2011年03月01日

で、結局青色申告って誰のため?

青色申告に関するよくある誤解シリーズということで、先々週は青色申告にすることでどれだけ節税ができるかをお話ししました。複式簿記による青色申告であれば、年収300万円の方で、所得税・住民税・国民健康保険料のトータルで15万円以上手取りが増えるということでしたね。

ちなみに、先々週の例では実質的な収入(売上-経費)が300万円もしくはそれ以上の例のみご説明しましたが、お問合わせがありましたので、補足しますと、収入が100万円や200万円の場合でもやはり大きな節税になります。これまでと同様のモデルで計算すると、収入が100万円の場合はトータルで9.4万円の節税、収入が200万円の場合はトータルで14.4万円の節税になります。

注: これらのモデルは、横浜市の国民健康保険料をベースに計算していますが、他の自治体でも計算ロジックや保険料は多少変わっても、節税効果があることには基本的に変わりありません。なお、今回のモデルでは介護保険は対象外(40才未満)としていますので、介護保険の対象者(40才以上)の場合には、節税額はさらに増えます。

そして、先週には、赤字でも青色申告のメリットがあるというお話をしました。青色申告であれば、複数年での損益の通算ができるため、初年度が赤字でも青色申告をしておけば、翌年の黒字と相殺し、大きく節税できるということでした。赤字でも青色申告というよりも、赤字だからこそ青色申告しておくべきということかと思います。

ということで本日のお題である「で、結局青色申告って誰のため?」ですが、結論的には、個人事業主であれば、黒字であろうと赤字であろうと、誰でも青色申告をした方がよいと言えるかと思います。

唯一の例外としては、赤字脱却の目処が立たない場合でしょうか。赤字がずっと続き、黒字化の目処が立たないようであれば、複数年での損益の通算のメリットを活かせませんから、青色申告という手間をかけるまでもない、ということになるでしょう。ただ、個人事業主は、事業の黒字で生活を成り立たせるのが前提ですから、一年/二年は貯蓄でなんとかしのぐにしても、万年赤字では(普通は)そもそも生活が成り立ちませんね。
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2011年02月25日

どうせ赤字だから青色申告しなくても…

青色申告に関するよくある誤解シリーズということで、先週は青色申告にすることでどれだけ節税ができるかをお話ししました。複式簿記による青色申告であれば、年収300万円の方で、所得税・住民税・国民健康保険料のトータルで15万円以上手取りが増えるということでしたね。

一方で、どうせ赤字だから青色申告なんて関係ない、という方もいらっしゃいます。特に事業を立ち上げたばかりだから、今年は関係ないという方が多いようです。

実は、赤字だからこそ青色申告をすべきなのです。なぜならば、白色申告では認められていない複数年での損益の通算が、青色申告では認められているからです。「青色申告応援プロジェクト」でも解説していますので、その例をそのまま引用しますが、例えば、1年目は事業の立ち上げで経費も嵩み赤字が300万円、2年目からは黒字に転換し、2年目が50万円、3年目が100万円、4年目には300万円になった場合。

白色申告でも、青色申告でも、1年目(赤字300万円)については、所得税は発生しません。ところが、2年目以降で大きな差がつきます。白色申告の場合、過去の赤字に対する考慮は一切ありませんので、2年目で50万円、3年目で100万円、4年目では300万円の黒字(収入)に対するそのままかかります。もちろん、青色申告特別控除もありません。要は4年間でトータル450万円に対する所得税が発生します。

これに対して、青色申告の場合。1年目(赤字300万円)については、所得税は発生しません。一方、2年目以降は発生した黒字(収入)を過去3年間の赤字と相殺することができます。このため、2年目の50万円は相殺されてゼロ(すなわち所得税ゼロ)、3年目の100万円も相殺されてゼロ、4年目に300万円の黒字が発生すると、残っている赤字150万円(=300-50-100)と相殺され、差分の150万円に対してのみ所得税が発生します。つまり4年間でトータル150万円分しか所得税は発生しないのです。

確かに事業の立ち上げ期は、色々と費用も嵩みますし、一方で売上の確保にも苦労しがち。このため、赤字になることも珍しくありません。ただ、2年目以降は黒字化していかないとそもそも生活が成り立ちません。青色申告であれば、無事に黒字化した時に大きく税金を減らすことができます。ある意味、初年度も赤字も決して無駄ではなかったということになります。

この考えると、初年度で、赤字が見込まれるからこそ青色申告と言えるのではないでしょうか。
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2011年02月23日

税理士記念日

今日2/23(水)は... ふ(2)じ(2)さん(3)で富士山の日だったり、つ(2)つ(2)み(3)で風呂敷きの日だったりしますが、会計業界的に言えば、2/23は税理士記念日です。はて、どうやったら税理士を223と読めるのかと迷いますが、こちらはかなり真面目なルーツがあるようです。なんでも、税理士法の前身である税務代理士法が昭和17年2月23日に制定されたことに由来するそうです。

この税理士記念日(もしくはその前後)には、全国の税理士会で無料税務相談、講演会、税金セミナーなどを実施しています。最近お付き合いの多い、東京地方税理士会 戸塚支部では、戸塚法人会館で税理士による無料相談会を開催するそうです。所得税確定申告、贈与税など様々な相談に無料でのっていただける良い機会ですので、お近くの方は是非立ち寄られてはいかがでしょうか。ちなみに、日頃お世話になっていることもあり、弥生もブースを設置し、デモ等を行います。

日時は2011年2月23日(水) - 今日!、13:00〜19:00(19:00で受付終了)。場所は戸塚法人会館(横浜市戸塚区上倉田町449-2)の2階会議室。無料税務相談ですから、当然相談料は無料!です。特に事前の申し込みは必要ないということで、直接現地にお越し下さい。戸塚区、栄区、泉区の方は、当日の4時までは申告書の提出が可能ということで、関係する書類を一式持っていくと吉です。

なお、東京地方税理士会 戸塚支部以外でも本日もしくはその前後に同様のイベントを開催しています。参加してみたい、という方はお住まいの地区の税理士会にお問合わせしてみてはいかがでしょうか。
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2011年02月18日

青色申告って本当にオトク? (その4)

青色申告によってどれだけ節税ができるのかを見てきましたが、一点ご注意頂きたい点があります。青色申告応援プロジェクトでもご説明していますが、実は一口に青色申告と言っても二つの方式があるのです。一つは複式簿記によるもの、もう一つは簡易簿記によるものです。「オトク」という観点で違いが出るのが、青色申告特別控除の額。昨日までお話しした特別控除額65万円というのは、前者(複式簿記)の場合です。後者(簡易簿記)の場合、控除額はわずか10万円になってしまいます。

65万円と10万円、確かに差は大きいけど特別控除(収入をその分なかったことにできる)があるだけまだいいんじゃないの。基本的にはその通り、10万円控除でも、そもそも特別控除のない白色申告よりはオトクです。ただ、この65万円控除と10万円控除は最終的には大きな差を生みます。

昨日までのモデルケースでは、収入(売上-経費)が300万円の個人事業主では、青色申告にすると、所得税などの節税が合計15.6万円見込めるとお話しさせて頂きました。所得税上の所得が減った結果、住民税も減り、なおかつ、住民税が減った結果、国民健康保険料も減るという「節税の玉突き現象」が起こる、このため所得税の減税4.1万円だけでなく、住民税が6万円、さらに国民健康保険も5.5万円減って、合計15.6万円の節税ということでしたね。改めて補足すると、これは複式簿記による青色申告、すなわち特別控除が65万円の場合です。

それでは、あえて複式簿記にせず、簡易簿記で10万円控除となった場合、節税額はいくらになるでしょうか。実は、この場合、節税額はトータルでもわずか2.7万円になります(所得税0.9万円、住民税0.9万円、国民健康保険料0.9万円、国民健康保険料はこれまでと同様横浜市の場合)。確かに、簡易簿記は複式簿記よりは若干簡易な方式です。ただ、その手間を惜しんだ差はとても大きいのです。複式簿記では15.6万円節税できるのに、簡易簿記では2.7万円。実に5.7倍もの差が出ます。

ちなみに、年収が500万円と1,000万円のケースでは、500万円の場合、複式簿記で23.3万円が簡易簿記で3.6万円。1,000万円のケースでは、複式簿記で21.5万円が簡易簿記では3.3万円。いずれも大きな差が生まれます。

青色申告は本当にオトクか。これは昨日もお答えしたように「オトク」です。年収300万円の方でも15万円以上の節税が見込めるわけですから。ただ正確に言えば、オトクなのは複式簿記による青色申告です。最終的には個々人の判断ではありますが、ちょっとの手間を惜しんで簡易簿記を選択するのは、正直もったいないと思います。

なお、青色申告ソフトは一般的には複式簿記による青色申告をサポートしますが、ごく一部、簡易簿記しかサポートしない(結果として特別控除額が65万円ではなく、10万円しか得られない)ソフトも存在します。お買い上げの際には注意して下さいね。もちろん、シェア圧倒的No.1の「やよいの青色申告」であれば安心です。
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2011年02月17日

青色申告って本当にオトク? (その3)

昨日は収入(売上-経費)が300万円の個人事業主では、青色申告にすると、所得税などの節税が合計15.6万円見込めるという仕組みについて解説させて頂きました。所得税上の所得が減った結果、住民税も減り、なおかつ、住民税が減った結果、国民健康保険料も減るという「節税の玉突き現象」が起こる、このため所得税の減税4.1万円だけでなく、住民税が6万円、さらに国民健康保険も5.5万円減って、合計15.6万円の節税ということでしたね。

さて、上の例は年収が300万円でしたが、もっと年収が多い場合にはどのような節税効果が見込めるでしょうか。やはり年収が多くなるほど、節税額は大きくなる? 実はこの答えはYesでもあり、Noでもあります。

同じようなモデルケース(国民健康保険は横浜市を想定)で計算すると、収入500万円では、合計23.3万円の節税(所得税11.9万円、住民税6万円、国民健康保険5.4万円)が見込めます。さらに収入1,000万円の場合は? この場合は、合計21.5万円の節税です(所得税15万円、住民税6.5万円、国民健康保険0円)。あれ、両方とも年収300万円の時と比較すれば、合計での節税額は大きくなりますが、年収500万円と1,000万円では、なんと年収500万円の方が節税額が大きいですね。これは内訳を見て頂ければわかりますが、国民健康保険で節税効果が発生していないためです。あくまでも横浜市の場合ですが、国民健康保険の保険料には上限が設定されており、この上限で保険料が頭打ちになりますので、節税効果が生まれません(具体的には、この場合、青色申告でも白色申告でも、国民保険料が上限の63万円となり、節税になりません)。

一方で、節税の内訳で所得税を確認して頂くと、所得税の節税額は収入が上がるに従ってどんどん増えます。これは、その1でお話しした通り、所得税の税率が所得が上がるほど高くなる累進課税だからです。一方で、住民税の節税額はどの年収でも6万〜6.5万円になります。これは住民税の税率が所得によらず一律の10%であるため、節税額は凡そ65万円×10%程度になるのです(ちょうど65万円×10%にならないのは、国民健康保険料が下がることによって、社会保険料控除が減り、住民税が若干上がることがあるためです)。

ということで、結論から言うと、所得税は年収が上がるほど青色申告特別控除による節税効果が高まりますが、全体での節税額はそこまで極端に変わりません。逆に言えば、年収がそれほど高くない人でも青色申告のメリットはとても大きいのです。

実は弥生では先般「個人事業者の確定申告に関する調査」を行い、その結果を発表しました。この調査では一般に年収が高い方ほど、青色申告をされている率が高いということがわかりました。一方で、年収300万円の方でも約半数の方が青色申告をされているという結果でした。この結果も上記の「オトク」さを考えると納得ですね。

ということで、「青色申告って本当にオトク」という当初の疑問ですが、答えはずばり、「本当にオトク」です。オトクなのは年収が高い人に限られません。年収300万円の方であれば、所得税・住民税・国民健康保険料のトータルで15万円以上手取りが増えます。さあ、これでもまだ青色申告って...と思われますか?

(注)その1,その2での節税額の計算に一部誤りがありましたので、遡って修正しました(結果的に節税額が増えています)。
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2011年02月16日

青色申告って本当にオトク? (その2)

さて、昨日は収入(売上-経費)が300万円の個人事業主では、青色申告にすると、所得税が4.1万円、住民税が6万円、さらに国民健康保険が5.5万円の合計15.6万円減る、とお話ししました。

青色申告で得られる「青色申告特別控除」というのはあくまで所得税上の優遇です。所得税の確定申告書を見たことのある方はわかると思うのですが、個人事業主の場合、確定申告書上の収入金額はいわゆる売上になります。ただし、この収入金額が直接税金の対象となるわけではありません。税金の対象になるのは、経費等を引いた「所得金額」です。実は、この所得金額、青色申告の場合、売上-経費ではなく、売上-経費-青色申告特別控除となるのです。これが、青色申告特別控除の分は収入としてなかったことになり、税金を払わなくて済む、という仕掛けです。

一方、住民税や国民健康保険に関しては、直接的に青色申告特別控除があるわけではありません。ただし、通常は所得税上の所得が自動的に住民税の対象となる所得になります。つまり、所得税で青色申告特別控除を反映した「所得」が住民税のベースとなるため、結果的に住民税自身に青色申告特別控除があるのと同様の効果になるのです。もっと簡単に言えば、青色申告をすることによって、住民税も減るのです。場合によっては、所得税以上に。

次に、国民健康保険ですが、これは昨日もお話ししたように、自治体によって計算方法が違います。ただし、いくつかよくある計算パターンが存在します。例として挙げた横浜市の場合は、住民税(の一部である市民税)が出発点となり、「市民税×0.00 + 被保険者数×00,000」という計算です。このため、所得税上の所得が減った結果、住民税も減り、なおかつ、住民税が減った結果、国民健康保険料も減るという「節税の玉突き現象」が起こるのです。上記の例では、青色申告をすることによって、国民健康保険が5.5万円減ります。やはり所得税以上に減っています。

なお、国民健康保険の計算パターンでもうひとつよくあるのが、住民税が出発点となるのではなく、所得が出発点となり、「所得×0.00 + 被保険者数×00,000」となるパターン。この場合も、所得は基本的に所得税上の所得がベースとなります。ただし、必ずそうである、という裏付けまではとれていません(何せ、自治体ごとにルールが決まっていますので)。あくまでも一般的には、ということで、正確には、ご自身の自治体にお問合わせされることをお勧めします(結果として、青色申告控除が反映されないという計算ルールの自治体があった場合には是非お知らせ下さい)。

逆に青色申告特別控除が反映されないということが明確に決まっているのが、事業税です。事業税の場合は、課税対象として所得に青色申告特別控除を足し戻す(控除がなかったことにする)ということが明文化されていますので、事業税に関しては、青色申告でも白色申告でも税金は変わりません。

ここから先は完全に自治体(と家族環境)によりますが、たとえば保育園の保育料なども、所得税、もしくは住民税や所得に連動して決まるケースもあります。この場合は、所得税上の青色申告特別控除が、結果的に保育料を下げるという効果につながります。後は、所得がいくらまでであれば、子供の医療費が免除になるですとか、所得によって扱いが変わる場合もありますね。

ちなみに、上の例では収入300万円ですが、収入がもっと大きい場合にはどうなるか、明日続きをお話ししたいと思います。
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2011年02月15日

青色申告って本当にオトク? (その1)

いよいよ明日(2/16)から平成22年分の確定申告が始まります。個人事業主の方は、皆、3/15までの確定申告期間中に申告を行わなければいけません。個人事業主が申告する上で、青色申告と白色申告があり、税金上のメリットが大きいのは青色申告ということは、このブログでもご紹介していますし、弥生の「青色申告応援プロジェクト」でも解説しています。

今週は、私が色々な方とお話しする中で気が付いた「青色申告に関するよくある誤解」についてお話ししてみたいと思います。ネタとしては結構あるのですが、まずは大きなトピックとして3つを取り上げます。1. 青色申告って本当にオトク? 2. 赤字だから関係ない? 3. 手間がハンパない?

まずは、「1. 青色申告って本当にオトク?」から。青色申告は税金上のメリットがあるのはご存じだと思います。「青色申告特別控除」というのが正式名称になりますが、最大65万円の控除が認められています。すなわち、この控除の分は収入として「なかった」ことになり、税金を払わなくて済むわけです。

一方で、よく言われるのが、青色申告にかける労力が税金上のメリットに見合わないのではないか、ということ。例えば、所得税の最小の税率は5%ですから、65万円の控除では、65万円×5%で、所得税は少なくとも32,500円減るわけです。32,500円... 微妙ですかね。大きいことは大きいけど、手間に見合うかどうか。ただ、この5%というのは最小の税率で、課税対象の所得が195万円を超えると超えた分は10%に、さらに330万円を超えると超えた分が20%に、とどんどん増えていきます。税率が20%で、65万円の控除と考えると、65万円×20%で、13万円になりますね。

実際にモデルケースで考えてみると、実質的な収入(売上-経費)が300万円の人では、青色申告の場合は所得税が7.9万円。白色申告の場合には、12.1万円、その差は約4.1万円になります。この差、すなわち青色申告による節税額が、収入400万円の人では6万円、500万円で12万円、600万円でも12万円。さらに1,000万円になると差が15万円になります。10万円を超えてくると、さすがに手間に見合いそうですね。ということは、収入が400万円から500万円ぐらいが分岐点でしょうか。

いえいえ、実は、収入が300万円の人でも所得税以外への波及効果を含めると、青色申告では、トータルで15.6万円の節税になるのです。収入が300万円に対し、節税が15.6万円。一気に可処分所得が5%も上がります。先ほどは収入が300万円の人の所得税の節税額が4.1万円と書きましたが、トータルで15.6万円との差はどこで生まれるのか? 答えを先に書いてしまうと、それは住民税と国民健康保険です。

収入が300万円の人では、青色申告にすると、所得税が4.1万円、住民税が6.0万円、さらに国民健康保険が5.5万円の合計15.6万円減ります。結構凄いですよね。ちなみに、国民健康保険は自治体によって金額が異なるのですが、ここでは私の地元である横浜市の保険料をベースに算出しています。次回はトータルで15.6万円の節税の仕組みをより詳細にお話ししたいと思います。
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2010年09月16日

協会けんぽ再び料率上げへ

このブログでもこの9月からの厚生年金保険料率の改定4月からの雇用保険料率の改定、そして3月からの協会けんぽの健康保険料率/介護保険料率の改定(いずれも引上げ)を取り上げてきましたが、この種のいわゆる社会保険の保険料が上がっていく波に終わりは見えません。

本日付けの日本経済新聞で取り上げられていましたが、協会けんぽの健康保険料率が来年再び上がる見通しとのこと。試算によれば、現状の全国平均9.34%から、9.57%に引き上げられるそうです。今年の3月には、8.20%から9.34%に実に1.14%も引き上げられましたので、それに比べれば小規模の引き上げです。とはいえ、「年収380万円の会社員の場合、保険料負担は年間で約4300円増える」とのこと(これに加え、事業主も同額の負担増となります)。

ついこの間の厚生年金保険料率の改定では、月収(標準報酬月額)が300,000円の方で年間6,372円の負担増と書きましたが、一回一回の負担増はわずかでも、積もるとかなりのインパクトです。この3月の協会けんぽの料率改定の際に書いたように、保険料率の引き上げは給料全体が対象になるため、使った分だけが対象となる消費税よりも引き上げのインパクトは実は大きいのです。消費税が上がらなくても、働く人の家計は厳しくなる一方。

先日の民主党代表選の結果、菅首相の続投が決まりました。是非、政治のための政治ではなく、消費税も含め日本の将来のための政治を期待したいところです。
posted by 岡本浩一郎 at 18:34 | TrackBack(0) | 業務

2010年09月02日

厚生年金保険料率の改定

この9月から、厚生年金保険の料率が改定されます。厚生年金保険は翌月の給与で徴収されることが一般的(そうでない事業所もあります)なため、基本的には10月の給与から料率改定が反映されることになります。今回の料率改定は、15.704%から16.058%への引き上げです。弥生給与およびやよいの給与計算では、給与規定画面で、料率の設定値を変えて頂く必要があります(逆に言えば、プログラムの変更は必要ありません)。

料率ですとピンときませんが、例として、給料(正確には標準報酬月額)が300,000円の方ですと、9月までが、300,000円×15.704% = 47,112円。これを会社(事業主)と従業員(被保険者)で半分ずつ負担しますので、従業員の負担額は半分の23,556円です。これが、10月の給与では300,000円×16.058% = 48,174円。従業員の負担額は半分の24,087円となります。その差、531円。一年間で、6,372円の負担増ということになります。

これだけであれば、まあしょうがないか、で済むかもしれませんが、実は、厚生年金保険料はこの先7年間毎年上がることが既に決まっています。毎年じわじわと上がり、最終的には、平成29年(2017年)9月に18.3%にまで引き上げられて、そこで打ち止めという予定になっています。18.3%になると、上記の計算では、54,900円。従業員の負担額はその半分の27,450円となります。今と比べると、3,894円/月、46,728円/年の上昇です。ちなみに、この料率改定は、平成16年の年金制度改正によって決められたものですが、それ以前の料率は、13.58%。つまり、平成16年初は、月々20,370円の負担だったものが、平成29年末には、27,450円と、実に7,080円/月、年間で84,960円上昇することになります。これはあくまでも従業員負担分ですから、会社負担分とあわせた総額では、14,160円/月、169,920円/年の上昇です。
 
こうやって見るとやはりかなりの負担増ですが、人口構成が大きく変わってきている中ではやむを得ないことでしょう。ただ、最大の問題は、ここまで保険料が上がっても、実はもっとその先がある(さらに負担が増える)のではないか、さらに言えば、そもそもこの制度自体を維持できるのだろうかという不安が拭いきれないことではないでしょうか。将来を見据えてこのように10年以上かけて制度の改正を図っていくこと自体は素晴らしいことだと思いますが、現実(問題の大きさ)はもっともっと早いスピードで悪化しているように感じられます。
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2010年04月02日

雇用保険料率の改定

昨日4/1は年度の始まりということで、様々な新しいことや変更がありました。その中の一つが雇用保険料率の改定。既に弥生ウェブサイトでご案内していますが、今回の改定では、一般事業所における料率が11.0/1000(わかりにくい表現ですが、要は1.1%)から、15.5/1000(1.55%)に引き上げられます。先月の協会けんぽの大幅な保険料引き上げに続き、従業員/会社両方への影響が懸念されます。ただし、実はこの15.5というのは通常決まっている料率の幅の下限です。むしろ昨年の11.0が特例措置で引き下げられたものになりますので、正確に言えば、引き上げというよりも、通常に戻ったという表現の方が正しいかもしれません。

弥生給与、やよいの給与計算をお使いの方は、設定の変更で今回の料率変更に対応して頂くことが可能です(従来は雇用保険料率の改定にはプログラムの更新が必要でしたが、10シリーズより設定の変更で対応できるようになっています)。

ちなみに、ある会社さんが料率の変更が8/1000から12/1000という案内をされていたので、不思議に思ってちょっと調べてみたのですが、こちらの厚生労働省のお知らせにもあるように、やはり11.0/1000から15.5/1000というのが正確な数値です。雇用保険料は実は「失業等給付」に対する保険料と「雇用保険二事業」(雇用安定事業と能力開発事業)に対する保険料で構成されているのですが、8/1000から12/1000というのは失業等給付に関する部分だけの数字です。ただ、従業員に影響がある(半分を負担する)のは、失業等給付のみなので、こういった表記となっているようです。この会社さんの場合、給与計算において、従業員負担分の計算にしか対応していない(事業主負担分は計算しない)ので、こういった表記になっているようです。雇用保険料は結構複雑な仕組みなのですが、改めて勉強する良いきっかけとなりました。
 
なお、給与絡みでは4/1から改正労働基準法が施行になっています。ただ、大きな目玉である法定割増賃金率の引き上げについては、中小企業は適用が猶予されるため、弥生のお客様の場合影響は限られるものと想定しています。こちらについては、また改めてご説明させて頂きます。
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2010年03月19日

明日のための5か条

以前、弥生の名前の由来として、業務が忙しい三月を無事に乗り切るお手伝いをするため、ということをご紹介しました。三月に忙しいといえば、まずは個人事業主の方の青色申告。これは無事に(?)、3/15で終わりました。

もう一つは法人の決算です。日本の会社の場合は、3月決算が多いのはご承知の通り(ただ、国税庁による平成19年度の決算期別普通法人数統計では、年一回決算の法人が総数2,627,161に対し、3月決算は530,076。ざっと20%ということで、多いのは確かですが、極端に偏っているというわけではないようです)。
 
特に法人のお客様に読んで頂きたいのが、弥生のウェブサイトに掲載している「社長さん、このままでいいんですか? 明日のために今すべきこと5つのこと」。“下り局面で生かされる男”、“資金繰りの体育教師”の柳澤賢仁先生が熱いメッセージを発信されています。会計ソフトを提供させて頂いている身としては、第2条の「帳簿がわかる社長のほうが『お金』に強い!」といったところに特に、「うんうん」となります。一方、個人的には第5条の「理念が決まらなければいつか挫折する!」といった点に大いに同意です。もちろん柳澤先生が言われる5か条全てが重要ですが、自分の経験からも、やはり根底にあるのは理念だと感じています。
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2010年03月15日

確定申告最終日

日付が変わって3月15日です。今日はいよいよ確定申告の最終日となります。まだ申告を済ませていない方は、ラストスパートです!

3/15中に申告を済ませなければなりませんが、郵送の場合、3/15の消印があればokです(通信日付印により表示された日が提出日になります)。またe-taxでは、3/15の23:59まで大丈夫なようです(こちらのページに、「3月15日(月)の24時を過ぎて受信した平成21年分の所得税確定申告のデータは、確定申告期限後に提出されたものとなりますのでご注意ください」と書かれています)。23:59:59まで大丈夫なのか、誰かチャンレンジして頂きたいところですが...


申告期限を過ぎると65万円の青色申告特別控除が認められない、無申告加算税が課されるなどペナルティが大きいので、申告期限は守りましょう。ヘンな言い方ですが、多少内容に不安があっても、まずは期限内に出すことが重要かと思います(当然故意に全然できていない申告書を出すのではダメでしょうが)。


来年から青色申告という方にとっては、今日3/15が青色申告承認申請書を提出する期限となります(青色申告承認申請書も郵送でokです)。今年新たに事業を始められる方であれば、開業日から2ヶ月以内の申請で大丈夫ですが、これまでも事業を営まれていた方は今日中に申請が必要です。

一旦申請を出すと引き返せないのでは、と不安に思われる方もいらっしゃるかも知れません。ここらへんの運用はかなりグレーなのですが、複式簿記(65万円控除)で申請を出しても、どうしても間に合わなければ簡易簿記(10万円控除)で申告すること、場合によって、白色申告で申告することも認められるケースがあるようです。これは税理士の先生にお伺いした話なのですが、明確なルールがあるわけではないようですので、実際には申告前に税務署にご相談して頂ければと思います。いずれにせよ、申告書と同様にまずは出すことが重要のようです。
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2010年03月02日

協会けんぽの料率改定(続き)

先日取り上げた協会けんぽの料率改定ですが、そのインパクトの大きさを示すような新聞記事がありました。

先週土曜日(2/27)の日経新聞によれば、介護サービスの大手事業者ニチイ学館の来期(2011/3月期)見通しで、法定福利費が今期比で約7億円増えるとのこと。その原因は協会けんぽの料率改定だそうです。内訳としては、健康保険料で約6億円、介護保険料で約1億円で、合計7億円。幸いにして、業績は好調のため、法定福利費の上昇は吸収できそうとのことですが... この記事では触れられていませんが、協会けんぽでは保険料は事業主と従業員で折半となりますので、従業員側でも同じ約7億円の負担が発生します。ニチイ学館の会社概要によると従業員数は社員5,367名、業務社員79,261名ということなので、単純平均すれば一人1万円以下にはなりますが、おそらく給与水準が異なるので、ここで言う社員の負担はそれなりになるのではないでしょうか。
 
協会けんぽに加入しているのは中小企業が中心であり、今回のニチイ学館はかなり大きい方だと思います。そのため、金額も莫大になりますが、基本的に同じインパクトは協会けんぽに加入している事業主そして従業員すべてに発生します。ちなみに、昨年3月末時点で、加入者数は3,470 万5 千人。やはり結構な話だと思うのですが...
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2010年02月26日

協会けんぽの料率改定

既に弥生ウェブサイトでもご案内を開始していますが、この3月から協会けんぽの健康保険料率と介護保険料率が引き上げられます(納付は4月から)。

日本は皆保険制度となっており、誰でもが健康保険によってカバーされることとなっています。ただ、保険の主体は勤務先によって異なります。大企業の場合、自身(グループ)で健康保険組合を持っていることもあります(例えば、私の最初の会社野村総合研究所では、野村證券健康保険組合に加入していました)。大企業以外では、業界で健康保険組合を運営しているケースがあります。例えば、弥生は関東ITソフトウェア健康保険組合に加盟しています。それ以外の法人では、今回の協会けんぽに加入する必要があります。協会けんぽはもともと社会保険庁で運営されていた健康保険を、一連の不祥事の影響で、民間組織として運営するようになったものです。ちなみにこれ以外の方、たとえば、個人事業主の方は原則として国民健康保険に加入することになります。

弥生のお客様は中小の法人、個人事業主ということで、法人の場合は、協会けんぽに加入されているケースがかなり多いのではないかと思います。今回の引き上げでは、健康保険料が全国平均(実際には県ごとに異なります)で8.20%から9.34%に、また40才以上の方が対象になる介護保険料では1.19%から1.5%に引き上げられます。つまり、40才以上の方は、総負担が9.39%から10.84%へ1.45%増えることになります。ただ、協会けんぽに限らず法人の健康保険料は、事業者(法人)と従業員で分担(通常は折半だが、大企業の場合従業員負担を減らしているケースも多い)しますので、従業員としての負担は約0.7%ほど増えるということになります。

消費税を上げる、上げないということが議論になっていますが、一方でこのような形で着実に負担は増えているわけです。消費税はお金を使わない限り発生しませんが、保険料負担はお金を稼ぐ段階で発生しますから、消費税よりも負担が重いといえます。例えば、月収(額面)が36万円で手取りが約30万円(扶養家族1名の想定)、うち家賃(これは消費税非課税)と貯蓄で10万円とすると、消費税がかかる消費は20万円です。仮に消費税を1%上げると、消費税の負担増が2,000円。一方で今回の保険料率引き上げによって、同条件で月々の負担が2,610円増えます(全国平均と同じ改定率の宮崎の場合)ので、今回の料率改定は、消費税1%以上のインパクトがあるということになります(これはあくまでも概算です)。

ちなみにここでの計算はあくまで従業員負担分の増(約0.7%)で計算していますが、残りの事業主負担分についても、従業員に給料として払える原資が減るわけですから、結局のところ、負担することには変わりがありません。これも考慮すると、今回の料率改定は相当大きなインパクトがあることはご理解頂けることかと思います。

さらに、4月には雇用保険料も引き上げられることになりそうです(現在国会審議中)。法案が可決されれば、一般の場合で、1.1%から1.55%に上昇します(ただし、これはその前年は1.50%であったため、元のレベルに戻るという方が正しい)。従業員負担としては、0.4%から0.6%です。さらにさらに、10月にはもう定例となった厚生年金保険料率の引き上げもあります。うーん、確実に負担が増していますね...

弥生給与やよいの給与計算をお使いの方は、設定の変更でこれら料率変更に対応して頂くことが可能です。手順は上記のウェブサイトをご参照下さい。雇用保険料の件については、料率改定が確定次第、再度弥生ウェブサイトから告知をさせて頂きます。
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2010年01月07日

源泉所得税の納付

法人や個人事業主が、従業員に給与を支払ったり、税理士などに報酬を支払ったりする場合には、支払いの際に所得税を源泉徴収する必要があります。これはあくまでも国に代わって徴収しているわけですから、徴収した金額を期限までに国に納付する必要があります。納付期限は原則的に支払いの翌月10日です。参考URLはこちら

ただし、小規模事業所(給与を支払う対象が常時10人未満)の場合には、事前の申請により、納付期限を半年に一度(1月と7月)とする特例(納期の特例)が認められています。参考URLはこちら間もなくこの特例での納付期限(1/12もしくは1/20)となりますので、該当する方はご注意下さい。

源泉徴収した所得税の納付は、通常は専用の納付書で行いますので、銀行の窓口で納付する必要があります。その手間が1月に一回から半年に1回となるという有難い制度ですので、是非活用したいものです。ただし、納付が遅れると特例が認められなくなる可能性もありますので、ご注意下さい。私の前の会社では、納付が一度だけ遅れてしまい、「今度遅れたら特例を認めませんよ」という警告を頂戴したことがあります。

もう一つ注意したいのは、資金繰り。一ヶ月分の源泉徴収金額はそれほど大きくなくても、半年分になるとそれなりの金額になります。納期が来て支払おうとしたら、現金が足りないということもあり得ます。源泉徴収金額は自分のお金ではなく、あくまでも預り金として管理すべきもの。会計ソフトを利用していれば、手元にある現金が使って良いお金なのか、取っておくべきお金なのかを簡単に区別することができます。

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