訳ですし、転勤自体が否定されるものではありません。転勤に際しては、本人と議論し、それが本人のキャリアアップにつながることを本人として納得した上で転勤するということとしています。つまり、転勤となった皆は、自らの意思でチャレンジすることを選んだわけです。だからでしょうか、今回各拠点で久し振りに会うことのできた皆の顔は輝いているように(少なくとも私の目には)見えました。
posted by 岡本浩一郎 at 22:27 | TrackBack(0) | 弥生

2021年11月09日

こちらも久し振り

10月半ばから弥生の会計事務所パートナー(PAP会員)向けのカンファレンス「弥生PAPカンファレンス 2021秋」を開催しています。今回は、オンラインとリアルのハイブリッド開催となりますが、10月末までにリアル会場が7会場中3会場、オンライン開催が2回中1回終了しました。

11月に入って、先週の金曜日からは後半戦(会計事務所向けのイベントということで、一般的に業務繁忙となりやすい月末/月初は避けるようにしています)。後半戦は、リアル会場が4会場、オンライン開催が1回。後半戦一回目となる先週の金曜日は福岡、そして昨日月曜日は広島での開催でした。両会場とも実に久し振りです。カンファレンスとして開催するのは実に2年振り。カンファレンス以外の出張としては、福岡は昨年の2月以来、広島は実に一昨年の12月以来です。

リアル開催ではどの会場も定員を例年より減らしていますが、減ったは減ったなりに盛況。やはりリアルで話を聞きたい、コミュニケーションを取りたいというニーズはあるんだな、と実感します。広島会場はお申込みに対して、実際の参加率が驚異的な96%でした。久し振りの開催を楽しみにしていただいていたからこその数字だと思います。久し振りでありつつも面白いのは、2年振りであっても、いざお会いしたらそんなに時間が経っていないように感じること。毎回お越しいただいている方も多いので、すっかり顔馴染みというところでしょうか。

久し振りという意味では、福岡や広島のメンバーと会うのも実に久し振り。社内のイベントも全てオンライン化する中で、Zoomごしでは顔は見てはいましたが、やっぱりリアルで会うと嬉しいものですね。でも、こちらもいざ会うと意外に時間は経っていないように感じます。やはり既に関係性がしっかり構築されていれば、1年や2年会わなくても、関係性が崩れることはないということでしょう。例年カンファレンス終了後には軽く打上げを行うのですが、今回は、まだ油断できないということで、人数/時間を限定してほんの気持ち程度。次回福岡や広島に来た際にはもう少しくつろいで皆とワイワイやりたいものです。
posted by 岡本浩一郎 at 19:56 | TrackBack(0) | 弥生