2022年11月30日

新しいクラウドプラットフォーム

前回は、先日リリースしたやよいの給与明細 オンラインについて、大幅リニューアルと表現しているものの、実態としては、ゼロから開発した全く新しいアプリケーションであるととお話ししました。さらっとお話ししましたが、実はこれは弥生としては非常に大きなターニングポイントです。

というのも、アプリケーションとしてゼロから開発したというだけではなく、実はプラットフォームが全く新しいものになっているから。単純にコードを書きなおしたというレベルではなく、全てを作り直しているということです。デスクトップアプリケーションであれば、これまでWindowsのアプリとして開発してきたものを、今回からMacintoshのアプリとしてゼロから開発した、というぐらい大きな変化です。

実際には、やよいの給与明細 オンラインはクラウドアプリケーションですから、WindowsでもMacintoshでも動きます。この場合変わったのは、クラウドのプラットフォーム。一般のお客さまからは全く見えない部分ではありますが、クラウドのプラットフォームが変われば、アーキテクチャーからデータベースからほぼ全てが変わりますから、全く新しい取組みとなります。もちろん技術的に汎用性がある部分も多いので、ゼロからの学習にはなりませんが、新たに学ばなければいけないことも多く、とてもチャレンジングな取組みです。

チャレンジングである一方で、最新の技術を取り入れることが可能になるため、これまでのクラウドアプリケーションとは一線を画した使い勝手を実現できます。実はこの春に提供を開始した証憑管理サービス(ベータ版、今後「スマート証憑管理」として正式版となる予定)が新プラットフォーム上のデビュー作でした。ただ、証憑管理サービス(ベータ版)はそれ単体での利用は想定されていませんし、なおかつベータ版です。単体で利用するアプリケーションの正式版としては、今回のやよいの給与明細 オンラインがデビュー作となります。

弥生として新プラットフォームを採用することを正式に決定したのは実はもう約2年近く前のこと。以降、水面下でコツコツと開発を進めてきましたが、こうして無事にリリースすることができました。まだまだ完成形とは言えず、今後も磨きこみは必要ですが、弥生の将来につながる大きな一歩だと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 17:01 | TrackBack(0) | 弥生

2022年11月28日

やよいの給与明細 オンラインリニューアル

11/17に弥生はクラウドアプリケーション、「やよいの給与明細 オンライン」をリニューアルし、提供を開始しました

やよいの給与明細 オンラインは、弥生が提供するクラウドアプリケーション、弥生オンラインのラインアップの一つです。従業員30名程度までの事業者に最適な、給与明細をかんたん、気軽に作成することのできる給与計算アプリケーションとして2017年1月にリリースしました。

今回のリリースは、大幅リニューアルと表現していますが、実態としては、ゼロから開発した全く新しいアプリケーションです。リニューアル版のやよいの給与明細 オンラインは、従来版のやよいの給与明細 オンラインの全機能を引き継いでいますが、それだけではありません。今回のリニューアルに際して強化を図ったのは、事業者と従業員とがデジタルでつながる機能。わかりやすいところでは、給与計算を行い、給与明細を作成したら、その給与明細をデジタルデータとして従業員に配信することができるようになりました。また、当面はパートナー向けの限定提供となりますが、年末調整に必要な情報を従業員からデジタルで収集することも可能です。

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つまり従業員からデジタルで情報を収集することもできると同時に、従業員にデジタルで情報を提供することもできる。デジタルで従業員とつながることによって、利便性を高めるだけでなく、業務の効率化を実現します。

前回、業務の抜本的な効率化を実現するためには、業務のあり方そのものを変えていく必要があるとお話ししました。そのために進めるべきなのが、Born Digital、最初からデジタル。情報は発生源でデジタル化し、以降は一貫してデジタルのまま処理する。今回のやよいの給与明細 オンラインで、事業者が従業員とデジタルでつながる機能を提供するのも、この取組みの一環です。
posted by 岡本浩一郎 at 12:50 | TrackBack(0) | 弥生

2022年11月24日

事業概況説明会

10/28に開催したデジタルインボイス推進協議会(EIPA)による発表会について熱くお話ししてきましたが、その翌週にはこれはこれで大事な発表会がありました。それは弥生のメディア向けの事業概況説明会。弥生自身に関する発表会なので、これはこれで大事と言っていてはいけませんね(苦笑)。しかし、10月からPAPカンファレンスやら、外部イベントやら、EIPAイベントやらの準備で結構てんてこまいで、事業概況説明会の資料が完成したのは説明会の前日、ちゃんとしたリハーサルも前日一回のみ。結果的にはしっかりとした説明はできたとは思いますが、次回以降はもう少し余裕のある準備を心がけたいところです。

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さて、この事業概況説明会、かつてはデスクトップアプリケーション「弥生 XX シリーズ」(最新は10/21に一斉発売となった弥生 23 シリーズ)の新製品発表会として開催していたものです。昔は、新シリーズの発売開始は一年に一度の大イベントでした。もちろん今でも重要なイベントではありますが、今ではクラウドサービスの比重も大きくなっていますし、起業・開業ナビ資金調達ナビ事業承継ナビなど、弥生が提供する価値の幅も広がっている中で、一年に一度の大イベントというよりは、一年に何回もある大イベントの一つというところです。そういった中で、新製品にフォーカスするのではなく、弥生の活動の全容をお伝えすると同時に、その背景にある弥生の想いであり、方向性をお伝えする場として事業概況説明会という形で開催するようになっています。

今回の事業概況説明会での一番のトピックは時節柄やはりインボイス制度対応です。弥生シリーズでどのようにインボイス制度(+改正電帳法)に対応するか。これは本ブログでもまた改めてお話ししたいのですが、弥生がこの冬に提供する「スマート証憑管理」というサービスがこの役割を担います。これは既に提供している証憑管理サービス(ベータ版)を進化させ、正式なサービスとして提供するものです。

もっとも、今回の説明会では、このスマート証憑管理についてご説明するだけではなく、その背景にある弥生の想いであり、方向性についてもしっかりとお伝えしました。

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弥生の取組みには大きく二つの領域が存在します。一つは業務支援サービス。お客さまの業務を成立させ、効率化するお手伝いをしています。いわゆる業務ソフトである「弥生シリーズ」は業務支援サービスに位置付けられますし、今回の一番のトピックであるスマート証憑管理もこの領域に属します。もう一つの取組み領域は事業支援サービス。業務にとどまらず、事業者の事業の立上げと発展の過程で生まれる様々な事業上の課題の解決を支援するサービスです。例えば、直近で立ち上げた事業承継ナビはこの領域に属します。

業務支援サービスにおいて弥生がこだわっているのは、単なる法令改正対応に終わらないということ。もちろんお客さまが法令改正に対応でき業務を継続できるということは弥生として最低限達成しなければいけないことです。しかし、お客さまが法令改正は何とか対応できたけれども、業務としては複雑化した、大変になった、では弥生として十分な価値を提供できていないと考えています。法令改正対応は当たり前であり、より重要なのは、いかに業務を効率化するか。そのためにスマート証憑管理ではAI-OCR(AIを活用した文字認識の仕組み)を活用し、手入力を最小化できるようになっています。さらに抜本的な効率化を実現するためには、業務のあり方そのものを変えていく必要があります。そのために進めるべきなのが、Born Digital。最初からデジタルという考え方であり、弥生がデジタルインボイス推進協議会を通じて普及を図っているデジタルインボイスもこの取組みの一環です。

一方で弥生が事業支援サービスに取り組む原動力になっているのは、事業者であるお客さまにとって大事なのは業務ではなく、事業そのものであるということ。お客さまがやりたいことは事業を通じてお客さまのお客さまに価値を提供すること。その過程で生まれるのが業務。つまり業務は手段であり、目的は事業です。その観点から、弥生は業務のお手伝いをして満足するのではなく、お客さまの事業そのもののお手伝いをしたいと思っています。事業の立上げを支援する起業・開業ナビから、事業のバトンを渡す支援をする事業承継ナビまで、弥生が過去2年間、事業を支援するサービスを急速に立ち上げている背景にはこういった想いがあります。

色々と本ブログで取り上げたいトピックが多いのですが、今回の事業概況説明会でお伝えした弥生の想いであり方向性について、今後もう少し深掘りしてお話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 19:56 | TrackBack(0) | 弥生

2022年11月22日

デジタルインボイスで生まれるさらなる価値

10/28に開催したデジタルインボイス推進協議会(EIPA)による発表会について3回にわたって熱くお話ししてきました。これまでにもお話しした通り、デジタルインボイスというのは、インボイス制度という法令改正のためだけではなく、業務のデジタル化によって業務の圧倒的な効率化を実現する手段です。ここでいうデジタル化による効率化というのは、インボイスを紙ではなくデジタルでやり取りするということだけではなく、請求から入金まで、一連の業務を圧倒的に効率化するということ。それによって事業者の皆さんが業務がシンプルになった、楽になったということを実感できるようにしたいと考えています。

実はデジタルインボイスで実現したいことにはさらにその先があります。これもイベント中の私の基調講演でお話ししたのですが、デジタルインボイスの活用により、さまざまな新しいサービスであり、新しい価値を生み出すことができると考えています。その一つとして、事業者の資金繰りを抜本的に改善するサービスが実現できるのではないかと考えています。

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事業者はデジタルインボイスを発行すると同時に、そのデジタルインボイスを金融機関に共有する。すると、金融機関はデジタルインボイスに基づいて、リアルタイムで与信判断をし、融資を実行する。つまり、これまでは請求書を発行してから、それに対する入金を受けるのに1〜3ヶ月かかっていたものが、デジタルインボイスを発行すると即座に資金回収ができる、という世界を作れるのではないかと考えています。即座に資金回収すれば、その資金で次のビジネスに向かうことができます。

今回のイベントは複数のメディアで取り上げていただきましたが、日経の記事ではこの観点も取り上げていただき(図まで引用いただきました)、期待されているな、と実感しました。

あ、実に我田引水ですが、デジタルインボイスをもとに金融機関が与信判断をする際には、アルトアがお手伝いできるはずです。アルトアは既に会計データを活用した与信エンジンを金融機関に提供していますが、扱えるデータは会計データに限られるわけではありません。デジタルインボイスは事業者の資金調達を圧倒的に容易にしうると同時に、金融機関の与信精度と与信コストを大きく改善しうる力を持っていると考えています。ご関心をお持ちの金融機関の皆さま、是非アルトアと議論しましょう。
posted by 岡本浩一郎 at 19:30 | TrackBack(0) | デジタル化

2022年11月18日

EIPAイベント(その3)

これまで、デジタルインボイス推進協議会(EIPA)が10/28に開催した、デジタルインボイス利活用に関する発表会「請求から『作業』をなくそう。〜今だから考えるデジタルインボイスの利活用」についてお話ししてきました。今回のイベント開催を通じて改めて感じたのが、今回のデジタルインボイスに対する取組みはこれまでにないものであり、もっと言えば奇跡的だということ。

一つには、多くの民間のソフトウェアベンダーが集まり、「競争」ではなく、「共創」を実現できていること。もともと会計ソフト業界というのは、会社間であまり仲がいいとは言えませんでした(苦笑)。もちろん喧嘩腰という訳ではないのですが、お互いに不干渉というか、あまり関わろうとしてきませんでした。それが今回はデジタルインボイスを当たり前のものにする、それによって日本の事業者の業務を圧倒的に効率化する、という共通の想いのもとで、皆で協力して進めることができています。また、会計ソフトベンダーだけではなく、SAPやインフォマート、ROBOT PAYMENTなど、これまでは連携することの少なかった会社とも同じ想いの下でしっかりと共創することができています。

二つ目としては、政治と行政による一貫した牽引力。今回のイベントでは河野デジタル大臣からビデオメッセージを寄せていただきましたが、このメッセージ中、デジタルインボイスはデジタル庁のフラッグシッププロジェクトというご発言がありました。実はこれはもともとはEIPAによる提言に対し、平井初代デジタル大臣(当時はデジタル改革担当大臣)に仰っていただいたことです。この二年間でデジタル大臣は平井大臣、牧島大臣、そして河野大臣と変わってきましたが、その間一貫してデジタル庁のフラッグシッププロジェクトとして着実に進めていただきました。実務としては今回のイベントでパネルディスカッションのモデレーターを務めていただいたデジタル庁の加藤さんの一貫した牽引力には本当に感服させられっ放しです。また、加藤さんをしっかりバックアップいただいているMさん、そして、デジタルインボイスだけではなくもっと広い観点で社会的システムのデジタル化に向けて発破をかけていただいているAさん(猟師でもあるとの噂)の力なしにはここまで来れていないでしょう。

そして最後には、官と民が共創できているということ。この取組みは民間だけでは実現できていないことですし、また、政治や行政だけが動かそうとしてしても動きません。政治が方向性をしっかりと示し、行政が土台を作る、そしてその上で民間こそが実際に価値を生み出す。このサイクルをしっかり回せているのが今回の取組みだと思います。

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これらが揃った今回の取組みは本当に奇跡的だと思いますし、これを成功させることで、今後のさらなる社会全体のデジタル化につながるものだと考えています。もっともデジタルインボイスに関して、民間が実際に価値を生み出すという点はまだまだこれから。来年10月に向けて民間の力をしっかり示さなければなりません。
posted by 岡本浩一郎 at 18:36 | TrackBack(0) | デジタル化

2022年11月15日

EIPAイベント(その2)

前回お話しした通り、10/28にデジタルインボイス推進協議会(EIPA)は、デジタルインボイス利活用に関する発表会「請求から『作業』をなくそう。〜今だから考えるデジタルインボイスの利活用」を開催しました

発表会は二部構成。第一部では、河野デジタル大臣によるサプライズ・ビデオメッセージの後に、私が基調講演を行いました。私が基調講演で強調したのは、デジタルインボイスというのは、インボイス制度という法令改正のためだけではなく、(誤解を恐れずに言えば、もっと重要なのは)業務のデジタル化によって業務の圧倒的な効率化を実現する手段であるということ。ここでいうデジタル化による効率化というのは、インボイスを紙ではなくデジタルでやり取りするということだけではなく、請求から入金まで、一連の業務を圧倒的に効率化するということです。それによって事業者の皆さんが業務がシンプルになった、楽になったということを実感できるようにしなければなりません。

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この想いは、EIPAの代表幹事である弥生だけが抱いているものではありません。EIPAの会員共通の想いです。それがしっかりと表現されたのが、第一部後半のパネルディスカッションではないでしょうか。パネルディスカッションでは、EIPA幹事の4社(インフォマートTKCマネーフォワードROBOT PAYMENT)が登壇し、デジタル庁の加藤さんがモデレーターを務められました。この4社は、どういった事業者をターゲットとするか、また、サポートする領域の違いはありますが、単純に紙を電子データにするというだけではなく、デジタル化、つまり、業務の見直しによって圧倒的な業務の効率化を目指すという点では一致しています。各社の特徴を明らかにしつつ、共通点もしっかり示す加藤さんのモデレーションは実に見事でした。

続く第二部では、15社のEIPA会員による各社製品・サービスのピッチイベント。1社あたりの持ち時間はわずか3分ということで、ちょっと心配していましたが、皆さんしっかり持ち時間の中で各社の特徴であり、想いをプレゼンされていました。この種のイベントで15社が一気にプレゼンをするというのもなかなか珍しいのではないかと思いますが、EIPA会員(正会員)は実に191社に達しており、今回登壇したのはごく一部です。191社の中には、ユーザー企業や事業者を支援する会社(コンサルタントや税理士法人・監査法人など)も含まれるため、全社がシステム・ソリューションを提供するという訳ではありませんが、それでも今回の15社ではまだまだ紹介しきれていません。今後も、各社による情報発信の機会を作っていきます。

前回もご紹介しましたが、本イベントの様子はYouTubeで公開していますので、是非どうぞ(第一部第二部)。
posted by 岡本浩一郎 at 22:00 | TrackBack(0) | デジタル化

2022年11月11日

EIPAイベント(その1)

前回お話しした通り、デジタル庁が「わが国の『デジタルインボイス』の標準仕様(JP PINT)」として、Peppol BIS Standard Invoice JP PINT Version 1.0を公開した10/28に、デジタルインボイス推進協議会(EIPA)は、デジタルインボイス利活用に関する発表会「請求から『作業』をなくそう。〜今だから考えるデジタルインボイスの利活用」を開催しました。

発表会は二部構成。第一部では私が基調講演を行い、その後、EIPA幹事4社のパネルディスカッションを実施しました。その後第二部では、EIPA会員15社による、サービス紹介のピッチを実施しました。

実は第一部の冒頭では、河野デジタル大臣によるサプライズ・ビデオメッセージが寄せられました。サプライズということで、このメッセージそのものは公開できないのですが、デジタルインボイスの普及に向けた熱い想いと期待を語っていただきました。

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このビデオメッセージの後に、私は20分ほど基調講演を行いました。私の基調講演を含めイベントの様子はYouTubeで公開しています(第一部第二部)。

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私が基調講演で特にお話ししたかったのは、デジタルインボイスというのは、インボイス制度という法令改正のためだけではないということ。インボイス制度(適格請求書等保存方式)というのは、確かに法令改正であり、法令である以上これを守らなければならない。ただ、法令改正対応はできたけれども、業務は複雑になった、業務の負担が重くなったというのでは、事業者としては嬉しくありません。法令だから渋々対応はするものの、何のメリットも感じられない。実際、紙を前提としてインボイス制度に対応しようとすれば、そうなりかねません。でも、デジタルを前提とすれば、それを変えることができる。法令改正対応をしつつ、業務のデジタル化によって、むしろ業務がシンプルになった、楽になったということが実現できるのです。

ここでいう業務が楽になったというのは、デジタルであれば、紙の請求書を印刷し、封筒サイズに折り畳み、封入して、切手を貼って、ポストに投函してという手間がかからないということだけではありません。むしろ楽になるのは、それ以降です。デジタルでインボイスを受領すれば、買掛の仕訳を自動で計上できる。また、その買掛の仕訳をトリガーとして、支払の処理を自動化できる(支払という特性上、人間の最終確認は必要ではありますが)。そして。デジタルでインボイスを発行すれば、売掛の仕訳を自動で計上できるのはもちろん、入金がどの請求に対応するものなのか、すなわち入金消込業務を自動化することができます。

つまり、デジタルインボイスのメリットは、単にインボイスを紙ではなくデジタルでやり取りするということだけではありません。請求から入金まで、一連の業務を圧倒的に効率化できるということなのです。(続く)
posted by 岡本浩一郎 at 23:00 | TrackBack(0) | デジタル化

2022年11月09日

バトンは再び民間に


思い起こせば約2年前の2020/12/14、デジタルインボイス推進協議会(EIPA, 当時は電子インボイス推進協議会と呼称)は、平井卓也デジタル改革担当大臣に提言を行いました。提言の骨子は、インボイス制度を機に、業務のデジタル化と効率化を実現するデジタルインボイスの普及を図ること、 そのために、Peppol(ペポル)と呼ばれる国際規格をベースとして日本標準仕様を策定すべきであるということ、また、日本標準仕様の策定に向け政府が積極的な役割を担うこと。

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これに対し、平井大臣には提言に全面的に賛同いただくと同時に、今後発足するデジタル庁の「フラッグシッププロジェクト」になるとまで言っていただくことができました。この時点で、デジタルインボイスの普及に向けてのバトンは、民間からデジタル庁に託されたわけです。

ただし実際にデジタル庁が正式に立ち上がったのは2021年の9月。それまではデジタル庁の前身となる内閣官房の力も借りながら、EIPAとして標準仕様策定に向けて活動は行っていたのですが、いかんせん牽引力不足は明らかでした。議論がより深まり、明確に前進するようになったのは、デジタル庁が立ち上がってから。内閣官房からデジタル庁に活躍の場を移したKさんの牽引力の賜物です。

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そして今回、デジタル庁からいよいよPeppol BIS Standard Invoice JP PINT Version 1.0が公開された訳です。つまり日本におけるデジタルインボイス、Peppolはいよいよ実用化のステージに入ったということです。これと共に、デジタルインボイスの普及に向けてのバトンは、デジタル庁から再び民間に託されました。あとは、弥生を含め、民間の各社が実際に活用できるサービスを提供し、実際に業務効率化を実現する段階です。

そんな想いを込めたイベントをEIPA主催で10/28に開催しました。イベントに向けてはかなりの突貫工事となり、無事に開催できるのかひやひやしましたが(苦笑)、EIPAメンバー(特に広報部会)の会社の枠を超えてのチームワーク、そしてデジタル庁のバックアップもあり、何とか無事に開催することができました。このイベントについてはまた次回お話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 23:40 | TrackBack(0) | デジタル化

2022年11月07日

イベントの秋

前回は、先月10/20から会計事務所向けのカンファレンス、弥生PAPカンファレンス 2022 秋を開催しており、前半戦が終了しましたとお話ししました。今日は大阪会場で開催し、これで全10回中、ちょうど半分となる5回が終了しました。実は10月は、弥生PAPカンファレンス以外にも、様々なイベントでの登壇がありました。

秋だからという訳ではなく、やはりインボイス制度開始まで一年を切ったこのタイミングだから。これを反映し、登壇は弥生の代表ではなく、デジタルインボイス推進協議会(EIPA)の代表幹事である弥生の代表(ややこしい、笑)としての登壇がほとんどになっています。

これらのイベントは現状では会計事務所向けが中心となっています。10月には会計事務所向けのイベントで2回登壇しましたが、今後、同じく会計事務所向けのイベントで11月にも1回、12月にも1回の登壇の予定が入っています。一般の事業者にとっては、インボイスという単語や2023年10月という期日は知っていても、まだまだピンとこない部分も多いかと思います。それに対し、会計事務所にとっては、今後の繁忙期(この年末から来年春まで)を考えると、来年10月はもはや今そこにある危機。弥生PAPカンファレンスでも実感しているところですが、会計事務所については、これまでのとりあえずの情報収集から、具体的に対応方法を検討するフェーズに変わってきています。

一方で10月には一般事業者向けのイベントにも登壇する機会もありました。幕張メッセで開催された会計・財務EXPOです。この種のイベントの参加者は弥生のお客さま(従業員数で~20名程度の法人および個人事業主が中心)よりは大き目の会社の方が多いので、弥生自身が出展することはないのですが、会場はなかなかの盛り上がりでした。コロナ禍の影響もあり、私自身幕張メッセに行くのも久し振りでしたが(ちなみにトライアスロンではすぐそばで泳いで漕いで走っていたりするのですが、笑)、イベントのワクワク感はいいですよね。

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私は、「デジタルインボイスが変えるバックオフィス業務のこれから」というテーマで、デジタル庁 1名、ユーザー企業2名 + 私が、それぞれでの発表+皆でのパネルディスカッションというセッションで登壇しました。全体で90分というかなり長いセッションだったのですが、コーディネーター役を引き受けていただいたデジタル庁加藤さんの力もあり、充実しつつもあっという間に終わった90分となりました。

お蔭さまで参加いただいた皆さま(300名超)にも好評だったようで、参加者アンケートでは「デジタルインボイスの本質を理解することができた。更なる業務効率の推進のきっかけになることも認知できた。」「デジタルインボイスが実現する業務効率化による解決できる課題や会計処理のDX における最新動向を知る事ができ、大変勉強になりました。」という嬉しい声をいただくことができました。

弥生であり、デジタルインボイス推進協議会が目指すのは、単なる法令改正対応ではなく、デジタル化によって、圧倒的に業務を効率化すること。今後も様々な形で情報発信を続けていきたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 17:42 | TrackBack(0) | デジタル化

2022年11月02日

前半戦終了 2022秋

先月10/20から会計事務所向けのカンファレンス、弥生PAPカンファレンス 2022 秋を開催しています。10月中は、仙台、札幌、名古屋の3会場とオンラインでの開催が1回。全体では7会場、オンライン開催3回なので、40%終了ということになります。

今回のカンファレンスのテーマはやはりインボイス制度。昨年秋も、今年の春もインボイス制度について取り上げてきていますので、さすがにやり過ぎのようにも思えますね。しかし実際には制度開始まで一年を切り、会計事務所の関心はより高まっており、なおかつ、その関心はより具体的な点にまで広がってきていると感じています。

今回のカンファレンスで弥生が目指しているのは、インボイス制度において、インボイスの受領から記帳まで、どのようなオペレーションとなるのか、具体的な感触を持っていただくこと。このため、カンファレンスのプレゼンにおいても、かなりの時間をかけて実際のオペレーションのデモを行っています。これまでのところこの狙いはズバリ的中しています。インボイス制度に向けて非常に不安に感じていたが、今回のカンファレンスで、何をどのようにすればいいのか理解できた。これであれば業務が成立するという感覚が得られた。こういったフィードバックをいただくことができています。

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今回とても特徴的なのは、休憩時間中やプレゼン終了後に実機でのデモコーナーに人だかりができること。実機でのデモコーナーはいつもご用意しているのですが、ここまで関心が高いのはこれまでにはないことです。プレゼンでデモも行っているわけですが、実機でもより細かいところを実際に見てみたい、質問もしたいという方が多いように感じています。どこから手をつけていいのかわからない、具体的に何をどうすればいいのかわからない、という状態から、具体的になイメージが描けるようになったということですから、大きな前進だと思います。

弥生PAPカンファレンスの後半戦は、来週月曜日の大阪会場からスタートです。既に大阪・東京海上については受付を終了していますが、オンライン開催(11/15 & 11/24)についてはまだお申込みが可能です。インボイス制度に向けて漠然とした不安を抱いている会計事務所の皆さん、是非ご参加ください。インボイス制度に向けて、何をどうすべきか、視界がすっきりクリアになることをお約束します。
posted by 岡本浩一郎 at 19:15 | TrackBack(0) | 弥生