2019年12月26日

クリスマスを過ぎれば

いよいよ年の瀬。今日出勤してみると、ビル(秋葉原UDX)の入り口で、何か違和感が。そう、クリスマスツリーがなくなり、その代わりに門松が。昨晩中にツリーの撤去作業があったのではないかと思います。クリスマスツリーは12月25日までというのがいかにも日本らしいですね。おそらく全国の多くの商業施設で12月25日の夜に撤去作業を行っているのではないかと思いますが、そうやって需要が集中するとコストが高くつきそうと思ってしまうのは経営者だから?

海外では(と言っても国にもよるのでしょうが)、年明けまでクリスマスツリーが飾られているのも珍しくありません。日本の場合は、クリスマスの直後に大きなイベントである正月があるという要因が大きいのだと思いますが、それにしても、12月25日まではクリスマスで盛り上げて、その晩にきっちりと撤去というのは国民性を感じます。

クリスマスを過ぎればという意味では、弥生のカスタマーセンターへのお問合せは、だいぶ落ち着きました。毎月給与計算業務が行われる20日前後にお問合せが増えるのですが、12月に関しては、これに年末調整業務に関するお問合せが加わります。例年、12月10日ぐらいからお問合せがめだって増え、20日前後にピークを迎えます。

昨年は配偶者控除等に大きな変更があったこともあって、お問合せが例年になく増加し、結果的に電話がだいぶつながりにくい状態となってしまいました。今年に関しては、法令改正がほとんどなかったこと、また同時に、お問合せの受付体制を強化したこともあり、この時期にしてはスムーズにお問合せ対応をすることができました。例年はピークとなる21日/22日が週末となり、ピークがその前になるのか、その後になるのか、戦々恐々としていましたが、結果的に週明けとなったピークも何とか乗り切ることができました。一年に一度、お客さまに「弥生でよかった」と実感していただける機会だけに、無事に乗り越えることができ、ホッとしています。

もっとも、来年の2月/3月については、確定申告書の変更点が多いため、例年よりお問合せが増える可能性があると考えています。そして来年の12月には、基礎控除等の見直しがあり、お問合せは今年よりも確実に増えるだろうと見込んでいます。まずは今年の年末調整需要をしっかりと乗り越えることができたことにはホッとしつつも、来年に向けて引き続き体制強化を続けていきます。
posted by 岡本浩一郎 at 20:53 | TrackBack(0) | 弥生

2019年12月20日

FACTFULNESS(その2)

前回FACTFULNESSという本についてお話ししました。

人はもともと自分の見たいものを見てしまいます。良いはずだ、良くあって欲しいという思いが強ければ、あるデータ群を見ても、良い部分だけが見えてしまうし、逆に、状況が悪いのでないかという不安が強ければ、悪い部分が目立ってしまう(昔話で言えば、柳もお化けに見えてしまう)。要は自分自分のフィルターを通して物事を見ているということです。

今回、本書を通じて、人間は悪いものや怖いものを見てしまう傾向が強いということを再認識しました。本書で言うところのNegativity InstinctやFear Instinctです。特にFear Instinctは人間の進化の過程を考えると、ある意味自然とも言えるものです。怖いと感じ、それを避けてきたからこそ生き延びることができた。これらのフィルターが組み合わさることによって、世界は全体として大きく改善してきているにも関わらず、それが正しく認識されていない。それが明瞭に出るのが、冒頭の12問に対するあまりに低い正答率です。

もちろん、全てにおいて改善している訳ではないし、世界に問題はまだまだ残っています。ただ、正しく課題をとらえ、最適な打ち手を講じるためには、良い面も悪い面も可能な限り正しく把握する必要があります。

重要なのは、フィルターや罠の存在を意識し、冷徹に数字を見極めるということ。一方で、この本が素晴らしいのは、数字だけでもダメだと言い切っていること。なぜならば、数字自体が誤っている可能性も否定できないから。本書(原書)P191で著者は、以下のように語っています。

I don't love numbers.  I am a huge, huge fan of data, but I don't love it.  It has its limits.
(私は数字を愛してはいない。私はデータの大、大、大ファンだけれども、盲目的に愛することはない。なぜならば、データには自ずと限界があるから。)

この後に続く、かつてのモザンビークの大統領、Pascoal Mocumbi氏のエピソード - GDPの数字は見てはいるけれども、必ずしも正確ではない、その代わりに年に一回行われるパレードで皆が何を履いているか、そして国中を回る中で、建築がどのように進んでいるかを注視している - は非常に示唆に富みます。

数値(統計)が必ずしも正確ではないのは、発展途上国ではよくあること。現場をしっかりと見る方が、よほど正しい状況を把握できるかもしれない(もちろん、一部だけを見て全部同じと思わないといった注意は必要です)。現代のビジネスにおいても、希望する全ての数字が入手できるわけではありません。そんな中では、数字を妄信するのではなく、まず何らかの方法(多くの場合は現場を見ること)によって、現実を理解するように努めることが必要です。

The world cannot be understood without numbers, and it cannot be understood with numbers alone.  Love numbers for what they tell you about real lives.
(世界は数字なしには正確に理解することはできないし、数字だけで正確に理解することもできない。数字が現実の人生を正しく語っていることを愛そう。)

ビジネスという観点でも様々な学びがありますし、世界を正しく理解し、自らと周囲の人生をより良い方向に向けるためにもとても有益な本だと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 18:06 | TrackBack(0) | ビジネス

2019年12月18日

FACTFULNESS(その1)

オーストラリアへの出発前の成田空港の書店で、ふと手にとったのが、「FACTFULNESS」という本。日本でも今年前半に話題になりました。軽い気持ちで買ったのですが、読んでみると、なるほど話題になるだけのいい本です。

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読み始めると、最初に12(+1)問の質問に答えることになります。例えば、「世界中の低所得国において、小学校を卒業する女の子の割合は?」という質問。選択肢はA: 20%、B: 40%、C: 60%。世界中で同じ質問をしたところ、国によって正答率にバラつきが見られるものの、どの国でも正答率が極めて低かったそうです。平均すると12問中2問のみ正解。回答は3択ですから、ランダムに答えれば正答率は33.3%のはず。つまり、人間はランダムに選ぶであろうチンパンジーにも劣っているということになります。人間はたまたま間違えているのではなく、何らかの構造的な要因で間違えている。

本書では、人間が構造的に間違える理由を、人間が無意識に持っている10種類の傾向で解説します。例えば、こちらは先進国、あちらは後進国のように、物事を二分して考えがちなGap Instinct、良いことより、悪いことの方に目が行ってしまうNegativity Instinctなど。

詳しくは是非本書を読んでいただきたいのですが、日頃から自分が考えていること、気を付けていることが実例をもって明確に、かつ平易に語られており、そうそう、と頷くポイントが多々ありました。例えば、グラフの縦軸の罠や平均値の罠。例えば、本書(原書)P40には、アメリカでSATという(日本で言えばセンター試験のような)テストを受けた男女の数学の平均値をプロットした図が示されています。1965年からずっと、男性の方が女性を明らかに上回っています。このグラフをもって、男性の方が女性よりも数学が得意だ、という結論が導けそうです。ただ、よく見てみると、このグラフの縦軸は0スタートではないため、差が極端に強調されています。絶対的な数値で言えば、直近の2016年の数値で男性が527、女性が496ですから、その差は約6%に過ぎません。ですから、男性の方が女性よりも数学が得意だという、二分化をしたがるGap Instinctによって生まれがちな一般化には無理があることがわかります。

とはいえ、平均値で男性は527、女性が496という差があるのは事実。ただ、この2016年の得点の分布を男女別にプロットしてみる(P41)と、面白い真実が見えてきます。男性と女性の分布はほとんど重なり合っていますが、女性の方が約500点を中心としたきれいな釣鐘カーブになっているのに対し、男性は600点から800点を取る優秀層の存在により、若干ですが、右側に偏ったカーブになっています。結果的に単純に平均を出せば男性の方が女性を上回る訳ですが、実際には標準的な人で言えば、男性も女性もほとんど変わらないということになります。平均値は分布を示さないという平均値の罠の一つの例と言えるかと思います。

身近な(?)平均値の罠の実例と言えば、アルトアの融資実績。アルトアが融資する際の平均金利は実績として約8%なのですが、実は8%台の方はあまり多くありません。アルトアの金利は会計データをAIで分析して得られたスコアによって決まりますが、実際の分布で見てみると、4~5%を中心とした一山、そして10%前後を中心としたよりなだらかな一山で構成された非対称のフタコブラクダになっているのです。物事の分散はだいたい釣鐘カーブになっており、平均付近が一番多いという思い込みも、人間が構造的に間違える要因の一つでしょう。

ちなみに、グラフの縦軸の罠は本ブログのこちらで、あまり突っ込んで書けてはいませんが、平均値の罠については、こちらで少し触れています。
posted by 岡本浩一郎 at 17:27 | TrackBack(0) | ビジネス

2019年12月13日

二年間の実績

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今週、日本経済新聞でアルトアが大きく取り上げられました。正確に言えば、アルトアの事例の紹介。「従来の延長線上ではなく、不連続な変化が起きつつある現場を取材し、経済や社会、暮らしに及ぼす影響を探ります」という「Disruption 断絶の先に」特集の中で、今回は「デジタル金融の激震」というテーマで、「御社にもある隠れた信用力 中小救う資金繰り革命」というタイトルの記事で取り上げられました。まずは電子版で掲載され、その翌日に日経の本紙でも1ページを費やして掲載されました。とても素敵な写真と共に掲載されたのは、こちらのアルトアの「お客さまの声」でもご紹介しているインダスという会社の中澤社長です。

お客さまの声では、中澤社長の経歴とインダスの創業の経緯についてもご紹介していますが、実は中澤社長は金融機関のご出身です。金融のプロである中澤社長が、自ら事業者として小回りのきく融資として頼っていただいたのがアルトアである、というのが実に象徴的だと感じています(もちろんこれはお客さまの声のためにお話しをお伺いして初めて知ったことです)。もっとも、本ブログでもお話ししてきたことですが、アルトアとしては、アルトアの仕組みを金融機関に提供することで、日本全国の金融機関が小回りのきく融資を提供できるようにお手伝いをしたいと考えています。

なお、一点補足すると、日経の記事中では「数日の審査」とありますが、正確には、審査結果のお知らせ自体はお申込みをいただいた当日中にお返ししています。

以前もお話ししたことがありますが、アルトアの特徴はお客さまの満足度が高いこと。だからこそ、アルトアの事例紹介にもご協力いただけていますし、また今回のようにメディアの取材にもご協力いただけるわけです。それにしても、日経の本紙にここまで大きく写真入りで掲載されるとは思われなかったのではないかと思いますが(笑)。

満足度が高いことはとても嬉しいこと。アルトアとして、世の中にこれまでにない価値を提供できていると強く実感しています。一方で、アルトアが事業を継続し続けるためには、一人のお客さまを満足させて終わりではなく、多くのお客さまに価値を提供することによって、アルトア自身のビジネスを成立させることのできる規模を実現しなければなりません。

この観点では、前進はしているものの、まだまだ満足できるレベルにはありません。一週間前の12月6日で、アルトアはサービスを開始してからちょうど丸2年が経過しました。1年前には丸1年の実績として、「融資の実行件数は257件、そして累積での実行金額が4億6百万円」とお話ししました。丸2年経過では、融資の実行件数が847件、そして累積での実行金額が14億16百万円。1年前の実績の3倍を超える結果を出すことができています。ただ、これでは、決して十分ではありません。当然一定の時間は必要ですが、2倍、3倍といった規模感ではなく、10倍、100倍といった規模を達成しなければなりません。

課題はやはり認知。そもそもオンラインで融資というサービスが存在するということから、多くの事業者にご理解いただかなければなりません。今の時代で言えば、膨大な広告宣伝費を投入し、それこそTVコマーシャルで一気に認知を広めるというのも手なのかもしれません。それも完全に否定はしませんが、そういったやり方に本当に事業継続性があるのかどうか。弥生のDNAを受け継ぐアルトアとしては、やはり愚直に、お客さまに満足いただくことを第一に追求していきたいと思っています。それが今回の記事のように、アルトアの認知に、そしてそれが今後の実績につながっていくものと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 17:31 | TrackBack(0) | アルトア

2019年12月11日

マイナンバーカードの交付申請

よし、マイナンバーカードを取得しよう、と思い立った訳ですが、残念ながら市役所に行けばすぐに取得できる訳ではありません。取得するにあたっては、

  1. [個人] まず交付申請を行う
  2. [市区町村] 交付申請を受けて、カードの準備
  3. [市区町村] カードの準備ができた段階で、申請者に交付通知書を発送
  4. [個人] 交付通知書(はがき)を受領
  5. [個人] 交付通知書を持って、市区町村窓口に行き、本人確認を受けた上でマイナンバーカードを受領
というプロセスを経る必要があります。この中で、1. 交付申請から、3. 交付通知書の発送までに概ね1ヶ月間かかるとのこと。つまり来年の確定申告の際に、マイナンバーカードを利用して電子申告しようとするのであれば、そろそろ1. 交付申請をしておかないと、ということになります。

交付申請にあたっては、4つの選択肢があります。4つとも、前回お話しした通り、手元にマイナンバー(個人番号)の通知カード兼個人番号カード交付申請書が必要になります。

a) 郵送
交付申請書に必要事項を記載、顔写真を貼付して、郵送
PCを使用し、Webサイトで必要事項を記入、顔写真は予め用意しておいたJPEGファイルをアップロード
スマホを使用し、Webサイトで必要事項を記入、顔写真はスマホで撮影し、アップロード

d) 街中の証明写真機での申請
証明写真機で交付申請書のバーコードを読み取り、顔写真はその場で撮影

どの選択肢でも、記入/入力が必要な項目は多くありません。ですので、入力の容易さというよりも、顔写真をどのように用意するのかが選択のポイントになるのではないかと思います。簡単さで言えば、その場で撮影して完結できるという意味でやはりスマホでしょうか。

ただ、マイナンバーカードは10年間使い続けるもの(正確には、20歳以上の場合は、発行から10回目の誕生日まで)。実物がイマイチ(笑)なので、そこに拘ってもしょうがないようにも思いますが、やはりできるだけちゃんとした写真にしたいと思うのが人間というもの。事前に証明写真機がおススメということも聞いていたため、私はd) 街中の証明写真機での申請を選びました。

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申請はいたって簡単。交付申請書に記載された二次元バーコードを読ませ、後は画面の誘導に従えば、あっという間に終わります。今どきの証明写真機は撮り直しもok。写真を見比べて選ぶこともできますし、エクストラでお金を払えば、美肌仕上げも(笑)。私が利用した証明写真機の場合、800円かかりましたが、これだけ簡単に申請ができるのであれば、非常にコスト効率がいいと感じました。マイナンバーの制度には思うところがあると前回書きましたが、この証明写真機を使った申請プロセスはとてもよくできていると感じました。

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ということで、私の交付申請は先週末、12/8(日)に完了。概ね一ヶ月程度で、交付通知書が送られてくるようですが、年末年始をはさみますので、1月中旬ぐらいになるのでしょうか。交付通知書の受取りから、実際のマイナンバーカードの受領まで、また改めてレポートできればと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 21:52 | TrackBack(0) | 税金・法令

2019年12月09日

今更ながらマイナンバーカード

今更ですが、マイナンバーカードを取得してみようと思い立ちました。来年9月から予定されているマイナンバーカードを活用したポイント還元制度に向けてという訳ではありません(笑)。マイナンバーカードと言えば、確定申告。詳細はまた追ってお話ししたいと思いますが、マイナンバーカードを利用しての電子申告がより容易になってきていること、そしてさらに一年後には、電子申告の有無によって青色申告特別控除の額が変わることも踏まえ、このタイミングでマイナンバーカードを取得し、実際に使ってみようと思いました。

正直に言えば、以前にもお話ししたことがありますが、マイナンバーカード(というよりはマイナンバーの制度自体)には疑問を持っています。制度の目指している方向については大賛成なのですが、カード上に可読可能な状態で印字されるマイナンバーを最高レベルの機密情報として管理する、ということが矛盾であると感じているからです。

一方で、これからマイナンバーカードが活用できるケースは着実に増えていくでしょう。上述のマイナンバーカードを利用したポイント還元もそうですし、2021年3月にはマイナンバーカードを健康保険証として使えるようにする計画など、マイナンバーカードを普及させるという政府の並々ならぬ決意を感じます。

そういった中で、批判ばかりでは建設的ではないと考えました。マイナンバーカードを実際に活用した上で、そのメリットはメリットして認め、発信する。一方で、その課題についても発信することによって、多少なりともマイナンバー制度の健全な発展に貢献できるのではないかと考えています。

ということで、まずはマイナンバーカードの取得から。マイナンバーカードの交付申請には、マイナンバー(個人番号)の通知カード兼個人番号カード交付申請書が必要になります。これが送付されたのが、2015年の秋ごろ。もう4年も前ですから、「あれどこに行ったっけ?」という方も多そうですね。
posted by 岡本浩一郎 at 17:17 | TrackBack(0) | 税金・法令

2019年12月06日

年末調整って本当に必要?

12月は、弥生のカスタマーセンターへのお問合せが顕著に増加する月。そう、年末調整に関するお問合せが激増するためです。もう既にお問合せが増え始めていますが、来週には一段と増え、再来週からその翌週にかけてピークを迎えるのではないかと思います。ただでさえ忙しい年末に、一年に一回の業務が重なり、事業者の方にとっては実にしんどい時期となります。弥生は、お客さまがこの時期を乗り越えられるよう、お問合せにしっかりと対応していきます。

もっとも、最近私が考えているのが、そもそもこの年末調整という業務自体が要るのだろうか、ということ。給与所得は毎月の支払い時点で源泉徴収が行われるものの、これはあくまでも概算であるため、最終的にはどこかで調整が必要。最終的な調整が必要であり、それが年末調整ということはもちろん理解しているのですが、それが今の形の年末調整である必要があるのでしょうか。

年末調整の起源は昭和22年にまで遡ります。戦後、税制が大きく見直され、国が税金を計算し、課税する賦課課税という考え方から、国民が自ら税金を計算、申告し、納税する、申告納税という考え方に大きく舵が切られました。ただ、この申告納税がうまく機能するためには、国民が税金の仕組みをよく理解し、なおかつ、必要な計算をできることが必要です。しかし、これまで求められていなかったことをいきなりやれというのはなかなか難しい。そこで国が着目したのが、給与の支払い元である事業者です。事業者であれば、ある程度税金を理解し、必要な事務処理、計算もできるのではないか。

つまり、年末調整という業務は戦後、税金のあり方が大きく変わる中で、事業者に押し付けられた業務です。実際、これは非常にうまく機能しました。特に戦後、いわゆる会社勤めの人が激増する中で、給与所得から非常に効率的に徴税できる仕組みは欠かせないものでした。

ただ、税制が非常に複雑化する中で、年末調整の業務もまた、非常に複雑化してきています。それが特に顕著になったのが、昨年の配偶者(特別)控除の見直し。来年には基礎控除も見直しになりますし、細かいつじつまを合わせるための所得金額調整控除が新設されます。もはや普通の人が理解できる範疇を超えつつあると感じています。

もちろん、弥生給与のようなソフトウェアを利用することによって、一定程度は業務の効率化が図られています。言い方を変えれば、もはやソフトウェアを利用せずに年末調整を行うこと自体が困難になってきています。ただ、これは前回お話しした電子化に過ぎません。紙の業務の一部を電子化しているに過ぎない。

これからの時代においては、デジタルを前提として年末調整業務そのものを見直すべきなのではないでしょうか。事業者は引き続き、従業員から年末調整に必要な情報を収集する、ただしデジタルデータとして。そしてそのデジタルデータをもとに事業者ではなく、行政が一元的に計算をすることも、今の技術では十分に可能です。デジタルを前提として業務のあり方自体も見直す。それがデジタル化です。

上でお話ししたように、年末調整業務は紙を前提とした昭和の仕組みです。平成の時代においても、それを電子化して何とか処理してきた。ただ、令和という新しい時代においては、もはや昭和の仕組みを根本から見直すべきなのではないでしょうか。業務のあり方自体を見直し、本当の意味でのデジタル化を図るべきなのではないでしょうか。

残念ながら、これは現時点では夢物語に過ぎません。それでも、問題意識を持った人が声をあげ、行動を積み重ねれば、いつかは変えることができると信じています。
posted by 岡本浩一郎 at 18:45 | TrackBack(0) | 業務

2019年12月04日

電子化からデジタル化へ

今日午前中に、ヤヨイヒロバでとある勉強会の第一回目を開催しました。まだその具体的な内容やメンバーについてはお話しできないのですが、驚くほど充実したメンバーです。この業界に多少は知見はある人が聞けば100人が100人驚くであろう豪華な顔ぶれ。正直、自分でもよくここまでの方々に参加していただくことができたな、と感動しています(笑)。

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税の電子申告(e-Tax)が始まったのが、2004年のこと。もう15年以上経過したことになりますが、電子申告は着実に普及しています。また社会保険の手続きなども、電子申請が徐々に広がりつつあります。

ただ、これらはあくまでも電子化であり、デジタル化ではありません。ん、電子化とデジタル化って、何が違うんだ、と思いますよね。現時点ではあくまでも個人的な定義なのですが、電子化というのは、あくまでも紙を電子化するということ。その前提となる業務は、紙が前提になったままです。つまり業務のあり方は変えずに、媒体だけを電子データにしたのが電子化。一方で、業務のあり方自体も見直すのがデジタル化と定義しています。

昨今事業のDX、デジタルトランスフォーメーションの必要性が叫ばれています。ご承知の方も多いと思いますが、これはもっとITを活用しましょう、や、Webで商品を売りましょう(どちらも手段が変わっただけ)といった単純な話ではありません。デジタルを前提とし、組織や業務のあり方、もっと言えば事業のあり方まで変えていこうというのがDXです。電子化≠デジタル化、という考え方にも相通じるものがあるのではないでしょうか。もっとも、DXという用語もややバズワード的でこの先が心配ではありますが(笑)。

弥生が事業者のお手伝いをしている確定申告や年末調整、あるいは社会保険の手続き。これらは全て昭和の時代の仕組みです。あくまでも紙を前提とした仕組み。それこそ当初はコンピュータを使うこともできなかった時代の仕組みです。確かにこれらの業務の電子化は進んできましたが、デジタル化は進んでいません。

そんな問題意識を色々な方にお話ししたところ、官民を問わず賛同していただく方が多く、今回、皆で何ができるかを考えようという勉強会が立ち上がりました。極めて大きなテーマですし、短期的に成果が出るとも思っていませんが、一歩ずつ前に進めていきたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 19:36 | TrackBack(0) | ビジネス

2019年12月02日

出張は計画的に

いよいよ今年も師走。あっという間にこの一年も終わってしまいそうです。今月は各拠点を回っての忘年会(いや、メインはその前の仕事のはず、笑)もあり、12月20日までは既に予定でかなり埋まっています。とはいえクリスマスの週はかなりスロー。ポツポツと打合せは入ってきているものの、落ち着いて年末の片付けができそうです。

スケジュールという観点ではもう来年のことを考えなければなりません。いつもは大体3ヶ月先までのスケジュールを立てるようにしているのですが、年末までを乗り切ることにフォーカスしてしまい、来年のスケジュールについて十分考えられていません。

計画を立てるためには、まず振り返り。今年は、随分出張が多かったような気がしますが、改めて(12月の予定も含めて)数えてみると、今年は出張の回数が42回、日数にして67日、宿泊日数が38泊でした。今年は随分多いと思ったのですが、過去には46回という年もあったので、実はそこまで多いわけではない、という意外な結果。昔は30回弱という年も多かったので、少ないわけでもありませんが。

もっとも、月別に見てみると、全く出張がなかった月(1月と3月)に対し、出張が多かった月(10月と11月、それぞれ6回)とバラツキが多いことに気が付きます。出張は目的と相手があってのことなので、完全に自分でスケジュールを決められるものでもないのですが、やはり一時期に集中してしまうと負担が大きくなりがち。来年に関しては、もう少し計画的に出張を分散させたいところです。

ただし、来年に関しては、例年にない特殊要因が存在します。そう、オリンピック。オリンピックが開催される7月の後半から8月の上旬にかけては、一体どんなことが起きるのかなかなか見通せません。少なくとも、各拠点から東京への出張は避けたいところです。では、東京から出ての出張は大丈夫かというと…。うーん、どうなんでしょうね。このタイミングで夏休みをとってTVでオリンピック三昧という方もいらっしゃるでしょうし、この期間中は在宅勤務が基本で打合せは緊急性のあるもの以外入れないということもあるでしょうし。

ということで、例年は6月から7月にかけて開催する会計事務所向けカンファレンスは、かなりの強行軍になりますが、6月中にまとめて開催する方向で調整中です。結果として、分散させたい出張がむしろ、より集中してしまいそうな予感です(苦笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 18:51 | TrackBack(0) | 弥生

2019年11月29日

自分で判断(その後、の続き)

前回、台風19号への対応で、会社方針としての「自分で判断」を今後も基本とする、ただ、今回の対応で、反省がなかった訳ではない、とお話ししました。反省としては、1) もっと早く考え方を示すべきだった、2) そもそも基本的な考え方を普段から共有しておくべきだった、の二点です。

1)については、自己判断はいいが、既に東京に向けて出発しており、判断できる余地がなかったという声が複数ありました。ただ、これに関しては、状況をある程度見極める必要があり、社員総会自体は行うという判断をできたのが2日前(水曜日)になってしまったという事情があります。

そういった意味では2)が非常に重要だと思います。これは単純明快で、まず何よりも大事なことは、従業員の皆と家族の安全が第一です。これは全てのことに優先すること。仮に、会社として状況を把握できておらず、それが故に、出社という指示があったとしても、自分の合理的な判断で自身もしくは家族に安全上の危険があるということであれば、出社の指示に従う必要はありません。出社や出張の途中で引き返すことももちろんありです。

これは災害から回復の途上にある際も同じです。台風15号の時には、津田沼駅での行列が話題になりましたが、電車が動くのを今か今かと、何時間も行列の中で並ぶ必要はありません。人で溢れ、押しつぶされる危険を甘受して欲しいとは思っていません。実際問題として、何時間も人混みの中で待ち続け、電車の中でももみくちゃで、ほうほうの体で出社しても、疲れ果ててしまってなかなか仕事にならないですよね。電車が動き出し、大きなリスクを伴わずに出社できるようになったことを確認してからの出社で十分です。

大事なのは、一過性の成果ではなく、成果を出し続ける、それによってお客さまに継続的な価値を提供すること。一過性の成果を求めて過大なリスクを取り、怪我でもすれば、成果を出し続けることができません。一過性ではなく、継続的に価値を提供するためには、まずは安全が第一です。自分と家族の安全を確保した上で、これが継続的な価値を提供するためのベストだと、胸を張れる対応をしていただければいいと考えています。

…と言いつつ、私自身が無理をしがち。経営者らしくリスク許容度が高い(笑)とも言えますが、何かあった場合の影響も大きいですから、まずは自分の行動もしっかりと自省しないといけないと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 11:30 | TrackBack(0) | 弥生