2016年09月15日
保護くん
2016年03月15日
最終日 2016
2015年11月18日
マル扶へのマイナンバー記入
2015年11月17日
扶養控除等(異動)申告書
2015年05月29日
マイナンバーは秘密の鍵?
2015年04月01日
引上げ延期への対応
2015年03月16日
駆け込みセーフを目指す方に
2014年12月18日
通勤手当の非課税限度額の引上げ
2014年08月22日
不本意な未加入期間
2013年01月31日
復興特別所得税(まとめ)
この1月から課税が始まった復興特別所得税について、これまで何回かに分けてお話してきましたので、ここで一旦まとめておきたいと思います。
復興特別所得税の注意点
また、弥生のウェブサイトで、法令改正情報として復興特別所得税の特集ページもご用意していますので、一度目を通して頂ければ。報酬などの金額がわかっていて、そこから源泉徴収する金額を計算するのは比較的容易ですが、源泉徴収後の金額から源泉徴収前の金額を割り出すのは少々面倒です。報酬などは、受け取る側が予め請求書を発行し、そこで自ら源泉徴収額を計算しておくことも多いので、源泉徴収前の金額が比較的わかりやすいですが、意外に面倒なのが利子。預金の利子は源泉徴収後の金額だけが通帳に記載されていることが多いので、そこから、所得税および復興特別所得税の金額、住民税の金額を割り出し、それらを合算してようやく源泉徴収前の金額を算出することができます。この方法についても、例を挙げてご説明しています。
2013年01月23日
復興特別所得税の注意点(その3)
早ければ今月にも復興特別所得税を納付するケースがいくつかあるということで、前々回は給与所得について、前回は個人事業主の報酬・料金についてお話ししました。今回は三つ目のケースとなる預金などの利子についてお話ししたいと思います。
個人事業主や専業主婦のように給与所得が存在しないケースは珍しくありませんが、預金口座を持っていない人はかなり珍しいと思いますので、今回お話しする預金などの利子への復興特別所得税は影響範囲としては最も広いのかもしれません。
さて、預金などの利子も立派な所得ですので、所得税(と住民税)の対象となります。ただし、一般的には一定額が源泉徴収されるようになっており、確定申告は必要ありません。これまでは、所得税が15%、住民税が5%の合計20%が源泉徴収されていたのですが、この1月からは、所得税が15.315%(15%*1.021、しかし細かいですね…)と住民税は変わらず5%で、合計20.315%が源泉徴収されることになります。例えば、利子が1,000円だったとして、所得税(復興特別所得税込み)が15.315%で153円(円未満は切り捨て)、住民税は5%で50円、合計203円源泉徴収され、手取りは797円となります。この例だと復興特別所得税で3円だけ多く源泉徴収されることになりますね。
2013年01月17日
復興特別所得税の注意点(その2)
今年1月1日からスタートした復興特別所得税ですが、前回も書いたように今年(平成25年)からの所得税に所得税額の2.1%分の復興特別所得税が上乗せされます。上乗せのベースとなるのが平成25年の所得税ですから、金額として確定するのはあくまでも平成25年が終わってから、そして、確定した金額を納付するのは、平成25年分確定申告ということになります。つまり今から一年以上はあるということです。
ただし実際には、早ければ今月にも復興特別所得税を納付するケースがいくつかあります。一つは、前回も書いた給与所得です。給与所得として、年間の所得が確定し、所得税+復興特別所得税の金額が確定するのは、年末調整もしくは来年の確定申告になります。しかしその前にも、毎月の給与の支払時に、源泉徴収という形で所得税と復興特別所得税を納める必要があります。
二つ目のケースは、個人事業主が報酬・料金を受け取る際です。ご承知の方が多いと思いますが、個人事業主に特定の報酬・料金等の支払いを行う場合には、支払う側が一定額を源泉徴収し、納付する必要があります。個人事業主側からすると、源泉徴収後の金額で受け取ることになるわけですが、この源泉徴収にも復興特別所得税が反映されますので、これまでよりも多く源泉徴収されることになります。
ただ、これも前回ちょっと書きましたが、復興特別所得税が上乗せされるのは、あくまでも今年の所得からですから、個人事業主が昨年12月に行った業務(=所得としてはあくまで昨年の分)については、例えその請求書の発行や売掛金の回収が今年になったとしても、復興特別所得税は課せられません。逆に言えば、この1月に行った業務から、復興特別所得税が課されることになりますので、タイミングとしては、今月末の請求書作成時に考慮が必要になるケースが多いのではないかと思います。
源泉徴収額は、これまで支払金額が100万円以下であれば、10%、100万円超であれば、100万円を超える部分の20%+10万円と決まっていました。これが復興特別所得税込みとなることによって、100万円以下であれば、10.21%、100万円超であれば、100万円を超える部分の20.42%+102,100円となります。要はこれまでの額+2.1%ということですね。報酬・料金での源泉徴収額は、支払を受ける側が請求書上で予め明記しておくのが一般的です。このため、請求書などを作成・印刷するソフトであるやよいの見積・納品・請求書 13では、源泉徴収の自動計算に対応しており、復興特別所得税込みでの金額で計算できるようになっています。
ただし、実は司法書士への報酬など上記の源泉徴収額算出式が当てはまらないケースがあります(厳密には司法書士、土地家屋調査士及び海事代理士)。この場合には、やよいの見積・納品・請求書では、源泉徴収税額をご自身で計算して頂き、金額を直接入力する必要があります。
2013年01月11日
復興特別所得税の注意点(その1)
今年最初のブログ記事でも書いたように、今年1月1日から、復興特別所得税がスタートしています。復興特別所得税については、昨年11月にも解説していますが、いざスタートしたということで、改めて整理してみたいと思います。
この復興特別所得税は、いわゆる復興増税のうちの一つです。復興増税は、所得税だけでなく、法人税、住民税で実施されますが、復興特別所得税はこの1月からスタートし、今年から実に25年間に渡って課税されることになっています。
復興特別所得税は単純に言えば、通常の所得税への2.1%の上乗せということになります。間違えられやすいのですが、税率が2.1%増える(例えば所得税率10%が10%+2.1%=12.1%になる)ということではありません。所得税額が2.1%増えるということです。例えば、所得税が20万円であれば、その2.1%、すなわち4,200円が復興特別所得税として課税されます。税率として表現すると、所得税率が10%の場合には、10%×102.1%=10.21%となるということですね。
復興特別所得税は、今年以降(平成25年から平成49年!!)の所得に対して課税されます。このため、例えば、個人事業主が昨年12月に行った業務については、例えその請求書の発行や売掛金の回収が今年になったとしても、所得としてはあくまで昨年(平成24年)の分ですから、復興特別所得税は課せられません。個人事業主の昨年(平成24年)の所得については、今年の3月15日までに所得税の確定申告をする必要がありますが、今回の確定申告に関しては、復興特別所得税は全く関係がないことになります。
一方で、少々注意が必要なのは、給与所得です。ご承知のように給与を支給する場合には、源泉徴収が必要となりますが、いつ支払いの給与から復興特別所得税込みでの源泉徴収が必要になるのか。これは基本的に今年1月1日以降に支払われた給与は、復興特別所得税の対象となります。
ん、でも、1月に支払われる給与は12月の労働に対してなのでは?、と思われるかもしれませんが、所得税上は、支給日が定められている給与については、その支給日がその給与の収入とすべき時期とされているのです。ですから、1月に払われるのは今年分の収入ということになります(実際、年末に配布される給与所得の源泉徴収票に記載されている「支払金額」は、その年の1月から12月末までに支給された金額の合計です)。
ということで、給与所得のある方は、今月の給与明細書は要チェックです。今月から所得税の源泉徴収額に復興特別所得税が含まれています。ここでの復興特別所得税はもともとの源泉徴収額の2.1%ということになりますが、機械的に2.1%加算されるのではなく、復興特別所得税が反映された新しい「平成25年分 源泉徴収税額表」に基づいて源泉徴収されます(最終的には年末調整で正確に2.1%上乗せに調整されます)。
2013年01月09日
源泉所得税の納付の2つの特例
約2年前にも書いたことがありますが、法人や個人事業主が、従業員に給与を支払ったり、税理士などに報酬を支払ったりする場合には、支払いの際に所得税を源泉徴収する必要があります。これはあくまでも国に代わって徴収しているわけですから、徴収した金額を期限までに国に納付する必要があります。納付期限は原則的に支払いの翌月10日です。参考URLはこちら。
ただし、小規模事業所(給与を支払う対象が常時10人未満)の場合には、事前の申請により、納付期限を半年に一度(1月と7月)とする特例(納期の特例)が認められています。この特例では、通常は翌月10日までに納付しなければならないものを7月10日(1月から6月に源泉徴収した分)および翌年1月10日(7月から12月に源泉徴収した分)までにまとめて納付することができるようになります。ただ、この特例(納期の特例)にはさらに特例(納期限の特例、違いはわかりますか?)があり、納期の特例に加え、納期限の特例についても届け出をすれば、1月10日の納期が1月20日になります。
今回、後者の特例(納期限の特例)が廃止されました。といっても実は、納期の特例による納期限が1月については1月10日ではなく、1月20日に変更されたため、納期限の特例が必要なくなったということです(書いていて改めて思いますが、極めてわかりにくいですね)。
要は、これからは、納期の特例の承認を受けていれば、7月10日(1月から6月に源泉徴収した分)および翌年1月20日(7月から12月に源泉徴収した分)までに納付すれば良いということになります。納期の特例を受けている方で、「やばい、明日(1/10)が納期限だ」と焦っている方は、今回から1/20が期限(実際には今年は1/20が日曜日なので1/21)になっていますので、ご安心ください。とはいえ、所詮6営業日伸びただけなので、抜本的な解決とはなりませんが… ちなみに、納期の特例の参考URLはこちら。
2012年03月21日
協会けんぽ、ついに10%の大台に
時節柄、2月中旬からずっと確定申告/青色申告に関連する話題を続けてきましたが、先週木曜日で確定申告が終了。確定申告時期は弥生のお客さま(個人事業主)にとって、非常に重要な時期だけに、無事に終わってホッと一息です。
さて、確定申告で盛り上がっている間にも、社会保険の料率改定がありました。既に弥生のウェブサイトではお知らせをしていますが、一つは健康保険料/介護保険料の料率改定。もう一つは雇用保険料の料率改定。
健康保険料/介護保険料については、主に中小の法人が加入している協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の健康保険料率と介護保険料率が改定(引き上げ)になります。改定のタイミングは平成24年3月。実際には、翌月の給与から徴収する会社が多いと思いますので、手取りに影響が出るのは4月という方が多いと思いますが、早ければ(当月徴収の場合)この3月の給与から保険料が引き上げとなります。
医療費の増加により、もともと財政が厳しいところに、高齢者医療への拠出金が増えていることから、協会けんぽはここ数年、毎年料率を引き上げています。本ブログで最初に取り上げたのは約2年前の2010年2月ですが、この時は全国平均で8.20%から9.34%へと、大幅な引き上げでした(協会けんぽの実際の保険料率は各県によって異なります)。そして2011年には9.34%から9.50%への小幅引き上げ。そして今回2012年は、9.50%から10.00%へと引き上げとなり、ついに10%の大台にのりました。40才以上の方が対象となる介護保険料は2010年に1.19%から1.50%に、2011年には1.51%に、そして今回1.55%にとじわじわ引き上げとなっています。
もう一つの雇用保険料については、反対に引き下げとなります。これまでは、一般の事業所では被保険者(社員)負担が0.6%、事業主(会社)負担が0.95%の合計1.55%でしたが、この4月より、被保険者(社員)負担が0.5%、事業主(会社)負担が0.85%の合計1.35%となります。雇用保険料率はその時の雇用情勢と、積立金の状況を踏まえ、やや政治的に決まるようです。
ただ、折角の雇用保険料の引き下げも協会けんぽに加入している事業所では完全に打ち消しですね。ちなみに、今回の協会けんぽの料率引き上げ0.50%(全国平均で9.50%から10.00%)のうち、0.39%は特定保険料の引き上げです。特定保険料は「後期高齢者医療制度の支援金等に充てられる」保険料で、上で書いた高齢者医療への拠出金が増えているというのがこんなところにも現れています。逆に言えば、高齢化と医療費の増大が続く以上は、協会けんぽの保険料はまだまだ増えるということです。協会けんぽ自体、FAQとして「今後も保険料率は上がるのですか?」という質問に、「現状のままでは、今後も厳しい状況が続くものと考えられます。」と答えています。
2011年10月13日
厚生年金はいつからもらえる?
弥生のウェブサイトでは既に8月からお知らせしていますが、この10月の給与から、厚生年金保険の料率が再び上がります。正確には、再びというよりも、毎年恒例。昨年9月に解説していますが、平成16年の年金制度改正によって、平成29年まで、毎年じわじわと上がっていくことが決まっています。
今回の料率改定は、16.058%から、16.412%への0.354%の引き上げです。料率ではわかりにくいですが、例として、給料(正確には標準報酬月額)が300,000円の方ですと、9月までが、300,000円×16.058% = 48,174円。これを会社(事業主)と従業員(被保険者)で半分ずつ負担しますので、従業員の負担額は半分の24,087円です。これが、10月の給与では300,000円×16.412% = 49,236円。従業員の負担額は半分の24,618円となります。その差、531円。一年間で、6,372円の負担増ということになります。
昨年お話しした通り、平成16年の改正前と平成29年の改正完了時点での保険料の増加は無視できないレベル(標準報酬月額が300,000円の人で、従業員負担分が年間で84,960円増加)ですが、そこはうまくできていて、毎年の負担増としては、まあなんとか耐えられるレベルです。実際問題、給与明細を見ておらず、気が付かない人も多いかもしれませんね。
既に決まっていることですし、厚生年金制度を健全に維持するためであればやむを得ないとは思いますが、最近は別の方面で気になる動きが出てきました。それは、厚生年金の支給開始年齢のさらなる引き上げです。実は、料率だけではなく、年金の支給開始年齢も段階的に引き上げられてきており、2030年までには男性も女性も支給開始年齢が65歳になります。この65歳への引き上げがもっと早まり(2021年?)、なおかつ支給開始年齢はさらに68歳〜70歳にまで引き上げられるという案(厚生労働省案, pdf)が検討されています。
今のところすぐにこの案が成立するということではないようですが、年金財政が悪化する中で、料率の引き上げだけでは将来の目処がたたないということでしょう。しかし、料率(=保険料)が上がる一方で、実際に支給される年齢が上がるのではふんだりけったりですね。私は今42歳ですので、年金の支給は早くても23年後。今は、68歳〜70歳への引き上げの検討ですが、そのうち75歳、いやいや80歳への引き上げが検討されたりすると、果たして本当に年金を受け取ることができるのかどうか。
2011年06月20日
え、このタイミングで!?
6/16に本ブログでも提供開始をご案内した弥生給与/やよいの給与計算向けの算定基礎届「年平均による報酬月額」対応版ですが、現在提供を一旦ストップさせて頂いています。
というのも、日本年金機構のウェブサイトで「年平均による報酬月額」の計算方法が一部変更されたことが急遽告知(リンク先はpdfです)されたためです。6/16に提供を開始したバージョンは今回の告知以前に開発されていますから、当然のことながら、この計算方法変更には対応できていません。このため、急遽提供をストップし、改めて今回の計算方法変更に対応したバージョンを開発することにしました。現時点では確定したことはお伝えできないのですが、今週半ばから後半にかけて新バージョンをご提供できるように開発を進めています。
6/16のブログ記事でもちょっと書いたのですが、今回の法令改正の対象となる算定基礎届の提出期限は7月11日。つまりあと三週間です。三週間後に必ず提出しなければいけない書類(しかも決して簡単なものでなく、重要かつ複雑な書類)の仕様がこのタイミングで変更されるのは、さすがに、さすがに、厳しいです。対応するシステムを開発する弥生にとっても厳しいですが、お客さまにとっても、対応版を利用して書類を準備する時間が減ることになり、厳しい対応となってしまいます(今回の改正を反映しない形で算定基礎届を提出するのであれば、問題ありませんが、そうすると折角の改正のメリットを享受できない可能性があります)。
2011年06月14日
弥生と会計事務所を結びつけるもの
5月から会計事務所に関して色々とお話ししてきました。会計事務所の仕事って何があるんだろう、会計事務所はどのように差別化しようとしているんだろう、といった点です。そして前々回は、企業(顧問先)にとっての「自計化」の意味についてお話ししました。
そもそもこれらの記事の発端となったのは、弥生のパートナーである会計事務所が4,000を超えたということ。この記事において、「弥生にとって、会計事務所は志を共にするパートナー」と書いたのですが、実はここに「自計化」というキーワードが深くかかわってきます。
弥生とそのパートナーである会計事務所が共にする志は何か。それは、一社でも多くの中小企業に元気に活動してもらいたいという想いです。ここで言う企業は法人か、個人事業かは問いません。何かを成し遂げようという想いで起業される方を全力でバックアップしたい。懸命に成長しようという企業の後押しをしたい。そして生き残ろうという意思のある企業には絶対に潰れて欲しくない。
企業を立ち上げ、成長させ、何があっても潰さない。そのために必要なことは何か。もちろん色々とありますが、まず必要なのは現状を正確に把握すること。自計化を通じ、自社が今どんな状況にあるかを正確に、かつタイムリーに把握することが必要。そういった強い信念で結ばれているのが、弥生とPAPと呼ばれるパートナー会計事務所です。
差別化戦略の記帳代行とよろず経営相談で書いたように、お客さまへのアピールとしては記帳代行の方がわかりやすい。一般的に顧問先は会計についてあまり詳しくない中で、「帳簿付けから全部面倒見ます。お客さまは事業に専念して下さい」というのは非常にわかりやすいメッセージとなりますから。それでもあえて、「お客さま自身がちゃんと理解しないとダメです。だからまずは自分で帳簿を付けましょう」と言うのが弥生のパートナー会計事務所です。
もちろん、一つの型を万人に押しつけるのが正しいとは限りませんので、例えば、最初は記帳代行で受けるけれども、ある程度慣れたら自計化に移行しましょうという会計事務所もあります。それでも、根底にあるのは、本来は企業のためにも自計化すべきだという考えです。
もう一つ付け加えると、自計化は、企業と会計事務所の役割分担という意味でも副次効果を生みます。すなわち、企業側で記帳を行うことによって、会計事務所は労働集約型の作業から解放され、より付加価値の高いサービスを提供することが可能になります。
2011年06月09日
自計化の意味
前回お話しした通り、「自計化」というのは自社で記帳することです。会計事務所のアドバイスを受けながらも、基本的には自社で会計ソフトを使って記帳する。そしてそのデータを会計事務所と共有し、会計事務所は申告やよろず経営相談など会計事務所ならではの付加価値を提供するという流れになります。
「自計化」というと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、会計事務所に「記帳代行」として丸投げした場合の「代行」という言葉が示すように、本来、自社(顧問先)でやるべきことです。それは何故か。それは、自社が今どんな状況にあるかを正確に、かつタイムリーに把握するために必要だからです。
車の運転を考えてみましょう。余談ですが、私は車が好きなので、レンタカーを含めて色々な車に乗ったことがあります。これまで、タコメーター(回転速度計)がない車は見たことがありますが、さすがに速度計(スピードメーター)がなかったり、燃料計がない車というのは見たことがありません。そりゃそうですよね。何キロで走っているのかわからない、あとどれぐらい走れるのか見当もつかない車で走るのはとても危険ですし、日本では車検に引っ掛かって走ることすら認めてもらえないでしょう。
会計というのは、自動車でいうところの速度計であり、燃料計です。自社で記帳し、自社の数字をキチンと見えるようにするということは、自分の事業が今何キロで走っていて、あとどれぐらいの燃料があるのかを把握するということです。事業には通常は免許も必要ありませんし、車検もありませんが、速度計や燃料計を持っている、そしてそれをちゃんと活用していることは、当然必要なことです。
もちろん、事業を進めていく上で、速度はある程度体感できるでしょう。売上が順調かどうか。でも、それが適切な速度なのか、どうか。黒字倒産というものがありますが、これは儲かっているのに、倒産してしまうことです。なぜこれが起きるのかというと、簡単に言えば、現金がなくなったからです。自動車で言えば、ガス欠。うわーっ、調子いいな、と思って飛ばしていたら、突然のガス欠。燃料計に目をやっていれば、少しスピードも落としていたでしょうし、早めにガソリンの補給もできたでしょう。
調子がいい時以上に、悪い時にこそ速度計や燃料計を逐次チェックすることが必要です。思ったほど速度が出ていない、でも燃料は刻々と減っていっている。この場合、目的地を変更する必要があるかもしれませんし、場合によっては、車をより燃費の良いものに乗り換える必要すらあるかもしれません。
2011年06月06日
顧問先にとっては?
間が一回あいてしまいましたが、これまで、会計事務所の差別化戦略についてお話ししてきました。会計事務所の4つの業務のうち、申告業務と税務調査立会は税理士独占業務でもあり、コア業務。一方で、それだけでは差別化できないので、残りの二つの業務である記帳代行もしくはよろず経営相談が差別化の鍵になるということでした。
会計事務所の観点から、記帳代行とよろず経営相談という二つのオプションを比較してきたわけですが、顧問先(企業側)から見てはどうでしょうか。記帳代行は、本来は顧問先がやるべき記帳という業務を代行する、すなわち肩代わりしてくれるのに対し、よろず経営相談に重点を置く場合は、可能な限り記帳は顧問先に任せ、会計事務所は、より付加価値の高い業務に専念しようします。
一見すると、顧問先にとっては、記帳代行の方がよい仕組みに見えるかもしれません。しかし、実際は逆なのです。
自社で記帳することを「自計化」という言い方をします。会計事務所が自計化を勧める時、それは決して、会計事務所側にとって付加価値の低い業務を顧問先に押しつけるという後ろ向きな理由からではありません。それは、記帳代行の「代行」という言葉が示すように、本質的に顧問先がやるべきことだからです。本質的に顧問先がやるべきことは顧問先がやり、その一方で、会計事務所ならではの付加価値を提供しようとしているのです。