2021年版中小企業白書が4/23に公表されました。中小企業庁は毎年、中小企業基本法に基づき、中小企業白書を作成し、公表しています。2021年版の特色としては、「新型コロナウイルス感染症が中小企業・小規模事業者に与えた影響や、この危機を乗り越えるために重要な取組として、事業環境の変化を踏まえた事業の見直し、デジタル化、事業承継・M&Aに関する取組等について、豊富な事例を交えながら調査・分析を行いました」とのことです。
中小企業白書は、中小企業の動向を多岐に渡る観点から分析していますが、今回興味深いのは、中小企業が新型コロナウイルス禍による危機に直面する中で、「危機を乗り越える力」(第2部)として、「事業継続力と競争力を高めるデジタル化」(第2章)に着目しているところです。
「新型コロナウイルス感染症の流行は、企業を事業継続の危機にさらすとともに、我が国においてデジタル化の重要性を再認識させた。第2-2-1 図は、感染症流行前後のデジタル化に対する意識の変化を示したものである。これを見ると、全産業では、感染症流行後において『事業方針上の優先順位は高い』若しくは『事業方針上の優先順位はやや高い』と回答する割合が6割を超えている。」(P. 320)
感染症流行前はデジタル化の優先順位が高い/やや高いの割合が46%だったものが、感染症流行後は62%にまで上昇しています。感染症が流行する中で、お客さまにリーチするためのデジタル、また同時に、感染リスクを低減するためのデジタルの必要性が改めて認識されたということかと思います。
ただ、デジタル化というのは、単純にIT化すればいいというものではありません。以前も本ブログでお話ししましたが、業務のあり方は変えずに、媒体だけを電子データにしたのが電子化、一方で、業務のあり方自体も見直すのがデジタル化だと考えています。ただ、昨今は、ITツールを使えばすぐデジタル化、あるいはDX(Digital Transformation)というITベンダーにとって都合のいい使われ方が多いようにも思います。もちろんITを活用すること自体は必要なことですが、事業や業務まで見直さなければ、本当のデジタルの力を引き出したことにはなりません。
もっともこれは中小企業白書もわかっていて、DXには(狭義の)DX・デジタル化(Digitalization)・電子化(Digitization)の三段階があるとしつつ、この白書ではあえてこの3つを全て含むとしています。確かに中小企業においては、まだまだITを活用するところから始めなければならない事業者も多く存在しますからね。ただ弥生としては、ITを使えばよし、ではなく、その先、デジタルを前提として事業や業務まで見直し、競争力を高め、事業継続力を高めるというところまでお手伝いをしていきたいと思っています。
弥生の考えるDXについては、弥生の公式noteでもお話ししていますので、是非この機会に弥生の公式noteもご覧ください(「スキ」をしていただくと担当者も喜びます)。
完全に蛇足ですが、中小企業白書の「本報告は、閣議決定を経て国会に提出する年次報告であり、表題は元号表記となっているが、本文中の『中小企業の動向』に関する分析に関しては、経済活動において西暦表記が用いられることが多いこと、海外データとの比較が必要となる部分もあること、グラフにおいては西暦表記の方がなじみやすいと考えられることから、原則として西暦表記を用いている」というのに手放しで大賛成です。