(このバカ、なに言ってやがる!)
(そのデカい口をどうか閉じてくださいませんか?)
前回は、帝国データバンクの「全国社長分析」調査から、日本の社長の平均年齢が58.9歳というデータをご紹介しました。なかなか世代交代や新陳代謝が進まず、平均年齢は年々上昇中。このままいくと、2020年ぐらいには60歳の大台に到達しそうです。
私も社長をやっていて痛感しますが、社長の引き際はなかなか難しいですね。私自身は自分で起業した会社で8年間、そして弥生で先達から受け継いで社長を務めて6年ですから、合計14年。社長業としては、初心者は卒業したと思いますが、社長の平均在任期間が27年という前回の試算からすると、ようやく中堅層というところでしょうか。
さて、先日、日経新聞で面白い記事がありました。大元はFinancial Timesの記事ですが、企業トップの在任期間、10年超なら弊害も、というタイトルです。「米ゼネラル・エレクトリック(GE)の取締役会が秘密会議を開き、同社の最高経営責任者(CEO)にとって20年の任期が適切かどうかを議論している」とのこと。曰く「CEOの座に長居しすぎる危険は明確だ。かつて有効だったがすでに時代遅れの戦略を継続してしまうし、自ら社内で引き立てた少数のイエスマンに相談する。顧客や取引業者との交流も減ってしまう」。ただ一方で、「長すぎるのと反対に、企業トップがめまぐるしく変わるのもよくない。就任の際に5年未満の期間を想定していると、長期的な視点で成長軌道を描こうとするより、目立つ成果を上げたいとの誘惑にかられる」。
日本の取締役の任期は一般に2年が多いかと思います。もちろん、継続(重任)もありますが、私の実感としても、社長の在任期間として2年はあまりに短過ぎると考えています。色々なことを変え、色々なことを始めても、結果が出るにはやはり時間がかかります。私の場合、成果が出始めたという確実な手応えを得たのはちょうど2年経過したあたり。2年で終わりでは、これからというところで終了になってしまいます。
今の私は、弥生の社長に就任してからこの4月でちょうど丸6年。この6年間で、大きく言って2つのステージを経てきたと感じています。最初の3年間が立て直し期。それまでの急成長の反動にリーマンショックという外的要因が加わった中で、原点に立ち帰り、足元を固めた時期。そして次の3年間が成長期。立て直しを終えて、順調に成長した時期。この3年間の入り口であるFY11に過去最高の売上を達成し、その後FY12/FY13と記録を更新し続けています。そして今期(FY14)は、消費税率の引き上げやWindows XPのサポート終了などの外的要因もあり、記録を大幅に更新することが確実です。
先ほどご紹介した記事によると、世界の上位2,500企業のCEOの平均在任期間は約6年半だそうです。弥生の企業規模的には上位2,500には到底及びませんが、私も今期末(2014/9)まで務めれば、ちょうど6年半。過去最高記録を大幅に更新して有終の美を飾り…
…と言いそうになりますが、まだここで辞めるわけにはいきません。立て直し期、成長期を経て、これから先の3年間は進化期。この先3年間で、弥生のあり方を大幅に進化させたいと考えています。今はまだその途上ですが、3年以内に、お客さまから認められ、何でも相談して頂ける事業コンシェルジュへ。いい会社からすごい会社への進化も遂げなければなりません。
むろん、今から準備を始めていては間に合いません。既に、様々な準備/仕込みはしてあります。これまでの準備/仕込みが実を結ぶのがこれから先の3年間ということになります。まさにワクワクする3年間。
前回出身大学(日本大学がNo.1)、出身地(東京都がNo.1)という切り口でご紹介した帝国データバンクの「全国社長分析」調査ですが、他にも興味深い結果が示されています。
今回の題名そのままですが、日本の社長の平均年齢は? ずばり58.9歳だそうです。1990年の結果は54.0歳でしたが、毎年じわじわと上昇しています。毎年0.1歳から0.3歳ぐらいの幅で上昇しているので、このままいくと、2020年ぐらいには60歳の大台に到達しそうです。
この調査では社長交代率という数字(過去1年の間に社長の交代があった企業の比率)も出しているのですが、2013年の交代率は3.67%。逆算すれば、平均的な社長在任年数は27年程度ということになるかと思います。30歳で起業して、ずっと社長を続けていれば57歳ということになりますから、平均年齢である58.9歳に近い結果となります。
実際には、大きく分けると、(1)組織として確立しており、社長は定期的に交代しているケース、と、(2)起業してから社長が交代していないケースに分類できるのではないかと思います。今回の調査対象は「株式会社」「有限会社」の代表を務める社長のべ113万6,383人ということなので、大部分は中小企業で(2)のパターンが多いのでしょうね。大企業は(1)のパターンかと思いますが、この場合も後任社長が50歳台が多く、平均年齢を下げる効果は薄いのでしょう。
ただ、今回の数字が「平均」というのは注意が必要です。これはまた別の機会にも書きたいと思いますが、平均値の落とし穴に注意が必要です。例えば、100人いて、半数が40歳、残りの半数が80歳だったら? 計算してみればわかりますが、平均は60歳、ただし、実際に60歳の人は誰もいないということがあります。今回はそこまで極端な「平均値の罠」はないと思いますが…
日本大学と東京の共通点は何でしょうか。よく知られていることではありますが、最も多く社長を輩出しているのが日本大学。また社長の出身地別で都道府県を比較すると、最も多いのが東京都です。これは帝国データバンクが毎年行っている「全国社長分析」という調査の2014年の結果です。調査対象は、帝国データバンクが保有する企業概要ファイル「COSMOS2」(2013年12月末時点で約144万社収録)から「株式会社」「有限会社」の代表を務める社長のべ113万6,383人のデータを抽出、ということなので、信頼できる調査かと思います。
改めて数字を見てみると、出身大学別でトップは日本大学で23,049名。これに慶應義塾大学の12,004名、早稲田大学の11,246名が続きます。我が母校、東京大学はと見てみると、だいぶランキングは下がって21位で2,555名。トップの日本大学とは一桁違います。しかし、当然お気付きかと思いますが、そもそも学生の数が多ければそれだけ社長の数も増えるはず。つまり、社長になる可能性を見るのであれば、学生の数との比較でランキングを作成すべきです。
ということで、ちょっと調べてみましたが、日本大学の学生数は68,675名(旺文社「大学の真の実力 情報公開BOOK」より、2013年4月12日)。一方で、東京大学は14,013名(同左、2014年3月4日)。日本大学は社長数23,049に対し、学生数68,675で、比率は0.336。これに対し、東京大学は社長数2,555に対し、学生数は14,013で0.182… ううむ、やはり負けています。それも明らかに。いや待てよ、学生数はあくまでも現時点での学生数だから、過去からの蓄積(累積での卒業生数)で見るべきではないでしょうか。歴史が長ければ、それだけ卒業生数が多く、それだけ社長の数が増えても不思議ではない。ということで、再び調べてみると、ダメです… やはり完敗。ちなみに日本大学の卒業生総数は1,079,563名(大学ホームページ)。これに対し、東大の学部卒業生総数は旧制/新制時代を通算して270,607名(これも大学ホームページ)。歴史としては東京大学の方が長いため、卒業生総数で見ると約4:1ということになります。ただ、社長の数は約9:1ですから、残念ながら完敗です(ちなみに、大学院生の数を含む含まないといったことで上記の数字がある程度変わる可能性はありますが、結論は変わらないと思います)。
では、慶應義塾大学は、あるいは早稲田大学は、とは調べていないので、学生数や卒業生数当たりでの確率で日本大学がトップかどうかは検証できていませんが、東京大学より遥かに上であることは間違いないようです。
ちなみにもう一つのランキング、出身地もやはり確率という観点で見ると、人口との対比で見るべきです。東京都はそもそも人口が多いので、東京都出身の社長が最も多くても何ら不思議ではありません。ただ、ちょっと驚くのが第2位で、実は北海道。東京都が92,902名に対し、北海道は56,571名。人口で考えると、東京都が約1,300万人に対し、北海道は550万人ですから、北海道出身の方が社長になる確率は高いことになります。ちなみに社長ランキングの第3位は大阪府で53,314名、愛知県が47,554名。それぞれの人口は880万人、740万人ですからやはり北海道の方が確率が高いことになります。
昨年7月に「Pro来たーっ!」とVAIO Proを買ったことをお話ししましたが、まさか、そのVAIOが私が買う最後のSonyのVAIOになるとは思っていませんでした。
既にメディアで大きく報道されていますが、この7月を目途に、SonyがPC事業を分離し、投資ファンドである日本産業パートナーズをスポンサー(株主)として、独立した会社として新たな一歩を踏み出すことがほぼ決まったようです。
今回分離の対象となるのは、VAIOブランドのPC事業のみのようで、XPERIAブランドのスマホやタブレットなどは本体に残るようです。VAIOは押しも押されぬ大ブランドであり、VAIOのブランドはそのまま残るようですが、「Sonyの」VAIOは(一定期間は移行期ということで名前だけ残るかもしれませんが)なくなるようです。
私は、独立して自分の会社を立ち上げた2000年以降、Windows PCとしてはずっとVAIOを使ってきました。SR(スペック違いで2台), TR, type T, X, Z, そして今回のPro。作っている方の拘りが伝わってくる、持っていて嬉しいPC、そして、持っていて自慢ができるPC、それがVAIO。今回のニュースは、個人的なファンとしては、なかなか複雑な気分です。
ご存知の方も多いかと思いますが、弥生はかつてライブドア・グループの一社でした(2004年にライブドアが弥生を買収)。その後紆余曲折があり、2007年に再び独立することになりました。これは弥生にとっても、大きなチャレンジであると同時に、飛躍するチャンスともなりました。まだ、「大きく」飛躍といえるほどの成果ではありませんが、この6年間で着実に進化を遂げることができました。その起点になっているのは、2007年の独立です。
去る10月1日(火)に、安倍総理が記者会見を開き、「消費税率を法律で定められたとおり、現行の5%から8%に3%引き上げる決断」をされたことを表明されました。これで来年2014年4月1日から、消費税率が8%に引き上げられることが正式に確定しました。
消費税率の引き上げについては、弥生はある意味利害関係者になるため、これまで本ブログでの積極的な言及は避けてきました。ただ、安倍総理も「社会保障を安定させ、厳しい財政を再建するために、財源の確保は待ったなし」、「経済の再生と財政健全化、この2つを同時に達成するほかに、私たちには道はありません」と語られた通り、今の日本にとっては必要なことだと考えています。私がそう考える理由については、また改めて本ブログでお話しさせて頂きたいと思います。
安倍総理は「最後の最後まで考え抜きました」とお話しになられましたが、本当に難しい決断だったと思います。しかし、難しい決断をすることこそ、リーダーの仕事です。以前、ビジネスには正解なんてない、と書きましたが、政治にも誰から見ても絶対的な正解というのは存在しません。今回の消費税にしても、TPPにしても、あるいは原発の是非についても、絶対的な正解は存在しません。調べても調べても、絶対的な正解を見出すことはできません。
正解が容易に見出せるのであれば、すでに正解が選ばれているはずです。絶対的な正解がないからこそ、誰かが決断しなければならない。それはリーダーの仕事です。タイムリーに決断し、その決断に責任を持ち、その決断が正解となるように全力を尽くす。
前回はメンタルモデルと、メンタルモデルの負の側面である思い込みについてお話ししましたが、メンタルモデルというのは個人だけではなく、組織にも存在します。組織において、この負の側面が出ることが多いのが、「予算」だと感じています。
弥生では、10月から(もう明日です!)の新年度に向けた予算を既に策定していますが、予算を策定する度に感じるのが、予算を絶対視する傾向。ここでいう予算は特に経費面を指していますが、一度決まった予算は絶対に超えられない、だから、予算は余裕を見て多目に、となりがちです。これを各部署が行うと、全社で集計した経費予算が大幅に増加、何でこんなに増えているの?となってしまいます。
これは「予算は絶対的なもの」という思い込みによる影響が大きいような気がします。思い込みですから、実は正しい/合理的とは限らない。もちろん、予算は大事なものですし、尊重すべきものです。ただ、予算自体は目的ではありません。所詮道具であり、手段である予算が、絶対的に達成すべき目的にすり変わってしまうというのは本末転倒です。
そもそも事業として目指しているのは予算を達成すること、ではなく、お客さまに価値を提供し、その価値に見合う収益を上げること。それを確実に、なおかつ、全社で足並みをそろえて実現するためのガイドラインとして、予算があります。
予算はあくまでも目標地点であり、ガイドライン。全社で期を通じて最終的に予算を達成できるように努力は必要ですが、タイミングや個別の部門単位では予算から乖離することもありですし、もっと言えば、状況によって、あえて予算を超えた着地を許容することもあるべきです。
だいたい、期初に予算を設定したら、後は放っておいてもその通りにいくのであれば、経営者がいる必要はないですよね(笑)。経営者の仕事は予算を設定すること(だけ)ではなく、その後の状況に応じて臨機応変に判断をしていくことですから。
ただ、予算はガイドラインと言いつつ、評価の時には予算が絶対では、予算が絶対という思い込みを助長するだけです。最初から最後まで、予算は目標地点であり、ガイドラインと言い切れるか、経営者の覚悟が問われます。
前々回、前回と航空券の買い方を題材にオプションの価値についてお話しをしてきました。一方で、キャンセル料 = 何も価値を得ていないのに払わなければいけないコスト = 損というイメージが強い、とも。これはある種の「思い込み」と言えます。多くの人が割と自然に受け入れてしまう「常識」であっても、よくよく考えてみると実は正しいとは限らない(あるいは常に正しいとは限らない)。
ピーター・センゲによって提唱された「学習する組織」という組織論がありますが、学習する組織に必要な5つの要素のうちの一つが「メンタルモデル」です。メンタルモデルとは、私たちが物事を理解する際に自然に適用されるフィルターと言えます。私たちは多くの場合、意識せずにこのフィルターを通じて世界を見ています。
このフィルターは、人が生きていく上でとても役に立つ存在です。例えば、ボールを空に投げれば、それはやがて落ちてくることを私たちは知っています。だからこそ毎回毎回ボールの軌道を計算しなくても、空に投げたボールを自然とキャッチすることができる。メンタルモデルというフィルターがあるからこそ、多くのことを無意識で行うことができます。
そういった意味でメンタルモデルは必ずしも否定されるものではありません。ただ、時に、実は正しいと限らない(あるいは合理的でない)「思い込み」になってしまうことがあり、注意が必要です。確かに偶発的に発生したキャンセル料は価値は生まない(風邪をひいてしまい、旅行をキャンセルした)。一方でこれまでにお話ししてきたように、オプションという価値を生む、だからこそ戦略的に活用すべきキャンセル料も存在します。
前回は航空券の買い方を例に、オプションという価値を買うことの意味についてお話ししました。ただ、色々な人とお話しすると意外にこれを実践している人は少ないようです。キャンセル料は、必要な際に割安に乗れるというオプションの対価ですが、何となく、キャンセル料 = 何も価値を得ていないのに払わなければいけないコスト = 損というイメージがあり、損をしたくないという心理が働いているような気がします。
ある意味似ているのは、保険かもしれませんね。特に掛け捨ての保険の場合、無事故で終われば、保険料は(見た目上)何も生まずに「掛け捨て」となります。これも万が一の際の価値を買っているということになりますから、決して捨てているわけではないのですが、何となく掛け捨てよりも何かが残る貯蓄型を選ぶ方も多いようです。もっとも昨今はこれまでよりも色々と考えて保険に入る方も増えていますから、従来よりも掛け捨ての割合が増えているのではないでしょうか。ちなみに私は、保険は必要最小限のリスクヘッジと割り切っているので、基本は掛け捨てです。
キャンセル料を払うのを避ける理由でもう一つありそうなのは、「航空会社に悪い」という感覚。キャンセル料を払ったとしても予約していたものをキャンセルするのは悪いと感じてしまう。
この点に関して言えば、航空会社の方が一枚も二枚も上手なので、気にする必要はないというのが私の考えです。航空会社にとっては、一定の確率でキャンセルが発生するのは織り込み済みですし、そのため、通常は(需要さえあれば)座席数以上に航空券を発売しています。最近は航空券も需要に応じた値付けが定着しており、残りの座席数が少なくなれば、割安の運賃も早々になくなるようになっています。割安の運賃をキャンセルされても、乗りたい人がいるのであれば、今度は普通運賃でうまるわけですから、航空会社から見ると、キャンセル料 + 普通運賃を得られることになり、むしろ有難いと言えます。逆に乗りたい人がいないのであれば、もとより空席になってもしょうがないわけで、少なくともキャンセル料が得られるだけマシという考え方ができます。
もっとも、キャンセルすることがわかった段階で早目に連絡する、ということはやはり必要ですね。早目にわかればそれだけ航空会社として調整も容易になりますので。
BCGの先輩である鈴木貴博さんの「戦略思考トレーニング」「戦略思考トレーニング 2」に刺激されたわけではないのですが、今日はクイズを一つ。戦略思考というレベルではないのですが…
今週金曜日は午前中に都内で打合せがあるが、その後なるべく早めに札幌に移動したい。打合せは12時に終わる予定で、そこから羽田空港に移動すればギリギリ13時のフライトに間に合うはず。ただ、打合せの終了時間が今一つ読めない。何時のどんなチケットを買うべきか。
稚拙な問題でお恥ずかしいですが、最も安全な解は何回でも予約の変更ができる普通運賃でしょう。とりあえず最も確度の高い時間のフライトで予約し、必要であれば予約を変更すればいい。もうちょっとおトクにという観点では、往復運賃や2回分となるビジネスきっぷという選択もありますね。
一方で、運賃の安さという観点では、数日前までに購入する割引運賃(JALであれば特便割引、ANAであれば特割)の方がかなり有利。ただ、これらの運賃は基本的に予約の変更ができません。だから、今回のお題のように、時間が読めない場合には不向き?
これは必ずしもそうとは言えません。なぜならば、一定の確率でのキャンセル料の支払いを見込んだ上でも割引運賃の方がおトクというケースが往々にしてあるからです。例えば、割引運賃が20,000円(キャンセル料2,000円)、普通運賃が30,000円で、50%の確率で割引運賃の便に乗れるとすると、乗れる確率は50%でその場合のコストは20,000円、逆に乗れなかった場合(残る50%)はキャンセル料+乗ることになった便の普通運賃で2,000円+30,000円=32,000円。期待値で言えば、0.5*20,000+0.5*32,000=26,000円となり、何も考えずに普通運賃を買うよりもおトクとなります。
さらに言えば、13:00のANAか、13:30のJALか、どちらかには乗れるはず、という場合には、それぞれの割引運賃を買っておくという手もあります。この場合は乗らなかったどちらかでキャンセル料が発生することは確実ですが、期待値は(それぞれの確率が50%だとして)、0.5*(20,000+2,000)+0.5*(20,000+2,000)=22,000円となり、普通運賃を買うよりも確実におトクになります。
特に後者のケースで分かりやすいのですが、これは2,000円で2便のどちらかに割安で乗れるという「オプション」を買っているということです。このキャンセル料2,000円を無駄ガネと見るのか、オプションという価値を買っていると見るのかは人によって分かれそうですが、純粋に経済的観点で見れば有効なおカネの使い方と言えます。
わかりやすく航空券の例でお話ししていますが、これはビジネス全般に通じることです。誰から見てもどうなるのかがはっきりわかってからでは収益の機会が失われて(あるいは大きく損なわれて)しまいます。どうなるかわからない状況にこそ、大きな収益の機会があるわけです。ただ、何も考えずにエイやっでは単なるギャンブル。何がどれぐらいの確度で起こり得るか、また起こった事象ごとの収益の見通しを可能な限り見通す努力をした上で、あえてオプションを買うことは経営者として必要なことだと考えています。
昨日は、BCG(ボストン コンサルティング グループ)のOB仲間である斎藤さんがアクサダイレクト生命の社長に就任したお祝いということで、BCGのOBが集まっての飲み会がありました(企画はこれも最近カフェ・カンパニーの専務に就任された柴野さん)。テーマとしては社長同志ということで、社長/役員クラスとして活躍しているBCG OB中心に20名程集まっての楽しい場となりました。
昔は戦略コンサルティングファームからの卒業後のキャリアパスというと、他のコンサルティング会社への転職もしくは自分でコンサルティング会社を起業するというパターンが多かったように思うのですが(私もBCGからの卒業後自分でコンサル会社を起業しましたので、後者のパターンですね)、最近はいわゆる事業会社で活躍する方も増えてきました。
今回参加した中でも、業種は金融(今回の主役であるアクサダイレクト生命の斎藤さん)もあれば、不動産(スターマイカの水永さん)、製造業(日本オイルポンプの中尾さん、SHICATAの後藤さん)、IT(USENの中村さん、弥生の私)と様々。USENのように社歴50年以上の会社もあれば、最近起業したベンチャーまで様々です。
業種や規模の違いはあっても、トップとして日頃走り続けている中での悩みには共通項が多く、遠慮なく話せる仲間はとても貴重です。折しも、週刊東洋経済で「マッキンゼー学校」という特集が組まれ「各界に広がるマッキンゼー・マフィア 130人」という記事が掲載されたばかりなのですが、我々も負けていられないねと意気投合。マッキンゼー特集が東洋経済なら、BCG特集はダイヤモンドさんいかがでしょう(違)。
先月末からオープン・イノベーションの話を続けてきましたが、長くなってきたので(まだ続きます…)、箸休め的な話題でも。
先週月曜日に立教大学にお邪魔して、講義を行ってきました。これまで法政大学や関西学院大学、さらにはモード学園で起業、会計、さらには弥生自身などのテーマで講義を行ってきましたが、立教大学は初めてです。池袋にあるキャンパスにお邪魔したのは初めてですが、ヨーロッパ調の雰囲気のある建物もある一方で、新しくて快適な建物もあり、なかなか素敵なところでした。
立教も初なのですが、実はもう一つの初が。今回は私自身初の英語での講義でした。講座は経営学部の松永助教のBilingual Business Projectというもので、クライアント企業向けに新たなビジネスのプランを策定するというものです。Bilingualということで、授業は全て英語です。今回のクライアント企業もピアソン桐原というイギリス系のメディア/出版会社(ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ピアソンはFinancial Timesの発行元です)。
私の役割は、学生が用意してきたビジネスプランを講評するというもの。ただ、一方的な講評では学びにつながらないので、まずは簡単にプレゼンをしてもらい、それに対し、学生同士でのディスカッション、さらに私からの質問やフィードバック、そして最後に新規事業を考える上で参考になるフレームワークについて少々説明という形で組み立てました。良くも悪くも大学生のビジネスプラン(なおかつ講座としてもまだ道半ば)なので、全体的に甘い部分が多いのですが、頭ごなしに否定しても何も始まりません。良い部分を引き出すと同時に、どういった観点で考えるべきかのヒントを受け取ってもらえるように意識して進めました。
一応UCLAのビジネススクールは修了していますので、英語には困らないのですが、日頃使う機会は限られていますし、なおかつ、プレゼン/シナリオなしでの講義なので、実のところ結構緊張していました(告白)。ただ、監督役の松永先生にもうまく誘導して頂き、何とか大役をこなすことができました。終わってみれば、楽しいし、もっと話したい!
学生の皆さんはとても熱心に取り組まれていることがよく伝わって来ましたし、発表されたプランの中には、結構筋のいい提案もあり、今後が楽しみです。
新聞を読もう、ただ、新聞を読む上では、もう一歩踏み込んで理解しようとお話ししてきました。自分が見たいように物事を見てしまう自らのフィルター、同時に、書き手によるフィルターの存在を理解した上で、できるだけ正確に理解する努力をする必要があります。特に、前回の記事でお話しした通り、グラフはパッと見で誤った理解をしてしまう(自らのフィルター)ことも多いのですが、それ以上に、意図的に見え方を変えることも多い(書き手によるフィルター)ので要注意です。
書き手によるフィルターという観点で、一つ事例を紹介したいと思います。今日(5/24)の日本経済新聞の朝刊(4ページ、政治面)で、「中小スーパー団体『消費税10%で導入を』 軽減税率巡り 」という記事がありました。自民党と公明党が23日、生活必需品の消費税率をほかの品目に比べ低くする軽減税率を協議する調査委員会を開き、小売業界など5団体から意見を聞いたという記事なのですが、「中小スーパー団体「消費税10%で導入を」 軽減税率巡り 」という見出しに誤りはないものの、記事全体を正確に表しているとは言えません。
というのは、記事の本文を読んで頂ければわかるのですが、この委員会では5団体から意見を聞いています。このうち4団体は、『事務負担が増える』『税収が減る』などの理由で反対の意見を述べたそうです。ただ、このうちの1団体、日本チェーンストア協会は『将来は必要だが、10%までは単一税率でいくべきだ』という意見だったそうです。
5団体のうち、唯一1団体、新日本スーパーマーケット協会のみが、「消費者の利点が大きいとして、税率が10%に上がる予定の2015年10月に軽減税率を導入するよう訴えた」そうです。この記事の見出しは、この部分だけを取り上げています(そして見出しの内容として誤っているわけではありません)。
しかし、この委員会では軽減税率導入を訴えたのは5団体中1団体だったということで、少数意見だったわけですから、記事の内容を集約した見出しとして適切だったかどうかというと、正直疑問符が付きます。記事の内容を可能な限り中立的に集約したとすると、「小売業界など5団体 軽減税率巡り意見が分かれる」とすべきなのではないかと思います。
ご存知の方も多いと思いますが、新聞各社は、新聞に軽減税率を適用すべきと主張しています。その意向が今回の記事の見出しに反映されたと考えるのはうがった見方でしょうか。
だから新聞は信頼できない、という気は一切ありません。書き手によるフィルターが生まれるのは、新聞だけに限った話ではなく、TVなどでも全く同じ現象がありますし(スポンサーに対する配慮などもあるようですね…)、ネットのメディアもフィルターから無縁ではありません。ソーシャルメディアにもやはりフィルターがありますし、むしろ個人発信だからこそ、遠慮なく個人の意向が反映されていることが多いように感じます。そういう意味では本ブログも私によるフィルターがかかっています(軽減税率に対する私の意見は本記事には極力反映はしていないつもりですが)。
重要なのは、どんなメディアに接するにせよ、そこに書き手によるフィルターがあるということを認識し、自分なりにフィルターを排除して理解をするということかと思います。
新聞を読もう、新聞を読む上では、もう一歩踏み込んで理解しようという話の続きです。早速ですが、次のグラフを見て下さい。
前回は、全く同じ事実であっても、書き方によっては全く違ったように見えるとお話ししましたが、せっかくなので、もう一つの例を。
「国保:都道府県移管なら、負担増減3万円超??厚労省試算」
「国保保険料、移管なら上げも」
現在は市町村単位で運営されている国民健康保険を都道府県単位での運営に移管した場合、都道府県内で保険料が平準化されるため、保険料が大幅に変動する市町村が発生するという記事なのですが、今回は一つ目が毎日新聞、二つ目が日本経済新聞です。この比較では、毎日が「増減」とあって増えることもあれば、減ることもあると示唆しています(が、前段が「負担」とあるので、どうしても「増」の印象が強くなりますね)。一方で、日経は「上げ」とあるので、増加部分だけに着目しています。
この運営移管案は、運営を都道府県単位にすることによって、運営効率を上げ、少しでも保険料を下げられるようにするという狙いもありますが、都道府県内で保険料が平準化されることにもなりますので、結果的に保険料が増加する市町村もあれば、保険料が減少する市町村があって当然なのです。そういう意味では、この記事に関しては、毎日の方が「増減」と両方あることを明記した上で、「3万円超」という変動額を主に取り上げている分、より中立的かもしれません。
本文においても、毎日は負担増になるケース(三宅島)と、負担減になるケース(千代田区)を併記していますが、日経は負担増になるケース(三宅島など)のみを取り上げ、「実際に保険料を上げることになれば反発が強まるのは確実だ」と結んでいます。もともと国民健康保険などの社会保険の負担が重い(かつさらに重くなってきている)という背景の中で、やはり「増える」方が強調されがちになっているのではないかと思います。
前回は、新聞を読もうとお話ししました。新聞を読むことによって社会に対する自分の窓を広げる効果があると。
一方で、新聞を読む際には気を付けて頂きたいことがあります。それはもう一歩踏み込んで理解すること。例えば、以下の二つの見出しを見比べてみて下さい。
「パナソニック黒字転換へ 今期最終、3年ぶり リストラ寄与 前期は7500億円赤字に」
「パナソニック:3月期の赤字7500億円」
両方とも同じ5月11日(土)の記事ですが、一つ目は日本経済新聞の、二つ目は毎日新聞の見出しです。実は言っていることは同じなのですが、見出しだけ見れば、全く逆のメッセージに見えるのではないでしょうか。日経の見出しは今期は黒字転換、すなわち最悪期は脱したと読めますし、一方で毎日の見出しは、3月期は巨額な赤字、まだまだ出口が見えないと読めます。すなわち、日経はどちらかというとポジティブに、毎日はどちらかというとネガティブに見えます。
誤解のないように申し上げると、日経の方がいいとか、毎日がいいとかということを言いたいわけではありません。全く同じ事実であっても、書き方によっては全く違ったように見えるということです。だからこそ、記事を単純に、額面通り受け入れるのではなく、自分なりに咀嚼して、自分なりに理解する必要があるということです。
人にはどうしても、自分が見たいように物事をみる「くせ」があります。コップに水が半分入っている時に、コップに水が半分「もある」、と見るのか、コップに水が半分「しかない」と見るのか。毎日新聞の記事は、実は本文には「しかし、14年3月期は最終利益500億円と3年ぶりの黒字転換を見込む。」と書いてあるのですが、見出しで「ああ、やっぱりパナソニックは厳しいんだな」と思ってしまうと、「黒字転換」の部分がほとんど印象に残らなくなってしまう可能性があります。
自分が見たいように物事をみる「くせ」は、物を書くときにも同様に現れます。人が書く以上、どうしてもその人の意思が書いたものに反映されるのです。パナソニックは最悪期を脱したと思っていれば、あるいは、脱して欲しいという思いがあれば、書き方も自然とポジティブになりますし、逆に、パナソニックの先行きはまだまだ厳しいと思っていれば、ネガティブな書き方になります。もちろん、スペースの関係で、充分に書ききれず、結果的に一面的な書き方になってしまうということもあるでしょう。
早いもので5月も中旬。マーケティング本部の新卒社員はGW明けから現場に配属となりました(開発側は今月はまだプログラミング研修があります)。新卒採用もすっかり定着し、毎年新卒社員が加わることは当たり前のことになってきましたが、やはり実際に配属され、フレッシュな顔が加わるのは全体へのいい刺激になりますね。
以前書いた「正解なんてない」という記事が結構好評だったので、本ブログで、たまには新人に向けたメッセージも織り交ぜていこうと思っています。今回は新聞について。
社会人になったからには、ちゃんと新聞を読まないととよく言われますね(もっとも最近は就職活動の一環として読み込んでいる人も多いのでしょうか)。私も全くそう思います。
正直に言えば、私もかつてはそれほど熱心に読んでいたわけではありませんでした。それが変わったのは、アメリカに留学した時。留学をさせてもらっていた会社の親心で、アメリカでも日本経済新聞(とWall Street Jounal)を読んでいました。私は、もともと海外志向が強く、それほど日本に対する執着は強くなかったのですが、現実に英語の世界に埋もれると、唯一の日本メディアがとても新鮮で、隅から隅まで読むようになりました(当時はインターネットもまだまだ普及の初期で、ネットで十分な情報が得られる環境ではありませんでした)。
一旦読むようになると、日本に帰ってきてからも読むことが習慣になりましたし、むしろ読まないと物足りない気分になるようになりました。今でも朝は30分程度はかけて読み込んでいます(トイレで読むことに家族の顰蹙を買っていますが)。
今はインターネットで実に様々な情報が入ります。だから新聞なんてもういらない、という声も耳にしますが、私はそうは思いません。新聞のメリットは関心の幅を広げられること。インターネットで色々見ている限りは、どうしても自分の関心のある領域の情報に偏ってしまいます。誰かがキュレートした情報を見れば十分といっても、結局自分が関心のある誰かが選んだ情報になりますから、自ずと偏りが生じます。それに対して新聞は、最初から最後まで一通り読むことによって、それまでは関心のなかった領域でも何か起きているのか、ざっとわかるようになりますし、逆にわかるようになると、関心も湧いてきます。
政治に関心がなくても、まずは新聞で政治面を読んでみる。読んでいるうちに色々と理解が進み、理解が進むことによって関心も生まれる。そういった意味で、新聞を一通り読むことによって、社会に対する自分の窓を広げる効果があると感じています。
だまされたと思ってまずは一年間、じっくりと読んでみて下さい。関心の幅が大きく広がることを実感できると思います。
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