2019年03月11日

提出編(その1)

先月から始めた所得税確定申告の解説シリーズ。準備編、記帳編、そして申告書作成編を終え、いよいよ提出編です。私自身も無事先週末に申告書の準備が整い、今日提出することができました。ホッと一安心。

さて、できあがった申告書を提出するにあたっては、大きく、1) 電子申告、2) 税務署での提出、3) 郵送での提出、という3つの選択肢があります。

イマドキの時代ですから、もちろん電子申告でと言いたいところですが、電子申告ならではの一手間もあり、なかなか電子申告が当然とまでは言い切れないのが現状です。電子申告には、マイナンバーカードとICカードリーダライタが必要。これらは一度準備してしまえば翌年からはラクになる訳ですが、その一度がなかなか越えられないカベとなっています。

もっとも、今年からは、マイナンバーカードが普及するまでの暫定的対応という位置付けで、ID・パスワード方式という選択肢が用意されるようになりました。この方式では、税務署で本人確認を受けた上で発行されるID・パスワードを利用して電子申告が可能になります。しかし残念ながら、このID・パスワード方式は、国税庁が提供している「確定申告書等作成コーナー」で最初から申告書を作成する場合にのみ利用できるということで、やよいの青色申告 19や、やよいの青色申告 オンラインで作成した決算書/申告書データをそのまま活用することができません。

結果的に、やよいの青色申告をご利用の場合には、マイナンバーカード方式のみが利用できることになります。ただ、マイナンバー方式も昨年までとは異なり、e-Taxの開始届出書の提出が不要になっていますので、これまでよりは簡便化されています。

やよいの青色申告 19(デスクトップアプリ)をご利用の場合には、e-Taxソフト(これ自体もデスクトップアプリ)と組み合わせて電子申告を行うことになります。一方で、やよいの青色申告 オンラインをご利用の場合には、e-Taxソフト(Web版)との組み合わせになります。前出の「確定申告書等作成コーナー」も、e-Taxソフトも、e-Taxソフト(Web版)も電子申告を行うための仕組みではあるのですが、それぞれ別物なので、ご注意ください(正直結構紛らわしいですよね)。

もう時間も限られるし、電子申告は来年から、という方は、2) 税務署での提出、3) 郵送での提出という二つのオプションになりますが、税務署での提出を選ぶ積極的理由はないと思います(オフィスの隣が税務署、だったら別ですが)。税務署で提出する場合、その場で提出を証明するための控えに受付印を押してくれるというのがメリットではありますが、郵送での提出の場合でも、控えと返送用の封筒(切手付き)を同封すれば、控えに受付印を押して返送してくれます。税務署までの往復の時間を考えると、郵送の方がよい時間の使い方なのではないかと思います。

なお、上記はあくまでも今回の申告での話。2021年の申告(2020年分の所得の申告)からは、電子申告の場合のみ青色申告特別控除が65万円になる(そうでない場合は55万円に減額)ため、納税額に明確な差がでることになります。それまでにいかに電子申告を当たり前のものとするか、弥生としてもしっかり対応しなければならないと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 20:30 | TrackBack(0) | 税金・法令

2019年03月08日

申告書作成編(その2)

先々週から始めた所得税確定申告の解説シリーズ。準備編、記帳編を終え、いよいよ申告書作成編です。前回は、デスクトップアプリケーションである「やよいの青色申告 19」を利用して申告書を作成しましたが、今日は、クラウドアプリケーションである「やよいの青色申告 オンライン」を利用して申告書を作成してみます。

デスクトップアプリとクラウドアプリという違いはありますし、それゆえのユーザーインターフェイスの違いはありますが、ソフトウェアの誘導に従っていただければ、税金に関する知識がなくても申告書を作成できてしまう、という点は全く一緒です。どちらも弥生ですからね。

やよいの青色申告 オンラインの確定申告の画面では、まず最初に確定申告の手順という画面が表示されます。基本的にこの画面の誘導に従っていただければ、ステップ・バイ・ステップで、青色申告決算書と確定申告書の作成ができてしまう、という仕組みになっています。

前回も話したように、所得税を(言うまでもなく合法的に)最小化するためには、控除をしっかりとゲットすることが大事ですが、弥生ではあれば、どの控除が該当するのか、迷うことはありません。

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所得控除の選択という画面で、どういった控除が存在するのかをしっかり理解しながら、「はい/いいえ」で答えるだけ。画面の案内に従うだけで、該当する控除を迷わず選ぶことができるだけでなく、実際に控除を得るために必要な入力を漏らすことなく済ませることができるようになっています。

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今回の申告での難関ポイントである配偶者控除/配偶者特別控除についても、青色申告決算書を作成する際の基本情報で家族の情報を登録しておけば、あとは必要な情報を入力するだけ。

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配偶者の所得が100万円(画面上には表示されていませんが、本人の所得が900万円以下を想定)ですと、配偶者控除ではなく、配偶者特別控除となり、その金額は26万円となることが自動的に計算されます。

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扶養控除についても、結構間違えやすいのですが、基本情報を踏まえ、正しい申告書になるように誘導します。残念ながら、16歳未満の子どもは扶養控除の対象とならない(その代わりに児童手当が支給されるようになっています)のですが、基本情報の家族の生年月日を踏まえ、扶養控除が受けられない場合には、「扶養控除は受けられません」と明示するようになっています。一方で、住民税・事業税に関する事項の中で、16歳未満の扶養親族について記入する欄があるのですが、そちらに自動で記載するようになっています。

前回ご紹介したやよいの青色申告 19と同様に、やよいの青色申告 オンラインでも、やっかいな法令を理解する必要はなく、画面の誘導に従って情報を入力すれば、自然と正しい申告書が作成できるようになっています。これなら初めての青色申告でも安心ですよね。

さあ、いよいよ確定申告の期限前の最後の週末を迎えます。もうやらない/できない理由はないですよね。この週末に一気に済ませてしまいましょう。私も、この週末に仕上げます(笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 18:55 | TrackBack(0) | 弥生

2019年03月07日

申告書作成編(その1)

先々週から始めた所得税確定申告の解説シリーズ。準備編、記帳編を終え、いよいよ申告書作成編に入りたいと思います。今日は、デスクトップアプリケーションである「やよいの青色申告 19」を利用して申告書を作成します。

ここまで結構長々と説明してきただけに、申告書作成も長い説明が続くのか…、と思われるかもしれませんが、実は、申告書作成編はあっさりです。というのも、ここで長々と説明するよりも、ソフトウェアの誘導に従っていただくのが一番だからです。

やよいの青色申告 19の決算・所得税申告の画面では、左側に操作ナビが表示されます。基本的にこのナビの誘導に従っていただければ、ステップ・バイ・ステップで、青色申告決算書と確定申告書の作成ができてしまう、という仕組みになっています。

操作ナビでは、申告書全体の流れとして、

(1) 決算前に行う作業を確認しよう
(2) 青色申告決算書(一般用)を作成しよう
(3) 所得税確定申告書Bを作成しよう

という3つのステップが表示されており、それぞれのステップをクリックすることで、行うべき作業を確認したり、実際の作業を進めることができます。

ここでは例として、最後の山場である確定申告書の作成のステップをご紹介したいと思います。準備編で、「所得税を(言うまでもなく合法的に)最小化する上で、もう一つ重要なのが、控除をしっかりとゲットすること」と書きました。とはいえ、控除も色々あって、どれが該当するのか迷ってしまいますよね。

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でも、弥生なら大丈夫。操作ナビの中で、「所得控除で節税する」というステップが明確に示され、なおかつ「入力が必要な項目を診断する」ことが可能です。診断では、どういった控除が存在するのかをしっかり理解しながら、「はい/いいえ」で答えるだけ。画面の案内に従うだけで、該当する控除を迷わず選ぶことができるだけでなく、実際に控除を得るために必要な入力を漏らすことなく済ませることができるようになっています。

今回の申告から非常に複雑な制度になったのが、配偶者控除/配偶者特別控除。昨年末の年末調整時期にもお話ししましたが、本人の所得と配偶者の所得の掛け合わせで配偶者控除か、配偶者特別控除か、あるいは、いずれもなしか、また、配偶者特別控除の場合には控除額も決まるようになりました。

そもそもが複雑な制度なので、これを理解して、間違えずに入力するのは至難の業…、のようにも思えますが、ここでも弥生なら大丈夫。

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弥生であれば、配偶者の所得金額そのものを入力すれば、本人の所得金額も踏まえ、自動的に適用される控除、および控除額を計算してくれます。画面イメージのケースでは、配偶者の所得が100万円。この場合(画面上には表示されていませんが、本人の所得が900万円以下を想定)、配偶者控除ではなく、配偶者特別控除となり、その金額は26万円となります。

つまりやっかいな法令を理解する必要はなく、やよいの青色申告 19の誘導に従って情報を入力すれば、自然と正しい申告書が作成できるようになっているわけです。

今回は、デスクトップアプリである「やよいの青色申告 19」での申告書作成についてご紹介しましたが、次回はクラウドアプリである「やよいの青色申告 オンライン」での申告書作成についてもご紹介したいと思います(だいたい言いたいことは想像がつくと思いますが、笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 18:48 | TrackBack(0) | 弥生

2019年03月06日

記帳編(その4)

先々週から始めた所得税確定申告の解説シリーズ。これまで、準備編、記帳編と進めてきましたが、今週末には申告書作成に取り掛かりたいところ。そのためにも、記帳はそろそろ終えたいところです。ということで、記帳編の最後は、帳簿付けする上で「あるある」な、これってどう帳簿に付けるの、の続編をお届けしたいと思います。

前回は、最もよくある質問である、これはどの勘定科目なの、についてお話ししました。端的に言えば、あまり厳密に拘る必要はありません。勘定科目の選択に悩んで帳簿付けの手を止めてしまうのではなく、悩んだら雑費でも構わないので、まずは一通り帳簿付けを終えてしまいましょう。

今回は、いくつかの支出について、そもそも帳簿にどう付けるの、という観点でお話ししたいと思います。

1) 帳簿に付けるが、一定の後処理が必要になるもの

個人事業主の方であれば、自宅で事業をしているという方も多いと思いますが、この場合の自宅賃料をどのように扱うか。これは一旦賃料を全額地代家賃として帳簿付けし、最後に地代家賃を、事業分と個人分に分解する処理を行います。これは家事按分という処理なのですが、結果的に地代家賃のうち経費として計上するのは事業分のみ、ということになります。

2) 帳簿に付けないが、申告書において申告するもの

医療費や生命保険料をどのように記帳するの、というのもよくある質問ですが、これらは事業上の経費としては認められていません。個人事業主は、「事業主」としての帽子と「個人」としての帽子を両方被っていることになりますが、医療費や生命保険料はあくまで「個人」に対して発生する支出であり、事業上の経費ではないからです。ですから、事業主としての帳簿に記帳する必要はない、ということになります。

ただ、医療費や生命保険料は、所得税上、一定の控除が認められます。医療費に関しては、医療費控除、生命保険料は生命保険料控除。ですので、帳簿に付ける必要はありませんが、領収書としてはまとめておき、所得税の確定申告書に記載することになります。

判断基準は上でお話ししたように、事業主としての支出(=事業上の経費)か、個人としての支出か、というもの。ですから、同じ保険料でも、事業で利用する設備にかけている損害保険の保険料は経費として計上できる(そのために帳簿に付ける)ことになります。昨日お話しした青色申告決算書上にデフォルトで「損害保険料」と記載されているのはこのためです。

3) 帳簿に付けないし、申告書において申告もしないもの

事業上の支出かもしれないが、支出の性格上経費として認められないものもあります。いわゆる罰金の類ですね。仕事のために車を運転しており、スピード違反で捕まったというケース。運転は仕事のためであり、そのために発生した支出だから経費としたいところですが、罰金という性格上、経費計上は認められていません。もちろん、所得税申告において控除として認められることもありません(災害で損害を受けた際に認められる雑損控除というものはありますが、災害の意味が異なります、笑)。

ちなみに、帳簿に付けないし、申告書において申告もしない、にある意味該当するのが、個人事業主自身の給料です。青色申告決算書上にデフォルトで「給料賃金」と表示されているので誤解されることがありますが、この給料賃金は、従業員に対して給料を支払った場合に該当するものです。

個人事業主にはそもそも給料という概念はありません。それによって生計を立てる収入という意味では、売上から経費を差し引いて得られる利益、つまり申告書上で言えば事業所得が給料に該当する存在となります。ですから、個人事業主自身への支払いは、帳簿上給料賃金として付けることもありませんし、申告書上給与所得として申告することもありません。

ただ、現実問題として事業用の銀行口座から生活費を払った場合はどうするのか。これは、「事業主貸」という勘定科目で処理します。つまり事業のおカネを事業主である個人に渡した、厳密に言えば、事業主の帽子を被った存在から、個人の某氏を被った存在に資金を渡した、という扱いになります。なお、勘定科目名に「貸」とはありますが、借りたから返す、という必要はありません。事業主貸および、逆に事業主から事業におカネを融通した場合の事業主借は、決算の中で自動的にクリアされます(その分、両者の差分が元入金に減算/加算されます)。

長かった記帳編もこれで終わり(ホッ)。次回からは申告書の作成に取り掛かります。
posted by 岡本浩一郎 at 19:53 | TrackBack(0) | 税金・法令

2019年03月04日

記帳編(その3)

3月に入って、確定申告期間も折り返し地点を過ぎました。申告期限までの週末は、もう今週末のみ。比較的のんびりしたペースで進めているこのシリーズですが、さすがに、そろそろ、焦るべきタイミングです。この週末には申告書の作成に集中できるよう、今週中に帳簿付けを済ませておきたいところです。

帳簿付けは、可能な限り自動で。手入力の場合には、同じような取引を続けて入力することによって、効率的に入力しましょう。

さて、今回は、帳簿付けする上で「あるある」な、これってどう帳簿に付けるの、にお答えしたいと思います。

もっともよくある質問は、これはどの勘定科目なの、というもの。例えばコピー用紙を買ったとして勘定科目は? 何となく該当しそうなのは、消耗品費か、事務用品費ぐらいでしょうか。あるいは資料として本を購入した際は、新聞図書費か、書籍費か、あるいは資料費か。思い切って雑費というのも万能な気がします。答えは、それらしければ、基本的にはどれでもいい、です。

大事なのは、一定のルールに従っていること。本を買った時に、ある時は「新聞図書費」だが、別の時は「書籍費」など、同種のモノに異なった勘定科目を使うことは避けるべきですが、逆に言えば、一定のルールに従えば、勘定科目はあまり厳密に拘る必要はありません。

あまり厳密に拘る必要がないという意味では、雑費もありといえばありです。ただ、何でもかんでも雑費としてしまうと、結局一切分別していないことになってしまうので、これだ、という勘定科目がない場合、あるいは、まれに発生する経費のみ雑費とすべきかと思います。一年に一回しか本を購入しないのであれば、わざわざ新聞図書費として分けて管理せず雑費で十分ですし、資料を大量に購入するのであれば、やはり新聞図書費として分別して管理した方が望ましいでしょう。

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個人事業主の場合、一つ参考になるのが、青色申告決算書(損益計算書)に最初から表示されている勘定科目。青色申告決算書上デフォルトで表示されているのは、以下の18の勘定科目です。

租税公課、荷造運賃、水道光熱費、旅費交通費、通信費、
広告宣伝費、接待交際費、損害保険料、修繕費、消耗品費、
減価償却費、福利厚生費、給料賃金、外注工賃、利子割引料、
地代家賃、貸倒金、雑費

ですから、迷ったらまずはこの18の中から選ぶでも良いと思います。なお、やよいの青色申告では、この18以外の勘定科目を利用した場合には、自動的に「その他経費」という科目に合算されて表示されるようになります。ただ、比較的よく発生する経費がある場合、例えば新聞図書費が多いという場合には、新聞図書費という勘定科目を独立して表示させるようにもできます(そのためにいくつか空白の行が用意されているのがわかるかと思います)。

デフォルトの18科目以外に、比較的よく使われる科目は、支払手数料、会議費、新聞図書費ぐらいかと思います。使用する勘定科目を、デフォルトの18+必要に応じてのαとし、それに該当しないものは全部雑費とすれば随分とすっきりしますね。

いちばん避けるべきは、勘定科目の選択に悩んで帳簿付けの手を止めてしまうこと。悩んだら雑費でも構わないので、まずは一通り帳簿付けを終えてしまいましょう。

なお、上記は基本的に経費の観点でお話をしていますが、PCなど10万円以上するものは通常は「固定資産」となり、一般的な経費とは異なる扱いが必要になります。ただし、青色申告の場合は、減価償却の特例により、事業で使う30万円未満の固定資産を一度に経費にすることが認められています。詳細はこちらをご覧いただければと思いますが、これも青色申告のメリットの一つです。
posted by 岡本浩一郎 at 19:01 | TrackBack(0) | 弥生

2019年02月28日

記帳編(その2)

いよいよ2月も今日で終わり、確定申告期間も折り返し地点です。時間に余裕がある(?)週末は、今週末と来週末のみ。今週/来週は粛々と帳簿付けを進めていき、来週末は申告書の作成に集中できるようにしておきたいところです。

前回お話ししたように、平成という時代も終わる今、帳簿付けはどんどん自動化を進めたいところです。取引は、銀行口座やクレジットカード、電子マネーなど、取引履歴が電子データとして得られる手段にして、その履歴をスマート取引取込を使って自動で仕訳する。ただ、一般的に取引履歴を取得できる期間が限られるため、今からスマート取引取込を活用しても今回の申告では充分活用できないかもしれません(とは言え、来年のために、ここでスマート取引取込の設定をしてしまいましょう、というのは前回お話しした通り)。

今回自動での記帳ができないとしても、諦める必要はありません。手入力で記帳するといっても、コツをつかめば意外に早く終わらせることができます。

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特に初めて青色申告をされるという方にご活用いただきたいのが、「かんたん取引入力」。

かんたん取引入力では、いわゆる仕訳を知っている必要はありません。入力エリアの右側に「取引例を探す」というボタンがありますが、ここをクリックして、取引のキーワードを入力します。例えば、「携帯電話」。そうすると「携帯電話代の支払い」といった取引が表示されますので、それを選べば仕訳の「もと」となる情報がセットされますので、後は日付や金額といった情報を入力すればokです。仕訳というと、勘定科目やら借方・貸方やら途端に面倒臭く感じますが、かんたん取引入力では、行った取引を選べば結果的に仕訳を正しく入力できるようになっています。

ここまでは、「かんたんやさしい」弥生であれば当たり前の話。この「かんたん取引入力」で注目いただきたいのが、登録ボタンの左側にある「同じ取引を続けて登録する」というチェックボックス。このチェックボックスをチェックした上で登録すると、同様な取引をサクサクと入力することができます。

これは先週お話しした領収書の整理方法にもよるのですが、例えば携帯電話料金の明細を一年分揃えておきます。まずは1月分を登録し、その際に「同じ取引を続けて登録する」をチェックしておけば、その画面のまま、日付と金額(+丁寧にやるとすると摘要の「〇月分」)だけを変えて、2月分、3月分…と一気に入力することができます。これを次は電気代、次は家賃…と入力していけば、かなりのスピードで入力を進めることができます。家賃などの場合には、金額も変わらないでしょうから、日付を更新して登録し続けるだけですね。

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さきほどの画面は、クラウドサービスである「やよいの青色申告 オンライン」の画面ですが、デスクトップアプリである「やよいの青色申告 19」でもこのようにほぼ同様の画面となります。やはり、「同じ取引を続けて登録」がありますから、これを積極的に活用したいところです。

もう少し応用編としては、辞書機能をうまく活用したいところです。オンラインでは「よく使う取引」、デスクトップでは「取引辞書」という名称になりますが、その名の通り恒常的に発生する取引を登録しておけば、あとは選ぶだけ。

より高機能なデスクトップ版では、振替伝票というより複雑な仕訳を入力するための機能もありますが、やはり伝票辞書という辞書機能があり、これを活用すれば、複雑な仕訳(例えば従業員への給与の支払い & これにともなう源泉徴収など)もどんな仕訳だったっけ、と悩むことがなくなります。

一年に一度しかないような取引については、前年度の帳簿を参照し、そこから仕訳をコピーすることも可能です。具体的には、帳簿・伝票メニューで前年度仕訳日記帳を開き、目当ての仕訳を「行コピー」。それを今年度の仕訳日記帳で「行貼り付け」することが可能です。

領収書の山を前になかなか手がつかない、という方も多いかと思いますが、やり始めてしまえば、意外にサクサクと進むもの。ここで頑張って一気に片付けてしまいましょう。
posted by 岡本浩一郎 at 18:14 | TrackBack(0) | 弥生

2019年02月26日

記帳編(その1)

先週から始めた所得税確定申告の解説シリーズ。申告期限に向けて、準備編、記帳編、申告書作成編、提出編と順を追って解説していきます。先週(末)で書類の準備が整ったということで、今週は帳簿付けを進めていきたいと思います。

帳簿付けをするといえば、まずは現金出納帳に手書きで記帳して、それを総勘定元帳に転記して、という昔ながらのイメージがあるかもしれません(腕にはもちろんインクが付くのを防ぐための黒い腕カバー、笑)。

これはもちろん過去の話。それこそ昭和の話です。平成の時代は会計ソフト。会計ソフトを利用すれば、現金出納帳でも、預金出納帳でも、仕訳日記帳でも、あるいは振替伝票でも、どの帳簿や伝票からでも入力が可能であり、入力した仕訳は自動的に総勘定元帳に転記されます。入力は一度だけで、その後は自動的に処理がされ、ボタン一つで残高試算表を作成することができます。そう、会計ソフトの中では、はるか昔からワンスオンリー(過去に提出/入力したデータを、再び提出/入力する必要のない仕組み)が実現されている訳です。

ただ、まもなく平成も終わる中で、記帳の常識も変わろうとしています。それは自動での記帳。預金出納帳がわかりやすいですが、預金出納帳を手で入力する際には、その基になっている情報、具体的に言えば通帳がある訳です。ただ、通帳もイマドキの時代、もちろん手書きなどではなく、銀行のシステムでデータとして管理され、出力されています。情報の二重入力をなくすためにはどうすればいいか。それは発生源でデジタル化し、最初から最後までデジタルで完結させること。つまり、銀行からデータとして受け取り、それを会計ソフトが自動で記帳することによって、情報の二重入力がなくなり、業務の圧倒的効率化が実現されます(会計ソフトの垣根を越えて、ワンスオンリーを実現するという表現もできるかと思います)。

弥生でこれを実現する仕組みがスマート取引取込。私の個人の会社でも2年前から活用していますが、一度活用すると、もうない世界には戻れません。以前お話ししたように私の会社は現在は事実上の休業状態ですから、取引の量は最小限。それでも一年分の取引がボタン一つでガッと仕訳として取り込まれるのは本当に便利です。一般的にはもっと取引量がある訳ですから、その効果は絶大です。

もっとも、実は法人で銀行口座の明細の自動取込を活用しているお客さまはまだまだ多いとは言えません。それは法人の場合、一般的にインターネットバンキングの利用に利用料がかかるからです。それに対し、個人(事業主)の場合は、基本的にインターネットバンキングの利用料はありませんから、活用しない理由がありません。

帳簿付けを容易にするためには、事業用の銀行口座、そして事業用のクレジットカードを用意したいもの。現金での取引は最小化し、一方で事業用の銀行口座/クレジットカードをスマート取引取込で自動で記帳されるようにしてしまえば、記帳は圧倒的にラクになるはずです。

ただし、インターネットバンキングからデータを取得する以上、仕訳として取り込めるのは、インターネットバンキングにデータが存在する期間に限定されます。インターネットバンキングにデータが存在する期間がどれだけかは、銀行によりますが、数ヶ月ということも珍しくありません。このため、残念ながら、今からスマート取引取込を使い始めても、昨年分の取引が対象となる今回の申告では活用できないケースも想定されます。とは言え、ここで何もしなければ、結局来年も同じことになりますから、来年に向けてスマート取引取込の設定は是非済ませたいところです。

今回は自動仕訳を活用できないとすると、やはり手入力による帳簿付けを行う必要があります。もっとも、事業をする上では、毎月支払う水道光熱費や賃料、あるいは、毎月請求を行って売上を計上など、発生する取引はかなりパターン化されます。このパターンをうまく活用すれば、手入力での帳簿付けも実は意外に簡単です。次回は、パターン化された取引を効率よく入力する方法を解説したいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 22:13 | TrackBack(0) | 弥生

2019年02月23日

準備編(その2)

前回から始めた所得税確定申告の解説シリーズ。申告期限に向けて、準備編、記帳編、申告書作成編、提出編と順を追って解説していきます。実はこのシリーズ、私自身の確定申告と同期している(笑)ということで、珍しく週末の更新です。

今回は準備編のその2。個人事業主の申告では、まずは売上から経費を引いた利益(=事業所得)を算出し、それに他の収入を加算したり、あるいは税額計算上認められる控除を減算して、所得税の課税対象額を計算します。前回のその1では、事業所得を算出する(かつ、合法的に最小化する)ために、経費の領収書をしっかりと集めましょうとお話ししました。交通費など、領収書がないケースの対応法についてもお話ししました。

所得税を(言うまでもなく合法的に)最小化する上で、もう一つ重要なのが、控除をしっかりとゲットすること。控除というのは、所得を減らすことができる所得控除と、税額そのものを減らすことができる税額控除という二種類があります。所得税額を最小化する上でダイレクトに効くのは税額そのものを減らす税額控除ですが、認められている種類が多いのは所得控除。実際の申告で活用するのは所得控除がほとんどではないかと思います。

原則的に誰でも対象となるのが、社会保険料控除基礎控除。その次ぐらいにメジャーなのが、保険料控除でしょうか。

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保険料控除には生命保険料控除地震保険料控除の二種類があります。いずれも一定の条件を満たす保険料の分だけ、税額を計算するための所得から控除してくれるというもの。控除を受けるために必要な保険料控除証明書が毎年秋に保険会社から送られているはずですが、受け取ってから確定申告までに時間があるため、あれ、どこへ行っちゃったっけ、というのは「あるある」。この段階で一通り揃えておきましょう。どうしても見つからない場合には保険会社に再発行をお願いすることになりますが、一定の時間がかかるため、この段階で揃っているか確認しましょう。

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一定額(原則として10万円)以上の医療費を支払った場合に超過分の控除を受けられる医療費控除も比較的よく利用される控除かと思います。20代、独身ですと一定額を超えることは多くはないかと思いますが、家族のために支払った医療費も対象となるため、家族が増えると意外に「塵も積もれば」になっています。この段階でざっと集計し、一定額を超えているか確認しておきましょう。

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最近は寄附金控除を活用する方が増えているのではないかと思います。もちろん、ふるさと納税の影響ですね。これもしっかりと領収書を揃えておきましょう。また後日ふれたいと思いますが、寄附金は所得控除か税額控除かを選べる珍しい控除です。

事業所得以外がある場合には、その関係の書類も確認しておきましょう。基本はサラリーマン(給与所得)で副業で事業をしている、という場合には、給与所得の源泉徴収票が必要になります。

こうやってみると、かなりの数の書類ですよね。申告期限ぎりぎりになって、あれ、ない、どうしよう、とならないように、今週末で揃えておきましょう。さあ、来週はいよいよ帳簿付けに取り掛かりたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 13:21 | TrackBack(0) | 税金・法令

2019年02月20日

準備編(その1)

今週から始まった所得税の確定申告。本ブログでは今回から、準備編、記帳編、申告書作成編、提出編と順を追って解説していきたいと思います。期限までは1ヶ月を切っており、気がはやるとは思いますが、本ブログと同様なペースで進めていけば間に合うはず。

ということで、今回は準備編のその1。個人事業主の申告にあたっては、まずは売上から経費を引いた利益(申告においては事業所得と言います)を算出する必要があります。次に事業所得に他の収入を加算したり、あるいは税額計算上認められる控除を減算して、所得税の課税対象額を計算します。

事業所得を計算する、もちろん、その際には合法的に所得を最小化(=所得税額を最小化)するためには、経費を漏れなく計上することが重要です。つまり、確定申告の準備の第一歩となるのは、経費の領収書をキチンと集めること。事業の規模にもよりますが、一年分となると、領収書はそれなりなボリュームになるはず。単に集めて終わりではなく、日付順(月ごと)にまとめる、もしくは、用途別(会計的にに言えば勘定科目ごと)にまとめるといった工夫をすると帳簿付けの際にラクになります。日付順か、用途別かは好きなやり方で構いません。会計ソフトを使えば日付は自動的に並び替えられますので、あえて言えば用途別の方が効率的かもしれません。

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もっとも、領収書がないケースもあります。典型的なのは、日々の交通費。これは手書きでもエクセルでも何らかの出費を裏付けるメモがあれば大丈夫です。よくあるのは社内の経費精算用のフォームをそのまま使うケースですね。冠婚葬祭などで、領収書が出ない場合も同様です。さすがに受付で、領収書をください、とは言えません。これも、何らかの証拠があれば大丈夫。一番良いのは、交通費における経費精算用フォームのように、社内で記録するためのフォームを作り、例えば冠婚葬祭に際して受領した案内状などと共に記録・保存しておくことです。

領収書が出ないという意味では、銀行振込もそうですね。これは、振込の控えで代用可能です。ネットで振り込んだ場合には、振込完了画面を印刷しておきます。クレジットカードで定期的に決済されるような支払いで領収書が必ずしも発行されないもの、例えば、ISPや、ウェブサイトのホスティング、ドメイン登録などの費用はそのクレジットカードの明細書が領収書の代わりになります。

誤解されがちですが、こういった経費を証明する領収書は確定申告の際に添付/提出する必要はありません。ただ、帳簿をサクサクと付けるためにも、事前にキチンと揃えておきたいところです。

なお、売上(と源泉徴収額)を示すものには、支払調書がありますが、これも申告の際に添付/提出する必要はありません。支払調書が揃わないので、申告できないというのはよくある誤解ですので、お間違えなく。
posted by 岡本浩一郎 at 23:49 | TrackBack(0) | 税金・法令

2019年02月18日

いちばん得するスゴ技

いよいよ本日から、平成30年分の所得税の確定申告が始まりました。ただ実は今日からというのは税務署等での「所得税及び復興特別所得税の確定申告の相談及び申告書の受付」。これは週末の影響によるもので、e-taxであれば実は例年通り2/16から受付を開始済みです。もっと正確に言えば、還付申告は1月から受付開始となっていますので、確定申告はいつから、というのは一概には言いにくい部分があります。

もっとも一般的に気になるのは、いつまで。これは提出方法や還付かどうかによらず一律に3/15(金)となります(もっとも3/15の何時までという観点では差がありますが、これはまた追って)。

期限までは1ヶ月を切っており、気がはやる部分もあるかと思いますが、どうせ確定申告をするのであれば、極力トクをしたいという方に一読をおススメしたいのが、「ぶっちゃけ税理士が教える確定申告のいちばん得するスゴ技」という本。本ブログでも何度か登場いただいている税理士の松波先生の新著です。

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個人事業主の所得税は売上から経費を引いた利益(申告においては事業所得という表現になります)に連動しますので、所得税を合法的に最小化するためには、経費をいかに計上するかがポイントになってきます。

この種の経費を計上して節税しましょうという本は、これまでにも数多く存在しています。その中で本書が輝くのは、極めて実践的であること。類書はかなり過激か保守的かどちらかが多いように思います。過激(こんなものまで経費にできる、もっと言えば何でも経費にできる)というのは、もちろん本として目立つし、売れやすいからですね。一方、保守的(経費は事業に必要なものという一般論のみ)なのは、それが安全だからです。保守的であれば、経費にできると書いてあったじゃないか、と訴えられることもない。ただ、往々にして読者が本当に知りたいことに対して解を提示していないということになります。

どこまでが経費となるか。実は明快な答えはありません(本書の表現で言えば「グレー」)。そんな中で本書の特徴となるのは、こういったものは経費として認められた、逆にどういったケースは認められなかったという実践的な情報を提供していること。なおかつ、なぜそれが経費となるか/ならないかを考え方として示していることです。考え方はシンプルで「『いかに売上を得るのに必要であったか、事業に関係があったか」という根拠を示すことができるか」どうか。実にシンプルですが、実例を踏まえることで、なるほどそういうことか、という腹落ちができるようになっています。

中には今回の申告には間に合わず、来年に向けてという内容も含まれていますが、今年もまだ始まったばかり。今回の申告でメリットを享受することはできなくても、来年の申告では確実に「やっててよかった」となるかと思います。

個人的な感想としては、「根拠を示せるか」という一貫した考え方で裏打ちされているため、危うさはない(笑)ものの、実際はどうなのという読者の期待に応えるべく、結構攻めているな、というもの。まさにタイトルにある通り「ぶっちゃけ税理士」の面目躍如です。平易で表現でサクサク読めるのも特徴ですので、いざ申告書を仕上げる前に一読して損はないと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 21:14 | TrackBack(0) | 税金・法令