2013年03月21日

借入は減らすな!

確定申告期間も終わり、学校も春休みに入り、桜も間もなく満開。一気に春爛漫という感じですが、一部の中小企業にとってこの3月末はターニングポイントになります。平成21年(2009年)にスタートして、その後延長が繰り返されてきた中小企業金融円滑化法がいよいよこの3月末で終了します。これによって、借入の返済が困難になり(一部)返済を猶予してもらっていた中小企業の倒産等が続く可能性があると言われています。もっとも、銀行の方とお話しする限り、金融円滑化法が終了しても、銀行としての姿勢が極端に変わることはないということで、誰がどう見ても事業の継続可能性がないという場合を除き、中小企業が途端にバタバタ倒れるということはないと考えています。

ただ、中期的に言えば、銀行の融資姿勢がこれまで以上に厳しくなりうるのは事実かと思います。つまり、これまで以上に銀行と賢く付き合う必要があるということです(ここで言う銀行には信用金庫なども含む)。そういった意味で、時宜にかなった本が以前本ブログでもご紹介したことのある税理士の松波先生が出版された「借入は減らすな!」という本です。

この本は、借入が返済できなくて困っているという中小企業よりも、借入はできるだけしたくないという中小企業の方に読んで頂きたいと思います。本書で解説されている「おカネの借り方、返し方」は極めて正攻法ですので、良くも悪くも、金融円滑化法が終了するから、いよいよヤバいという会社には向いていません。むしろ、起業したんだけど、まだ銀行と付き合ったことがない、銀行との付き合いは最小限にしたいと思っている会社にこそ役に立つかと思います。

本書の冒頭でも書かれている通り、銀行からの借入で会社はつぶれません。つぶれるのは、あくまでも現預金が尽きた時です。そういった意味では、現預金のバッファーを確保するという意味で、借入は避けるべきものではなく、むしろ戦略的に活用すべき武器と言えます。ただ、日本人は全体として、借金はよくない、借りたものはさっさと返そうという意識がありますね。個人の立場ではそれは基本的には正解だと思うのですが、事業や会社という立場では正解ではありません。

それでは戦略的に借入を行おうと言っても、どの銀行でもホイホイ貸してくれるほど甘くはありません。本書では、最初にどういった銀行と付き合うべきか、そこからどのように取引銀行を広げていくべきか、また借入の種類をどのように(保証協会付融資からプロパー融資へ)変えていくのかといった実践的なノウハウが詰まっています。

私がかつて自分の会社を起業した時は、一般的に資金繰りが楽なコンサルティング業だったこともあり、銀行からの借入なしで済ませてしまいました。そこには何となく借金は嫌だな、という意識があったことは否定できません。ただ、事業をある程度大きくしようとすれば、借入は避けて通れませんし、むしろ戦略的に活用すべきもの。当時の私がこの本を読んでいたら、考え方が相当変わっただろうな、と思います。おススメです。
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2012年12月07日

small is?

弥生のお客さまは、中小企業、個人事業主、起業家の皆さんです。中小企業といっても、中よりは小。もちろんケースバイケースで、従業員が数百名の会社でご利用頂いているケースも珍しくはないのですが、やはり多いのは一人から10名ぐらいの小規模事業です。言い方によっては、零細企業となるのかもしれません。ただ、零細企業というと、どうしても否定的なイメージがありますね。

ちょっと面白いブログ記事がありました。Business Zoneというウェブメディアの編集者Dan Martinさんが書いたものですが、Danさんと、Twitterの創業者であるJack DorseyさんとのTwitter上でのやり取りを基にしたものです。やり取りのきっかけは、Jackさんが「どんなビジネスであっても、"small"(あるいは"big")と呼ばれたくないはずだ。街中にあるビジネスでも、グローバルに展開したいと思っているかもしれない。買い物はローカルで、考えはグローバルに。」とツイートしたことです。これにDanさんが「smallと呼ばれて悪いことなんかないよ。多くのビジネスがそう呼ばれても別に悪い気はしていない。」と返信。

この後もやり取りが続くのですが、Jackさんの考えとしては、"small"は、"dismissive"(軽蔑的)で"limiting"(制約的)だから、良い表現ではないということのようです。これはまさしく日本語での零細企業のニュアンスですね。

一方で、Danさんとしては、small (business)という表現にそういった否定的な意味はないとしています。私の感覚としてもこちらの意見に賛成ですが、どう受け取るかは人によりますから、なかなか難しいですね。ただ、小さいことが悪いことではないというのは、JackさんもDanさんも共通の意見だと思います。むしろ小さいことの強み(意思決定の早さですとか)もあります。弥生としては、ポジティブな意味で、small businessのお手伝いをしていきたいと考えています。
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2012年05月18日

言葉力

一ヶ月ほど前に、コマツ会長の坂根さんのお話を聞く機会がありました。UCバークレー(UCB)日本同窓会主催の「知の広場」というイベントです。私自身はUCLA卒業ですが、同じUC(Unversity of California)ということもあり、UCLA同窓会とUCB同窓会はイベントの相互乗り入れを頻繁に行っています(ちなみに、一般的にこの種のイベントは閉鎖的ではなく、関心がある方であれば誰でも参加可能ということが普通です)。

当日は東洋経済の本社ビルにある経済倶楽部という(ちょっとクラシックな感じの)会場でしたが、多くの方が参加されていました。それもそのはずで、坂根さんは最近の経済界きっての論客と言われており、講演会はあっという間に満席になるそうです。

とても楽しみにして参加したイベントでしたが、期待以上でした。内容としては、坂根さんの著書「言葉力が人を動かす」と多分にオーバーラップしているのですが、話のわかりやすさ、着眼点の鋭さ、ロジックの明解さ、どれをとってもさすがに一流の経営者は違うと感じさせられました。まさに坂根さんの仰る「言葉力」を実感します。

坂根さんは言葉力を「話術のことではない」、「リーダーの言葉によって多くの人を本当に大事な問題に気づかせ、そちらに向かせ、そして彼らに汗と知恵を出してもらう力のこと」と定義しています。ここから、坂根さんは言葉力を「見る」力、「語る」力、そして「実行する」力に分解しています。「見る」力、「語る」力、そして「実行する」力の三つを大切にするというのは、日頃から私自身が意識をしていることであり、そういった意味で非常に勇気づけられました。誤解のないように言えば、これまで「見る」力、「語る」力、そして「実行する」力とはっきりと整理できていたわけではありません。日頃自分が考えていたこと、意識していたことがすっきりと整理され目の前に見えた、「ああ、そうなんだよ、やりたかったのは、こういうことなんだよ」と膝を打つ感じと言えばいいでしょうか。

意識はしていたとはいえ、私自身の「見る」力、「語る」力、そして「実行する」力を振り返ると、正直まだまだだと感じさせられます。実際に、坂根さんの講演は話術としても素晴らしかったのですが、私がそれ以上に感銘したのは坂根さんの着眼点の鋭さでした。見る力ですね。日本国内だけではなくグローバルの視点でというのは今や当たり前になりつつありますが、単純に今見えている現象だけでなく、その裏にある大きな流れに着目し、そこからこの先何が起こりうるのかを考えていく。時には地球が生まれてからの46億年のという時間軸の中で今とこれからを考える。

この三つの力の中で言えば、比較的自信があるのは、実行する力でしょうか。坂根さんの著書でMBAホルダーを若干揶揄している部分がありますが、それは的外れではなく、単純にビジネススクールで学んだだけでは、表層的な「見る」と「語る」だけに終わりかねない危険性を持っています。「見る」「語る」をもっと深められるかと同時に、キチンと自分のこととして率先して動けるかどうか。私自身がMBAホルダーだけに、逆にここの部分を特に意識してやろうと心がけています。

ただ、まだまだ圧倒的に修練が足りません。それでも、自分が目指している方向が間違っていないこと、そして自分の今を振り返れただけでも本当によい機会となりました。坂根さん、そしてUCB日本同窓会の皆さま、有難うございました。
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2012年05月03日

リスクについて考える

ETIC.のイベントなどでちょこちょことご一緒させて頂いている孫 泰蔵さんがブログでリスクについて書いています。とても良い内容ですので、ぜひご覧ください。孫さんのブログは、記事一つ一つが深いです。拙ブログのようにさらっと読む感じではなく、記事を読むたびに色々と考えさせられます。

羽生さんの「もし人生を自動車の運転に例えるとするなら、年齢を重ねるほどアクセルをふんだほうがいいと思います。なぜなら年齢を重ねるとブレーキのかけ方がわかってくるので、ブレーキが効き過ぎる傾向になるからです。」という言葉に私も考えさせられました。私なりにも解釈を広げさせていただくと、これは年をとって、それなりに業績やら成果やらが積み重なってくると、リスクをとって得るものよりも、失うものが多いように「思えてしまう」ということにもつながるのではないかと思います。

将棋に限らずチャンピオンを目指す人は、その時点ではタイトルという失うものがないですから、果敢にリスクを取ることができます。一方で、いざチャンピオンになったらどうか。勝ったらタイトルを維持できますが、負ければタイトルを失う。そう考えると果敢に勝ちにいくのではなく、とにかく負けないことを目指すようになっても不思議ではありません。あっというような勝ち方はしないけれど、何とか負けない。場合によってのらりくらりとかわしながら、引き分けを目指すという手もあるかも知れません。ただ、こういった勝負の世界では、負けないという姿勢だけではチャンピオンを守り続けることは難しいでしょう。

お陰さまで弥生は前期に過去最高の業績を達成することができました。それではその次は? リスクをとって次なる高みを目指すのか、まあ、こんなものだと思うのか。次の高みを目指すためにはリスクをとらねばならず、それがうまくいかなければ、せっかくここまで積み上げてきたものを失うかもしれません。一方で、年齢を重ねて「ブレーキのかけ方」はわかってきていますから、リスクをとらないでも、だいたいこの程度の結果を、まあ数年間は維持することはできます。

現状に甘んじることは容易です。ですからついついそちらを選びたくなります。ただ、世の中がとてつもないスピードで進化している中での現状維持は後退以外の何物でもありません。確かに数年は何とか現状維持できるかもしれませんが、現状維持が長引けば長引くほど、その先に明るい未来を描くことは困難になります。あれ…、ということは、リスクをとると今ここまで達成したものが失われてしまうかも、という認識自体が誤っているということです。リスクをとらなくても何年後かには失われてしまうものであれば、本来はリスクをとることによるデメリットでは必ずしもない(リスクが顕在化しうるタイミングを変えているだけで、リスクそのものが変わっているわけではない)。

これまでにしたことがないこと、人と違う何かをすることによるリスク、そしてそれが顕在化した時のデメリットは大きく見えます。ただ、そのデメリットが本当にそのリスクをとることによって生まれるものなのかを今一度冷静に考える必要があります。これは私の経験則ですが、実はそのリスクをとろうがとるまいが、いずれにせよそう遠からず発生するデメリット、というケースが多いような気がします。

羽生さんの言葉は、表面上は、年齢を重ねると人間は保守的になりがちなので、と理解できます。ただ、その表裏一体で、年齢を重ねたからこそうまくリスクを取れるようになっている、とも言えます。年齢(より正確には経験)を重ねたメリット。それはリスクの目利きができ、リスクをうまく管理できるようになることです。アクセルの踏むべきポイントがわかっている、ということですね。以前本ブログでも書きましたが、"Risk is not to take but to manage"。孫さんの記事でも"Manageable"というのが一つのキーワードになっていますね。リスクを取るということは、どんなリスクでも無条件で取るということではありません。むしろ取らないで済むリスクは取らない。何らかの方法で排除できるリスクは排除し、どうしても取るべきリスクを取る。経験を重ねることのメリットは、どのリスクは排除できるか、どのリスクは取るべきかという目利きの精度が上がるということです。

逆に経験を積んでいなければ? それは孫さんも書いているようにリスクを徹底的に洗い出して、それが何を意味するのか、考え抜くしかありません。そしてその積み重ねがリスクの目利き能力につながります。

私自身は? うーん、まだまだですね。それなりに経験は積んできていますので、ある程度の目利きはできますが、正直、この分野は終わりのない修練だと感じています。ただ、言えることは、私も会社としての弥生も取るべきリスクを決して恐れることはないということ。リスクをうまく管理することによって、10年後も30年後も日本の中小企業・個人事業主・起業家の皆さんの事業のインフラであり続けられるよう進化したいと思っています。
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2012年02月20日

Windows 8と7とVistaと

本ブログでも何回か取り上げている次期Windows。Windows 8は仮称だと思っていたら、既に正式名称になっているようですね。というのも、先週、WindowsのブログでWindows 8の正式なロゴが発表されていました。この記事で歴代のWindowsのロゴを見ることができますが、Windows 8のロゴは原点回帰で、そのまんまWindows(窓)のイメージです。

まだ正式発表はされていませんが、この2月末にWindows 8の一般向けのプレビューが公開されると言われています。そして、発売は年内。Windows 7が(2009年)10月22日の発売でしたので、同じようなタイミングとの見方が多いようです。ただ、Windows 8の大きな売りであるARMアーキテクチャー向けのWindows 8はリリース遅れるとの噂もあり、まだまだ目を離せない状況です。

Windows 8が注目を集める一方で、先週末はWindows 7とWindows Vistaが注目を集めていました。というのも、ひっそりとサポート期間の延長が発表されたためです。もともと、Windows 7とWindows Vistaではコンシューマー向け製品のサポート期間が短く設定されており、特にWindows Vistaではコンシューマー向け製品であるStarter/Home Basic/Home Premium/Ultimateのサポート終了が今年の4月10日に迫っていました。Windows 7についても、今現在家電量販店の店頭で沢山売られているPC(Home Premiumなどコンシューマー向け)のサポート終了が2015年1月となっており、今買ってもサポートが3年未満に終了という、常識的にあり得ない状態になっていました。今回の延長措置により、ビジネス向けコンシューマー向けを問わず、Windows Vistaは2017年4月11日まで、Windows 7は2020年1月14日までサポートが提供されることになりました。

弥生のお客さまは中小企業、個人事業主、起業家ですから、PCも家電量販店で買われるケースが多く、このサポート終了は深刻な問題と捉えていました。このため、弥生からも日本マイクロソフトにサポート終了ポリシーの見直しについて働き掛けを行ってきました。さすがに、弥生の力で今回の見直しが行われたということは100%ないと思いますが、同様の問題意識を持っていた人が多く、マイクロソフト自身も問題として捉えていたということかと思います。

一方で、確実にサポート終了の日が迫るのがWindows XP。こちらは過去の措置により、2014年4月8日までサポートが延長されていますが、今回の措置ではさらなる延長はありませんでした。これで、XPから7への移行に拍車がかかりそうです。
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2012年01月31日

ハドソン

昨日/今日と札幌に来ています。ということで、札幌にまつわる話を少々。

札幌と言えば、知る人ぞ知るITベンチャーの集積地(サッポロバレーとも呼ばれるようです)。最近では、初音ミクが大ヒットしたクリプトン・フューチャー・メディアが有名ですね。ただ、ITベンチャー集積地としての札幌の歴史は長く、それこそパソコンの黎明期には、札幌は時代の先端にいました。

札幌のITベンチャーとして特に有名なのはハドソンBUGですね。そのハドソンがなくなるというニュースがネタフルで取り上げられていました。正確に言えば、会社としてコナミデジタルエンタテインメイントに吸収されるとのこと。ブランドとしての「ハドソン」は残るとのことですが、会社としては消滅するようです。

ハドソンというとファミコン向けのソフトで有名です(ちょっと通な選択ですが、サラダの国のトマト姫とか、笑)。ファミコン名人の高橋名人を覚えていらっしゃる方も多いかと思います。ただ、私にとってのハドソンは、私のかつての愛機シャープのX1用のBASIC、Hu-BASICです。私のパソコンの歴史はハードはシャープ、ソフトはハドソンによって形成されたわけです。本Blogで1年ちょっと前に取り上げましたが、そんなシャープもパソコン事業から撤退。そしてこの3月で、ブランドとしては残るものの、会社としてのハドソンが消滅。

本当に歴史を感じますね。つい先日は世界最大の写真フィルムメーカー、コダックが連邦破産法チャプター11を申請し、事実上倒産しました。コダックの設立は1880年で、実に130年以上の歴史を持つわけですが、そのコダックも、カメラのデジタル化の流れには逆らえなかったわけです。一方で、同じように写真フィルムメーカーであった富士フイルムは、今でも元気です。元気というよりも超優良企業。写真フィルムの技術を液晶ディスプレイ用の偏光層保護フィルムに応用したり、さらには化粧品の技術に応用するなどして多角化の成功しました。

ちなみにハドソンの創業は1973年ですが、最初は(当時良くある話ですが)アマチュア無線ショップとしてスタートし、1978年にパソコンソフトの開発・販売を開始したそうです。この1978年というのは、今の弥生のルーツの一つである「日本オールシステムズ」が設立された年でもあります。この頃がパソコンの本格活用の黎明期というわけですね。

コダックになくて、富士フィルムにあったものは何か。ハドソンの少し後を歩んできた弥生にとって、決して他人ごとではありません。
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2011年11月18日

未公開株詐欺と「悪貨と良貨」

前回はオリンパスという一つの悪意ある事例がきっかけになって、多くの真面目にやっている会社に「必要のない」足かせが科されるようでは本末転倒だ、と書きましたが、最近私が危惧しているのが、増加している未公開株詐欺が起業に与える影響です。未公開株詐欺が起きない、広がらないように対策を行うことは当然必要なことだと思いますが、その結果、真面目に起業しようとしている人に悪影響を与えるようでは、やはり本末転倒ではないでしょうか。

最近の日本経済新聞で、ある銀行では新規設立法人の口座開設には支店長面接が必須になっているという記事がありました。その理由は未公開株詐欺。未公開株詐欺では、(おそらくは実態のない)法人の口座が資金の振込先になっているため、法人の口座開設に対し、キチンとした審査をするようにという指導が出ているようです。

改めて調べてみたところ、例えば昨年の9月13日付で、三菱東京UFJ銀行が「法人口座を開設されるお客さまへ」というタイトルで、口座開設の手続きが厳格になり、「口座開設をお断りすること」があるというお知らせを出しています。さらに、今年の10月31日にはゆうちょ銀行がより踏み込んだお知らせを出しています。ここでは「警察庁からの要請もあって」と明確に書かれています。

誤解がないように申し上げると、法人口座を開設するにあたって、一定の書類が必要とされることは当然のことだと思います。お尋ねなり、面接も一概に否定するつもりはありません。ただ、これが「疑わしきは罰する」、すなわち、お眼鏡に適わなければ口座開設を認めないといったような運用になりかねないことを危惧しています。一般的に金融機関は保守的ですし、後で問題が発生して色々言われるよりは、とりあえずリスクを排除しておくということになれば、こんなところで起業の芽を摘みかねません(もちろん、ちょっとやそっとの障壁にめげていては起業は成功しないのも事実ですが、お客さまの開拓から資金調達まで様々なチャレンジがある中で、わざわざもう一つ大きな障壁を設けるべきでしょうか?)。

言うまでもなく、未公開株詐欺を防ぐことはとても重要ですし、社会として取り組まなければなりません。ただ、新規設立法人の口座開設を難しくすることが適切な対策なのか、というと疑問を感じざるを得ません。それ以前に、素性の定かでない儲け話にはのらない、お金を振り込む前にキチンと確認するという当たり前のことを徹底的に広報するのが第一なのではないでしょうか。

以前、やはり未公開株詐欺対策として「有価証券の引受け等に関する規則」等の一部改正が検討され、(私も含め)多くの方の反対によって改正が見送りになりましたが、今回の銀行口座開設審査にも、本筋でないところで対策を行う(結果として割を食うのはちゃんとやっている人)という同じ「匂い」を感じてしまいます。

そういう意味では、「有価証券の引受け等に関する規則」等の一部改正に対し、同じように反対の姿勢を明確にされた磯崎さんが読売オンラインの「未公開株詐欺を防ぐシンプルな方法」という記事で、至極まっとうな対策を提案されています。これは私見ですが、磯崎さんの提案の方がよっぽど効果があるように思うのですが…

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2011年11月16日

悪貨が良貨を駆逐する?

月曜日にオリンパスの件について書きました。オリンパスは世界的に活躍している会社だけに、この件は海外でも注目されているようです。最近は海外の方とお話しする機会も多いのですが、やはり皆さんこの件の展開を注視されているようです。

危惧されるのが、日本企業はだいたいこういった不正を行っているのではないかと思われ、世界中の投資家から敬遠されるようになること。ただ、冷静に考えれば米国でもエンロンという巨大事件がありましたし、直近でもMFグローバルという金融会社で顧客資産が行方不明になっていると問題になっています。つまり、決して日本固有の事象ではありません。もちろん、だから許されるわけではありませんが。

他にはない、と言い切るのは難しいですが、仮にあるとすれば、今回の事件がその他の件が明るみにでるきっかけになるでしょうし、そうなって欲しいと思います。

おそらく監査のあり方や、社外取締役の義務化など、制度面での議論も進むのではないかと思います。これらの議論は当然必要なことだと思いますが、企業は放っておくと悪いことをするから、それを何が何でも防げる仕組みにといった極端な方向に進まないことを願っています。特に上場している企業にとって、安心して投資してもらえるように、正しい情報が適切なタイミングで開示される仕組みを整備することはもちろん必要ですし、重要です。ただ、そういった仕組みが事業の推進自体の大きな足かせとなるようでは本末転倒だと考えています。

一つの悪意ある事例が、多くの真面目にやっている会社に必要のない足かせを科すようであれば、悪貨が良貨を駆逐してしまうことになりかねません。ちょっと話がずれますが、悪貨が良貨を駆逐するという意味で、未公開株詐欺の対策のあり方についても危惧しています。ちょっと長くなってきましたので、この点についてはまた次回に。
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2011年11月14日

オリンパス

最近世間を賑わせているオリンパス。しばらく前に、英国人社長が解任になった際には、単なるお家騒動かと思っていました。日本企業の経営がグローバルになってきたとはいえ、やはり日本流 vs. 欧米流で揉めたかと(それにしても就任して半年はあまりにも…、ですが)。

ただ、買収を仲介した会社への不当に高い(と思われる)手数料、さらに、不当に高い(と思われる)金額での企業買収が明るみにでると、さすがに何かがおかしいと感じた方が多かったのではないかと思います。私は経営陣が仲介会社にうまくやられたぐらいに考えていました。しかしさらに、損失先送りの穴埋めだったという突然の発表。まさに事実は小説よりも奇なり、そのものですね(おそらくこの事件を題材にした本も数多く出版されるでしょう)。

なぜ/どうやってここまで事実が隠し通されてきたのかはこれから明らかになるでしょうが、会計は一定のルールに則って行われる以上、逆にそのルールを悪用することも不可能ではないということかと思います。ただ、本当にわかりようがなかったかというと微妙ですね。会計的な数字として成立させることはできても、どこかに無理のある数字が発生しますので。

今回の事件に絡んで、よく山一證券自主廃業の映像が流れますが、これは本ブログでも書いた通り、私の人生を変えた事件でした。今回のオリンパスの場合は、本業(特に内視鏡)は順調ということで、山一證券のような事態にはならないと思いますが、それでも働いている方は辛いかと思います。個人的にも、オリンパスの一眼レフカメラを使っていることもあり、頑張って復活して欲しいと願っています。

余談ですが、弥生はこういったことはありませんので、念のため。何かを隠しようにも、隠すために使う有価証券を一切所有していませんので(笑)。
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2011年07月22日

1,000日

このブログでたまにでてくる数字シリーズ。今回は1,000日です。これまでに出てきた、500,000件は弥生のカスタマーセンターに半年間で寄せられるお問い合わせの数、4,000会員は弥生のパートナーである会計事務所(PAP会員)の数でした。では、今回の1,000日は?

この1,000日は弥生自身の数字ではありません。しかし、弥生にとっても、そしてお客さまにとってもとても重要な数字です。この1,000日というのは、Windows XPのサポート終了(EoL - End of Life)までに残された日数です。正確には7月13日の時点で1,000日でしたので、本日時点では既に991日と、着実にカウントダウンが進んでいます。この数字が0になる日、すなわち、2014年4月8日にWindows XPに対するセキュリティパッチやホットフィックスの提供が終了します。新種のセキュリティリスクが日々発生している現代にあっては、これはこの日以降、Windows XPを使い続けることはできないということです。

Windows XPはここまでPCが普及する立役者となった素晴らしいOSだと思います。派手ではないけれど、キチンと安定して動くOS。ただ、残念ながら、セキュリティ問題がここまで拡大する以前のOSですから、直近のOSと同等の堅牢性は有していません。また、Microsoftにとっても、Windows XPをサポートをしつつ、Windows Vista, Windows 7, そして来年のWindows "8"を開発し、サポートしていくことは多大な負担になっていることも事実です(別の言い方をすれば、Microsoftほどの大企業だからこそ、ここまでサポートを続けてこれたということだと思います)。そういった観点では、Windows XPのサポートはどこかで終了せざるを得ませんし、いよいよその日が近付いてきたということです。

ちなみに、このXP EoL問題は先週のWPC 2011の基調講演でも取り上げられていました。3日目の基調講演で登壇したMicrosoftのNo.2 (COO) Kevin Turner氏の話はとてもストレートで聞いていて面白かったのですが、Turner氏はこの1,000日問題を取り上げ、Windows XPは"DEAD"(死んだ)と明言していました(ちなみに、Office 2003とIE6も同様にDEADという扱いです。こちらの記事にそのスライドが掲載されています)。


弥生では、このXP EoL問題に対し、極めて大きい問題意識を持っています。いわゆる大企業であれば、IT部門もあり、当然この問題を把握し、いつまでにどうするという策を練っているでしょう。しかし、弥生のお客さまである中小企業や個人事業主の場合、それなりの規模のIT部門が存在するケースは少ないですし、PCがいつまで使える、新しいPCにどうやって移行するかと考えている方は少数です。一方で、現実問題として、最近ではWindows 7をご利用の方が急速に増えてきたものの、現時点ではWindows XPを利用されている方がやはり過半数です。

お客さまが直前になって慌てる必要のないよう、弥生は自らの責任としてこの問題をお客さまにお伝えし、お客さまが余裕を持って準備できるようにしていきたいと考えています。まず手始めとして、この記事をお読み頂いている方で現在XPを利用されている方は、是非Windows 7への移行をご検討下さるようお願い致します。
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2011年05月09日

給与明細

連休前から健康保険組合に関する記事を書いていますが、既に書いた通り、そのきっかけになったのは自分の給与明細を見たことでした。弥生の(法人の)お客さまが多く加入されている協会けんぽの料率引き上げは認識していても、弥生が加入している関東ITソフトウェア健康保険組合でも保険料率が上がるという認識がすっかり漏れていた、まさに紺屋の白袴状態。

早速、「あれー、これって社内にキチンと共有されていたっけ」と人事総務部に連絡をとりました。やはり事前の共有がされていなかったので、すぐに共有するように依頼したのですが、その際に人事総務のYさんに、この件で何か問い合わせは入っていませんか、と確認したところ、特になかったとのこと。

ここから導き出される仮説は、皆さんひょっとして、給与明細ってほとんど見ていないのではないか、ということ。この仮説が事実だとすると、こっそり5,000円ずつ適当な項目で天引きしてもばれないのでは... いや、冗談ですけど。

この4月からの新入社員に向けて、新聞でも、こういったことをやろうという特集がよく組まれていますが、その中によく含まれていて、なおかつ、私が是非お勧めしたいのは、「給与明細をキチンと理解すること」。給与明細には支給項目もあれば控除項目もありますが、それらをキチンと理解しましょう。特に控除です。皆さんが稼いだお金がお財布(銀行口座)に入ることなく、さっさと持っていかれてしまうわけですから、それらが何で、どうして持っていかれてしまうのかをちゃんと理解すべきものです(ほとんどの新入社員は2年目の6月から手取りが下がりますが、これもどうしてそうなるのか理解してないと結構ショックですよね)。

保険料だけでなく、所得税も含め、給料から天引きする源泉徴収というのは、集める方からすれば、素晴らしく効率のよい仕組みです。今日の日経朝刊一面でも、「公的年金の未納広がる」という記事がありましたが、2010年度の国民年金の納付率は2月末までの累計で58.2%にとどまる(納付免除も考慮すると実質40%台!)とのこと。一方で、事業主が天引きをする厚生年金は納付率が下がったとはいえ97.1%。あくまでも一つの例ですが、源泉徴収という仕組みの効率性を示す良い例でしょう。

集める側からすれば都合のいい仕組みですが、下手をすると払っている側がその事実を忘れてしまいかねないという弊害があります(穿った見方をすれば、それこそ狙うところかもしれませんが)。税金や保険料をキチンと納めているということを正しく認識するためにも、是非給与明細を今一度眺めてみてはいかがでしょうか。
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2010年10月28日

シャープ、パソコン事業から撤退

先週、シャープがパソコン事業から撤退することが一斉に報じられました。実際には昨年末には生産は打ち切っていたとのこと。昨年末に生産を打ち切ったものが、今頃ニュースになるわけですから、やはりほとんど売れていなかったということなのでしょう。記事中にあるように、BCNによると2009年のシャープのシェアはわずか0.3%だったとのこと。

以前ascii.jpの記事でも書きましたが、私の初めてのコンピュータがシャープのポケコンPC-1251。そして初めてのパソコンがやはりシャープのX1turbo。私のコンピュータ人生はシャープで始まったわけですので、今回のニュースにはやはり寂しさを感じます。ただ、Mebiusにしろ、Windows時代になってからのシャープのPCは一度も大ヒットを出すことはできていませんでしたので、やむを得ないのでしょう。

寂しさは感じるものの、経営者としては(大変におこがましいですが)非常に正しい判断だと思います。日本の会社は採算性を度外視して事業を継続することが多いですが、海外ではシェアトップ3に入れないのであれば撤退は当たり前。短期的に考えると、採算性を度外視しても事業を継続することは、その事業に従事している従業員にとって優しい判断のように思えます。ただ、中長期的に考えても従業員に優しい、従業員にとって良いことなのでしょうか? 結果が出なければ、なかなか研究開発や先行投資をすることもできません。業界のリーダーがドンドン先を行く中で、時代遅れの製品のお守りをしていては、中長期的なキャリアを築くことがむしろ難しくなります。厳しい言葉で言えば、撤退すべきところを撤退しないのは、経営者の怠慢だと考えています。

最近のシャープと言えば、まずは液晶テレビですよね。手元にあるBCNランキングマガジン(2010/11号)によると、液晶テレビでのシャープのシェアは40V型未満で40.8%、40V型以上では実に58.5%! これだけ競争が激しい液晶テレビでこれだけ高いシェアを維持しているのは凄いことです。これも選択と集中の成果。選択と集中というと、単純に絞り込むだけと思われがちですが、シャープは液晶テレビの強みを活かして、従来は弱者だったレコーダーマーケットで37.0%(BDレコーダー)のシェアでトップをとることにも成功しています。

今回のパソコン事業撤退の代わりに、先般発表のあったGALAPAGOSでのハード+コンテンツ事業に力を入れるとのこと。これ自体がうまく行くかどうかはわかりません(競争は厳しいでしょうね)が、こうやって、戦うべきところで徹底的に戦い、引くべきところで引く経営ができていることには純粋に尊敬の念を覚えます。これって言うほど簡単ではないですからね。

PS. ちなみに弥生については、既に選択と集中済みですので、ご安心ください。
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2010年10月08日

同窓会

昨日は同窓会がありました。とはいえ学生時代のものではなく、以前勤務していたボストン コンサルティング グループ(BCG)のもの。BCGは卒業生(alumni)との結びつきを重要視しており、毎年10月に、BCG主催でのalumni partyが開催されます。毎年10月の第一木曜日と決まっているため、普段は忙しい人でも予定が組みやすいのがミソです。

場所はBCG東京オフィスのあるニューオータニ。結構ゴージャスな食べ物も供されるので、これを楽しみに来る人もいるとか。ただ、私の場合は色々な方とお話するので手一杯で、せっかくのご馳走も全く手をつけられませんでした。一年に一回、この場でだけ合う方も多いので、「最近どうしている」という話で盛り上がります。そういえば、この三月に記者発表をご一緒したマイクロソフト社長の樋口さんともお話しする機会がありました。
 
この会自体は早めに終了するので、その後は私がオーガナイズして二次会に。20名ぐらいが集まって、ワイワイと11時過ぎまで盛り上がりました。

こうやって毎年alumniを呼んで頂けることには非常に感謝しています(結構お金もかかっていると思います)。ビジネスはご縁であり、ご縁を生むのは人とのつながりですので、こうしたネットワーキングは非常に有用。もちろん、そういった観点でBCGにとっても有用なのだと思います。

話はちょっとずれますが、最初の会社である野村総合研究所も卒業生を大事にする会社です。会社を辞める際に、「岡本が辞めるのは残念だけど、野村を理解して、応援してくれる卒業生が色々なところで活躍するのは、野村にとってもいいことだから」と言ってもらった時にはじーん、ときました。来年は1991年に野村総研に新卒で入社してから、ちょうど20年。是非同窓会をやりたいなと思っています。
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2010年09月14日

わかっちゃいるけど、難しい

今日はやや技術的な話ですが、実はよくある話について。

自宅のビデオカメラ(2008年に購入したキャノンのiVIS HF10)で使用していたメモリーカードが一杯になったので、追加のメモリーカードを購入しました。SD(SDHC)の8GB。あまり価格差がなかったこともあり、せっかくなので読み書きのスピードが速いClass 10を選択しました。で、早速使おうとすると、「このカードではFXPモード(最も高画質なモード)は利用できません」といったようなメッセージが。一般に動画撮影では、高画質であるほど情報量が増えるため、メモリーカードも高速に読み書きできる必要があります。このFXPモード(約17Mbps)ではClass4もしくはClass 6が必要ということは認識しており、そのためにもせっかくなら速い方がいいだろうということで、Class 10を選んだのです(Classの後の数字が大きいほど高速に読み書きができることを意味します)。

あわてて調べたところ、この機種のFXPモードで利用できるのはやはりClass 4もしくはClass 6のみ。それより高速なはずのClass 10は、若干低画質のモードでしか使えないということがわかりました。

なぜ、こういったことが起きたかというと、このビデオカメラが開発された段階では、Class 10という規格自体がなかったため。そのため、FXPモードを使えるかどうかを判断する際に、Class が4もしくは6という「決め打ち」で判断するロジックを組み込んだということだと思われます。より低画質なモードではそもそもClassのチェックを行わないので、低速なClass 2でも、高速なClass 10でもokということになっているのだと思われます。

理由がわかると「なーんだ」、かつ、「ダサい」と思われるかもしれませんが、実はこの種の話って良くあるんです。将来にわたってどうなるかがクリアにわかっていれば、それに対応できるロジックを組むことも可能ですが、往々にして、将来どうなるかは良くわからない、また開発の時間も限られている中で、「今見えている範囲では」正しく動くプログラムが生まれます。将来条件が変わると、動くべきものが途端に動かなくなりますが、後の祭りというわけです。

どれぐらい良くある話かというと、Windows 7の登場に伴い、一定の要件を満たしたソフトウェアなどに"Compatible with Windows 7"という認定が与えられるプログラムがあるのですが、この中の要件として明記してあるほどです。「アプリケーションは(== 5.1といった)一致によるバージョンチェックをしてはならない」、と書いてあります。望まれる方法としては、「特定の機能を必要とする場合には、機能の存在自体をチェックせよ。OSレベルでチェックが必要であれば、一致ではなく以降でチェック(>= 5.1)せよ」とあります。

当たり前の話ですよね。でも、要件として明記されるほど、逆に言えば、ありがちな問題なのです。なんで== 5.1と書くかというと、その方が簡単(書くのも、テストも)だから。>= 5.1と書いたとすると、本来は何らかの方法でバージョンが5.1より大きいOS環境を作ってテストする必要があります。 これは5.1より大きいOSが既に存在していれば簡単ですが、そうでない場合は大仕事になります。

今は良くても、将来も大丈夫か。どこまで将来を見据えた製品開発を行うか、これは弥生を含め、メーカー全ての共通の課題です。
 
念のためですが、キャノンのビデオカメラはかなり優秀で、個人的には結構気に入っています。今回の件はちょっと残念ですが、調べてみるとClass 10に対応していないことはすぐに判明しましたので、基本的には下調べが足りなかった当方の落ち度かと思います。でも、2008年に買ったビデオカメラで、今はたかだか2010年ですからね。将来を見据えることの難易度が上がってきていることを示す一つの例かと思います。
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2010年09月09日

マイクロソフトの強さ

昨日はマイクロソフトのパートナーコンファレンス 2010に参加してきました。内容は、「クラウド、クラウド、クラウド!」。全てがクラウドに関する内容でした。Windows 7でもなく、Windows Serverでもなく、Windows Phoneでもなく、クラウド(Windows Azure/BPOS)。デモの最中にクラウド端末として、iPhoneやiPadも登場する(!)ほど、主戦場はクラウド(逆に端末はなんでもあり)という想いがはっきりと現れていました。

7月にワシントンD.C.でWorldwide Partner Conference (WPC)が開催されました(残念ながら参加できませんでした)が、その際もテーマはクラウド。基調講演では「クラウド、クラウド、〜」という大合唱の中でSteve Ballmer氏が登壇したそうです。今回のコンファレンスはこのWPCの日本向けミニチュア版ということになりますので、内容がクラウド一色だったのも当然と言えば当然です。

最近、メディアで注目されるのはAppleであり、Google。すっかりマイクロソフトは霞んでしまった感があります。しばらく前にAppleの時価総額がマイクロソフトの時価総額を抜いたというのがニュースになりましたね(今日現在でもAppleの$239Bに対し、マイクロソフトが$210BとApple優位です。ちなみにGoogleは$116B)。確かに今という時代の流れを作っているのは、この二社(+これからのベンチャー)のような気がします。

ただ、それだけでマイクロソフトがもうダメだというのは少々短絡的な議論かと思います。マイクロソフトは波に乗り遅れることはありますが、波が向こうにあると判断し、その波に乗ると判断した後の行動力は目覚ましいものがあります。一時代前であれば、インターネットの波に乗り遅れたのは周知の事実。一方で、1995年5月にBill Gates氏が「これからはインターネット」と舵をきってからの猛追ぶりもご承知の通りです。今やマイクロソフトを脅かしたNetscapeはなく、ブラウザーと言えばInternet Explorer。

そして、今回はクラウド。GoogleやSalesforce.com、Amazon.comに後れをとったのは事実ですが、Steve Ballmer氏による昨年のクラウド宣言を受け、いよいよマイクロソフトのクラウドの全容が見えてきました。ここからの追い上げがマイクロソフトの真骨頂。提携しているから、持ち上げるというわけではないですが、本気になったらやっぱり侮れないですよ、マイクロソフト。
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2010年08月30日

TwitterのBasic認証もうすぐ終了

iPhoneでTwitterを利用する際には、TwitbirdというiPhoneアプリを使っているのですが、最近、"Your account exceeded 150 requests per hour"というメッセージに頻繁に遭遇するようになりました。Twitbirdのような3rd partyアプリがTwitterを利用する際には、APIというインターフェイスを利用するのですが、APIの利用はTwitterによって、一時間当たり150回に制限されており、その制限にひっかかったということです。

しかし、そんなに猛烈にTweetしているわけでもありませんし、この一週間ほどでこのエラーメッセージが頻繁に出てくるようになったため、何かあるのではと調べてみました。

結論としては、これはTwitterがユーザー認証をBasic認証という方式から、OAuth認証という方式に移行するために発生している現象のようです。Basic認証は、クライアントアプリがユーザーのIDとパスワードを管理し、それをTwitter(サーバー)に示すことで認証を行います。ただ、これだと本来はユーザーとTwitterしか知らないべきパスワードを第三者であるクライアントアプリが所持し続けることになるため、セキュリティレベルはあまり高くありません。悪意のある人間が、Twitterアプリを作ることによって、そのアプリを利用した人のIDとパスワードを盗むことができます(なおかつ、複数のWebサービスに同一のID/パスワードを利用している人が多いため、TwitterのID/パスワードを盗んで、それでGoogleやAmazonにサインインできるとなると、被害が広がることになります)。これを防ぐために、TwitterではBasic認証から、OAuth認証という方式への移行を進めています。OAuth認証では、トークンという仕組みを取り入れることにより、ID/パスワードの安全性が高められています(詳しくはこの記事をご参照下さい)。

もともとBasic認証は6月末には終了する予定だったのですが、混乱を避けるために、現時点では、この8月末に終了することになっています。さらにこの終了に向けて、Basic認証でのAPI接続の許容回数が急速に減らされています。この経過は、こちらのTwitter APIアカウントで見るとわかりやすいですが、2週間ぐらい前から、Basic認証でのAPI接続件数(一時間当たり)が減らされ始め、現段階では一時間に30件で上記のエラーが出るようになっています。確かに一時間に30回だと、普通に使っていてもエラーに遭遇することになります。どうもTwitbirdでは、"Your account exceeded 150 requests per hour"というメッセージをハードコードしているために、150という数字が出てくるようですが、実際にはこれは(現時点で)30回という制限にかかっているようです。

で、どうするか、ですが、Basic認証を利用するアプリから、OAuth認証に対応したアプリに切り替えれば良いということになります(OAuth認証では、API制限が一時間350回となります)。調べてはいませんので、おそらくですが、一般に良く使われているTwitterアプリケーションは、既にOAuth認証対応を済ませているものと思いますので、利用しているアプリケーションを最新版に更新し、それでもダメであれば、OAuth認証に対応しているアプリケーションへの切り替えを行うということになります。

Twitbirdの場合、最新のバージョンは2.7で、これはOAuth対応しているようです。ただ、昨日まで私が使っていたのが、2.2という古いバージョンで、こちらはOAuth対応していなかったということのようです。通常iPhoneアプリでは、更新版が出ると通知されるのですが、Twitbird(無料版)の場合、2.2(ぐらいまで?)とそれ以降のバージョンがバージョンアップ版ではなく、別のアプリケーションとして登録されているため、更新の通知もなかったようです。

より良いモノ、安全なモノを提供するために、新しい技術への移行を図っていくことは必要です。Twitterにしても今回のBasic認証終了はかなり前から告知してきました。実は私もそのような話はちょこちょこと目にしながらも、今回の現象が発生するまでは自分ごととして認識していませんでした。おそらく同じような方もいるのではないかと思います。

似たような話としては、いよいよ来年に迫ったTV地上アナログ放送の終了があります。おそらく、終了直前になっても、対応が間に合っていない、アナログ終波を遅らせよ、といった声が結構出るのではないかと想像しています(そういった声に政治が迎合しやすいということもあり...)。おそらく、オレはアナログ放送で満足だ、なんで辞めるんだという方もいらっしゃるでしょう。ただ、そこで、終了を遅らせても、所詮一時しのぎに過ぎません。ずるずると延ばせば、本来の目的である電波の有効活用がいつまでも実現できないことになります。

弥生製品でいえば、現行の"10シリーズ"でWindows 2000のサポートを終了するのも難しい決断でしたが、やはり必要なことだったと考えています。将来的に言えば、ここまで普及したWindows XPのサポート終了(2014年4月8日予定)は業界全体として大きな課題になるでしょう。残念ながら全ての人に満足して頂くことは難しいですが、メーカー側もユーザー側も協力して、一時しのぎではなく、未来につながる選択をしていかなければならないと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 17:26 | TrackBack(0) | ビジネス

2010年07月16日

DPE

今日は「会計業界勝ち抜き戦略セミナー」のために、福岡に来ています。セミナー前にローソンでちょっとした買い物をしていたのですが、ふと、「DPEサービスの受付を終了しました」という張り紙が目につきました。おやっと思って見てみたのですが、今年の5月末で受付終了となったようです。

考えてみればそれほど不思議な事でもありません。自分が最後に写真を現像に出したタイミングは、と考えると... 少なくとも10年以上前です。今はデジタルカメラが普通ですし、カラープリンターも驚くほど安く、またクオリティが高くなりました。今は自宅で印刷される方も多いでしょうし、ローソン等でもデジカメプリントでその場で印刷できますね。さらに言えば、そもそも印刷しないことも普通になりました。今私のiPhoneには1,000枚以上の写真が保存されていますが、基本的には画面で見るだけでok。わざわざ印刷することはあまり多くありません。こう考えると、アナログのカメラと共にDPEサービスがなくなるのは時代の流れでしょう。

個人としては全く違和感はないのですが、企業の観点からは大変なことですね。もともとアナログのカメラはフィルムという消耗品と現像というサービスがコンスタントに売れる商売でしたから、美味しいビジネスだったものと思います。ところが、いつの間にかそのビジネスそのものが消滅してしまう。これまでアナログのカメラで商売していた企業の危機感は相当なものだったでしょう。富士フイルムは、自社でデジタルカメラも出していますが、それだけでなく、フィルムの技術を活かした事業(医療システムや液晶ディスプレイ向けの偏光板保護フィルム、さらには化粧品なんてものもありますね)に事業を多様化しています。2006年に富士「写真」フイルムから、富士フイルムへと社名変更したのは、変わるという覚悟の表れでしょう。実際、2010年3月期の富士フイルムホールディングスの売上のうち、写真の流れを組む「イメージングソリューション」部門の割合はわずか15.8%だそうです(残りは、41.3%がインフォメーションソリューション、そして42.9%が富士ゼロックスのドキュメントソリューション)。
 
これは決してアナログカメラやDPEに限った話ではありません。これだけ変化が激しい時代ですから、10年前までの良いビジネスが今も、あるいは10年後も良いビジネスである保証は一切ありません。弥生はPC上で業務ソフトを提供し、お陰様で日本で最も利用される業務ソフトとなっていますが、今のビジネスモデルが10年後もそのまま通用するとは考えていません。時代と共に、どう進化すべきなのか。常に考えていることですが、改めて危機意識を持った出来事でした。
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2010年06月15日

監督と社長

昨晩のワールドカップ・カメルーン戦はハラハラしながら観戦していましたが、勝って良かったですね。昨晩の最高視聴率は49.1%! 多くの人が喝采を挙げていたのではないでしょうか。

「岡田ジャパン」は、前哨戦となる練習試合で結果が出ていないため、色々と叩かれていましたし、本田選手を本職でないポジションで登用することについてもかなり批判の声があったようです。笑い話になりますが、昨日会社の近くでお昼を食べている時に、3人連れくらいのお客さんの一人が、「本田をあの位置で使うなんて、岡田(監督)は本当に分かってねーなー!」と言っていました(苦笑)。その本田選手がゴールを決めたわけですから、岡田監督としては、してやったりでしょう。

それだけ期待されているということだと思いますが、日本代表の監督は重責ですね。ちょっとでもうまくいかない所があれば、さんざん叩かれるし、ちょっとうまくいってもそれはそれで、ここがイマイチ、ここはもっと、と言われる。なかなか良い点をもらえない立場だと思います。

会社の社長というのも近い側面があります。社長はやはり孤独。まわりから何と言われようとも、判断をして、そして責任をとらなければならない(逆に言えば、判断しない、責任をとらない社長は失格です)。そのためにやはり重要なのは「信じる」ことだと思います。世の中絶対的な解などありません。これで行ける、これで行けるようにするという信念が結果を生むのだと思います。

もちろん、日本代表と同じように、信じる監督を信じて選手がついていくからこそ、結果につながるのでしょう。聞くところによると、カメルーン代表はチーム内のゴタゴタで主力選手が出場しなかったとか。
 
何はともあれ、日本代表チームの皆さま、おめでとうございます。そして次のオランダ戦も頑張って下さい!
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2010年06月08日

iPhone 4、悩む...

今日の話題はやっぱりこれですね。iPhone 4

発表と同時に「買います宣言」をしたiPadに倣いたいところですが、なかなか難しい... 今のところiPhone 3GSで大きな問題はないのですが、やはり新しいiPhone 4を見たら欲しくなるんだろう、と思います。iPhone 3GSもiOS 4にバージョンアップできるということで、機能はそれほど変わらないのでしょうが、iPadで良いなと思った精細な画面やら、サクサク動くあたりがiPhoneでもと思うと、欲しい病にかかること必至です。

テクノロジーカンパニーの社長をしている以上、時代の先端を体験しておかないと、とか、バッテリが持つようになって安心とか、色々言い訳をして買ってしまいそうです。

ただ、今使っているiPhone 3GSを買ったのが昨年の6月か7月。当然2年契約ですので、まだ1年残っています。解約金とか、端末の残代金とか色々考えると少し冷静に。一方で、Twitter上で、@sbbit_smbさんから、「詳細は公式発表待ちですがiPhone 3GSから4Gへの乗り換え、本体代の割賦が二重になるけど、違約金なしだそうですよ。」とのこと。ソフトバンク関係者からの情報ということで、間違いないはず!?

おそらくこの一週間は、自分の端末の契約期間がどれだけ残っているかを確認するiPhone 3GSユーザーがかなり多いのではないでしょうか。とりあえず予約開始が15日ということなので、もう少し考えます。

ところで、iOSですが、Ciscoから文句でないんでしょうか。iPhoneでは、Ciscoアイホンと、iPadでは富士通と商標権で色々あったようですが、とりあえず発表してしまって、勢いで相手を丸めこむというのがApple... と思いきや、既にCiscoとは事前に合意済みなんですね。

しかし、弥生の社長のブログなのに、iPhoneとかiPadとかの話題が多いですね。実際、アクセスログを見るとiPadのキーワードで検索されている方が結構多いようです。良いんだろうか、と少し反省。
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2010年05月31日

来たぞiPad

発表のタイミングで、「買います(たぶん)」宣言をし、予約開始と同時に予約をした待望の「iPad」ですが、ついに来ました我が家に。

あまり考えずに自宅配送にしてしまったため(個人で買っています)、発売当日の28日は本気で遅刻してiPadの到着を待とうかと思ったのですが、立場が立場だけに(社長の特権とすることもできますが、示しがつかないですね、さすがに)、ぐっと我慢して通常通り出勤。そわそわした一日となりましたが、昼過ぎにTwitter上で、Appleからの指示により配送は午後2時からという情報が。確かに配送状況を見ていると途中のセンターで止まっている時間が長かったので、そういった裏事情があったのでしょう。

帰宅したのは午後7時半過ぎだったのですが、まだ届いていない! まあ、午後2時から一斉に配送を始めるわけですから、当日中に終えるのはかなり大変なはず。最終的に届いたのは、午後8時39分でした。配送はヤマトでしたが、配送の方に、「今日は大変だったでしょう」と声をかけると、「はい、とにかく多かったです」との一言。お疲れ様でした!

で、使ってみての感想ですが、実は使えるまでに多少時間がかかりました。iPadはPCもしくはMacを母艦として同期をとる必要があります(基本的にiPod/iPhoneと一緒)が、これに手間取りました。(これもまたあまり考えずに)使っているiPhoneの情報をベースに復元しようとしたところ、いつまでたっても終わらない。途中であきらめて、一遍初期状態に戻した上で、今度はゼロベースで同期させました。そうすると今度は、2,000枚以上もある写真(怪しい写真じゃないですよ)をiPadサイズに最適化するので時間が... WiFiの設定にもややてこずり、結局まともに使えるようになったのは11時ぐらい。

使ってみると... 予想通りです。米国での発売からも時間が経ち、色々なレビューも目にしているので、正直新鮮な驚きはなく。ある意味、期待はものすごかっただけに、少々肩すかしかも。ただ、よく言われることですが、画面が大きい、速い(サクサク動く)というのはiPhone使いとしてはいいなあ、と思いますね。

一方で、思ったより重いです。スペック的には個人で使っているVAIOのXとほぼ変わらないはずなのですが、結構ずしっと感じます。またデザインが素晴らしいのはAppleの良い伝統ですが、扱いに苦慮します。すぐに傷をつけてしまいそうですし、同時にこれがぶつかるとぶつかったものも結構傷つきそうです。Appleとカシオのコラボで、iPadのG-SHOCK版とかできないでしょうか。

今回は、リビングにおいておいて、ちょっとネットを見たいなという時に使う想定なのですが、若干重くて、扱いに気をつけないと、という以外は、想定通り活躍してくれそうです。主にネットサーフィン、たまにメールという用途で言えば、ネットブックよりも完全にiPadですね。

ただ、iPadが本当に普及するためには、どこかでPC/Macとの同期という頸木(くびき)をはずす必要があるのではないかと思います。3GもしくはWiFiという通信手段がある以上、同期をするなら、PC/Macではなく、クラウド上のデータかと。問題があっても、ボタン一つで初期状態に戻って、なおかつデータはすぐにクラウド上から再ロード。こうなったら、普通の人が普通に使える端末としては最強ですね。もちろん、Appleのことですから、とっくに視野に入っているのではないかと思いますが...
posted by 岡本浩一郎 at 09:54 | TrackBack(0) | ビジネス