2023年01月30日

スマート証憑管理とPeppol

これまでお話ししてきたスマート証憑管理は、請求書や納品書、領収書など、事業者が受領する、そして発行する証憑を、画像データだけでなく、構造化されたデジタルデータとして一元管理できる仕組みです。

スマート証憑管理の本当の価値は、証憑を管理して終わるのではなく、証憑から仕訳を自動生成し、記帳業務を圧倒的に効率化することにあります。これからは、手での仕訳入力から、スマート証憑管理での証憑の確認・自動仕訳に。しかし、紙やPDFで受領した証憑では、AI-OCRの精度が100%でない以上、人の目による確認は必要となります。これでは、記帳業務を効率化することはできても、「圧倒的」な効率化と言えるかどうかは微妙なところです。

記帳業務を圧倒的に効率化するためにはどうすればいいのか。その解になるのが、「ボーン・デジタル」、最初からデジタルという発想です。発生源で生まれたデジタルデータは、事業者内だけでなく、事業者間も含めた業務プロセス全体を通じて一貫してデジタルとして取り扱う。

最初からデジタルであれば、人の目による確認は不要となり、圧倒的な効率化が実現されます。インボイス制度において、これを実現するのが、Peppolです。インボイス制度で肝になるのは、何が適格請求書かを正確に判断すること。登録番号や取引年月日、税率など、必要とされる記載事項が満たされているかどうかを確認する必要があります。ただ、厄介なのは、例えば請求書上に登録番号の記載がなくても、例えば予め取引基本契約上で登録番号をやり取りしていれば、適格請求書として認められることもあるということです。また、日本では月締請求書が一般的であり、納品書に加えて、月締請求書がやり取りされますが、この際納品書上で税額の計算を行っており、月締請求書ではそれを列挙しているだけであれば、原則として納品書が適格請求書となります。一方で、納品書上では税額の計算は行っておらず、月締請求書で対象額を足し上げ、そこで初めて税額の計算を行っている場合(こちらが本来あるべき月締請求書です)は、原則として月締請求書が適格請求書になります。要は、ぱっと見では、どれが適格請求書となるか、判断がつかないことも多いということです。

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これに対し、デジタルインボイスであるPeppolにおいては、適格請求書と区分記載請求書は明確に区別され、混同することはありません。Peppolのメッセージでは、Invoice type codeという証憑の種別を示す情報がありますが、適格請求書のInvoice type codeは”380”と決まっています。一方で、今後区分記載請求書もPeppolでやり取りできるように仕様の検討が進められていますが、区分記載請求書のInvoice type codeは”380”以外となります。ですから、Invoice type codeさえ(機械が)見れば、その証憑が適格請求書かどうかは一瞬で、確実に判別できるようになっています。

いや、でも、よくわかっていない送信者が、適格請求書でないのにInvoice type codeに”380”を埋めた場合は? 実は、Peppolのメッセージ送信時には”Rules”に基づいたチェックがなされ、エラーがない状態でなければ送信できないようになっています。

例えば、aligned-ibr-jp-04というruleでは"An Invoice shall have the Seller tax identifier (ibt-031)."とされています。つまり、登録番号がない場合は、そもそも送信ができないということです。また、aligned-ibrp-045と046というruleでは、"Each tax breakdown (ibg-23) MUST have a tax category taxable amount (ibt-116)."、"Each tax breakdown (ibg-23) MUST have a tax category tax amount (ibt-117)."とされています。適格請求書で求められる記載事項の通り、税率ごとの対象額と税額がなければ、やはり送信することはできないのです。

また、aligned-ibrp-051-jpというruleでは、"Tax category tax amount (ibt-117) = tax category taxable amount (ibt-116) x (tax category rate (ibt-119) / 100), rounded to integer. The rounded result amount shall be between the floor and the ceiling."とされており、税率ごとに端数処理も考慮した上で、対象額×税率が税額となることが求められています。

Rulesの複雑化を避けるという観点から、ruleは必要最小限に絞り込まれており、(意識的にやれば)Peppolで不正な「適格請求書」を作成し、送信することが不可能という訳ではありません。それでも通常のケースでは、(機械が)適格請求書であることを自動で判別し、後続業務を自動処理できるようになっています。

アナログがある限り、人の目による確認は避けられず、効率化にも限界があります。それを乗り越え、機械による自動処理を実現し、圧倒的な効率化を実現するのが、「ボーン・デジタル」という考え方であり、デジタル・インボイスの仕組みであるPeppolです。

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昨年10月には、デジタル庁からいよいよPeppol BIS Standard Invoice JP PINT Version 1.0が公開され、日本におけるデジタルインボイス、Peppolはいよいよ実用化のステージに入りました。スマート証憑管理では、この春のPeppol対応、そしてそれによる圧倒的な効率化を実現していきます。
posted by 岡本浩一郎 at 23:10 | TrackBack(0) | 弥生

2023年01月27日

スマート証憑管理(その4)

これまでお話ししてきたスマート証憑管理は、請求書や納品書、領収書など、事業者が受領する、そして発行する証憑を一元管理できる仕組みです。一元管理といっても、画像データだけでなく、構造化されたデジタルデータを一元的に管理できることがポイントです。画像データは、画面に表示し目で確認することはできますが、そのままでは後続業務には活用できません。これに対し、スマート証憑管理では、構造化されたデジタルデータを活用し、後続業務をデジタルの力で効率化することができます。

具体的には、紙やPDFで受領した証憑から、AI-OCRという機能によって、証憑上の金額はもちろん、証憑番号、発行日、取引日、取引先名、登録番号、消費税率などの情報をデジタルデータとして抽出します。これらは、重要であり管理が必要な情報(いわばメタデータ)と位置付けられます。次に、このメタデータに基づいて、仕訳を自動生成します。この際、仕訳に必要な勘定科目については、弥生がこれまでにも提供してきているスマート取引取込のエンジンを活用し推論します。自動生成された仕訳は、弥生会計の仕訳日記帳などの画面で確認することが可能になります。また、自動生成された仕訳から証憑の画像を遡って確認することもできます。

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スマート証憑管理の本当の狙い。それは、証憑を管理して終わるのではなく、証憑から仕訳を自動生成し、記帳業務を圧倒的に効率化することにあります。これまでの会計ソフトのメインの画面は仕訳入力画面。仕訳をいかにサクサクと入力できるかが会計ソフトの評価を左右してきました。しかし、インボイス制度を機に、会計ソフトのメインとなる画面はこのスマート証憑管理になると考えていきます。手での仕訳入力から、スマート証憑管理での証憑の確認・自動仕訳に。

一方で、紙やPDFで受領した証憑では自ずと限界があります。なぜならば、AI-OCRによって、日付や金額等のメタデータを抽出する訳ですが、この精度は100%ではないからです。AI-OCRはAIを活用することによって、文字認識の精度を向上させているとお話ししましたが、それでも100%にはなりません。これまでお話ししたように、税率ごとの対価の額と税率ごとの消費税額の整合性などの検算も行うことによって、AI-OCRの読み取りエラーを検知し、可能な範囲で補正する仕組みも実装しています。それでも、100%ではない以上、人の目による確認は必要になります。

人の目による確認が必要になる以上、記帳業務を効率化することは可能ですが、それが「圧倒的」な効率化と言えるかどうかは微妙なところです。それでは、記帳業務を「圧倒的に」効率化するためにはどうすればいいのか。

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その解になるのが、「ボーン・デジタル」、最初からデジタルという発想です。「発生源で生まれたデジタルデータは、業務プロセス全体を通じて一貫してデジタルとして取り扱う。事業者内、さらに事業者間の業務プロセスにおいて、紙などのアナログを経ず、一貫してデジタルとして取り扱う」。これは社会的システム・デジタル化研究会が提言してきていることです。(さらに続く)
posted by 岡本浩一郎 at 16:23 | TrackBack(0) | 弥生

2023年01月25日

スマート証憑管理(その3)

これまでにもお話ししてきたように、弥生は、インボイス制度と改正電子帳簿保存法に対応し、業務のデジタル化を促進する新サービス「スマート証憑管理」を1/5に正式リリースしました。

スマート証憑管理は、請求書や納品書、領収書など、事業者が受領する、そして発行する証憑を一元管理できる仕組みです。ただ、この際に、画像データではなく、構造化されたデジタルデータとして一元管理できることがポイントです。画像データは、画面に表示し目で確認することはできますが、そのままでは後続業務には活用できません。これに対し、スマート証憑管理では、構造化されたデジタルデータを活用し、後続業務をデジタルの力で効率化することができます。

このためには、紙やPDFで証憑を受領した際に、そこから重要であり管理が必要な情報(いわばメタデータ)を抽出する必要があります。スマート証憑管理ではAI-OCRによって、証憑上の金額はもちろん、証憑番号、発行日、取引日、取引先名、登録番号、消費税率など様々な情報をデジタルデータとして抽出することができます。

では、これらメタデータを何に活用するのか。わかりやすい部分では、検索が可能になります。画像データのままでは、「弥生商会」からの請求書を検索するといったことはできませんが、メタデータがあればそれをもとに検索が可能になります。ただ、それでは十分なメリットとは言えませんし、業務効率化というのもちょっと無理があります。確かに検索できるに越したことはありませんし、特に税務調査の際に税務署の方には重宝されるでしょう(実際問題として電子帳簿保存法でこういった検索性が求められているのはそのためです)。ただ、日頃会計業務を行っている側としては、そこまで嬉しい話ではありません。

一方で、これらメタデータを活用することで、仕訳を入力するという作業がなくなったらどうでしょう。それであれば今必要な作業がなくなる訳ですから、メリットを実感できますし、明らかな業務効率化が実現します。スマート証憑管理が実現するのは、仕訳入力を不要とすることによる業務効率化です。

具体的には、メタデータとして管理される日付や金額といった情報から、仕訳を自動生成します。でもちょっと待ってください。仕訳と言えば勘定科目。勘定科目はどのように特定するのでしょうか。実はこれは、弥生がこれまでにも提供してきているスマート取引取込の推論エンジンを活用します。スマート取引取込では銀行のインターネットバンキングの明細を取込み、これをもとに仕訳を自動生成します。この際には、明細上の摘要情報をもとに勘定科目を推論しますが、この仕組みをスマート証憑管理でも活用します。

この仕組みは2014年から提供していますが、2021年にはそれまでのベイズ推定による推論からニューラルネットワークによる新しい推論エンジンに大幅リニューアルしました(詳細はこちらをどうぞ)。前回、スマート証憑管理で採用したOCRエンジンはAI-OCRであり、AI(人工知能)を活用することによって、文字認識の精度を向上させたOCRエンジン、とお話ししましたが、画像からメタデータを抽出する際にも、そしてそのメタデータから仕訳を生成する際にも、AIが活用されているのです(当然それぞれ別個のAIエンジンになります)。

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自動生成された仕訳は、弥生会計の仕訳日記帳などの画面で確認することが可能です。またこの際、この仕訳のもととなっている取引の内容を確認したいという場合には、仕訳日記帳上の証憑ビューアーのボタンをクリックしていただければ、その証憑の画像イメージをその場で確認することが可能です。画像からメタデータを経由して仕訳が自動生成される訳ですが、同時に、自動生成された仕訳から遡って画像を確認することもできる訳です。仕訳からもとになった取引の証憑を確認できる機能は2021年に会計事務所向けにリリースした記帳代行支援サービスで提供を開始したものですが、とても好評です。

スマート証憑管理は、その名の通り、証憑を一元管理できる仕組み。ですが、その本当の狙いは、証憑から仕訳を自動生成し、記帳業務を圧倒的に効率化することにあります。
posted by 岡本浩一郎 at 18:10 | TrackBack(0) | 弥生

2023年01月23日

税制改正大綱セミナー

弥生では1週間後の1/30(月)に、会計事務所向けパートナープログラム「弥生PAP」の会員向けに、令和5年度税制改正大綱セミナーを開催します。この種のセミナーをこのタイミングで開催するのは弥生として初の試みです。

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そもそも税制改正大綱は、法令そのものではありません。税制に関する法令改正の方針を示すもの。現時点では令和5年度税制改正の大綱として昨年末に閣議決定されていますが、これをもとに財務省(国税)/総務省(地方税)が法案として国会に提出し、最終的には次期通常国会で審議・可決されてはじめて法令として成立することになります。そして法令として成立したものが、周知され、施行されることになります。

しかし今回の税制改正大綱には、この10月から施行される適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)の円滑な実施に向けた所要の措置が含まれています。今回の措置の内容も理解した上で、10月にはインボイス制度にしっかりと対応しなければならない。正直時間がありません。このため、一般事業者はともかく、事業者をアドバイスする立場の会計事務所には、税制改正大綱の段階からいち早く周知したいという財務省からの相談があり、今回のセミナーを開催することになりました。

今回のセミナーの特徴は、インボイス制度と電子帳簿保存法の両制度の財務省担当官より直接解説いただくこと。よくある質問などを踏まえた最新の情報を特別に解説いただきます。日程的には月末の30日と忙しいタイミングではありますが、Zoomでのライブ配信ですので、オフィスからの参加が可能です。既に700名近くのPAP会員にお申込みをいただいていますが、Zoomですから、まだまだキャパシティには余裕があります。

今後インボイス制度と電子帳簿保存法に確実に対応するためにも、是非本セミナーにご参加いただければと思います。プログラムのご案内とお申込みはこちらからどうぞ。
posted by 岡本浩一郎 at 22:06 | TrackBack(0) | 弥生

2023年01月19日

スマート証憑管理(その2)

前回は、弥生が1/5にリリースした、インボイス制度と改正電子帳簿保存法に対応し、業務のデジタル化を促進する新サービス「スマート証憑管理」についてお話ししました。

前回お話ししたように、スマート証憑管理は、請求書や納品書、領収書など、事業者が受領する、そして発行する証憑を一元管理できる仕組みです。ただ、この際に、画像データではなく、構造化されたデジタルデータとして一元管理できることがポイントです。

画像データは、その証憑を画面に表示し目で確認することはできますが、そのままでは後続業務には活用できません。例えば、受け取った請求書から、買掛の仕訳を記帳することになりますが、画像データだけであれば、請求書の画像を人間が画面上で目で確認して、会計処理のために改めて手で仕訳を入力するという処理になります。それでは業務の効率化にはならないことは自明かと思います。

それに対し、後続業務をデジタルの力で効率化することこそがスマート証憑管理の目指すところです。このためには、紙やPDFで証憑を受領した際に、そこから重要であり管理が必要な情報(いわばメタデータ)を抽出する必要があります。それを実現するのが、スマート証憑管理に組み込まれているAI-OCRです。OCRとは、光学文字認識のこと。弥生では2016年からレシートをOCRで処理し、その情報から仕訳を生成するスキャンデータ取込という機能を提供してきました。しかし、この際に利用したOCRは今となっては旧世代のOCRエンジン。扱える証憑はレシートに限られていましたし、また、読み取り精度もそれなりです。これに対し、AI-OCRはAI(人工知能)を活用することによって、文字認識の精度を向上させたOCRエンジンです。読み取り精度は旧世代に対し大きく向上していますし、扱える証憑もレシートだけでなく、請求書や納品書にも対応します。

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実際、スマート証憑管理ではAI-OCRによって、金額だけでなく、証憑番号、発行日、取引日、取引先名、登録番号、消費税率など様々な情報を読み取るようになっています。お分かりの方も多いかと思いますが、対象となる証憑が適格請求書の要件を満たすかどうかの判定に必要な情報をデジタルデータとして抽出できるようになっています。

AI-OCRによって抽出されたデジタルデータは、例えば登録番号が実在するか、有効かという検証にも活用されますし、また、税率ごとの対価の額と税率ごとの消費税額の整合性などの検算も行われるようになっています。つまりAI-OCRとその後の検証/検算ロジックによって、そのままでは活用できない画像データをデジタルデータに変換、それを用いて後続業務の効率化を実現しています。
posted by 岡本浩一郎 at 14:37 | TrackBack(0) | 弥生

2023年01月16日

スマート証憑管理

弥生は1/5から、インボイス制度と改正電子帳簿保存法に対応し、業務のデジタル化を促進する新サービス「スマート証憑管理(しょうひょうかんり)」を提供開始しました。このスマート証憑管理は、昨年からベータ版として提供していた「証憑管理サービス」を機能強化し、正式版として提供を開始したものです。

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まずはこのスマート証憑管理の位置付けですが、事業者が受領する、そして発行する証憑を一元管理できる仕組みとなります。事業者は仕入先から、納品書だったり、請求書だったり、あるいは領収書などの証憑を受領します。現在では紙やPDFで受領することがほとんどかと思いますが、今後はデジタルインボイスのようにデジタルデータとして受領することも増えていくでしょう。また事業者は得意先に対し、納品書だったり、請求書だったり、あるいは領収書を発行します。これも現在は紙やPDFが中心ですが、今後はデジタルデータとして発行することも増えていくでしょう。

スマート証憑管理は、これら事業者が受領する、そして発行する証憑を一元管理できる仕組みです。ただ、この際に、画像データではなく、構造化されたデジタルデータとして一元管理できることがポイントです。

約1年前に2022年1月から施行される改正電子帳簿保存法の課題についてお話ししたことがあります。PDFであったり、画面のスクリーンショットを保存しても、これらは構造化されたデータではない(画像のようなもの)ので、このデータを使って後続業務の自動化・効率化を実現することはできません。所詮紙の電子化に過ぎず、事業者にとってメリットがないとお話ししました。

スマート証憑管理は、画像データも保存はしますが、それだけではなく、構造化されたデジタルデータとして一元管理することができます。

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こちらがスマート証憑管理の画面イメージですが、画面右側に請求書の画像データが表示されていることがわかります。ただ同時に、画面中央部で証憑番号や取引日、取引先、登録番号なども表示されています。これは画像データである請求書に含まれる情報のうち、特に重要であり管理が必要な情報(いわばメタデータ)を構造化されたデジタルデータとして管理しているのです。

なぜこれらのメタデータを管理する必要があるのでしょうか。それはそれによって後続の業務が自動化することが可能になるからです。画像データのままであれば、それを人間が画面上で目で確認して、会計処理のために改めて手で仕訳を入力するという処理になります。それは明らかに効率が悪いですよね。それに対し、メタデータが管理されていれば、その情報をもとに、システムで自動で仕訳を生成することが可能になります。次回は、この点についてもう少しお話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 20:28 | TrackBack(0) | 弥生

2023年01月12日

こんなところでもふるさと納税

前回は、私の心のふるさと湯河原で現在開催されているリアル宝探しイベント「湯けむる街の治癒の宝」についてご紹介しました。開催は今月一杯、今週末は湯河原に小旅行に出てみませんか。

さて、前回、「このイベントの開催に少しだけ貢献することができました」と書きましたが、具体的にどう貢献できたのか。まずは、湯河原町とリアル宝探しイベントの企画・運営会社であるタカラッシュをつなぐことができたこと。

湯河原にはもう20年近く別荘があり(当初は小さなアパートを借りて、その後マンションを購入)、その湯河原に多少なりとも貢献したいという想いから、2011年より湯河原町にふるさと納税をしてきました。その関係で、湯河原町役場の方と一定の接点があり、宝探し/謎解きのイベントについて提案する機会をいただくことができました。当初は宝探し/謎解きって何、と冷たい対応も覚悟していた(笑)のですが、実際にご紹介してみると、実は以前から宝探し/謎解きのイベントに関心があったとのこと。タカラッシュについては、もう何年もイベントに参加している中で、たまたま社長のSさんにご挨拶する機会があり、それがその後の弥生のファミリーデーでのオンライン宝探しイベントの開催にもつながりました。

もう一つの貢献としては、イベント開催の費用をふるさと納税を通じて支援したこと。上でお話ししたように、湯河原町としても以前から宝探し/謎解きのイベントに関心を持っていたものの、その開催費用を踏まえると、なかなか踏み切れていませんでした。宝探しイベントに限らず、何でも最初は難しいですよね。どれだけの効果が得られるのかわからなければ、開催できない、一方で開催しなければ、効果も見えてこない。鶏と卵です。

その鶏と卵の関係性から脱却するためにどうすればいいのか。その一つの解がふるさと納税です。具体的な金額は控えますが(笑)、今回、このリアル宝探しイベント開催に要する費用を私がふるさと納税として湯河原町に寄附し、その資金を湯河原町から企画・運営会社であるタカラッシュに支払うという提案を行い、これを実現することができました。

ふるさと納税と言えば、返礼品があるのが当たり前の昨今。当初は返礼品はやめるべきと考えていた私ですが、色々と経験する中で、返礼品にも意味はある、ただ一定の歯止めが必要(その1その2)と考えは徐々に変わってきました。一方で一貫して思うのは、返礼品のない純粋なふるさと納税も大事にすべきだということ。今回は、あえて返礼品は求めず、ふるさと納税の全額をイベントの開催にあてていただくことにしました。

前回お話ししましたが、自分が関わったイベントに参加して楽しんでいる方を見るのは嬉しいもの。特に子ども達が友達同士、あるいはご家族と参加しているのを見ると本当に嬉しくなります。その楽しそうな様子自体が何よりの返礼品だと感じています。

さすがに毎年の開催を私のふるさと納税で支えることはできないのですが、今回の開催がリアル宝探しイベントの開催効果を明らかにすることにつながり、それが次回以降につながることを願っています。地方自治体がふるさと納税の力で、これまでできなかったことに一歩を踏み出す。そういったふるさと納税が広がるといいですね。
posted by 岡本浩一郎 at 22:38 | TrackBack(0) | パーソナル

2023年01月10日

湯けむる街の治癒の宝

年が明けて第一週はどことなくスローペース。ちょっと長めの年末年始休暇という方も多かったでしょうね。成人の日の3連休も終わり、今日から本格稼働と言いたいところですが、本ブログではその前にちょっと楽しい(?)話を。

昨年末の本ブログの記事で「少し子どもっぽいので、あまり広くはお話ししていない趣味でも、目標を達成して今年を終えることができそうです」と書きました。実はこの趣味については一度お話ししたことがあります

そう、それは宝探し。企画する会社によって、リアル宝探し、リアル脱出ゲーム、リアル謎解きなど呼び方が異なりますが、謎を解いて宝を探し出したり、密室をから脱出したり、事件を解決したり、いずれも謎解きが鍵になるイベントです。本ブログでは、弥生のファミリーデーでオンライン宝探しのイベントを開催したことについてお話ししました。

その際にもお話ししましたが、私はタカラッシュというリアル宝探しの企画・運営会社がお気に入り。タカラッシュでは、街を巡りながら宝を探すイベントや、自宅でできる宝探しのキット等を多く製作・運営していますが、多くの宝を探してポイントを競うランキングの仕組みがあります。昨年末に「目標を達成して今年を終えることができそう」と書いた通り、昨年はこのランキングで目標としていた順位を上回って終えることができました。参加したイベントは数知れず、走り回った距離も数知れず、正直我ながらよくやるなという感じです(ですが、私は20位でのフィニッシュだったので、まだまだ上には上がいます、笑)。

ただ実は、宝探しに関してもう一つの目標も達成することができました。それがこちら。

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昨年の12月から私の心のふるさとである湯河原町で開催されているリアル宝探しイベント「湯けむる街の治癒の宝」。実はこのイベントの開催に少しだけ貢献することができました。宝探しのイベントは様々な地域で開催されており、神奈川県で言えば江の島が有名ですし、湯河原の隣町である熱海でも静岡県全域をカバーするイベントの一環で開催されたことがあります。そんな中で、湯河原でも是非開催したいと長年思っていたのですが、今回、その夢をようやく実現することができました。

昨年末には湯河原でも少し過ごしたのですが、この宝探しに参加してにんまり。宝探し自体も楽しいのですが、少しとはいえ自分が関わったイベントに参加して楽しんでいる方を見るのは嬉しいものですね。本イベントは今月いっぱい開催しています。寒い季節ですが、宝探しを楽しんだ後は温泉(例えば、こことか、おしゃれにこことか)でゆっくりというのはいかがでしょうか。このイベントが湯河原の魅力 & 宝探しの楽しさを一人でも多くの方に知っていただける機会になることを願っています。
posted by 岡本浩一郎 at 21:18 | TrackBack(0) | パーソナル

2023年01月06日

PAP12,000!

前回の新年のご挨拶でふれましたが、弥生の会計事務所向けパートナープログラム「弥生PAP(Professional Advisor Program)」の会員数が2022年11月末に12,019事務所となり、12,000事務所を突破しました。2019年12月末に10,000事務所を超え、2021年5月末には11,000事務所を超えましたから、引き続き約1年半で1,000事務所という安定したペースで会員数が増加しています。ある瞬間で言えばスピードが速まったり遅くなったりということはありますが、10年という時間軸で見れば、コンスタントに会員数が増加してきた、と書いたのが2021年6月のことですが、それが現在に至るまで続いているわけです。

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これまでにもお話ししていることですが、弥生PAP会員というのは弥生にとってのお客さまではなく弥生のパートナーの会員制度です。お客さまはあくまでも事業者の皆さん。お客さまの数は多いに越したことはありませんが、パートナーについては、数が増えることは嬉しいことではありますが、多ければ良いという訳でもありません。あくまでもパートナーとして、同じ想いを持ち、同じ方向を向き、行動できることこそが重要だと考えています。このことは弥生PAP会員向けに開催している弥生PAPカンファレンスでも毎回お話ししていることです(多分皆さん聞き飽きていると思います、笑)。だからこそ弥生PAPカンファレンスのように、弥生が何を考え、何を実現しようとしているかをお伝えする場が大事だと考えている訳です。

今年の10月にはインボイス制度がいよいよ始まりますが、これは弥生とパートナーである弥生PAP会員にとって大きな試金石になります。法令改正として渋々、最小限対応し、業務効率が悪化することを許容するのか、あるいは、法令改正として対応すると同時に、業務をデジタル化し、むしろ業務の効率化を実現する好機とするか。弥生はもちろん後者を目指していますし、弥生のパートナーである弥生PAP会員の皆さまもそうであって欲しいと思っています。ただそのためには、弥生が提供するソフトウェアを活用して、いかに業務効率化を実現できるのかを、まずは弥生から弥生PAP会員の皆さまにしっかりとお伝えしなければなりません。

昨日1/5に、弥生のインボイス制度対応(+改正電子帳簿保存法対応)の肝となるスマート証憑管理サービスをリリースすることができました。本ブログでも、このスマート証憑管理についてお話ししていきたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 17:27 | TrackBack(0) | 弥生

2023年01月04日

新年のご挨拶 2023

明けましておめでとうございます。

新春を迎え、皆さまにおかれましては健やかに新年を迎えられたことと、謹んでお慶び申し上げます。

2022年は不安定な世界情勢が続く中、日本においては急激な円安の進行など、社会全体が不安に包まれた一年であったかと思います。一方、足元を見た時、事業者にとっての大きなトピックの一つは2023年10月の開始まで1年を切ったインボイス制度が挙げられます。弥生は、デジタル庁が主導し、官民が連携して進めている、わが国のデジタルインボイスの標準仕様(JP PINT)の策定と普及に対して、当社が代表幹事法人を務めるデジタルインボイス推進協議会(略称 EIPA)の会員(203社・8名。2022年12月1日現在)各社とともに、民間の立場から支援と協力を行っています。

前述の取り組みに加え、弥生個社としてもインボイス制度対応を進めています。弥生は、インボイス制度と改正電帳法を、単なる法令改正ではなく、デジタル化による業務効率化の好機と捉えており、2023年1月5日に正式リリースする「スマート証憑管理」を起点にスモールビジネスの業務デジタル化を進め、圧倒的な業務効率化の実現を支援します。

弥生の2022年は近年稀にみる挑戦と変革の一年であったように思います。3月には株主が、これまでのオリックス株式会社から、コールバーグ・クラビス・ロバーツ・アンド・カンパニー・エルピー(以下、「KKR」)に変更となりました。KKRの支援を受けることで、今後の更なる成長を見据えた大胆な挑戦もできるようになり、経営者としても新たなチャレンジを楽しんでいます。また、弥生にとっての事業年度が変わる10月には新たな社外取締役として、元日本マイクロソフト株式会社代表取締役社長の平野拓也氏を招聘しました

さまざまな変革がありながらも、かねてより掲げていた「事業コンシェルジュ」というビジョンであり、スモールビジネス事業者の皆さまのあらゆるフェーズを支える存在でありたいという想いは変わりません。これらは、2022年6月の「事業承継ナビ」、同年8月「弥生のあんしんM&A」という新サービスという形で結実させることができました。その他にも、クラウド確定申告ソフトにおける「Mac対応e-Tax機能」のリリースや「弥生の設立お任せサービス」の開始、そして「やよいの給与明細 オンライン」の大幅リニューアル版リリースなど、従来から提供してきたサービスにおいてもよりお客さまの利便性を向上させる大小さまざまな機能追加、リニューアルを積み重ねながら歩んできた1年でした。

これらの成果は弥生単独で成し遂げたものではなく、弥生を信頼し、ご利用いただいているお客さまと大切なパートナーの皆さまのご愛顧、ご支援の賜物と受け止め心より感謝しております。会計事務所向けパートナープログラムである弥生PAP会員は2022年11月に12,000事務所を突破し、国内最多の規模となっています。パートナーの皆さまと協力することで起業から事業承継まで、スモールビジネスの困りごとを全面的に支援する体制が整ったと自負しております。

2022年7月にテレビCMでお披露目することとなった「上を向いて歩くあなたと。」という新たなブランドメッセージには、業界のリーディングカンパニーとして、スモールビジネスの業務デジタル化を支援し、本業に集中できる環境をつくりたいという弥生の想いを込めています。

弥生は2023年も倦まず撓まず、スモールビジネスに寄り添い、時に国を含めたあらゆるステークホルダーを巻き込みながら挑戦を続けてまいります。

今年の干支(十二支) は「癸卯」です。「癸」は十干の最後の要素であり、雨や露など恵みの水の意を含むことから、生命が芽吹き成長していく状態を想起させます。また、「卯」はうさぎのように跳ねあがるということで株式相場でも縁起の良い年と言われています。2022年に蒔いた数々の種を大きく芽吹かせ、事業コンシェルジュとしてお客さまの跳躍を支える大樹のような存在であれるように、一層の挑戦と進化を続けてまいります。

末筆となりましたが、皆さまにとって本年が素晴らしい年となりますようお祈り申し上げるとともに、引き続き、弥生株式会社をご支援賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

弥生株式会社
代表取締役 社長執行役員
岡本 浩一郎
posted by 岡本浩一郎 at 10:19 | TrackBack(0) | 弥生