2016年12月22日

弥生 レシート取込

年末が迫ってから発表が続いていますが、やはり年内に目処を付けて年末年始はすっきりしたいという心理が働いているのかもしれません。今回弥生が発表したのは、「弥生 レシート取込」というスマートフォンアプリです。

昨年、電子帳簿保存法の改正が行われ、領収書やレシートなどの証憑をスキャナで取り込み、電子保存することが、より広く認められるようになりました。制度としてはそれまでもあったのですが、色々と制約が多く、特に中小企業にとっては実用的なものではありませんでした。それが先般の改正によって、中小企業にとっても使いうる制度になったのです。これに呼応して、弥生は1月にスキャンデータ取込という機能を提供開始しました。

実は電子帳簿保存法は今年も改正が行われ、今度はスキャナからの取込みだけではなく、スマートフォンのカメラでの撮影も認められるようになりました。これを受けて今回弥生がリリースしたのが、弥生 レシート取込です(iOSアプリがこちら、Androidアプリがこちら)。

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このアプリを使えば、従業員がそれぞれ領収書を自分のスマートフォンで撮影したデータを弥生会計で取込み、仕訳データとして処理することが可能です。ちなみにここでいう弥生会計は、デスクトップ版の弥生会計/やよいの青色申告、クラウド版の弥生会計 オンラインやよいの青色申告 オンラインやよいの白色申告 オンラインの全てを含みます。つまり弥生であれば、デスクトップでもクラウドでも業務のペーパーレス化を進めることができるのです。

なお、正式に電子帳簿保存とするためには、業務フローをしっかりと組み立てる必要がありますし、所轄税務署への申請・承認が必要となり、承認されるのは最短でも来年1月1日となります。ただ、電子帳簿保存でなくても(この場合、領収書そのものは保管しておく必要があります)、従業員自身に経理処理の一部を担ってもらえるという意味で、会計業務のあり方を大きく変える力を持ったアプリだと考えています。

お客さまの会計業務を圧倒的に効率化する「会計業務 3.0」。その一端を担うのが今回の「弥生 レシート取込」です。是非試して頂ければと思います。

最後になりますが、Merry Chrismas & Happy Holidays!
posted by 岡本浩一郎 at 17:23 | TrackBack(0) | 弥生

2016年12月20日

永年無償化

弥生は結構思い切ったな、と思われるかもしれません。昨日、弥生は、個人事業主向けのクラウド会計ソフト「やよいの白色申告 オンライン」を永年無償化することを発表しました

個人事業主が確定申告をする上では、白色申告という方式か、青色申告という方式を選ぶことができます。本ブログでも度々お話ししてきた通り、明らかにメリットが大きいのは青色申告ですが、帳簿を付けるという手間が発生すること、また、明示的に選択する(=申請をする)必要があるため、、結果的に、白色申告のままの方も相当数存在します。

状況が少し変わったのは、2014年。2014年の1月からは白色申告でも記帳が義務化され、メリットはないけれど記帳せずにラクができる白色申告 vs. メリットは大きいけれど記帳が必要な青色申告という構図から、どちらにしても記帳が必要、であれば青色申告にした方がおトクという構図になりました。

弥生では、この白色申告の記帳義務化を踏まえ、2014年1月にやよいの白色申告 オンラインをリリースしました。サービス開始からほぼ3年。お蔭さまで多くの方にご利用頂いています。同時に、やよいの白色申告 オンラインから、やよいの青色申告 オンラインに移行される方も着実に増えてきました。やよいの白色申告 オンラインで帳簿付けになれてしまえば、青色申告でも余裕ですし、そもそも帳簿付けといってもスマート取引取込を利用すれば、かなりの割合で自動化が可能です。

さらに多くの方に、青色申告に移行して頂き、メリットを享受して頂きたい。そのためには、まず白色申告で帳簿を付けることに慣れて頂く必要があります。まずはやよいの白色申告 オンラインで帳簿を付けることに慣れて頂き、そしてその上で、やよいの青色申告 オンラインに移行して頂きたい。そのためにも、入り口であるやよいの白色申告 オンラインのハードルを可能な限り下げたい。それが今回の永年無償化の裏にある弥生の想いです。

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これまでもやよいの白色申告 オンラインでは初年度無償というキャンペーンを実施していましたが、今度は永年無償(フリープランの場合、サポートをご利用頂けるベーシックプランはこれまで同様年8,640円)。これで躊躇いなく、まずはやよいの白色申告 オンラインから、青色申告への道を歩み始めて頂けるのではないかと思います。

永年無償でのご利用のお申込みは12月26日より開始となります。この機会に、是非やよいの白色申告 オンラインをご活用下さい。
posted by 岡本浩一郎 at 21:57 | TrackBack(0) | 弥生

2016年12月16日

Ruby biz Grand prix 2016大賞を受賞

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この度大賞を受賞しました…、といっても弥生ではなく、この2月に一緒になったMisocaの話。昨日、Ruby biz Grand prixにおいて、見事に大賞を受賞しました。

Ruby biz Grand prixは、ビジネスの領域においてプログラム言語Rubyの特徴を活かして新たなサービスを創造し世界へ発信している企業、団体及び個人を対象としたグランプリ。審査委員長はRubyの生みの親であるまつもとゆきひろ氏。まつもとゆきひろ氏からトロフィーを受け取り、見事なドヤ顔をしている豊吉さんはこちらです(笑)。


もう一つの大きな狙いが、扱えるテクノロジーの幅を広げること。弥生はもともとWindows上のデスクトップアプリケーションを長年手掛けてきたこともあり、Microsoftのテクノロジーはお手の物。クラウドのアプリケーションのインフラとしてもMicrosoftのAzureを活用しています。しかし、テクノロジーが進化し、多様化する中で、一社のテクノロジーに依存しすぎることには一定のリスクがあると思っています。また、様々なテクノロジーを組み合わせれば、これまでよりも良い製品/サービスを、より早く、より安価に提供できる可能性も広がってきます。

Misocaは、最初からクラウドネイティブでスタートしていることもあり、活用しているテクノロジーは弥生と大きく異なります。開発はRuby、プラットフォームはAWS(Amazon Web Services)。一昔前であれば、すぐに技術基盤を統合しないと、となるところですが、今の時代はむしろ様々な技術を活用できる方がメリットが大きいと考えています。

AzureでもAWSでも、マッチした方を利用すればいい。C#でも、Rubyでも、Javascriptでも、最適なものを選べばいい。実際、弥生の中でも一部AWSを利用することが出てきていますし、弥生のエンジニアがMisocaに出向してRubyでバリバリ開発をするようになってきています。

弥生はMisocaと一緒になっても、Misocaを弥生色に染めることはありません。弥生には弥生の良さがあるし、MisocaにはMisocaの良さがある。それぞれの良さを伸ばし、かつお互いに学んでいく、それが弥生とMisocaの選んだ道です。Misocaの皆さん、グランプリ受賞おめでとう!
posted by 岡本浩一郎 at 19:42 | TrackBack(0) | 弥生

2016年12月14日

待ったなし

12月も中旬ということでいよいよ待ったなしなのが、年末調整。年末調整の過不足税額は、今年最後の給与支給にあわせて支払うことが多いことから、この12月の給与支給日(やはり多いのは25日)に向けて、年末調整を進める必要があります。そしてお客さまが業務を進める中で、やはり弥生のカスタマーセンターへのお問合せも増えてきます。

弥生のカスタマーセンターに年末調整に関するお問い合わせが集中するのは、クリスマスの前の週。今年で言えば、来週12月19日(月)から始まる一週間です。ただ、今年はマイナンバーの記載が必要になる初めての年末調整、また、源泉徴収票も大きく変わったという事で、早めに動き出されたお客さまも多いようで、例年に比べて早い時期(11月の終わりから)お問合せが目に見えて増えてきています。

お問合せにお答えする立場からすると、年末調整は、12月の初旬から25日ぐらいまでの短期間に極めて多くのお問合せをお受けしなければならず、一年を通じても最もハードな期間です。しかし、この期間にお客さまのお問合せにしっかり対応できてこそ、お客さまもやっぱり弥生で良かったと思って頂けるわけですから、ここは頑張りどころ。

今日一日でも2,600件以上の給与系のお問合せに対応しています。一口にお問合せと言っても、その内容は製品のインストールから、年末調整業務の進め方、製品の操作まで多岐に渡ります。ちなみに今日の会計系のお問合せは1,300件ぐらいですので、この時期のお問合せが以下に給与系に集中しているかご理解頂けるのではないかと思います。

ピークとなる来週には、給与系だけで3,000件以上のお問合せに対応することになります。当然最大限の体制を用意し来週に臨むことになりますが、限られた期間に多くのお問合せを頂く以上、どうしてもお電話がつながりにくくなってしまいます。一件一件着実に対応させて頂きますので、大変恐縮ですが、お待ち頂ければ幸いです。

ただ、お問合せをしないとソフトが使えない、年末調整が完結できないのでは、弥生として真の意味で良いソフトウェア/サービスを提供しているとは言えません。そういった観点から、様々な情報を提供しておりますので、お問合せ頂く前に、是非積極的にご活用頂ければ幸いです。

まず入り口としては、こちらのまとめページ。年末調整とは何か、どういった流れで進めるのか、といったところからご理解頂くことができます。また、このページでもご紹介していますが、弥生チャンネルで動画をご覧頂ければ、一通りの流れをビジュアルに理解して頂くことができるかと思います。

また、弥生給与/やよいの給与計算には、「年末調整ナビ」というナビゲーション機能があり、このナビを活用頂ければ、年末調整の準備から年末調整の終了(新年度へ更新)までの作業をステップ・バイ・ステップで進めて頂くことが可能です。是非ご活用頂ければ幸いです。
posted by 岡本浩一郎 at 18:51 | TrackBack(0) | 弥生

2016年12月12日

商売繁盛

先日、自分のオフィス(部屋)の外側で、何やら嵩張るものを持ってきて設置している気配。持ってきたものを設置して、逆にそれまで設置してあったものを包装して持って行ったようです。

何だろうと思って確認してみると、こんなものが。

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これは弥生のオフィス(東京本社)を見学された方は見かけたことがあるであろう、弥生名物の熊手です。旧オフィス(神田)の際には1Fの受付に設置されていたのですが、新オフィス(秋葉原)では、私の部屋の隣に設置されました(場所の移動にはあまり深い意味はなく、スペース的にちょうど良かった、ということだと思います、苦笑)。

この熊手は新製品の発売にあわせ、毎年おおよそこの時期に、新しいものに入れ替わっています。今年は、全製品がミニパッケージ化したこともあり、全体的にちょっと小ぶりに。以前を知っていると、ちょっと小さくなったと感じますが、初めて見る方からすれば、結構立派なサイズと感じるかと思います。

弥生は商売をしている方をお客さまとしているだけに、少々信心深い面があります。それを表しているのが、この熊手と、もう一つは新年の恒例行事、神田明神への初詣。ただ、誤解のないようにお話しすると、これらは弥生の商売繁盛だけを祈願しているわけではありません。弥生をご利用頂いているお客さま全員の商売繁盛を祈願しての熊手であり、初詣です。

12月もあっという間に中旬。ここから年末まではもうあっという間。その先の恒例行事である初詣までも、あっという間。ああ、これができなかったと後悔することがないよう、全力で走り抜けます。
posted by 岡本浩一郎 at 22:58 | TrackBack(0) | 弥生

2016年12月09日

331 Cafe

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今日は名古屋まで331 Cafeのコーヒーを飲みに来ています。このコーヒー、とても美味しいのですが、残念ながら一般には公開されていません。

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実はこのコーヒーを淹れてくれたのは、Misocaの豊吉さん。豊吉さんはコーヒーにかなりの拘りがあるということで、照れながらも実演しつつ色々と教えてもらいました。ミキサー式のミルと、カッティング式のミルの違い、紙のフィルター、金属のフィルター、布のフィルターの違いなど。拘り具合は、こちらの豊吉さんのBlogで是非ご堪能下さい。

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実は331 CafeはMisocaオフィス(+弥生の名古屋営業所)にあるコミュニティースペース(休憩スペース)。331 Cafeについては、Misocaのインターン、長谷川さんがレポートしていますので、是非こちらをご覧下さい。


一般には公開されていないものの、優しい豊吉さんであればお願いすればきっと331 Cafeで美味しいコーヒーを淹れてくれるはず。Misocaや弥生に興味がある方は是非一度遊びにいらしてください。

あ、肝心なことを忘れていました。なぜ331かって? 本ブログを読んで頂いている方はご記憶と思いますが、こちら! 弥生とMisocaにとってのマジックナンバー、それが"331"です。
posted by 岡本浩一郎 at 17:47 | TrackBack(0) | 弥生

2016年12月07日

職場を越えた付き合い

娘の通っている小学校には、いわゆるPTAとは別に、有志が集まった「父親の会」があります。父親の会としてイベントを企画したり、あるいは、運動会などの学校行事のお手伝いをしたり、はたまた地域の行事のお手伝いまで。

私もこの父親の会に参加し、微力ながらもちょこちょことお手伝いしています。学校のイベントには全力参加。準備から後片付けまでありますので、子供より早く学校に行って、子供より遅く帰ることもあります。お蔭さまで、運動会のためにテントを立てるのが得意になりましたし、ポップコーンを作るのも上手になりました(笑)。先日PTAのイベントでは、父親の会でポップコーンと綿菓子の出店をしたのですが、2時間ちょっとでポップコーンを400個以上、綿菓子を300個以上作り販売しました。父親たちの時給を考えると、全くペイしていませんが、子供たちの笑顔は何ものにも代えられません。

父親の会のもう一つのお楽しみは、イベント後の(イベントがない時でも?)飲み会。父親達は、子どもが大好きという共通項はあるものの、バックグラウンドは様々。普通のサラリーマンから、自営業、地元に根付いている商店の二代目、公務員まで。父親達との飲みでは、普段知らない世界を垣間見ることもでき、非常に愉快です。皆、子供の喜ぶ顔を見るためにひと肌脱いでいるわけですが、その後の飲みが楽しくてというのもまた本音かと思います。

先週末は父親の会の忘年会。最初から最後まで、ワイワイと楽しい時間でした。利害関係も何もなく、ただ子供が好き、地域が好き、そして楽しいことが好きという仲間は本当に貴重です。こういった愉快な仲間と知り合えたことは本当に有難いことだと思っています。

もちろん、お客さまのことを想い、一緒に歩み続けている社員の仲間は何よりも大事。ただ、人の一生は職場で完結するわけではありません。職場の仲間はもちろんですが、職場を越えた付き合いも大事にしていきたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 18:13 | TrackBack(0) | パーソナル

2016年12月02日

Suica on iPhone

予約したことは本ブログでも報告したiPhone 7ですが、無事に発売開始日に到着し、もう2ヶ月ほど利用しています。そして昨日から、念願だったiPhoneでモバイルSuicaの利用を始めています。

念願だった、という割には、なんですぐにSuica利用に踏み切らなかったかというと、以前の記事でも書いた通り、iPhoneでまだ対応していないおサイフケータイ機能があるから。具体的には、


色々と悩んだのですが、結果的には今しばらくはAndroidでのおサイフケータイとiPhoneでのモバイルSuicaを併用することになりました。Android上のモバイルSuica定期券が11月末で切れたこともあり、12月1日からiPhoneでモバイルSuica定期券を新規購入し、晴れてiPhoneでのモバイルSuicaデビューを果たした、という訳です。

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最初にiPhoneで改札を通る時はやはり緊張します。しかし当たり前ですが、あっさりと通過。でもようやくこの日が来たか、と結構感動しました。もっとも、モバイルSuicaはもう10年間(サービス開始が2006年)も提供されている訳ですから、10年前からこんな仕組みがあり、多くの人が当たり前のように使っているということは、それはそれですごいことですよね。
posted by 岡本浩一郎 at 19:02 | TrackBack(0) | テクノロジー

2016年11月30日

フルモデルチェンジ

明日から12月。給与計算業務を担当されている方は、12月分の処理までにはまだまだ余裕があると思われているかもしれませんが、ご承知の通り、12月と言えば年末調整。ゆっくりしている余裕はありません。ましてや今年に関しては、例年以上に早め早めに準備を進める必要があります。

何せ今年の年末調整では、始めて本格的にマイナンバーを取り扱う必要があります。さらに、源泉徴収票にもマイナンバーを記載するようになった関係で、今回から源泉徴収票が全く新しくなりました。これまでも源泉徴収票のフォーマットが若干変わることはありましたが、それらはいわばマイナーチェンジ。今回は全く新しくなったいわばフルモデルチェンジです。

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その違いは見て頂ければ一目瞭然です。左が昨年(平成27年分)の源泉徴収票。それに対して右が今年(平成28年分)の源泉徴収票。サイズがこれまでのA6サイズからA5サイズ(要は2倍)になりました。今年分から控除対象配偶者や扶養親族の名前が記載されるようになり、また、マイナンバーについては、本人だけでなく、控除対象配偶者や扶養親族の分も記載する必要があります。

ただし、マイナンバーを記載するのは、税務署に提出する分(+市区町村に提出する給与支払報告書)のみで、本人に交付する分には記載しないことになりましたので注意が必要です(参考pdf)。もちろん、弥生給与/やよいの給与計算では、本人交付分については印字しないという制御を行っていますし、弥生から販売している源泉徴収票のサプライでは、本人交付分のマイナンバー欄は印字対象外という事で模様が予め印字されています。

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用紙サイズが変わったことで業務も変わります。これまでは、A4 1枚に、源泉徴収票(税務署提出用)、源泉徴収票(本人交付用)、給与支払報告書(個人別明細書、市区町村提出用)×2の4帳票を一気に印刷することが可能でした。写真のA4 1枚を一人ずつ分印刷するということです。

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しかし、今回からは、まずA4 1枚で、源泉徴収票(税務署提出用)、源泉徴収票(本人交付用)を印刷し、次に別のA4 1枚で給与支払報告書(個人別明細書、市区町村提出用)×2を印刷するという二度手間になります。写真ではA4用紙が二種類ありますが、まず上の用紙(源泉徴収票)を1人ずつ分印刷し、次に下の用紙(給与支払報告書)に入れ替えて再度1人ずつ分印刷する必要があるということです。(なお、連続用紙+ドットインパクトプリンターでの印刷の場合は4枚つづりとなっていますから、用紙の入れ替えは必要ありません、また、もちろんのことですが、専用帳票ではなく、白紙への印刷も可能です)。

つまり、昨年までとは大きく変わるのが今年の年末調整処理です。少しでも早めの着手をお勧め致します。従業員の方も早めにマル扶を提出する等、協力してあげて下さいね。
posted by 岡本浩一郎 at 18:24 | TrackBack(0) | 業務

2016年11月28日

年収が高い人ほど歩くスピードが速い? (解説編)

前回ご紹介した「年収が高い人ほど歩くスピードが速く、せっかちである」というリリースについて、本当に因果関係が存在しているのかという問題提起をしました。年収が高くなると本当に歩くスピードが上がるのか、はたまた、歩くスピードが上がると年収が高くなるのか。前回は、これはおそらく疑似相関であろうということをお話ししました

疑似相関であろうというヒントは、調査対象にありました。調査対象は、「ムーヴバンド3」の利用者のうちアンケートに回答した1,229人 (男性: 735人/女性: 494人、年齢:19歳から77歳)とのこと。つまり男女、老若が混在しているという事です。

容易に想像できますが、身長差がある分、男性の方が女性より歩くスピードは速い。そして、事実として、男性の方が女性より平均年収は高い。国税庁が毎年発表している「民間給与実態統計調査」(直近は平成27年分、pdf)によると、1年を通じて勤務した給与所得者のうち、男性の平均給与は521万円、一方で女性の平均給与は276万円と実に2倍近い差があります。男女での年収格差の是非はともかく(もちろん個人的には問題だと考えていますし、弥生では単純に男性だから年収が高いとか、女性だから低いといったことはありませんが)、事実としてこれだけの差があるのです。

これだけの差がある中で、男女を混在して年収と歩くスピードを相関させることの無理はご理解頂けるでしょう。男性は(一般的に)女性より背が高く、従って歩幅が大きく、歩くスピードも速め、そして歩くスピードと直接の因果関係はないが、年収も高め。一方で、女性は(一般的に)男性より背が低く、従って歩幅が小さく、歩くスピードも遅め、そして、年収も低め。

なお、念のためですが、より厳密に言えば、女性であることが直接的な原因として年収が低くなるという単純な話ではなく、女性の方が勤続年数が短い、女性の方がいわゆる非正規雇用の率が高いといった複数の要因が年収の違いにつながっているものと思います。

男女を混在させたのと同様な問題は老若が混在していることにもありそうです。上記の民間給与実態統計調査[年齢階層別の平均給与]を見れば、60歳を越えると年収がガクンと下がることがわかります。一般的に言えば、60歳を越えて年齢を重ねれば歩くスピードは遅くなってきます。そしてそれと直接的な因果関係はないものの、60歳を超えると平均年収も下がる。

では、本来はどのような分析をすべきだったのでしょうか。まずは、母集団として(年収分布という意味で)特性の異なる男女を一緒にするのでなく、分割すべきだと思います。男性だけを母集団として、あるいは女性だけを母集団として、年収が高い人ほど歩くスピードが速いということを示せれば、そこには何らかの因果関係があると考えることもできたはずです。老若に関しても、いわゆる現役世代と引退世代で分けて分析すべきでしょうね。

もっとも、注意が必要なのは、リリースの「年収が高い人ほど歩くスピードが速く、せっかちである」ということ自体は誤りではありません。「〜という傾向がある」ぐらいは書くべきだと思いますが、リリースでは、年収と歩くスピードで「因果関係がある」とは言及していないからです。本文をよく読んでみれば「早歩きをすれば、年収があがる、というわけではありませんが」とも記載されています。

つまり、あくまでも、これを読んだ人が勝手に因果関係を想像してしまうということです。ただ、率直に言って、因果関係を想像させる書き方だとも思いますが。本件は無害だとは思いますが、最近は様々な情報が溢れる中で、ある意味似たような印象操作がそれなりにあるように感じています。書かれていることを鵜呑みにするのではなく、自分なりに「なぜ」を考える姿勢が必要とされているように思います。
posted by 岡本浩一郎 at 21:20 | TrackBack(0) | ビジネス