2017年08月28日

サンプリングバイアス

少し前に「コンビニの支払い、4割が現金派」という調査結果が公表されていました。この調査によると、コンビニで買い物する際に、現金で支払う人が37.9%、電子マネーが29.8%、クレジットカード・デビットカードが29.4%とのこと。この結果に対し、あるブロガーが「コンビニで現金使う人ってバカなのかな」と発言して、話題になりました。この他にも「コンビニで現金使う人ってバカではなく『迷惑』」という発言も話題に。

個人の選択の問題なので、バカといった表現は全く適切ではないと思います(まあ、炎上商法ですね)。ただ、私が注目したのは実は別のポイント。電子マネーとクレジットカード(非現金)で約6割。これってむしろ結構高く感じませんか? 日本は現金社会と言われますが、非現金で約6割であれば、もはや現金社会とは言えないのでは?

個人が支払いをする際の決済手段のシェアについては、クレディセゾンが経済産業省他の数字をもとに推計している数字が引用されることが多いようです。2015年度(本pdfのP36)は、現金の割合が49.5%(前年対比2.4pt減)。それに対し、クレジットカードは16.0%(+1.1pt)、デビットカードが0.2%(±0.0pt)プリペイドと電子マネーで5.6%(+0.9pt)。合計しても、21.8%にしかなりません。このシェアの数字には、振込・口座振替、ペイジーといったコンビニでの買い物には利用されない手段も含まれているので、その分を一旦除外して計算し直すと、現金が69.4%、非現金(クレジットカード/デビットカード/電子マネー)で30.6%という割合になります。個人的には、むしろこれくらいの割合が妥当かな、と感じます。

もう少し具体的に言えば、職場にあるコンビニは、ビル内に大手のクレジットカード会社が入居していることもあり(?)、非現金の率が高いような気がしますが、自宅近くのコンビニは現金の方が多いように感じます。もちろん、非現金の割合が高まっていることは間違いなく事実だと思いますが、それでも、現金が4割、非現金が6割と言われると、さすがに違和感を感じます。

だいぶまわりくどく前置きしてしまいましたが、私は、冒頭の調査にはだいぶサンプリングバイアスが入っているのではないかな、と感じました。調査の際の対象者と、母集団にずれが発生しているのではないか、ということです。よく読んでみると、この調査は「クレジットカードを保有している」「会員」に対し、インターネットを通じて行われているとのこと。対象がクレジットカード保有者に限られていますから、この調査では現金率が低く、非現金率が高く出るのは当たり前のこと(ちなみに、JCB調査(pdf)によればクレジットカードの保有率は約8割とのこと)。会員が対象ということで、その年齢構成や年齢分布も結果に影響を与えているのではないでしょうか。

弥生でも様々な調査を継続的に行っていますが、サンプリングバイアスには苦労しています。代表的なところでは、クラウドの利用意向。インターネット調査でのクラウド利用意向と、電話等を通じた調査でのクラウド利用意向にはかなり大きなずれが出ます。調査の際には、つい見たい現実を見てしまう(結果を自分に都合よく解釈してしまう)ものですが、調査の前提・手法も含めてキチンと設計しないと、実は誤った結論に飛びついていた、ということになりかねませんので、注意が必要です。
posted by 岡本浩一郎 at 19:03 | TrackBack(0) | ビジネス

2017年04月10日

メガトレンド

前回、BCG経営コンセプト(市場創造編構造改革編)という二冊の本をご紹介しました。内容の解説は私にとって荷が重いので、是非実際にお読み頂ければと書いたのですが、一点だけもう少し掘り下げてみたいとと思います。それは、市場創造編のP121でコラムとして紹介されている「メガトレンド」。

事業環境が劇的に変化する中で、将来の予測が難しくなってきています。そんな中で、どうせ将来を見通せないからと中期経営計画の策定をやめる会社もあるようですが、将来の予測が難しくなってきているからこそ、不確実な将来に備え、適応力を高めることが必要です。そのために有効な手法のひとつがシナリオプランニングであり、そのシナリオを作成する上では、「世の中の大きな変化を正確にとらえ、自社のビジネスにあてはめて考えることが重要」となります。

世の中の構造的な変化、それが「メガトレンド」です。「10〜20年の長期スパンにわたり非常に高い確からしさで発生することが予見される、非連続かつ不可逆な変化の潮流」。今日/明日を変えるものではないが、深いところで確実に人や社会のあり方、ビジネスのあり方を変える大きな流れ。

ちょうど今日、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は、長期的な日本の人口を予測する「将来推計人口」を公表しました。今から約50年後の2065年の日本の人口は、15年比3割減の8,808万人という試算。これでも近年の30〜40歳代の出生率の実績が前回推計より上昇していることを踏まえ、若干の上方修正だそうです。とはいえ、50年後には日本の人口が今より3割も減少しているというのは、将来のビジネス環境を考えると途轍もない程の影響をもたらします。単純に言って市場が3割も目減りすれば、多くの事業は成り立ちません(実際には、高齢者向けなど伸びる市場もあるでしょうし、採算性の悪い事業者が淘汰されることによって、残存者利益が生じるといったこともあるでしょうが)。

ただ、この人口減少というメガトレンドは今日/明日の市場、あるいは、今期の売上に直接的に影響があるわけではありません。そういった意味で無視するのは容易ですが、企業の将来戦略を考える上では、むしろ出発点として考えるべきです。

弥生の経営を考える上でも、こういったメガトレンドが出発点になっています。人口が減っていく中で労働集約型の業務がどうなっていくのか。今は人を採用することが比較的容易でも、5年後、10年後に同様とは限りません。ITの力を活用し、お客さまの業務をどのように効率化するか(もちろん弥生自身の業務も効率化する必要があります)。最近は、なんでもかんでもAI(Artificial Intelligence, 人工知能)と言われるので(コンピュータで処理するものは全て?)、やや食傷気味ですが、こういった技術を活用して、人間がやらなくてもよい業務を自動化し、逆にそれによって人間がやるべき業務に集中できるようにするべきだと考えています。

もちろんITは手段でしかありませんし、個人的には今の極端なAI万能論は行き過ぎで、そう遠からずAIバブル(?)が崩壊することもあるのではないかと考えていますが、それでも、本質的に価値を提供できる技術は残り、私たちの生活であり、業務を大きく変えていくでしょう。

弥生がクラウドに取り組むのも、流行りだからではなく、それが中央集中への回帰というメガトレンドだからと考えているからです。ただ、クラウドもあくまでも手段に過ぎませんから、クラウドという中央集中ならではの管理効率の高さと、ローカルの使い勝手の良さの組み合わせを目指すべきだと考えています。

弥生がなぜクラウドに取り組んでいるのか、その裏にどういったメガトレンドを見ているのか、については、本ブログでお話ししたつもりだったのですが、今確認してみるとキチンとお話しした記事はないようなので、また改めて書いてみたいと思います。AIについても、また機会をみてお話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 20:25 | TrackBack(0) | ビジネス

2017年04月06日

BCG経営コンセプト

少し前に、「BCGのワザ」という記事を書きました。プレゼンの資料作成テクニックはボストン コンサルティング グループ(BCG)で学んだ、というもの。

これはこれで事実なのですが、BCGの価値はプレゼンや資料じゃないだろ、という突っ込みが内輪から入りそうです(苦笑)。はい、その通りです。前回の記事でも、経営コンサルティング会社にとって本当の成果物は、お客さまの業績であり、プレゼンではない、と書きました。プレゼンはあくまでも手段である、と。

本当の成果物は、お客さまの業績。そういった観点から、かつては正論を言うだけと見られがちだった戦略コンサルティングファームも、実践に力点を置くようになっています。Make It Happen。お客さまの進むべき道を提言するだけではなく、その際に必要となる改革をお客さまと共に実行する。どんなに価値のある戦略であったとしても、それが実行・実現されない限り、価値はありません。実際、私自身も経営者として、より多くの時間を割いているのは、圧倒的に「実行」、Make It Happenです。

一方で、正しい道を向いていない限り、どんなに頑張って実行したところで、結果につながらないのも事実。仮にマクロ的な力によって、どんどん市場が縮小しているような状況であれば、その市場の中でどんなにもがいたとしても結果にはつながりません。この場合は、市場の定義をどう変えるかを考えるべき。

つまり、何だかんだ言って戦略は大事。もちろん実行も大事。

2017040601.jpg

BCGがその名の示す通りボストンで生まれたのが1963年。東京オフィスができたのが1966年。昨年2016年はBCG東京オフィスの50周年でした。この機会をあわせて、出版されたのが、BCG経営コンセプト 市場創造編BCG経営コンセプト 構造改革編という2冊の本。前者は内田さん、後者は菅野さんといずれも私がBCG在籍中にお世話になった大先輩です。お二人は既にBCGを卒業され、今はお二人とも早稲田大学ビジネススクールの教授です。

内容の解説は私にとって荷が重い(苦笑)ので、是非実際にお読み頂ければと思うのですが、この二冊は二つの意味で味わうことができると思います。

一つはBCGが提唱する経営コンセプトであり経営戦略の進化を理解するという意味で。BCGはその誕生から、戦略に特化したコンサルティングファームとして実績をあげてきました。「エクスペリエンス・カーブ」「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」などの経営コンセプトは、経営戦略をかじったことのある人であれば一度は耳にしたことがあるのではないかと思います。これらの経営コンセプトは時代の流れを超え、今でも有効です。同時に、グローバル化やデジタル化といった時代の波にあわせ、新たな経営コンセプトも生まれてきています。こういったBCGの経営コンセプトの進化を理解するというのが一つの味わい方。

もう一つはBCG自体の進化を理解するという意味で。BCGもそれ自体が会社ですから、生き残りのためには進化が必要。戦略コンサルティングファームでも、かつての成功モデルを粛々と繰り返しているだけでは継続的な成功は実現できません。BCGの提供する価値は、かつては戦略でとどまっていたものが、やがて、実行にまで広がり、そして今、戦略、実行に加え、コンサルが一緒にいるからこそ実行できるのではなく、自社で戦略を立案・実行し、成果をあげられる組織能力の構築(Enablement)にまで広がってきています。つまりBCG自体も明確な戦略を持ち、進化してきたからこそ今があるわけです。

本当のBCGの「ワザ」を是非ご堪能下さい。
posted by 岡本浩一郎 at 18:35 | TrackBack(0) | ビジネス

2017年03月24日

BCGのワザ

私は社内/社外を問わず、年間かなりの数のプレゼンテーションを行っています。最近はスタッフが作るプレゼンの質が上がり、多少手を入れて使うことも増えてきましたが、それでも多くは自分で作成しています。プレゼンのテクニックなり、プレゼンの資料作成テクニックをどこで学んだのか、と聞かれることがありますが、前者については、自分の経験から自分自身で編み出したもの。一方で、後者に関しては、前々職であるボストン コンサルティング グループ(BCG)で学んだことが一番大きいと考えています。

誤解を受けがちですが、経営コンサルティング会社にとって本当の成果物は、お客さまの業績であり、プレゼンではありません。ただ一方で、プレゼンは、お客さまにメッセージを明確に伝え、お客さまが自分事として動けるようにするために非常に重要な手段です。それだけにプレゼンに関する拘りは徹底していますし、徹底して叩き込まれます。苦しみながらようやく作ったプレゼンを全てボツにされることも珍しいことではありません。

プレゼンでよく陥りがちなのは、伝えたいことが多すぎ、かつ整理されていないため、結果的に何を伝えたいのかが曖昧になってしまうこと。プレゼンの鉄則は、ワンスライド・ワンメッセージ。一枚のスライドで伝えるメッセージは一つに絞ること。当然メッセージも、徹底的に考え抜かれたものである必要があります。「あなたのメッセージはクリスタライズされていません」というダメ出しは、私と同時期にBCGに在籍した人は一度は聞いたことがあるフレーズです。クリスタライズ、そのまま訳せば結晶化となるかと思いますが、ファクトをもとに徹底に考え抜かれた結果としてインサイト(洞察)という次元に昇華された、という意味合いです。

2017032401.jpg

クリスタライズというところはなかなか難易度は高いですが、BCGの資料作成ワザに関しては、以前も本ブログで少しご紹介した奥秋さんが広く世間に発信されています。この度、「効率よく作れて、パッと伝わる一番シンプルな資料作成術」という本を監修し、出版されたとのこと。拝読しましたが、資料作成のツボであり、コツが簡潔によくまとまっているかと思います。以前出版された「プレゼン資料作成のツボとコツがゼッタイにわかる本」がプレゼン作成の実践編だとすると、今回の本はプレゼンだけではなく、報告書やレポートなどにも活用できる入門編。来る4月には新入社員が入社し、新入社員研修が始まるかと思いますが、新入社員向けの研修資料としても最適なのではないかと思います。

余談ですが、その人が作ったプレゼンを見るだけで、ああ、この人はBCG出身なんだな、とわかります。当然フォーマットなどは別ですが、プレゼンの「匂い」でわかってしまいます。それだけ、BCGのワザが染みついているんでしょうね。
posted by 岡本浩一郎 at 13:12 | TrackBack(0) | ビジネス

2017年01月18日

辞めませんか?

年賀状について書いた「辞めます」に続いて、釣りタイトルの第二弾です(笑)。

天皇陛下の退位について、議論はまだまだ尽くされていませんが、2019年1月1日に皇太子さまが新天皇に即位し、同時に元号を改める検討に入ったと報道されています。この通りに進めば(まだまだ紆余曲折はありそうですが)、平成は30年までとなり、2019年からは新しい元号が始まることになります。新しい元号が何になるのか興味深いところですが、業務ソフトを提供する立場からすると、早めに決めてもらえると有難いのが正直なところ。むろん、弥生会計/弥生会計 オンラインをはじめとして、新元号への対応を行う必要があるからです。

ということで、もちろん対応は行うのですが、この機会に提言したいのは、実務上はもう元号の利用を辞めませんか、ということ。誤解のないように付け加えると、元号そのものはあっていいと思いますし、日本の文化の大事な一部ですから、あるべきだ、とも思います。しかし、それを日常生活や、ビジネスの現場で使う必要はないのではないでしょうか。

実際問題として、民間企業での実務では、ほとんど西暦中心になっているかと思います。一方で、元号から抜けられていないのが、官公庁向けの書類。弥生会計 17では平成28年分所得税確定申告に対応していますし、弥生給与では平成28年分年末調整に対応しています。これらは対象となっている業務が元号で表記されている以上、弥生としても同様な表記をせざるを得ません。しかし、実際問題として平成28年分と言われても、昨年なのか、今年なのか、はたまた来年なのかピンと来ないのは私だけでしょうか。

年数の経過を考える上でも(わかりやすい例で言えば年齢の計算)、昭和と平成だけであれば何とかなっても、昭和+平成+新元号となるともはやパッとは計算できません。私自身については、昭和と平成だけでもパッと計算できず、必ず西暦に変換して計算しています(そういう人、多いですよね)。

ただでさえ日本は生産性が低い、人口が減る中で生産性を上げる必要があると言われる中で、こういった慣習についても予断を持たずに見直すべきなのではないでしょうか。さすがにこれは年賀状のように、辞めますと自分だけで決められる話ではありませんので、社会的な議論が必要だと思いますし、その上で、元号のヘビーユーザーである官公庁に率先して変えて頂ければと思っています。弥生としても、官公庁が西暦表示に変えて頂けるのであれば、喜んでそれに対応したいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 17:50 | TrackBack(0) | ビジネス

2016年11月28日

年収が高い人ほど歩くスピードが速い? (解説編)

前回ご紹介した「年収が高い人ほど歩くスピードが速く、せっかちである」というリリースについて、本当に因果関係が存在しているのかという問題提起をしました。年収が高くなると本当に歩くスピードが上がるのか、はたまた、歩くスピードが上がると年収が高くなるのか。前回は、これはおそらく疑似相関であろうということをお話ししました

疑似相関であろうというヒントは、調査対象にありました。調査対象は、「ムーヴバンド3」の利用者のうちアンケートに回答した1,229人 (男性: 735人/女性: 494人、年齢:19歳から77歳)とのこと。つまり男女、老若が混在しているという事です。

容易に想像できますが、身長差がある分、男性の方が女性より歩くスピードは速い。そして、事実として、男性の方が女性より平均年収は高い。国税庁が毎年発表している「民間給与実態統計調査」(直近は平成27年分、pdf)によると、1年を通じて勤務した給与所得者のうち、男性の平均給与は521万円、一方で女性の平均給与は276万円と実に2倍近い差があります。男女での年収格差の是非はともかく(もちろん個人的には問題だと考えていますし、弥生では単純に男性だから年収が高いとか、女性だから低いといったことはありませんが)、事実としてこれだけの差があるのです。

これだけの差がある中で、男女を混在して年収と歩くスピードを相関させることの無理はご理解頂けるでしょう。男性は(一般的に)女性より背が高く、従って歩幅が大きく、歩くスピードも速め、そして歩くスピードと直接の因果関係はないが、年収も高め。一方で、女性は(一般的に)男性より背が低く、従って歩幅が小さく、歩くスピードも遅め、そして、年収も低め。

なお、念のためですが、より厳密に言えば、女性であることが直接的な原因として年収が低くなるという単純な話ではなく、女性の方が勤続年数が短い、女性の方がいわゆる非正規雇用の率が高いといった複数の要因が年収の違いにつながっているものと思います。

男女を混在させたのと同様な問題は老若が混在していることにもありそうです。上記の民間給与実態統計調査[年齢階層別の平均給与]を見れば、60歳を越えると年収がガクンと下がることがわかります。一般的に言えば、60歳を越えて年齢を重ねれば歩くスピードは遅くなってきます。そしてそれと直接的な因果関係はないものの、60歳を超えると平均年収も下がる。

では、本来はどのような分析をすべきだったのでしょうか。まずは、母集団として(年収分布という意味で)特性の異なる男女を一緒にするのでなく、分割すべきだと思います。男性だけを母集団として、あるいは女性だけを母集団として、年収が高い人ほど歩くスピードが速いということを示せれば、そこには何らかの因果関係があると考えることもできたはずです。老若に関しても、いわゆる現役世代と引退世代で分けて分析すべきでしょうね。

もっとも、注意が必要なのは、リリースの「年収が高い人ほど歩くスピードが速く、せっかちである」ということ自体は誤りではありません。「〜という傾向がある」ぐらいは書くべきだと思いますが、リリースでは、年収と歩くスピードで「因果関係がある」とは言及していないからです。本文をよく読んでみれば「早歩きをすれば、年収があがる、というわけではありませんが」とも記載されています。

つまり、あくまでも、これを読んだ人が勝手に因果関係を想像してしまうということです。ただ、率直に言って、因果関係を想像させる書き方だとも思いますが。本件は無害だとは思いますが、最近は様々な情報が溢れる中で、ある意味似たような印象操作がそれなりにあるように感じています。書かれていることを鵜呑みにするのではなく、自分なりに「なぜ」を考える姿勢が必要とされているように思います。
posted by 岡本浩一郎 at 21:20 | TrackBack(0) | ビジネス

2016年11月25日

年収が高い人ほど歩くスピードが速い?

ちょっと前に、NTTドコモ(ドコモ・ヘルスケア)が、「年収が高い人ほど歩くスピードが速く、せっかちであることが判明!?年収1,000万円以上の人は平均年収の人より約1.2倍速で歩いている」というプレスリリースを出していました。「ムーヴバンド3」というデバイスを利用している人へのアンケートおよび歩行に関するデータを用いて、年収と歩行速度の関係を調査したところ、なんと(!)、「年収が高い人ほど歩くスピードが速く、せっかちである」という結論に至ったのだそうです。

このリリース中にある「年収ごとの平均歩行速度」というグラフを見ると、確かに、年収が上がるにつれて、平均歩行速度が上昇しているように見えます。年収が100万円未満の場合は2.46km/hだったものが、年収が1,000万円以上になると3.13km/h。

単純に考えれば、歩く速度を上げれば、年収も上がる!?と考えてしまいます。例えば、年収が400万円以上500万円未満の人(平均歩行速度が2.69km/h)が、頑張って歩く速度を3.13km/hまで上げれば年収も1,000万円以上にまで上がる? 歩く速度を上げると、より有効に時間を使うことができ、それが年収増につながるのでしょうか? とはいえ、例えば一日7.5km(歩幅75cm×10,000歩)歩くとして、平均歩行速度が2.69km/hから3.13km/hに上がったとしても所要時間は23.5分しかかわりません。23.5分の余剰時間が年収倍増につながる?

普通は何かおかしいな、と感じられるかと思います。まず、一つ目の突っ込みどころとして、原因と結果を取り違えている可能性があります。原因が歩行速度で、結果が年収であれば、確かに歩く速度を上げれば年収も上がることになります。ただ、因果関係が逆で、原因が年収で、結果が歩行速度(年収が高い人ほど忙しいから歩く速度も上がる?)であれば、頑張って歩く速度を上げても、残念ながら年収は上がらないことになります。

二つ目の突っ込みどころとしては、そもそも因果関係が存在しているのか。実際問題として、これは因果関係が存在しない、疑似相関の可能性が高いのではないかと思います。

疑似相関の説明でよく見る例としては、アイスクリームの売上と溺死者の数の相関関係。アイスクリームの売上が最も高い時期には、プールでの溺死事故も最も多い。ということは、アイスクリームの売上増が溺死増の原因ではないか? アイスクリームを食べると、幸せな気分になり、気を緩めるから溺死者が増える? でもまあ、普通に考えれば、そんな因果関係はないことはわかりますよね。より妥当な説明としては、夏の暑さがこの二つの事象の共通の原因であるというもの。暑くなると、アイスクリームの売り上げが上がる。また、プールに行く人も増えて、結果的にプールでの溺死事故も増える。ただ、アイスクリームの売上と溺死増には直接的な因果関係はありません。

さて、それでは歩く速度と年収の関係の裏にある、本当の因果関係は何でしょうか。ちょっと長くなったので、私の見解はまた次回。
posted by 岡本浩一郎 at 22:51 | TrackBack(0) | ビジネス

2016年11月04日

G1経営者会議

昨日11/3は祝日ですが、終日、G1経営者会議というカンファレンスに参加しました。G1は、グロービスの堀さんが中心に立ち上げた組織(一般社団法人)で、次世代を担うリーダー層が集い、学び、議論する場として、G1サミットが2009年から開催されています。

今回私が参加したのは、「G1経営者会議」。「日本経済の中枢を担う代表的企業のリーダーが集い、混迷と停滞の打破を目指す」ことを目的に2012年から開催されています。私自身が「日本経済の中枢を担う代表的企業のリーダー」というのはかなり無理がある気がしますが、折角お声掛け頂いたまたとない機会ですので、天気の良い秋の祝日を費やして(苦笑)参加してきました。

2016110401.jpg

プログラムは、朝9時からの全体会からスタートし、複数の分科会を経て、夕方5時過ぎの全体会まで、みっちり一日。その後は懇親会。

分科会は同時に開催される中から一つ選ぶのですが、当然これでしょ、と容易に選べる時もあれば、どれにするか結構悩むこともあります。今回、結構悩んで選んだ分科会で思わぬ発見がありました。

ここしばらく、全く新しい事業を立ち上げる準備を進めているのですが、この事業を具現化するためにはどうしても越えなければならないハードルがあります。ハードルがあるからこそ、有望な新事業になりえるわけですが、このハードルはなかなかの難問。今回参加した分科会では、解を見出せたわけではありませんが、一つ糸口を掴めたような気がしています。ああ、今日参加することになったのは、この糸口を見つけるためだったんだな、と心の中でガッツポーズ。

経営者として、やろうと思えば、いくらでも仕事はある(作れる)訳ですが、目の前の仕事に忙殺されていては見えなくなるものもあります。日常と異なる環境で、日常と異なることを考えるからこそ見えてくるものもあります。今後も、こういった機会は意識して作っていきたいと思っています。

PS. ちなみに田端さんが衝撃を受けた分科会には参加しておりません(笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 18:44 | TrackBack(0) | ビジネス

2016年08月16日

夏休みの宿題

弥生カスタマーセンターは本日まで夏期休業を頂いています。新しい祝日、山の日とカレンダーにも恵まれての6連休。最終日の今頃はサザエさん症候群になっているスタッフも多いような気はしますが(人間ですから、笑)、リフレッシュして明日からは元気にお客さまのお問合せにお応えしたいと思います。

夏休みと言えば、宿題。宿題と言えば、読書感想文ということで、こちら。

2016081601.JPG

池井戸 潤氏の最新作「陸王」。買ってから少し放置していましたが、読み始めたら500ページ越えもあっという間でした。池井戸氏といえば、代表作は半沢直樹シリーズ。ミーハーではありますが、半沢直樹シリーズから入り、それ以前の作品も一通り読破し、今は最新作が出るのを楽しみにし
ています。

元々は銀行マンが主人公の作品が多く、それはそれで銀行の方とのお付き合いも多い中で面白かったのですが、下町ロケットシリーズや本作のように中小企業の社長が主人公の作品は相当感情移入してしまいます。

実際に会社経営をしている立場からすると、ちょっと出来過ぎじゃないの、とか、いやー、それはちょっと、と思う部分もあるのですが、これはあくまでもエンターテイメントですから。そしてエンターテイメントとして、中小企業経営の苦しさと同時に楽しさ、醍醐味を広く一般に伝えるという意味で、とても素晴らしい作品だと思います。

エンターテイメントであって、経営書ではない。これを読んだからと言って経営ができる訳でもない。ただ、逆に経営書には書いていない本当に大事なことが表現されていますし、だからこそ多くの人に読まれるのだと思います。

それは会社を動かすのは、人であるということ、そして人を動かすのは想いであるということ。弥生はソフトウェアとサービスの会社ですが、それを作り、動かしているのは、人。そしてその人を動かすのは、想いです。それは弥生のお客さまである中小企業、個人事業主も同じです。

今回の陸王もまさに池井戸節全開でした。次作も期待しています。
posted by 岡本浩一郎 at 19:15 | TrackBack(0) | ビジネス

2016年03月17日

経歴詐称が話題になっていますが、実は私、5年前に一緒にラジオ出演したことがあります。当時はマスコミへの出演はほぼこのラジオ番組だけだったのではないでしょうか。生放送で一時間弱もご一緒しますから、どんな方だろうとプロフィール等を調べ、うーん、と思った記憶があります(こちらも経営コンサル出身ですから、ピンと来る来ないはあります)。ただ、ラジオのパーソナリティとしてはとても素晴らしい方でした。私のような素人をうまく盛り上げて、さすがの仕切りだな、というのが私の感想。

何せテレビを見ないので、その後ここまで活躍されていたというのは正直認識していませんでしたが、大活躍だったのですね。残念ながら、今回明らかになったことには言い訳の余地はありません。ただ、あえて言えば、周りはどうだったのでしょうか。薄々わかっていたけど、ビジネスになるから何も言わなかったのではないか、あるいは、華々しい経歴を安直に活用したいがために、ろくにバックグラウンドチェックをしなかったのではないか。本人の責任であることは確かですが、周りにうまく使われてしまったのではないか、そんな気がしてなりません。

ちなみに、私の経歴には一切の詐称はございませんので、念のため(笑)。遊び呆けていたせいで、東大の卒業はかなりギリギリでしたが。研究室からは、これ以上在席させてもろくに研究しないので、さっさと卒業させる、とされたのは紛れもない事実です(苦笑)。

ただ、ビジネスをしていると、嘘をつきたい誘惑にかられます。自分を大きく見せたい時。思った程の成果が得られない時。ちょっとぐらいだから、数字を作ってもいいんではないか。今は結果が出ていなくても、すぐに盛り返す。どうせすぐに追い付く。しかし、思った程の成果が得られないのには理由がありますから、願いに反してすぐに追い付くことは叶いません。そうなると、さらに数字を盛らなければならない。成長を演出するために嘘を付いていると、もっともっとハードルが上がっていく。右肩上がりの成長を演出するために、さらに嘘を重ねていく。そして現実と嘘のギャップがどんどん広がっていく。でもギャップが広がれば広がるほど、嘘を認めることができなくなる。

おそらく最初は「嘘」という意識はないのでしょう。ちょっと数字を盛るだけ。でも、それは間違いなく嘘の始まりですし、やがては取り返しがつかなくなっていく。周りもわかっていても、嘘の方が都合がいいから何も言わない、むしろさらなる嘘を煽っていく。

一つ確かなのは、真実はいつか明らかになるということ。だからこそ、弥生も私も、このブログのタイトル通り、「愚直」に拘り続けたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 23:10 | TrackBack(0) | ビジネス

2016年01月08日

復活劇

日経ビジネスオンラインで、「復活TASAKI、さらば『ダサい真珠』」という記事が掲載されています。実は弥生とTASAKIには共通点があります。それは、ちょっと前まで、MBKパートナーズという投資ファンドが株主であったこと。弥生は一昨年の12月にオリックスグループ入りし、MBK学校を一足先に卒業しましたが、記事中にも書かれている通り、TASAKIもMBK学校からの卒業(=持ち分の売却)を始めています。

詳細は是非記事をお読みいただきたいのですが、「TASAKIのこれまでの復活劇は、ブランド再生の王道を、教科書通りに実践したとも言える。実際、最近の取締役会では、こんな言葉が交わされているという。『何でこんな当たり前のことを自分たちでできなかったのだろうか』」という下りが印象的でした。

弥生はさらなる成長を目指すステージ、TASAKIは再生のステージと、置かれているステージは異なりましたが、同じMBK学校の仲間として、比較的近いところから、TASAKIの再生の歩みを見てきました。正直に言って、最初は半信半疑。本当にうまくいくのかな、と。記事中でもMBKの池田さんが「正直、最初の1〜2年は数字が上がらず、やきもきした」と素直に語っていますが、私も同様に感じていました。

ただ、今こうやって振返ってみると、MBKに招聘されて、TASAKIの社長に就任した田島さんには最初から答えが見えていたのでしょう。タクーン・パニクガル氏をクリエーティブ・ディレクターに登用したこと、そしてその大胆なデザインをそのまま商品化したことも含め、打ち手がその後着実に結果につながっている様はあっぱれとしか言いようがないです。

まずは教科書通り、当たり前のことを当たり前にやる。これは弥生の成長の中でも実践してきたことです。TASAKIもある意味、冷静に考えれば当たり前のことをしっかりやってきた。ただ、TASAKIの復活は、それだけではないし、誰にでもできることではないと感じています。田島さんの先見性/リーダーシップと、COOである小川さんの実行力、そして株主であるMBKの理解(辛抱?)が組み合わさって初めてここまで来れた。教科書通りとも言えるし、同時にこれからの教科書に乗せたくなるような見事な復活劇です。
posted by 岡本浩一郎 at 20:42 | TrackBack(0) | ビジネス

2015年09月18日

数字は「足し算・掛け算」の"シンプル数字力"でOK

既に一週間ほど経ってしまいましたが、9月10日に発売になった日経ビジネスアソシエの最新号の特集は、「Excel (エクセル) で数字に強くなる! - “数字が苦手”でも大丈夫!」。この特集のPART1、「経営トップが明かす『数字力』」というコーナーに、あの獺祭の蔵元である旭酒造の桜井社長と並んで、私のインタビューが掲載されています。

2015091801.jpg

私のインタビューのタイトルは、「数字は『足し算・掛け算』の"シンプル数字力"でOK」というもの。私は一応理系ではあるのですが、数学は得意ではありません。大学入試のための、三角関数、微分積分は何とかこなしましたが、行列はやや苦手としていました。大学に入ってからの線形代数は正直言ってよく単位が取れたな、というレベルです。

そんな私ですが、数学ではなく、数字自体は決して嫌いではありません。むしろ好きと言えると思います。以前社内報にこんなことを書きました。

「エリック・カール展」を見てきました。お子さんのいらっしゃる方には説明不要でしょうが、Eric Carle(http://www.eric-carle.com/)とは、絵本作家で「はらぺこあおむし(The Very Hungry Caterpillar)」の作者です。とにかく有名なのははらぺこあおむしなのですが、この他にも40冊以上の絵本を書いているそうです。

はらぺこあおむしは47ヶ国語で出版され、総部数が2,900万部。その他の著作をあわせるとなんと8,800万部に達するそうです。8,800万部を平均単価1,000円とすると、880億円!。作家の印税を10%とするとEricさんの取り分は88億円になります(正確には、英語版と翻訳者の印税も発生する外国語版を分けて計算した方が良いかもしれませんね)。さらに、我が娘は泣き叫んで小さなあおむしのぬいぐるみをゲットしましたが、こういったグッズからもライセンス料が得られますから、実際の収入は100億円を超えているのではないでしょうか。ちなみにEricさんは、今年80歳ですが、秋冬春はFloridaで、夏はNorth Carolinaでのんびりと暮らしながら創作を続けられているようです(羨ましい!)。さらにちなみにですが、大ベストセラーHarry Potterシリーズは全世界で4億部を超えているそうですから、まさに桁が違います。

こんな感じで、数字について考えることは結構好きなのです。ただし、その際に出てくるのは足し算と掛け算のみ(もちろんその裏返しとして引き算・割り算もあります)。

ちょっと前に三角関数は必要かという議論もありましたが、むろん少なくとも概念として三角関数を理解していることは大事だと思います。ただ、概念として理解しているというのと、バリバリと活用する/活用できるというのは別の話。実社会もそうですが、ビジネスの世界でも、ほとんど足し算・掛け算で足ります。そういう観点から、三角関数やら行列が苦手だから、数学が苦手、数学が苦手だから数字も苦手となってしまうのは勿体ないことだと感じています。

正直あまり奥深いことを語っている訳でもないのですが、逆に、この程度の「数字力」でもそれなりにビジネスで結果を出すこともできるんだ、と読んで頂ければ幸いです。
posted by 岡本浩一郎 at 17:32 | TrackBack(0) | ビジネス

2015年04月21日

君は英語でケンカができるか?

What the hell are you talking about?
(このバカ、なに言ってやがる!)

Would you please shut your big mouth?
(そのデカい口をどうか閉じてくださいませんか?)

私の大先輩である平松 庚三さんの新著、「君は英語でケンカができるか?」にはこんな文例が出てきます。平松さんは、弥生で私の前の前の社長であり、弥生の社長から火中の栗を拾ってライブドアの社長になった方。

2015042101.jpg

冒頭の表現は一般的な英語学習本にはなかなか出てきませんが、TVドラマや映画などではちょこちょこ出てくる表現ですので、耳にされた方もいらっしゃるかもしれません。とはいえ、現実の世界でこれらの表現を使うのは勇気がいります。正確に言えば、勇気というよりも、会話の相手やシチュエーションを選びますね。

そういった意味で、この本は一般的な英語学習本ではありません。英語だけを学びたい人にはあまりお勧めできません。この本は、副題に「プロ経営者が教えるガッツとカタカナ英語の仕事術」とある通り、伝わってくるのは、英語術以上に、生き方であり、仕事術です。キャリアのスタートから度重なる危機(危険と機会)、それを機転とネアカとユーモアで乗り越える平松さん。自分の経験を踏まえているだけに説得力があります。面白さに一気に読んでしまいました。

英語は手段に過ぎない。英語だからと気後れするのではなく、下手でも開き直ればいい。何より大事なのは、相手に通じさせたいという意志。こんなメッセージは、例えば英語をプレゼンという単語に置き換えても成り立つのではないでしょうか。一度きりの人生を自分らしく、ネアカに生きたいという方にお勧めです。

本をご紹介ついでにもう一冊ご紹介したいのがこちら。「帳簿の世界史」。古くはローマ帝国から直近ではリーマン・ショックまで、世界の歴史において帳簿、すなわち会計がどのような役割を果たしてきたのかを追った一冊です。こちらはまだ私も読み始めたばかりなのですが、これは(これも)面白いです。多少なりとも会計に興味のある方は是非。

2015042102.JPG
posted by 岡本浩一郎 at 19:00 | TrackBack(0) | ビジネス

2014年10月10日

コンサルと経営者

前回は思わぬ方向に話がそれてしまいましたが、本題に戻って、「コンサル出身者が『プロ経営者』に向かない理由」。

私自身コンサルタント出身者ですが、コンサルタント出身者はプロ経営者になり得ると考えています(そうでないと困ります)。ただ、向いているかどうかでいうと、一般論として向いているとは言えない、とも思います。より正確に言えば、コンサルタントに向いた人と、経営者に向いた人の違いがある、と感じます。新卒や転職などでコンサルタントになり、向いた人はそのままコンサルタントを続けるし、向いていない人は経営者に転向する人もいる。私の場合は後者。

色々とその違いは挙げられると思いますが、大きいと感じるのは、クライアントに対する思い入れだったり、執着。コンサルタントは外部の人間だからこそ提供できる価値を提供します。クライアント社内や業界のしがらみに囚われず、客観的な提言を行う。あまりにもクライアントと一体化してしまっては、コンサルタントならではの価値を提供できなくなります。

また、コンサルタントというのはあくまでも、期間限定のお手伝い。クライアント自身では対処が難しい課題の解決を、期間限定でお手伝いします。ウエスタンのガンマンではありませんが、課題が解決すれば(あるいはその目途が立てば)、クライアントの元を去らなければなりません。敵がやっつけて、めでたしめでたし、これで平和な日々が戻ってくるという時に、その平和な日々にコンサルタント(ガンマン)はいないのです。逆に、危険なのは、クライアントがコンサルタントなしでは成り立たないようにしてしまうこと。つまりクライアントを過度にコンサルタント依存にしてしまうこと。ぶっちゃけ、コンサルティング会社の経営としては、その方がラクではあるのですが、コンサルタントの役割としては邪道です。

つまりコンサルタントはあくまでも外部の人間だし、お付き合いもあくまでも期間限定。これがいいと感じるか、物足りないと感じるか。それがいいと感じるのがコンサルタント向きだし、それでは物足りないと感じるのは経営者向き。プロジェクトが終わって、少し休んだら、全く別のプロジェクトに心機一転挑めるのが、コンサルタント向き。あのお客さまは大丈夫かな、最後までお手伝いしたかったな、もっと極端に言えば、自分でやり遂げたいと思うのが、経営者向き。様々なお客さまの様々なプロジェクトを、それだけ経験が積める、なおかつ、自分ならでは価値を広く提供できる、と思うのが、コンサルタント向き。特定のお客さま向けに、徹底的に価値を提供したいと思うのが、経営者向き。

どちらがいいとか、正しいということではありません。あくまでも志向? 嗜好?の問題。

私の場合は後者でした。コンサルタント時代は、プロジェクトが終わるたびに後ろ髪を引かれる思いをしました。もっと長いスパンでクライアントのお手伝いをしたいとの思いから、一度は自分でコンサルティング会社を起業。でも、最後には、外部ではなく、内部の人間として、そして自分事として、価値を提供したいと思い、弥生の社長というポジションを引き受けました。

経営者に向いている、向いていないというのは、これ以外にもまだ色々なポイントがありますが、コンサルが向いているか、経営者が向いているか、という点においては、やはりクライアントに対する思い入れだったり、執着というのが大きいような気がしています。あくまでも私がそう感じている、ということであり、これが正解という気もないのですが。ただ、周りを見ていると、やっぱりコンサルタントに向いた人はコンサルタントを続けているし、経営者に向いた人はコンサルタントを卒業して、それぞれの道を歩んでいるような気がします。
posted by 岡本浩一郎 at 23:05 | TrackBack(0) | ビジネス

2014年10月08日

プロ経営者

前回、BCG(ボストン コンサルティング グループ)マフィアのネットワークが着実に広がっていると書きましたが、そのマフィアの一人(笑)がNewsPicksの記事にFacebookでいいねをしており、題名も気になったので、その記事を見てみました。記事のタイトルは「コンサル出身者が『プロ経営者』に向かない理由」。コンサル出身の経営者としては、気になりますよね、やっぱり。

この記事は「”プロ経営者”という働き方」という連載の第2回目で、プロ経営者がどのように会社に入っていくか、いきなり自己流の独断専行ではなく、まずは現場を尊重し、現場の声を聞かなければならないといった、成功するパターン、失敗するパターンが示されています。

内容的には、ふむふむ、それなりに納得がいくものです。ただ、ちょっと驚いたのが、記事中に「日本の代表的プロ経営者」という表があり、資生堂の魚谷さん、ミスミの三枝さん、ベネッセの原田さん、サントリーの新浪さん… そして何故か、私の名前が(!?)。ちょうどお昼を食べていたのですが、驚いて吹き出しそうになりました。

極めて光栄ですが、このメンバーの中となると、どう考えても畏れ多いですね。正直に言えば、プロ経営者としての自覚とプライドもありますので、もし自分が魚谷さんの、三枝さんの、原田さんの…、立場だったらどうするかを考えないと言ったら嘘になりますし、自分の方が良い結果を出せる部分もあるだろうとは考えます(部分ですよ、部分)。過信も自信のうち。いつか実力になります(笑)。ただ、もちろん客観的に言って、トラックレコードという意味で、諸先輩方にはまだまだ全く及びません。

そもそもなんで自分がこのリストに載っているのだろうと不思議に思ったのですが、著者の方の名前を見て思い当りました。著者の夏目さんには数年前、週刊誌の取材を受けたことがあります。様々な会社の社長にインタビューするという連載物でしたが、相当な数の社長のインタビューをされていると思いますので、その中で覚えて頂いていたとするととても光栄なことです。もともと日本の会社の社長と言えば、オーナーか、新卒からの生え抜き、親会社からの天下りといったところが典型的パターン。そういった中で、プロ経営者という働き方が注目されるのはとてもいいことだと思いますし。私もまだまだとはいえ、日本でプロ経営者が定着するためにも、着実に結果を出していきたいと思っています。いつかは、こういった表に載っても、畏れ多いと思わないで済むように(笑)。

かなり話が逸れましたが、今回の記事のテーマである、「コンサル出身者が『プロ経営者』に向かない理由」。これはこれで頷ける部分がある一方で、いやちょっと誤解を招くと思う部分もあるのですが、長くなりそうなので、次回に。

ところで、NewsPicksは様々なニュースをユーザーにあわせて提供するニュースキュレーションサービスですが、こういった独自コンテンツもあるのですね。NewsPicksと言えば、東洋経済オンラインを一気にNo.1の座に押し上げた佐々木編集長をヘッドハントし、独自コンテンツも作成するということが話題になっていましたが、9月の末からこのような独自コンテンツの配信が始まったようです。この領域はGunosy, SmartNewsなどが激しい競争を繰り広げていますが、ますます面白くなってきそうです。
posted by 岡本浩一郎 at 23:18 | TrackBack(0) | ビジネス

2014年08月26日

KPIはSMARTに

前回お話しした厚生年金に加入させてもらえなかった件は、誤った管理指標の典型例と言えるかと思います。指標として誤っているというよりは、誤った運用がされていると言った方が正確ですが。

特に重点的に管理すべき管理指標を一般的にKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)と言います。厚生年金や国民年金では、納付率がKPIとして採用されているようですが、前回お話しした事例が示すように、納付率というひとつのKPIだけでは不十分で、必ずしも正しくない行動につながりかねません。

国民年金でも納付率を見かけ上改善するために、保険料の免除や猶予を安易に促していることが問題になっています。保険料の免除や猶予を受けている人は「法律上、納付義務のない免除者や猶予者を計算に含めるべきではない」との考えで、納付率の計算(分母)から除外される、その結果として納付率が高く見えるという仕組みです。

この6月に厚生労働省は、2013年度の国民年金保険料の納付率が60.9%と前年度より1.9ポイント改善したと発表しました。ところが、免除や猶予を受けている人も計算に含めた実質的な納付率は40.2%に過ぎないそうです。それでも前年度よりは0.3%の改善とのことなので、納付率の低下傾向に歯止めがかかったとは言えるかと思いますが、「1.9%改善で60.9%」と見るのか、「0.3%改善で40.2%」と見るのかで、状況の深刻さは異なって見えるのではないかと思います。

一般的にKPIというのは一つだけではなく、複数のKPIを組み合わせて判断すべきです。それに対し、厚生年金や国民年金では、「納付率」という一つのKPIだけが独り歩きしたために、誤った行動を生んでいるように思います。

KPIは一つだけではないというのは、例えば、会社の場合、売上だけではなく、利益も重要な指標ということを考えれば容易に理解ができるのではないかと思います。ただし、売上も利益も実際にはKPIとしてはあまり適切ではありません。

KPIは、計測が可能であり、なおかつ働きかけができる指標(どのようなアクションによって、どのような結果を生むのかという関連性が相当程度明らかになっている)であるべきです。売上や利益に関して言えば、計測は可能ですが、例えば、売上を伸ばすためにどうすればいいかが漠然としすぎていて、何をすればいいのかが明確になりません(ちなみに、売上も利益も重要な指標であることは事実なので、KPIではなく、最終的な成果指標としてのKGI, Key Goal Indicatorという捉え方になります)。

売上に関しては、例えば、売上 = 客数 × 購入頻度 × 購入単価と分解し、それぞれをKPIとして管理することによって、売上が伸び悩んでいる時に、絶対的な客数が伸び悩んでいるのか、購入頻度が伸び悩んでいるのか、あるいは単価が伸び悩んでいるのか、を切り分けることができるようになります。それによって、例えば、客数は計画通りなのに対し、購入頻度が低いのであれば、リピートしてもらえるような施策につながるわけです。

KPIの設定にあたっては、一般的にSMARTを心がけると言われてます。

S: Specific (具体的である)
M: Measurable (計測できる)
A: Achievable/Attainable (達成できる、働きかけられる)
R: Relevant (関連性がある、意味がある)
T: Time-bound (期限がある、一定の時間軸で計れる)

弥生のカスタマーセンターでも複数のKPIを組み合わせて、カスタマーセンターとしての業績を評価しています。少々長くなりましたので、弥生カスタマーセンターにおけるKPI管理は次回お話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 21:58 | TrackBack(0) | ビジネス

2014年04月25日

社長の賞味期限

前回は、帝国データバンクの「全国社長分析」調査から、日本の社長の平均年齢が58.9歳というデータをご紹介しました。なかなか世代交代や新陳代謝が進まず、平均年齢は年々上昇中。このままいくと、2020年ぐらいには60歳の大台に到達しそうです。

私も社長をやっていて痛感しますが、社長の引き際はなかなか難しいですね。私自身は自分で起業した会社で8年間、そして弥生で先達から受け継いで社長を務めて6年ですから、合計14年。社長業としては、初心者は卒業したと思いますが、社長の平均在任期間が27年という前回の試算からすると、ようやく中堅層というところでしょうか。

さて、先日、日経新聞で面白い記事がありました。大元はFinancial Timesの記事ですが、企業トップの在任期間、10年超なら弊害も、というタイトルです。「米ゼネラル・エレクトリック(GE)の取締役会が秘密会議を開き、同社の最高経営責任者(CEO)にとって20年の任期が適切かどうかを議論している」とのこと。曰く「CEOの座に長居しすぎる危険は明確だ。かつて有効だったがすでに時代遅れの戦略を継続してしまうし、自ら社内で引き立てた少数のイエスマンに相談する。顧客や取引業者との交流も減ってしまう」。ただ一方で、「長すぎるのと反対に、企業トップがめまぐるしく変わるのもよくない。就任の際に5年未満の期間を想定していると、長期的な視点で成長軌道を描こうとするより、目立つ成果を上げたいとの誘惑にかられる」。

日本の取締役の任期は一般に2年が多いかと思います。もちろん、継続(重任)もありますが、私の実感としても、社長の在任期間として2年はあまりに短過ぎると考えています。色々なことを変え、色々なことを始めても、結果が出るにはやはり時間がかかります。私の場合、成果が出始めたという確実な手応えを得たのはちょうど2年経過したあたり。2年で終わりでは、これからというところで終了になってしまいます。

今の私は、弥生の社長に就任してからこの4月でちょうど丸6年。この6年間で、大きく言って2つのステージを経てきたと感じています。最初の3年間が立て直し期。それまでの急成長の反動にリーマンショックという外的要因が加わった中で、原点に立ち帰り、足元を固めた時期。そして次の3年間が成長期。立て直しを終えて、順調に成長した時期。この3年間の入り口であるFY11に過去最高の売上を達成し、その後FY12/FY13と記録を更新し続けています。そして今期(FY14)は、消費税率の引き上げやWindows XPのサポート終了などの外的要因もあり、記録を大幅に更新することが確実です。

先ほどご紹介した記事によると、世界の上位2,500企業のCEOの平均在任期間は約6年半だそうです。弥生の企業規模的には上位2,500には到底及びませんが、私も今期末(2014/9)まで務めれば、ちょうど6年半。過去最高記録を大幅に更新して有終の美を飾り…

…と言いそうになりますが、まだここで辞めるわけにはいきません。立て直し期、成長期を経て、これから先の3年間は進化期。この先3年間で、弥生のあり方を大幅に進化させたいと考えています。今はまだその途上ですが、3年以内に、お客さまから認められ、何でも相談して頂ける事業コンシェルジュへ。いい会社からすごい会社への進化も遂げなければなりません。

むろん、今から準備を始めていては間に合いません。既に、様々な準備/仕込みはしてあります。これまでの準備/仕込みが実を結ぶのがこれから先の3年間ということになります。まさにワクワクする3年間。

この3年間の進化期を経て、その先にはいよいよ、とも思いますが、その時にはその時でこれからの3年間は「……期」と言っていそうです。さすがに58.9歳までこのまま(あと14年!?)はないと思いますが…。先ほどの記事では「定説があるわけではないが」と前置きしながら「有能なリーダーにとって7〜10年が適切だと思われる。本当に重要な問題に対処するのに十分な長さであり、妄想に陥る前に退任することができる。それ以上長居すると危険領域に入る。10年超なら弊害も」と書かれています。妄想/弊害/老害と言われないように気を付けます(苦笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 18:00 | TrackBack(0) | ビジネス

2014年04月23日

社長の平均年齢

前回出身大学(日本大学がNo.1)、出身地(東京都がNo.1)という切り口でご紹介した帝国データバンクの「全国社長分析」調査ですが、他にも興味深い結果が示されています。

今回の題名そのままですが、日本の社長の平均年齢は? ずばり58.9歳だそうです。1990年の結果は54.0歳でしたが、毎年じわじわと上昇しています。毎年0.1歳から0.3歳ぐらいの幅で上昇しているので、このままいくと、2020年ぐらいには60歳の大台に到達しそうです。

この調査では社長交代率という数字(過去1年の間に社長の交代があった企業の比率)も出しているのですが、2013年の交代率は3.67%。逆算すれば、平均的な社長在任年数は27年程度ということになるかと思います。30歳で起業して、ずっと社長を続けていれば57歳ということになりますから、平均年齢である58.9歳に近い結果となります。

実際には、大きく分けると、(1)組織として確立しており、社長は定期的に交代しているケース、と、(2)起業してから社長が交代していないケースに分類できるのではないかと思います。今回の調査対象は「株式会社」「有限会社」の代表を務める社長のべ113万6,383人ということなので、大部分は中小企業で(2)のパターンが多いのでしょうね。大企業は(1)のパターンかと思いますが、この場合も後任社長が50歳台が多く、平均年齢を下げる効果は薄いのでしょう。

ただ、今回の数字が「平均」というのは注意が必要です。これはまた別の機会にも書きたいと思いますが、平均値の落とし穴に注意が必要です。例えば、100人いて、半数が40歳、残りの半数が80歳だったら? 計算してみればわかりますが、平均は60歳、ただし、実際に60歳の人は誰もいないということがあります。今回はそこまで極端な「平均値の罠」はないと思いますが…

いずれにせよ、日本の社長の平均年齢は58.9歳。アベノミクスが目指す新陳代謝、世代交代という観点からは大きなギャップのある数字です。私もいつの間にか45歳(アラフィフ?)になって、他人ごとではありませんが、次回はさらに一歩踏み込んで社長の賞味期限について書いてみたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 14:36 | TrackBack(0) | ビジネス

2014年04月18日

日本大学 & 東京

日本大学と東京の共通点は何でしょうか。よく知られていることではありますが、最も多く社長を輩出しているのが日本大学。また社長の出身地別で都道府県を比較すると、最も多いのが東京都です。これは帝国データバンクが毎年行っている「全国社長分析」という調査の2014年の結果です。調査対象は、帝国データバンクが保有する企業概要ファイル「COSMOS2」(2013年12月末時点で約144万社収録)から「株式会社」「有限会社」の代表を務める社長のべ113万6,383人のデータを抽出、ということなので、信頼できる調査かと思います。

改めて数字を見てみると、出身大学別でトップは日本大学で23,049名。これに慶應義塾大学の12,004名、早稲田大学の11,246名が続きます。我が母校、東京大学はと見てみると、だいぶランキングは下がって21位で2,555名。トップの日本大学とは一桁違います。しかし、当然お気付きかと思いますが、そもそも学生の数が多ければそれだけ社長の数も増えるはず。つまり、社長になる可能性を見るのであれば、学生の数との比較でランキングを作成すべきです。

ということで、ちょっと調べてみましたが、日本大学の学生数は68,675名(旺文社「大学の真の実力 情報公開BOOK」より、2013年4月12日)。一方で、東京大学は14,013名(同左、2014年3月4日)。日本大学は社長数23,049に対し、学生数68,675で、比率は0.336。これに対し、東京大学は社長数2,555に対し、学生数は14,013で0.182… ううむ、やはり負けています。それも明らかに。いや待てよ、学生数はあくまでも現時点での学生数だから、過去からの蓄積(累積での卒業生数)で見るべきではないでしょうか。歴史が長ければ、それだけ卒業生数が多く、それだけ社長の数が増えても不思議ではない。ということで、再び調べてみると、ダメです… やはり完敗。ちなみに日本大学の卒業生総数は1,079,563名(大学ホームページ)。これに対し、東大の学部卒業生総数は旧制/新制時代を通算して270,607名(これも大学ホームページ)。歴史としては東京大学の方が長いため、卒業生総数で見ると約4:1ということになります。ただ、社長の数は約9:1ですから、残念ながら完敗です(ちなみに、大学院生の数を含む含まないといったことで上記の数字がある程度変わる可能性はありますが、結論は変わらないと思います)。

では、慶應義塾大学は、あるいは早稲田大学は、とは調べていないので、学生数や卒業生数当たりでの確率で日本大学がトップかどうかは検証できていませんが、東京大学より遥かに上であることは間違いないようです。

ちなみにもう一つのランキング、出身地もやはり確率という観点で見ると、人口との対比で見るべきです。東京都はそもそも人口が多いので、東京都出身の社長が最も多くても何ら不思議ではありません。ただ、ちょっと驚くのが第2位で、実は北海道。東京都が92,902名に対し、北海道は56,571名。人口で考えると、東京都が約1,300万人に対し、北海道は550万人ですから、北海道出身の方が社長になる確率は高いことになります。ちなみに社長ランキングの第3位は大阪府で53,314名、愛知県が47,554名。それぞれの人口は880万人、740万人ですからやはり北海道の方が確率が高いことになります。

福岡の会計事務所、税理士法人 武内総合会計から、事務所通信「Takeuchi Press」を定期的に送って頂くのですが(いつも有難うございます)、春号でこの全国社長分析について触れられており、面白かったので、自分なりにもう少し分析してみました。全国社長分析にはより示唆深い内容も含まれているのですが、これについては、また改めて来週にでも。
posted by 岡本浩一郎 at 23:36 | TrackBack(0) | ビジネス

2014年02月13日

VAIO

昨年7月に「Pro来たーっ!」とVAIO Proを買ったことをお話ししましたが、まさか、そのVAIOが私が買う最後のSonyのVAIOになるとは思っていませんでした。

既にメディアで大きく報道されていますが、この7月を目途に、SonyがPC事業を分離し、投資ファンドである日本産業パートナーズをスポンサー(株主)として、独立した会社として新たな一歩を踏み出すことがほぼ決まったようです。

今回分離の対象となるのは、VAIOブランドのPC事業のみのようで、XPERIAブランドのスマホやタブレットなどは本体に残るようです。VAIOは押しも押されぬ大ブランドであり、VAIOのブランドはそのまま残るようですが、「Sonyの」VAIOは(一定期間は移行期ということで名前だけ残るかもしれませんが)なくなるようです。

私は、独立して自分の会社を立ち上げた2000年以降、Windows PCとしてはずっとVAIOを使ってきました。SR(スペック違いで2台), TR, type T, X, Z, そして今回のPro。作っている方の拘りが伝わってくる、持っていて嬉しいPC、そして、持っていて自慢ができるPC、それがVAIO。今回のニュースは、個人的なファンとしては、なかなか複雑な気分です。

Sonyという偉大なブランドの傘下から外れることは、大きなチャレンジでしょう。ただ一方で、心機一転、様々なしがらみから自由になって、大きく飛躍するチャンスでもあると思います。

ご存知の方も多いかと思いますが、弥生はかつてライブドア・グループの一社でした(2004年にライブドアが弥生を買収)。その後紆余曲折があり、2007年に再び独立することになりました。これは弥生にとっても、大きなチャレンジであると同時に、飛躍するチャンスともなりました。まだ、「大きく」飛躍といえるほどの成果ではありませんが、この6年間で着実に進化を遂げることができました。その起点になっているのは、2007年の独立です。

これまでVAIOを生み出してきた皆さんが、これを飛躍のチャンスとして益々活躍されることを、そして、「Sony」ではないVAIOがどんなワクワクするPCになるのか、楽しみに見守りたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 20:21 | TrackBack(0) | ビジネス